JP3413957B2 - 易生分解性共重合体、重合体組成物および環境放置型成形品 - Google Patents

易生分解性共重合体、重合体組成物および環境放置型成形品

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JP3413957B2 JP12058894A JP12058894A JP3413957B2 JP 3413957 B2 JP3413957 B2 JP 3413957B2 JP 12058894 A JP12058894 A JP 12058894A JP 12058894 A JP12058894 A JP 12058894A JP 3413957 B2 JP3413957 B2 JP 3413957B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は易生分解性共重合体およ
び易生分解性重合体組成物、更には環境放置型成形品に
関する。更に詳しくは、ボトル、トレイ、箱型パックな
どの各種成形容器、紙容器の内張りフィルム、包装フィ
ルム、農業用フィルム、繊維、釣り糸、ロープ、不織
布、建築用ネット等の様に時として、あるいは使用の形
態から本質的に環境放置型となる様々な成形品の材料と
して使用できる易生分解性共重合体および易生分解性重
合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に合成高分子は機械的強度および成
形加工性に優れ、しかも安価であるため、様々な成形品
の材料として使用されている。しかしながら、その成形
品は自らの耐久性のために投棄あるいは埋め立てしても
自然に崩壊せず、また焼却すれば発熱量が高いため焼却
設備を痛めるなど、最近プラスチックス廃棄物の処理法
が問題となっている。そのため微生物などにより、環境
上および生体系に悪影響を及ぼさない化合物に分解(以
下、「生分解」と記す)される合成高分子が注目される
に至っている。中でもポリ(ε−カプロラクトン)は比
較的安価に製造され、かつ安全な生分解性樹脂であるこ
とから市場の需要が高まっている。
【0003】ポリ(ε−カプロラクトン)の生分解性に
関して、シーエムシー(株)社発行実用・生分解性プラ
スチック(42頁、1992)には下記のように記載さ
れている。すなわち、1972年、Pottsらは高
分子量ポリ(ε−カプロラクトン)(分子量30,00
0)を土壌埋設すると、1年間で消失することを見いだ
した(Am. Chem. Soc. Polymer Preprints, 13. 629(19
72))。1976年、常盤らは土壌から分離したPe
nicillium SP.26−1が分子量25,0
00のポリ(ε−カプロラクトン)を完全に分解するこ
とを報告した(J. Ferment Technol., 54. 603(197
6))。1975年、Daiamondらはポリ(ε−
カプロラクトン)フィルムがAspergillusや
土壌中で分解することを報告した(Int. Biodetr. Bul
l., 11. 127(1975))。生分解性プラスチック研究会
の土壌埋設および水中浸漬によるフィールドテストの結
果によれば、ポリ(ε−カプロラクトン)は、多くの場
所で6カ月後からサンプルが消失し、1年後には、ほと
んどの場所でサンプルは消失した(生分解性プラスチッ
ク研究会・技術委員会;未発表データー)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、生分解
速度は、周囲の環境、具体的には土壌または水中に生息
する微生物の種類や生息濃度、温度等に大きく影響され
るため、用途によってポリ(ε−カプロラクトン)の生
分解性速度では、満足されない場合も想定される。
【0005】また、特公昭42−3396号公報には、
ε−カプロラクトンの様な環状エステルの多いモル%
と、4,4−ジメチル−2,6−ジオキサシクロヘキサ
ノンの様な環状カーボネート単量体の少ないモル%から
塊状重合、懸濁重合、あるいは溶液重合によって有用な
重合体生成物が得られること、これらはブラシの柄,ボ
タン,ランプ台,おもちゃ等の製造用に有用である旨が
記載されている。しかし、この文献には、本発明に記載
の共重合体や重合体組成物が易生分解性であり、これか
ら得られる環境放置型成形品については、何等示唆され
ていない。
【0006】
【発明を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討を
