JP3409539B2 - 回転ドラム装置 - Google Patents

回転ドラム装置

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JP3409539B2
JP3409539B2 JP28278395A JP28278395A JP3409539B2 JP 3409539 B2 JP3409539 B2 JP 3409539B2 JP 28278395 A JP28278395 A JP 28278395A JP 28278395 A JP28278395 A JP 28278395A JP 3409539 B2 JP3409539 B2 JP 3409539B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、回転するドラムに
設けた磁気ヘッドで磁気テープに信号を記録再生する回
転型磁気記録再生装置の回転ドラム装置に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、回転型磁気記録再生装置は、広帯
域のデジタル信号や高精細度なテレビジョン信号等、多
量の信号を小型カセットに高密度に記録しなければなら
ず、使用するテープはますます薄くなる方向にある。よ
ってテープ損傷に対してさらなる配慮が必要である。 【0003】従来、回転ドラム装置は特開平2−121
150号公報に記載されているものが知られている。 【0004】以下に、従来の回転ドラム装置について説
明する。図18(a)(b)は、この従来の回転ドラム
装置を組み込んだ回転型磁気記録再生装置の平面図と側
面図を示すものである。同図において、磁気テープ1は
螺旋状のガイド8を持つ固定ドラム2と回転ドラム3に
巻き付いて矢印イ方向に走行する。また、矢印ロ方向に
回転する回転ドラム3には、この回転ドラム3から所定
量突出した磁気ヘッド4、5が組み込まれていて、前記
磁気テープ1に信号を記録または再生する。この時の突
出量は、回転ドラム3より小曲率のヘッドの肩16が回
転ドラム3の外周より出ない範囲に設定してある。ま
た、走行規制ガイド6、7は磁気テープ1が固定ドラム
2に設けた螺旋状のテープガイド8に沿って安定に走行
するよう走行規制する。また、高速回転する回転ドラム
3と磁気テープ1間に発生するエアーフィルム9の厚み
をコントロールするために回転ドラム3の外周には複数
のV字状の溝10、11、12、13が等ピッチで設け
てあり、特開平2−121150号公報では溝の総断面
積が0.1〜0.25mm2になるよう設定してある。
次に図19のテープ浮上特性図をもとに回転ドラム3の
外周の磁気テープ1の浮上の状態を説明する。まず溝の
無い場合のテープ浮上量は14に示すように極めて大で
あり、図18における前記磁気ヘッド4、5の突出量に
対して入り側の浮上量が大き過ぎて磁気ヘッド4、5が
磁気テープ1に接触せず出力が得られない。よって、回
転ドラム3の外周に溝10、11、12、13を設けて
エアーを逃がすことにより、図19での15に示す特性
となって入り側のテープ浮上量が減少し、磁気ヘッド
4、5と磁気テープ1が確実に接触して良好なヘッド出
力が得られる。 【0005】以上の構成の回転ドラム装置で、磁気テー
プ1を走行させ、磁気ヘッド4、5に記録信号を供給す
ると磁気テープ1に連続的に信号が記録でき、同様に再
生できる。その時、回転ドラム3のヘッド入り側から出
側までの磁気テープ1の浮上量を、磁気ヘッド4、5の
突出量に対して十分小さくしてあるため、磁気ヘッド
4、5は磁気テープ1に確実に接触し、安定な信号伝達
ができる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、この回転ドラ
ム装置においては、記録密度向上のため、薄いテープを
使用した場合、次の課題が発生する。使用するテープが
薄くなって剛性が小さくなると、図20のように外周面
より圧力の低い溝部でのテープの陥没による変形(図中
