JP3421786B2 - トンネルの構造及びトンネル構築方法 - Google Patents
トンネルの構造及びトンネル構築方法Info
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Description
びトンネル構築方法に関する。
所定の寸法に加工した岩石を積み上げることによりアー
チ状のトンネルを構成するものや、コンクリートブロッ
クを積み上げることによりアーチ状のトンネルを構成す
るものなどが広く知られている。これらのトンネルは、
構成部材をアーチ状に組み立てることにより得られる、
アーチ効果によりトンネル周辺地山より作用する背面土
圧に対抗する。
ルの構造には次のような問題点がある。 <イ> トンネルを構成する部材を剛性構造とすると、
周辺地山からの背面土圧による部材自体の変形による土
圧耐力が期待できず、結果としてトンネルに非常に大き
な応力が直接作用することとなる。 <ロ> トンネルを構成する部材を剛性構造とすると、
地震による揺れによる部材自体の変形が見込めず、周辺
地山からの背面土圧及び揺れにより発生する応力を剛性
のみで支持しなければならない。 <ハ> 前記応力に対抗するために剛性の高いアーチ効
果を得るためには、トンネルとなるアーチを構成するコ
ンクリートブロック或いは岩石の隣接面を密に構成する
必要があり、部材の加工或いは製作に高い精度が要求さ
れる。 <ニ> また、同様に大きな応力に耐えるアーチ効果を
得るために、トンネル構成部材を厚く加工或いは製作す
る必要がある。
もので、その目的とするところは、簡易な構成でもって
トンネル背面応力に対抗するためのアーチ効果を高く得
ることが可能な、トンネルの構造及びトンネル構築方法
を提供することにある。
の手段として本発明は、アーチ状のトンネル躯体の外周
に盛土したトンネルの構造において、袋体に粒状の中詰
材を充填した複数のブロックバッグを、支保部材の支保
面の外周に沿って積み上げて構築したアーチ構造体と、
前記アーチ構造体の外周を覆う盛土と、盛土した後に支
保部材を撤去して、前記アーチ構造体の変位に伴い前記
アーチ構造体の外周の盛土を変位させて形成したアーチ
状の土砂補強層とを有し、前記アーチ構造体と土砂補強
層とによりトンネル躯体となるアーチ補強帯を形成した
ことを特徴とする、トンネルの構造である。また本発明
は前述したトンネルの構造において、アーチ補強帯を多
重のアーチ構造体と土砂補強層とにより構成したことを
特徴とする、トンネルの構造である。
盛土してトンネルを構築する方法において、支保部材の
支保面の外周に沿って複数のブロックバッグを積み上げ
てアーチ構造体を形成し、前記アーチ構造体の外周に盛
土を施し、その後に前記支保部材を撤去して、前記アー
チ構造体の外周の盛土を変位させてアーチ状の土砂補強
層を形成し、前記アーチ構造体と土砂補強層とによりト
ンネル躯体となるアーチ補強帯を形成することを特徴と
する、トンネル構築方法である。また本発明は前述した
トンネル構築方法において、アーチ構造体の外周にアー
チ構造体を多重に形成したことを特徴とする、トンネル
構築方法である。
ルの構造の一例について説明する。
ンネル躯体をアーチ構造体2により構成する。前記アー
チ構造体2は複数のブロックバッグ21を積み上げて構
築する。本実施の形態におけるトンネルの構造1は、前
記したようにブロックバッグ21を積み上げてアーチ構
造体2を構築することを特徴とし、前記ブロックバッグ
21をアーチ状に積み上げてトンネルを構築した後に、
その外側に盛土3を施す等により構成する。
作製された袋体211或いは箱体と、砕石、土砂等の中
詰材212とにより構成する。
ば組み合わせ後の自立性を考慮し、トンネル正面方向か
ら見た形状が略台形或いは略扇形となるものを採用す
る。ブロックバッグ21の組み合わせ、寸法等を考慮し
て少なくとも一つのブロックバッグ21については平面
を略扇形(図示せず)とする。前記した平面が略扇形の
ブロックバッグ(図示せず)については、前記平面が略
台形のブロックバッグ21の組み合わせにより所定径の
アーチ構造体2を形成する際の形状及び寸法を決定する
ためのキーとなるブロックバッグである。略扇形のブロ
ックバッグ(図示せず)は、平面が略台形のブロックバ
ッグ21の組み合わせにより生じるブロックバッグ2
1,21の隙間部分に嵌合し、アーチ構造体2を完成さ