行った結果、ε−カプロラクトンまたはδ−バレロラク
トンに対し、オキセタンまたはジメチルトリメチレンカ
ーボネートを共重合させた特定の新規共重合体および特
定の新規重合体組成物が生分解性に優れていること、従
ってこれらが環境放置型成形品として極めて有用である
ことを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明の第一は、(A)ε−カプ
ロラクトン構造単位またはδ−バレロラクトン構造単位
を5〜99モル%、および(B)オキセタン構造単位を
95〜1モル%{(A)および(B)の合計は100モ
ル%}含有し、数平均分子量が1,000〜1,00
0,000の範囲にあり、両構造単位(A)および
(B)がブロック状に結合してなる易生分解性共重合体
に関する。また本発明の第二は、(A)ε−カプロラク
トン構造単位またはδ−バレロラクトン構造単位を5〜
99モル%、および(C)ジメチルトリメチレンカーボ
ネート構造単位を95〜1モル%{(A)および(C)
の合計は100モル%}含有し、数平均分子量が1,0
00〜1,000,000の範囲にあり、両構造単位
(A)および(C)がランダムブロック状に結合してな
る易生分解性共重合体に関する。また本発明の第三は、
(D)ポリ(ε−カプロラクトン)またはポリ(δ−バ
レロラクトン)60〜95モル%、および(E)ポリ
(オキセタン)40〜5モル%(但し、モル%は組成物
中の(D)と(E)の合計構成単量体含量100モル%
に対する割合を示す)からなることを特徴とする易生分
解性重合体組成物に関する。また本発明の第四は、本発
明の第一の易生分解性共重合体からなる環境放置型成形
品に関する。また本発明の第五は、本発明の第二の易生
分解性共重合体からなる環境放置型成形品に関する。さ
らにまた本発明の第六は、本発明の第三の易生分解性重
合体組成物からなる環境放置型成形品に関する。以下、
各本発明を詳しく説明する。
【0008】本発明の易生分解性共重合体の製造に使用
され、それらの構成構造単位を形成することとなる単量
体は、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、オキ
セタン(別名トリメチレンオキサイドまたは1,3−エ
ポキシプロパン)およびジメチルトリメチレンカーボネ
ート(別名4,4−ジメチル−2,6−ジオキサシクロ
ヘキサノン)である。
【0009】本発明の第一および第二の易生分解性共重
合体としては、ポリ(ε−カプロラクトン−オキセタ
ン)、ポリ(δ−バレロラクトン−オキセタン)、ポリ
(ε−カプロラクトン−ジメチルトリメチレンカーボネ
ート)、およびポリ(δ−バレロラクトン−ジメチルト
リメチレンカーボネート)の各ブロック共重合体であ
る。これらブロック共重合体のブロック構造としては、
特に限定を受けないが、ランダムブロック型、ジブロッ
ク型、トリブロック型等の直鎮状タイプ、分岐状タイプ
および放射状タイプが挙げられる。特にジメチルトリメ
チレンカーボネート単位構造を有するポリ(ε−カプロ
ラクトン−ジメチルトリメチレンカーボネート)および
ポリ(δ−バレロラクトン−ジメチルトリメチレンカー
ボネート)の各ブロック共重合体としては、ランダムブ
ロック共重合体であることが生分解性がよく、好まし
い。前記ブロック共重合体のGPC測定による標準ポリ
スチレン換算数平均分子量(以下、「数平均分子量」と
いう。)としては、1,000〜1,000,000、
好ましくは10,000〜500,000、更に好まし
くは30,000〜300,000の範囲である。数平
均分子量が1,000を下回る場合には、常温で液状成
分が多く、1,000,000を上回る共重合体は実質
的に合成困難であり、生分解性も低下することがあるた
め、好ましくない。前記ブロック共重合体の単独もしく
は50重量%以上含有する混合組成物を成形する際に、
機械的強度、成形加工性および生分解性等のバランスか
ら必要な数平均分子量としては、30,000〜30
0,000の範囲が好ましく、最も好ましくは50,0
00〜200,000の範囲が挙げられる。前記ブロッ
ク共重合体全体に占める、ε−カプロラクトン構造単位
またはδ−バレロラクトン構造単位の含有組成量として
は、オキセタン構造単位またはジメチルトリメチレンカ
ーボネート構造単位との合計100モル%に対して、5
〜99モル%の範囲、好ましくは50〜98モル%の範
囲、更に好ましくは70〜95モル%の範囲である。前
記含有組成量が5モル%を下回るか、99モル%を上回
