JP3418424B2 - 抗原物質検出装置 - Google Patents

抗原物質検出装置

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JP3418424B2
JP3418424B2 JP09522393A JP9522393A JP3418424B2 JP 3418424 B2 JP3418424 B2 JP 3418424B2 JP 09522393 A JP09522393 A JP 09522393A JP 9522393 A JP9522393 A JP 9522393A JP 3418424 B2 JP3418424 B2 JP 3418424B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗原物質検出装置に関
する。特に、或る物質又は材料中に、或る特定の抗原物
質、特にアレルゲンが存在するか否かを簡便に判定する
ことのできる、抗原物質検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】食餌アレルギーや薬剤アレルギーでは、
皮膚に発赤や発疹ができる。これは、各種の食品中の成
分や薬剤等が消化器から吸収されてアレルゲンとして作
用するためである。これらの食餌アレルギーや薬剤アレ
ルギーは、花粉アレルギー等と同じく、アレルゲンに対
して生体内で産生されたIgE抗体が関与し引き起こす
ものと考えられている。これらのアレルギー患者にとっ
ては、その患者に特有のアレルゲンを特定することも重
要であるが、それと共に、或る食品などをその患者が摂
取した場合に、アレルギー症状が発生するのかどうかを
判定することは極めて重要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、特開平3
−134565号公報に、或る物質又は材料、例えば食
品の中に、或る特定のアレルゲンが存在しているか否か
を判定する、高精度で正確な抗原検出装置を開示した。
本発明は、この抗原検出装置を改良して、その取扱操作
を更に簡便にすることを目的とするものである。特に
は、標準物質として用いる感作白血球を電極上に固定化
することにより、測定の度に感作白血球を担体に担持
し、更にこれを電極に担持するという繁雑な操作を無用
にすることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記の目的は、担体表面
で白血球を培養して得られる固定化感作白血球(標準と
なる感作白血球)担持担体を担持する電極、前記電極を
含むボルタメトリ測定手段、前記電極を含み、I型アレ
ルギー反応を行なう反応室、及び前記反応室に被検試料
を供給する試料注入手段を含むことを特徴とする、本発
明の第1の抗原物質検出装置によって達成することがで
きる。
【0005】更に、前記の目的は、担体表面で白血球を
培養して得られる固定化感作白血球(標準となる感作白
血球)担持担体を含み、I型アレルギー反応を行なう反
応室、前記反応室に被検試料を供給する試料注入手段、
及び前記反応室でのI型アレルギー反応によって遊離さ
れるセロトニンのピーク電流を検出するボルタメトリ測
定手段を含むことを特徴とする、本発明の第2の抗原物
質検出装置によって達成することができる。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明装
置によれば、哺乳類(特にヒト)が摂取したり、触れた
りする各種の材料の中に、或る特定の抗原物質(特にア
レルゲン)が含まれているか否かを検出することができ
る。それらの材料、即ち本発明において検査の対象とな
る被検試料としては、哺乳類(特にヒト)が摂取した
り、触れたりするあらゆる種類の材料が含まれ、特に
は、食品、例えば牛乳、鶏卵、大豆、エビ、サバ、タケ
ノコ又はソバ、あるいはこれらから調製した加工食品
(例えば、ビスケット、せんべい等の菓子類;パン、ピ
ラフ等の主食類;ハンバーグ、カレー、シチュー等の惣
ざい類;醤油、味噌等の調味料類);特定のアレルゲン
(例えば、前記の牛乳、鶏卵、大豆、エビ、サバ、タケ
ノコ又はソバ)を除去する目的で調製した、脱アレルゲ
ン加工食品(例えば前記と同様の加工食品);花粉、例
えばスギ、イネ又はブタクサの花粉;医薬品、例えばワ
クチン又はペニシリン;動物の毛、例えばイヌ又はネコ
の毛;ダニ、例えばコナヒョウヒダニ又はヤケヒョウヒ
