JPH08164189A - 殺菌方法 - Google Patents

殺菌方法

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JPH08164189A
JPH08164189A JP6333291A JP33329194A JPH08164189A JP H08164189 A JPH08164189 A JP H08164189A JP 6333291 A JP6333291 A JP 6333291A JP 33329194 A JP33329194 A JP 33329194A JP H08164189 A JPH08164189 A JP H08164189A
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JP
Japan
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acid
aqueous solution
bactericide
concentration
sterilization
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JP6333291A
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English (en)
Inventor
Kiyoshi Suzuki
潔 鈴木
Teruhiko Mizota
輝彦 溝田
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
Original Assignee
Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低濃度の殺菌剤を、中性付近のpH域で使用
し、殺菌を効率よく実施する方法を提供する。 【構成】 次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム
及び次亜塩素酸カルシウムからなる群より選択される次
亜塩素酸化合物又はそれらの2以上の混合物を水に溶解
し、塩酸、リン酸、硫酸及び硝酸からなる群より選択さ
れる無機酸又はそれらの2以上の混合物を添加し、pH
を6±0.5に調整し、得られた殺菌剤水溶液を少なく
とも30℃の温度に調整し、被殺菌物品を処理すること
を特徴とする殺菌方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、殺菌処理方法に関す
る。詳しくは、本発明は、次亜塩素酸化合物及び無機酸
からなり、pH6±0.5の殺菌剤水溶液を、少なくと
も30℃の温度に調整し、被殺菌物品を処理することを
特徴とする物品の殺菌方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】次亜塩素酸ナトリウムは、食品工場にお
いて加工設備を殺菌するための殺菌剤として広範に使用
されており、通常、耐腐食性ポンプにより加工設備に供
給される[アドバンシス・イン・フード・リサーチ(Adv
ances in food Research) 、第7巻、第129〜169
ページ、アカデミック・プレス(Academic Press)、19
56年。この従来技術が多数引用されるので、以下従来
技術1と記載する]。
【0003】従来、次亜塩素酸ナトリウムの殺菌効果に
ついて、有効塩素濃度と処理時間との関係、pH及び温
度と処理時間との関係について次の事項が知られてい
る。
【0004】1)有効塩素濃度と処理時間との関係につ
いて。 a.pH、温度及び次亜塩素酸ナトリウム液の濃度を一
定に調整し、細菌の胞子溶液を次亜塩素酸ナトリウム液
で処理した結果を、縦軸及び横軸にそれぞれ胞子の生残
数の対数及び処理時間をとって図示すれば、加熱殺菌の
場合とは異なり、直線とはならず、生残数の減少は初め
緩慢であり、のち生残数が急速に減少し、ある程度の処
理時間の経過後生残数の減少が再び緩慢となり、いわゆ
る逆S字曲線を描くことが知られている(従来技術
1)。
【0005】b.温度20℃でpH5及びpH7におい
て、細菌を99%減少させる処理条件下では、有効塩素
濃度を2倍にした場合、処理時間を45〜50%短縮で
きる[アメリカン・ジャーナル・オブ・パブリック・ヘ
ルス(American Journal of Public Health) 、第34