る場合は、どちらも生分解性に劣り好ましくない。
【0010】本発明の第一の易生分解性共重合体の内で
は、平均分子量が30,000〜300,000の範囲
にあり、ε−カプロラクトン構造単位またはδ−バレロ
ラクトン構造単位の含有組成量が70〜95モル%の範
囲にあり、オキセタン構造単位の含有組成量が30〜5
モル%の範囲にあるものの機械的強度、耐熱性および成
形加工性等はε−カプロラクトンまたはδ−バレロラク
トンのホモポリマーと同等であり、生分解性においても
特に優れている。
【0011】本発明の第一の易生分解性共重合体を構成
するε−カプロラクトン構造単位とオキセタン構造単位
の結合は、−CO−(CH25O(CH23O−であ
り、同様にδ−バレロラクトン構造単位とオキセタン構
造単位の結合は−CO−(CH24O(CH23O−で
ある。
【0012】また本発明の第二の易生分解性共重合体を
構成するε−カプロラクトン構造単位とジメチルトリメ
チレンカーボネート構造単位の結合は、−CO−(CH
25OCOOCH2C(CH32CH2O−であり、同様
にδ−バレロラクトン構造単位とジメチルトリメチレン
カーボネート構造単位の結合は−CO−(CH24OC
OOCH2C(CH32CH2O−である。
【0013】本発明の第一および第二の易生分解性共重
合体を製造する方法としては、特に限定されず、ε−カ
プロラクトンまたはδ−バレロラクトンに対して、オキ
セタンまたはジメチルトリメチレンカーボネートを共重
合できる方法を任意に選択できるが、特に有機金属化合
物を開始剤に用いる共重合方法が好んで用いられる。
【0014】前記有機金属化合物の具体例としては、ト
リアルキルアルミニウム−水系錯体、ジアルキル亜鉛−
水系錯体、アルキルリチウム、有機カリウム化合物およ
び有機ナトリウム化合物が挙げられ、中でもトリアルキ
ルアルミニウム−水系錯体、特にトリエチルアルミニウ
ム−水系錯体が好ましく用いられる。上記トリエチルア
ルミニウムと水とのモル比は1:1のとき、重合活性が
最大となるが、通常トリエチルアルミニウム1に対し、
水を0.7〜1.1の範囲で用いることが好ましい。
【0015】ε−カプロラクトンおよびδ−バレロラク
トンに対する、ジメチルトリメチレンカーボネートのト
リエチルアルミニウム−水系錯体を開始剤に用いる共重
合体の製造方法は、特公昭42−3396号公報にも記
載されているが、本発明においてもその方法を応用する
ことができる。なお、ε−カプロラクトンおよびδ−バ
レロラクトンに対するオキセタンのトリエチルアルミニ
ウム−水系錯体を開始剤に用いる共重合体の報告は知ら
れていない。本発明の第一の共重合体を製造するに際
し、ε−カプロラクトンに対し、オキセタンを共重合す
る場合は、両者の重合速度が異なり共重合が起こりにく
く、−20〜40℃の温度でオキセタンの全部または一
部をトリエチルアルミニウム−水系錯体を開始剤に用
い、あらかじめ重合し、その後ε−カプロラクトンを添
加し、0〜180℃の温度範囲、特には50〜150の
温度範囲で重合する方法が好ましい。δ−バレロラクト
ンに対し、オキセタンを共重合する場合は、同一条件下
で共重合が進行するため、δ−バレロラクトンおよびオ
キセタンを混合し仕込みトリエチルアルミニウム−水系
錯体を開始剤とし、0〜180℃の温度で重合すること
ができる。上記の温度の範囲外で重合を行うと、ブロッ
ク率が低下するなどの問題が生じ、好ましくない。
【0016】ε−カプロラクトン、またはδ−バレロラ
クトンに対するジメチルトリメチレンカーボネートのト
リエチルアルミニウム−水系錯体を開始剤に用いる共重
合体の製造方法としては、ε−カプロラクトンまたはδ
−バレロラクトンおよびジメチルトリメチレンカーボネ
ートを混合し、続いて開始剤を仕込み0〜180℃の温
度で重合する方法が挙げられる。
【0017】本発明の第一および第二の易生分解性共重
合体の製造方法の形式および製造装置に関しては特に限
定されず、公知の形式および製造装置を用いて実施でき
る。一般的な製造形式としては、塊重合、溶液重合、沈
澱重合が挙げられる。
【0018】前記溶液重合に用いられる溶媒としては、
ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素およ
びジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、および生成す
るポリマーが溶解する範囲まで、ヘキサン、ヘプタン、
シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素を混合することも可
