JP3423971B2 - 低腐食性ヨウ素含有殺菌洗浄剤 - Google Patents

低腐食性ヨウ素含有殺菌洗浄剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、殺菌力を保持しつ
つステンレス鋼に対する腐食性を著しく低減させたヨウ
素含有殺菌洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】飲食料品製造、発酵・醸造等の工場にお
いては、製品の安全性および品質を確保するために、製
造設備のタンクや配管等を清潔に保つことが不可欠であ
る。食品成分や発酵成分、水垢やスケール等の固形分が
水分を含んだ状態で付着し放置されると、短時間のうち
に雑菌が繁殖し品質低下を招く。従って、これらの工場
では、例えばソフトドリンク等のパイプラインや乳業の
パイプライン等の生産ラインのタンクや配管等を、アル
カリ溶液により蛋白質、炭水化物、油脂等の有機物汚れ
を除き、これを酸で中和した後にスケールを除去し、次
いで殺菌洗浄する方法が一般的に行われている。
【0003】ここに、ヨウ素は同じハロゲン化合物であ
る塩素化合物と比較しても遜色のない強い殺菌力を有
し、グラム陽性菌、グラム陰性菌、結核菌、芽胞菌、真
菌、ウィルス等の幅広い抗微生物スペクトルを示し、あ
らゆる微生物に対して速やかに殺菌効果を発揮するとと
もに低温でも有効で、人や動物に対する毒性は塩素より
低いため、古くより殺菌・消毒剤として広い分野で使用
されている。
【0004】しかしながら、ヨウ素(I2 )自体は特有
の臭いと色および刺激性を有し、昇華性を示すとともに
水に殆ど溶けず、その取り扱いに難点がある。これらの
点を解消した種々の殺菌・消毒剤が使用されているが、
中でも、ヨウ素をボリビニルピロリドン、ポリビニルア
ルコール、種々の界面活性物質、ある種のアミノ酸や糖
と複合体を形成させることにより水溶化し、水中でヨウ
素を徐々に放出させ、殺菌力を低下させることなくヨウ
素自体の持つ臭気や刺激性を抑えたヨードホールが広く
使用されている。しかし、殺菌洗浄に際し、生産ライン
等のタンクや配管等に上記ヨードホールを使用すると、
使用時に著しく発泡する。従って、殺菌後の洗浄に多量
の水を必要とし、排水量の増加、殺菌洗浄に要する時間
の増加等の問題点が生ずる。
【0005】一方、これら発泡性の問題を解決するため
に、EP特許0184904(B1)公報には、ハロゲ
ン化ハロゲンを原料とする無発泡性の酸性洗浄剤が開示
されている。すなわち、ICl等を含むハロゲン化ハロ
ゲンを、硝酸や塩酸等と反応させて安定化したICl2 -
を含有することを特徴とする洗浄・消毒組成物である。
IClに塩酸および硝酸を添加するとICl2 -を産生す
るが、原料として使用するIClが不安定であることか
ら、酸および塩素イオンの存在下にヨウ素イオンをヨウ
素酸イオンで酸化させてIClを産生させ、次いで硝酸
を添加してICl2 -を産生させ安定化している。この溶
液のヨウ素(I)濃度は、およそ2w/w%であり、酸
としては硝酸が好ましく、その濃度は24〜26w/w
%の酸重量が特に好ましい旨が記載されている。
【0006】また、特開平5−170612号公報に
は、IClを含有することを特徴とする殺菌・殺カビ性
水溶液組成物が開示されている。該公報では、有効ヨウ
素を生じる成分としてIClを選択することが効果的で
あるが、この物質がアルカリ金属の塩化物や塩酸などの