巻、第719〜728ページ、1944年]。
【0006】c.他の条件を一定に保持し、塩素濃度の
みを変更した場合、縦軸及び横軸にそれぞれ一定割合の
細菌を死滅させる時間の対数及び濃度の対数をとって図
示すれば、ほぼ直線関係にあることが知られている(従
来技術1)。
【0007】d.pH9の低濃度有効塩素水において
は、有効塩素濃度を2倍にした場合、同程度の細菌死滅
率を示す時間が約1/3に減少し、より高い有効塩素濃
度においては濃度を2倍にした場合、その時間が半減す
ることも公知である。
【0008】e.クロラミンTを殺菌剤として使用し、
pH6、温度55℃において殺菌効果に及ぼす温度の影
響を試験した結果、同程度の殺菌効率を得るのに10℃
温度を上昇させる毎に処理時間が82%に短縮し、pH
8.7においては同様に71%であることが公知であ
る。また、pH10において次亜塩素酸カルシウムを用
いた試験では、20〜50℃の温度範囲において10℃
温度を上昇させる毎に処理時間が60〜65%短縮し、
次亜塩素酸では温度を10℃低下させることにより2倍
の処理時間を必要することが知られている(従来技術
1)。
【0009】f.次亜塩素酸ナトリウム液を使用し、2
0℃で5分間殺菌処理し、pHと有効塩素濃度を試験し
た結果、処理後の細菌数を最初の細菌数の1万分の1に
減少させるのにpH8ではpH4及びpH6場合の2倍
の有効塩素濃度が必要であることも知られている(防菌
防黴、第6巻、第305〜311ページ、1978
年)。
【0010】2)pHについて OCl- の殺菌力はHOClの殺菌力の約1/80であ
り[インターナショナル・ジャーナル・オブ・フード・
マイクロバイオロジー(International Journalof Food
Microbiology) 、第4巻、第183〜186ページ、1
987年]、pH8の次亜塩素酸ナトリウム液を使用
し、30℃で5分間の処理により大腸菌数を最初の菌数
の1万分の1に減少させるのに、pH6及びpH7にお
ける濃度の4倍の濃度が必要であり、同様に枯草菌胞子
数について約1000分の1に減少させるためには、
1.7倍の濃度が必要であることも公知である[インタ
ーナショナル・ジャーナル・オブ・フード・マイクロバ
イオロジー(International Journal of Food Microbiol
ogy)、第4巻、第183〜186ページ、1987
年]。また、pHと遊離していないHOClの関係につ
いては、pH4で100%、pH6で約96%、pH7
で約70%、pH8で約20%、pH9で約2%、pH
10で0.2%であることも知られている(従来技術
1)。
【0011】更に、15ppmの有効塩素濃度及びpH
6〜8の範囲において、バシラス・マセランス(Bacillu
s macerans) の胞子を99%死滅させる時間は、塩素ガ
スと次亜塩素酸ナトリウム液との間に有意の差はなく、
pH8における所要時間は、pH6のそれの約5倍であ
ることも知られている(従来技術1)。
【0012】3)温度と処理時間との関係について 食品工場設備の殺菌において殺菌力を増加させるため
に、塩素溶液の温度を上昇させ得る可能性は、塩素溶液
の調製方法及び使用目的に依存する塩素化合物の種類に
より決定され、塩素ガスを用いる方法では温度上昇によ
り塩素ガスの溶解度が減少するので、望ましくないとさ
れている。
【0013】一方、次亜塩素酸溶液では温度上昇による
有効塩素の減少はほとんど認められず、55℃で180
分間保持した場合(pH不明)の有効塩素の損失はほと
んど無く、食品及び食品製造設備の殺菌剤として次亜塩
素酸溶液を使用する場合においては、水道水の温度を制
御する必要はないが、より高い温度で有利であることが
知られている(従来技術1)。
【0014】また、pH5及びpH7、温度0〜30℃
並びに有効塩素濃度25ppmの条件で試験した場合、
同一の殺菌効果を得るためには、温度を10℃上昇させ
る毎に処理時間が50〜60%減少することも知られて
いる[アメリカン・ジャーナル・オブ・パブリック・ヘ
ルス(American Journal of Public Health) 、第34
巻、第719〜728ページ、1944年]。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】低濃度の殺菌剤を、中
性付近のpH域で使用し、殺菌を効率よく実施すること
