JP3418692B2 - 超高分子量ポリオレフィンフィラメントの製法 - Google Patents
超高分子量ポリオレフィンフィラメントの製法Info
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Description
料とし、高強度フィラメントを製造する方法に関し、さ
らに詳しくは、特殊ダイスを使用してフィラメントを成
形して高強度フィラメントおよび不織布を製造する方法
に関する。
し、高強度フィラメントを製造する方法に関しては、溶
剤に溶解して糸に成形して超延伸する方式(溶剤法、特
公昭37−9765号公報)、また溶剤法の変形とし
て、ワックス等で混合押出する方法(特開昭62−18
2349号公報)等があった。溶剤法は、性能の良いヤ
ーンが得られる点では優れるが、溶解や脱溶剤および溶
剤回収にコストがかかり、産業資材としてコスト的に実
用的ではない。また、従来は超高分子量ポリオレフィン
の連続フィラメントの不織布は製造されていなかった。
フィンよりファインなフィラメントを製造するために
は、細いノズルを使用しなければならない。しかし、押
出量はノズル径の4乗に比例するので、ノズル径が小さ
くなると、生産性が極端に悪くなる。また、押出の剪断
速度もノズル径の3乗に逆比例するので、ノズル径が小
さくなると極端に剪断速度が大きくなり、メルトフラク
チャー等の押出異常を起こし、超高分子量ポリオレフィ
ンのように高粘度のポリマーでは、安定した操業はでき
ない。また、超高分子量ポリオレフィンの溶融紡糸でフ
ァインなフィラメントが製造困難なもう一つの理由は、
紡糸ノズルを出た後のフィラメントのメルトテンション
が大きいために、ドラフト倍率を大きくするとノズル切
れとなり、そのためドラフト倍率を大きくして、ファイ
ンなフィラメントを製造する手段がとれないことにあ
る。超高分子量ポリオレフィンフィラメントは、高強度
高弾性率繊維としての用途が最も大きいが、従来の溶融
紡糸のみでは延伸性が悪く、高強度になりにくい場合が
多かった。したがって、超高分子量ポリオレフィンで、
ファインで強度のあるフィラメントを生産性良く安価に
製造できる発明が望まれていた。また、従来安価にでき
る超高分子量ポリオレフィンのフィラメントよりなる不
織布も望まれていたにもかかわらず、製造できないでい
た。
意研究を続け、従来の超高分子量ポリオレフィンのフィ
ラメントで高強度のフィラメントが出来ない理由は、次
の3つのがあることが判明した。まず、紡糸ノズルにお
けるメルトフラクチャーまたはメルトフラクチャーに到
らなくともノズルでの高剪断力でフィラメントの表面が
内面よりも高度に分子配向し、フィラメントの表面と内
面で構造のイレグラーが生じていた。次に、超高分子量
ポリオレフィンの紡糸は高温で行い、紡糸ノズルを出た
フィラメントが急激に紡出フィラメントの温度より低い
大気に触れることにより、フィラメントの表面が結晶化
し、まだ溶融している内面との間で構造のイレグラーが
生じる。この場合、フィラメントがドラフトされると、
このイレグラーはさらに増大する。第3に、超高分子量
ポリオレフィンの溶融状態では分子が絡み合い、そのた
め延伸張力が大きくなり、延伸張力がその温度での破断
強度を越える。そこで、溶融状態でドラフト倍率を上げ
て、分子配向を良くしておけば、延伸での破断強度が上
がり、延伸切れがなくなり高倍率延伸へとつながる。し
かし前述のように、通常の状態でのドラフト倍率を上げ
ることは、構造のイレギュラーを増す問題点があるばか
りでなく、超高分子量ポリオレフィンのメルトテンショ
ンが大きく、ドラフト倍率を大きくするとノズル切れに
つながり、高ドラフト倍率が実現できなかった。
ポリオレフィンポリマーの延伸フィラメントの製法に関
し、大きく分けて4つの原理的発明で、上記課題を克服
したものである。その1(手段A)は、超高分子量ポリ
オレフィンの溶融紡糸に関し、特殊なメルトブローダイ
スを使用し、ノズル近傍で熱風を噴出し溶融紡糸する手
段を発明した。その2(手段B)は、低分子量の加熱流
動性物質とコンジュゲート紡糸または混合紡糸すること
により、紡糸においてさらに高剪断速度を実現できた。
その3(手段C)は、超高分子量ポリオレフィンポリマ