能である。一般的な製造装置としては、連続式、半連続
式、バッチ式の装置が問題なく使用でき、特に塊重合の
場合、スルザミキサー型および押出機型の連続的重合装
置は、本発明の易生分解性共重合体を安価かつ大量に製
造できる点で好んで用いられる。
【0019】上記製造形式において、塊重合の場合、反
応温度は40〜180℃の範囲、更には100〜170
℃の範囲内で実施することが好ましい。反応温度が40
℃を下回る場合は、共重合体の溶融粘度が高すぎるため
製造困難となり、逆に180℃を上回る場合には、着色
やブロック率が低下するなどの問題が生じ好ましくな
い。溶液重合または沈澱重合の場合、−20℃〜溶媒の
沸点の範囲で実施することが好ましい。反応温度が−2
0℃を下回る場合は、ブロック率が低下したり、反応温
度が遅く、溶媒の沸点を上回る場合は系を加圧する必要
が生じ、実質的に意味がなく好ましくない。
【0020】本発明の第一および第二の易生分解性共重
合体においては、共重合可能な他のモノマーを共重合し
たり、両易生分解性共重合体同士または他の生分解性ポ
リマーおよび生分解性を持たない熱可塑成樹脂と、任意
組成で混合することができる。前記共重合可能な他のモ
ノマーの具体例としては、エチレンオキサイド、プロピ
レンオキサイド、オキセタン(ジメチルトリメチレンカ
ーボネート共重合体の場合)、テトラヒドロフラン、ジ
オキサンおよびトリオキサン等の環状エーテル、β−プ
ロピオラクトン、メチル化カプロラクトン、ε−カプロ
ラクトン(δ−バレロラクトン共重合体の場合)、δ−
バレロラクトン(ε−カプロラクトン共重合体の場合)
等のラクトン類、乳酸二量体であるラクチドまたはグリ
コリド類およびトリメチレンカーボネート、メチルトリ
メチレンカーボネート、ジメチルトリメチレンカーボネ
ート(オキセタン共重合体の場合)等の環状カーボネー
トが例示できる。前記他の生分解性ポリマーの具体例と
しては、ポリ乳酸、ポリグリコリド、脂肪族ポリエステ
ル、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(δ−バレロラ
クトン)等のポリラクトン、でん粉、セルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース等が例示できる。
【0021】本発明の第三の易生分解性重合体組成物
は、ポリ(ε−カプロラクトン)ホモポリマーまたはポ
リ(δ−バレロラクトン)ホモポリマーと、ポリ(オキ
セタン)ホモポリマーの各重合体の混合組成物である。
混合組成としては、ポリ(オキセタン)ホモポリマーの
占める組成がいずれも40〜5モル%である。前記組成
が40モル%を上回るかまたは5モル%を下回る場合
は、いずれも生分解性に劣り好ましくない。なお前記
「モル%」は、組成物中の両重合体の合計単量体単位の
構成含量100モル%に対するオキセタン単位の含量割
合を示す。混合に用いる各ホモポリマーのGPC測定に
よる数平均分子量としては、20,000〜1,00
0,000、好ましくは30,000〜500,00
0、更に好ましくは50,000〜200,000の範
囲である。数平均分子量が20,000を下回る場合
は、溶融粘度が低いため成形加工性が悪く、また1,0
00,000を上回る重合体は実質的に製造困難であ
り、生分解性も低下することがあるため好ましくない。
前記組成物には、ポリ(ε−カプロラクトン)ホモポリ
マーとポリ(δ−バレロラクトン)ホモポリマーを各単
独で用いてもよく、また併用してもよい。前記ポリマー
を混合する方法は特に限定されないが、工業的には押出
機等の公知の溶融混練機にて行う方法が最も有利であ
る。
【0022】本発明の第一,第二および第三の易生分解
性共重合体または易生分解性重合体組成物はそれぞれ環
境放置型成形品に使用される。ここで環境放置型成形品
とは、使用者の意とする場合はもちろん、意としないま
でも使用の形態から本質的に環境にそのまま放置される
場合が多い成形品であり、従来のプラスチックス製では
いつまでも崩壊せずに環境中に残存するという問題があ
った成形品である。このような環境放置型成形品として
は、例えば、農業用フィルムや不織布などの農業資材、
繊維、ロープ、土木用フィルムや土木用不織布などの土
木資材、建築用ネットなどの建築資材、漏洩オイルブロ
ッター用不織布などの環境保全資材、釣り糸や漁網など
の漁業資材、各種発泡体(船舶用の浮輪、クッション
材、漁網のブイや目印など)、船舶用塗料(船底塗料な