は、食品(例えば、野菜等)及び食品製造設備の殺菌後
の食品及び食品製造設備の洗浄に要する水量、時間、人
件費等を節減し、食品の製造費を低減できるばかりでは
なく、手の皮膚に対する刺激が少ないことから、食品の
製造、医療等に携わる人々の手の殺菌にも極めて有効で
あり、このような殺菌方法が待望されていた。
【0016】本発明者らは、前記従来技術に鑑みて、低
濃度の殺菌剤を、中性付近のpH域で使用し、殺菌を効
率よく実施する方法について鋭意研究を行った結果、次
亜塩素酸塩及び酸からなる水溶液を、少なくとも30℃
の温度に調整し、被殺菌物品を処理することにより、極
めて効果的に殺菌し得る方法を見い出し、本発明を完成
した。
【0017】本発明の目的は、低濃度の殺菌剤を、中性
付近のpH域で使用し、殺菌を効率よく実施する方法を
提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明の第1の発明は、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸
カリウム及び次亜塩素酸カルシウムからなる群より選択
される次亜塩素酸化合物又はそれらの2以上の混合物を
水に溶解し、塩酸、リン酸、硫酸及び硝酸からなる群よ
り選択される無機酸又はそれらの2以上の混合物を添加
し、pHを6±0.5に調整し、得られた殺菌剤水溶液
を少なくとも30℃の温度に調整し、被殺菌物品を処理
することを特徴とする殺菌方法である。
【0019】前記課題を解決する本発明の第2の発明
は、少なくとも30℃の温度に調整した水に、次亜塩素
酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム及び次亜塩素酸カル
シウムからなる群より選択される次亜塩素酸化合物又は
それらの2以上の混合物を水に溶解し、塩酸、リン酸、
硫酸及び硝酸からなる群より選択される無機酸又はそれ
らの2以上の混合物を添加し、pHを6±0.5に調整
し、被殺菌物品を処理することを特徴とする殺菌方法。
【0020】また、本発明は、温度が、30〜50℃で
あること及び殺菌剤水溶液が、次亜塩素酸化合物又はそ
れらの2以上の混合物を少なくとも15ppm含有して
いることを望ましい態様としてもいる。
【0021】次に本発明について詳述する。
【0022】本発明の方法に使用する殺菌剤は、市販の
次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム及び次亜塩
素酸カルシウムからなる群より選択される次亜塩素酸化
合物又はそれらの2以上の混合物であり、次亜塩素酸ナ
トリウムが特に好適である。また、殺菌剤は、通常少な
くとも15ppm、望ましくは20〜50ppm、の濃
度で水に溶解して調製される。殺菌剤の濃度が50pp
mを超える場合、濃度の増加による殺菌効果の増加がほ
とんどなく、殺菌処理費用が増加するので、望ましくな
い。
【0023】本発明の方法に使用する酸は、市販の塩
酸、リン酸、硫酸及び硝酸からなる群より選択される無
機酸又はそれらの2以上の混合物であり(リン酸が特に
好適である)、前記殺菌剤の水溶液に添加され、殺菌剤
水溶液のpHを6±0.5、望ましくは6.0、に調整
される。
【0024】本発明の第1の発明においては、前記のと
おり調製された殺菌剤水溶液を、少なくとも30℃、望
ましくは30〜40℃に調整し、殺菌処理に使用する。
殺菌剤水溶液の温度は、食品加工設備等を殺菌する場合
は、例えば50℃の高い温度でも実施できるが、例え
ば、野菜等鮮度を必要とする場合には、室温に近い低い
温度を採用するのが望ましい。
【0025】本発明の第2の発明においては、予め少な
くとも30℃に加温した温水を使用して殺菌剤水溶液を
調製し、以下前記第1の発明と同様に殺菌処理を実施す
る。この第2発明は、比較的小規模の殺菌処理を実施す
る場合に好適である。
【0026】本発明の方法は、例えば、野菜等食品を殺
菌する場合においては、前記のとおり調製した殺菌剤水
溶液に野菜等を浸漬し、殺菌し、のち水洗することによ
り実施され、食品加工設備においては、常法により耐腐
食性ポンプにより加工設備に供給して食品加工設備を殺
菌し、のち水洗することにより実施される。殺菌処理に
要する時間は、食品加工設備、野菜等食品においては少
なくとも10分間、望ましくは10〜20分間、であ
る。
【0027】前記のとおり調製された殺菌剤水溶液は、