ーが溶融状態にあり、まだ完全には結晶化しない状態で
延伸し、しかもその延伸の延伸張力が紡糸ノズルに及ば
ないような状態での延伸をしておくことにより、さらに
その後の本格延伸により高強度フィラメントにすること
を可能にした。その4(手段D)は、上記手段で紡糸し
た連続フィラメントをコンベア等に集積し、連続フィラ
メントの不織布にする。
する。この方式が最もコスト安く、また操作性も良いか
らである。溶融押出機としては、超高分子量ポリマーの
押出を可能にすべく、高馬力のものである必要がる。さ
らに、スクリュウの破損しにくいものが望ましい。ま
た、熱可塑性の低分子物質を混合しても押し出せる押出
機が、さらに望ましい。押出機のタイプは、超高分子量
ポリエチレンやパラフィンも使用し、また粉末樹脂や粉
末添加剤、粉末の加熱流動性物質等も使用するため、圧
縮比を大きく取れ、しかもノンスリップタイプで有るこ
とが望ましい。それらの問題点を解決するため、スクリ
ュウのL/Dを大きくすること、根本の大きなスクリュ
ウを使用すること、両持ちのスクリュウ、バレル側を粗
面にすること等の手段から、適宜に選択して使用され
る。
トフラクチャー等の押出異常を回避するために、高温の
熱風でノズル先端のみを高温で加熱できるようにするこ
とを可能にした。ノズル全体を高温にすることで押出温
度を上げる方法もあるが、300℃を越えると分解が激
しくなり、分子量低下を起こすので、ノズル先端での短
い樹脂の通過時間のみ高温にすることを可能にする点
で、メルトブローダイス(メルトブロウンともいう)で
紡糸することが適している。しかし従来のメルトブロー
ダイスそのままでは、本発明の紡糸には不適合である。
即ち、従来のメルトブロー用ダイスは、高ドラフト性の
あるポリマーを生産性よく製造する必要があること、ノ
ズルの耐圧を維持しつつ高ドラフト倍率を維持するた
め、ノズル先端角度を小さくする必要があり、ノズルの
径(D)も0.5mm前後で、ノズル径と長さ(L)の
比であるL/Dが10前後のものが多かった。しかし本
発明では、ドラフト倍率を高くすることは必要ではない
ため、上記制約に縛られることなく、超高分子量ポリオ
レフィンに最適な条件を選ぶことで紡糸条件を設定で
き、鋭意研究した結果、実施例で述べる紡糸ノズルの条
件に到達した。
なく、矩形、三角や多角形、ハート形や星型等種々の断
面形状における紡糸においても使用できる。この場合の
L/DにおけるDの値は一番狭い部分の形で表現され
る。その部分が一番剪断力がかかるからである。
チャー等の弊害を除くため、加熱流動性物質との混合押
出やコンジュゲート押出も有効である。このような加熱
流動性物質により紡糸ノズルでの粘度がさがり、剪断力
も小さくなるからである。混合は、ここでは簡単のため
混合と云う言葉で代表させたが、混練も含み、2種以上
のポリマーが良く混合されている必要がある。混合の程
度が悪いと、ある部分は超高分子量ポリオレフィンポリ
マーのみが押出され、ある部分では加熱流動性物質のみ
が押し出されて本発明の目的を達しえない。混合は原料
での粉末やペレットを混ぜる段階ででも均一にする必要
がある。また押出機は1軸押出機でも2軸押出機でも良
く、ベントタイプの押出機も使用できる。定量性を保つ
ために、加熱流動性物質用に押出機の直後にギアポンプ
等を設けることが望ましい。また押出機を出た後や、ノ
ズル直前でスタチックミキサー等でよく混合することも
有効な手段である。コンジュゲート紡糸も、溶融粘度を
下げる効果がある点で、混合法と同等であるが、コンジ
ュゲート法では、さらにノズルやドラフトでの表面のイ
レギュラーが発生しても、強度には直接影響しない部分
であり、延伸でフローしてしまう部分でもあり、イレギ
ュラーの影響がすくない利点がある。
ート紡糸は、高剪断力によるメルトフラクチャーを防止
することと別に、高ドラフト倍率の実現に効果がある。
すなわち、ノズルから紡出されたフィラメントは、ノズ
ル内の剪断力およびその後のドラフトにより、粘度の低
い加熱流勤性物質が表面に移動し、表面に超高分子量ポ
リオレフィンの皮が貼ることを防せぎ、結果として高ド
ラフト倍率を実現できる。高ドラフト率を実現するため
には、紡糸ノズルの直下の紡出されたフィラメントを高
温に維持する手段を併用することが有用である。これら