ど)や船底保護フィルム、ボトル、トレイ、箱型パック
などの各種成形容器、紙容器の内張りフィルム、ゴミ袋
や買い物袋などの包装フィルム、海外輸出機材(電機製
品、精密部品、大型機械、車輌など)用クッション材お
よび保護フィルムなどが含まれる。この様な成形品用途
に使用されることにより、本発明の成形品は環境に放置
されても、生分解を受けやすいので、特に環境保全の見
地から極めて有用である。
【0023】
【実施例】以下、実施例において本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0024】〈実施例1〉(ポリ(ε−カプロラクトン
−オキセタン)ブロック共重合体の製造方法) 表−1に記載の仕込み割合で、最初にオキセタン(表中
ではOxと略し、図中ではoxetaneと記す)を全
モノマーに対し0.2モル%のトリエチルアルミニウム
−水(1:0.75)系錯体を開始剤に用い、0℃で1
2時間塊重合し、その後ε−カプロラクトン(表および
図中ではCLと略す)および溶媒としてトルエンを全モ
ノマーに対し20重量%添加し、60℃で24時間攪拌
した。得られたブロック共重合体の収率、GPC測定結
果(数平均分子量Mn,分子量分布の指標:重量平均分
子量(Mw)/数平均分子量(Mn))、および1H−
NMRにおいて解析した共重合体の単量体組成を表−1
に併せて記載した。
【0025】〈比較例1〉比較のために、実施例1と同
様の条件(表−1に記載)で、オキセタンおよびε−カ
プロラクトンのホモポリマーを重合し、実施例1と同様
に分析結果を表−1に記載した。
【0026】
【表1】
【0027】〈実施例2,比較例2〉実施例1および比
較例1で得られた共重合体およびホモポリマーの1cm
×1cm×500μmのフィルムを、10mlの0.1
Mリン酸緩衝液(PH7.2)を含むサンプル瓶に入
れ、分解酵素のCholesterol estera
seを8μg添加した。37℃(pH7.2)で200
〜300時間までインキュベートし、残存フィルムを取
り出し、水で洗い凍結乾燥後、重量保持率(以下、図中
ではWeight remaining(%)と示
す。)を測定した。その結果を図1に示す。ブロック共
重合体のオキセタン組成が9および20モル%(以下、
図中では、oxetane/CLで表す。)の2試料
は、ポリ(ε−カプロラクトン)と比較しても生分解性
速度が速くなった。
【0028】なお、分解酵素を全く用いないで、実施例
2と同様な試験を行ったが、図2に示すように、どの試
料もほとんど重量減少が見られなかった。
【0029】〈実施例3〉(ポリ(δ−バレロラクトン
−オキセタン)ブロック共重合体の製造方法) 表−2に記載の仕込み割合でオキセタンとδ−バレロラ
クトン(表および図中ではVLと略す)を混合し、全モ
ノマーに対し0.2モル%のトリエチルアルミニウム−
水(1:0.75)系錯体を開始剤に用い、60℃で2
4時間塊重合した。得られたブロック共重合体の収率、
GPC測定結果および1H−NMRによって解析した共
重合体の単量体組成を併せて表−2に記載した。
【0030】〈比較例3〉比較のため、δ−バレロラク
トンを1.0モル%のジエチル亜鉛−水素錯体を開始剤
に用い、トルエン溶液中で60℃、15日攪拌を続け、
δ−バレロラクトンのホモポリマーを得た。実施例3と
同様に、分析結果を表−2に記載した。
【0031】
【表2】
【0032】〈実施例4,比較例4〉実施例3、比較例
3で得られた共重合体およびホモポリマー、および比較
例1で得られたオキセタンのホモポリマーを試料に用
い、実施例2と同様な操作を行い、これら試料の生分解
性を評価し、得られた結果を図3に記載した。
【0033】〈実施例5,比較例5〉比較例1で得られ
たε−カプロラクトンおよびオキセタンのホモポリマー
同士を、図4に記載されたモル組成となるように混合
し、クロロホルムに溶解、その後クロロホルムを蒸発さ
せ混合フィルムを得た。これらのフィルムを用い、実施
例2と同様な操作を行い、これら試料の生分解性を評価
し、得られた結果を図4に示した。ポリ(ε−カプロラ
クトン)とポリ(オキセタン)のブレンドポリマーでも
ブレンド組成によっては、それぞれのホモポリマーより
生分解性が良好なことが確認された。
【0034】〈実施例6,比較例6〉(ポリ(ε−カプ
ロラクトン−ジメチルトリメチレンカーボネート)ラン
ダムブロック共重合体の製造方法)ε−カプロラクトン
およびジメチルトリメチレンカーボネート(表および図
中ではDTCと略す)を混合し、全モノマーに対し0.