水溶液中では安定であることから、IClの含有溶液に
塩化ナトリウムを添加させている。この溶液中のヨウ素
(I)濃度は、およそ2w/w%であり、硝酸は使用さ
れていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
EP特許0184904(B1)公報記載の洗浄剤を使
用すると、ステンレス鋼が腐食する場合がある。具体的
には、生産ラインの配管中には、洗浄液の原液を貯蔵す
るタンクが備えられ、実際の洗浄においては他から導い
た水と洗浄剤原液とを混入して希釈洗浄液を洗浄用ライ
ンに通過させるのであるが、洗浄剤原液の貯蔵タンク内
気相部分に腐食が生ずるのである。腐食は、腐食生成物
による汚染を招き食品工業などでは特に衛生上の問題と
なる。腐食生成物の混入は衛生上の問題を招き商品価値
を損なう。加えて、腐食による局部的な肉厚の減少が耐
力の低下をもたらし、地震などの異常応力がかかったと
きに破壊の原因となる。このため、配管や洗浄剤タンク
について定期的な取り替えが必要とされてきた。
【0008】一方、上記のごとく食品分野の生産ライン
は、炭水化物やタンパク質汚れ、油脂汚れなどの有機物
を除去するためにアルカリ洗浄を行い、次いでアルカリ
洗浄によって生成する水酸化物の除去やスケールの洗浄
除去などを目的に、酸洗浄を行うことが好ましい。しか
しながら、異なる洗浄剤を通過させることは、洗浄剤タ
ンク数を増加させかつ洗浄工程にようする時間を増加さ
せる。このため殺菌洗浄工程数の増加を防ぐために、実
際には酸洗浄が省かれてアルカリ洗浄後に殺菌洗浄が行
われる場合が多かった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
課題を解決するため鋭意検討した結果、ヨウ素イオンと
ヨウ素酸イオンの存在下に塩酸を反応させ、生じたIC
lを硝酸水溶液に可溶化したものに、更に硝酸水溶液で
含有ヨウ素量を調製することにより、ステンレス鋼に対
する腐食性を著しく低減させることができること、およ
び該調製液が酸洗浄も行えることを見出し、本発明を完
成させた。
【0010】すなわち本発明は、以下の(1)〜(
を提供するものである。
【0011】(1) ICl含有水溶液に塩酸および硝
酸を添加してなる、ヨウ素含有量が0.1〜0.3w/
w%であり硝酸濃度が20〜60w/w%であるヨウ素
含有殺菌洗浄剤組成物。
【0012】
【0013】() ヨウ素分子(I2)をアルカリ水
溶液に溶解し、ヨウ素イオン(I-)およびヨウ素酸イ
オン(IO3 -)を発生させ、更にヨウ素酸イオン(IO3
-)を加え、次いで塩酸を反応させ生じたヨウ化物を硝酸
水溶液に可溶化してなるヨウ素含有量が0.1〜0.3
w/w%、硝酸濃度が20〜60w/w%のヨウ素含有
殺菌洗浄剤組成物。
【0014】() ヨウ素酸イオンの供給源がヨウ素
酸ナトリウムまたはヨウ素酸カリウムであることを特徴
とする上記(2)記載のヨウ素含有殺菌洗浄剤組成物。
【0015】() 有効成分としてICl2 -を含有す
ることを特徴とする上記(1)〜()の何れかに記載
のヨウ素含有殺菌洗浄剤組成物。
【0016】() 上記(1)〜()記載の何れか
に記載のヨウ素含有殺菌洗浄剤組成物を10〜200倍
希釈液を使用することにより、殺菌および酸洗浄を同時
に行うことを特徴とする洗浄方法。
【0017】
【発明の実施の形態】ヨウ素イオン(I-)と塩素イオ
ン(Cl-)をヨウ素酸イオン(IO3 -)で酸化するとI
