JP3404570B2 - 球形の回転ピストン機関 - Google Patents

球形の回転ピストン機関

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JP3404570B2 JP2000174277A JP2000174277A JP3404570B2 JP 3404570 B2 JP3404570 B2 JP 3404570B2 JP 2000174277 A JP2000174277 A JP 2000174277A JP 2000174277 A JP2000174277 A JP 2000174277A JP 3404570 B2 JP3404570 B2 JP 3404570B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、内燃ピストン機
関においてピストンの往復動による往復質量慣性力を解
決したピストンスピードの高い、軽量コンパクトな高回
転イコール高出力の回転ピストン機関に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術の構成】現在、2行程サイクル、又は4行程
サイクルの原動機は、レシプロカッティングピストン機
関(以下、往復ピストン機関という)の火花点火機関と
圧縮気に燃料を噴射するディーゼル機関が各種汎用機関
として存在する。また、極一部ではあるが、50〜10
0ps程度の小型ガソリン自動車機関として2節エピトロ
コイド曲線の包絡線と、その内包絡線とを組合わせた4
行程サイクルのヴァンケル機関がある。
【0003】往復ピストン機関は、一般にはシリンダー
(シリンダーブロック、ライナー、シリンダーヘッド、
クランクケース)、ピストン、コネクティングロッド
(連接棒)、クランクシャフト、フライホイール(はず
み車)等の主要構成部品と、気化器や吸、排気等の燃料
系統の装置、冷却装置、点火装置、始動装置等からなる
補機類とを有し、及び4行程サイクル機関には弁とその
動弁装置とを有して構成されている。また、ディーゼル
機関は、気化器や点火装置に代わり燃料噴射ポンプ、燃
料噴射弁等の燃料供給装置を有するものである。
【0004】そして、それら構成部品は、シリンダーを
外筒として受圧片に相当する内筒のピストンが嵌まる
が、そのピストンにはシリンダー壁面との密封作用と潤
滑油膜の調節、ピストンの放熱等の役目をするピストン
リング、即ちピストン環が取付けられ、シリンダー内の
媒体燃焼に伴う膨張圧力をピストン頭部に受けて熱エネ
ルギーを機械エネルギーの直線運動として往復動に変換
する。次に、その往復動はピストンピンを介して弧状運
動をする連接棒に伝達され、更にその連接棒の大端部を
クランクピンに連結してクランク軸がピストンの直線往
復運動を円運動に変換するものである。また、機関出力
の増大、振動の軽減、トルク変動を減少させる等の見地
から複数の気筒にした多気筒機関がある。
【0005】また、前記ヴァンケル機関は、往復ピスト
ン機関のシリンダーブロックに相当する2節エピトロコ
イドの内周面を持つ筒状のローターハウジング内に、そ
の2節エピトロコイドの内包絡線からなる弓形輪郭面の
3辺を持った3角形のローターが、3角形の中央部分を
貫く円孔に形成されたローター軸受と、その円孔内に取
付けられた内歯歯車のトロコイド位相歯車とを有して設
けられている。また、3角形ローターの各頂点に取付け
られた棒状のシールエレメントがローターハウジングの
内周面に接触し、その内周面とローターの弓形輪郭面と
両側を覆っているサイドハウジングの壁面により三つの
作動室を形成する。
【0006】そして、その作動室容積が最小となるエピ
トロコイドの二つの節部分が往復ピストン機関のピスト
ン上死点に相当し、その一方が燃焼室を担当している。
トルクを発生させる燃焼室の燃焼ガス圧力は、ローター
の弓形輪郭面に加わってローター軸受に挿入した偏心軸
の偏心輪にその回転軌跡の切線方向と、その偏心軸の軸
受荷重として作用する。また、ローターのトロコイド位
相歯車と噛み合うサイドハウジングに取付けた固定外歯
歯車によって、ローターは頂点を常にローターハウジン
グのエピトロコイド曲線に沿って自転し公転する遊星運
動を行い、そのローターの回転に伴って同一の方向にロ
ーターが1、機関軸である偏心軸が3の回転比を有して
回転するものである。
【0007】
【従来技術の問題点】上記した従来技術の往復ピストン
機関には、以下のような問題点、或は機関の高性能化に
伴う問題点として指摘すべき以下のような機関性能の限
界がある。即ち、一般に機関性能とは、出力(PS)と
燃料の消費率(g/PS・h)とであるが、現在求めら
れている高性能の内燃ピストン機関とは、高出力であ
り、燃料の経済性に優れ、排出ガスの低、無害化を具備
し、軽量コンパクトであり、且つ静粛機関でなければな
らないが、高性能化という条件下において機関の性能は
相反して両立しないことが多く、例えばそれは出力と燃
費性能、出力と静粛性(振動、騒音)、出力と排出ガス
浄化、また高出力化は機関寸法、重量の強化、補機類の
大容量化を招いたりしかねない。
【0008】機関における出力向上の要素は、行程体積
(l)、平均有効圧力(kg/cm2)、機関速度(r.p.m)
であり、単位出力当たりの体積重量の最も小さい原動機
はガソリン機関であるが、それにはPS/lの比出力の
大きいことが必要である。しかし、行程体積を増大させ
る大排気量による出力向上は現代にはそぐわないし、比
出力も必ずしも大きくならないから高性能とは言い切れ
ない。必然的に平均有効圧力を増大させるか、機関速度
の高回転化によるか、或はその両方を高める必要があ
る。
【0009】高回転は単位時間内の仕事量が増して高出
力が実現するが、回転数はピストンスピードによって制
限される。つまり、ショートストロークにするほど高回
転は得られるが、高回転化はフリクションロス、即ち摩
擦損失が二次曲線的に増加し、その結果として正味馬力
はある回転数で最大値となる。平均有効圧力は1サイク
ル中に大きく変化するシリンダー内圧力の平均値である
が、吸入空気重量の吸入効率に比例する。以上のことか
ら、出力は回転数と吸入効率とに比例はするが、回転数
の増大と共に吸入空気流速抵抗が増加して吸入効率は低
下する。
【0010】また、空気流動の慣性によって吸、排気の
作用角は大きくオーバーラップするが、高回転域で高い
吸入効率を求めようとして大きい作用角にするほど低速
域の圧縮行程の始めに吸気の逆流や吸、排気の干渉が生
じ、吸入空気量が減少してトルクは低下し、反対に低回
転域で吸入効率を高くした場合には高回転域の吸入効率
が低下する。更に、それら1回の吸入作業は百台分の秒
という短時間であること、燃焼室分の残留ガスがあるこ
と、種々の補機類の背圧がある等から与えられた容積い
っぱいの排気量分だけの空気、或は混合気を吸い込むこ
とが出来ない。従って、高い出力を得ることは吸入空気
重量を増やすこと、即ち吸入効率を向上させることに他
ならない。
【0011】吸入空気の体積効率の向上は平均有効圧力
を高める手段であるが、一方平均有効圧力は熱効率によ
っても大きく左右される。熱効率は圧縮比と共に増大
し、その増大する熱効率の増加率は次第にゆるやかにな
るが、有効熱量の増大は正味圧力を高めて燃費性能を向
上させる。結局、高圧縮比機関は高性能ではあるが、そ
の反面ガソリン機関においては、高圧縮による高温、高
圧は異常燃焼の発生を容易にする。具体的には自然発火
の一種であるノッキングの発生であり、強制振動の衝撃
によって機関各軸受の耐久性は悪化し、燃焼ガスの激し
い圧力振動の為に有効な動力に変わるべき高温の熱が多
量に燃焼室に伝熱され、機関を加熱してピストン、バル
ブの熔損とか、シリンダーの熱変形、潤滑油の変質、油
膜の破壊によるピストンとシリンダーの焼き付き等、致
命的な破損にもなる。
【0012】また高温のもとでの燃焼生成物は、吸熱反
応をして温度の上昇と共に熱解離が進み、窒素酸化物等
の有害な燃焼ガス生成は増大する。換言すれば、ガソリ
ン機関においての球形燃焼室とか、点火プラグの中央部
配置とか、スワール、スキッシュ流の強化といったノッ
キング対策は有害な窒素酸化物(NOx)を増大させる
から、高圧縮比は機関の熱効率を増大させるがノッキン
グによって制限されることになる。また、シリンダー内
で燃焼する燃料熱量の熱勘定のうち、実際に正味出力と
して有効に利用できるガソリン機関の正味熱効率は僅か
30%前後(ディーゼル機関は35%前後)でしかない
が、高回転であれ、高圧縮であれ、高出力の為に高い熱
効率水準を求めれば必然的に機関は過熱し、冷却装置の
性能向上や大型化、各部の剛性・強度比重の強化、油温
上昇の対策も必要になり、その意味では高性能という条
件にそぐわなくなる。
【0013】往復ピストン機関の不具合は、ピストンが
シリンダー内を直線的に往復動することに起因する。即
ち、運動部分が軸対称の回転体であれば等速円運動をす
る為に慣性抵抗として作用する遠心力が求心力とつり合
って機関に振動は発生しない。しかし、周期的に繰り返
すピストンの往復加速運動は、往復質量の慣性力、及び
慣性偶力の効果を無にすべき平衡が損われて機関振動が
発生する。特に、高回転機関では機関平衡の手段がない
と実用には耐えないものであり、また単気筒機関におい
ては慣性力をバランスウエイトによっても完全に打ち消
すことが出来ない。
【0014】一次、二次慣性力、慣性偶力がつり合うの
はクランク軸に6個のクランクを持つ6気筒機関からで
あり、4サイクル直列4気筒機関では2個ずつの往復質
量を対称方向に向かせることにより一次慣性力は互いに
打ち消し合うが、二次慣性力が発生するから、そこで二
次慣性力平衡装置を装着すれば、その為に重量増大や高
生産費、且つその分複雑になることは否めない。或は、
出力増大やトルク変動を少なくする為に多気筒機関にす
る必要があり、必然的に多気筒機関は重量・寸法等の機
関全体の容積が大きくなる。
【0015】また6、8気筒直列機関のような長軸の回
転軸では、軸の1回転に与えられる規則的な回転力と回
転軸自身の自然振動とが同調すると軸破壊を招く激しい
自然振動が発生する為に軸の振れ止め(ダンパー)を必
要とするし、各々のピストンがピストンピン、コネクテ
ィングロッド、クランクを経て回転軸に連結される為に
同一部品の点数を多くしている。また、円筒シリンダー
の頂部に吸、排気バルブの取付け箇所が限られているこ
とにより吸入空気重量が制限され、且つ吸、排気効率の
向上と動弁装置の慣性質量低減等の為に個々の部品を細
分化した多バルブ化の傾向は、そのいずれの場合にもそ
の分解、組立ての作業性には不利である。
【0016】或は往復ピストン機関においては、同じ内
燃機関であるガスタービンの動圧に対して静圧を回転力
に変えるもので、容積/面積比が小さい為に最高燃焼温
度が高く、有害排気ガスである窒素酸化物(NOx)の
生成が多い。また、往復ピストン機関のピストンスピー
ドは、行程/内径比のオーバースクエアな行程長が小さ
いほど高く出来るが、それが余りにも速いと潤滑の追従
が困難となってピストンは破壊しやすくなり、ピストン
スラップ、及び上述した往復動の慣性質量増加による振
動、騒音は増大し、同様にバルブ装置も、機関回転数を
高めるほどに異常振動を発生して機関の高回転化を阻止
し、それらバルブタイミングの狂いは吸、排気効率を低
下させ、バルブとピストンとを干渉し易くし、ひいては
バルブとピストンは衝突して機関そのものが破壊される
ことにもなり、平均ピストンスピードの実用回転範囲を
狭くしている。
【0017】以上のことを要約すれば、往復ピストン機
関の欠点は、その作動においてピストン、コネクティン
グロッド、弁等の往復運動部分の慣性質量による障害が
避けられないことである。即ち、高出力の為の高回転化
が阻止されて使用回転範囲が狭く、機関振動・騒音が大
きく、構造が複雑で機関容積が大きい。また、浄化の困
難な窒素酸化物(NOx)の生成が多いことである。
【0018】次に、ヴァンケル機関の欠点について述べ
れば、吸入と燃焼部分とが同一の箇所ではないこと、ハ
ウジングとローターからなる作動室が平面、平板から構
成されていることであり、それは高温の燃焼室壁が吸入
新気によって冷却されることがなく、機関の吸入側と燃
焼側との温度差が大きく、バイメタル的に熱変形したそ
の壁面にローター頂点のアペックスシール等では追従出
来ない。また、作動室が方形断面であり、その断面積が
変化することにより完全な気密保持が不可能であり、著
しいリークロスと油膜潤滑の油膜生成の不可能による著
しい摩擦摩耗がある。
【0019】当然それらは、原理上の不具合と相俟って
燃料や潤滑油の消費率の増大、悪化を示すものであり、
不完全燃焼、吹き抜け、ダイリューションガス、火炎伝
播不良等による未燃焼ガスの強制排出で有害COやオキ
シダント、いわゆる光化学スモッグの原因であるHC価
を極度に高くしている。また、部品・機構が簡単さを欠
いて難解で、より少ない製作誤差と高い組立て精度が求
められ、コスト高で耐久性は劣り、気密保持の不良、燃
焼室形の不良等によりディーゼル機関には適合しない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、上述
した従来の内燃ピストン機関の限界と問題点とに鑑み、
出力、燃料消費、排出ガス、静粛性、耐久性、重量寸
法、生産費等の内燃機関に不可欠の諸条件を満たすと共
に、ピストン、即ち受圧片の往復動を排除して従来の内
燃ピストン機関とは全く異なった基本構造を有し、且つ
従来機関よりも優れた各種性能を有する新規な内燃ピス
トン機関を提供するものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、相互に関係す
る点、線、面の幾何学的構成における幾何図形上におい
て成り立つ基本的な構造の特質がある。
【0022】
【解決手段1】本発明は、上記課題を解決する為の手段
の一つとして、球心Oから半径rを有して球面Gをなす
内壁面に形成したハウジング10において、角度θをな
し球心Oにおいて交差する固定した二つの軸直線をX軸
線、Y軸線とし、そのX軸線が球面Gに交わる点をPと
し、またY軸線が球面Gに交わる点をQとし、その点
P、点Q間を底面の直径として球心Oを頂点とする円錐
形の軌跡をUとし、更に球心OにおいてX軸線に直交す
る軸直線をM軸線とし、そしてX軸線に水平面をなして
その直径線分の軸線Lを自転軸とする球面G内の大円平
面をR円面とし、またY軸線を鉛直軸線として球面G内
に球心Oを通って形成される大円平面をS円面とし、そ
のR円面とS円面が球心Oにおいて交差する交差割線を
軸線Kとし、その交差割線Kの両端を点Ka、点Kbと
する。
【0023】上記のように点、線、面の各関係を設定し
たハウジング10には、S円面延長平面上のハウジング
10内壁を周回溝の軌道隙12に削成してX軸線が貫通
するハウジング10対向壁に主軸受13,13を設け
る。その主軸受13,13には直軸状をなす回転主軸2
0の両側軸頸を軸承させ、この回転主軸20の球心Oに
位置してM軸線を連結軸とするピン継手関節55のピン
柱か、又はピン受孔の何れかからなる軸央枢25を持た
せる。
【0024】R円面上には、球面Gをなすハウジング1
0内壁面に回転可能に接する対向外周面の球弧面32,
32と、その球弧面32,32の弓形輪郭平面をなして
K軸線側を弦とする表裏の弓形面31,31、31,3
1と、その弦側に円柱状のピストン中間軸33を介在合
体させた略円形板の回転ピストン30を配置する。この
回転ピストン30には、両球弧面32,32に前記回転
主軸20を遊挿させるピストン通軸孔34を開口させ、
且つそのピストン通軸孔34の中央部に前記軸央枢25
に対応する連結素子のピストン枢35を設けてX軸線上
の回転主軸20に対して±θ角度の範囲を揺動可能に枢
着させると共に、ピストン中間軸33両端の前記点K
a、点Kb側に蝶番関節50素子の蝶番ピン51,5
1、又は蝶番ピン受52,52を設ける。
【0025】また、S円面上には、両側表裏の弓形面4
1,41、41,41と、ピストン中間軸33柱面に摺
接関係に契合して互いに対面する弦側面42,42とか
ら形成される二つの弓形板に、前記軌道隙12に回転可
能に嵌合する環状の斜行板環43を合体させて外周面と
した円形板状の斜行板40を配置する。この斜行板40
には、前記点Ka、点Kb側に位置する斜行板環43の
対向両側に前記蝶番関節50素子に対応する連結素子を
設けて嵌合させ、この蝶番関節50が斜行板40と回転
ピストン30とを交差割線Kを蝶着の軸として±θ角度
範囲に擺動可能に連結する。
【0026】すると、S円面上の斜行板40が、球面G
のハウジング10の内壁面を閉鎖して半球状の定積空間
からなる二つの半月状作動室Ha,Haを形成し、その
半月状作動室Ha,Haの各々をR円面上の回転ピスト
ン30が、二つずつの櫛形状の空間をなす四つの作動室
Fu,Fu、Fu,Fuに形成する。更に、半月状作動
室Ha,Haに臨ませて作動媒体の吸入孔Inと排出孔
Exと、適宜その作動媒体の通路を開閉するバルブ装置
Vaとを設け、且つ燃焼室を窺って点火具Ig、或は燃
料噴射弁を挿着したことを特徴とする球形の回転ピスト
ン機関である。
【0027】
【解決手段2】解決手段のもう一つとして、上記解決手
段の1と同様にハウジング10内部に球心O、半径r、
球面G、角度θ、軸線X、軸線Y、点P、点Q、円錐軌
跡U、軸線M、軸線L、R円面、S円面、交差割線K、
点Ka、点Kbの点、線、面の各関係を設定する。
【0028】そのように点、線、面の各関係を設定した
ハウジング10をS円面の平行平面で両側に分けて球面
Gの内壁面を有する半球状空間の作動室部分と、Y軸線
に同心円の半径rより大きい内径長の内周面を有する凹
状空隙の軌道隙12の部分とに形成してX軸線が貫通す
るハウジング10壁に主軸受13を設ける。その主軸受
13に直軸状をなす回転主軸20の軸頸を軸承させ、こ
の回転主軸20の球心Oに位置してM軸線を連結の軸と
するピン継手関節55のピン柱か、又はピン受孔の何れ
かからなる軸央枢25を持たせる。
【0029】R円面上には、球面Gのハウジング10内
壁面に回転可能に接する外周面の球弧面32と、その球
弧面32の弓形輪郭平面をなしてK軸線側を弦とする表
裏の弓形面31,31と、その弦側に円柱状のピストン
中間軸33を合体させた略半円板の回転ピストン30を
配置する。この回転ピストン30には、球弧面32に前
記回転主軸20を遊挿させるピストン通軸孔34を開口
させ、且つそのピストン通軸孔34のピストン中間軸3
3内の中央部に前記軸央枢25に対応する連結素子のピ
ストン枢35を設けてX軸線上の回転主軸20に対して
±θ角度の範囲を揺動可能に枢着させると共に、ピスト
ン中間軸33両端の前記点Ka、点Kb側に蝶番関節5
0素子の蝶番ピン51,51か、又は蝶番ピン受52,
52を設ける。
【0030】また、S円面上には、K軸線上のピストン
中間軸33を挟む両側に弓形面41,41と、その弓形
面41,41間にピストン中間軸33柱面と摺接関係に
契合する溝状の凹面からなる弦側面42と、その両弓形
面41,41の裏面を同一の回転面に形成した外郭摺接
面45とから形成された円形板に、前記軌道隙12に回