のノズル直下を高温に維持する手段として、本発明の噴
出する熱風が有効であるが、保温筒や積極的に赤外線ヒ
ータ等で加熱することも有効である。
ではあるが、表面と内部の温度差を少なくし、その状態
で延伸(以下プレ延伸と略す)し、しかもその延伸張力
を紡糸部に影響させないで、分子配向を上げることがで
き、その後の本格的な延伸における延伸張力を上げるこ
とができるようになり、プレ延伸を含めての高倍率延伸
を可能にした。
的に加熱延伸(以下本延伸という)される。この本延伸
では、延伸ゾーンを長くし、ゆっくり延伸する必要があ
る。急激な延伸では、延伸張力が上がり、延伸切れにな
る確率が高くなる。延伸手段としては、ローラ延伸、熱
風延伸、熱盤延伸、熱水延伸、伸線、圧延等が使用で
き、それらの延伸手段を併用して、多段延伸することが
望ましい。この延伸倍率は、通常の分子量のポリマーで
は、溶融状態でのドラフトやプレ延伸は含めないのが通
例であるが、超高分子量ポリオレフィンではそれらの倍
率も含めたトウタルの延伸倍率で示す方が延伸倍率と強
度を説明できる。トウタル延伸倍率は、可能なかぎり高
くする必要があり、通常は30倍以上、望ましくは50
倍以上、さらに望ましくは80倍以上で行う。
フィラメントを目指す方向と別に、紡糸またはプレ延伸
の状況のフィラメントをコンベア等に集積し、連続フィ
ラメントよりなる不織布とすることができる。本発明の
加熱流動性物質は、この不織布の接着剤としての機能も
持たせることができる。
ンは、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキ
セン等のオレフィンの重合体または共重合体であり、α
−オレフィンの重合体が高結晶化度を実現できて望まし
く、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンが特に望まし
い。これらに他のポリマーを共重合したものも含まれ
る。これらの超高分子量ポリオレフィンは、粘度平均分
子量50万以上であることが望ましく、100万以上が
さらに望ましい。高分子量ポリエチレンでは、135℃
デカリン溶液で測定した極限粘度が5dl/g以上であ
り、10dl/g以上あることが望ましい。本発明は、
後述するように加熱流動性物質を併用したり、特殊ダイ
スを使用することにより、従来法より高分子量の超高分
子量ポリオレフィンを使用できる。分子量が高いこと
は、それだけ延伸後のヤーンを高強度、高弾性にする潜
在能力が高い。分子量の低いポリマーでは、高倍率延伸
ができず、また、高強度になり難い。
り共押出する物質は、加熱流動性物質で、超高分子ポリ
オレフィンの押出成形時に超高分子量ポリオレフィンよ
り粘度が低い流動体であることが必要である。それは、
超高分子量ポリオレフィンの押出の困難性を緩和するこ
とにあるからである。分子量としては、50万以下、望
ましくは10万以下であることが望ましい。常温で液体
状態のオイル等も、冷却していけば固体になるので、便
宜上このこの加熱流動性物質に含める。本発明に使用さ
れる加熱流動性物質の例として、高密度ポリエチレン等
のポリエチレン、ポリプロピレン、各種変性ポリオレフ
ィン、各種ワックス類、エチレン酢ビコポリマー、ポリ
アミド、ポリエステル、不飽和ポリエステル、フッ素系
ポリマー、シリコン系ポリマー、ポリエチレングリコー
ル、グリセリン、またはデカリン等の超高分子量ポリオ
レフィンの溶剤等がある。ポリエチレングリコールやグ
リセリンは、水溶性であるため、水冷製膜等により水で
簡単に除去できる特徴がある。これらの加熱流動性物質
は、押出の困難性を緩和するばかりでなく、ヤーンの表
面物性を改善することにも寄与し、ヤーンの熱接着性、
染色性、FRPマトリックスとの混和性等の性質を付与
することができる。また、ワックス等の低分子量物質
は、製膜や延伸過程で除去され、また製品で積極的に除
去する。
流動性物質に接着剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、スリ
ップ防止剤、滑剤、帯電防止剤等の各種添加剤や顔料、
染料等の着色剤、難燃剤等を加えるのは、通常のフィル
ムの押出の場合と同様に行うことができる。本発明の押
出成形は特に高温で行うことより、超高分子量ポリオレ