ダニ;昆虫、例えばユスリカ;カビ、例えばカンジダ
菌;繊維材料、例えばキヌ;あるいは室内の埃や塵等を
挙げることができる。液体のアレルゲン物質はそのま
ま、あるいは適当な液体(例えば、水、生理食塩水又は
緩衝液)で希釈又は抽出して使用する。固体のアレルゲ
ン物質は適当な液体(例えば、水、生理食塩水又は緩衝
液)で希釈又は抽出して使用する。
【0007】本発明では、検査の標準物質として固定化
感作白血球を用いて、検査対象である抗原物質(特にア
レルゲン)を特定する。ここで、前記の被検試料中の抗
原物質(特にアレルゲン)は、本発明の装置によって検
査を行なうまでは、その抗原物質の種類及び/又は存在
が不明であるものである。一方、固定化感作白血球は、
特定の抗原物質(1種類とは限らない)に対して感作さ
れている好塩基球や好酸球を含む白血球を担体に固定化
したものであり、本発明の装置によって検査を行なった
結果、前記の被検試料中の特定抗原物質の存在を判定す
ることができる。また、固定化感作白血球やIgE抗体
それ自体の構造や組成等が化学的に解明されている必要
はない。また、従来から知られている抗原物質に対して
感作されている感作白血球やIgE抗体だけに限定され
るものでもない。更に、感作している特定の抗原物質の
種類が明らかな場合には、前記の被検試料中の抗原物質
の存在及び種類をも特定することができる。一般に、I
型アレルギーに関与する細胞は、細胞表面にIgE抗体
レセプターを有する好塩基球及び好酸球であるとされて
いる。従って、本発明において「白血球」とは、培養可
能な細胞であり、具体的には、好塩基球、好酸球、肥満
細胞、又はそれらの培養細胞、更には、それらをガン化
させた培養細胞を挙げることができ、それらを1種単独
で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0008】本発明で用いる固定化感作白血球は、前記
の白血球細胞を固定化担体上で培養し、この固定化白血
球細胞を、イン・ビトロで特定のIgE抗体に感作させ
て調製するか、或いは、特定のIgE抗体で感作させた
白血球細胞を固定化担体上で培養してもよい。固定化担
体としては、特に制限はないが、電極表面に、無理な
く、白血球を破砕しないように、かつ確実に接触させる
ことができるものが好ましい。更に抗原物質が感作白血
球と反応しやすいように、抗原物質の透過が可能なもの
が好ましい。具体的には、孔径25nm〜10μmのメ
ンブランフィルター、又は透析膜が好ましい。白血球細
胞の固定化は、担体表面に白血球細胞を直接固定化して
培養することによって行うことができる。
【0009】担体表面をコラーゲンで予めコーティング
しておくと、白血球細胞をより高密度に、より強固に固
定化培養することができる。コラーゲンは水に溶かして
塗布する。コラーゲン塗膜の厚さは特に制限されない
が、例えば10μm〜1mmでよく、塗膜は片面でよ
い。IgE抗体は、抗血清から調製した所謂ポリクロー
ナル抗体であるか、あるいは細胞融合の技術によって調
製したモノクローナル抗体であることができる。培養細
胞とIgE抗体とを適当な条件下でインキュベートする
ことによって、特定のIgE抗体を培養細胞のIgE抗
体レセプターに結合させ、特定の感作培養白血球細胞を
調製ことができる。また、この方法においては、或る動
物(前記の哺乳類)の培養白血球のIgE抗体レセプタ
ーに、特定の異種動物のIgE抗体を結合させることも
できる。こうして調製された感作培養白血球を本発明装
置に用いることができる。この方法により、例えば、ラ
ットの培養白血球細胞にヒト抗血清を作用させることに
よって感作させて調製した感作培養白血球細胞を用いて
本発明装置による抗原検査を実施した場合には、入手し
難いヒト白血球を培養する必要がない。また、こうして
調製された固定化白血球及び固定化感作白血球は、適当
な条件での冷凍保存が可能である。なお、ここで、I型
アレルギー反応とは、感作好塩基球又は感作好酸球のI
gE抗体に、それに対する抗原物質が結合、架橋するこ
とにより、脱顆粒が起き、セロトニン、ヒスタミン等の
活性物質が細胞外へ遊離する反応を意味する。次に、本
発明の第1の装置及び第2の装置を順次説明する。
【0010】本発明の第1の装置 本発明の第1の装置(以下、第1装置と称することがあ
る)は、ボルタメトリ(voltammetry)の手法(例えば、