2モル%のトリエチルアルミニウム−水(1:0.7
5)系錯体を開始剤に用い、トルエン溶液中60℃4時
間攪拌することで、表−3に記載された1H−NMR測
定による共重合体の単量体組成、数平均分子量の共重合
体を得た。また、実施例6と同様の条件で、表−3に記
載された分子量のε−カプロラクトンおよびジメチルト
リメチレンカーボネートのホモポリマーを得た。
【0035】
【表3】
【0036】〈実施例7,比較例7〉実施例6および比
較例6で得られた共重合体およびε−カプロラクトンの
ホモポリマーのフィルムを活性汚泥中に埋設し、200
日まで、所定時間経過の都度残存フィルムを取り出し、
水で洗い、凍結乾燥後、重量保持率を測定した。結果を
図5に示した。全ての共重合体は、ε−カプロラクトン
ホモポリマーより生分解性が良好であった。
【0037】〈実施例8,比較例8〉実施例6および比
較例6で得られた共重合体およびホモポリマーを試料に
用い、実施例2と同様な操作を行い、これら試料の生分
解性を評価し、得られた結果を図6に示した。
【0038】分解酵素を全く用いないで、同様な試験を
行ったが、図7に示すようにどの試料もほとんど重量減
少が見られなかった。
【0039】〈実施例9,比較例9,実施例10,比較
例10〉実施例6および比較例6で作られた共重合体お
よびホモポリマーを試料に用い、実施例8での分解酵素
cholesterol esterase(PH
7.2)の代りに、Lipase B(PH 9.0,
37℃)およびRhizopus delemer L
ipase(PH 5.6,37℃)を用いる以外は、
実施例8と同一の操作を行い、得られた結果をそれぞれ
図8および図9に示した。
【0040】〈参考例1〉ポリ(ε−カプロラクトン)
ホモポリマーおよびポリ(ε−カプロラクトン−ジメチ
ルトリメチレンカーボネート)(70/30)ブロック
共重合体の実施例8における分解生成物の単離成分の1
H−NMRの解析結果から、6−ヒドロキシカプロン酸
が生成していることが確認された。この1H−NMRチ
ャートを図10(A)に示した。また、参考までにポリ
(ε−カプロラクトン)ホモポリマーの場合の分解生成
物の単離成分の1H−NMRチャートを図10(B)に
示した。
【0041】〈実施例11,比較例11〉(ポリ(δ−
バレロラクトン−ジメチルトリメチレンカーボネート)
ブロック共重合体の製造方法 )δ−バレロラクトンお
よびジメチルトリメチレンカーボネートを混合し、全モ
ノマーに対し0.2モル%のトリエチルアルミニウム−
水(1:0.75)系錯体を用い、トルエン溶液中60
℃、4時間攪拌することで、表−4に記載された1H−
NMR測定による共重合組成、数平均分子量の共重合体
を得た。
【0042】
【表4】
【0043】〈比較例12〉実施例6と同様の条件で表
−4に記載された分子量のδ−バレロラクトンホモポリ
マーを得た。
【0044】〈実施例12、比較例13〉比較例6,実
施例11および比較例12で得られた共重合体およびホ
モポリマーを試料に用い、実施例2と同様な操作を行
い、これらの試料の生分解性を評価し、得られた結果を
図11に示した。
【0045】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
より提供される共重合体および重合体組成物は易生分解
性を示し、環境放置型成形品の素材として極めて有用で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた共重合体の分解酵素による
インキュベート時間と重量保持率を示す(実施例2)。
【図2】実施例2において、分解酵素を用いない場合の
インキュベート時間と重量保持率を示す。
【図3】実施例3で得られた共重合体の分解酵素による
インキュベート時間と重量保持率を示す(実施例4)。
【図4】実施例5で得られた重合体組成物の分解酵素に
よるインキュベート時間と重量保持率を示す。
【図5】実施例6で得られた重合体の活性汚泥中の埋没
時間と重量保持率を示す(実施例7)。
【図6】実施例6で得られた共重合体の分解酵素による