フィンの酸化が懸念されるが、この加熱流動性物質に酸
化防止剤や熱劣化防止剤を多量に添加することで、超高
分子量ポリオレフィンの性質を劣化させることなく、押
出成形可能である点も、本発明の特徴である。
分子量ポリオレフィン成分としての強度が15g/d
(グラム/デニール)以上が容易に製造でき、望ましく
は20g/d以上、さらに25g/d以上も製造でき
る。加熱流動性物質が多くなると強度は相対的に小さく
なるので、加熱流動性物質重量を差し引いて計算する必
要がある。フィラメントのデニール(d)は、一定長さ
のフィラメントの重さを測定し、デニールに換算する。
強度はJISL−1069で、チャック間の繊維長20
ミリメータ、引張速度20ミリメータ/分で測定し、2
0本の平均値とする。
発明における実施の例を分かりやすく示すために、1ホ
ールのノズルを使用した場合の例を示した。超高分子量
ポリオレフィンポリマー融液1は、押出機等(図面では
省略)より定量的に紡糸頭2へ供給され、ノズル3より
溶融フィラメント4が押出される。紡糸頭2には、高圧
の熱風5が供給されノズル近傍の穴6よりフィラメント
4に沿って噴出される。熱風を噴出しても周りに冷風を
巻き込み、フィラメントが冷却されることを紡糸するた
め、ノズル直下に赤外線加熱ヒータ7を設置する。図で
は省略したが、保温筒を設けることもフィラメントの冷
却を防ぐのに有効である。紡糸されたフィラメント4
は、ターンロール8およびニップロール9a、9bによ
り引き取られ、その後ニップロール9とターンロール1
0およびニップロール11a、11b間でプレ延伸され
る。9aと11aは、一定温度の加熱ロールであり、9
b、11bはゴムロールである。プレ延伸過程は一定温
度の加熱室12で行われる。プレ延伸前は殆ど結晶化し
ておらず透明感のあるフィラメント4は、プレ延伸され
ることにより完全に結晶化して白色不透明なフィラメン
ト13となり、巻取機または次の本延伸工程へと導かれ
る。プレ延伸工程および紡糸後の加熱7、ニップロール
9bは省略することも可能である。
A)とその内部構造(図B)を図示したものであり、通
常のメルトブロー不織布製造用のダイスと類似の構造の
ダイスを使用して多数本フィラメントを紡糸する場合の
例を示す。ダイス21は、超高分子量ポリオレフィンポ
リマーの融液aを多数の細孔22よりフィラメント状に
押出される。熱風23は、細孔の両サイドにあるスリッ
ト24、25より、紡糸ノズル22に沿っての熱風が噴
出される。ダイス全体はヒーティングブロック26で加
熱される。図は、フラットのメルトブローダイスを示し
たが、円形のダイスでもよい。
りコンジュゲート紡糸する場合の構造の例を示したもの
であり、導管31より超高分子量ポリオレフィンポリマ
ー融液aを導入し、導管32、33より加熱流動性物質
bを導入し、多数のノズル22より紡糸する場合の構造
の例を示す。
拡大して示したものであり、通常のポリプロピレンやポ
リエステルのメルトブロー不織布では、ダイスの紡糸ノ
ズル径は、高速のエアーによるドラフト力に耐えるため
に、0.5ミリメータ前後のノズル径が使用され、小さ
くすると、ノズル切れが多くなり、ショットの発生率が
高まり、良い不織布が得られない。またこれら通常のメ
ルトブローダイスのL/Dも、出てくるフィラメントの
直線性と、機械的耐圧性を考慮して、10前後であるこ
とが通常である。図Aと図Bは従来のメルトブローダイ
スの構造の例で、図Aは側面から見た断面図、図Bは正
面から見た断面図を示す。図A、Bの数値は通常のメル
トブロー用ダイスでの代表的な例であり、ノズル径
(D)が0.5ミリメータ、ノズル長(L)とノズル径
(D)の比(L/D)が10であり、超高分子量ポリオ
レフィンポリマーフィラメント紡糸には、きわめて不適
合である。図に示すように、通常のメルトブロー用ダイ
スにおいては、内面の樹脂の流入角度αとエアーの噴出
角度βは、ほぼ同じであり、通常60度前後である。ま
た、ノズルの先端の噴出されるエアーとの接点は鋭利に
尖っているのが特徴である。また、その通常のメルトブ
ロー用ダイスの1ホール当りの押出量は0.1g/分か
ら1.0g/分と少なく、1ホール当りのエアー量は、
300リッター/分から800リッター/分までと非常
に多い。