Clが産生されること、およびこれを硝酸酸性下に溶解
してICl2 -が得られることは、上記EP特許0184
904(B1)に記載され既に公知である。上記公報に
よる殺菌洗浄剤組成物は、ヨウ素濃度が1.6W/W%
であり、硝酸濃度が24W/W%であり、実際の使用に
おいてステンレス鋼の気相部に腐食が生ずる。本願発明
は、ヨウ素濃度を0.1〜0.3W/W%と極めて低濃
度に調製にしたものでありながら同時に硝酸濃度を20
〜60W/W%とすることで、従来からの問題点である
ステンレス鋼に対する腐食を極めて効果的に防止でき、
しかも極めて優れた殺菌効果を有すること、および酸洗
浄も同時に行うことができ、これにより食品プロセスの
生産ラインの洗浄時間を短縮できる点に特徴がある。以
下に、本発明を詳しく説明する。
【0018】(1)ヨウ素含有殺菌洗浄剤組成物 本発明は、ヨウ素をIとして0.1〜0.3W/W%含
有することを特徴とし、殺菌有効成分としてICl2 -
含有する。従って、ICl2 -を含有すれば何れの製造方
法によっても調製することができる。例えば、適当量の
IClを含有する水溶液に適当量の塩酸および硝酸を添
加し、ヨウ素含有量を0.1〜0.3w/w%、かつ硝
酸濃度を20〜60w/w%とすることができる。
【0019】しかしながら、IClが極めて不安定であ
ることから、IClを単独で水溶液中に溶解することは
困難である。従って、ヨウ素分子(I2)をアルカリ水
溶液に溶解しこれにヨウ素酸イオンを添加し、次いで塩
酸および硝酸を添加して調製してもよい。なお、生成の
容易さや安全性等からICl自体を取り扱うよりも、水
溶液中でIClを産生させ、ついでICl2 -を産生させ
ることが好ましい。
【0020】具体的には、アルカリ水溶液に含有するヨ
ウ素(I)1モルに対して、ヨウ素酸イオン0.025
〜2.5モル、塩酸0.25〜25モルおよび硝酸10
0〜21000モルを順次添加して調製する。ヨウ素を
アルカリ水溶液に溶解するのは、溶液中にヨウ素イオン
(I-)およびヨウ素酸イオン(IO3 -)を発生させるた
めである。ヨウ素イオンは、塩素イオンの存在下にヨウ
素酸イオンで酸化されIClを産生する。従ってこれを
硝酸で溶解してICl2 -を含有する溶液を得ることがで
きるのである。この反応を以下の式で示す。
【0021】
【数1】
【0022】使用できるアルカリ種としては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウムが例示でき、何れでもよく2
種以上を混合して使用してもよい。ヨウ素(I)1モル
に対する水酸化アルカリの使用量は、0.5〜10モル
であることが好ましく、より好ましくは1〜5モルであ
る。ヨウ素は水への溶解性に劣るため、あらかじめアル
カリ水溶液を調製し、これに所定量のヨウ素を溶解させ
るためである。
【0023】この溶液中には、ヨウ素酸イオンが産生す
ると考えられるが、更にヨウ素酸イオンを添加する。十
分な酸化作用を得るためである。ヨウ素酸イオンとして
は、ヨウ素酸カリウム、ヨウ素酸ナトリウムを単独で又
は混合して使用することができる。添加するヨウ素酸イ
オン量は、ヨウ素(I)1モルに対して0.025〜
2.5モルであることが好ましく、より好ましくは0.
13〜0.5モルである。これにより十分な酸化作用が
得られるからである。
【0024】本発明では、上記に塩酸と硝酸とを添加す
る。塩酸の添加量は、ヨウ素(I)1モルに対して0.