微分パルスポーラログラフ、位相差弁別交流ポーラログ
ラフ又は矩形波ポーラログラフ)を利用するものであ
る。各種のボルタメトリ用装置を用いることができる
が、サイクリックボルタメトリ用装置を用いる場合に沿
って第1装置を説明する。
【0011】図1は、サイクリックボルタメトリ用装置
の1例を模式的に示す説明図である。この装置は、固定
化感作白血球及びそれを担持する電極;前記電極を含む
ボルタメトリ測定手段;前記電極を含み、I型アレルギ
ー反応を行なう反応室;及び前記反応室に被検試料を供
給する試料注入手段から主に構成されている。ボルタメ
トリ測定手段は、電極(即ち作用極1、対極2及び参照
極3)、ポテンシオスタット5、線型走査電源又は線型
掃引電源6、及びXY記録計又はシンクロスコープ7等
を含む。電極1及び2としては、白金、金、銀、ステン
レス、炭素、又は電導性高分子物質、あるいは好ましく
は電導性高分子物質で被覆した各種の修飾電極を用いる
ことができる。参照極3としては、例えばSCE(飽和
甘コウ電極)、SSCE(飽和塩化ナトリウムカロメロ
電極)又は銀/ハロゲン化銀電極を用いることができ
る。対極2の電位が安定不変である場合には、参照極3
を使用せずに、通常のポーラログラフと同様の回路構成
で実施することができる。
【0012】固定化感作白血球は作用極1に担持させ
る。図2に示すとおり、固定化感作白血球8は、白血球
細胞8a(特には好塩基球及び/又は好酸球細胞)を固
定化担体9〔例えば孔径25nm〜10μmの(好まし
くはコラーゲンをコーティングした)メンブランフィル
タ又は透析膜〕上で培養し、この固定化白血球細胞をイ
ン・ビトロで特定のIgE抗体に感作させたもの、又は
これを冷凍保存しておいたものを使用し、作用極1と固
定化感作白血球8とを適当な固定手段9aによって接触
固定させる。固定化感作白血球数は特に制限されない
が、作用極1と接触する白血球数が102 個以上、特に
は105 個以上となるようにするのが好ましい。白血球
数が少ない場合には、増幅機等を用いる。I型アレルギ
ー反応は、反応室、即ち電極1〜3を備えた電解セル4
中で行なう。電解セル4は、被検試料を装入するための
試料注入手段、例えばインジェクタ4aを備えている。
【0013】第1装置を用いて検出を実施するには、最
初に電解セル4に電解質(例えば生理食塩水又は緩衝
液)をインジェクタ4aから注入する。次に、抗原物質
を含有するおそれのある被検試料液を同じくインジェク
タ4aから装入する前に、電極間に周期的走査(掃引)
電位又は特定電位を印加して生起電流を測定する。電位
走査としては、時間に比例して電位を変化させる所謂線
型走査を用いるのが好ましい。担体9上の固定化感作白
血球8aからは、一般に0.24V 〜0.44V.vs.SC
E、好ましくは0.29V 〜0.39V.vs.SCEの電位に
おいてピーク電流が得られるので、このピーク電流値を
記録しておく。また、前記特定電位を印加する場合に
は、これら又はそ以上の一定電位で、このピーク電流
値を記録しておく。続いて、インジェクタ4aから電解
セル4中に各種の未知抗原物質(特にアレルゲン物質)
を含有するおそれのある被検試料液を添加し、各々につ
いて前記と同様に電極間に周期的走査電位又は特定電位
を印加する。
【0014】被検試料液中に、固定化感作白血球上のI
gE抗体と結合することのできる抗原物質が存在しない
場合には、0.24V 〜0.44V.vs.SCE、好ましくは
0.29V 〜0.39V.vs.SCEの電位に現われるピーク
電流値は変化しない。一方、被検試料液中に、固定化感
作白血球上のIgE抗体と結合することのできる抗原物
質が存在すると、反応開始後、前記ピーク電流値は上昇
し、約20分後をピークに低下し始める。そして約2時
間後には、前記ピーク電流値は初期値よりも低下する。
従って、抗原物質の検出は、ピーク電流値の上昇を指標
として行う場合は、反応開始から約20分後のピーク電
流値を測定するのが好ましい。ピーク電流値の低下を指
標として行う場合は、反応開始から約2時間後のピーク
電流値を測定することが好ましい。
【0015】抗原物質を検出するために、ピーク電流値
の上昇又は低下のいずれを測定するかは特に制限されな
いが、上昇で検出する方が短時間で行えるため好まし
い。また、抗原物質の存在量に比例して、ピーク電流値
の上昇及び低下の程度も増加する。こうして被検試料液
中に、既知の固定化感作白血球を感作した抗原と同じ抗