転可能に嵌合する環状の斜行板環43を合体させて外周
面とした円形状板の斜行板40を配置する。この斜行板
40には、前記点Ka、点Kb側に位置する斜行板環4
3の対向両側に前記蝶番関節50素子に対応する連結素
子を設けて嵌合させ、この蝶番関節50が斜行板40と
回転ピストン30とを交差割線Kを蝶着の軸として±θ
角度範囲に擺動可能に連結する。
【0031】すると、S円面上の斜行板40が、球面G
のハウジング10の内壁面を閉鎖して半球状の定積空間
からなる半月状作動室Haを形成し、その半月状作動室
HaをR円面上の回転ピストン30が、櫛形状の空間を
なす二つの作動室Fu,Fuに形成する。更に、半月状
作動室Haに臨ませて作動媒体の吸入孔Inと排出孔E
xと、適宜その作動媒体の通路を開閉するバルブ装置V
aとを設け、且つ燃焼室を窺って点火具Ig、或は燃料
噴射弁を挿着したことを特徴とする球形の回転ピストン
機関である。
【0032】
【解決手段3】また別の解決手段は、上記解決手段1と
同様にハウジング10内部に球心O、半径r、球面G、
角度θ、軸線X、軸線Y、点P、点Q、円錐軌跡U、軸
線M、軸線L、R円面、S円面、交差割線K、点Ka、
点Kbの点、線、面の各関係を設定する。
【0033】そのように点、線、面の各関係を設定した
ハウジング10には、S円面延長平面上のハウジング1
0内壁面円周に周回溝の軌道隙12を削成してX軸線が
貫通するハウジング10対向壁に主軸受13,13を設
ける。その主軸受13,13に直軸状をなす回転主軸2
0の両軸頸を軸承させ、この回転主軸20の球心Oに位
置してM軸線を連結軸とするピン継手関節55のピン柱
か、又はピン受孔の何れかからなる軸央枢25を持たせ
る。
【0034】R円面上には、球面Gのハウジング10内
壁面に回転可能に接してS円面を跨ぐ半球面より大きい
回転外周面の球弧面32と、その球弧面32の弓形輪郭
平面をなして互いの弦側がK軸線を挟む両側の弓形面3
1,31と、その両側弓形面31,31間に円柱状のピ
ストン中間軸33を半埋い込み状に介在合体させた半球
状円形板の回転ピストン30を配置する。この回転ピス
トン30には、球弧面32の対向両側に前記回転主軸2
0を遊挿させるピストン通軸孔34を開口させ、且つそ
のピストン通軸孔34の中央部に前記軸央枢25に対応
する連結素子のピストン枢35を設けてX軸線上の回転
主軸20に対して±θ角度の範囲を揺動可能に枢着させ
ると共に、ピストン中間軸33両端の前記点Ka、点K
b側に蝶番関節50素子の蝶番ピン51,51、又は蝶
番ピン受52,52を設ける。
【0035】また、S円面上には、表裏の弓形面41,
41と、ピストン中間軸33柱面に摺接関係に契合する
弦側面42とから形成される弓形板に、前記軌道隙12
に回転可能に嵌合する環状の斜行板環43を合体させて
外周面とした円形板状の斜行板40を配置する。この斜
行板40には、前記点Ka、点Kb側に位置する斜行板
環43の対向両側に前記蝶番関節50素子に対応する連
結素子を設けて嵌合させ、この蝶番関節50が、斜行板
40と回転ピストン30とを交差割線Kを蝶着の軸とし
て±θ角度範囲に擺動可能に連結する。
【0036】すると、S円面上の斜行板40が、球面G
のハウジング10の内壁面を両側に隔てて半球状の空間
からなる二つの半月状作動室Ha,Haを形成し、その
半月状作動室Ha,Haの各々をR円面上の回転ピスト
ン30が、櫛形状の空間をなす作動室Fu,Fuに形成
する。更に、半月状作動室Ha,Haに臨ませて作動媒
体の吸入孔Inと排出孔Exと、適宜その作動媒体の通
路を開閉するバルブ装置Vaとを設け、且つ燃焼室を窺
って点火具Ig、或は燃料噴射弁を挿着したことを特徴
とする球形の回転ピストン機関である。
【0037】
【解決手段4】更に別の解決手段は、上記解決手段1と
同様にハウジング10内部に球心O、半径r、球面G、
角度θ、軸線X、軸線Y、点P、点Q、円錐軌跡U、軸
線M、軸線L、R円面、S円面、交差割線K、点Ka、
点Kbの点、線、面の各関係を設定する。
【0038】そのように点、線、面の各関係を設定した
ハウジング10をS円面の平行平面で両側に分けて球面
Gの内壁面を有する半球状空間の作動室部分と、Y軸線
に同心円の半径rより大きい内径長の内周面を有する凹
状空隙の軌道隙12の部分とに形成してX軸線が貫通す
るハウジング10壁に主軸受13を設ける。その主軸受
13に直軸状をなす回転主軸20の軸頸を軸承させ、こ
の回転主軸20の球心Oに位置してM軸線を連結の軸と
するピン継手関節55のピン柱か、又はピン受孔の何れ
かからなる軸央枢25を持たせる。
【0039】R円面上には、球面Gのハウジング10内
壁面に回転可能に接する外周面の球弧面32と、その球
弧面32の弓形輪郭平面をなしてK軸線側を弦とする表
裏の弓形面31,31と、その弦側に円柱状のピストン
中間軸33を合体させた略半円板の回転ピストン30を
配置する。この回転ピストン30には、球弧面32に前
記回転主軸20を遊挿させるピストン通軸孔34を開口
させ、且つそのピストン通軸孔34のピストン中間軸3
3内の中央部に前記軸央枢25に対応する連結素子のピ
ストン枢35を設けてX軸線上の回転主軸20に対して
±θ角度の範囲を揺動可能に枢着させると共に、ピスト
ン中間軸33両端の前記点Ka、点Kb側に蝶番関節5
0素子の蝶番ピン51,51、又は蝶番ピン受52,5
2を設ける。
【0040】また、S円面上には、K軸線上のピストン
中間軸33を挟んで両側に弓形面41,41と、その弓
形面41,41間にピストン中間軸33柱面と摺接関係
に契合する溝状の凹面からなる弦側面42と、その両弓
形面41,41の裏面を同一回転面に形成した外郭摺接
面45とから形成される円形板に、前記軌道隙12に回
転可能に嵌合する環状の斜行板環43を合体させて外周
面とした円形状板の斜行板40を配置する。この斜行板
40には、前記点Ka、点Kb側に位置する斜行板環4
3の対向両側に前記蝶番関節50素子に対応する連結素
子を設けて嵌合させ、この蝶番関節50が斜行板40と
回転ピストン30とを交差割線Kを蝶着の軸として±θ
角度範囲に擺動可能に連結する。
【0041】以上のように構成されたハウジング10内
の回転ピストン30と斜行板40と回転主軸20とから
なる素子組成を1組分とし、その成分と同様なもう1組
分を構成してその2組の組成を連動可能な並列、又は直
列に連結する。
【0042】すると、双方のS,S円面上の斜行板4
0,40が、互いの与する球面G,Gのハウジング10
の内壁面を閉鎖してそれぞれに半球状の定積空間からな
る半月状作動室Ha,Haを形成し、その半月状作動室
Ha,Haの各々をそれぞれのR,R円面上の回転ピス
トン30,30が、櫛形状の空間をなす二つずつの作動
室Fu,Fu、Fu,Fuを形成する。更に、半月状作
動室Ha,Haに臨ませて作動媒体の吸入孔Inと排出
孔Exと、適宜その作動媒体の通路を開閉するバルブ装
置Vaとを設け、且つ燃焼室を窺って点火具Ig、或は
燃料噴射弁を挿着したことを特徴とする球形の回転ピス
トン機関である。
【0043】
【発明の実施の形態】本発明は、その原理において相互
に関係する点、線、面の幾何学的構成における幾何図形
上において成り立つ基本的構造の特質がある。以下、本
発明の実施の形態を図によって説明する。
【0044】まず、本発明を規定する相互関係の図形を
図1に示すと、球心Oから半径rを有して球面Gをなす
内壁面に形成したハウジング10において、角度θをな
し球心Oにおいて交差する固定した二つの軸直線をX軸
線、Y軸線とし、そのX軸線が球面Gに交わる点をPと
し、またY軸線が球面Gに交わる点をQとし、その点
P、点Q間を底面の直径として球心Oを頂点とする円錐
形における側面円周をその円錐母線が周回する円錐軌跡
をUとし、更に球心OにおいてX軸線に直交する軸直線
をM軸線とし、そしてX軸線に水平面をなしてその直径
線分の軸線Lを自転軸とする球面G内の大円平面をR円
面とし、またY軸線を鉛直軸線として球面G内に球心O
を通って形成される大円平面をS円面とし、そのR円面
とS円面とが球心Oにおいて交差する交差割線を軸線K
とし、その交差割線Kの両端を点Ka、点Kbとし、そ
のように点、線、面の各関係を設定する。
【0045】そして、X軸線とY軸線を固定位置の定位
軸線と見なしてX,Y軸線に同時に回転を与えると、Y
軸線の垂直平面であるS円面は位相を保持したまま転回
し、軸線Lを自転軸とするR円面はX,Y軸線上の点
P,Q間を底面直径として球心Oを円錐の頂点とする円
錐軌跡U上を図1から図2、図3の順に自転しながら旋
回し、その自転の90度分においてR円面の自転軸Lは
X軸線上にある図1から図3に半円分を公転してY軸線
上に移動し、更に90度分の自転においてそのY軸線上
から図4を経て残りの半円軌跡を描いて図5のX軸線上
に戻る。即ち、R円面の自転軸Lが円錐軌跡Uの円周分
を転回(公転)すれば、その公転に伴ってR円面は半回
転である180度分の自転をして表裏を替える。
【0046】その時、R円面の自転軸Lと交差割線Kは
球心Oにおいて常に直交し、且つ交差するR円面とS円
面との互いの円面間に形成される空隙は、R円面の自転
軸LがX軸線上にある時の鈍角側の対頂角が90+θ角
度になって最大(図1の空間B,Dと図5の空間A,
C)となり、同じく鋭角側の対頂角が90−θ角度にな
って最小(図1の空間A,Cと図5の空間B,D)とな
る。つまり、R円面とS円面とが交差割線Kを蝶着の
軸、支点として互いの半回転で接近し、次の半回転で離
間し、その1回転毎において近付いたり離れたりを組と
する離合を繰り返す。
【0047】また、球面GとR円面とS円面とで囲われ
て密閉された空間A,B,C,Dをみると、図1におけ
る自転軸Lが図2,3,4を経て半回転をする図5にお
いて空間Aは拡張して空間Bは収縮し、空間Cは拡張し
て空間Dは収縮する。更に、図5から図6,7,8を経
て元の図1の半回転において空間Aは収縮して空間Bは
拡張し、空間Cは収縮して空間Dは拡張する。つまり、
空間Aが拡張すると空間Bは収縮して空間Cが拡張する
と空間Dは収縮し、空間Aの拡張に対して空間Dが収縮
し、空間Bの収縮に対しては空間Cが拡張する関係にあ
るから、空間AとBは互いの体積の増減を反比例に変化
させて対をなし、空間CとDも互いの体積を反比例に変
化させて対偶し、空間AとC、空間BとDは互いの体積
変化を正比例させる順と逆の拮抗する関係にある。
【0048】このように設定した点、線、面と、空間
A,B,C,D(櫛形状作動室Fu,Fu、Fu,F
u)の各関係をもとに本発明の各種実施の形態を以下図
によって説明する。尚この各種実施の形態を説明する図
9乃至図18においては、作動媒体を流出入させる吸入
孔Inと排出孔Ex、バルブ装置Vaと点火具(又は燃
料噴射弁)Ig等の図示、また本発明を説明する全図面
においても、ガスシール、オイルシール等の密閉具(往
復ピストン機関ではピストンリング)、及び冷却装置、
潤滑装置等の図示は省略した。
【0049】
【実施の形態1】図9、及び図10に示すように、その
形態の一つは前記解決手段1の構成に基づく実施の形態
である。即ち、前記解決手段1と同様に上記点、線、面
の設定された各関係において、そのように点、線、面の
各関係を設定したハウジング10を、例えば図9に示す
a−a,b−bのS円面を挟む平行な二つの切り口平面
によって中央部分とその両側の部分とに分けて構成し、
その中央の部分を球面Gより大きいS円面同心の内壁面
を有する環状の斜行板ハウジング10bに形成し、両側
部分の各々を対称同形の球面Gからなる互いの凹面内壁
11,11を対面させた半月状の回転ピストンハウジン
グ10a,10aに形成する。その上で、その両側の回
転ピストンハウジング10a,10aと中央の斜行板ハ
ウジング10bとを合一した球形の一体構造に形成す
る。
【0050】すると、斜行板ハウジング10bの内部面
を溝底とする両回転ピストンハウジング10a,10a
凹面内壁11,11の互いの円周縁間が軌道隙12とし
てS円面の延長平面に沿った円周分の溝状間隙に形成さ
れる。その上、X軸線が貫通する回転ピストンハウジン
グ10a,10aの対向壁に円孔からなる主軸受13,
13を設ける。その主軸受13,13には、X軸線を回
転軸線として直軸状をなす回転主軸20の両軸頸をジャ
ーナルに形成し、そのジャーナル部分を嵌挿させて回転
自在に軸承させる。この回転主軸20には、球心Oに位
置してM軸線を連結の軸とするピン継手関節55のピン
柱か、又はピン受孔の何れかからなる連結素子(この図
9,10においてはピン受孔である)の軸央枢25を有
する。
【0051】つまり、内部面が円球面からなる中空の球
体をその球体の大円平面を挟む平行な二つの切り口平面
で切れば、円筒状の中央部分と椀状の互いが向き合った
半月状容積器の両側部分とに3分割される。その切断前
の球形の殻がハウジング10の全体であり、球面の凹面
内壁11,11を対面させた両側部分が回転ピストン3
0の半円分ずつを内包する回転ピストンハウジング10
a,10aの部分であるが、中央部分は回転ピストンハ
ウジング10a,10aの凹面内壁11,11の球心内
径より大きい内径長を持たせて同心円にくり抜き環状に
形成すれば、この中央部分が後述する斜行板40の斜行
板環43を収納する斜行板ハウジング10bである。
【0052】従って、それらの三つの部分を合体させて
全体形が形成されれば、斜行板ハウジング10bの内側
はハウジング10内の中央を溝状の凹み部分が周回する
軌道隙12として形成され、また対向両側の主軸受1
3,13は、上述した中空の球体の球心Oを通り、二つ
の切り口平面の軸線(Y軸線)に対して水平零度と直角
度以外の任意な傾斜角度θを開け、球心Oにおいて交差
する直線(X軸線)上の回転ピストンハウジング10
a,10aの対向壁に貫設される。
【0053】そしてR円面上には、回転ピストンハウジ
ング10a,10aの球面Gをなす両凹面内壁11,1
1に回転可能に対接する対向外周面の球弧面32,32
と、その球弧面32,32の弓形輪郭平面をなす表裏の
弓形面31,31、31,31と、その表裏の弓形面3
1,31、31,31の弓形弦が挟持する弦側面とから
形成された半月状板の二つを前記K軸線を挟んで互いの
弦側面を対面させて対称配置し、且つその互いの弦側面
にK軸線を取付け軸線とする円柱状のピストン中間軸3
3を介在合体させた略円形板の回転ピストン30を配置
する。
【0054】この回転ピストン30には、自らが内包す
るR円面に沿ってX軸線上の両球弧面32,32からピ
ストン中間軸33内中央に貫き穿ち前記回転主軸20を
遊挿させるピストン通軸孔34を開口させる。尚そのピ
ストン中間軸33内中央には、M軸線を連結軸とする前
記ピン継手関節55のピストン枢35(この図9,10
ではピン柱である)を設け、そのピストン枢35が回転
主軸20の前記軸央枢25に対応して基線とするX軸線
上の回転主軸20に±θ角度範囲を揺動可能に枢着す
る。また、前記点Ka、点Kb側のピストン中間軸33
両端には、蝶番関節50の蝶番ピン51,51、又は蝶
番ピン受52,52の何れか(この図9,10では両底
面の中心部に円孔を穿設した蝶番ピン受52,52であ
る)を設ける。
【0055】つまり、回転ピストン30は内部を球形の
中空に形成した前述のハウジング10内に回転自由に嵌
合する球体をその球体の球心を通る平面を中心面とし、
その両側を対称に切り欠いて板状に形成し、その中心面
の直径部分に円柱状体を形成してピストン中間軸33と
すれば、そのピストン中間軸33を対称軸として両側が
対称な櫛形の半月板状からなる略円形板の全体形が形成
される。即ち、その半月板の各々がピストン翼状に形成
されるが、その両ピストン翼の回転遠心側が切り欠かれ
ずに残った球面からなる前記球弧面32,32であり、
その両球弧面32,32をその各々が与する回転ピスト
ンハウジング10a,10aの凹面内壁11,11に不
即不離の状態に摺接させる。
【0056】従って、この回転ピストン30は、その形
成母体となる球体の上下を切り欠いて前述の如き形状に
形成すればその平面形状は円形であり、その円形が内包
する大円平面の中心線をピストン中間軸33の軸線とす
れば、ピストン中間軸33を対称軸としてピストン中間
軸33の両側に上記ピストン翼の両翼が上述したように
シンメトリーに形成される。また、回転ピストン30に
は上述した大円平面上の内部を貫通する孔を開口させる
が、この貫通孔はピストン中間軸33の内部中央を支点
側として回転ピストン30が内包する大円平面の縁部円
周の定位な箇所を可動端の作用点側とし、その大円平面
方向に長じて偏平な空隙を呈するピストン通軸孔34で
あり、上記ピストン翼の窓として両球弧面32,32の
各々に長円形に開口する。
【0057】そして、そのピストン翼窓から進入してピ
ストン通軸孔34を挿通する前記回転主軸20は、その
回転主軸20中央に持着させた円形体からなる軸央枢2
5がピストン中間軸33内中央を支点として軸央枢25
と幾何条件の全く契合する形状の回転面に形成された回
転ピストン30のピストン枢35に枢着し、その互いに
嵌合する軸央枢25とピストン枢35の両片を以てM軸
線を関節の基軸線とするピン継手関節55の連結部が組
成される。尚、回転主軸20はピストン通軸孔34を遊
挿すべくピストン通軸孔34の短径より若干小さい径の
丸棒が軸央枢25の対向両側に鉛直に結合して直軸状を
なし、而も回転ピストンハウジング10a,10a壁の
主軸受13,13を嵌挿すべく両軸頸がジャーナルに形
成されて回転自由に軸受け支持される。
【0058】一方、S円面上にはK軸線上のピストン中
間軸33を挟む対向両側の各々に、回転ピストン30の
両側弓形面31,31に対応する同形の弓形面41,4
1を表裏に有してピストン中間軸33の軸柱面と幾何条
件が摺接可能に契合する弦側面42を有する弓形板を対
称配置し、且つその両弓形板の弓形輪郭面に前記軌道隙
12と回転摺動可能に嵌合する環状の斜行板環43を結
合させて円形状板に形成した斜行板40が配置される。
つまり、斜行板40は互いの弓形輪郭面を外側向きにし
て互いの弦側面42,42を対面させた弓形の劣弧を持
つ半円より小さい半月状板の二つと、その両半月状板の
両弓形輪郭面と契合する内周面に形成して両半月状板の
外側に配置した円筒状の斜行板環43とを同一平面上に
おいて結合させた円形状板であるから、K軸線を挟んで
対面する弦側面42,42と前記点Ka,Kb側に位置
して対面する斜行板環43の内側両面との対面する4辺
によりK軸線上に矩形に突き抜けた窓状の空隙部分を有
する。
【0059】更に、その窓状空隙の点Ka,Kb側に交
差割線Kを取付け軸線としてピン柱の蝶番ピン51,5
1を内側向きに突出固着させ、その上でその窓状空隙に
回転ピストン30のピストン中間軸33を軸柱方向に沿
って嵌挿させると、斜行板40の両弦側面42,42と
ピストン中間軸33柱面とが摺接関係に密封し、ピスト
ン中間軸33の両底面と窓枠として残る斜行板環43の
対向両面も摺接関係に密閉し、且つピストン中間軸33
両端の前記蝶番ピン受52,52に蝶番ピン51,51
が嵌合して前記蝶番関節50を組成すると共に、回転ピ
ストン30と斜行板40が交差割線Kを蝶着の軸として