スのノズル部の例であり、図Aは側面から見た断面図、
図Bは正面から見た断面図を示す。超高分子量ポリオレ
フィンのフィラメント紡糸においては、ドラフト倍率も
上げられないため、ファインデニールのフィラメントを
得るため、紡糸ノズル径が小さい方が望ましく、種々に
実験した結果、ノズル径が0.3ミリメータ以下、望ま
しくは0.2ミリメータ以下、さらに望ましくは0.1
5ミリメータ以下であることがわかった。また、本発明
のノズルのL/Dは、できるだけ小さい方がフィラメン
ト切れが少なく、結果として良いフィラメントとなる
が、機械の耐圧性から0.1以下にすることは困難であ
る。そこで、種々に実験した結果、L/Dが5以下、さ
らに3以下であることが望ましいことがわかった。機械
の耐圧性を上げるため、紡糸ノズルの流入角度αを60
度より小さく、エアーの流出角度βは60度より大きく
とり、β−αの値を30度以上にすることにより、L/
Dが小さいにもかかわらず、耐圧性のあるダイスにする
ことができた。また、ノズルの先端の噴出されるエアー
との接点部は、ある程度(10ミリメータ以下)のフラ
ット部やラウンド部があっても、エアー量が少なく、ま
たメルトテンションが大きい超高分子量ポリオレフィン
ポリマーの紡糸では、支障がないこともわかった。本発
明での超高分子量ポリオレフィンの紡糸では、1ホール
当りの押出量は、0.3g/分から2g/分であるが、
エアーの流量は、1ホール当り200リッター/分以下
でよく、30リッター/分以下でもよい場合が多い。
ート紡糸された複合フィラメントの例を図6に示す。図
において、芯部にある斜線で示されている部分は、超高
分子量ポリオレフィンポリマーを示す。図A、Bは心鞘
構造のコンジュゲート紡糸の例であり、表面に加熱流動
性物質がくることで、紡糸の際の高剪断力でメルトフラ
クチャーを防ぐことができる。図C、D、E、Fは他の
タイプのコンジュゲートフィラメントの例であり、加熱
流動性物質を除去または分離することにより、超高分子
量ポリオレフィンポリマーフィラメントのファインデニ
ールを製造するのに適する。図Fでは、斜線部が小さい
ので、その部分を黒でしめした。
子量ポリオレフィンの高強度フィラメントの製法の実施
例および比較例として通常の方法で製造したフィラメン
トの物性を示す。表において、超高樹脂と表示したの
は、本発明の超高分子量ポリオレフィンであり、a、b
は以下に示す。 a・・・超高分子量ポリエチレン、粘度平均分子量 110万 b・・・超高分子量ポリプロピレン、粘度平均分子量 85万 c・・・超高分子量ポリエチレン、粘度平均分子量 28万 表において、流動性物質と表示したのは本発明の加熱流
動性物質であり、p、q、rは以下に示す。その流動化
物質の超高樹脂に対する割合をパーセントで示す。 p・・・パラフィンワックス、三洋化成(株)サンワックス161−P 酸化防止剤 Irganox 1010 300ppm q・・・高密度ポリエチレン、三菱化成(株)ER010S r・・・変性ポリプロピレン、三菱化成(株)ノバテック390P 紡糸装置の概略は図で示した。樹脂温度は、ダイスでの
樹脂温度を示す。ドラフト倍率は、図1のロール8、9
のロール速度を、フィラメントの紡出速度で割った値で
示す。
1の紡糸装置で紡糸・延伸した場合である。紡糸ノズル
径は0.3mmで、L/Dは1であった。延伸工程は図
示していないが、フリー空間中で150℃で3段に延伸
され、トータル38倍延伸でき、強度は約19g/dと
強い。実施例2は実施例1にプレ延伸を加味した場合
で、トータル75倍延伸でき、強度は約26g/dであ
る。実施例3は、実施例1と同じ超高分子量ポリエチレ
ン粉末に、融点55℃のパラフィンワックス粉末を15
%混合してホッパーから供給した。紡糸法等は同じであ
るが、押出量は実施例1より7倍程度大きくても、メル
トフラクチャーを起こさずに紡糸できる。紡糸、延伸過
程で、ワックスは超高分子量ポリエチレンの系から徐々
にブリードして除去される。実施例4、5は、図3およ
び図5の紡糸装置で、超高分子量ポリエチレンおよび超
高分子量ポリプロピレンによりコンジュゲート紡糸した
場合の例である。
あるが、分子量が低い樹脂cの場合は、延伸倍率、延伸
後の引張強度が低い。比較例2は、実施例1と同なし超