食品の製造、医療等に携わる人々の手の殺菌にも使用す
ることができる。この場合は、予め石鹸等で手を洗浄
し、その後、殺菌剤水溶液により殺菌するので、食品加
工設備、野菜等食品の場合とは異なり、殺菌剤水溶液に
手を短時間浸漬するのみでよい。
【0028】また、一定量(例えば、1リットル、10
リットル等)の殺菌剤水溶液を調製するため、次亜塩素
酸化合物の所定量及びpHを所定の値に調整するための
無機酸の所定量を、予めそれぞれ別個の容器に収納して
密封し、使用時にこれらの容器から次亜塩素酸化合物及
び無機酸を一定量の水に添加して溶解し、殺菌剤水溶液
を直ちに調製することもできる。従って、簡便に殺菌剤
水溶液を調製することも可能である。
【0029】次に試験例を示して本発明を詳述する。 試験例1 この試験は、殺菌剤の濃度と生残菌数との関係を調べる
ために行った。 1)試料の調製 試料殺菌剤水溶液 市販の次亜塩素酸ナトリウム[理工協産社製。10%
(重量)濃度。以下濃度の百分率の表示は、特に断りの
ない限り重量による値である]を使用し、5ppmから
30ppmまで5ppm毎に濃度を調整した。各濃度の
試料殺菌剤水溶液にリン酸(関東化学社製。試薬特級)
を添加してpHを6に調整した。
【0030】対照殺菌剤水溶液 対照殺菌剤水溶液として市販の酸性水(エアクラフト社
製。強酸性イオン水、有効塩素濃度50ppm、pH
2.68)を使用し、5ppmから30ppmまで5p
pm毎に濃度を調整した。
【0031】尚、試料殺菌剤水溶液及び対照殺菌剤水溶
液の濃度の調整にはミリQ装置(日本ミリポア社製)に
より処理した水を使用した。
【0032】試験菌液 普通寒天培地(栄研化学社製)に10ppmの硫酸マン
ガン(関東化学社製。試薬特級)を添加し、高圧滅菌
し、55℃に冷却後シャーレに分注し、平板培地を調製
し、培地表面に普通ブイヨン(栄研化学社製)で培養し
たバシラス・サチリス(Bacillus subtilis) ATCC6
633を接種し、35℃の温度で7日間培養し、培地表
面の細菌及び胞子の混合物を生理食塩水で洗浄して集菌
し、更に10,000rpmで15分間遠沈して菌体及
び胞子を分離した。この菌体及び胞子を生理食塩水に懸
濁させ十分振とうし、前記と同一の条件で遠沈した。こ
の操作を3回反復して菌体及び胞子を洗浄し、少量の生
理食塩水に懸濁させ、2〜5℃の冷蔵庫に2か月間保存
し、菌液を安定化した。この菌液0.2mlを採取し、
生理食塩水で100mlに希釈して試験に供した(菌液
1ml当たり6×106 の菌体及び胞子を含む)。
【0033】中和緩衝液 0.1MNa2 HPO4 −KH2 PO4 緩衝液(pH
7.5)に、チオ硫酸ナトリウムを溶解して濃度を50
mMに調整し、高圧滅菌した。
【0034】2)試験方法 各濃度の試料殺菌剤水溶液及び対照殺菌剤水溶液9ml
に菌液1mlを添加し、十分撹拌し、30℃に5分間保
持し、のち中和緩衝液1mlを添加して反応を停止さ
せ、各検体の菌数を常法[標準寒天培地(栄研化学社
製)で35℃、24時間培養]により測定した。尚、各
検体とも5回の試験を実施し、その平均値を算出した。
【0035】3)試験結果 この試験の結果は、図1に示すとおりである。図1は、
生残菌数と殺菌剤濃度との関係を示し、縦軸及び横軸は
それぞれ1ml当たりの生残菌数(対数)及び殺菌剤濃
度(ppm)を示し、図中●は試料殺菌剤及び○は対照
殺菌剤を示す。尚、生残菌数が0の場合は、生残菌数の
対数表示を便宜上0として表示した。
【0036】図1から明らかなように、試料殺菌剤水溶
液は、対照殺菌剤水溶液と比較して濃度15ppm以上
において顕著に生残菌数が減少することが判明した。こ
の結果から本発明の方法の実施における殺菌剤の濃度
は、少なくとも15ppm、望ましくは20〜50pp
m、であることが判明した。尚、殺菌剤の種類を変更し
て試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0037】試験例2 この試験は、殺菌処理温度と生残菌数との関係を調べる
ために行った。 1)試料の調製 試料殺菌剤水溶液及び対照殺菌剤水溶液中の殺菌剤の濃
度を22ppmとしたことを除き、試験例1と同一の方
法により試料を調製した。
【0038】2)試験方法 各検体を10、20、30、40及び50℃に調整した
ことを除き、試験例1と同一の方法により試験を実施し
た。