25〜25モルであることが好ましく、より好ましく
1.3〜5モルである。また、硝酸の添加量は100〜
21000モルが好ましく、より好ましくは110〜9
000モルである。塩酸の添加により塩素イオンが供給
され、更に硝酸イオンが添加されてICl2 -が生成され
るものと考える。
【0025】本発明のヨウ素含有殺菌洗浄組成物のヨウ
素含有量は、0.02〜0.4w/w%で有ることが好
ましく、より好ましくは0.1〜0.3w/w%であ
る。本発明のヨウ素含有殺菌洗浄組成物は、後述する通
り上記ヨウ素含有殺菌洗浄組成物を10〜200倍に希
釈して使用でき、殺菌を目的とするヨウ素濃度は、後記
する実施例に示すように1.6ppmで有効である。し
かも、本発明のヨウ素含有殺菌洗浄剤組成物は、上記ヨ
ウ素濃度で有効な殺菌効果を奏すると同時に、殺菌洗浄
組成物の貯蔵タンク内における腐食の発生を極めて有効
に防止することができるのである。ここにヨウ素含有殺
菌洗浄組成物のヨウ素量の上限を0.4w/w%とした
のは、これを超えるとステンレス鋼に対して腐食性を示
すため好ましくないからであり、含有ヨウ素量を0.0
2w/w%としたのは、これ未満では殺菌有効成分であ
るヨウ化物濃度が低くなり、殺菌洗浄を行う場合10倍
以上の希釈ができないからである。また、0.02w/
w%を下回ると取り扱い量が増加し、貯槽タンクの容量
の増大や輸送量が増加する等の問題が生じ好ましくな
い。
【0026】なお、本発明のヨウ素含有殺菌洗浄組成物
に含まれるヨウ素としては、ヨウ素イオン、ヨウ素酸イ
オンや、ICl2 -の何れの形態で含有されていてもよ
い。いずれにしても上記方法により得られたヨウ素含有
殺菌洗浄組成物は、食品などの生産ラインの殺菌に極め
て有効に使用できるからである。
【0027】本発明のヨウ素含有殺菌洗浄組成物は、硝
酸濃度が20〜60w/w%であり、より好ましくは3
0〜50w/w%である。最終硝酸濃度が60%(w/
w)を超えると硝酸濃度が高くなりすぎ、取り扱い上の
危険性が増すため好ましくない。また、一般に金属の腐
食は強酸により生ずるのであるが、本発明では最終硝酸
濃度を20%(w/w)未満とするとかえって、ヨウ素
含有殺菌洗浄組成物を貯蔵するタンク内での腐食が発生
するのである。硝酸濃度を上記範囲に高く維持すること
で腐食の発生を抑制できるとは従来全く予期されぬこと
であったが、これにより本発明のヨウ素含有殺菌洗浄組
成物を酸洗浄剤として極めて有用に使用できることが見
いだされた。
【0028】(2)用途 本発明におけるヨウ素含有殺菌洗浄剤組成物は、後記す
る実施例に示すように、ヨウ素濃度1.6ppmで殺菌
効果を奏するが、殺菌洗浄において好ましくはヨウ素濃
度20ppm以上で使用し、特に好ましくは30ppm
以上で使用する。一方、本発明のヨウ素含有殺菌洗浄剤
組成物は、高濃度の硝酸を含有するために酸洗浄剤とし
ても使用することができる。酸洗浄においては、好まし
くは硝酸濃度0.1〜6w/w%で使用し、特に好まし
くは0.3〜2w/w%で使用する。このためには、本
発明のヨウ素含有殺菌洗浄剤組成物を10〜200倍に
水で希釈し、好ましくは30〜100倍に水で希釈して
使用する。すなわち、本発明のヨウ素含有殺菌洗浄剤組
成物は、ヨウ素含有量を0.1〜0.3w/w%とし硝
酸濃度を20〜60w/w%とする点に特徴があり、こ
れにより単剤で酸洗浄と殺菌とを極めて効率的に実施す
ることができる。具体的には以下のように使用できる。
【0029】まず、食品産業において生産ラインの配管
およびタンク等は、アルカリ洗浄後にスケールを除去す
べく酸洗浄を行うのであるが、洗浄時間を短縮すべく酸
洗浄が省略される場合が多い。しかしながら、本発明の