のXの量)が増大し、特に浮上量の少ない出側では溝の
エッジ17と磁気テープ1が著しく接近する。そしてテ
ンション増加等の影響で浮上が減少した時、図21のよ
うに溝エッジ17が磁気テープ1に接触し鋭利なエッジ
が磁気テープを損傷する。特に磁気テープ1の走行立ち
上がり時や停止時において、またモード移行時において
テンション増加が起こり、この課題が発生する。また磁
気テープ1を巻き付けたままで回転ドラム3を起動した
時には、初期のエアーフィルム発生量が少なく、同様に
磁気テープ1を損傷する。また、図22のように磁気テ
ープ1の回転ドラム側の端部18は、エアーの圧力が急
激に減少するにもかかわらず、テープ剛性だけで支えら
れており、剛性の小さな薄手の磁気テープの場合はドラ
ム側へ急激に変形し、回転ドラム3に接近する。そして
その位置に破線で示す溝があった場合、端部の圧力は広
範囲に渡ってさらに低下し、磁気テープ1の端部は19
のようにさらに大きく変形する。しかもこの部分のエア
ーの圧力は不安定であり大きく変動するため、テンショ
ン変動がなくてもテープ端部は変動し、図23、24の
ように溝のエッジ部の磁気テープ端部20、21はエッ
ジ17に破線の如く頻繁に接触する。そして接触圧力が
鋭利なエッジに集中的に作用して磁気テープ1を容易に
損傷する。特にスチルモードで同一部分が繰り返し接触
すると短時間で損傷し、テープを切断することもある。 【0007】本発明は上記従来の課題を解決するもの
で、薄手テープ使用時においても回転ドラム部でのテー
プ損傷を防止し、信頼性の高い回転ドラム装置の提供を
目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、回転ドラム外周面の溝に接する部分を曲面
あるいはテーパー面で構成し、剛性が小さく変形の大き
な薄手磁気テープが、テープ浮上量の減少によって回転
ドラムの外周と接触した時、鋭利なエッジを逃げて前記
曲面あるいはテーパー面を含む外周面で接触するように
構成したものである。これにより、接触時のテープ接触
圧力を広い面で分散して受けることができる。 【0009】 【0010】 【0011】 【0012】 【0013】【発明の実施の形態】 本発明の請求項1 に記載の発明
は、磁気テープを螺旋状に案内する固定ドラムと、この
固定ドラムと同軸で回転する磁気ヘッドを搭載した回転
ドラムとを備え、前記回転ドラムの外周に回転ドラムか
らの磁気テープ浮上をコントロールする溝を設け、この
溝と接する前記回転ドラムの外周面を前記溝に近づくに
従いドラム半径が減少するテーパー面で構成するととも
に、前記溝からみて前記固定ドラム側に位置する前記
ーパー面の回転軸方向の幅より、反対側に位置するテー
パー面の幅を相対的に広く構成したことにより、磁気
ープ浮上量ドラム回転軸方向の不均一な分布に対し
て、テーパー面と回転ドラム外周円筒面との交点が、相
対的に磁気テープ浮上の大きな位置に配置され、その
ことにより磁気テープ端のドラム回転軸方向全般にわた
り、交点と磁気テープ間に軽減された接触力が働くとい
う作用を有する。 【0014】以下本発明の実施の形態について、図面を
用いて説明する。 (実施の形態1)図1は本発明の実施の形態1における
回転ドラム装置の断面図を示し、例えばHDデジタルV
CR協議会で合意された民生用デジタルVCR(SD仕
様)規格、あるいはそれをベースに展開される製品の回
転ドラム装置を例に説明する。図1において磁気テープ
22は螺旋状のテープガイド23を有する固定ドラム2
4と、回転ドラム25に巻き付き、図18と同様に走行
する。ここでドラム径は21.7mm、ドラム回転数は
9000rpmであり、磁気テープは幅6.35mm、
厚み0.007〜0.009mm、ヤング率600〜1
200kg/mm2、のものをテープ張力は6〜12g
で走行させている。また回転ドラム25には先端に磁気
ヘッド26を具備したヘッドベース27がネジ28で固
定してあり、磁気ヘッド26は回転ドラム25の外周面
より突出し、磁気テープ22に十分接触するよう構成し