原が存在するのか否かを検出することができる。尚、電
解セル4中に4,4’−ビピリジンを約5mM〜100
mMの濃度で共存させるとピーク電流値低下の幅が大き
くなるので好ましい。4,4’−ビピリジンを固定化担
体中に含浸させてもよい。以上、本発明の第1装置をバ
ッチ式装置について説明したが、後述する図3に示した
セロトニン電極用の装置と同様の装置を用いて連続法式
装置として構成することもできる。但し、この連続法式
の第1装置では、図3に示す反応室15及び固定化感作
白血球担持膜15aを用いずに、固定化感作白血球を作
用極1に接触させ、I型アレルギー反応を電解セル14
で行なうようにする。
【0016】本発明の第1装置によって、被検試料液中
の特定のアレルゲンの存在を検出することができる理由
は、以下の通りと考えられる。但し、本発明は以下の推
論に限定されるものではない。即ち、生細胞が電極に接
触すると電流が流れる。この電極反応にサイクリックボ
ルタメトリの手法を適用すると、ピーク電流が得られる
ことは知られている。本発明の第1装置は、電極に接触
しているIgE抗体感作白血球にアレルゲンが結合する
とその感作白血球から活性物質が放出され、その際にピ
ーク電流値が増減するために、前記の検出が可能になる
ものと思われる。
【0017】本発明の第2の装置 本発明の第2の装置(以下、第2装置と称することがあ
る)は、アレルゲンに感作した白血球とそのアレルゲン
とが結合した際に放出される活性物質の1つであるセロ
トニンを測定する。このセロトニンは、ボルタメトリの
手法を利用して測定することができる(以下、セロトニ
ン電極装置と称することがある)。
【0018】セロトニン電極装置は、前記の本発明の第
1装置と同様に、ボルタメトリの手法(例えば、微分パ
ルスポーラログラフ、位相差弁別交流ポーラログラフ又
は矩形波ポーラログラフ)を利用するものである。各種
のボルタメトリ用装置を用いることができるが、サイク
リックボルタメトリ用装置を用いる場合に沿って本発明
のセロトニン電極装置を説明する。
【0019】図3は、連続又はフロー測定系に構成され
たサイクリックボルタメトリ用装置の1例を模式的に示
す説明図である。この装置は、固定化感作白血球を担持
する担体15aを含む反応室15等からなる反応室系;
インジェクタ16、緩衝液用タンク16a及びポンプ1
6b等からなる試料注入系;並びに電極を備えた電解セ
ル14等からなる検出系と、マイクロアンペア計17、
電流記録計17a、ファンクションジェネレータ18、
ポテンシオスタット19及び電圧記録計19a等からな
る測定記録系とからなるボルタメトリ測定手段;から主
に構成されている。電解セル14の電極は作用極11、
対極12及び参照極13からなる。電極11及び12と
しては、図1に示した装置と同様に、白金、金、銀、ス
テンレス、炭素、又は電導性高分子物質、あるいは好ま
しくは電導性高分子物質で被覆した各種の修飾電極を用
いることができる。参照極3としては、例えばSCE
(飽和甘コウ電極)、SSCE(飽和塩化ナトリウムカ
ロメロ電極)又は銀/ハロゲン化銀電極を用いることが
できる。対極12の電位が安定不変である場合には、参
照極13を使用せずに、通常のポーラログラフと同様の
回路構成で実施することができる。
【0020】反応室15内に配置される担体15a上の
固定化感作白血球は、本発明の第1の装置で説明したも
のと同様に調製する。固定化感作白血球数は特に制限さ
れないが、102 個以上、特には105 個以上となるよ
うにするのが好ましい。白血球数が少ない場合には、増
幅機等を用いる。セロトニン電極装置を用いて検出を実
施するには、最初に、緩衝液を、緩衝液用タンク16a
からポンプ16bによりインジェクタ16を経て、反応
室15及び電解セル14に送り、廃液管20から排出す
ることにより、測定系を安定にする。
【0021】次に、抗原物質(特にアレルゲン物質)を
含有する恐れのある被検試料液をインジェクタ16から
注入する。被検試料液を注入した後、電極間に周期的走
査(掃引)電位又は特定電位を印加して生起電流を測定
する。電位走査としては、時間に比例して電位を変化さ
せる所謂線型走査を用いるのが好ましい。被検試料液中
に、固定化感作白血球上のIgE抗体と結合することの
できる抗原物質が存在しない場合には、0.24V 〜
0.44V.vs.SCE、好ましくは0.29V 〜0.39V.
