JP3409744B2 - 低精度の部品により構成した測定回路を用いた高精度測定方法 - Google Patents

低精度の部品により構成した測定回路を用いた高精度測定方法

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JP3409744B2
JP3409744B2 JP20615299A JP20615299A JP3409744B2 JP 3409744 B2 JP3409744 B2 JP 3409744B2 JP 20615299 A JP20615299 A JP 20615299A JP 20615299 A JP20615299 A JP 20615299A JP 3409744 B2 JP3409744 B2 JP 3409744B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、信号を増幅して利
用する回路の使用方法に関し、とくに信号レベルが微小
な回路、または高精度を要する回路の使用方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】信号レベルが微小な回路、または高精度
を要する回路においては、それに応じて、使用する部品
の精度が高いことが要求される。このため回路が高価に
なる。ここで信号レベルが微小であるとは、信号レベル
の絶対値が微小である場合と、信号レベルの絶対値は微
小でないが信号の変化範囲が微小である場合とを含む。
信号の変化範囲が微小である場合には、信号レベルと
は、通常信号の変化範囲を意味する。このような回路を
安くするためには、精度が低い、したがって安価な部品
を使用可能ならしめることが望まれる。
【0003】(従来例1)図2は、この目的で提案され
た測定回路の一例である(特開平9−113208)。
この従来方式を従来例1と呼ぶことにする。従来例1は
歪みゲージによる歪み測定である。歪みゲージは歪み量
が小さいときは、歪みゲージの抵抗値変化が小さいの
で、信号レベルが微小である。
【0004】(従来例1の構成)以下、従来例1の構成
について説明する。図2において、11はブリッジであ
り歪みゲージが含まれている。12および13は基準電
圧であり、基準電圧12は、歪みがフルスケールのとき
の信号を、基準電圧13は歪みがゼロのときの信号を発
生する。14はスイッチで、ブリッジ11、基準電圧1
2および基準電圧13を切り換えて出力する。15は増
幅回路であり、スイッチ14の出力を増幅して出力す
る。2は加算器、3は増幅回路、4はA/D変換器、5
は制御部、6はD/A変換器である。
【0005】図3は、ブリッジ11の詳細図である。R
1、R2およびR4はブリッジ辺の抵抗、R3はブリッ
ジの1辺を構成する歪みゲージである。VB−およびV
B+は、ブリッジ11の出力である。
【0006】制御部5の出力は、D/A変換器6に入力
され、D/A変換器6でアナログ信号に変換される。制
御部5は、通常はコンピュータであり、測定データを処
理して表示などを行なう。またスイッチ14など各部の
制御を行なう。増幅回路15の出力と、D/A変換器6
の出力は、加算器2に入力され、加算されて出力する。
加算器2の出力は、増幅回路3に入力され増幅されて出
力する。増幅回路3の出力は、A/D変換器4に入力さ
れ、ディジタルに変換されて出力され、その出力は制御
部5に入力される。
【0007】(従来例1の操作)次に従来例1の操作に
ついて説明する。先ずイニシャルバランスを実行する。
イニシャルバランスは、制御部5の制御によって、D/
A変換器6の出力を調整して、ブリッジ11の出力のア
ンバランスを補正する作業である。すなわち、スイッチ
14をブリッジ11に切り換え、歪みゲージの歪みがゼ
ロの状態でA/D変換器4の出力を読み込み、A/D変
換器4の出力値が歪みゼロに対応する値になるように、
D/A変換器6の出力値を調整する。
【0008】イニシャルバランスがとれた状態で、制御
部5は、スイッチ14を基準電圧12に切り換えて、A
/D変換器4を介して基準電圧12の値を読み込み、さ
らにスイッチ14を基準電圧13に切り換えて、基準電
圧13の値を読み込む。この2つの値は、記憶され、測
定時の補正計算に利用される。ここで補正とは、ゼロ点
の補正だけでなく、各種の誤差要因を補償して、より精
度の高い値を得るための回路または操作をいう。
【0009】測定は、スイッチ14をブリッジ11に切
り替え、ブリッジ11の出力値を入力することによって
行なわれる。制御部5は、前記の記憶された基準電圧1
2と基準電圧13の値を利用して、入力した測定値に対
して補正計算を行なう。この補正計算を行なうことによ
って、増幅回路15と増幅回路3の誤差、およびブリッ
ジ電源電圧の変動が、補償される。したがって、増幅回
路15、増幅回路3およびブリッジ電源に使用する部品
は、精度が低い、したがって安価なものを使用すること
ができる。
【0010】(従来例1の限界)歪みゲージの歪み量が
小さいときは、ブリッジの各辺に使用する抵抗は、それ
に見合った高精度のものが要求される。この従来例1に
おいては、ブリッジ11に使用する抵抗には、精度が十
分に低いものを使うことができない。
【0011】図3において、歪みがゼロのときの歪みゲ
ージR3の抵抗値をRZとすれば、理想的には、R1=
R2=R3=R4=RZである。ブリッジに加える電圧
をVS、ブリッジ出力電圧をVXとし、歪みゲージR3
に最大歪みが加わったときの抵抗値変化をRXとすれ
ば、VX≒(RX・VS)/2RZである。ここでRX
またはVXの値は、測定範囲を表わしている。
【0012】実際には抵抗R1、R2およびR4には誤
差がある。したがって、この誤差によるブリッジ出力電
圧が発生する。簡単のために、誤差が抵抗R4にのみ存
在しその大きさがRE、誤差REにより発生するブリッ
ジ出力電圧をVEとすれば、VE≒(RE・VS)/2
RZである。RX≫REであれば、VX≫VEであるか
ら、イニシャルバランスにおいて、抵抗R4の誤差RE