てある。そしてこの磁気ヘッド26は180度の位相で
2個設けてある。また、回転ドラム25の外周には、回
転ドラム25が高速回転することによって磁気テープ2
2との間に形成されるエアーフィルム29の厚みをコン
トロールするために複数の溝30が設けてある。本実施
の形態ではV字状の三角溝(幅0.1〜0.2mm深さ
0.05〜0.1mmをピッチ0.9mmで5本)を設
けてあるが、角形溝、円形溝またはそれらの複合形状で
もかまわない。さらに、外周円筒面32の溝30側は、
図1の如く曲面で構成してあり、本実施の形態では外周
円筒面32から連続する一定の曲率を持った曲面33で
構成している。そしてこの曲面33の詳細を図3、4を
もとに説明する。回転ドラム25の外周にエアーフィル
ムを介して巻き付く磁気テープ22の形状は、回転ドラ
ム25の外周面32部のエアー圧力と溝30部のエアー
圧力と磁気テープ22の剛性で決定され、図3に示すよ
うな形状になる。そしてこの時の変形量は図20のX寸
法で約0.002mmである。この形状に対し、図3の
34で示すように外周円筒面32と溝側面31との交差
部を曲面で構成した場合、テープテンションの増加等で
テープ浮上量が減少した時、磁気テープ22は曲面34
で接触する。そしてその時の接触圧力は曲面34の接触
した範囲に分散して働くため、テープ損傷を防止でき
る。しかし図3に示すテープ変形形状に対し、曲面34
の曲率が小さいため、接触圧力の分散度合が少なくテー
プ損傷防止効果が不十分である。よって曲率を図4の如
く磁気テープ22の変形形状と曲面35の形状が略々等
しくなるところまで大きくして、曲面部全域のテープ浮
上が等しくなるよう構成すると、テープテンションの増
加等で浮上の減少した磁気テープ22は曲面33の全面
で接触し、接触圧力を最も分散することができるため、
テープ損傷防止効果が最も大きい。さらにこれ以上、曲
面の曲率を大きくした場合には、磁気テープ22の変形
はその曲面にならって略々等しく形成されるため同様の
効果が得られる。よって、テープ損傷防止効果との関係
で曲率を決定すれば良いことになるが、磁気テープ22
の変形形状が曲面35の形状と略々等しくなる曲率以上
の曲面で構成するのが好ましい。さらにこの曲面は曲率
が一定でない自由曲面であってもよく、テープ変形形状
と略々等しくなる曲面であればかまわない。しかし、加
工や精度管理の点で一定曲率の曲面の方が好ましい。ま
た、図2の如く曲面33と溝側面31の交差するエッジ
36は、後述の最大テンションが磁気テープ22に加わ
っても、磁気テープ22に絶対に接触しないよう曲面3
3を延長して逃がしてある。さらに停止した回転ドラム
25に磁気テープ22が巻き付いた状態においても、溝
30内に落ち込む磁気テープ22とエッジ36が接触し
ないようエッジ36は逃がしてある。本実施の形態では
図4に示す如くS=0.2mmの範囲に於てT=0.0
03〜0.01mmになる曲面に設定してあり、この仕
様で、曲面とエアーフィルムを介して対向するテープの
形状を、略々同一形状にすることができる。 【0015】上記の様に構成された本発明の実施の形態
1の回転ドラム装置について、以下その動作を説明す
る。 【0016】例えばビデオ信号を記録する時、回転ドラ
ム25を9000rpmで回転させた後、磁気テープ2
2に6〜12gのテープテンションを与えて一定速度で
走行させると磁気テープ22はエアーフィルム29によ
り回転ドラム25から出側で0.002〜0.003m
m浮上して走行する。そして磁気ヘッド26に記録信号
を供給すると、磁気テープ22に磁気ヘッド26が連続
的に信号を記録する。その記録信号をノーマル再生する
時は、回転ドラム25を記録時と同じ回転数で回転させ
た後、磁気テープ22を記録時と同じ速度で同一方向に
走行させると磁気ヘッド26が磁気テープの記録信号を
連続的に忠実に再生する。また特殊再生する場合は磁気
テープ22を記録時とは異なる速度で正逆方向に走行さ
せ、スローモーション、高速サーチやスチル等の特殊再