【0039】3)試験結果 この試験の結果は、図2に示すとおりである。図2は、
生残菌数と殺菌処理温度との関係を示し、縦軸及び横軸
はそれぞれ1ml当たりの生残菌数(対数)及び殺菌処
理温度(℃)を示し、図中●は試料殺菌剤及び○は対照
殺菌剤を示す。尚、生残菌数が0の場合は、生残菌数の
対数表示を便宜上0として表示した。
【0040】従来、温度の上昇とともに一定の割合で殺
菌効果が増加するものと考えられていたが、図2から明
らかなように、20℃付近に殺菌効果の変極点があり、
20℃以上の温度における殺菌効果は、それ未満の温度
におけるそれよりも格段に高いことが認められた。特
に、30℃から50℃の温度において試料殺菌剤水溶液
は、対照殺菌剤水溶液と比較して生残菌数が減少するこ
とが認められ、30℃においては、極めて顕著な生残菌
数の減少が確認された。この結果から本発明の方法の実
施における殺菌処理温度は、少なくとも30℃、望まし
くは30〜40℃、であることが判明した。尚、殺菌剤
の種類を変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られ
た。
【0041】試験例3 この試験は、殺菌処理時間及び殺菌剤濃度と生残菌数と
の関係を調べるために行った。 1)試料の調製 試料殺菌剤水溶液及び対照殺菌剤水溶液中の殺菌剤の濃
度及び殺菌処理時間を表1に示すとおりに変更したこと
を除き、試験例1と同一の方法により試料を調製した。
【0042】2)試験方法 各検体を表1に示す時間及び殺菌剤濃度で殺菌処理した
ことを除き、試験例1と同一の方法により試験を実施し
た。
【0043】3)試験結果 この試験の結果は、表1に示すとおりである。表1から
明らかなように、試料殺菌剤水溶液は、対照殺菌剤水溶
液と比較して10分間以上の殺菌処理時間において生残
菌数が顕著に減少することが認められた。この結果か
ら、本発明の方法の実施における殺菌処理時間は、少な
くとも10分間、望ましくは10〜20分間、であるこ
とが判明した。尚、生残菌数が0の場合は、生残菌数の
対数表示を便宜上0として表示した。また、殺菌剤の種
類を変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0044】
【表1】 試験例4 この試験は、殺菌処理pHと生残菌数との関係を調べる
ために行った。 1)試料の調製 試料殺菌剤水溶液のpHを表2に示すとおりに変更した
こと及び殺菌剤濃度を22ppmとしたことを除き、試
験例1と同一の方法により試料を調製した。
【0045】2)試験方法 各検体を表2に示す殺菌剤水溶液のpHにより、20分
間殺菌処理したこと及び対照殺菌剤水溶液の試験を実施
しなかったことを除き、試験例1と同一の方法により試
験を実施した。
【0046】3)試験結果 この試験の結果は、表2に示すとおりである。表2から
明らかなように、試料殺菌剤水溶液は、pH5.5〜
6.5の範囲で生残菌数が顕著に減少することが認めら
れた。この結果から、本発明の方法では、pH6±0.
5、望ましくは6.0、で実施するのが有効であること
が判明した。
【0047】尚、生残菌数が0の場合は、生残菌数の対
数表示を便宜上0として表示した。また、殺菌剤及び酸
の種類を変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られ
た。
【0048】
【表2】 試験例5 この試験は、本発明の殺菌方法と従来の殺菌方法との効
果を調べるために行った。 1)試料の調製 本発明の方法に使用する試料殺菌剤水溶液の殺菌剤濃度
を20ppm、pHを6.1に調整したこと及び従来の
殺菌方法に使用する試料殺菌剤水溶液の殺菌剤濃度を1
00ppm(pHは調整せず9.3のまま)に調整した
ことを除き、試験例3と同一の方法により試料を調製し
た。
【0049】2)試験方法 試験例3と同一の方法により試験を実施した。
【0050】3)試験結果 この試験の結果は、表3に示すとおりである。表3から
明らかなように、本発明の方法では、5分間処理した時
点において、従来の方法により30分間処理した場合よ
りも生残菌数が顕著に減少していることが認められた。
この結果から、本発明の方法は、従来の方法に比して殺
菌処理時間を少なくとも1/6に短縮できることが判明
した。
【0051】尚、生残菌数が0の場合は、生残菌数の対
数表示を便宜上0として表示した。また、殺菌剤及び酸