によって発生する電圧VEを補償して、ブリッジ11の
アンバランスを補正することができる。
【0013】しかし、RX≪REの条件では、VEの値
が大きくなり、このため増幅器3の出力がスケールオー
バーし、測定回路は動作不能になる。当然イニシャルバ
ランスを取ることはできない。すなわち、従来例1が実
施可能な限度は、抵抗R4の誤差REが、VX≫VEの
範囲に収まっていることである。
【0014】以上は抵抗R4を例に取って説明したが、
抵抗R1、および抵抗R2についても同様である。また
さらに、歪みゲージR3の抵抗絶対値誤差に関しても同
様である。
【0015】(別の従来方式)従来例1とは別の従来方
式を示す。抵抗R4に高精度の抵抗を使用する代わり
に、抵抗R4を固定抵抗RFと可変抵抗RVとを組み合
わせた構成とし、可変抵抗RVを調整して抵抗R4の値
を正確にRZに合わせて、ブリッジ11のバランスを取
る方式も、従来から実施されている。これによって、抵
抗R4の固定抵抗RFは精度が低い安価なものを使用す
ることができる。また、抵抗R1および抵抗R2も、精
度が低い安価なものを使用することができる。しかし、
高価な可変抵抗RVが必要である。さらに、可変抵抗R
Vは調整作業のために工数を必要とする。この調整のた
めのコストは部品の価格以上に掛かることが多い。した
がって、これらの価格およびコストを加算することが必
要である。
【0016】(部品の精度)部品の精度は、大きく3つ
に分けられる。第1は部品特性値の初期絶対値精度、第
2は特性値の経時変化、第3は特性値が温度係数を有す
るために部品の温度変化によって特性値が変化すること
である。このうち、経時変化による精度は、一般に、初
期絶対値精度に対する対策によって対応することができ
る。したがって、経時変化による精度を初期値絶対精度
に含めて考えることにする。初期値絶対精度と経時変化
による精度とを総合した精度を、絶対値精度と呼ぶこと
にし、精度の逆の意味を持つ誤差についても、同様に絶
対値誤差の言葉を使用する。また、特性値が温度係数を
有するために部品の温度変化によって特性値が変化する
ことによる精度を温度精度と呼ぶことにし、絶対値誤差
と同様に温度誤差の言葉を使用する。部品特性値の温度
係数が大きいとき、または部品の温度変化が大きいとき
は、温度誤差が大きくなる。
【0017】高精度が要求される部品においては、温度
精度が問題になる。とくに抵抗は、絶対値精度よりも温
度係数の大きさの方が、価格に対する影響が大きい。し
たがって、絶対値精度の低い部品であっても、温度係数
が小さいことを要求されるならば、価格低下にはつなが
らない。抵抗R1、R2、およびR4の温度係数が大き
いと、抵抗の温度が変動することによる誤差が無視でな
い。すなわち、歪みゲージの歪み範囲が小さいときは、
抵抗R1等は、可変抵抗RVを使用することによって絶
対値精度を低くすることができても、温度精度を高くす
るために温度係数が小さいものを使用しなければならな
いから、高価になる。
【0018】(オペアンプの精度)従来例1において、
増幅回路15は、微小電圧を増幅するので、増幅回路1
5に使用する部品として、オフセット電圧VFの小さい
オペアンプ(演算増幅器)を使用する必要がある。オフ
セット電圧VFは、抵抗R4による電圧誤差VEと同等
に作用する。従来例1によっても、ある程度の大きさの
オフセット電圧VFを補正することができる。しかし、
オフセット電圧VFが非常に大きく、VX≪VFのとき
は、増幅器3の出力がスケールオーバーして、回路動作
が不可能となる。すなわち従来例1は、オペアンプのオ
フセット電圧VFの大きさについても、実施可能範囲が
狭い。
【0019】(従来方式の問題点)以上の従来例1に示
されるように、従来方式では、安価な部品を使用できる
と称していても、補正可能な限度が小さく、十分に安価
な部品を使用することはできない。
【0020】(補正の意味)従来例1に限らず、他の従
来方式においても、補正ないし補償と呼ばれているもの
は、誤差が測定範囲に比べて十分小さい状態を前提とし
て、その誤差を補正することである。部品の誤差による
特性値のバラツキに起因する出力値の変化が測定範囲を
大幅に上回わり、そのため回路が動作不可能になるよう
な激しい状態であっても、その状態を調整して動作可能
にするという考え方は、従来存在しなかった。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明実施の対象とな
る回路は、信号レベルが微小な回路、または高精度が要
求される回路である。これらを総称して高精度回路と呼
ぶことにする。本発明が解決しようとしている課題は、
使用する部品の絶対値精度が低いことに起因して、たと
えば増幅回路が大幅にスケールオーバーして、回路動作
が不可能になるような激しい条件であっても、これを調
整して回路動作を可能にし、かつ所定の回路精度が得ら
れるように補正することである。これによって従来方式
では不可能であった、絶対値誤差が大きい、したがって
安価な部品を使用することが可能になる。
【0022】本発明が解決しようとしている、もう一つ
の課題は、使用する部品の温度係数が大きい場合におい
ても、所定の回路精度が得られるようにし、従来方式で
は不可能であった温度係数が大きい、したがって安価な
部品を使用することができるようにすることである。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するためになされたものでその特徴は、被測定対象の信
号回路の出力と、制御部の出力を入力とするD/A変換
器出力とを加算器で加算し、該加算器出力を増幅回路お
よびA/D変換器を経て前記制御部に入力する測定回路
を用いた高精度測定方法において、入力サイクルに、予
備操作、および1回または複数回の入力操作を含み、予
備操作では、使用部品の誤差に起因して増幅器の出力が
スケールオーバーすべき条件であっても、前記D/A変
換器の出力を調整することによって、前記増幅器の出力
範囲が前記A/D変換器の入力範囲に収まるようにし、