生を行う。この時、例えばスチルから高速サーチにモー
ド移行した時、立ち上がり時に過渡的にテープテンショ
ンが増大して磁気テープ22の浮上が著しく減少し、エ
アーフィルム厚の薄い出側の磁気テープ22が図2の如
く回転ドラム25の曲面33に接触しても図3、4に拡
大して示す曲面34、35が接触圧力を分散して受け、
図2に示すエッジ36に接触しないため、磁気テープ2
2を損傷することはない。さらに停止した回転ドラム2
5に磁気テープ22を所定のテンションで巻き付けた後
に回転ドラム25を起動させても、磁気テープ22を損
傷することはない。また、図5の如く圧力の小さい溝3
0近傍に位置する浮上量の小さいテープ端62、37
が、テンション変動やエアー圧力の変動で回転ドラム側
へ落込み、破線の如く回転ドラムと接触しても前記同様
接触圧力を曲面33が分散して受け、エッジ37には接
触しないため、磁気テープ22を損傷することはない。
またスチルモードの如く同一箇所が繰り返し接触して
も、曲面33で接触するため接触圧力が分散されて磁気
テープ22を損傷しない。 【0017】このように本実施の形態は、テープ浮上量
が減少して磁気テープ22が回転ドラム25と接触して
も曲面での接触であり、磁気テープ22の損傷防止に対
しては最も効果的である。しかし、次の欠点がある。回
転ドラムの外周円筒面32はミクロン単位の高精度な寸
法が要求され、精密旋盤で仕上げ加工するのが一般的で
あるが、図1のように溝30の両側に外周円筒面32と
連続した曲面33を加工するのは容易ではない、なぜな
らば、NC旋盤による加工が最も簡単であるが、NC旋
盤には必ずバックラッシュがあり、送り方向を反転した
時にコントロール不可能な領域があってその部分で寸法
精度が悪化したり、段差が発生したりする。よって溝の
一方の曲面加工が終わって他方の曲面加工に移行する
時、コントロール不可能領域があってこの部分で前記不
都合が発生する。これは他の加工法で解決可能ではある
が、曲面の形状精度や寸法精度の管理が困難であり、生
産コストが高価となる。実施の形態2は生産コストの低
減を図ったものである。 【0018】(実施の形態2)図6は本発明の実施の形
態2における回転ドラム装置の断面図を示す。図6にお
いて磁気テープ22は螺旋状のテープガイド39を有す
る固定ドラム24と、回転ドラム25に巻き付き、図1
8と同様に走行する。また回転ドラム25には先端に磁
気ヘッド26を具備したヘッドベース43がネジ44で
固定してあり、磁気ヘッド26は回転ドラム25の外周
面より突出し、磁気テープ22に十分接触するよう構成
してある。そしてこの磁気ヘッド26は180度の位相
で2個設けてある。また、回転ドラム25の外周には、
回転ドラム25が高速回転することによって磁気テープ
22との間に発生するエアーフィルム29の厚みをコン
トロールするために複数の溝30が設けてあり、本実施
の形態ではV字状の三角溝を設けてあるが、角形溝、円
形溝またはそれらの複合形状でもかまわない。さらに、
回転ドラム25の外周には、溝30に近づくに従いドラ
ム半径が減少する方向のテーパー面47、48が設けて
あり、47を第1のテーパー面、48を第2のテーパー
面とする。このテーパー面は次の如く構成してある。回
転ドラム25の外周円筒面49と第1のテーパー面4
7、第2のテーパー面48、および溝30部のエアー圧
力と磁気テープ22の剛性とで決まるテープ変形による
傾斜に対し、テーパー面47、48は図7のように若干
大きな勾配を有して設けてある。このような構成におい
て、テープテンションの増加等で浮上量が減少した場
合、磁気テープ22は図7の破線の如く外周円筒面49
とテーパー面47にまたがって接触するがテーパー面4
7と溝30との交点50には接触せずテープ損傷を防止
できる。図7ではテーパー面47と外周円筒面49の交
点51の角度をかなり鋭角で記載しているが、実際には
Y寸法0.15〜0.25mmに対しZ寸法は0.00
3〜0.01mmであり、交点51は176〜179度