±θ角度範囲を擺動可能に連結する。
【0060】そのように組立てられた回転ピストン30
の半円分ずつが互いの与する回転ピストンハウジング1
0a,10a内に収容され、且つ斜行板40の斜行板環
43が斜行板ハウジング10bの軌道隙12に回転自由
な嵌合状態に組込まれれば、S円面上の斜行板40が、
回転ピストンハウジング10a,10aの両凹面内壁1
1,11を閉鎖して自らの両側に半球状をなす定積空間
の半月状作動室Ha,Haを形成し、その両半月状作動
室Ha,Haの各々をR円面上の回転ピストン30が、
反比例に体積変化をさせる二つずつの櫛形状の空間をな
す四つの作動室Fu,Fu、Fu,Fu(気室A,B,
C,D)に形成する。更に、その両半月状作動室Ha,
Haに臨ませて作動媒体を流出入させる吸入孔Inと排
出孔Exと、適宜その作動媒体の通路を開閉するバルブ
装置Vaとを設け、且つ燃焼室の部分を窺って点火具I
g、或は燃料噴射弁を挿着する。
【0061】そして、図9,10に示す各櫛形状作動室
Fu(気室A,B,C,D)の体積が最小の位置から大
きくなる過程に作動媒体を吸入させて圧縮し、その圧縮
の上死点付近で作動媒体に点火して燃焼させると、回転
ピストン30と斜行板40の両弓形面31,41間が膨
張圧力によって押し広げられると共に、回転ピストン3
0は膨張する燃焼ガス圧力を受けて斜行板40の回転平
面から拘束を受けつつ力の方向に運動し、且つM軸線を
中心に角度(θ×2)の範囲を回動しつつ枢結する回転
主軸20を回転させる。
【0062】
【実施の形態2】尚、上記実施の形態1におけるハウジ
ング10内の四つの櫛形状作動室Fu,Fu、Fu,F
uの構成を1櫛形状作動室乃至3櫛形状作動室Fuか、
Fu,Fuか、Fu,Fu,Fuかに換えて作動させる
ことが可能であるが、この実施の形態2は上記実施の形
態1における円形状板の回転ピストン30に対して、図
11と図12に示すように一つの球形ハウジング10内
の一つの半月状作動室Haに半円板状の回転ピストン3
0を組込み、回転軸に対して垂直方向に並ぶ2櫛形状作
動室Fu,Fuの気室A,Bか、又は気室C,Dに構成
して作動させる前記解決手段2の構成に基づく実施の形
態である。
【0063】即ち、前記解決手段2と同様に前記点、
線、面の設定された各関係において、そのように点、
線、面の各関係を設定したハウジング10を、例えば図
11に示すa−aのS円面に平行な切り口平面によって
二分割すると、半径rより大きい内周面径からなる凹状
空隙を有する斜行板ハウジング10bと、その凹状空隙
の内壁面に球面Gからなる凹面内壁11を対面させた半
月状の回転ピストンハウジング10aとに分離され、そ
の上でその回転ピストンハウジング10aと斜行板ハウ
ジング10bとを一体構造に合体させると、斜行板ハウ
ジング10bの凹状空隙が軌道隙12としてY軸線に同
心円の内周面に形成されるが、この実施の形態において
も、X軸線が貫通する回転ピストンハウジング10a壁
の点P位置に主軸受13を貫設し、その主軸受13には
球心Oに位置してピン継手関節55の連結素子(この図
11,12ではピン受孔である)の軸央枢25を有して
直軸状をなす回転主軸20の軸頸ジャーナルを回転自在
に嵌挿させる。
【0064】そしてR円面上には、半円状板の弦側面に
ピストン中間軸33の円柱を合体させた略半円板の回転
ピストン30を配置するが、この略半円板回転ピストン
30にも球弧面32からピストン中間軸33内部を貫き
前記回転主軸20を遊挿させるピストン通軸孔34を開
口させると共に、そのピストン通軸孔34のピストン中
間軸33内中央に前記ピン継手関節55のピン状素子か
らなるピストン枢35を設けて回転主軸20の前記軸央
枢25に枢着させ、またピストン中間軸33の両端に蝶
番関節50の連結素子(図11,12では両底面中心に
穿設した円孔の蝶番ピン受52,52である)を設け
る。
【0065】また、S円面上に配置される斜行板40
は、半円板回転ピストン30の表裏弓形面31,31に
対応する同一板面に二つの弓形面41,41と、K軸線
を挟むその弓形面41,41の弓形弦側間をピストン中
間軸33の軸柱面に摺接可能に契合する溝状の凹み部分
に形成した半円柱形凹面の弦側面42と、その弦側面4
2を含む両弓形面41,41の裏面を同一回転面に形成
した外郭摺接面45とを有する円形板が、その円形板外
周面に前記軌道隙12に回転摺動可能に嵌合する環状の
斜行板環43と合体した円形状板である。而も、この斜
行板40にも前記点Ka,Kb側に位置する斜行板環4
3の対向両側にピストン中間軸33両端の前記蝶番関節
50素子に与する連結素子の蝶番ピン51,51を設け
て、この斜行板40の溝状凹面からなる前記弦側面42
にピストン中間軸33を軸柱の方向に沿って差し込み入
れれば、斜行板40と回転ピストン30とがK軸線上に
蝶番関節50を組成して連結する。
【0066】結局、この実施の形態2はハウジング10
を二分にし、その一方を円球凹面の内壁面11に形成し
て略半円板の回転ピストン30における球弧面32を内
包する回転ピストンハウジング10aとし、他方を一方
板面のみが半月状作動室Haの形成面である円形状板の
斜行板40を抱持する斜行板ハウジング10bとして構
成するもので、櫛形状作動室のA,Bか、又はC,Dの
二つが形成されるが、図11,12に示すように回転ピ
ストンハウジング10a壁と斜行板ハウジング10b壁
とのX軸線上に設けられる主軸受13,13を回転主軸
20の両軸頸が嵌挿する態様と、回転主軸20の両軸柱
を何れかの一方側のみにしてX軸線上の回転ピストンハ
ウジング10a壁に貫設される主軸受13に嵌挿させ、
斜行板40には外郭摺接面45の中心部に柄状の斜行板
軸46を備えてY軸線上の斜行板ハウジング10b壁に
貫設した斜行板軸受14に嵌挿させる態様とがある。
【0067】
【実施の形態3】更に、もう一つの実施の形態は前記解
決手段3の構成に基づくものであるが、図13と図14
に示すように、この実施の形態は上記実施の形態1にお
ける四つの櫛形状作動室Fu,Fu、Fu,Fu(気室
A,B,C,D)に換えて球形ハウジング10内に軸水
平方向に並ぶ2櫛形状作動室Fu,Fu(気室A,D
か、又は気室B,C)に構成して作動させるものであ
る。従って、その構成においては回転ピストン30と斜
行板40との形状のみが相違し、以下のハウジング10
内外部の形成、回転主軸20と回転ピストン30の連
結、回転ピストン30と斜行板40の連結、及びそれ以
外の構成と作動においても上記実施の形態1の場合と全
く同様である。
【0068】つまり、ハウジング10内のR円面上に配
置される回転ピストン30は、両板面の各々に両側の弓
形面31,31、31,31を有する上記実施の形態1
の円形状板に対して、この実施の形態では球面Gに接す
る半球面より大きい回転外周面の球弧面32と、その球
弧面32の弓形輪郭平面をなす同一板面上の両側の弓形
面31,31と、その両側弓形面31,31間のK軸線
上に半埋い込み状に合体させた円柱状のピストン中間軸
33とから半球状体に形成した略円形板であるが、この
半球状の回転ピストン30においても、R円面に沿って
回転主軸20を遊挿させるピストン通軸孔34を開口さ
せ、その中央部取付けのピストン枢35に回転主軸20
の軸央枢25を枢着させてピン継手関節55を組成する
と共に、ピストン中間軸33の両端に蝶番関節50の連
結素子(この図14においては両底面中心を穿孔した蝶
番ピン受52,52である)を有する。尚この半球状回
転ピストン30は、その半球体内であれば両弓形面3
1,31の裏面側形状は半球状面に限らず自由である。
【0069】また、S円面上に置かれる斜行板40は、
前記斜行板環43に二つの弓形板を一体化させた円形板
の上記形態1に対して、この実施の形態では斜行板環4
3の内側に一つの弓形板のみを固定させてK軸線上に弦
側面42を辺とする半円より大きく突き抜けた窓状の空
隙を持つ円形状板であり、その突き抜けた窓に回転ピス
トン30のピストン中間軸33をその軸柱に沿って嵌め
込むと共に、斜行板環43の前記点Ka,Kb側に位置
する対向内側面に蝶番ピン51,51を有してピストン
中間軸33の前記蝶番ピン受52,52に連結嵌合させ
る。結局、ハウジング10内には斜行板40の両側に一
つずつの気室A,Dか、又は気室B,Cが形成される。
【0070】
【実施の形態4】尚、上記実施の形態2における2作動
室Fu,Fu(気室A,Bか、又は気室C,D)の構成
を二つ合わせて一つのハウジング10内に4作動室F
u,Fu、Fu,Fu(気室A,B,C,D)を構成し
て作動させることが可能である。即ち、図15,16に
示すこの実施の形態は、前記解決手段2の構成と同様に
前記点、線、面を設定したハウジング10と、そのハウ
ジング10内に組込まれる半円状板の回転ピストン30
と斜行板40と回転主軸20との上記実施の形態2にお
ける素子組成を1組分として、その成分と全く同様なも
う1組分を組成して2組分にすると共に、その2組分を
双方が合一したハウジング10内の中央において連結さ
せて作動させるものである。
【0071】つまり、S,S円面上の斜行板40,40
の各々が、互いに与する回転ピストンハウジング10
a,10aの凹面内壁11,11を閉鎖して何れも半球
状をなす定積空間の半月状作動室Ha,Haを形成し、
その半月状作動室Ha,HaがR,R円面上の何れも半
円状板の回転ピストン30,30によって反比例に体積
変化する櫛形状の空間をなす二つずつの気室A,Bと
C,Dに形成される。そして、各半月状作動室Haに臨
ませて作動媒体を流入流出させる吸入孔Inと排出孔E
xと、適宜その作動媒体の通路を開閉するバルブ装置V
aとを設け、且つ各燃焼室を窺って点火具Ig、或は燃
料噴射弁を挿着するが、この実施の形態は上記実施の形
態2における素子組成の2組分が連結して連動するもの
で、その1組分ずつの作動は上記実施の形態2の場合と
同じである。
【0072】尚この実施の形態4における2組分の組成
は、例えば図61乃至図63に示す如く、2組分が一本
の直軸状に形成された回転主軸20によって連結される
か、又は図57に示す如くにハウジング10内中央にお
いて2組が共有する回転主軸20によって連結するか、
又は図52と図56、或は図53に示すように2組分が
合体した斜行板40か、又は互いの斜行板40,40を
同軸に架け渡す斜行板連結軸47によって連結するか、
図65に示すような軸頸の各々に取付けた歯車の歯合等
による伝達機構を介して連結する。この2組分組成の連
結において、斜行板40が同軸の図52と図56におけ
る態様と、伝達機構を介する図65(イ)、(ロ)にお
ける態様との主軸受13,13の取付け位置の変化は、
回転主軸20,20の取付け位相を変化させ、且つ回転
主軸20,20に連結する回転ピストンと斜行板30,
40、30,40との2組の組立て位相を相対的に変化
させる。
【0073】つまり、この実施の形態4における双方の
回転主軸20,20は、 (1)図53と図56(イ)に示すように、同一の平面
上に互いが平行な回転軸線を持つ。 (2)図56(ハ)に示すように、互いに与する斜行板
40,40との傾転角度θ,θが同一か、又は互いに与
する斜行板40,40との傾転角度θ,θが相違するか
し、その何れも同一平面上に互いが交差する延長軸線を
持つ。 (3)図56(イ)が(ロ)と(ハ)の変化を経て再度
(イ)に示すように、各々が与する球心O,Oを旋回の
中心として斜行板ハウジング10b,10b軸線のY軸
線を旋回の軸とし、各々が傾転角度θ,θを保持したま
ま互いに逆方向に半周回する範囲内の任意な回転角にお
いて交差する2平面上に軸線を持つ。
【0074】一方、2組の組成を回転主軸20が連結す
る図57と図61乃至図63における態様と、伝達機構
を介して連結する図65(ハ)、(ニ)における態様と
の斜行板ハウジング10b,10b内部面形成の2軸
線、又は斜行板軸46,46の軸受2軸線の何れも軸線
Y,Y位置の変化は、回転ピストンハウジング10a,
10aの両凹面内壁11,11の中心と向きをも相対的
に変化させるから斜行板40と回転ピストン30との2
組の取付け位相も変化させる。即ち、この実施の形態4
における双方の斜行板40,40は、互いが角度θ,θ
を保持したまま互いの与する凹面内壁11,11の球心
O,Oを旋回の中心とし、且つ回転主軸20の軸線Xを
旋回の軸とし、互いが逆方向にそれぞれ半周回する範囲
内に任意な回転角度において固定される軸線を内部面の
形成軸線とする斜行板ハウジング10b,10b内に組
込まれるが、その斜行板ハウジング10b,10b内部
面の形成軸線である双方の斜行板40,40の回転軸線
は以下の3通りがある。
【0075】(1)図61(イ)に示す如く、同一平面
上に互いが平行な回転軸線を有する(図57,62,6
3と図65(ハ)も便宜上、同様な図示である)。 (2)図61(ハ)、及び図65(ニ)に示す如く、同
一平面上に互いが交差する回転軸線を有する(図61
(イ)において互いの斜行板40,40傾転角度θ,θ
が異なる場合も含まれる)。 (3)任意な回転角度を有して交差する二つの平面上に
互いが固定した回転軸線を有する(図61(イ)乃至
(ハ)間において一方の斜行板40の取付け軸線を旋回
させて任意な回転角度の位置において固定させた場合で
ある)。
【0076】
【各実施の形態の共通態様(θ角度とピン継手関節)】
上記何れの実施の形態においても、X軸線とY軸線とが
球心O上において交差して創出する角度θは10°<θ
<60°が実用範囲であり、最適角度は25°〜35°
である。また、上記何れの実施の形態においても、回転
主軸20と回転ピストン30は関節の部分を介在させて
連結するが、その互いに与する軸央枢25とピストン枢
35とから組成される前記ピン継手関節55の態様を、
回転主軸20に両軸頸を持たせた構成において以下説明
する。
【0077】まず図17に示すピン継手関節55は、円
形体からなる回転主軸20の軸央枢25が、その対向外
周面に丸棒からなる両軸柱を固着させて中心部に円孔の
ピン受孔を有し、それに対応する回転ピストン30のピ
ストン枢35は、その軸央枢25と幾何条件の契合する
内部面からなる内部空隙と、その内部空隙の中心部にピ
ン柱を持着して形成されるが、その内部空隙に軸央枢2
5が置かれて軸央枢25のピン受孔にピストン枢35の
ピン柱が枢支関係に嵌合する。又は図示はしないが、そ
のピン柱のピストン枢35とピン受孔の軸央枢25との
関係を逆に構成すると、ピストン枢35の対面する円形
上下の両面にピン受円孔を穿孔して軸央枢25の両円形
面の各々にピン柱を突設形成し、そのピストン枢35の
ピン受孔に軸央枢25のピン柱を嵌合させる。又は、図
18に示すように軸央枢25を両切りの丸柱に形成し、
回転ピストン30のピストン枢35も軸央枢25の丸柱
と契合する内空凹みに形成して互いを枢結させる。
【0078】或は図19に示すように回転主軸20は、
回転ピストン30に対して同一以下の差し渡しを有する
円形板の軸央枢25が、その軸央枢25の対向両側面の
各々に軸柱の丸棒を固着させて形成され、それに対して
回転ピストン30は、ピストン中間軸33の軸線上を通
る水平面上に軸央枢25の板厚分の間隙部分を有して水
平上下に分離した2枚の円形状板が、その間隙の中心部
に結合軸をなす丸柱のピストン枢35を介在させて形成
され、その回転ピストン30の間隙部分に回転主軸20
の円形板軸央枢25を回動可能に収め、且つ軸央枢25
の中心部を貫き穿孔される軸受円孔に丸柱のピストン枢
35を枢支関係に嵌合させる。尚この時、ピストン中間
軸33は回転ピストン30の差し渡しを越える軸長を有
し、その両端の部分が前記蝶番関節50の蝶番ピン5
1,51に換わるピストン中間軸33の軸頸として突出
形成されるが、その両軸頸は前記点Ka,Kb側の前記
斜行板環43の対向両側と軸支関係に連結する。
【0079】
【作動原理】上述したピン継手関節55と蝶番関節50
とを介在させて、回転主軸20と回転ピストン30と斜
行板40の三者が係合状態にある時、回転主軸20に回
転を与えると、回転ピストン30は斜行板40の回転平
面に拘束されながら三者共通の中心であるハウジング1
0の凹面内壁11,11の球心Oを旋回の中心として円
錐軌跡Uに沿って円錐運動をするが、その時の回転ピス
トン30は斜行板40を擺動の対向面とし、K軸線上の
ピストン中間軸33を蝶着の軸として擺動し、その回転
ピストン30の擺動に伴ってハウジング10内の各気室
Fuに生じる体積の増減を内燃ピストン機関における各
行程として作動させるものである。次に、本発明の球形
の回転ピストン機関における作動原理を説明する。
【0080】上述の如くに構成した本発明では、斜行板
40と回転主軸20とが一定の角度θを保持したまま固
定された軸線上を回転すると、その保持したθ角度分の
開きを底面側とした円錐形周面上の前記円錐軌跡Uを回
転ピストン30が自転しながら公転する。つまり、X軸
線上の主軸受13を嵌挿する回転主軸20に回転を与え
ると、回転主軸20上に置かれて回転主軸20の軸央枢
25にピストン枢35を枢着させた回転ピストン30
は、その軸央枢25を可動端の支点として揺動しつつ回
転主軸20と共に同一方向に回転する。
【0081】即ち、球心Oで角度θを有して交差するハ
ウジング10内の二つの平面上に置かれた回転ピストン
30と斜行板40とが、交差割線Kを蝶着の軸として介
在させた前記蝶番関節50素子の両片を以て蝶番状の動
きのみ可能に連結し、互いの板面を対面させて協働回転
すれば斜行板40の板面を擺動対向面として回転ピスト
ン30のみが擺動し、回転ピストン30のみが回転に伴
って揺動する。また、同じ平面上に取付けられている回
転ピストン30と回転主軸20とが球心O上の前記ピン
継手関節55によって連結されると、回転ピストン30
の回転以外の動作はその取付け平面であるR円面の水平
方向のみに限定される。
【0082】以上のことから回転主軸20と斜行板40
間に介在する回転ピストン30は、回転主軸20に連結
するピン継手関節55の連結軸線と斜行板40に連結す
る蝶番関節50の連結軸線とが同一平面上で直交する2
軸の中間にある公知技術の自在継手の十字片と同様な関
係にあり、球心Oを旋回の中心として回転主軸20と斜
行板40との回転軸線間の中線を旋回の軸とし、その回
転主軸20と斜行板40の回転軸線間を旋回円周の直径
とした歳差軸線が与えられて自転しながら旋回円周を公
転することになって、その1公転につき半回転の自転を
する。結局、回転ピストン30はX,Y軸線の交差角度
θの2倍分(θ×2)を振幅揺動の最大範囲として基軸
のX軸線上を公転1、即ち自転の半回転につきθ角度分
(θ×1)を揺動する。
【0083】その回転ピストン30の転回を上記実施の
形態1を例として図20,21に示すと、この図20,
21はピン継手関節55が介在して連動する回転主軸2
0と回転ピストン30の半回転(180度)分の動作を
示し、図示する回転主軸20と回転ピストン30の回転
方向は反時計廻りである。いま、図20(い)における
回転ピストン30は回転主軸20上に左右対称の水平平
衡な状態にあり、回転主軸20はピストン中間軸33に
直交してピストン通軸孔34の中心線と重なった状態に