入力操作では、前記信号回路から入力データを入力して
利用することによって、信号レベルが微弱な回路、また
は高精度を必要とする回路において、絶対値精度が低い
部品の使用を可能ならしめる高精度測定方法にある。ま
た、入力サイクルにおいて、予備操作を行なった後に少
なくとも1回の補正操作を行ない、補正操作では、補正
演算のために必要な補正データを入力し、該補正データ
またはこれに基づく数値を前記制御部に記憶し、入力操
作では、前記補正操作で入力された補正データまたはこ
れに基づく数値を利用して、入力データに必要な補正演
算を、前記制御部により行なうことを特徴とする方法で
ある。
【0024】また、相隣る補正操作の間における、回路
の周囲温度変化および自己加熱による部品の温度変化
が、所定の値以内になるように補正操作の時間間隔を定
めることによって、部品の温度誤差が、所定の許容誤差
の範囲内に収まるようにして、温度係数が大きな部品の
使用を可能ならしめることを特徴とする方法である。
【0025】また、信号回路等の電源を間欠給電とし、
使用部品の自己加熱による温度変化をおさえることによ
って、温度係数が大きな部品の使用を可能ならしめるこ
とを特徴とする方法である。
【0026】またさらに、補正操作において使用部品の
周囲温度を入力し、使用部品の温度変化に起因して発生
する誤差を補償することによって、温度係数が大きな部
品の使用を可能ならしめることを特徴とする方法であ
る。
【0027】
【発明の実施の形態】まず本発明の概要を説明する。図
1(A)は本発明による高精度回路のブロック図、図1
(B)は本発明による高精度回路の操作を示すタイムチ
ャートである。図1(A)において、1は被測定対象の
信号回路である。信号回路は一般に、信号源、増幅回路
等からなり、ブリッジ回路等を含む場合もある。なお、
ここで測定とは、いわゆる測定器による測定だけでな
く、広く、信号源の大きさを定量的に求めることをい
う。信号源は何であってもよいが、センサであることが
多い。本発明を実施する信号源の種類は多種あり、具体
的な回路は、信号源の種類、信号変化範囲、所要精度等
により異なる。信号回路の中には、本発明を実施しない
場合には高精度を必要とする抵抗・オペアンプ等を含む
ことが多い。これらの高精度の抵抗・オペアンプ等は、
本発明を実施することによって低精度・安価なものに置
き換えることができる。
【0028】(本発明の構成)本発明の構成を、以下に
説明する。図1(A)において、2は加算器、3は増幅
回路、4はA/D変換器、5は制御部、6はD/A変換
器である。従来例1と構成上同じ部分は、同じ符号を付
けてある。なお、信号回路1は従来例1におけるブリッ
ジ11ないし増幅回路15に対応する部分である。制御
部5は、コンピュータを使用することが多いが、コンピ
ュータ以外のカスタムIC等を使用する場合もある。制
御部5の出力はD/A変換器6に入力され、アナログに
変換されて出力される。D/A変換器6の出力と、信号
回路1の出力とは、加算器2に入力され、両者は加算さ
れて加算器2から出力する。その出力は、増幅回路3で
増幅された後にA/D変換器4に入力され、ディジタル
に変換されて制御部5に入力される。したがって、制御
部5の制御によって、信号回路1の出力レベルをシフト
させることができる。加算器2、増幅回路3等にも、本
発明の対象となり、安価なものに置き換え可能な抵抗や
オペアンプ等が含まれることが多い。
【0029】制御部5は、本発明の高精度回路を制御し
て、高精度回路を動作させ、各種信号を入力し、必要な
補正演算その他のデータ処理を行い、その結果を外部に
出力する。該データ処理は、本発明に直接関係のない各
種のデータ処理をも含むことが多い。
【0030】以上に示したように、本発明の構成は、従
来例1と同じであり、その目的も同じである。しかし以
下に述べるように、本発明の作用は従来例1とは全く異
なっている。また、その効果は従来例1を含む従来方式
に比べて格段に勝っている。
【0031】本発明は、以上に示した構成であればよ
く、高精度回路は、物理的にはどのような形態であって
も差し支えない。たとえば、制御部5が組み込み用のマ
イクロプロセッサであって、前記の構成要素が1つのケ
ースに収容された計測器であってもよい。また、制御部
5が汎用のコンピュータであって、その他の部分が別体
のケースに収容されていてもよい。制御部5がパソコン
であって、その他の部分がパソコンの周辺ボードの形で
パソコンに組み込まれ、信号回路中のセンサ(信号源)
が外付けされ、パソコンのところまで配線されてくる形
態もあり得る。またさらに、システムの機能の一部とし
て本高精度回路が含まれているものであってもよい。
【0032】(本発明の操作の概要)次に、本発明の操
作の概要について説明する。制御部5が高精度回路を制
御するので、以降の説明では、制御部5の制御の下に行
なわれる操作、および制御部5自体が行なうデータ処理
は、このことを明示しない。入力データの入力は各入力
サイクル毎に行なわれる。各入力サイクルは、図1
(B)のタイムチャートに示すように、予備操作7、補
正操作8および入力操作9の3種類の操作からなる。入
力操作9において、入力データを入力する。入力操作9
は、図1(B)では各入力サイクルにつき1回である
が、複数(多数)回であってもよく、各入力サイクル毎
に回数が異なっていてもよい。補正操作8は、必須では
ない。また、補正操作8が予備操作7に引き続いて一回
だけ実行される場合は、補正操作8を予備操作7の中に
含ませて考えることができる。補正操作8が、各入力操
作9に先立って各入力操作9毎に行なわれるときは、補
正操作8を入力操作9に含ませて考えることができる。
【0033】予備操作7は、高精度回路を動作可能な状
態にするための操作である。本発明の特徴である安価な
部品の使用を可能ならしめるための、中心になる操作で
ある。補正を行なうことが必要なときは、予備操作7に
よって高精度回路が動作可能になった状態で、補正操作
8を行なう。補正操作8は補正のために必要なデータを