vs.SCEの電位に現われるピーク電流値の変化は認められ
ないか、得られない。一方、被検試料液中に、固定化感
作白血球上のIgE抗体と結合することのできる抗原物
質が存在すると、前記のピーク電流が上昇する。特定電
位で検出を行う場合は、前記電位又はその近傍の一定電
位を印加する。また、抗原物質の存在量に比例してピー
ク電流の上昇の程度も増加する。こうして被検液中に、
固定化感作白血球を感作した抗原と同じ抗原が存在する
のか否かを検出することができる。
【0022】或る被検試料による検査が終了したら、イ
ンジェクタ16からの注入を止め、緩衝液用タンク16
a中の緩衝液によって系内を洗浄してから、次の被検試
料による検査を同様にして実施する。尚、この測定系中
に4,4’−ビピリジンを約5mM〜100mM程度の
濃度で共存させるとピーク電流値上昇の幅が大きくなる
ので好ましい。4,4’−ビピリジンを緩衝液用タンク
16aから系内に供給することができる。以上、本発明
のセロトニン電極装置を連続法について説明したが、図
1に示した第1装置と同様の装置を用いてバッチ法用の
装置として構成することができる。但し、バッチ式のセ
ロトニン電極装置では、固定化感作白血球を電極に接触
させず、I型アレルギー反応によって放出されるセロト
ニンだけを電極に接触させるようにするのが好ましい。
【0023】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に具体的に
説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものでは
ない。実施例1 図1に示した装置と同様の装置、及びRBL−1〔rat
basophilic leukemia;生化学工業(株)から市販〕を
用いて行なった。固定化RBL−1細胞としては、ME
M−Eagle(90%)とFBS(10%)の培地
で、37℃にて5%CO2 雰囲気下でシャーレ中で、コ
ラーゲンをコーティングしたメンブランフィルター(孔
径0.45μm)上にて72時間培養を行った後、−8
0℃で冷凍保存しておいたものを使用した。一方、アト
ピー性皮膚炎患者(7才;女性)の全血を採血し、直ち
にヘパリン(20Unit/ml)及び続いて2%メチルセ
ルロース溶液5mlを添加し、40分間室温で放置して
赤血球を沈降させた。上清をIgE抗体含有抗血清とし
て得た。
【0024】前記固定化RBL−1細胞(106 cells
)に前記抗血清2mlを加え、5%CO2 の存在下で
37℃で2時間静置し、固定化RBL−1細胞をIgE
抗体で感作させた。こうして得られた固定化感作RBL
−1細胞106 cell(5.1×104 cell/mm2 ×1
9.6mm2 )を表面積19.6mm2 のBPG(Basa
lplane Pyrolytic Graphite )電極表面に白血球を接触
固定させて作用極とした。対極には白金線を、そして参
照極には飽和甘コウ電極(SCE)を用い、リン酸緩衝
生理食塩水中(PBS;pH7.4)でサイクリックボ
ルタメトリを走査速度10mV/sec で行なった。0.3
4V.vs.SCEで0.60μA/106 cells のピーク電流
値が得られた。
【0025】次に、大豆無添加醤油〔ダイズノン;新進
科研(株)〕を1mg/mlとなるように添加し、20
分経過後にサイクリックボルタメトリを行ったところ、
0.34V.vs.SCEで0.59μA/106 cells のピー
ク電流値が得られた。一方、市販の通常の醤油を添加
し、同様に20分経過後にサイクリックボルタメトリを
行ったところ、0.34V.vs.SCEで2.20μA/10
6 cellのピーク電流値が得られた。また、同様にして、
醤油サンプル添加2時間後のピーク電流値は、大豆無添
加醤油では0.57μA/106 cell、通常の醤油で
は、0.30μA/106 cellのピーク電流値がそれぞ
れ得られた。従って、この患者は、この大豆無添加醤油
を摂取しても症状の悪化が少ないものと推定することが
できた。
【0026】実施例2 図3に示した装置と同様の装置を用いて、本発明の第2
装置(セロトニン電極装置)について試験を実施した。
作用極及び対極には白金線を、参照極にはSCE電極を
用いた。作用極には、0.3V.vs.SCEの一定電位を印加
し、フロー系の移動層の流速を0.4ml/分とした。
動物由来の培養好塩基球細胞として、RBL−1〔rat
basophilic leukemia;生化学工業(株)から市販〕を
用いた。RBL−1細胞を、MEM−Eagle(90
%)とFBS(10%)の培地で、37℃にて5%CO
2 の雰囲気下のシャーレの中で、コラーゲンをコーティ
ングしたメンブランフィルター上に72時間培養し、固
定化RBL−1細胞とした。これとは別に、鶏卵白の凍
結乾燥物10mgをフロイント氏完全アジュバント0.