の種類を変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られ
た。
【0052】
【表3】 次に実施例を示して本発明を更に詳述するが、本発明は
以下の実施例に限定されるものではない。
【0053】
【実施例】
実施例1 市乳工場の殺菌装置(森永エンジニアリング社製。60
00リットル/時の処理能力を有する)に付設されてい
る1.2トンのステンレス製タンクに、水道水1トンを
給水し、次亜塩素酸ナトリウム(理工協産社製)202
gを添加して溶解し、のちリン酸(関東化学社製。試薬
特級)2倍希釈駅(W/W) 61.4mlを添加して均一に
攪拌し、次亜塩素酸ナトリウム濃度20ppm、pH
6.0の殺菌剤水溶液を調製し、加温して液温を30℃
に調整し、この殺菌剤水溶液を常法により殺菌装置のパ
イプラインを15分間循環させ、装置の殺菌処理を行っ
た。
【0054】装置の殺菌処理終了後、装置を滅菌水で水
洗し、水洗に使用した水1lを無菌的に採取し、1ml
の滅菌中和緩衝液(試験例1と同じ)を添加し、のち試
験例1と同一の方法により細菌の生残菌数を測定した結
果、洗浄水1ml当たりの生残菌数は0であり、極めて
効果的に装置が殺菌されていた。
【0055】実施例2 アイスクリーム製造工場で使用するバー物充填機ホッパ
ー殺菌槽(森永乳業社製。長さ130×幅70×高さ5
0cmのステンレス製)に、蒸気で35℃に加温した水
道水364リットルを給水し、次亜塩素酸カリウム(関
東化学社製。試薬1級)116gを添加して溶解し、の
ち硫酸(関東化学社製。試薬特級)10倍希釈液(v/v)
67.8ml添加して均一に攪拌し、有効塩素濃度20
ppm、pH6.0の殺菌剤水溶液を調製し、常法によ
り予洗したバー物充填機ホッパー、パイプ継ぎ手、充填
シリンダー及び充填機ノズルをこの殺菌剤水溶液に1時
間浸漬し、殺菌処理を行った。
【0056】装置の殺菌処理終了後、装置を滅菌水で洗
浄し、水洗に使用した水1lを無菌的に採取し1mlの
滅菌中和緩衝液(試験例1と同じ)を加えた後、試験例
1と同一の方法により細菌の生残菌数を測定した結果、
殺菌剤水溶液1ml当たりの生残菌数は0であり、極め
て効果的に装置が殺菌されていた。
【0057】実施例3 次亜塩素酸ナトリウム液(同)を水道水で30ppmに
希釈した溶液にリン酸(関東化学社製。試薬特級)を添
加し、pHを6に調整した殺菌剤水溶液1lを、30℃
に調整し、予め市販の家庭用洗剤(花王社製。ファミリ
ーフレッシュ)0.15%(V/V) 含有水道水5l中でピ
ーマンを洗浄し、流水中で洗浄したピーマン(1個当た
り20〜25g)を10分間浸漬して殺菌処理を行っ
た。
【0058】殺菌処理終了後直ちにピーマンを、試験例
1と同一の中和緩衝液1mlと滅菌生理食塩水90ml
の入ったストマフィルター(グンゼ産業社製)に移し,
1分間ストマッカー(オルガノ社製)でホモゲナイズ
し、ホモゲナイズしたピーマンの濾液について、試験例
1と同一の方法により細菌の生残菌数を測定した結果、
ピーマン1g当たりの生残菌数は260であり、従来の
方法とほぼ同等の殺菌効果が得られた。
【0059】実施例4 市販の弁当用調味料入れとして使用されているねじ蓋付
きのプラスチック製小型容器を十分洗浄し、乾燥し、1
0%次亜塩素酸ナトリウム液(理工協産社製)2.2m
lを充填し、密封した。これとは別に水で20倍(v/v)
に希釈した硫酸(関東化学社製。試薬特級)を前記と同
一の別の容器に1.7ml充填し、密封した。
【0060】20l容のプラスチック製バケツに、30
℃の温湯を10l入れ、この温湯に前記プラスチック製
容器入り10%次亜塩素酸ナトリウム液及び稀硫酸液の
全量を添加し、十分攪拌し、殺菌剤水溶液を調製した。
この殺菌剤水溶液の次亜塩素酸ナトリウムの濃度は21
ppm、pHは6.1であった。
【0061】この殺菌剤水溶液に実施例3と同様にプチ
トマトを浸漬し、殺菌処理を行った。処理後のプチトマ
トについて、実施例3と同一に処理し、試験例1と同一
の方法により生残菌数を測定した結果、プチトマト1g
当たり0であった。
【0062】実施例5 市販のねじ蓋付きプラスチック製500ml容試薬瓶を
十分洗浄し、乾燥し、10%次亜塩素酸ナトリウム液
(理工協産社製)310mlを充填し、密封した。これ
とは別に水で2倍(W/W)に希釈したリン酸(関東化学社
製。試薬特級)を前記と同一の別の試薬瓶に92ml充
填し、密封した。