の極めて大きな鈍角である。よって頂点51に磁気テー
プ22が接触しても接触圧力が軽減されてテープ損傷を
防止できる。しかし、テーパー面47の傾きが、図7の
如く、テーパー面と対向する磁気テープ22の傾き形状
より大きくなると、頂点51における接触圧力は増加
し、テープ損傷を起こし易くなる。よって図8の如く磁
気テープ22の変形形状とテーパー面52の勾配が等し
くなるところまで勾配を小さくし、外周円筒面49から
テーパー面52に至る浮上が略々等しくなるよう構成す
ると、テープテンションの増加等で浮上の減少した磁気
テープ22が、テーパー面52の広範囲で接触し、頂点
53にかかる接触圧力が最も分散してテープ損傷が最も
発生しにくい。また、さらにテーパー面52の勾配を小
さくした場合、頂点53の角度がさらに鈍角になって、
テープ損傷がさらに発生しにくくなるが、溝側と交わる
頂点63が接触してテープを損傷してしまう。これを解
消するため、テーパー面52を破線の如く溝側に延長す
れば良いが、溝の断面積が減少してエアーフィルム厚が
増加し、特に入り側のヘッドタッチが悪化する。また、
溝断面積の減少を溝深さの増大で補うことも可能である
が、次の問題がある。現在溝は精密旋盤で加工するのが
一般的であり、先端を約90度に尖らせたバイトを所定
量送り込んで実施の形態のような溝を仕上げている。そ
してその寸法はドラム径、回転数、テープテンション等
の仕様で決まるが、本実施の形態の場合は前述の如くW
=0.1〜0.2mm、深さで0.05〜0.1mmに
設定してある。ここで例えば0.2mm幅の溝を0.1
mmに狭くし、同一の断面積を得るには深さを0.2m
mにする必要があり、先端角28度のバイトを使用しな
ければならない。このような鋭角のバイトは、バイトの
成形が困難であるとともに、加工時の切削抵抗や取扱時
ミスによる破損や、バイト摩耗により寸法が短時間に変
化する等の問題が多く生産性が悪い。よって実用的でな
い。また、図7のY寸法は大きい程頂点51の角度が大
きくなり好ましいが、反対側の頂点と重なってしまうと
コーナー角度が小さくなって接触圧力が集中するため好
ましくない。よって外周円筒面49を僅かに残してテー
パー面を広く構成し、角度を最大限大きくしている。ま
た、図9の如くテーパー面47、48と溝側面54の交
差するエッジ55は、後述する最大テンションが磁気テ
ープ22に加わっても、磁気テープ22に絶対に接触し
ないようテーパー面47、48を若干延長して逃がして
ある。また、停止した回転ドラム25に所定のテンショ
ンで磁気テープ22が巻き付いた状態においても、溝3
0内に落ち込む磁気テープ22とエッジ55が接触しな
いようエッジ55は逃がしてある。 【0019】上記の様に構成された本発明の実施の形態
2の回転ドラム装置について、以下その動作を説明す
る。 【0020】例えば信号を記録する時は回転ドラム25
を9000rpmで回転させた後、磁気テープ22に6
〜12gのテープテンションを与えて一定速度で走行さ
せると磁気テープ22はエアーフィルム29により回転
ドラム25から出側で0.002〜0.003mm浮上
して走行する。そして磁気ヘッド26に記録信号を供給
すると、磁気テープ22に磁気ヘッド26が連続的に信
号を記録する。その記録信号をノーマル再生する時は、
回転ドラム25を記録時と同じ回転数で回転させた後、
磁気テープ22を記録時と同じ速度で同一方向に走行さ
せると磁気ヘッド26が磁気テープの記録信号を連続的
に忠実に再生する。また特殊再生する場合は磁気テープ
22を記録時とは異なる速度で正逆方向に走行させ、ス
ローモーション、高速サーチやスチル等の特殊再生を行
う。この時、例えばスチルから高速サーチにモード移行
した時、立ち上がり時に過渡的にテープテンションが増
大して磁気テープ22の浮上量が著しく減少し、磁気テ
ープ22が図9の如く回転ドラム25の外周面に接触し
ても、溝側面54とのエッジ55が逃げているため磁気
テープ22を損傷することはない。また接触圧力を外周