ヨウ素含有殺菌洗浄剤組成物を使用すれば、酸洗浄と殺
菌洗浄とを同時に行うことが可能となり極めて有効に使
用できる。この様な食品産業等の生産ラインにおいて、
ライン中に本発明のヨウ素含有殺菌洗浄剤組成物の貯蔵
タンクを設けて殺菌洗浄剤組成物を貯蔵する。
【0030】貯蔵タンクは、従来から使用されているス
テンレス鋼材であれば、オーステナイト系、オーステナ
イト・フェライト系、フェライト系、マルテンサイト
系、析出硬化系などに使用することができる。オーステ
ナイト系であれば、SUS201、SUS202、SU
S301、SUS316、SUS316N、SUS31
6L、SUS321、SUS304、SUSXM7等に
好ましく使用することができる。また、オーステナイト
・フェライト系としては、SUS329JlやSUS3
29J3Lが好ましく使用できる。フェライト系であれ
ばSUS405、SUS430等に好ましく使用するこ
とができる。また、マルテンサイト系では、SUS40
3、SUS410等に使用することができる。本発明で
は、特にSUS316、SUS304に好ましく使用で
きる。
【0031】殺菌洗浄の対象となる食品工業としては、
タンパク質や油脂、糖質等が付着する生産ラインを広く
対象とすることができる。例えば、酪農乳業工場、清涼
飲料工業、醸造工場、食肉加工工場、製パン菓子工場、
その他の各種食品工場に使用できる。
【0032】また、これらの製造ラインとしては、原乳
タンク、そのパイプライン、ビール、酒、醤油の醸造所
のタンクおよびパイプライン、更に、炭酸飲料、コーヒ
ー飲料、豆乳、果汁、乳酸飲料等のソフトドリンクの貯
蔵タンクやそのパイプライン、これらの冷却装置等に使
用することができる。なお、食品製造ライン以外でも、
酸洗浄や殺菌が必要な上記設備に付属する瀘過装置、フ
ィラー、パッキン等に適用することができる。
【0033】製造ラインに使用する場合は、一般にタン
パク質や油脂、糖質等を分解すべくアルカリ洗浄を行い
その後に水洗する。本発明では、食品の製造ラインのア
ルカリ洗浄後または水洗後に、本発明のヨウ素含有殺菌
洗浄剤組成物を上記のごとく10〜200倍に希釈して
通過させることで、酸洗浄と殺菌洗浄とを同時に行うこ
とができる。従来は、酸洗浄剤と殺菌洗浄剤とは、異な
る商品を使用することが多かったが、本発明では一つの
貯蔵タンクに治めた製剤について、水で希釈するだけで
極めて効果的に酸洗浄と殺菌洗浄とを同時に行うことが
できる。このためライン中に酸洗浄剤の貯蔵タンクを設
ける必要がない。また、一剤で酸洗浄と殺菌とが可能で
あるため洗浄時間を短縮することができる。
【0034】ここに、酸洗浄ではスケールを除去するの
であるが、タンパク質、油脂などの有機物とカルシウム
イオン、マグネシウムイオンとが結びついた乳石やビア
ストーン、アルカリ洗浄で生成するマグネシウムの膜状
スケール等を有効に除去できる。上記のごとく、本発明
のヨウ素含有殺菌洗浄剤組成物は、貯蔵タンクの腐食を
極めて有効に抑制し、しかも殺菌効果を低減させずかつ
酸洗浄にも使用できる特徴がある。
【0035】
【実施例】次に、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳しく説明する。
【0036】(実施例1〜) ヨウ素含有殺菌洗浄剤組成物を以下の方法で調製した。
【0037】まず、水酸化ナトリウム1gを水53.9
6gに溶解したアルカリ水溶液にヨウ素分子(I2
1.3gを加え、ヨウ素が完全に溶解した後、ヨウ素酸
カリウム0.57gを添加し溶解させた。38w/w%
の塩酸3.17gを加え反応させ、生じたヨウ化物に更
に60w/w%の硝酸40gを加え、ヨウ化物を完全に
溶解させた。これを基準溶液(含有ヨウ素(I)量1.