あるが、回転ピストン30を回転主軸20と共に回転さ
せて図20(い)から(ろ)の方向に進行させると、回
転ピストン30はピストン通軸孔34の中心を通る水平
平衡軸線の自転軸Lが回転主軸20上から次第に外れ、
更に(は)と(に)を経て図21(ほ)に至って振幅範
囲の最大分を作動して垂直位置にまで位相を変化させ
る。
【0084】結局、その図20(い)から図21(ほ)
に至るまでの変化は、回転主軸20と斜行板40との軸
線間に創出される傾転角度θ分の移動に相当して往復ピ
ストン機関におけるクランクアーム長分に相当し、且つ
クランク軸、及び回転主軸20の回転角90度分に相当
するから、角度θ分の倍数が行程長にあたり、その行程
長分がM軸線上にあるピストン枢35のピン柱を支点と
して回転主軸20上を揺動する回転ピストン30の振幅
範囲であり、R円面上に蝶形状に広がるピストン通軸孔
34の孔内空隙における水平方向の開口長径である。
【0085】そして更に、図21(ほ)の回転主軸20
と回転ピストン30とに90度分の回転を加えて(へ)
と(と)を経て(ち)に至れば、図20(い)から回転
主軸20と回転ピストン30は半回転(180度)を
し、回転ピストン30の表裏が入れ替って4行程サイク
ルの1行程分に相当する作動が行われたことになって、
それは往復ピストン機関におけるピストンの上死点と下
死点間の移動分に相当するが、図20(い)と図21
(ち)における回転ピストン30が同一位置の同一の位
相にあることから、本発明の球形の回転ピストン機関に
おける回転ピストン30は同一点に重なる上死点と下死
点とを有する特長がある。
【0086】一方、櫛形状作動室Fuの形成面である回
転ピストン30と斜行板40との弓形面31,41が、
その回転ピストン30と斜行板40の協働回転に伴って
接近と離間とを交互に繰り返し、その接近において作動
室Fuの空間体積は減少し、離間において作動室Fuの
空間体積を増加させるから、回転ピストン30の半回転
分の自転は作動室Fu体積を最小から最大に移行させ、
次の半回転分の自転において最大体積から元の最小体積
に移行させ、その自転の半回転毎に作動室Fu体積は増
減を繰り返す。尚、その作動室Fu体積の増減は回転ピ
ストン30の2公転間に行われ、その回転ピストン30
の2公転は1回転分の自転に相当する。
【0087】その作動室Fu体積の変化において、上述
した実施の形態1,2、及び実施の形態4は、同一の半
月状作動室Haを二分して形成した二つの櫛形状作動室
A,Bか、又はC,Dが互いの体積を反比例に増減さ
せ、また上記実施の形態3も同一球面G内の二つの櫛形
状作動室A,Dか、又はB,Cが互いの体積を反比例に
増減させるが、その何れの場合においても回転ピストン
30の回転に伴って二つの櫛形状作動室Fu,Fuの一
方の体積が増えると、もう一方の体積が減少し、その減
少側が増加に転じれば先の増加側が減少するダブルエン
ドのシリンダーとピストンとの関係にある。
【0088】また、各作動室Fuが行う1サイクル分の
4行程は、同軸的に連結した回転ピストン30と斜行板
40と回転主軸20との2回転分に相当し、その2回転
分は回転ピストン30の4公転分を以て完了するが、そ
の時に作動室Fuに作動媒体の空気を送り、且つ熱量の
供給を燃料の燃焼によって与え、吸気、圧縮、膨張、排
気の四つの行程を繰り返して空気サイクルの基本サイク
ルを行わせる。その為には、その1サイクル中の適当な
時期に吸、排気孔In,Ex上に取付けたバルブ装置V
aを開閉して作動媒体の流出入を制御し、且つ燃焼室に
面して適宜取付けた点火具Ig、或は燃料噴射弁(ノズ
ル)を圧縮行程の最適回転角に同期作動させて作動媒体
を燃焼させると、受圧片の回転ピストン30が燃焼熱と
膨張圧力とを受けて力の方向に運動すると共に回転力に
変換して回転主軸20を回転させる。
【0089】尚、本発明の球形の回転ピストン機関は、
上記実施の形態1,3,4では二つの半月状作動室H
a,Ha、上記実施の形態1,2,4では同一半月状作
動室Ha内の二つの気室Fu,Fu、その何れも何れか
一方を作動媒体をポンピングする入力加圧側Puとし、
もう一方を熱仕事のワーキングを受け持つ出力受圧側P
oとする2行程サイクル機関に構成して作動させること
が可能である。つまり回転ピストン30と斜行板40の
1回転につき、各半月状作動室Haの二つずつの気室
A,Bと気室C,D(実施の形態3においては一つずつ
の気室AとDか、又は気室BとC)、又は同一半月状作
動室Ha内の一つずつの気室AとB、CとDに吸気と圧
縮、膨張と排気の概ね2行程分ずつの作業を分担させて
行わせるが、それには入力ポンプ側Puと出力パワー側
Poとの互いの気室を連絡する連通孔を設けると共に、
その連通孔上に必要に応じてバルブVaを装置して適宜
開閉し、入力側Puから出力側Poに作動媒体を適宜移
動させる。この内、二つの半月状作動室Ha,Haの一
方を入力側Puとし、他方を出力側Poとする形態で
は、入力側Puから出力側Poに作動媒体を流通させて
互いに与する二つずつの気室Fu−Fu、Fu−Fuが
気室A−Cと気室B−Dか、又は気室A−Dと気室B−
Cの組合せを有するが、その前者における気室組合せの
実施例を2行程サイクル機関分として実施例16乃至1
9に後述する。
【0090】更に本発明における作動原理として、回転
主軸20と回転ピストン30と斜行板40の協働回転
と、それに伴って生じる各気室A,B,C,Dの容積変
化とを図22,23に基づき上記実施の形態1を例とし
て説明する。
【0091】斜行板40によってダブルエンドに構成さ
れた半月状作動室Ha,Ha内に組込まれるダブルエン
ドの回転ピストン30の作動は、同一半月状作動室Ha
内における2気室AとB、又は2気室CとDの何れか一
方の気室空間を拡張させて体積を増加させると、反対側
の気室空間は収縮して体積を減少させる。また、二つの
半月状作動室Ha,Haを等しい体積に形成して回転ピ
ストン30の半円分ずつも同一容積に形成すれば、斜行
板40の同一弓形面41を挟む2気室AとD、又はBと
Cの空間も等しい最大体積と等しい最小体積との等しい
行程体積を有して互いが反比例に体積を変化させて作動
する。尚、斜行板40を斜めに挟んで対向する2気室A
とC、又はBとDは、互いの体積が常に正比例をする増
減関係を有して作動する。
【0092】結局、櫛形状空間は相対する回転ピストン
30と斜行板40との板面間隙であるが、互いの板面が
離れたり近付いたりする離合によってその空間体積は増
減するから、互いに与する回転ピストン30と斜行板4
0との板面の接近は、その板面間における間隙の収縮で
あって気室体積の減少であり、往復ピストン機関におけ
るピストンがシリンダー内を下死点から上死点に向かう
過程の作動に相当し、反対に回転ピストン30と斜行板
40との板面の離反は、その気室間隙の拡張であって気
室体積の増加であり、往復ピストン機関におけるピスト
ンが上死点から下死点に移動する過程に相当し、互いの
板面間に形成される間隙の弛緩と収縮が各気室A,B,
C,Dにおける体積の増加と減少とである。
【0093】図22(A)を見ると、気室Aは気室間隙
を最も収縮させた最小体積であり、その気室Aの対称位
置にある気室Cも気室間隙が最小に収縮しているが、気
室Aと同一の半月状作動室Haを共有する気室Bは気室
間隙を拡張させた最大体積を有し、気室Cともう一方の
半月状作動室Haを共有する気室Dも気室Bと同様に気
室間隙を上限まで拡張させた最大体積を持っている。そ
こで矢印方向の回転を与えると、各気室A,B,C,D
が図22(A)から(B)、(C)、(D)、(E)、
(F)の順にその気室体積を徐々に変化させるが、その
中の気室Aと気室Cの気室空間は押し広げられて体積を
増加させ、それとは逆に気室Bと気室Dの気室空間は収
縮して気室体積を減少させる。その作動が図22(A)
を起点として90度分を転回すると、図23(G)に示
すように各々の体積変化は中位になって各体積が等量に
なる。
【0094】更に図23(G)から(H)、(I)、
(J)、(K)の方向に順次作動すると、気室A,Cの
気室間隙は更に広がって体積を拡大させ、反対に気室
B,Dの体積を更に縮小させるが、図22(A)におけ
る回転ピストン30が180度分である半回転すると、
図23(L)に示すように回転ピストン30の表裏が入
れ替わって気室Aと気室Cの気室間隙は最大になり、反
対に気室Bと気室Dは最大容積時から最小容積へと変換
される。そして、その図23(L)の気室A,Cの気室
間隙が最小の容積になるまで、気室B,Dの気室間隙も
最大の容積になるまで更に同一方向の回転を与えれば、
図22(A)からでは360度分である1回転を行った
ことになって各気室A,B,C,Dが二つずつの行程を
完了させる分の容積変化をする。
【0095】
【行程の進行】本発明の球形の回転ピストン機関は、前
述したように2ストローク・サイクル機関に構成して作
動させることも可能であるが、本来4ストローク往復ピ
ストン機関と同じように確実な吸気行程、圧縮行程、膨
張行程、及び排気行程を有する4サイクル機関に構成し
て作動させても何ら差し支えがない。次に、その4行程
サイクル機関として本発明の球形の回転ピストン機関に
おける気室A,B,C,Dの各々が連続して行う4行程
の作動を上述した作動原理に基づき、上記実施の形態1
を例として図24,25において説明する。
【0096】尚ここで、内燃ピストン機関における作動
媒体の燃焼と、作動媒体の吸入と排出について述べれ
ば、燃焼室内における混合気の燃焼にはある時間を必要
とし、定積燃焼が出来ない為にピストンの上死点よりも
かなり前に点火をするが、一般には最高圧力が上死点後
12度(クランク回転角)あたりにくるようにして点火
するとこの原因による仕事損失が最小になる。つまり、
通常は上死点前30度付近で点火され、すぐには燃焼せ
ずに着火待ち時間があって上死点前15度付近で燃焼が
開始され、それから気筒内圧力が急激に上昇し、上死点
後10度ほどで燃焼が終了して最高圧力となるが、その
燃焼開始の上死点前15度付近の回転角位置を(A)と
し、燃焼終了の上死点後10度付近の位置を(B)とし
た時の(A)、(B)間の中央が上死点となるように点
火進角を合わせると最高出力になる。また燃焼ガスの排
出にもある時間を必要とし、下死点まで膨張を続けてか
ら排気弁を開いたのでは排気噴き出しによって気筒内圧
力が十分に低下する余裕がなく、排気行程に負の仕事を
させることになる。そこで下死点よりもかなり前に排気
弁を開き、排気噴き出しによって気筒内圧力を大気圧力
近くまで落して排気行程に移るほうがよく、また吸気に
おいても、高速の吸入空気流動の慣性を考慮して吸気弁
の閉まる時期を下死点よりもかなり(クランク回転角に
おいて数十度)遅らせてある。即ちバルブ開閉のバルブ
タイミングにおいて、吸気バルブは上死点のかなり前で
開き、下死点のかなり後で閉じ、同様に排気バルブも下
死点のかなり前で開いて上死点のかなり後で閉じるか
ら、吸、排気バルブの作用角は上死点において大きくオ
ーバーラップしている。
【0097】しかし本発明の球形の回転ピストン機関に
おける1サイクルの各行程は、便宜上、往復ピストン機
関のクランク軸に換わる回転主軸20の回転角0度から
給気の吸入作用に入って180度で吸気行程が終了して
圧縮行程を開始し、その圧縮行程は回転角の360度に
おいて終了するものとし、且つその時に圧縮された作動
媒体が点火されて膨張行程を開始し、その膨張行程は回
転主軸20回転角の540度で終了すると同時に排気行
程を開始して回転角の720度において排気行程が終了
するものとする。従って、本発明における各櫛形状作動
室Fuの最小から最大へ、又は最大から最小への容積変
化は回転主軸20の回転角にして180度毎に行われ、
吸気行程から排気行程までの4行程の全作動は4ストロ
ークの往復ピストン機関と同様に720度、即ち回転主
軸20の2回転の間に行われる。
【0098】また、作動媒体の通路である流路孔は、各
気室A,B,C,Dの吸、排気行程時に見合う適位置の
ハウジング10壁を貫通する孔として設けられ、その流
路孔を開閉するバルブ装置Vaも流路孔上に設けてお
き、吸気行程時にはその気室側の排気孔Exの弁Vaを
閉じて吸気孔Inの弁Vaを開け、その反対に排気行程
時には吸気孔Inの弁Vaを閉じて排気孔Exの弁Va
を開け、圧縮、膨張の両行程時には吸、排気孔In,E
x双方の弁Va,Vaが閉じられる。更に、各気室A,
B,C,Dの体積が最小になる辺りの作動室内を窺うハ
ウジング10壁に点火具Ig、或はディーゼル機関の態
様においては燃料噴射弁を挿着しておき、各気室A,
B,C,Dの圧縮行程が最高時に達する付近で点火具I
gにより圧縮した混合気に点火するか、燃料噴射弁(以
下、燃料噴射弁は上記点火具Igに含ませて点火具Ig
のみ記載する)により圧縮空気に燃料を噴射するかして
燃焼させ、内燃ピストン機関における給気の吸入、その
給気の圧縮と圧縮気の燃焼と膨張、及び廃気排出からな
る各行程を成立させるものである。
【0099】尚、図24,25においては、便宜上バル
ブVa記入を省略してバルブVa作動の開口時にのみ吸
気行程、及び排気行程の開始から終了までの過程として
各出入孔In,Exを記入したが、図24,25に示す
対称な2穴組が吸気孔In、回転主軸20上の1穴が排
気孔Exであり、その流出入孔In,Exの実線による
記入は図における手前正面側、破線が図の裏側の位置を
示し、点火具Igも作動媒体の圧縮行程終了間際になさ
れる点火時にのみ図示した。
【0100】まず各行程開始の起点となる図24(ア)
において、気室Aはいま燃焼ガスの排出を終了して吸気
孔In(図中左側の実線2穴組)が開放され、回転ピス
トン30が上死点に相当する給気開始位置にいる。この
時、気室Bは行程体積いっぱいの最大拡張時であって同
時に気室空間の収縮開始時でもあるから膨張行程を終え
た燃焼ガスの排出開始時である。その点、気室Cと気室
Dに連通する吸気孔Inと排気孔Exは共に閉塞してい
て、気室Dは気室空間を上限にまで拡張させた最大容積
を有する吸気行程の終了時であり、気室Cは気室空間を
最小付近にまで収縮させた圧縮の上限にあって作動媒体
が点火された燃焼の開始、膨張行程の始めである。
【0101】その気室Cにおける燃焼作用は、燃焼熱と
膨張圧力とが気室Cを形成する回転ピストン30と斜行
板40との板面間を押し広げ、直前に膨張行程を終えた
気室Bに換わって回転主軸20に回転力を与えると同時
に、図24(ア)を(イ)、(ウ)の順に移動させて気
室Aの気室空間を拡張させ、気室Dと気室Bとの気室間
隙を収縮させるように作用する。結局、図24(ア)に
おける気室Cは膨張行程、気室Aは吸気行程、気室Bが
排気行程、気室Dが圧縮行程であるが、その各々がその
行程の初期段階にあり、そこから図24(イ)、(ウ)
を経て(エ)に至ると、各気室A,B,C,Dが180
度(半回転)分の回転をしたことになって各気室A,
B,C,Dが互いに重複しない1行程分ずつを終了させ
る。
【0102】即ち180度分を回転すると、気室Aは図
24(ア)において最小に収縮させた気室間隙が(エ)
に示すように最大まで拡張させて吸気行程を終了させた
次の圧縮行程を臨む位置にあり、また気室Bは最大体積
から最小の体積になって排気行程の終了と共に吸気行程
を開始する位置にある。この時、気室A,Bが共有する
半月状作動室Ha側の吸気孔Inは開いたままである
が、排気孔Exは閉ざされた直後である。また、図24
(エ)に示すように気室Cは膨張行程を終了して気室空
間が行程量いっぱいまで拡張した次の排気行程に入る位
置の排気弁Vaが開けられた直後(図中右側の1穴)で
あり、気室Dは気室空間を最も収縮させて圧縮行程を終
了させた回転角の位置にいるが、その圧縮仕事の終了前
に点火具Igによって作動媒体が点火された膨張行程に
おける燃焼初期の段階にいる。
【0103】この気室Dにおける熱と膨張圧力も、回転
ピストン30と斜行板40の板面が形成する気室Dの気
室間隙を押し広げて気室Dの対向位置にある気室Bの気
室間隙も拡張させ、その反対に弛緩している気室A,C
の気室間隙を収縮すべく作用し、先の気室Cに後続して
回転主軸20の回転力に変換される。従って図24
(エ)においては、気室Aが圧縮行程、気室Bが吸気行
程、気室Cが排気行程を進行させるが、その何れもがそ
の行程の初期である。そして図24(エ)から(オ)、
(カ)を経て図25(キ)に至ると、図24(ア)から
丁度1回転(180度×2)分をして各気室A,B,
C,Dが2行程分ずつの作動を完了させる。その図25
(キ)においては、気室A,Cの互いが空隙容積である
燃焼室分の最小体積になっているが、その内の気室Aに
おいては圧縮行程の最高時で収束された圧縮気が点火具
Igによって点火された膨張行程の開始時にある。
【0104】この気室Aにおける膨張行程も回転主軸2
0に回転力を与えると共に、気室Cの気室空隙を拡張さ
せて気室B,Dの気室空隙を縮小するように作用する。
尚、この図25(キ)においては、気室A,B側の半月
状作動室Haに開口する吸気孔Inは既に閉鎖されて排
気孔Exも閉じたままであるが、それとは逆に気室C,
D側の半月状作動室Haに開口する排気孔Exは開放さ
れ、排気行程を終えた気室Cに継続して気室Dの燃焼ガ
スの排出を通路し、同時に気室Cに給気すべく吸気孔I
n(図中右側の点線2穴組)が開放された直後である。
つまり、気室Cは排気行程の終了と同時に吸気行程を始
める位置にあって気室内容は空に近い状態であり、この
時の気室B,Dの互いは気室空間を拡張させた最大体積
を有し、気室Bが吸気行程を終了して圧縮行程を開始
し、気室Dが膨張行程を終えて廃気を排出する次の排気
行程の開始位置にいる。
【0105】更に、この図25(キ)から(ク)、
(ケ)の順に進行して(コ)に至ると、気室A,Cは共
に最大の気室体積を擁するが、気室Aは既に膨張仕事を
終息して排気孔Ex(図中左側の点線1穴)が開けら
れ、気室Cは行程体積いっぱいまで吸入した作動媒体を
収束させる圧縮行程の開始位置にある。一方、共に気室
空間を最小に収縮させている気室B,Dのうち、気室D
は廃気排出の終了に伴う次の吸気行程の開始時にあって
吸気孔Inは開放されたままであり、また気室Bの圧縮
作動媒体は既に点火されていて、この気室Bの膨張圧力
が気室Dの気室間隙を押し広げて気室A,Cの気室間隙
を収縮させると共に回転主軸20を回転させる。結局、
各気室A,B,C,Dは、図24(ア)を振り出して図
25(コ)に至ると各々が1回転半(180度×3)を
したことになるが、各々の1行程はその半回転毎におい
て成立するから各々が3行程分ずつを終了させたことに
なる。
【0106】そして、その時の気室Bの膨張行程によっ
て図25(コ)から(サ)、(シ)を経て出発となった
図24(ア)に戻れば、回転主軸20と回転ピストン3
0と斜行板40とが2回転(180度×4)をして気室
A,B,C,Dがそれぞれに4行程の1循環サイクルを
終了させ、気室A,B,C,Dの連鎖した膨張行程が回
転ピストン30の各板面に作用して回転主軸20の回転
力に変換されるから、各気室A,B,C,Dに図24
(ア)乃至図25(シ)を経て再度図24(ア)間を循
環させて吸気−圧縮−膨張−排気の各行程を繰り返して