入力する操作である。予備操作7によって高精度回路が
動作可能になった状態で、入力データを入力する操作が
入力操作9である。補正が必要なときは、入力操作9に
おいて、補正操作8によって入力したデータを使用し
て、補正計算を行なう。入力操作9には、本発明に直接
関係のないデータ処理などを含む場合がある。
【0034】(予備操作の内容)予備操作7の内容を説
明する。予備操作7は、信号回路1、加算器2、増幅回
路3等に使用する部品の絶対値精度が低いために、本発
明を実施しないときに、増幅回路3の出力が大幅にスケ
ールオーバーして、高精度回路が動作不能となるような
激しい条件のときにおいても、D/A変換器6の出力を
調整することによって、増幅回路3の出力範囲が、A/
D変換器4の入力範囲に納まるようにする操作である。
すなわち、この予備操作7は、高精度回路を動作可能な
らしめる操作である。
【0035】この予備操作7は、ハードウェア構成およ
び操作内容は、従来例1のイニシャルバランスと同様で
ある。しかし従来例1のイニシャルバランスは、高精度
回路が動作状態にあることを前提として行なう補正作業
である。本発明の予備操作8は、高精度回路が動作不可
能な状態にあっても、これを動作可能な状態にする操作
である。このため、D/A変換器6の出力変化範囲は従
来例1に比べて大幅に広い。本発明の作用は、従来例1
とは全く異なっている。
【0036】本発明においても、予備操作7において、
本発明の本来の作用に加えて、従来例1のイニシャルバ
ランスの作用をも含ませることができる。すなわち、ま
ずD/A変換器6の出力を調整して、増幅回路3の出力
範囲が、A/D変換器4の入力範囲に納まるように操作
し、その上で従来例1のイニシャルバランスと同様な操
作を行なえばよい。これを実行することによって、後述
するゼロ点を補正するための補正操作8は不要となる。
ただし、従来例1におけるイニシャルバランスの効果を
含ませるためには、D/A変換器6の変換桁数を大きく
し、変換精度を高くすることが必要である。このためD
/A変換器が高価になる。
【0037】(補正操作の内容)予備操作7によって、
正常に動作する状態を確保することができるが、所定の
精度で測定できる状態であるとは限らない。さらに、所
定の精度で測定を行なうことができるように補正を必要
とする場合も多い。どのような補正を必要とするかは、
高精度回路の種類や必要とする精度等によって異なる。
補正の手段も、ハードウェアによる自動補正と、制御部
5を使用したソフトウェアによる補正とがある。本発明
の高精度回路においては、ソフトウェアによる補正を行
う方が、一般に安価である。
【0038】ソフトウェアによる補正は、通常は次の手
順で行なわれる。予備操作7によって高精度回路が正常
に動作する状態になった後に、補正操作8を実行して、
補正のために必要なデータを読み込み、その値によっ
て、補正演算式の補正係数の値を求めておく。次に入力
操作9において入力データの値を入力し、該入力した値
に、該補正演算式による補正演算をおこなう。この補正
によって、部品の誤差が補正され、所定の精度の値を得
ることができる。
【0039】(温度補正)前記の補正によって、部品の
誤差は、絶対値誤差、および温度誤差をともに補正する
ことができる。しかし、補正操作8の時間間隔が長い場
合には、とくに温度係数が大きな部品を使用したとき
は、次回の補正操作8までの間に部品の温度が変化する
ことによる温度誤差を無視することができない。
【0040】所定の精度が与えられたとき、温度係数が
大きい部品を使用するためには、部品の温度変化を小さ
くおさえなければならない。しかし、高精度回路の温度
を自動制御によって一定にすることは高価である。補正
操作8の時間間隔を短くすることによって、その間の温
度変化幅を小さくおさえることが、有効な方法である。
【0041】部品の温度変動の主要因は2つある。第一
は、高精度回路の周囲温度の変動にともなって、高精度
回路の温度が変化し、それによって部品温度が変化する
ことである。第2は、部品に通電することによって、部
品が自己加熱され部品の温度が変化することである。一
般に第2の自己加熱の方が、温度の変化速度が速い。し
たがって、部品の自己加熱による温度変動が無視できる
条件で高精度回路を使用することによって、補正操作8
の時間間隔を長くとることができる。
【0042】(部品の自己加熱)高精度回路に通電を開
始して十分に時間が経過すれば、自己過熱による温度変
化は飽和してほぼ一定の温度になる。この状態では、部
品温度の変化は、高精度回路の周囲温度の変化だけによ
ると考えることができる。この方式が最も簡便である。
ただしこの方式では、温度係数が大きい部品を使用した
ときは、高精度回路に電源を投入した後、部品の自己加
熱による温度変化が飽和するまでの時間は、高精度回路
の出力を所定の精度に押さえることができない。
【0043】部品の自己加熱による温度変化を十分に小
さくおさえる、もう1つの方法がある。それは、発熱量
を小さくすることによって、温度上昇が無視できる条件
で部品を使用することである。部品に連続して通電する
場合には、この条件を満足することは一般に困難なこと
が多い。
【0044】しかし、回路動作に必要な期間だけに電源
を加えて、間欠的に給電する場合には、比較的容易に部
品の温度上昇をおさえることができることが多い。すな
わち、通電するデューティが小さく、かつ部品温度変化
の時定数よりも間欠給電の周期が十分に短いならば、部
品の自己加熱による温度上昇を無視できる値にすること
ができる。この条件を満足することができるなら、間欠
給電の周期を必要最小限におさえる必要はない。間欠給
電の周期を必要最小限よりも、長くとることができる。
【0045】この間欠給電は、温度変動を押さえなけれ
ばならない部品のみに限定するよりも、適用範囲を広く
とる方が一般に簡単かつ有効である。信号回路1、加算
回路2、増幅回路3、A/D変換器4およびD/A変換
器6の全般にわたって適用できることが多い。高精度回