64w/w%、硝酸濃度24w/w%、比重1.18)
として、表1に示す割合でヨウ素含有殺菌洗浄剤組成物
を調製し、以下に示す腐食試験を行った。結果を表3に
示す。
【0038】(腐食試験)ステンレス鋼は、SUS30
4(80×15×厚さ5mm)、SUS316(80×
15×厚さ5mm)のテストピースを使用し、内径20
mm、高さ120mmの試験管に各テストピースを入
れ、各被検液を10ml入れ(テストピースが被検液に
半分量浸漬する状態)、シリコン栓で密封したのち、室
温で4日間放置後、重量変化を測定し重量損失(g/m
2)により評価した。
【0039】
【表1】
【0040】(比較例1〜14)実施例の基準溶液を用
いて水または硝酸を使用して表2に示すヨウ素化合物溶
液を調製し、ステンレス鋼に対する腐食性試験を行っ
た。その結果を表3に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】表3で示されるように、実施例1および2
においてステンレス鋼SUS304,SUS316のい
ずれにおいても腐食を示さず、実施例は、僅かに腐食
性を示す程度であった。一方、比較例1〜14では、ス
テンレスに対して顕著な腐食性を示した。これらの腐食
は溶液中では起こらないが、気相中にてステンレス鋼に
茶黒色結晶ないし液状物が析出し、その析出部分で腐食
が発生した。
【0044】(実施例6) 実施例において調製した各組成物の大腸菌に対する抗
菌力試験を以下のように行った結果を表4に示した。
【0045】まず、大腸菌(Escherichia coli)IFM
3039をトリプトソイ・ブイヨン(BBL社製)で3
7℃、24時間培養したものを接種菌液とした。このと
きの大腸菌の生菌数は、9.0×108 /mlであっ
た。
【0046】実施例(表4中でB液で示す)で使用し
た溶液を表4に示すように希釈した液10mlに接種菌
液0.1mlを加え、1分間作用させた。その後、各
0.1mlを新たなトリプトソイ・ブイヨン10mlに
加え、37℃、72時間培養した。培養終了後、肉眼的
に培地の混濁を観察し増殖の有無により殺菌性を判定し
た。
【0047】
【表4】
【0048】表4から示されるように、B液(実施例
の溶液)は、1000倍希釈まで大腸菌に対して殺菌力
を示した。B液は含有ヨウ素量1.6ppmで大腸菌に
対する殺菌力を示しており、本発明の組成物が1.6p
pmで十分の殺菌力を保持していることがわかる。
【0049】
【発明の効果】(1)本発明のヨウ素含有殺菌洗浄剤組
成物は、当該溶液貯蔵タンク内に発生する腐食を防止す
ることができる。
【0050】(2)本発明のヨウ素含有殺菌洗浄剤組成
物は、これを希釈して酸洗浄にも有効に使用することが
できる。このため、一剤で酸洗浄および殺菌洗浄を行う
ことができ、配管設備などを簡略化することができると
共に、洗浄時間を短縮することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 逸樹 千葉県夷隅郡夷隅町松丸1240番地 日宝 化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−245311(JP,A) 特開 平9−157175(JP,A) 欧州特許184904(EP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C11D 7/08 A01N 59/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ICl含有水溶液に塩酸および硝酸を添
    加してなる、ヨウ素含有量が0.1〜0.3w/w%で
    あり硝酸濃度が20〜60w/w%であるヨウ素含有殺
    菌洗浄剤組成物。
  2. 【請求項2】 ヨウ素分子(I2)をアルカリ水溶液に
    溶解し、ヨウ素イオン(I-)およびヨウ素酸イオン
    (IO3 -)を発生させ、更にヨウ素酸イオン(IO3 -
    を加え、次いで塩酸を反応させ生じたヨウ化物を硝酸水
    溶液に可溶化してなるヨウ素含有量が0.1〜0.3
    /w%、硝酸濃度が20〜60w/w%のヨウ素含有殺
    菌洗浄剤組成物。
  3. 【請求項3】 ヨウ素酸イオンの供給源がヨウ素酸ナト
    リウムまたはヨウ素酸カリウムであることを特徴とする
    請求項記載のヨウ素含有殺菌洗浄剤組成物。
  4. 【請求項4】 有効成分としてICl2 -を含有すること
    を特徴とする請求項1〜の何れかに記載のヨウ素含有
    殺菌洗浄剤組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜記載の何れかに記載のヨウ
    素含有殺菌洗浄剤組成物を10〜200倍希釈液を使用
    することにより、殺菌および酸洗浄を同時に行うことを
    特徴とする洗浄方法。
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