円筒面49とテーパー面47、48が分散して受け、テ
ーパー頂点58、59への圧力集中は緩和させているた
め、頂点58、59が磁気テープ22を損傷することも
ない。さらに停止した回転ドラム25に磁気テープ22
を所定のテンションで巻き付けた後に回転ドラム25を
起動させても前記同様磁気テープ22を損傷することは
ない。また、図10の如く、圧力の低い溝30近傍のテ
ープ端60、61が、テンション増加や圧力変動によ
り、回転ドラム25側へ破線の如く落込んでも頂点55
とは接触せず、テープを損傷することはない。 【0021】また、本実施の形態のテーパー面は、実施
の形態1の曲面より加工が極めて容易であり、寸法精度
管理も簡単であるため、生産コストを極めて安くできる
というメリットがある。しかし、極めて鈍角とはいえエ
ッジを形成する頂点58、59がテープと接触するた
め、テープを損傷する可能性は若干残っている。実施の
形態3はその可能性を最も少なくしたものである。 【0022】(実施の形態3)図11は本発明の実施の
形態3における回転ドラム装置の断面図を示す。図11
において磁気テープ22は螺旋状のテープガイド65を
有する固定ドラム24と、回転ドラム25に巻き付き、
図18と同様に走行する。また回転ドラム25には先端
に磁気ヘッド26を具備したヘッドベース69がネジ7
0で固定してあり、磁気ヘッド26は回転ドラム25の
外周面より突出し、磁気テープ22に十分接触するよう
構成してある。そしてこの磁気ヘッド26は180度の
位相で2個設けてある。また、回転ドラム25の外周に
は、回転ドラム25が高速回転することによって磁気テ
ープ22との間に発生するエアーフィルム29の厚みを
コントロールするために複数の溝30が設けてある。さ
らに、回転ドラム25の外周には、溝30に近づくに従
いドラム半径が減少する方向の第1のテーパー面73、
第2のテーパー面74が設けてあり、実施の形態2と同
様、外周円筒面75からテーパー面73、74に至る浮
上が等しくなるよう構成してある。また、本実施の形態
では第1のテーパー面73の幅を第2のテーパー面74
の幅より広く構成してあり、次にその理由を説明する。
図12に回転ドラム25に巻き付く磁気テープ22の端
部を示してあり、a−a、b−b、c−c、d−d、e
−e位置のテープ浮上の状態を図13のf、g、h、
i、jに示す。また、図14には磁気テープ22と回転
ドラム25の外周面間で圧縮されたエアーが、テープ端
面および溝内へ流出する箇所を矢印で示してある。ここ
で図12と図14は回転ドラム25のテーパー面は省略
してあり、図13のテーパー面は後の説明を分かりやす
くするため、どちらも等しい幅に設定してある。まず、
図14のエアーの流出から説明すると、磁気テープ22
の端部からは矢印ハに示す如く全域に渡り大量のエアー
が流出している。また、溝30内へはそれぞれニ、ホ、
ヘ、トに示す方向に外周面からのエアーが流入し、溝内
のエアーは矢印チ、リの方向へ流出する。このエアー流
出位置から見て、テープ端部のエアー圧力は、溝部が最
も低く、次に低いのは、磁気テープ22の外周面と対向
する面が狭くしかも両側からエアーが流出するkの領域
である。そして矢印lの方向に従って段々圧力が上昇
し、反対側の溝に近づくと反転して低下する。そしてそ
れぞれの部分のテープ浮上状態を図12に示した各位置
で見ると、まず図12のa−a位置は磁気テープ22の
端部が溝30の中にあり端部のエアー圧力が最も低い部
分であるから、図13のfの如くテープ端が回転ドラム
側へ最も低下する。次に図12のb−b位置は端部が外
周面に少しかかった位置にあり、テーパー面とテープ間
に残る小さなエアー圧力でテープ端部はfより僅か上昇
してgの位置となる。次にc−c位置は下側テーパー頂
点76の位置であり、テープと回転ドラム外周面との対
向する範囲がさらに増加するため、外周面とテープ間の
エアー圧力がさらに上昇してテープ端部はhの位置まで
上昇する。次にd−d位置は上側テーパー頂点77の位
置であり、テープが回転ドラム外周面と対向する範囲が