路の電源が電池の場合には、この間欠給電は、電池寿命
を長くすることにも役立つ。
【0046】
【実施例1】(構成)以上本発明の概要を説明したが、
実施例によってさらに詳細に説明する。この実施例1
は、歪みゲージに適用した例である。その全体構成は図
1に示した通りである。図4は、実施例1の信号回路1
の部分を示す図面である。図4において、11はブリッ
ジ、15は増幅回路である。増幅回路15の出力は加算
器2に接続されている。ブリッジ11は、図3と同じで
あり、ブリッジ辺の抵抗R1、R2およびR4、さらに
歪みゲージR3からなっている。すなわち従来例1と同
様な歪みゲージ測定回路である。
【0047】増幅回路15は、増幅回路3とともに計装
用増幅回路(インスツルメンテーション・アンプ)を構
成している。計装用増幅回路は、2段増幅となってお
り、微小レベル入力に適した差動増幅回路である。増幅
回路15は計装用増幅回路の前段部分である。図5は、
増幅回路15の詳細である。OP1およびOP2はオペ
アンプ、R10、R11、R12は抵抗である。VB−
およびVB+は増幅回路15の入力であり、ブリッジ1
1の出力に接続されている、VM−およびVM+は増幅
回路15の出力である。入力VB−はオペアンプOP2
によって増幅され、出力VM−から出力される。入力V
B+はオペアンプOP1によって増幅され、出力VM+
から出力される。
【0048】加算器2と増幅回路3は回路構成上は一体
化されており、計装用増幅回路の後段になっている。図
6は、加算器2および増幅回路3が一体化した計装用増
幅回路後段部の詳細である。この一体化された計装用増
幅器の後段の部分を、後段増幅回路と呼ぶことにする。
OP3はオペアンプ、R13ないしR18は、抵抗であ
る。VM−およびVM+は増幅回路15の出力であり、
後段増幅回路の入力になっている。VM−およびVM+
は、抵抗14および抵抗16に入力され、オペアンプO
P3によって差動増幅される。VDAはD/A変換器6
の出力であって、後段増幅回路の入力であり、抵抗R1
7に入力されている。入力VDAは、増幅回路15から
の差動入力((VM+)−(VM−))に加算される。
すなわち加算器2を構成している。VDDは電源電圧で
あって、抵抗R13に入力され、後段増幅回路に適切な
バイアスを掛けている。VADは後段増幅回路すなわち
増幅回路3の出力であって、A/D変換器4に入力され
る。
【0049】(ブリッジ)歪みゲージR3はひずみ量が
小さく、歪みゲージの抵抗値変化RXは、0.1%であ
る。したがって従来方式であれば、ブリッジ辺の抵抗R
1、R2およびR4の精度を、たとえば0.01%にお
さえるか、または可変抵抗を使用しなければならない。
しかし本発明を実施することによって、可変抵抗を必要
とせず。しかも抵抗R1、R2およびR4は精度1%の
抵抗を使用することができる。
【0050】歪みゲージR3の抵抗値変化RXが0.1
%のとき、ブリッジ11の出力電圧VXは電源電圧の
0.05%である。この電圧は増幅回路15および増幅
回路3によって増幅され、A/D変換器4の入力にな
る。A/D変換器の入力電圧範囲を電源電圧の80%に
取るとすれば、全体の増幅率は1600となり、増幅率
を増幅回路15と増幅回路3とに均等に割り付けるとす
れば、増幅回路15および増幅回路3の増幅率は各々4
0となる。
【0051】(予備操作)以下の操作は、予備操作7の
操作であり、歪みゲージR3の歪みがゼロの状態で行な
う。たとえば抵抗R4に1%の誤差があるとすれば、そ
の誤差による、増幅回路15の出力は20%の変化であ
り、増幅回路15は動作状態にある。しかし、増幅回路
3の出力は計算上は800%の変化となるから、スケー
ルオーバーする。すなわち高精度回路は動作不能であ
る。
【0052】増幅回路3の出力がスケールオーバーして
いても、A/D変換器4の出力によって、増幅回路3の
出力が、プラスにスケールオーバーしているか、マイナ
スにスケールオーバーしているかを判定することが可能
である。プラスにスケールオーバーしているときは、D
/A変換器6の出力を調整して、増幅回路3の出力をた
とえば電源電圧の約70%だけマイナスにシフトさせ
る。ここで再びA/D変換器4によって、増幅回路3の
出力を読み込む、このとき依然としてプラスにスケール
オーバーしているときは、A/D変換器4の入力値がス
ケールオーバーしなくなるまで前記操作を繰り返す。図
7は、以上の調整操作をフローチャートの形で表わした
ものである。
【0053】増幅回路3の出力がスケールオーバーして
いるときに、スケールオーバーしない状態をサーチする
方法は、図7に示す方式に限定されない。たとえば、最
初D/A変換器6の出力をフルスケールの1/2にし
て、A/D変換器4の値を読み込む。その値がプラスに
オーバースケールしているときは、D/A変換器6の出
力をフルスケールの1/4だけマイナスに変化させる。
マイナスにスケールオーバーしているときは、フルスケ
ールの1/4だけプラスに変化させる。次いで、このと
きのA/D変換器4の出力を読み込む。該読み込んだ値
が、まだスケールオーバーしているときは、D/A変換
器6の出力を前記と同様の方向に、振れ幅を前回の1/
2だけ変化させる。以下、スケールオーバーが無くなる
まで、この操作を繰り返す。
【0054】A/D変換器4の入力値が、A/D変換器
の動作範囲内に入ったときは、A/D変換器4の出力値
を読み取ることができる。この読み取った値から、A/
D変換器4の出力範囲の約10%となるべきD/A変換
器6の出力値を計算することができる。その値をD/A
変換器6に出力する。以上の操作によって、A/D変換
器4の出力はA/D変換器4の出力範囲の約10%にな
るように調整される。すなわち、歪みゲージの歪みによ
るブリッジ11の出力電圧がVX変化したときのA/D
変換器4の入力範囲が、約10%から約90%に調整さ
れたことになる。また、このとき(歪みゼロのとき)
の、A/D変換器の出力値をXRとすれば、このXRの
値がゼロ点を補正するときの補正計算に必要なデータ入