行わせ、回転主軸20が常に回転力を受ける4気室4行
程サイクルの作動を成立させる。
【0107】
【トルク発生原理】本発明の球形の回転ピストン機関
は、往復ピストン機関と同様に燃焼室内において作動媒
体(この場合は混合気である)の燃焼時間はかなり短
く、大まかには燃焼がほぼ定容のもとに行われ、その燃
焼質量の割合に応じた燃焼ガスの圧力が回転ピストン3
0板面の弓形面31に作用して回転ピストン30そのも
のに力を及ぼす。そして回転主軸20が回転をすると、
回転ピストン30は膨張する燃焼ガスの圧力による力を
受けつつ力の方向に運動をするから、この力が仕事を
し、回転主軸20の回転のかたちで機械エネルギーに変
換される。ここで本発明の球形の回転ピストン機関にお
けるトルク発生の原理を図26に基づいて説明する。
【0108】本発明の球形の回転ピストン機関における
トルク発生は、従来の往復ピストン機関と同様に考える
ことが出来る。即ち、ピストン中間軸33の軸柱面を含
む回転ピストン30の弓形面31に加わるガス圧力Pg
は、球心Oから同一方向に同一距離分を移動した軸線
X,Yの各々が球面Gに交差する点Pと点Qの2点間を
直径とした円周(回転ピストン30のL軸線の公転軌
跡、円錐軌跡U)において、その円周の切線方向に作用
する切線力Ftと、回転主軸20軸頸のジャーナル軸受
荷重として作用するPbとに分けて考えることが出来る
が、X軸線上のM軸線を連結の軸とする前記ピン継手関
節55の軸央枢25が往復ピストン機関におけるクラン
クピンに相当してK軸線の両端(点Ka,Kb)の蝶番
ピン51が往復ピストン機関におけるピストンピン位置
に相当し、そのピン継手関節55と前記蝶番関節50と
の連結部は共に±θ角度を揺動する。
【0109】また、M軸線上のピン継手関節55におけ
る軸央枢25と、K軸線両端部(点Ka,Kb)の蝶番
ピン51,51と、回転ピストン30の球弧面32に開
口するピストン通軸孔34の窓状開口部の中心点(L軸
線が球面Gに交わる点)は、回転に伴って共に角度θ分
の等しい距離を移動するから、そのL軸線上に点Pと同
一半径上に位置するピストン通軸孔34の開口部の中心
も往復ピストン機関のクランクピンに相当すると考えて
もなんら変わることがない。また、X軸線上の点Pが往
復ピストン機関のクランク回転中心に相当する。従っ
て、出力軸のトルクTは、往復ピストン機関におけるク
ランクピン、クランク半径(e)に相当する回転ピスト
ン30の回転偏心量(L軸線の公転軌跡の直径、点P,
Q間)をeとすれば、T=Ft・eで示される。
【0110】
【出力計算】従って、本発明の球形の回転ピストン機関
における出力Neは次式によって計算される。 Ne=Pme・Vh・z・i/75×60×100 =2・π・T・n/75×60(PS) Ne:軸出力 Pme:正味平均有効圧力 Vh:単室作動容積(cm3) n:回転主軸の回転数(r.p.m) i:回転主軸1回転あたりのサイクル数 z:作動室数 T:トルク(kg/m) 尚、本発明の球形の回転ピストン機関では回転主軸20
の2回転で1回の膨張行程のためi=1/2(2行程サ
イクル機関の形態ではi=1)である。
【0111】次に、前述した実施の形態1乃至4を原形
として構成される本発明の各種実施例を図面を参照して
詳しく説明する。
【0112】
【実施例1】まず、前述した実施の形態1の構成に基づ
く実施例1を図27乃至図33において説明する。尚、
図中の符号60は円環からなるバルブ装置Vaの環バル
ブであり、この環バルブ60はバルブ環歯車62とバル
ブ連接孔66,66とを有する。即ちこの実施例1は、
図27,32に示すように円筒状をなす環バルブ60を
斜行板環43の外径面上に摺接関係の回転可能に外嵌さ
せ、斜行板40と速度の異なる同一方向の回転をさせる
と共に、その回転に伴って増減を繰り返す四つの作動室
A,B,C,Dの体積に合わせて作動媒体流出入のオン
・オフを行わせ、内燃ピストン機関としての4行程サイ
クルをさせるものである。
【0113】上記実施の形態1の構成において、この実
施例における回転主軸20は穴明き円形板からなる軸央
枢25に丸棒の両軸柱が結合して一本の直軸状に形成さ
れ、その回転主軸20が回転ピストン30に図17に示
す如く関係を有して連結し、回転ピストンハウジング1
0a,10aの対向両壁に設けた主軸受13,13に両
軸頸を嵌挿させて軸承されれば、図9、及び図27に示
すように回転主軸20はハウジング10の全体を貫通し
て突出組立てられ、回転ピストン30と斜行板40はピ
ストン中間軸33を蝶着の軸として交差する二つの平面
上に互いが円形状板に形成される。
【0114】この斜行板40と回転ピストン30との組
立てにおいては、例えば図29に示すように斜行板40
を半円分程度の斜行板環43に二つの弓形板を結合させ
て窓状空隙の窓枠の一方側を外したコの字形からなる斜
行板本体40aと、斜行板環43の残りの半円分程度か
らなる斜行板止め枠40bとの二つの部材に分割し、且
つその半円分ずつからなる互いの斜行板環43の内側中
心部に蝶番ピン51,51を突出形成して置く。その上
で、斜行板本体40aのコの字枠の開いた側からピスト
ン中間軸33を差し込み入れると共に、蝶番ピン51,
51をピストン中間軸33両端取付けの蝶番ピン受5
2,52に嵌入し、且つ斜行板本体40aに斜行板止め
枠40bをネジによって固定し、回転ピストン30と斜
行板40をピストン中間軸33上に交差させて組立てる
ものであるが、この斜行板本体40aと斜行板止め枠4
0bとの組付けは強度・剛性の見地から互いの熔融によ
ることが好ましい。
【0115】更にこの実施例における軌道隙12の底壁
面は、図27,29,31,32に示すように斜行板環
43の同心円上に外嵌させるバルブ装置Vaの前記環バ
ルブ60の外径を若干越えた分の内径長を持つ回転面に
形成された斜行板ハウジング10bの内周面であるか
ら、その軌道隙12底壁面と環バルブ60の内外周面と
斜行板環43の外周面は同一軸線(Y軸線)の同心円上
に置かれる。この場合の環バルブ60は、斜行板環43
の外周面に嵌合する内径面と軌道隙12の底壁面に嵌合
する外径面との内外円周の接合面がそれらに回転摺動可
能な回転面に形成された円筒であり、図28,29に示
すように何れか一方側の側面円周が傘歯歯車に刻設形成
された前記バルブ環歯車62と、内周面から外形面に貫
通する溝状孔の前記バルブ連接孔66,66とを有す
る。
【0116】尚、このバルブ装置Vaにおける動弁装置
としては図27,28に示す如く、回転主軸20の頸部
に外歯歯車の動弁歯車27を取付け、それも動弁歯車2
7とバルブ環歯車62とに1:2のピッチ円径比を持た
せて環バルブ60を回転主軸20、及び斜行板40回転
の1/2速度で従動させるが、その場合には動弁歯車2
7とバルブ環歯車62とが直接に歯合するか、又は図2
7乃至図29に示すように互いに噛み合う偶数個からな
る外歯歯車の中間の歯車54,54を動弁歯車27とバ
ルブ環歯車62との間に介在させて直列に歯合させる。
又は、図示はしないが回転主軸20取付けの動弁歯車2
7に換えて斜行板環43の縁部円周を傘歯歯車の斜行板
環歯車48に刻設し、且つハウジング10の固定壁に軸
支される同軸一体の大小二つの外歯歯車からなる中間歯
車54を設け、その大小中間歯車54を斜行板環歯車4
8とバルブ環歯車62とに振り分けて歯合させ、バルブ
環歯車62を斜行板環歯車48の1/2速度で従動させ
る。
【0117】また、作動媒体の流出入孔は、図31,3
2に示すように環バルブ60の内外面が接する斜行板4
0とハウジング10壁との双方に、各々の内外部を連通
する貫通孔として斜行板40に斜行板流路孔49,4
9、49,49と、ハウジング10壁にハウジング流路
孔15,15とが穿設され、この2組の流路孔は互いの
流路孔間に介在する環バルブ60の回転に伴って接合と
遮断が行われる。その斜行板流路孔49,49、49,
49には、気室A,B,C,Dに面して斜行板40の各
弓形面41に開口する気室側の孔口と、その気室側孔口
の各々が図30,33に示す如く、斜行板環43外径面
の同一回転円周上に等間隔を置いて別々に連通して開口
する外郭口9b,9b、9b,9bとを有する。
【0118】環バルブ60には、図28,31,32に
示すように自らのバルブ円筒円周の概ね1/4円周長ず
つを有して直列に連なる2筋の溝状孔がバルブ円筒の内
径面から外形面に貫通する前記バルブ連接孔66,66
を有するが、このバルブ連接孔66,66の2筋は各斜
行板流路孔49の外郭口9b回転円周上のバルブ円筒内
周面に内向口6a,6aが開口し、その各々がバルブ円
筒の競合しない別々の回転円周上の外形面に開口する外
向口6b,6bと連通する。そして、その外向口6b,
6bが開口する二つの回転円周上のハウジング10内壁
面には前記ハウジング流路孔15,15の内部口5a,
5aが開口するが、その各々が別々にハウジング10外
壁面に連通する溝状孔であり、その2円周の一方の円周
分が吸気孔In、もう一方の円周分が排気孔Exであ
る。
【0119】尚このハウジング流路孔15,15の各々
は、環バルブ60が何れの回転角位置に変化しても常に
自らの与するバルブ連接孔66,66と接合し、各バル
ブ連接孔66が常時開放された状態にあれば溝状の孔で
ある必要はなく、図31に示すように同一円周上に穿つ
孔を連続させてもよく、その連続孔の連続長も互いに与
するバルブ連接孔66に常に接続していれば形状と共に
自由である。同様に、バルブ連接孔66,66において
も必要とする円周長分が満たされれば溝状の孔のみに限
らず、また外向口6b,6bが開口する回転円周も環バ
ルブ60円筒の外周面、側面の何れの円周であってもよ
い。
【0120】また、点火具Ig,Igは、上死点のピス
トン位置に相当する空隙容積の燃焼室を窺うハウジング
10壁に挿着されるが、それは斜行板40の縁部円周と
回転主軸20とが最も接近している位置であり、回転主
軸20と斜行板40との双方の軸線を通る平面上に位置
するハウジング10壁である。而も、図27に示すよう
に互いに対向するハウジング10壁の少なくとも二つの
位置に挿着され、その一方が斜行板40を両側の境とし
た二つの気室A,B側に作用し、もう一方が気室C,D
側に作用するものである。
【0121】以上のように構成されるこの実施例におい
て、吸気、圧縮、膨張、及び排気の各行程の作動と進行
を以下説明する。
【0122】図30は、斜行板40において気室A,
B,C,Dに面する各弓形面41から立ち上がって各々
が外周面の同一回転円周上に開口する前記斜行板流路孔
49,49、49,49を示し、図31は、各斜行板流
路孔49と前記バルブ連接孔66,66と前記ハウジン
グ流路孔15,15との位置関係と各孔の形状を示し、
図32は、環バルブ60に対して内側の各斜行板流路孔
49と外側のハウジング流路孔15,15との位置関係
を図31に基づいて示すものであるが、環バルブ60は
上述したように斜行板40回転速度の1/2速度で斜行
板40回転方向と同一方向に回転し、図33においては
時計廻りの回転をする。また、その図33において、符
号Aは気室Aを示すと共にその気室Aに連通する斜行板
流路孔49を示し、符号B,C,Dも気室B,C,Dを
示すと共に気室B,C,Dの各々に連通する各斜行板流
路孔49を示し、また図33a,b,c,dの各(イ)
側が気室A,B,C,Dにおける吸気側の作動を示すと
共に各(ロ)側が排気側の作動を示すものである。
【0123】この図33a(イ)、(ロ)においては、
斜行板流路孔Aはその外郭口9bが図a(ロ)に示す排
気側のバルブ連接孔66との連接を終了して図a(イ)
に示す吸気側のバルブ連接孔66と入れ替る回転角の位
置にあり、斜行板流路孔Bは斜行板流路孔Aに後続して
図a(ロ)に示す排気側のバルブ連接孔66と接合する
直前位置であるから、この時の気室Aは最小に収縮した
気室空間が吸気行程を開始し、気室Bは膨張最大の気室
空間が排気行程に入る直前位置にある。また、斜行板流
路孔C,Dは吸、排気のバルブ連接孔66,66の何れ
とも接触がなく閉鎖され、その気室Cは作動媒体が点火
された位置であるから膨張行程を始め、気室Dは斜行板
流路孔Dが吸気側のバルブ連接孔66との接合を終えた
位置であるから気室空間を最大に膨らませた吸気行程の
終了時である。
【0124】尚、二つの円周に穿設されるハウジング流
路孔15,15は、2筋のバルブ連接孔66,66(先
行側が吸気孔、後続側が排気孔である)の先行側と接合
する円周側が吸気孔Inであって後続分と接合をする円
周側が排気孔Exであるが、バルブ連接孔66,66と
ハウジング流路孔15,15は常時接合していて吸、排
気孔In,Exが共に気室A,B,C,Dの何れかに連
通している。以上のことから、図a(イ)、(ロ)の斜
行板40と環バルブ60とに回転を与えて図b(イ)、
(ロ)に至ると、その間に気室A,B,C,Dは互いが
重複しない同一以外の行程を終了させ、各気室A,B,
C,Dと斜行板40が半回転(180度)をして環バル
ブ60が1/4円周(90度)分を回転する。
【0125】即ち、図b(イ)、(ロ)において、気室
Aは吸気側のバルブ連接孔66との連接を終了させ、気
室Bは排気行程の終了と同時に斜行板流路孔Bを図b
(イ)に示す吸気側のバルブ連接孔66に接合させた位
置であるから、気室Aは最大に拡張した気室空間が吸気
行程を終了させて気室Bは気室空間を最小に収縮させた
吸気行程を開始する状態にある。また、気室Dは圧縮閉
鎖された作動媒体の点火直後の位置であり、気室Cは図
b(ロ)に示す排気側のバルブ連接孔66に接続を開始
しているから膨張行程を終了させた最大容積の気室空間
が排気行程に入る位置である。
【0126】更に、図b(イ)、(ロ)における各気室
A,B,C,Dと斜行板40が半回転、環バルブ60も
90度分の回転をして図c(イ)、(ロ)に至ると、気
室Aは圧縮気が点火された膨張行程開始の状態であり、
気室Bは吸気側のバルブ連接孔66との接合を終えてい
るから圧縮行程開始の直前である。また、気室Cは排気
行程を終了させて図c(イ)に示すように吸気側のバル
ブ連接孔66と連接の開始位置にあるから吸気行程を開
始し、気室Dは膨張行程を終えて図c(ロ)に示すよう
に排気側のバルブ連接孔66と連接した廃気排出の開始
位置である。
【0127】その図c(イ)、(ロ)から、更に各気室
A,B,C,Dと斜行板40とが半回転をして環バルブ
60も90度分を回転すると、図d(イ)、(ロ)に至
って膨張行程を終了した気室Aは図d(ロ)に示すよう
に斜行板流路孔Aが排気側のバルブ連接孔66に追い着
いて排気行程に入り、気室Cはバルブ連接孔66との接
合が外れた直後であるから吸気行程を終了して圧縮行程
を開始する。また、気室Bは圧縮行程を終えた圧縮気が
点火されて膨張行程を開始し、気室Dは排気行程の終了
に伴って斜行板流路孔Dが図d(イ)に示すように吸気
側のバルブ連接孔66と接合を開始する。
【0128】次に、図d(イ)、(ロ)の各気室A,
B,C,Dと斜行板40が半回転し、環バルブ60も9
0度分を回転して出発した図a(イ)、(ロ)に到達す
ると、それぞれが図aを起点に図b,c,dを経て再び
図aに戻ったことになり、その間に斜行板40と回転ピ
ストン30、及び各気室A,B,C,Dが2回転をし、
環バルブ60が1回転したことになる。結局、斜行板4
0と回転ピストン30の半回転につき各気室A,B,
C,Dが1行程分ずつを終了させるから、斜行板40、
及び回転ピストン30の2回転と環バルブ60における
1回転は、その回転差において環バルブ60が斜行板流
路孔A,B、C,Dとハウジング流路孔15,15との
接合する連通孔を開閉して気室A,B,C,D内の作動
媒体を適宜交換し、且つ気室A,B,C,Dの各々にサ
イクル分の4行程ずつを順次行わせるものである。
【0129】この実施例1において、1/2の軸速度で
回転する環バルブ60を1/2以外の回転速度に変えて
も軸2回転につき各気室A,B,C,Dに四つずつの行
程を行わせることが可能である。即ち、環バルブ60の
回転速度を回転主軸20、及び斜行板40回転の上記し
た1/2速度以外に、例えば3/4、5/6、7/8、
9/10、11/12...のように1/2速度から1
未満の範囲内に変更して作動させる。尚、その環バルブ
60の速度変化に伴って環バルブ60に穿設される2筋
(吸気孔と排気孔)を1対組とするバルブ連接孔66,
66の穿設組数と各筋の穿設筋長が変化すると共に、斜
行板40外周面に開口する斜行板流路孔A,B,C,D
における各外郭口9bの開口位置も変化するが、環バル
ブ60と斜行板40の回転方向は同一である。
【0130】次に、図示はしないが、この実施例1にお
ける環バルブ60に軸速度の1/2以外の回転速度を持
たせた場合のバルブ連接孔66と斜行板流路孔A,B,
C,D、及び動弁装置等の態様を説明する。まず3/4
回転速度の環バルブ60には、環バルブ60円筒円周の
概ね1/8円周長(環バルブ60中心角の45度)分ず
つの筋長を有して連なる2筋を対とする2対のバルブ連
接孔(66,66)×2が環バルブ60円筒の対向位置
に設けられ、この場合の斜行板流路孔A,B、C,Dの
各外郭口9bは、斜行板40中心角の45度を単位とす
る(45度×1)〜(45度×7)の範囲内の適当な間
隔を置いて同一箇所に重複しない斜行板40の外周面に
開口する。
【0131】また5/6速度で回転させる環バルブ60
には、環バルブ60円筒円周の概ね1/12円周長(3
0度)分ずつの筋長を有して連なる2筋を対とする3対
のバルブ連接孔(66,66)×3が等間隔を置いて設
けられると共に、斜行板流路孔A,B、C,Dにおける
各外郭口9bが、斜行板40中心角の30度を単位とす
る(30度×1)〜(30度×11)の範囲内の適当な
間隔を置いて同一位置に重複しない斜行板40外周面に
開口する。更に7/8の軸速度で回転させる環バルブ6
0には、環バルブ60円周の概ね1/16円周長(2
2.5度)分ずつを有して連なる2筋を対とする4対の
バルブ連接孔(66,66)×4が等間隔を置いて設け
られ、その時の斜行板流路孔A,B、C,Dの各外郭口
9bは、斜行板40中心角の22.5度を単位とする
(22.5度×1)〜(22.5度×15)の範囲内の
適当な間隔を置いてそれぞれが重複しない斜行板40外
周面に開口する。
【0132】その上9/10速度の環バルブ60には、
環バルブ60円周の概ね1/20円周長(18度)ずつ
の連なる2筋を対とする5対のバルブ連接孔(66,6
6)×5が等間隔を置いて設けられ、斜行板流路孔A,
B、C,Dの各外郭口9bが斜行板40中心角の18度
を単位とする(18度×1)〜(18度×19)の範囲
内の間隔を置いて重複しない斜行板40外周面に開口す
る。そして11/12速度の環バルブ60には、環バル
ブ60円周の概ね1/24円周長(15度)ずつの連な
る2筋を対とする6対のバルブ連接孔(66,66)×
6が等間隔を置いて設けられ、斜行板流路孔A,B、
C,Dの各外郭口9bは斜行板40中心角の15度を単
位とする(15度×1)〜(15度×23)の範囲内の
適当な間隔を置いて互いが重複しない斜行板40外周面
に開口する。
【0133】尚、上記何れの回転速度の環バルブ60を
装着しても、上述した1/2速度の環バルブ60装着時