高分子量ポリエチレンを使用した場合であるが、熱風を
使用しなかった場合の例で、やはりトウタルの倍率が低
く、引張強度が小さい。
実施例4と同様にして、多数のフィラメントを紡糸し、
連続走行するコンベア上に集積し、エンボスロールによ
り接着して不織布とした。
ンをメルトフラクチャーを起こすことなく紡糸でき、し
かも高倍率に延伸でき、高強度のフィラメントとするこ
とができる。さらに、加熱流動性物質をブレンドまたは
共押出することにより、ダイ内でのメルトフラクチャー
等を少なくでき、従来よりさらに高分子量の超高分子量
ポリオレフィンを製膜でき、さらに高強度・高弾性率を
可能にできる。加熱流動性物質の添加は、製品ヤーンの
表面物性を改善することにも役立つ。具体的には、接着
性、着色性、染色性、耐候性、耐スリップ性等を改善出
来る。この加熱流動性物質に酸化防止剤や熱劣化防止剤
を多量に添加することで、超高分子量ポリオレフィンの
性質を劣化させることなく、押出成形を可能にする効果
もある。加熱流動性物質の混合紡糸やコンジュゲート紡
糸により、よりファインなフィラメントの製造が可能と
なった。フィラメントをファインにすることは、より高
級な品質を約束することであり、産業資材繊維でも重要
な要因である。
れ、各種ロープ等に加工でき、また織物、2軸、3軸の
経緯積層不織布、一方向プリプレグ等に加工され、防弾
構造体、防爆シート、建築・土木シート、FRTP、F
RP、レーダードーム、コンクリート補強等の各種の補
強材として使用される。本発明による超高分子量ポリオ
レフィンのフィラメントよりなる不織布は、超高分子量
ポリオレフィンの持つ滑り性、耐摩耗性、耐薬品性、誘
電特性、高周波特性等の性質を利用し、フィルター、機
械部品、電子部品等に応用できる。
示し、図Aは断面図を示し、図Bは一部分解図を示す。
るメルトブローダイスの例を示す。
構造の例を示し、図Aは側面からみた断面図、図Bは正
面からみた断面図を示す。
の構造の例を示し、図Aは側面からみた断面図、図Bは
正面からみた断面図を示す。
例を示す。
ノズル、4:紡糸フィラメント、5:熱風、6:熱風ノ
ズル、7:赤外線ヒータ、8:ターンロール、9:ニッ
プロール、10:ターンロール、11:ニップロール、
12:熱風室、13:紡糸固化フィラメント、21:メ
ルトブローダイス、22:ノズル、23:熱風、24:
熱風ノズル。
Claims (5)
- 【請求項1】 粘度平均分子量が50万以上である超高
分子量ポリオレフィンポリマーを、紡糸ノズルのノズル
径が0.3ミリメータ以下であり、そのノズル長(L)
とノズル径(D)の比(L/D)が5以下である紡糸ノ
ズルからなり、そのノズルの近傍より300℃以上の熱
風を紡糸フィラメントに沿って噴出させて紡糸し、紡糸
後にさらに延伸することによる高強度超高分子量ポリオ
レフィンフィラメントの製法。 - 【請求項2】 請求項1における超高分子量ポリオレフ
ィンフィラメントの成形に際して、フィラメントの表面
層に分子量50万以下の加熱流動性物質をノズルより共
押出することによる超高分子量ポリオレフィンフィラメ
ントの製法。 - 【請求項3】 請求項1における超高分子量ポリオレフ
ィンフィラメントの成形に際して、分子量50万以下の
加熱流動性物質を混合してノズルより押出することによ
りフィラメントとすることよりなる超高分子量ポリオレ
フィンフィラメントの製法。 - 【請求項4】 請求項1、2、3における超高分子量ポ
リオレフィンのフィラメント成形に際して、紡糸フィラ
メントをロールで引き取った後に、まだ溶融状態にある
紡糸フィラメントを少なくとも1.5倍以上に延伸した
後、固体状態で本延伸する超高分子量ポリオレフィンフ
ィラメントの製法。 - 【請求項5】 請求項1、2、3、4の製法による紡糸
フィラメントを集積することによる超高分子量ポリオレ
フィンの連続フィラメントよりなる不織布の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9942495A JP3418692B2 (ja) | 1995-03-20 | 1995-03-20 | 超高分子量ポリオレフィンフィラメントの製法 |
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