力になっている。すなわち、補正操作8における補正計
算に必要なデータ入力が、予備操作7の前記の作業で兼
用されている。
【0055】(補正操作)予備操作7に引き続いて補正
操作8を行う。この実施例1では、補正はゼロ点の補正
だけを行う。まず、ゼロ点を補正するときの補正計算に
必要なデータを入力する。これは歪みがゼロの状態のブ
リッジ11の出力である。各補正操作8でこの入力を行
う。しかし前記のように、予備操作7の直後の補正操作
8のときは、予備操作における入力で兼用することがで
きる。この実施例1においては、補正操作8は予備操作
7に引き続く1回だけである。
【0056】引き続く入力操作9におけるA/D変換器
の出力値をXIとすれば、補正演算式は、 (XI−XR) ・・・(式1) である。補正演算は、入力操作9において実行される。
以上のように補正を実行するので、前記のようにD/A
変換器による調整は、概略でよく、従来例1におけるイ
ニシャルバランスのような、精密な調整は不要である。
以上のように、この実施例では、補正操作は、実質的な
操作は何も行なわない。しかし、予備操作におけるデー
タ入力を兼用してはいるが補正は行なうので、補正操作
を行なっていると見なすことができる。
【0057】(入力操作)この実施例1においては、入
力操作9は、1入力サイクル中に多数回繰り返して実行
される。入力操作9は、入力データXIを入力する。入
力データは、A/D変換器4を介して入力するブリッジ
11の出力である。入力データXIは、補正演算式(式
1)によってゼロ点の補正が行われる。
【0058】(D/A変換器の検討)以上の予備操作7
を可能ならしめるためには、D/A変換器6の出力範囲
は、電源電圧の±20%以上変化可能でなければならな
い。いま、D/A変換器6の可変範囲を電源電圧の40
%とし、D/A変換器6の変換桁数を8ビットとすれ
ば、D/A変換器6の最小出力幅は、電源電圧の約0.
16%である。したがって、A/D変換器4の入力は電
源電圧の約6.4%のステップ幅で変化させることがで
きる。このステップ幅では、前記のように、A/D変換
器4の入力範囲を、約10%から約90%に調整するこ
とはできない。調整ステップは、かなり粗くなる。しか
しこのステップ幅によっても、約4%から約96%の範
囲に調整することができる。これは実用可能範囲であ
る。すなわち、D/A変換器は8ビットを使用すること
ができる。
【0059】従来例1において、イニシャルバランスの
効果を含ませる場合には、たとえば、測定精度が1%で
あれば、A/D変換器4の入力ステップ幅は、電源電圧
の0.5%以下に押さえることが必要である。したがっ
て、D/A変換器の変換桁数は少なくとも12ビット必
要である。
【0060】(オペアンプのオフセット電圧)増幅回路
に使用するオペアンプには、オフセット電圧がある。こ
のオフセット電圧による誤差について検討する。オフセ
ット電圧に対する要求は前段の増幅回路15の方がはる
かに厳しいから、増幅回路15について検討すれば十分
である。いま電源電圧が5Vであるとすれば、歪みゲー
ジのフルスケールの電圧変化範囲VXは、2.5mVで
ある。オフセット電圧が10mVのオペアンプは、最も
普通のオペアンプであって、安価である。このオフセッ
ト電圧10mVは、歪みゲージのフルスケールの電圧変
化VXの4倍である。抵抗値誤差が1%の抵抗に比べれ
ば条件がゆるく、十分に対応することができる。従来方
式であれば、オペアンプのオフセット電圧は、歪みゲー
ジのフルスケールの電圧変化VXのたとえば10%に押
さえるとして、約250μV以下でなければならない。
これは高精度オペアンプを使用すれば十分に対応可能で
あるが、かなり高価になる。
【0061】(温度変化)この実施例1においては、一
回の測定シーケンスの最初は、必ず歪みゼロの状態から
開始される。測定を開始すると一定期間測定を連続し、
その最長期間は、1分である。この1測定シーケンス
が、本発明の1入力サイクルになるようにし、補正操作
8は入力サイクルの最初に1回だけ行なうようにすれば
よい。部品の温度係数を検討する場合、最大1分間の温
度変化を考えれば十分である。
【0062】この実施例1では、測定シーケンス中は測
定を連続的に行なうが、測定間隔は、100ms毎でよ
い。また1回の測定時間は、2msで完了する。したが
って、信号回路1ないし増幅回路3のアナログ回路部分
の通電は、間欠給電にすることができる。デューティは
2%、周期は100msとなる。この条件では、部品の
自己加熱による温度上昇を無視することができる。した
がって、部品の温度変化は高精度回路の周囲温度変化だ
けと考えてよい。
【0063】周囲温度の変化は、非常に大きく見積もっ
て、20℃/時間としても、約0.3℃/1分である。
測定精度を1%とすれば、温度変化によって許容される
抵抗値誤差は、10ppmである。ブリッジ11の抵抗
R1等に適用すれば、抵抗の温度係数は、30ppm/
℃が許容される。ブリッジの抵抗R1等は、金属皮膜抵
抗を使用する。絶対値精度が1%の金属皮膜抵抗では、
30ppm/℃の温度係数の抵抗は、普通の価格帯の製
品である。
【0064】
【実施例2】(概要)次に実施例2について説明する。
この実施例は、抵抗式温度計に本発明を実施した例であ
る。白金測温抵抗を使用した、高精度の温度測定であ
る。温度による抵抗値の変化は、歪みゲージに比べると
はるかに大きい。しかし、精密測定を行なうために測温
範囲を非常に狭く取る場合には、微小レベルかつ高精度
の測定になる。この実施例2においては、50℃近辺で
精密な制御を行なうので、測定範囲は48〜52℃であ
り、要求される分解能は0.1%である。抵抗値変化は
約1.3%であり実施例1にくらべて大きいが、分解能
で考えると、実施例1とほぼ同等の要求である。高精度
回路の構成は、基本的には実施例1と同様であり、信号
回路1にブリッジを使用している。
【0065】実施例1の歪みゲージでは、歪みゼロの状
態を入力できる。しかし、温度の場合には、実際の測定