と同様に、斜行板流路孔A,B、C,Dの各外郭口9b
は、斜行板40外周面の同一回転円周上に開口し、バル
ブ連接孔66,66は、その各外郭口9b開口回転円周
上の環バルブ60内周面から回転方向に先行する吸気孔
とその後方の排気孔とを組として連なる2筋が環バルブ
60外形面の別々の回転円周上に開口し、且つそのバル
ブ連接孔66,66が開口する二つの回転円周上のハウ
ジング10壁にハウジング流路孔15,15が開口する
が、その2円周はバルブ連接孔66,66の吸、排気孔
に合わせて一方の円周分が吸気孔Inであり、他方の円
周分が排気孔Exである。
【0134】この環バルブ60の速度変化における吸
気、圧縮、膨張、及び排気の各行程の作動は、1/2回
転速度の環バルブ60装着の場合と同様に斜行板40、
及び回転主軸20の2回転においてその四つの行程の1
サイクルが終了するが、その場合の斜行板流路孔A,
B、C,Dの各々は、2筋を対とする同一のバルブ連接
孔66,66と次サイクルにおいて連続して接合しな
い。例えば、3/4回転速度の環バルブ60の装着は、
斜行板流路孔A,B、C,Dの各々が2筋2対のバルブ
連接孔(66,66)×2のうち、先の2回転で一方の
2筋1対側と接合して排気行程と吸気行程とを連続して
行い、次の2回転でもう一方の2筋1対側と接合して排
気行程と吸気行程を連続するから、斜行板流路孔A,
B、C,Dの各々は斜行板40、回転主軸20回転の2
回転毎にバルブ連接孔(66,66)×2の2筋2対の
1対ずつと交互に接合する。
【0135】また、このような速度変化に対応する環バ
ルブ60の動弁装置は、1/2回転速度の環バルブ60
装着時では動弁歯車27がバルブ環歯車62の1/2ピ
ッチ円径(動弁歯車27とバルブ環歯車62とのピッチ
円径比は1:2)であるが、その1/2ピッチ円径の動
弁歯車27に換えて、例えば3/4回転速度の環バルブ
60装着では、バルブ環歯車62に対するピッチ円径が
3/4の動弁歯車27(ピッチ円径比は3:4)を回転
主軸20に取付けると、以下の構成は上述した1/2回
転速度の環バルブ60装着時と同様にその動弁歯車27
とバルブ環歯車62とを直接歯合させるか、又はその両
者間に互いに噛み合う偶数個からなる外歯歯車の中間歯
車54,54を介在させて直列に歯合させる。加えて、
5/6回転速度の環バルブ60の装着においては5/6
ピッチ円径の動弁歯車27を、7/8回転速度の環バル
ブ60の装着では7/8ピッチ円径の動弁歯車27を取
付ければ、何れの場合にも以下の構成と作動は点火具I
gの挿着も含めて1/2回転速度の環バルブ60装着の
場合と全く同じである。
【0136】
【実施例2】図34乃至図46に示す実施例2は、上述
した実施例1とほぼ同様な構成と作動であるが、唯一の
違いは斜行板40とハウジング10壁と環バルブ60に
穿孔される作動媒体を流出入させる流路孔の形成と取付
けにある。
【0137】つまり、上記実施例1を示す図27と同様
に図34はこの実施例2における各構成部品による組立
てを示し、図35は実施例2に取付けられる環バルブ6
0を示すと共に、図36は実施例2全体の分解を示すも
のであるが、この実施例2は図37乃至図40に示すよ
うに、気室A,Bから立ち上がる斜行板流路孔A,Bの
外郭口9b,9bの二つが斜行板40外径面の同一回転
円周上に開口し、斜行板流路孔C,Dの外郭口9b,9
bの二つも斜行板流路孔A,Bとは別の同一回転円周上
に開口する。また、その斜行板流路孔A,BとC,Dの
開口円周と同一回転円周上の環バルブ60の二つの円周
には、連なる2筋ずつのバルブ連接孔(66,66)×
2が穿設され、そのバルブ連接孔(66,66)×2に
内接するハウジング10壁の二つの円周の各々にも、吸
気孔Inと排気孔Exとを別にしたハウジング流路孔
(15,15)×2が穿設される。
【0138】結局、斜行板流路孔A,BとC,Dとの二
つの開口円周と、バルブ連接孔(66,66)×2の二
つの開口円周と、ハウジング流路孔(15,15)×2
の二つの開口円周との3組が垂直平面上に重なるように
構成され、更に斜行板流路孔のAとB、又はCとDとの
外郭口9b,9bは、ピストン中間軸33を挟んで互い
が斜行板40の中心角で直角度分を隔てて開口し、また
バルブ連接孔(66,66)×2においては、同一円周
の2筋が環バルブ60円筒の概ね半円周内に概ね1/4
円周長分ずつを有し、各々の円周における回転の進み側
が吸気孔In、遅れ側が排気孔Exとして穿設される。
尚、点火具Ig,Igは、上記実施例1における構成と
同様に上死点のピストン位置に相当する空隙容積の燃焼
室を窺うハウジング10壁の少なくとも2箇所に挿着さ
れ、図34に示すように一方が二つの気室A,B側に作
用し、もう一方が気室C,D側に作用する。
【0139】図39において、いま斜行板流路孔Aは排
気側のバルブ連接孔66との接触から離れて吸気側のバ
ルブ連接孔66に追着いた位置にあるが、動弁歯車27
とバルブ環歯車62とを直接か、又はその両者間に中間
歯車54,54を介在させて間接に歯合させ、且つ斜行
板40と環バルブ60に矢印方向の回転を与えると、環
バルブ60が斜行板40回転の1/2回転速度を以て斜
行板40と同じ方向に回転するから、斜行板流路孔A,
B、C,Dが自らの回転速度よりも遅いバルブ連接孔6
6,66を追掛け追着いて追越し、それを常に繰り返
す。
【0140】この場合、図中左の連続円孔がハウジング
流路孔15の気室A,B側における吸気孔In(気室
C,D側は排気孔Ex)であるから、図39における気
室Aは吸気行程を開始する位置にあり、また斜行板流路
孔Bは排気側のバルブ連接孔66に追着いてそのバルブ
連接孔66上のハウジング流路孔15も気室A,B側の
排気孔Ex(気室C,D側は吸気孔In)であるから、
気室Bは排気行程を開始する位置にある。そして、気室
Cは斜行板流路孔Cの外郭口9bが環バルブ60の内周
面によって閉じられていて且つ作動媒体が点火された直
後の回転角位置であり、気室Dは吸気側のバルブ連接孔
66との接合から外れて圧縮行程の開始位置である。
【0141】尚、図37は、斜行板40外径面の二つの
回転円周上に開口する斜行板流路孔A,B、C,Dを示
すが、その一方の円周上に開口する斜行板流路孔A,B
の外郭口9b,9bが破線、もう一方の円周上の斜行板
流路孔C,Dの外郭口9b,9bが実線で示され、図3
8,39は、斜行板流路孔A,B、C,Dとバルブ連接
孔(66,66)×2とハウジング流路孔(15,1
5)×2との位置と形状を示し、それら三者は接合可能
な二つの平面上に重なって構成される。そして、図39
と図40a(イ)、(ロ)は、斜行板流路孔A,B、
C,Dとバルブ連接孔(66,66)×2とハウジング
流路孔(15,15)×2とが同位置にあるが、その図
40a、b、c、dにおける各(イ)は、気室A,B側
の各行程、各(ロ)は気室C,D側の各行程の作動を示
すものである。
【0142】この実施例2における各気室A,B,C,
Dの作動を図40において説明すると、いま図a(イ)
に示す斜行板流路孔Aがバルブ連接孔66,66の連な
る継ぎ目の部分に接しているが、斜行板40と環バルブ
60とが矢印方向時計廻りの回転をすれば、先行するバ
ルブ連接孔66がハウジング流路孔15の吸気孔Inに
通じるから、気室Aは吸気行程を開始し、気室Bは膨張
行程を終えて斜行板流路孔Bが後続のバルブ連接孔66
に連接した排気行程に入る状態にある。そして、図a
(ロ)における気室Cでは吸、排気孔In,Exの何れ
のバルブ連接孔66,66も接合はなく閉鎖された中で
作動媒体が点火されて膨張行程を開始し、気室Dは吸気
側のバルブ連接孔66を追越して最大拡張した気室空間
が圧縮行程を開始する回転角の位置にある。
【0143】この時、斜行板40の回転方向と同一方向
にその1/2速度で環バルブ60が回転するから、図a
(イ)、(ロ)における斜行板40が180度を回転す
ると環バルブ60では90度分を回転し、図b(イ)に
示すように気室Aは吸気側のバルブ連接孔66から連接
が外れて吸気行程の終了と同時に圧縮行程を開始し、気
室Bは連なる2筋のバルブ連接孔66,66の中位にあ
って排気行程の終了と共に吸気行程を開始し、また図b
(ロ)に示すように膨張行程を終えた気室Cは斜行板流
路孔Cの外郭口9bが排気側のバルブ連接孔66に追着
いて排気行程を開始し、気室Dは引き続いてバルブ連接
孔66,66との連接はなく、圧縮行程後の作動媒体の
圧縮気が点火された膨張行程の開始時にある。
【0144】更に、図b(イ)、(ロ)における斜行板
40に180度、環バルブ60に90度の1行程分の回
転をさせれば、図c(イ)に示すように気室Aが膨張行
程を開始する位置になり、気室Bが圧縮行程開始の位置
になると共に、図c(ロ)に示す気室Cが吸気行程を開
始し、気室Dが排気行程を開始する。そして更に、図c
(イ)、(ロ)における斜行板40が180度分、環バ
ルブ60が90度分を同一方向に回転すれば、図d
(イ)に示す気室Aは膨張行程を終了して排気行程、圧
縮行程を終えた気室Bは作動媒体が点火されて膨張行程
を何れも開始し、図d(ロ)に示す気室Cが吸気行程後
の圧縮行程、気室Dが排気行程を終了して吸気行程を何
れも開始する。
【0145】この図40において、環バルブ60の1回
転につき1サイクル分の4行程を得べく環バルブ60円
筒円周を4等分にすると、各々の行程は1/4円周長ず
つを有して各々が直角度分ずつの回転角を有する。即
ち、ポンピングをする排気行程と吸気行程には概ね1/
4円周長分ずつからなる溝状孔を与えて圧縮行程と膨張
行程とが閉鎖された残りの円周分とすると、上述したよ
うに環バルブ60には二つの回転円周上の各々に連なっ
た2筋ずつのバルブ連接孔(66,66)×2が穿設さ
れ、その回転円周の一方が斜行板流路孔A,Bとの連接
側となり、もう一方が斜行板流路孔C,Dの連接側とな
るが、気室A,B,C,Dの何れにおいても排気行程終
了と同時に吸気行程を開始し、各斜行板流路孔A,B、
C,Dが吸、排気行程の円周長を満たす分をハウジング
流路孔15,15にバルブ連接孔66,66を介して接
続する。
【0146】また図40において、斜行板流路孔A,
B、C,Dが1行程分に相当する半円周長(180度)
分を回転すると、バルブ連接孔66が1/4円周長(9
0度)分を動き、その時に気室A,B,C,Dの何れか
が吸気行程か、排気行程の何れかを行えば、バルブ連接
孔66もその吸気行程か、排気行程に合致する吸、排気
孔In,Exの何れかのハウジング流路孔15に接続す
る。尚、同一円周上に設けられるハウジング流路孔1
5,15の各々は、二つの気室A,B(又は気室C,
D)が共用する為に、バルブ連接孔66,66の半円周
長分が1/2の回転速度に見合うハウジング10内部面
円周の概ね1/4円周長ずつを有して一方が排気孔Ex
であり、もう一方が吸気孔Inである。
【0147】この実施例2においても、上記実施例1の
場合と同様に環バルブ60の回転速度を斜行板40の回
転速度に対して1/2以外に変えても各気室A,B,
C,Dにサイクルを構成する4行程を繰り返し行わせる
ことが出来る。即ち、斜行板40の回転速度を1とする
と環バルブ60の回転速度が3/4、又は5/6、7/
8、9/10、11/12...というように斜行板4
0回転の1に対して、その1/2から1未満の範囲内に
おいて環バルブ60の速度変更が可能である。
【0148】その場合、上記実施例1の構成と同様に、
斜行板流路孔A,B、C,Dでは同一円周上に開口する
二つの外郭口9b,9bの開口間隔、バルブ連接孔66
では同一円周内に穿設される筋長と筋数と穿孔位置、ハ
ウジング流路孔15では同一円周内の穿孔円周長が、何
れも一定の条件のもとで変更される。尚何れの回転速度
の環バルブ60の装着においても、斜行板流路孔のA,
BとC,Dの2組は斜行板40外周面の別々の回転円周
上に開口し、ハウジング流路孔15は二つの円周の各々
に対向する2筋ずつが穿設されるが、その同一円周の各
々が回転主軸20と環バルブ60との双方の回転軸線を
通る平面を中心とした左右の各々に半円周長より短い溝
状孔か、又はその半円周長以下の範囲内に連続した孔を
一方を吸気孔Inとして他方を排気孔Exとして穿設さ
れ、また点火具Igにおいても気室A,B側と気室C,
D側の燃焼室を窺うハウジング10壁の2箇所に挿着さ
れる。
【0149】また、この場合における動弁装置は、動弁
歯車27がバルブ環歯車62に対して上記1/2回転速
度の環バルブ60装着時では1/2のピッチ円径である
が、その1/2ピッチ円径に換えて3/4回転速度の環
バルブ60では3/4ピッチ円径、5/6回転速度の環
バルブ60では5/6ピッチ円径、7/8回転速度の環
バルブ60では7/8ピッチ円径の動弁歯車27をそれ
ぞれ取付けて上記実施例1における構成と同様に、その
バルブ環歯車62と動弁歯車27を直接歯合させるか、
介在する中間歯車54,54を中継として間接歯合させ
るかし、回転主軸20、及び斜行板40の回転方向と同
方向に環バルブ60を回転させる。次に、この実施例2
において環バルブ60に軸速度の1/2以外の回転速度
を持たせた場合におけるバルブ連接孔66と斜行板流路
孔A,BとC,D等の態様と、各気室A,B,C,Dに
おける各行程の作動を説明する。
【0150】まず、斜行板40の3/4速度で回転する
環バルブ60には、図41に示すように斜行板流路孔
A,BとC,Dの開口円周に合致させた環バルブ60に
おける二つの回転円周の各々に、概ね1/8円周長分ず
つを持つ溝状孔の連なった2筋を1対組として対称位置
に開口する2組分のバルブ連接孔(66,66)×2,
(66,66)×2が穿設され、その時の4行程の進行
を示す図42において、斜行板40が1行程分に相当す
る半回転をすると環バルブ60がその3/4回転分であ
る3/8円周(135度)分を回転する。また、この場
合の斜行板流路孔A,BとC,Dの互いに与する二つの
外郭口9b,9bは、互いがピストン中間軸33を挟ん
で互いの中心を概ね3/8円周長(135度)分を隔て
た斜行板40外径面に開口し、ハウジング流路孔(1
5,15)×2においては、バルブ連接孔(66,6
6)×2,(66,66)×2が開口する二つの開口回
転円周上のハウジング10壁に、そのハウジング10内
部面円周の概ね3/8円周長(ハウジング10の中心角
で135度)ずつの溝状の孔が対向して設けられる。
【0151】結局、この図42における各行程の進行
は、上述した1/2速度の環バルブ60装着の図40と
同様に、環バルブ60が矢印方向の回転をすれば図a
(イ)の気室Aが吸気行程を行い、気室Bが排気行程を
行い、図a(ロ)の気室Cが膨張行程、気室Dが圧縮行
程を行う。そして、図b(イ)では気室Aが圧縮行程、
気室Bが吸気行程、図b(ロ)の気室Cが排気行程、気
室Dが膨張行程を行い、図c(イ)の気室Aが膨張行
程、気室Bが圧縮行程、図c(ロ)の気室Cが吸気行
程、気室Dが排気行程を行い、次の図d(イ)における
気室Aが排気行程、気室Bが膨張行程、図d(ロ)の気
室Cが圧縮行程、気室Dが吸気行程を行うが、各図の何
れもがその行程を開始した直後の位置にある。
【0152】次に、斜行板40の5/6速度で回転する
環バルブ60では、図43に示す如くに環バルブ60円
筒における二つの円周の各々に概ね1/12円周長から
なる溝状孔の連なる2筋を1対組とした3組分のバルブ
連接孔(66,66)×3,(66,66)×3が均等
な間隔を置いて穿設される。また、図44に示すように
5/6速度の環バルブ60が進行させる各気室A,B,
C,Dの行程は、図a(イ)における気室Aが吸気行
程、気室Bが排気行程であり、図a(ロ)の気室Cが膨
張行程、気室Dが圧縮行程であるが、その作動は図42
に示す3/4速度の環バルブ60と同様な行程を進行さ
せ、その時の斜行板流路孔A,B、C,Dは、同一の回
転円周上に開口する外郭口9b,9bの二つが互いの中
心を概ね5/12円周長(150度)分を隔てて互いが
ピストン中間軸33を挟んで開口する。
【0153】そして、斜行板40回転に対して7/8速
度の環バルブ60には、図45に示すように二つの円周
の各々に概ね1/16円周長からなる溝状孔の連なる2
筋を1対組とした4組分のバルブ連接孔(66,66)
×4,(66,66)×4が穿設されるが、二つの斜行
板流路孔A,B(又はC,D)の外郭口9b,9bも互
いの中心を7/16円周分を隔てた同一円周に開口す
る。この7/8回転速度の環バルブ60における気室
A,B,C,Dの各行程は、図46に示す如く、先の3
/4速度、及び5/6速度の環バルブ60装着の場合と
全く同様に進行し、図46a(イ)の気室Aが吸気行
程、気室Bが排気行程、図a(ロ)の気室Cが膨張行
程、気室Dが圧縮行程となって順次進行する。或は、7
/8回転速度より速いが斜行板40よりも遅い環バルブ
60の装着においては、同一円周上に開口する二つの斜
行板流路孔A,B(又はC,D)の外郭口9b,9bの
開口開角度は更に大きくなり、バルブ連接孔66の単一
筋長は短縮されて2筋の1対組が4組以上に増加する。
【0154】
【実施例3】次に、前記実施の形態2の構成に基づく実
施例3を図47乃至図49において説明する。上述した
実施例1と実施例2における素子組成と作動室Fuの形
成とが円球分とすれば、この実施例3は半球分の構成で
あるが、回転主軸20と回転ピストン30の連結、回転
ピストン30と斜行板40の連結、そしてバルブ装置V
aと、その動弁装置等の取付けと作動は上記実施例1、
2の場合と同様である。
【0155】即ち、この実施例3は前記実施の形態2を
示す図11において、S円面に平行な一つの切り口平面
a−aによってハウジング10全体を二分し、その一方
を円球からなる凹面内壁面11に形成して回転ピストン
30の球弧面32を回転摺動可能に内包する回転ピスト
ンハウジング10aとし、他方を凹状空隙の軌道隙12
として斜行板40を回転可能に抱持させる斜行板ハウジ
ング10bとする時、回転ピストン30は半円状板にピ
ストン中間軸33を合体させた略半円板とし、斜行板4
0は円形状板の一方板面のみを二つの弓形面41,41
からなる作動室Fu,Fuの形成面とし、その回転ピス
トン30と斜行板40の作動室側面とを同一側に置いて
互いの弓形面31,41を対面させて構成するものであ
る。
【0156】従って、ハウジング10内には二つの気室
A,Bか、又はC,Dが形成され、主軸受13,13は
一方が回転ピストンハウジング10a壁に、もう一方が
斜行板ハウジング10b壁に設けられ、斜行板40は中
央部に斜行板通軸孔44を開口させてピストン通軸孔3
4に連接し、その両通軸孔34,44を遊挿する回転主
軸20はハウジング10対向両壁の主軸受13,13を
嵌挿して軸承される。その上、図48に示す環バルブ6
0も上記実施例1,2における環バルブ60と同様に、
斜行板40の外径面に摺接契合する内径面と斜行板ハウ
ジング10b内壁面に摺接契合する外径面とを有して斜
行板40の同心円上に回転可能に装置され、動弁装置も
図47に示すように動弁歯車27とバルブ環歯車62と
を歯合させて環バルブ60を回転主軸20の同一方向に
回転させる。
【0157】この実施例における動作流体の出入孔は、
斜行板流路孔A,B(又はC,D)と、その斜行板流路