インキュベート時間と重量保持率を示す(実施例8)。
【図7】実施例8において、分解酵素を用いない場合の
インキュベート時間と重量保持率を示す。
【図8】実施例6で得られた共重合体の分解酵素Lip
ase Bによるインキュベート時間と重量保持率を示
す(実施例9)。
【図9】実施例6で得られた共重合体の分解酵素Rhi
zopus delemerLipaseによるインキ
ュベート時間と重量保持率を示す(実施例9)。
【図10】図10(A)は、実施例8における分解生成
物の1H−NMRチャートを示す。図10(B)はCL
ホモポリマーの1H−NMRを示す。
【図11】DTCホモポリマー(比較例6)、VL/D
TCブロック共重合体(実施例11)、VLホモポリマ
ー(比較例12)の分解酵素によるインキュベート時間
と重量保持率を示す(実施例12,比較例13)。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ε−カプロラクトン構造単位また
    はδ−バレロラクトン構造単位を5〜99モル%、およ
    び(B)オキセタン構造単位を95〜1モル%{(A)
    および(B)の合計は100モル%}含有し、数平均分
    子量が1,000〜1,000,000の範囲にあり、
    両構造単位(A)および(B)がブロック状に結合して
    なる易生分解性共重合体。
  2. 【請求項2】 (A)ε−カプロラクトン構造単位また
    はδ−バレロラクトン構造単位を70〜95モル%、
    (B)オキセタン構造単位を30〜5モル%{(A)お
    よび(B)の合計は100モル%}含有し、数平均分子
    量が30,000〜300,000の範囲にある請求項
    1記載の易生分解性共重合体。
  3. 【請求項3】 (A)ε−カプロラクトン構造単位また
    はδ−バレロラクトン構造単位を5〜99モル%、およ
    び(C)ジメチルトリメチレンカーボネート構造単位を
    95〜1モル%{(A)および(C)の合計は100モ
    ル%}含有し、数平均分子量が1,000〜1,00
    0,000の範囲にあり、両構造単位(A)および
    (C)がランダムブロック状に結合してなる易生分解性
    共重合体。
  4. 【請求項4】 (D)ポリ(ε−カプロラクトン)また
    はポリ(δ−バレロラクトン)60〜95モル%、およ
    び(E)ポリ(オキセタン)40〜5モル%(但し、モ
    ル%は組成物中の(D)と(E)の合計構成単量体含量
    100モル%に対する割合を示す)からなることを特徴
    とする易生分解性重合体組成物。
  5. 【請求項5】 (A)ε−カプロラクトン構造単位また
    はδ−バレロラクトン構造単位を5〜99モル%、およ
    び(B)オキセタン構造単位を95〜1モル%{(A)
    および(B)の合計は100モル%}含有し、数平均分
    子量が1,000〜1,000,000の範囲にあり、
    両構造単位(A)および(B)がブロック状に結合して
    なる共重合体からなる環境放置型成形品。
  6. 【請求項6】 (A)ε−カプロラクトン構造単位また
    はδ−バレロラクトン構造単位を5〜99モル%、およ
    び(C)ジメチルトリメチレンカーボネート構造単位を
    95〜1モル%{(A)および(C)の合計は100モ
    ル%}含有し、数平均分子量が1,000〜1,00
    0,000の範囲にあり、両構造単位(A)および
    (C)がランダムブロック状に結合してなる共重合体か
    らなる環境放置型成形品。
  7. 【請求項7】 (D)ポリ(ε−カプロラクトン)また
    はポリ(δ−バレロラクトン)60〜95モル%、およ
    び(E)ポリ(オキセタン)40〜5モル%(但し、モ
    ル%は組成物中の(D)と(E)の合計構成単量体含量
    100モル%に対する割合を示す)の重合体組成物から
    なる環境放置型成形品。
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