せるために用いる。なお、ブロックバッグ21の外形に
ついては、積み上げてアーチ構造体2を構築した際に、
ブロックバッグ21同士の一体性を高められる形状であ
れば、前記した略台形や略扇形以外にも任意の形状を自
由に採用できることは勿論である。
中詰材212とするブロックバッグ21は、圧縮力に対
して極めて強く、且つしなやかな構造物であるが、アー
チ状に積み上げて一体化させることによって、背面から
の応力を圧縮力で受け持つことが可能となり、応力に抵
抗し易い合理的な構造体となる。
中詰材212を充填可能な中空の袋体である。袋体21
1は、その一部に中詰材212を中詰可能となる開閉自
在の口を有する。袋体211は、トンネル正面方向から
見たときの形状が略台形或いは略扇形を呈した中空の袋
体である。図1に示すように、トンネル正面方向を略台
形とした袋体211の傾斜した周方向接合面211a同
士を組み合わせることにより、自立可能なアーチ構造体
2を形成することが可能である。また、各袋体211の
軸方向接合面211b同士を接面させることにより、前
記アーチ構造体2をトンネル方向に連続して配設するこ
とが可能である。
が加わった際にその体積を変化させることなく、隙間が
変化する粒状体群である。中詰材212としては、例え
ば砕石、土砂、各種骨材、粗骨材、コンクリートガラ、
固形化した産業廃棄物等を用いることが可能である。中
詰材212は袋体211内において移動自在であり、前
記したように必要な位置に移動して目詰まることにより
ブロックバッグ21に高い強度を付与する。
に盛土3を施した場合、盛土3によりトンネルに掛かる
背面応力は、2つのアーチ効果により支持されることと
なる。前記2つのアーチ効果とは、既に前記において説
明したブロックバッグ21を積み上げて構築したアーチ
構造体2より得られるアーチ効果と、前記ブロックバッ
グ21のアーチ構造体2に隣接する盛土3、即ち土砂補
強層31より得られるアーチ効果を指す。前記土砂補強
層31より得られるアーチ効果とは、しなやかな構造を
呈するブロックバッグ21のアーチ構造体2がトンネル
内方に僅かに変位し、この僅かな変位によって盛土3の
土砂が前記アーチ構造体2に沿って目詰まりし、盛土3
の土砂中の粒子間にアーチ状の粒子間力の伝達線が形成
されることにより、アーチ構造体2に作用する応力を低
減することを可能とするものである。以上説明した、2
つのアーチ効果を併せたアーチ補強帯によりトンネルに
掛かる背面応力を充分に支持することが可能である。な
お盛土3としては、現場発生土等の公知の土石や盛土用
の公知の軽量部材等を採用することが可能である。
明する。
形成する。この支保面は形枠の内側に支保工を組み立て
て支保する構造の他に拡縮径可能な公知のセントル等の
支保機を使用してもよい。この支保面の外周に沿って順
次ブロックバッグ21を積み上げていく。この際、各ブ
ロックバッグ21の周方向接合面を互いに接面させてア
ーチ状に組み上げてアーチ構造体2を構築する。ブロッ
クバッグ21同士は、接合面211aに多少の凹凸面が
あっても、互いに補完し合うように変形して密接に接面
できる。アーチ構造体2は、トンネル周方向へブロック
バッグ21の積み上げを完了したら、同様に構築予定ト
ンネルの構造1の長手方向に位置を変えて同様に組み立
てる。この際、トンネルの構築予定方向に構築する前後
の各ブロックバッグ21の継目位置が同一線に揃わない
よう、互いにずらして例えば千鳥状にすることが望まし
い。
体2として組み立てた後、アーチ構造体2の外周に盛土
4を施す。
2によりトンネルの構造1を構築した後に、支保部材で
あるセントルを縮径させ撤去する。支保部材の撤去によ
り、支持を失った各ブロックバッグ21には重力がかか
り、僅かに下方に変位すると共に、ブロックバッグ21
内の中詰材212が下方寄りに移動する。この際、ブロ
ックバッグ21同士は崩落することなくアーチ構造体2
を維持し、中詰材212は隣接するブロックバッグ21
間に亘って隙間を埋めるようにブロックバッグ21内の
下方に移動して粒子間の隙間がつまる。これにより、ブ
ロックバッグ21間の隣接する接合面211aは変形し
て互いに一体となり、全てのブロックバッグ21間に亘
って中詰材212がアーチ状に位置する、しなやかな一
体構造体となる。アーチ構造体2が僅かに下方に変位す