孔A,B(又はC,D)の外郭口9b,9b回転円周上
に開口させた環バルブ60のバルブ連接孔66,66
と、そのバルブ連接孔66,66の外向口6b,6b回
転円周上のハウジング10内壁面に開口させたハウジン
グ流路孔15,15とであるが、その各出入孔の形成と
取付け、その連接関係における4行程の作動は、上記実
施例1における気室A,B(又はC,D)のみの2気室
分か、又は上記実施例2の気室A,B(又はC,D)か
らなる片側1円周分の吸、排気作用と同様である。
【0158】
【実施例4】前記実施の形態2の構成に基づく図50に
示す実施例4は、回転主軸20の枢着点に対して半円板
状の回転ピストン30を配し、斜行板40は両板面の何
れか一方を作動室Fu,Fuの形成面として構成するか
ら、二つの気室A,B(又はC,D)により成り立つも
ので半球分の構造から組成されることは上記実施例3と
同様であるが、回転主軸20と斜行板40に構造上の相
違を有する。
【0159】つまり、回転主軸20は軸央枢25におけ
る丸棒の軸柱取付けが一方側にのみ限定され、また斜行
板40には斜行板通軸孔44の形成はなく、それに換え
て外郭摺接面45の中心部分に丸棒を固着させた柄状の
斜行板軸46が回転主軸20軸柱の反対向きに、X軸線
上の回転主軸20とハウジング10の球心Oにおいて前
記角度θを有して交差するY軸線上に配置される。その
2軸線上において対向する一方の回転ピストンハウジン
グ10a壁に主軸受13と、もう一方の斜行板ハウジン
グ10b壁に斜行板軸受14とを貫設し、その軸受1
3,14の各々に与する回転主軸20と斜行板軸46と
の軸頸を挿通させると、回転主軸20と斜行板40に定
位な回転軸線が与えられて同一方向の回転が可能になる
と共に、その回転主軸20と斜行板40とに2方向を拘
束支持される回転ピストン30も円錐軌跡U上の自・公
転が可能になる。
【0160】この実施例4におけるバルブ装置Vaは、
上記実施例3における構成と同様な環バルブ60の装着
も可能であるが、斜行板40が斜行板軸46によって軸
受け支持されるこの場合には、図51に示すように斜行
板40の外郭摺接面45側に板状、或は凹面の円形板か
らなる板バルブ61を組込む。この板バルブ61の中心
部には円孔からなるバルブ板軸受64を設けて斜行板軸
46を嵌挿させれば、板バルブ61は斜行板ハウジング
10bの側壁と斜行板40の外郭摺接面45との間に回
転摺動可能に嵌合して斜行板40と同一定位の回転軸線
を有して支持される。尚、この板バルブ61は縁部円周
に傘歯歯車のバルブ環歯車62が装着されて斜行板軸4
6取付けか、又は図50に示す回転主軸20の軸頸取付
けの外歯歯車からなる前記動弁歯車27に従動する。
【0161】一方、この実施例における作動媒体の出入
孔は、図示はしないが斜行板40の弓形面41,41の
各々から前記外郭摺接面45に開口させた外郭口9b,
9bに連通する斜行板流路孔A,B(又はC,D)と、
その外郭口9b,9bの開口回転円周と重なる回転円周
の板バルブ61板面に開口させた内向口6a,6aが板
バルブ61を貫いてハウジング10壁側の板面に開口す
る外向口6b,6bに連通する溝状孔のバルブ連接孔6
6,66と、そのバルブ連接孔66,66開口円周上の
ハウジング10内壁面に内部口5a,5aを開口させて
ハウジング10外壁面に連通するハウジング流路孔1
5,15とが穿設される。以下、この板バルブ61の装
着における斜行板流路孔A,B(又はC,D)とバルブ
連接孔66,66とハウジング流路孔15,15との各
行程における連接関係は、上記実施例1,2における気
室A,B(又はC,D)の2気室分のみが構成する1円
周分とすれば上記実施例1,2の作動と全く同じであ
り、上記実施例3における環バルブ60を板バルブ61
に置き換えたものである。
【0162】尚、上記実施例3,4は前記実施の形態2
に基づく上記構成と作動であるが、この実施例3,4に
おける半球分の構成要素を1組分とし、その半球分の構
成要素と相称するもう1組分を構成して2組分にし、そ
の2組の半球分を合わせて連動させれば、この実施例
3,4における半球分の組成に対し、その2組分からな
る円球分容量の構成が可能となる。次に、前記実施の形
態4に基づく各種実施例を説明する。
【0163】
【実施例5】まずこの実施例5は、図52に示すように
同一線上に互いの円筒軸線を有して双方の斜行板ハウジ
ング10b,10bを合体させ、その両側に互いの凹面
内壁11,11が対面する回転ピストンハウジング10
a,10aを配置して全体を一体化したハウジング10
内に回転ピストン30,30と斜行板40,40と回転
主軸20,20との相称する2組を対称配置する。
【0164】その中で、ハウジング10内の中央に組込
まれる2組の斜行板40,40は、互いの外郭摺接面4
5,45を同一線上に結合させて同一体をなす円形状板
か、又は円形状体に形成され、両側2組の内部素子の一
方側が回転すれば、その同軸一体の斜行板40によって
他方側も回転する。この場合の半円板状回転ピストン3
0,30は、各々がピストン中間軸33,33をハウジ
ング10内の中央寄り、球弧面32,32を外側向きに
して組込まれ、回転主軸20,20は、各々が軸央枢2
5,25に一方側だけの軸柱を持着させて各々の与する
主軸受13,13に軸受けされるが、その何れもが斜行
板40を突き抜けることはない。
【0165】その上、図示はしないが斜行板40の同心
円上に環バルブ60を装置するもので、その環バルブ6
0には端部円周に一体的に取付けた傘歯歯車のバルブ環
歯車62と内外面を貫く溝状孔のバルブ連接孔66とを
備える。尚、そのバルブ連接孔66の内向口6aに接す
る円周上の斜行板40外周面に斜行板流路孔49の外郭
口9bを開口させ、バルブ連接孔66の外向口6bに接
する回転円周上のハウジング10内壁面にハウジング流
路孔15の内部口5aを開口させるが、斜行板流路孔4
9とハウジング流路孔15と、その両者間に介在させる
バルブ連接孔63との構成、その接続における動作流体
の流出入と各気室A,B,C,Dにおける各行程の作
動、及び環バルブ60の駆動、点火具Igの挿着等は上
述した実施例1,2における構成、作動と全く同様であ
る。
【0166】
【実施例6】図53乃至図55に示すこの実施例6は、
上記実施例5に対して2組分から構成される回転ピスト
ン30,30と回転主軸20,20との配置と組立ては
同じであるが、両斜行板40,40の連結方法と、バル
ブ装置Vaにおいて円筒の環バルブ60に換えて円形板
の板バルブ61を装着する相違を有する。即ち、二つが
合体した円筒状の斜行板ハウジング10b内には、二つ
の斜行板40,40が平行間隔を開けて互いの外郭摺接
面45,45を対面させ、その両外郭摺接面45,45
の中心部に二つの斜行板40,40を同軸に連結してハ
ウジング10内の2組の組成も同軸に連結させる斜行板
連結軸47が固着するが、ハウジング10内中央の両斜
行板40,40間に円形状の空隙が形成され、その円形
空隙に回転摺動可能に嵌合する前記板バルブ61を組込
む。
【0167】この板バルブ61は、並立する両斜行板4
0,40の互いの外郭摺接面45,45に回転摺動関係
に挟持される両板面と、斜行板ハウジング10bの内壁
面に回転摺接する外径面とを有する円形板が、その端部
円周を外歯傘歯車に刻設形成したバルブ環歯車62と、
中心部に貫く円孔のバルブ板軸受64とを有する。その
バルブ板軸受64には前記斜行板連結軸47を嵌挿させ
て板バルブ61を両斜行板40,40と同一軸線上に支
持させ、且つ上記何れの実施例とも同様にバルブ環歯車
62を動弁歯車27に直接、間接に歯合させて従動させ
る。
【0168】そして図示はしないが、斜行板流路孔49
は、斜行板40の各弓形面41から外郭摺接面45に開
口させた別々の外郭口9bに連通し、バルブ連接孔66
は、その外郭口9b開口円周上の板バルブ61の両板面
に開口させた内向口6aが板バルブ61外径面に開口さ
せた外向口6bに連通し、ハウジング流路孔15は、そ
の外向口6b回転円周上のハウジング10内壁面に開口
させる。結局、作動媒体の流出入孔の形成と各気室A,
B,C,Dの各行程の進行に伴って行われる作動媒体流
路の連接と開閉は、上述した実施例5における前記環バ
ルブ60を板バルブ61に置き換えたものであるから、
この場合の行程の作動と進行は上記実施例1,2におけ
る環バルブ60の場合と同じである。
【0169】
【実施例6の別態様(2バルブ)】この実施例6におけ
る別の態様として、図56(イ)、(ロ)、(ハ)に示
す如く、斜行板ハウジング10bの中央には、その内部
を軸線方向の左右に隔てる垂直壁のハウジング隔壁16
を設けると共に、そのハウジング隔壁16の中央に中央
軸受17を貫設して斜行板連結軸47を嵌挿させると、
同軸連結の両斜行板40,40が回転自由に支持され
る。而もハウジング隔壁16の両側に斜行板40,40
を並立させた時、図示はしないがハウジング隔壁16と
各斜行板40間にそれぞれ平行間隔の隙間が形成される
から、その間隙の各々には、中心部に斜行板連結軸47
を軸承する軸受孔を持った円形板の板バルブ61,61
を回転自由に嵌め込む。この態様は、半球分の2気室か
らなる上記実施例4の構成成分を1組分とし、その独立
した2組分を連動可能に連結させたものであるが、斜行
板40,40の各々に環バルブ60,60を回転摺動関
係に外嵌して作動させれば、2気室構成の上記実施例3
の2組分を連動させることと同様である。
【0170】
【実施例7】また、図57に示す双璧分に構成された実
施例7は、双方分が合体した回転ピストンハウジング1
0a,10aを中にして、その両側に内部を凹状空隙の
軌道隙12,12に形成した斜行板ハウジング10b,
10bを配置する。その合体させた両回転ピストンハウ
ジング10a,10aの接続部分にあたるハウジング1
0内中央は、斜め向きに背対面させた互いの凹面内壁1
1,11を両壁面としてハウジング10内部を両側に隔
てるハウジング隔壁16であるが、そのハウジング隔壁
16には双方の凹面内壁11,11の球心O,Oを通る
直線上に軸受円孔の中央軸受17が貫設され、また両側
の斜行板ハウジング10b,10b側壁の中心部にも貫
く円孔の斜行板軸受14,14が設けられる。
【0171】そのように形成されたハウジング10内に
は、何れも半円状板の回転ピストン30,30がハウジ
ング隔壁16を挟んで互いの球弧面32,32を対面さ
せ、その両側に斜行板40,40が互いの外郭摺接面4
5,45を外方に向けて組込まれるが、何れの斜行板4
0にも外郭摺接面45の中央に柄状の斜行板軸46を有
して各々が与する前記斜行板軸受14を挿通し、その何
れもが斜行板ハウジング10b壁から突出する。一方、
両切り丸棒の両端部に軸央枢25,25を固着させた回
転主軸20は、軸柱中点のジャーナル部分を前記中央軸
受17に嵌挿させてハウジング隔壁16を挟んで向き合
うピストン通軸孔34,34を挿通すると共に、各軸央
枢25がその与するピストン枢35に枢結して双璧を構
成する気室A,B側ともう一方側の気室C,Dとの競合
しない各行程を作動させる。
【0172】結局、この実施例7は、軸央枢25に取付
け軸柱が片側軸柱からなる回転主軸20と半円状回転ピ
ストン30と片側が作動室Fu,Fuの形成面からなる
斜行板40とから構成した上記実施例4の成分を1組と
し、その2組分を連結させた双璧分であるから、互いに
与する回転主軸20と回転ピストン30と斜行板40と
の連繋作用は上記実施例4における作動と同じであり、
またバルブ装置Vaと動弁装置、点火具Igの取付けも
片側のみ1組分とすれば上記実施例4の構成と同じであ
るが、2組が連結与して進行させる各気室A,B,C,
Dの各行程は、2組のバルブ装置Vaを持たせて構成し
た上述の実施例6のものである。
【0173】
【実施例8】更に、前記実施の形態4の構成による実施
例8は、図58乃至図60に示すように、直軸状の回転
主軸20がハウジング10内を貫通して半円状回転ピス
トン30に枢着し、ハウジング10内に2気室A,B
か、又はC,Dを構成した上記実施例3における半球分
組成をダブル構成にして作動させるものである。
【0174】この実施例のハウジング10は、合一させ
た斜行板ハウジング10b,10bを中にし、その両側
に凹面の内壁面11,11を斜め向きに対面させた回転
ピストンハウジング10a,10aを配して全体を一体
の構造にした。つまり、凹面内壁11,11の両球心
O,Oを通る直線(X軸線)にその球心O,O上でそれ
ぞれ角度θ,θを有して交差するY,Y軸線をそれぞれ
中心軸線として両斜行板ハウジング10b,10b内に
形成される凹状空隙の両軌道隙12,12が斜め向きに
背対座するから、ハウジング10内の中央部分は固定壁
のハウジング隔壁16であり、そのハウジング隔壁16
中心部に中央軸受17と、両回転ピストンハウジング1
0a,10a壁に主軸受13,13とのそれぞれがハウ
ジング10を貫通するX軸線を穿孔軸線として貫設され
る。
【0175】そのように形成されたハウジング10内
に、半円板状回転ピストン30,30の各々が球弧面3
2,32側をハウジング10長径方向の外向きに置いて
両斜行板40,40がハウジング隔壁16を斜め向きに
挟んで組込まれる。この斜行板40,40には、各々の
中央部分を貫く斜行板通軸孔44,44を開口させて互
いに与するピストン通軸孔34,34に接続させると、
同一線上に連鎖状に接続する両ピストン通軸孔34,3
4と両斜行板通軸孔44,44と中央軸受17と両主軸
受13,13とによってハウジング10を突き抜ける貫
通孔が形成され、その貫通孔に一本の直軸に形成した回
転主軸20を挿通させるが、回転主軸20は軸長内の二
つの軸央枢25,25が互いの与する球心O,O上にお
いてピストン枢35,35に連結し、且つ軸央と左右の
軸頸とが互いに与する中央軸受17と主軸受13,13
とに軸受け支持される。
【0176】この実施例におけるバルブ装置Vaは、図
59(イ)、(ロ)に示す二つの環バルブ60,60が
図58,60に示すように互いの与する斜行板40,4
0の同心円上に外嵌されて斜行板流路孔49とハウジン
グ流路孔15の接続をオン・オフするが、その環バルブ
60,60の動弁装置、点火具Ig,Ig等も含めて前
述した実施例3においての成分を1組とし、その2組分
に構成したもので2組分における各々の構成と作用は上
記実施例3のものであるから、上記実施例3における構
成の双璧分として作動する。
【0177】また、装着される二つの環バルブ60,6
0と四つの気室A,B,C,Dとの連繋は、上述した実
施例2の構成における4気室A,B,C,Dが行う4行
程の組合せと同様に作動して進行する。即ち、図58に
おいて気室Aに給気を行う回転角の位置にある時、気室
Bには排気行程をさせ、同時に気室Cに膨張行程をさせ
て気室Dには圧縮行程が可能になるように気室A,Bと
気室C,Dとを連繋させると、次に気室Aは圧縮行程、
気室Bは吸気行程、気室Cが排気行程、気室Dが膨張行
程を行う。又は、図示はしないが環バルブ60,60に
換えて各斜行板40の外郭摺接面45側に上記実施例4
における構成と同様な板バルブ61を装置し、且つ同様
に機能する流路孔In,Exとバルブ連接孔66と動弁
装置を与えて作動させても同様な4行程のサイクルが生
じる。
【0178】尚、この実施例8の構成における半円板状
回転ピストンと斜行板30,40、30,40のハウジ
ング10内への組込み位相は回転主軸20上において互
いを相対的に変化させることが可能である。次に、その
対をなす回転ピストンと斜行板30,40を1組とし
て、その2組分の組込み位相を変化させた実施例を述べ
るが、それらの組合わせの位相を変化させても各々の1
対は互いが全く同様に作動するし、回転主軸20によっ
て連結される双璧分が同一方向、同一速度の回転をす
る。
【0179】
【実施例9】上記実施例8の別の態様として図61
(イ)、(ロ)、(ハ)に示す実施例9は、合一させた
2組の回転ピストンハウジング10a,10aの両側に
凹状空隙を軌道隙12,12とした斜行板ハウジング1
0b,10bを結合させる。尚、その合体回転ピストン
ハウジング10a,10aの接合部を互いの凹面内壁1
1,11を斜め向きに背対面させたハウジング隔壁16
に形成すると共に、双方の球心O,Oを通る直線上の両
斜行板ハウジング10b,10b壁に主軸受13,13
とハウジング隔壁16に中央軸受17とを設ける。
【0180】そのように形成されたハウジング10内に
は、各軸受13,17,13を嵌挿して軸承される回転
主軸20の直軸上に半円板状の両回転ピストン30,3
0がハウジング隔壁16を挟んで互いの球弧面32,3
2を対面させ、その両側に斜行板40,40の互いが作
動室形成面を斜め向きに対面させる。この時、図示はし
ないが上述した実施例8の場合と同様な環バルブ60,
60を取付けるか、又は板バルブ61,61を装置して
もよく、動作流体の通路や動弁装置、点火具Igも上記
実施例8においての同様分が取付けられる。
【0181】
【実施例10】又、上記実施例8の別の態様として図6
2に示す実施例10は、ハウジング隔壁16の両壁面の
一方が回転ピストンハウジング10aの凹面内壁11で
あり、もう一方が斜行板ハウジング10bの側壁面であ
る。つまり、ハウジング10は、回転ピストンハウジン
グ10aと斜行板ハウジング10bとを対とした2組分
の配列がハウジング10長軸方向の何れか一方を指向し
て直列し、双方の球心O,Oを通る直線上の軸受部は、
ハウジング隔壁16に中央軸受17とハウジング10の
長径両端にあたる回転ピストンハウジング10a壁と斜
行板ハウジング10b壁とに主軸受13,13とが貫設
されるから、それらを挿通する回転主軸20はハウジン
グ10長軸方向を貫通する。
【0182】また、上述したようにハウジング10長径
方向の何れか一方側を指向して同一向きに組込まれる半
円板状の回転ピストンと斜行板30,40、30,40
は、凹面内壁11をハウジング隔壁16とする側の回転
ピストン30が球弧面32をハウジング隔壁16面に摺
接させ、もう一方の回転ピストン30は球弧面32をハ
ウジング10端部に置いて与する斜行板40が外郭摺接
面45をハウジング隔壁16面に摺接させるが、この実
施例においても動作流体の流路孔In,Exとバルブ装
置Va、及び動弁装置と点火具Igは上記実施例8,9
の構成における取付けと同様である。
【0183】
【実施例11】更に上記実施例8において、環バルブ6
0,60に換えて板バルブ61を装着する実施例11を
図63に基づいて説明する。この実施例11では、双方
分が同体化した斜行板ハウジング10bを中にし、その
両側に凹面内壁11,11を斜め向きに対面させた回転
ピストンハウジング10a,10aを配置するものであ
る。
【0184】尚この実施例では、双方の球心O,Oを通
る直線(X軸線)上の回転ピストンハウジング10a,
10a対向両壁の各々に主軸受13,13は貫設される
が、ハウジング10内中央に隔壁部分と中央部軸受の形
成はない。つまり二つが合体した斜行板ハウジング10
bには、X,Y軸線の双方を通る平面上に平行な三つの
内部面形成の軸線を有して中央の部分とその両側部分と
に分けられる平行間隔を持った段々状の3内部室が形成