時に、温度ゼロないしはそれに代わる基準温度を作るこ
とが困難なことが多い。したがって、基準温度を作るこ
とをしないで、それに代わる基準値を用意して、それを
基準にして補正を行なうことになる。図8は、実施例2
のブリッジ部である。抵抗R1、R2、R4は図3と同
じである。R3は測温抵抗体、RRは基準温度48℃に
対応する抵抗値を有する基準抵抗である。S1はスイッ
チで抵抗R3と抵抗RRとを切り換える。
【0066】予備操作7および補正操作8において、ス
イッチSを基準抵抗RR側に切り換えて、ブリッジの出
力電圧を読み込む。この値は、実施例1における歪みゼ
ロの値に対応する値であり、ゼロ点補正のための基準値
XRである。予備操作7と補正操作8の具体的な操作
は、実施例1と同じであるから説明を省略する。入力操
作9においては、スイッチSを測温抵抗体R3側に切り
換えて、ブリッジの出力電圧を読み込む。
【0067】(スパン補正)補正は一般に以上に示したよ
うにゼロ点の補正を行なえば十分で、スパン(感度係
数)の補正を必要としないものも多い。高精度回路は一
般に高精度回路の製造時、または必要な時点に校正を行
なう。スパンは、ゼロ点に比べると、部品の温度変化に
よる影響が小さい。スパンの校正が適正に行なわれてい
れば、スパンに関しては、以降の補正を必要としないこ
とも多い。
【0068】しかし、スパンの補正を必要とする場合も
ある。スパンの補正を必要とする場合には、ゼロ点の他
に、スパン補正用のスパン点温度に対応する基準抵抗を
設ける。この実施例2ではスパン補正を行なう。スパン
点温度は52℃である。補正操作8で、補正計算に必要
なデータとして、ゼロ点用の基準値XRと、スパン点基
準値XSの両方の値を読み込むようにすればよい。これ
によって、ゼロ点とスパンの補正を行なうことができ
る。入力データをXI、測定範囲をSPとすれば、補正
演算式は、 SP(XI−XR)/(XS−XR)・・・(式2) である。なお、ゼロ点温度とスパン点温度は、測定範囲
の両端である必要は無く、途中の値であってもよい。
【0069】(式2)を変形すると、(K1・XI−K
2)の形にすることができる。ただし、(K1=SP/
(XS−XR))、(K2=XR/(XS−XR))で
ある。XSおよびXRの値を記憶する代わりに、K1お
よびK2の値を記憶しておき、この値を使用して入力操
作において補正計算を行なわせることができる。このよ
うに、補正に必要なデータ入力の値を直接記憶しない
で、これを変形した値を記憶する方式がある。このよう
な場合でも、実質的には、補正に必要なデータ入力の値
を記憶していると見なすことができる。
【0070】この実施例2では、ゼロとスパンの補正を
行なえば十分である。しかし、信号出力が線形と見なす
ことができず、非線形性を補正する必要とする場合も考
えられる。この場合には、ゼロ点、スパン点のほかに、
さらに非線形性補正用の温度点を設定して、その基準抵
抗を設けて、その値を読み込んで利用する。補正演算式
は、一般に複雑になる。
【0071】
【実施例3】実施例1においては、入力サイクルの最初
の補正操作8においては、歪みゼロの状態にして、ゼロ
点の補正を行なうことができる。しかし測定を開始した
後は、歪みゼロの状態でのゼロ点の補正を行なうこと
は、できない。入力サイクルの期間が長く、この間の高
精度回路の温度変化を無視できないときには、使用する
ことができない。この実施例3は、入力サイクルの期間
が長い場合に対応できるように、改良した例である。実
施例2と同様にゼロ点用の基準抵抗を設ける。これを補
正演算に必要なデータとして読み込むことによって、入
力サイクルの途中で補正操作8を行なうことができる。
したがって、補正操作8の周期を短くすることが可能で
ある。実施例3の入力サイクルは、最大3時間である
が、実施例1と同様に補正操作8は1分である。
【0072】この実施例3においては、実施例2と異な
り、入力サイクルの最初は、歪みゼロの状態で補正操作
8を実行することができる。これを利用して、基準抵抗
の精度を低くすることが可能である。すなわち、入力サ
イクルの最初の補正操作8においては、歪みゼロ状態の
歪み入力XRを読み込むと共に、基準抵抗の値を読み込
み、その値をXRFとする。次の2回目の補正操作8ま
での間の補正演算式は実施例と同じ(式1)を使用す
る。2回目および以降の補正操作8では基準抵抗の値だ
けを読み込み、その値をXRNとする。2回目の補正操
作8以降の補正演算式は、 (XI−XR−XRN+XRF)・・・(式3) である。この補正演算式を使用することによって、基準
抵抗の誤差が補償される。
【0073】
【実施例4】この実施例4は、実施例3をさらに変形し
たものである。部品の温度係数による特性値を補償する
さらに別の方法は、部品の周囲温度を検出し、その値を
読み込んで補正することである。ダイオードの順方向電
圧は大きな温度係数を持っているので、ダイオードの順
方向電圧によって、温度を検出することができる。補正
演算に必要なデータとして、実施例3における基準抵抗
の値を読み込む代わりに、ダイオードの順方向電圧を読
み込めばよい。操作手順は実施例3と同じである。
【0074】実施例4においても、入力サイクルの最初
の補正操作8で読み込んだダイオードの順方向電圧と、
2回目以降補正操作8で読み込んだダイオードの電圧の
差を、補正演算に使用する。これは、温度差すなわち温
度の変化を補正に使用していることになる。差を取るこ
とによって、各種の誤差を補償することができる。な
お、補正演算式は実施例3とは異なる。入力サイクル中
の温度変化幅が大きいときは、複雑な補正演算式が必要
となることがある。しかし、入力サイクル中の温度変化
幅が小さいときは、補正演算式は、 (XI−XR−KC・(XRN−XRF))・・・(式4) の形を取ることができる。
【0075】
【実施例5】実施例5は、信号源が、フォトダイオード
の例を示す。実施例1ないし実施例4は、信号源が抵抗
値変化の例である。しかし本発明は、信号源が電圧また
は電流であっても実施可能である。フォトダイオード