【0063】実施例1と同一の1.2トンの攪拌機付き
ステンレス製タンクに1トンの水道水を供給し、前記プ
ラスチック製容器入り10%次亜塩素酸ナトリウム液及
び希釈リン酸液の全量を添加し、十分攪拌し、殺菌剤水
溶液を調製し、のち加温して40℃に調整し、実施例1
と同一の殺菌装置の殺菌処理を実施した。この殺菌剤水
溶液の次亜塩素酸ナトリウムの濃度は30ppm、pH
は6.0であった。
【0064】装置の殺菌処理終了後、装置を水洗し、水
洗に使用した水を採取し、実施例1と同一の方法により
細菌の生残菌数を測定した結果、洗浄水1ml当たりの
生残菌数は0であり、極めて効果的に装置が殺菌されて
いた。
【0065】
【発明の効果】以上詳述したとおり本発明は、次亜塩素
酸化合物又はそれらの2以上の混合物を水に溶解し、無
機酸又はそれらの2以上の混合物を添加し、pHを6±
0.5に調整した殺菌剤水溶液を少なくとも30℃の温
度に調整し、被殺菌物品を処理することを特徴とする殺
菌方法に関するものであり、本発明によって奏せられる
効果は次のとおりである。
【0066】1)従来の次亜塩素酸ナトリウム液(濃度
100ppm)及び酸性水で使用する殺菌方法に比し
て、殺菌に要する費用が前者で約1/3、後者で約1/
5に削減できる。
【0067】2)従来の殺菌方法に比して、殺菌に要す
る時間が少なくとも1/6に短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、生残菌数と殺菌剤濃度との関係を示
す。
【図2】図2は、生残菌数と殺菌処理温度との関係を示
す。
【手続補正書】
【提出日】平成7年1月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】d.pH9の低濃度有効塩素水において
は、有効塩素濃度を2倍にした場合、同程度の細菌死滅
率を示す時間が約1/3に減少し、より高い有効塩素濃
度においては濃度を2倍にした場合、その時間が半減す
ることも公知である(従来技術1)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】
【実施例】 実施例1 市乳工場の殺菌装置(森永エンジニアリング社製。60
00リットル/時の処理能力を有する)に付設されてい
る1.2トンのステンレス製タンクに、水道水1トンを
給水し、次亜塩素酸ナトリウム(理工協産社製)202
gを添加して溶解し、のちリン酸(関東化学社製。試薬
特級)2倍希釈(W/W)61.4mlを添加して均
一に撹拌し、次亜塩素酸ナトリウム濃度20ppm、p
H6.0の殺菌剤水溶液を調製し、加温して液温を30
℃に調整し、この殺菌剤水溶液を常法により殺菌装置の
パイプラインを15分間循環させ、装置の殺菌処理を行
った。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリ
    ウム及び次亜塩素酸カルシウムからなる群より選択され
    る次亜塩素酸化合物又はそれらの2以上の混合物を水に
    溶解し、塩酸、リン酸、硫酸及び硝酸からなる群より選
    択される無機酸又はそれらの2以上の混合物を添加し、
    pHを6±0.5に調整し、得られた殺菌剤水溶液を少
    なくとも30℃の温度に調整し、被殺菌物品を処理する
    ことを特徴とする殺菌方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも30℃の温度に調整した水
    に、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム及び次
    亜塩素酸カルシウムからなる群より選択される次亜塩素
    酸化合物又はそれらの2以上の混合物を水に溶解し、塩
    酸、リン酸、硫酸及び硝酸からなる群より選択される無
    機酸又はそれらの2以上の混合物を添加し、pHを6±
    0.5に調整し、被殺菌物品を処理することを特徴とす
    る殺菌方法。
  3. 【請求項3】 温度が、30〜50℃である請求項1又
    は請求項2に記載の殺菌方法。
  4. 【請求項4】 殺菌剤水溶液が、次亜塩素酸化合物又は
    それらの2以上の混合物を少なくとも15ppm含有し
    ている請求項1乃至請求項3に記載の殺菌方法。
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