c−c位置よりさらに増加するため外周面とテープ間の
エアー圧力がさらに上昇してテープ端部はiの位置まで
上昇する。次にe−e位置になるとテープ端部は再び溝
30にかかり、急激に端部のエアー圧力が低下してテー
プ端部はjまで低下する。この時の磁気テープ22の端
面を図12の矢印m方向から見た変形形状を図15に示
す。図15から溝位置で最も落ち込んだテープ端は、回
転ドラムの外周面と対向する範囲が増加するに従って浮
上が増加し、次の溝で再び落ち込むこととなる。図13
および図15の磁気テープ端部の浮上で見ると、テーパ
頂点77より76位置での浮上が小さく、変動によって
テープ端部がテーパ頂点に接触する確率はテーパ頂点7
6の方が高く、しかも接触圧力も大きくなってテープ損
傷を発生しやすくなる。また、エアー圧力の低い部分の
方が変動も発生しやすい。よってテーパー頂点76は7
7側に設けたほうが、頂点位置のテープ端部との接触を
軽減でき、テープ損傷をより防止できる。そしてその位
置は図15の浮上の最も大きな位置近傍が最も好まし
く、本実施の形態では図16の如く磁気テープ22の端
面の最も浮上の大きい位置近傍に第1のテーパー面の頂
点78と第2のテーパー面の頂点79を設定している。 【0023】上記の様に構成された本発明の実施の形態
3の回転ドラム装置について、以下その動作を説明す
る。 【0024】例えば信号を記録する時は回転ドラム25
を9000rpmで回転させた後、磁気テープ22に6
〜12gのテープテンションを与えて一定速度で走行さ
せると前記の実施の形態2と同様磁気テープ22に記録
再生することができる。また、その記録信号を特殊再生
する場合は磁気テープ22を記録時とは異なる速度で正
逆方向に走行させ、スローモーション、高速サーチやス
チル等の特殊再生を行う。この時、例えばスチルから高
速サーチにモード移行した時、立ち上がり時に過渡的に
テープテンションが増大して磁気テープ22の浮上量が
著しく減少し、磁気テープ22が図17の如く回転ドラ
ム25の外周面に接触しても、頂点80が逃げているた
め磁気テープ22を損傷することはない。また接触圧力
を外周円筒面75とテーパー面73、74が分散して受
け、テーパー頂点78、79への圧力集中は緩和させて
いるため、頂点78、79が磁気テープ22を損傷する
こともない。さらに停止した回転ドラム25に磁気テー
プ22を所定のテンションで巻き付けた後に回転ドラム
25を起動させても前記同様磁気テープ22を損傷する
ことはない。また、図13の如く、圧力の低い溝30近
傍のテープ端g、jが、テンション増加や圧力変動によ
り、回転ドラム25側へ落込んでも頂点80とは接触せ
ず、テープを損傷することはない。これは図16の如く
テーパー面を構成しても同様である。また、テーパー頂
点78、79を、磁気テープ22のテープ端部における
テープ浮上量の最大位置近傍に設けてあるため、テーパ
ー頂点78、79に磁気テープ22の端部が接触しにく
く、接触しても接触圧力を最も軽減できるためテープ損
傷を最も防止することができる。また本実施の形態は、
実施の形態2同様テーパー面で構成してあるため、実施
の形態1の曲面より加工が極めて容易であり、寸法精度
管理も簡単であるため、生産コストを極めて安くでき
る。 【0025】 【発明の効果】以上のように本発明は、磁気テープを螺
旋状に案内する固定ドラムと、この固定ドラムと同軸で
回転する磁気ヘッドを搭載した回転ドラムとを備え、前
記回転ドラムの外周に回転ドラムからの磁気テープ浮上
をコントロールする溝を設け、この溝と接する前記回転
ドラムの外周面を前記溝に近づくに従いドラム半径が減
少するテーパー面で構成するとともに、前記溝からみて
前記固定ドラム側に位置する前記テーパー面の回転軸方
向の幅より、反対側に位置するテーパー面の幅を相対的
に広く構成した回転ドラム装置であり、このような構成
により、薄手磁気テープを使用しても回転ドラム部での
磁気テープ損傷を防止でき、さらに、長時間スチルモー