ることにより、アーチ構造体2の外周に位置する盛土4
の土砂中の粒子間にアーチ形状の粒子間力の伝達線が形
成されることで、アーチ状の土砂補強層31を形成し、
この土砂補強層31のアーチ効果により、アーチ構造体
に作用する応力を低減できる。以上より、トンネルの構
造1に掛かる背面応力は、アーチ構造体2及び土砂補強
層31により形成されるアーチ補強帯のアーチ効果によ
り充分に支持される。
ては、ブロックバッグにより一重のアーチ構造体を構築
し、これをトンネルの構築予定方向に連続して設けるこ
とにより構築するトンネルの構造について説明した。こ
れに対して本実施の形態においては、ブロックバッグよ
り形成する複数のアーチ構造体を多重層に構成すること
が可能である。図2にその一例を示すように、アーチ構
造体2の外側にさらに別のアーチ構造体4を形成する。
これにより、個々のアーチ構造体2,4よりアーチ効果
を夫々得ることができるため、トンネルが発揮するアー
チ効果の増強を図ることができ、より大きな背面応力に
対抗することが可能となる。また本発明の実施の形態に
よりトンネルを構築する際には、アーチ構造体2を構成
するブロックバッグ21同士の接合部分がアーチ構造体
4を構成するブロックバッグ41同士の接合部分に重な
らないように例えば、千鳥状に位置させてもよい。な
お、アーチ構造体4の外周に盛土3を施した際の作用・
効果等については、発明の実施の形態1において説明し
たのと同様であることは勿論である。
次のような効果を得ることができる。 <イ> トンネル躯体をブロックバッグから成るアーチ
構造体より構成しているため、周辺地山からの背面応力
をアーチ効果により充分に支持することが可能である。 <ロ> アーチ構造体を構成するブロックバッグは、そ
の外形が変形可能であるから、隣接するブロックバッグ
間の連結面を密に一体化させることができる。 <ハ> ブロックバッグは、生産性が非常に高い。 <ニ> ブロックバッグ間の連結を密に一体化できるか
ら、トンネル躯体を構成するアーチ構造体に高いアーチ
効果を付与することが可能となる。 <ホ> 地震等によりアーチ構造体の受ける応力は、ア
ーチ構造体内の中詰材が移動して効率良く逃がすことが
可能であり、剛性構造と異なりアーチ構造体に過大な応
力が作用することがない。 <ヘ> さらに、トンネルの構造の周囲盛土にもアーチ
効果を付与できるので、全体として大きなアーチ効果が
得られる。 そのため、トンネルを構成するアーチ構造体を厚く加工
或いは製作する必要がない。
の説明図。
説明図。
Claims (4)
- 【請求項1】 アーチ状のトンネル躯体の外周に盛土
したトンネルの構造において、袋体に粒状の中詰材を充填した 複数のブロックバッグ
を、支保部材の支保面の外周に沿って積み上げて構築し
たアーチ構造体と、 前記アーチ構造体の外周を覆う盛土と、 盛土した後に支保部材を撤去して、前記アーチ構造体の
変位に伴い前記アーチ構造体の外周の盛土を変位させて
形成したアーチ状の土砂補強層とを有し、 前記アーチ構造体と土砂補強層とによりトンネル躯体と
なるアーチ補強帯を形成した ことを特徴とする、 トンネルの構造。 - 【請求項2】 請求項1において、アーチ補強帯を多
重のアーチ構造体と土砂補強層とにより構成したことを
特徴とする、トンネルの構造。 - 【請求項3】 アーチ状のトンネル躯体の外周に盛土
してトンネルを構築する方法において、支保部材の支保面の外周に沿って 複数のブロックバッグ
を積み上げてアーチ構造体を形成し、 前記アーチ構造体の外周に盛土を施し、 その後に前記支保部材を撤去して、前記アーチ構造体の
外周の盛土を変位させてアーチ状の土砂補強層を形成
し、 前記アーチ構造体と土砂補強層とによりトンネル躯体と
なるアーチ補強帯を形成 することを特徴とする、 トンネル構築方法。 - 【請求項4】 請求項3において、アーチ構造体の外
周にアーチ構造体を多重に形成したことを特徴とする、
トンネル構築方法。
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JP2000130535A JP3421786B2 (ja) | 2000-04-28 | 2000-04-28 | トンネルの構造及びトンネル構築方法 |
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