5mlに溶解した抗原液を7日おきに4回ラットに静脈
注射し、抗卵白ラット血清を得た。この血清2ml中で
前記固定化RBL−1細胞を5%CO2 の存在下、37
℃で2時間静置し、固定化感作RBL−1細胞を得た。
これを−80℃で冷凍保存した。こうして得られた固定
化感作RBL−1細胞を固定化感作細胞担持担体15a
とし、反応室15に挿入した。
【0027】次に、アレルギー患者用パン〔テーブルロ
ール、(有)日英堂〕及び市販の通常のテーブルロール
からそれぞれPBSでアレルゲンを抽出し、タンパク質
量として3μg/mlのアレルゲン抽出液を得た。この
抽出液をインジェクタ16から本測定装置に注入し、2
時間後に電流値を測定した。この結果、アレルギー患者
用パンの抽出液では0.1nA、市販の通常のテーブル
ロールの抽出液では1.8nAの電流値が得られた。ア
レルギー患者用パンには、卵白アレルゲンが含まれてい
ないと判断された。前記のアレルギー患者用パンを鶏卵
アレルギー患者(5才男児)に摂取させたところ、アレ
ルギー症状は認められなかった。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、抗原物質の存在を確認
し、そしてその種類を特定する際に固定化感作白血球を
用いるので、測定の度に白血球を担体に担持し、更にこ
れを電極に担持するという繁雑な操作の必要がなくな
る。更に、本発明は、簡単な操作で、正確に、高精度
で、しかもアレルギー患者に苦痛を与えずにその患者が
摂取することのできる食品などの材料を検査することが
できる。また、本発明は、その特定手段として多くの装
置を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1装置の一態様を模式的に示す説明
図である。
【図2】図1の装置の作用極に、固定化感作白血球を担
持する担体を設置させた状態を示す説明図である。
【図3】本発明の第2装置(セロトニン電極装置)の一
態様を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1,11…作用極; 2,12…対極; 4,14
…セル;15…反応室; 15a…固定化感作白血球
担持膜;16…インジェクタ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 27/30 351 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/416 C12M 1/34 G01N 27/327 G01N 33/53 G01N 33/543 593

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 担体表面で白血球を培養して得られる
    定化感作白血球担持担体を担持する電極、前記電極を含
    むボルタメトリ測定手段、前記電極を含み、I型アレル
    ギー反応を行なう反応室、及び前記反応室に被検試料を
    供給する試料注入手段を含むことを特徴とする、抗原物
    質検出装置。
  2. 【請求項2】 担体表面で白血球を培養して得られる
    定化感作白血球担持担体を含み、I型アレルギー反応を
    行なう反応室、前記反応室に被検試料を供給する試料注
    入手段、及び前記反応室でのI型アレルギー反応によっ
    て遊離されるセロトニンのピーク電流を検出するボルタ
    メトリ測定手段を含むことを特徴とする、抗原物質検出
    装置。
  3. 【請求項3】 コラーゲンをコーティングした担体を用
    いる、請求項1又は2に記載の装置。
JP09522393A 1993-03-30 1993-03-30 抗原物質検出装置 Expired - Lifetime JP3418424B2 (ja)

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