ドの状態にしても磁気テープ損傷を防止でき、装置の信
頼性を確保できるという効果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施の形態1における回転ドラム装置
の断面図 【図2】本発明の実施の形態1における回転ドラム外周
面曲率部とテープの接触状態を示す断面図 【図3】本発明の実施の形態1における回転ドラム外周
の小曲率曲面を示す断面図 【図4】本発明の実施の形態1における回転ドラム外周
の好ましい曲面を示す断面図 【図5】本発明の実施の形態1における回転ドラム溝近
傍と磁気テープの接触状態の説明図 【図6】本発明の実施の形態2における回転ドラム装置
の断面図 【図7】本発明の実施の形態2における回転ドラム外周
テーパー面を示す断面図 【図8】本発明の実施の形態2における回転ドラム外周
の好ましいテーパー面仕様を示す断面図 【図9】本発明の実施の形態2における回転ドラム外周
テーパー面とテープの接触状態を示す断面図 【図10】本発明の実施の形態2における回転ドラム外
周溝とテープ端との接触状態の説明図 【図11】本発明の実施の形態3における回転ドラム装
置の断面図 【図12】本発明の実施の形態3における回転ドラム外
周溝とテープ端部との位置関係の説明図 【図13】本発明の実施の形態3の図10で示したテー
プ端のみのテープ浮上説明図 【図14】本発明の実施の形態3の図10のテープ位置
でのエアー流出部を示す説明図 【図15】本発明の実施の形態3の図10で示したテー
プ端のみのテープ浮上説明図 【図16】本発明の実施の形態3の図10で示したテー
プ端のみのテープ浮上とテーパー頂点位置との関係を示
す説明図 【図17】本発明の実施の形態3の回転ドラム溝近傍と
磁気テープとの接触状態の説明図 【図18】従来の回転ドラム装置を示す平面図と側面図 【図19】従来の回転ドラム装置のテープ浮上を示すテ
ープ浮上特性図 【図20】従来の回転ドラム装置の溝部でのテープ変形
形状を示す断面図 【図21】従来の回転ドラム装置の溝エッジとテープと
の接触状態を示す断面図 【図22】従来の回転ドラム装置の回転ドラム側のテー
プ端部の変形形状を示す断面図 【図23】従来の回転ドラム装置のテープ端部と一方の
溝エッジの接触状態を示す断面図 【図24】従来の回転ドラム装置のテープ端部と他方の
溝エッジの接触状態を示す断面図 【符号の説明】 22 磁気テープ 24 固定ドラム 25 回転ドラム 26 磁気ヘッド 30 溝 32 外周円筒面 33 曲面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古賀 昭 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 藤木 三久 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−36414(JP,A) 実開 昭49−6010(JP,U) 実開 昭47−36307(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 15/61

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】【請求項1】 磁気テープを螺旋状に案内する固定ドラ
    ムと、この固定ドラムと同軸で回転する磁気ヘッドを搭
    載した回転ドラムとを備え、前記回転ドラムの外周に回
    転ドラムからの磁気テープ浮上をコントロールする溝を
    設け、この溝と接する前記回転ドラムの外周面を前記
    に近づくに従いドラム半径が減少するテーパー面で構成
    するとともに、前記溝からみて前記固定ドラム側に位置
    する前記テーパー面の回転軸方向の幅より、反対側に位
    置するテーパー面の幅を相対的に広く構成したことを特
    徴とする回転ドラム装置。
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