は、電流出力のセンサである。フォトダイオードの出力
は、入力の光信号に対して、比例する。したがって、入
力光が微弱であっても、入力範囲がゼロから始まるとき
は、使用部品の精度は、それほど厳しくないことが多
い。しかし、入力光の最小値と最大値の比が1に近いと
きは、実施例2と同様に部品の精度が厳しい条件にな
る。このような場合には、信号の絶対値を測定しない
で、基準値を設けて、この基準値との差を増幅すること
が有効である。ただしこの場合には、この基準値の精度
が問題になる。
【0076】図9は、センサがフォトダイオードの場合
における、信号回路1、加算器2および増幅器3の部分
の一例を示す図面である。DPはフォトダイオード、O
P21およびOP22はオペアンプ、R21ないしR2
6は抵抗である。オペアンプOP21と抵抗R12は電
流/電圧変換回路を構成し、フォトダイオードDPの電
流出力を電圧に変換している。オペアンプOP22は、
周辺の抵抗と共に差動増幅回路を構成している。VDA
は差動増幅回路の出力であって、A/D変換器4に入力
されている。VRは基準電圧で、前記電圧に変換された
フォトダイオードDPの出力と差が差動増幅回路によっ
て増幅される。VDAはD/A変換器6の出力で、実施
例1と同様に、加算器2の入力となっている。
【0077】基準電圧VRの誤差が大きいときは、実施
例1と同様に、D/A変換器6による調整がなければ、
増幅回路3の出力はオーバースケールになる。しかし、
D/A変換器6によって正常な動作範囲に調整すること
ができる。
【0078】(センサ以外の信号源)以上5つの実施例
は、いずれも信号源がセンサである。本発明の対象とな
る高精度回路においては、信号源がセンサであることが
多い。しかし、信号源はセンサに限定されない。
【0079】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明を実施
することによって、信号レベルが微小な回路、高精度を
要する回路において、従来方式によったのでは誤差が大
きいために回路動作が不能になるような、誤差が非常に
大きな部品を使用することが可能になる。したがって高
精度回路の価格を大幅に低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成のブロック図およびタイムチ
ャートを示す。
【図2】従来方式の1例の構成を示す。
【図3】歪みゲージによるブリッジ回路を示す。
【図4】実施例1における信号回路1の構成を示す。
【図5】実施例1における増幅回路15の詳細回路を示
す。
【図6】実施例1における加算器2と増幅回路3の詳細
回路を示す。
【図7】実施例1における予備操作8の調整のシーケン
スを示す。
【図8】実施例2におけるブリッジ回路を示す。
【図9】実施例5における、信号回路1、加算器2およ
び増幅器3の詳細回路を示す。
【符号の説明】
1 信号回路 2 加算器 3 増幅回路 4 A/D変換器 5 制御部 6 D/A変換器 7 予備操作 8 補正操作 9 入力操作 11 ブリッジ 12 基準電圧 13 基準電圧 14 スイッチ 15 増幅回路

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定対象の信号回路の出力と、制御部
    の出力を入力とするD/A変換器出力とを加算器で加算
    し、該加算器出力を増幅回路およびA/D変換器を経て
    前記制御部に入力する測定回路を用いた高精度測定方法
    において、 入力サイクルに、予備操作、および1回または複数回の
    入力操作を含み、 予備操作では、使用部品の誤差に起因して増幅器の出力
    がスケールオーバーすべき条件であっても、前記D/A
    変換器の出力を調整することによって、前記増幅器の出
    力範囲が前記A/D変換器の入力範囲に収まるように
    し、 入力操作では、前記信号回路から入力データを入力して
    利用することによって、信号レベルが微弱な回路、また
    は高精度を必要とする回路において、絶対値精度が低い
    部品の使用を可能ならしめることを特徴とする高精度測
    定方法。
  2. 【請求項2】 前記入力サイクルにおいて、前記予備操
    作を行なった後に少なくとも1回の補正操作を行ない、 該補正操作では、前記入力データの補正を行なう補正演
    算のために必要なデータを補正データとして入力し、該
    補正データまたはこれに基づく数値を前記制御部に記憶
    し、 前記入力操作では、前記補正操作で入力された前記補正
    データまたはこれに基づく数値を利用して、前記入力デ
    ータに必要な前記補正演算を、前記制御部により行なう
    ことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 相隣る補正操作の間における、回路の周
    囲温度変化および自己加熱による部品の温度変化が、所
    定の値以内になるように補正操作の時間間隔を定めるこ
    とによって、部品の温度誤差が、所定の許容誤差の範囲
    内に収まるようにして、 温度係数が大きな部品の使用を可能ならしめることを特
    徴とする請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 信号回路等の電源を間欠給電とし、使用
    部品の自己加熱による温度変化をおさえることによっ
    て、温度係数が大きな部品の使用を可能ならしめること
    を特徴とする請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記補正操作において使用部品の周囲温
    度を入力し、使用部品の温度変化に起因して発生する誤
    差を補償することによって、 温度係数が大きな部品の使用を可能ならしめることを特
    徴とする請求項2記載の方法。
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