され、その両側の内部室を前記軌道隙12,12とし、
中央部も両側部に介居する円形空隙に形成すると、その
3内部室の段々状空間とその両側の凹面内壁11,11
内空間とが合体してハウジング10内部が一つの連続し
た空間として形成される。
【0185】そのように形成されたハウジング10内に
は、3内部室における中央部分(図63の破線部分)に
図64に示す丸い平板に形成された板バルブ61を組込
み、3内部室の両側軌道隙12,12に斜行板40,4
0を組込んで板バルブ61の円形板を挟装させ、且つそ
の両側に互いの球弧面32,32をハウジング10の長
軸方向に向けた回転ピストン30,30を対座させる。
この板バルブ61の円形平板は、両斜行板40,40の
外郭摺接面45,45に回転摺動する両板面と3内部室
中央の内部面に回転摺動する外径面とを有し、且つ中心
部分に貫く円孔のバルブ通軸孔65と、そのバルブ通軸
孔65の端部円周に内歯傘歯車を取付けたバルブ環歯車
62と、図示はしないが動作流体の通路として両板面に
開口させた内向口6a,6aから回転外径面に開口させ
た外向口6b,6bに連通する溝状孔のバルブ連接孔6
6,66とを有する。
【0186】結局、そのバルブ通軸孔65に両側の斜行
板通軸孔44,44がピストン通軸孔34,34と与し
て接続し、更にそれらにハウジング10両側の主軸受1
3,13の軸受孔も接続してハウジング10全体を突き
抜けるから、その突き抜ける空隙に回転主軸20を挿通
させて両軸頸を主軸受13,13に軸承させる。またこ
の実施例においても、図示はしないが斜行板流路孔49
の外郭口9bとバルブ連接孔66の内向口6aとを同一
の回転円周上に開口させ、バルブ連接孔66の外向口6
bとハウジング流路孔15の内部口5aも同一の回転円
周上に開口させるもので、板バルブ61を内外から挟む
斜行板40とハウジング10との流路孔が板バルブ61
の回転過程において適宜連接し、各気室A,B,C,D
の体積変化に呼応して開放と閉鎖を繰り返すものである
から、上述した実施例6における構成の板バルブ61取
付けと同様に作動する。
【0187】尚、その板バルブ61を駆動する動弁装置
は上記実施例6における構成と同じでもよいが、図64
に示す如く、板バルブ61のバルブ通軸孔65の端部円
周に前記バルブ環歯車62を取付け、且つそのバルブ環
歯車62より小さい外歯傘歯車の動弁歯車27を回転主
軸20の中央に取付けて内接歯合させれば、板バルブ6
1は回転主軸20より遅い速度で同一方向に回転する。
この板バルブ61と両斜行板40,40は同一の直線上
に回転軸線を持たず、而も両板面が斜行板40,40の
両外郭摺接面45,45に摺接関係の回転面から形成さ
れる平面に限定されるから、この板バルブ61は円形の
平板である。
【0188】
【実施例12】前記実施の形態1の構成に基づき図66
に示す実施例12は、吸、排気機構の構成を除けば球状
のハウジング10内に円形板状の回転ピストン30と斜
行板40とを対偶させ、円球空間のハウジング10内を
四つの櫛形状気室A,B,C,Dに形成するから、その
円球分の組成は上記実施例1,2における構成と同じで
ある。
【0189】この実施例におけるハウジング10には、
動作流体の通路として軌道隙12形成のY軸線と主軸受
13,13穿孔のX軸線との双方を通る平面を中心面と
した対向両側の各々に、回転ピストンハウジング10
a,10a壁を貫く二つずつのハウジング流路孔15,
15、15,15が穿設されると共に、中央部の斜行板
ハウジング10bを跨いでハウジング10壁中を周回
し、且つ互いが球心Oから異なる半径長を有する異なっ
たハウジング10の大円平面上を通り、ハウジング流路
孔15,15、15,15の両側二つずつのうちの競合
しない一方ずつを通って互いをタスキ掛け状に立体交差
させた二つの輪状、且つ帯状の空隙からなるバルブ軌道
隙19,19が穿設される。
【0190】その径の異なる二つのバルブ軌道隙19,
19には、その各々に与する差し渡し長の異なる大小二
つの環バルブ60,60が回転自由な嵌合状態に組入れ
られるが、この大小の各環バルブ60には、同一回転円
周に沿って内外面を貫通し、且つその円周の概ね1/2
円周長を有する溝状孔のバルブ連接孔66と、縁部円周
を傘歯歯車に刻設形成したバルブ環歯車62とを有し、
そのバルブ環歯車62が回転主軸20取付けの動弁歯車
27に直接歯合して従動する。また、バルブ連接孔66
が環バルブ60の回転過程においてハウジング流路孔1
5上にある時には、その内側にある作動室Fuでは作動
媒体の流出、流入の何れかが行われるが、その流出入に
おいては二つの環バルブ60,60の一方がハウジング
10の対向壁に穿設される気室A,B側と気室C,D側
との双方の吸気孔In,Inを開閉し、もう一方が双方
の排気孔Ex,Exを開閉する。
【0191】つまり、回転ピストン30と斜行板40の
半回転は、各気室A,B,C,Dの気室間隙を最大の収
縮か弛緩の何れかに変化させて四つの行程のうちの1行
程分をさせるが、その1回転では二つの気室A,Bか、
又はC,Dが吸気孔Inか、排気孔Exの開放か閉鎖を
連続して行う分に相当し、この場合の動弁歯車27とバ
ルブ環歯車62,62のピッチ円径による回転比を2:
1にすれば、環バルブ60,60が回転主軸20の半分
の軸速度で従動するから、各気室A,B,C,Dが1サ
イクルの4行程分ずつを終了するには回転ピストン30
と斜行板40が2回転をして環バルブ60,60が1回
転すればよい。従って、各バルブ連接孔66は、環バル
ブ60円周の1/4円周長分が各気室A,B,C,Dの
1行程分に相当するから、2気室分を連ねた1/2円周
長の筋長を有する溝状孔に形成される。
【0192】いま、図66において気室A,B側の吸気
孔Inと吸気側のバルブ連接孔66とが連接開始の位置
にあるが、その気室Aの吸気行程が終了すれば吸気孔I
nに対して1/2円周長からなるバルブ連接孔66の中
間位置まで接合し、次の吸気行程は気室Bにおいてのみ
なされ、その吸気孔Inは同じバルブ連接孔66の中間
位置から後続する1/4円周長の筋長分に連接する。更
に気室Bが半回転をして吸気行程を終了させたとする
と、吸気側のバルブ連接孔66は、気室A,B側の吸気
孔Inから離れて気室C,D側の吸気孔Inに連接を開
始して1/2円周長の先行側である1/4円周長分を気
室Cが接合し、後半分の1/4円周長が気室Dと接合す
る。また、図66において気室A,B側の排気孔Exが
1/2円周長からなる排気側のバルブ連接孔66の1/
4円周長分に相当する真ん中の部分に接触しているが、
それは気室Aの排気行程が終了して気室Bが排気行程に
入る位置である。更にその位置から気室Bが半回転をし
て1行程分を作動すると、その排気側のバルブ連接孔6
6は気室C,D側の排気孔Exに連接が移って先行する
気室Cに排気行程をさせ、その終了と同時に気室Dに接
合する。
【0193】結局、各環バルブ60の1円周分は、概ね
1/2円周長分ずつがバルブ連接孔66の筋長範囲であ
り、残りの1/2円周分ずつがハウジング流路孔15,
15を遮断する何も穿孔されない円周長分である。従っ
て各バルブ連接孔66は、常に2気室分の吸気行程か排
気行程の何れかに与して連接し、バルブ連接孔66の穿
設されない1/2円周長の半分(1/4円周長)が各気
室A,B,C,Dの圧縮行程と膨張行程に相当し、残り
の半分が吸気側では排気行程と膨張行程、排気側では吸
気行程と圧縮行程に相当する。以下、点火具Igの挿着
を含む各気室A,B,C,Dにおける4行程の進行は上
述した実施例1,2における構成の作動と同じである。
【0194】
【実施例13】図67に示す実施例13は、上記実施例
12においてタスキ掛け状に装着させた2環バルブ6
0,60に換わって1環のみの環バルブ60を装着した
もので、それ以外の構成と作動は上記実施例12の場合
と同じである。即ち、両半月状作動室Ha,Ha上を通
ってハウジング流路孔15,15、15,15上に周設
されるバルブ軌道隙19は、均一断面積と回転主軸20
に直角度以外に交差する軸線を有してハウジング10壁
中を帯状に周回する。また、上記実施例12における構
成と同様に各半月状作動室Haに面してハウジング10
壁に穿設される二つのハウジング流路孔15,15は、
その一方を吸気孔Inとしてもう一方を排気孔Exと
し、且つ両半月状作動室Ha,Ha分の二つの吸気孔I
n,Inは気室A,BとC,Dの気室空間が常に拡張を
開始する進み側の対向位置に、排気孔Ex,Ex同士も
各気室A,BとC,Dの気室空間が常に収縮を開始する
進み側の対向位置に設けられる。
【0195】その上で、前記バルブ軌道隙19に環バル
ブ60を回転摺動可能に組込むが、この環バルブ60に
は図68に示すように、二つの円周の各々に1/2円周
長の溝状孔が内外周面を貫通するバルブ連接孔66,6
6と、縁部円周を傘歯歯車に刻設したバルブ環歯車62
とを有し、且つ回転主軸20の軸頸にも、上記実施例1
2における構成と同様にバルブ環歯車62の1/2ピッ
チ円径を有する外歯傘歯車の動弁歯車27を取付けてバ
ルブ環歯車62に歯合させ、環バルブ60を回転主軸2
0に対して1/2速度で同一方向に従動させる。する
と、回転に伴って一方の円周に開口しているバルブ連接
孔66が対向二つの吸気孔In,Inに接合し、もう一
方の円周に開口しているバルブ連接孔66も対向二つの
排気孔Ex,Exに接合するから、この実施例は上記実
施例12における二つの環バルブ60,60の1円周ず
つに穿設したバルブ連接孔66,66を一つの環バルブ
60の2円周に穿設して作動させるものである。
【0196】
【実施例12,13共通の別態様】上記実施例12,1
3における別の態様として回転速度を変更した環バルブ
60の取付けが可能であるが、その環バルブ60の速度
変更にはバルブ連接孔66の筋長、筋数の変更が伴う。
即ち、環バルブ60の同一円周に各々が概ね1/6円周
の筋長からなる3筋のバルブ連接孔66,66,66を
均等な間隔を置いて与え、その環バルブ60を回転主軸
20の1/6の速度にして連動させても上記実施例1
2,13の場合と同様な4行程サイクルが作動する。ま
た、環バルブ60の同一円周に各々が概ね1/10円周
長ずつからなる5筋のバルブ連接孔66,66,66,
66,66を均等間隔に配置し、その環バルブ60を回
転主軸20回転の1/10の速度で連動させてもよく、
又は環バルブ60の同一円周に各々が概ね1/14円周
長ずつの7筋を与えて1/14の回転速度にしても4行
程は作動し、或は概ね1/18円周長ずつの9筋を1/
18の回転速度に、更に概ね1/22円周長ずつの11
筋を1/22の回転速度にさせてもよく、又それ以上の
速度構成に対しても作動可能である。
【0197】
【実施例14】図69に示す実施例14は、1環の前記
環バルブ60が回転主軸20に直角度以外の交差する軸
線を有して配置される上記実施例13の構成に対し、図
70に示す1環の環バルブ60が回転主軸20に直交す
る取付け軸線を有し、回転主軸20に対して水平に組入
れられる。即ち、ハウジング10壁中を周回するバルブ
軌道隙19に環バルブ60を組込むと、環バルブ60と
回転主軸20とが同一の平面上にあって互いの回転軸線
を直交させるから、回転主軸20は環バルブ60の内側
に収まるように両切りにされてハウジング10外部に突
き抜けることはなく、その両切り両端部に外歯歯車の主
軸歯車28,28を取付けて両軸頸がハウジング10内
部の対向両壁に設けられた主軸受13,13に軸承され
る。
【0198】また、この場合の環バルブ60にも、端部
円周を主軸歯車28の2倍長のピッチ円径を有する傘歯
歯車に刻設形成したバルブ環歯車62と、二つの円周上
の内外周面を溝状孔に貫くバルブ連接孔(66,66)
×2とを有するが、この環バルブ60を動かす動弁装置
は、バルブ環歯車62の円周上にバルブ環歯車62と直
列に歯合する奇数個からなる外歯歯車の中間歯車54
(この図69においては1個である)と、主軸歯車28
の回転円周上にその主軸歯車28と外接歯合し、且つ中
間歯車54にも噛み合う外歯歯車の継手軸歯車23とを
ハウジング10の固定壁に何れも軸支させて取付ける
と、バルブ環歯車62が倍の歯幅を持つ中間歯車54と
継手軸歯車23との噛み合いを経て主軸歯車28に従動
する。
【0199】尚、図69に示すように軸柱の内方端部に
前記継手軸歯車23が固着する出力継手軸22を出力軸
としてハウジング10外部に突出させるが、バルブ環歯
車62を駆動させる継手軸歯車23は両側の何れか一方
だけでもよく、もう一方側の継手軸歯車23は主軸歯車
28にのみ噛み合い可能に形成されて中間歯車54を介
在させない構成にすると、バルブ環歯車62を駆動させ
る側では主軸歯車28が継手軸歯車23に噛み合い、そ
の継手軸歯車23は2倍長の歯幅からなる中間歯車54
に噛み合い、その中間歯車54は継手軸歯車22との噛
み合い以外の同軸の歯車部分がバルブ環歯車62と噛み
合うが、バルブ環歯車62と主軸歯車28のピッチ円径
比が2:1であるから、環バルブ60は1/2の速度を
与えられて回転主軸20に従動する。
【0200】この実施例における環バルブ60の前記バ
ルブ連接孔(66,66)×2は、二つの円周の各々に
概ね1/4円周長からなる溝状孔の2筋ずつが1/2円
周長内に連なって設けられ、その2筋ずつの2円周分は
並列する。また、ハウジング流路孔15,15、15,
15は、各半月状作動室Ha分として吸、排気孔In,
Exを対とした二つずつからなる四つの孔がハウジング
10壁の同一平面上に1/4円周長ずつを隔てた均等間
隔を置いて穿設されるが、もう一つの平行平面上にも
吸、排気孔In,Exを対とした二つずつの四つの孔が
均等間隔を置いて穿設され、その互いの四つずつの孔は
並列する。そのハウジング流路孔(15,15、15,
15)×2と環バルブ60を装着するバルブ軌道隙19
は同一の平面上に取付けられる。
【0201】この実施例14における各行程の作動を図
71を参照して説明する。尚この図71a,b,c,d
における各(イ)は、環バルブ60と、吸、排気孔(I
n,Ex、In,Ex)×2からなるハウジング流路孔
(15,15、15,15)×2とを平面的位置から見
通し、それらに与する各(ロ)は、その回転角における
環バルブ60のバルブ連接孔(66,66)×2のみを
示したものであるから、図71a乃至dの各(イ)、
(ロ)は、互いに与して同一回転角の同位置を表すと共
に、各(イ)において各図の縦中央より左側が気室A,
B側、右側が気室C,D側である。
【0202】まず各行程の起点となる図71a(イ)、
(ロ)において、先行している2筋のバルブ連接孔6
6,66が気室A,B側の吸気孔Inと排気孔Ex間に
あって後続2筋のバルブ連接孔66,66が気室A,B
側の排気孔Exと気室C,D側の吸気孔Inとの中間に
位置している。この時の図71a(イ)と先の図69と
に示す互いの可動部分は同一の回転角位置にあるが、気
室A,Cの気室空間は共に収縮していて最小体積であ
り、反対に気室B,Dの気室空間は共に拡張していて最
大体積である。
【0203】以上のことから、図71a(イ)と図69
とを突き合わせると、気室Aは気室A,B側の吸気孔I
nに向かって回転し、先行しているバルブ連接孔66,
66が気室A,B側の排気孔Exとの連接を終了し、そ
の先端が気室A,B側の吸気孔Inに接触すべく位置に
いるから、気室Aは排気行程の終了と共に吸気行程の開
始位置にあり、また気室A,B側の排気孔Exが先行側
に続いて後続側のバルブ連接孔66,66にも接合する
回転角位置にあるから、気室空間を最大に拡張させた気
室Bは膨張行程を終了させて排気行程開始の位置にあ
る。その時の気室Cと気室Dはバルブ連接孔(66,6
6)×2との接触はなく閉鎖されていて、気室Cは圧縮
気が点火された直後であり、気室Dは吸気の終了と共に
圧縮行程を開始する位置にある。
【0204】その図71a(イ)、(ロ)から各気室
A,B,C,Dが半回転し、環バルブ60が全円周の1
/4円周長分を矢印方向に回転すると、図b(イ)、
(ロ)に示すようにバルブ連接孔(66,66)×2の
先行側が気室C,D側の排気孔Exと気室A,B側の吸
気孔Inとの間にあって、後続側が気室A,B側の吸気
孔Inと排気孔Exとの間にあるが、気室C,D側の排
気孔Exと吸気孔In間、及び気室C,D側の吸気孔I
nと気室A,B側の排気孔Exとの間にバルブ連接孔
(66,66)×2はなく、気室C,D側の吸、排気孔
In,Exは共に閉鎖され、且つこの時の図b(イ)に
おいては、気室A,Cが気室空間を最大に拡張させ、気
室B,Dが共に気室空間を最小に収縮させた回転角の位
置にある。
【0205】即ち、この図b(イ)、(ロ)において
は、気室Aは吸気孔Inとの連接を終了させて圧縮行程
を開始する回転角位置であり、気室Aの裏側で図示され
ない気室Bは排気孔Exとの接合から外れて吸気孔In
に連接し、同様に気室Dの裏側で図示されない気室Cは
先行するバルブ連接孔66,66が気室C,D側の排気
孔Exに接触を開始して排気行程に入り、気室Dは回転
方向の吸気孔Inが閉鎖されたままで圧縮気が点火され
た回転角の位置である。尚、並進するバルブ連接孔(6
6,66)×2の先行2筋は気室Aと気室Cにのみ連接
し、後続2筋が気室Bと気室Dにのみ連接するが、先
行、後続何れも排気孔Exと吸気孔Inとに交互に接続
する。
【0206】更に図b(イ)、(ロ)から各気室A,
B,C,Dが半回転し、環バルブ60が90度分を回転
した図c(イ)、(ロ)において、気室A,Dは気室
B,Cの裏側で図示されないが、気室Aは回転方向にあ
る吸気孔Inが閉鎖された圧縮行程後の点火位置にあ
り、気室Bは回転方向の排気孔Exが閉鎖されていて吸
気行程を終了させた圧縮行程の開始時にある。この時、
先行している2筋のバルブ連接孔66,66は気室C,
D側の排気孔Exに続いて吸気孔Inと接合可能な回転
角位置にあるから、排気行程を終えた気室Cは気室空間
の拡張と同時に吸気行程を開始し、また気室C,D側の
排気孔Exも後続のバルブ連接孔66,66に連接され
る位置にあるから、膨張行程を終えた気室Dは拡張の気
室空間が排気行程に入る位置である。
【0207】そこから更に各気室A,B,C,Dが半回
転(環バルブ60は90度分)をすると、図d(イ)、
(ロ)に示すように先行するバルブ連接孔66,66が
気室C,D側の吸気孔Inとの接合を終えて気室A,B
側の排気孔Exを開放させる回転角位置にあるから、膨
張行程を終えた気室Aは排気行程を開始するが、気室A
の裏側で図示されない気室Bはバルブ連接孔(66,6
6)×2との接触はなく圧縮行程後の作動媒体が点火さ
れて膨張行程を開始し、また気室Dの裏側で図示されな
い気室Cは吸気行程を終了させて拡張の気室空間が圧縮
行程を開始し、気室Dは吸気孔Inと接触する位置にあ
って排気行程を終了した収縮の気室空間が吸気行程を開
始する。
【0208】そして図d(イ)、(ロ)の時点から更に
各気室A,B,C,Dが半回転して環バルブ60も90
度分を回転し、各気室A,B,C,Dが各行程を進行さ
せて最初の図a(イ)、(ロ)に戻ると、各気室A,
B,C,Dは全体を通して2回転して環バルブ60が1
回転をしたことになり、それまでに各気室A,B,C,
Dが互いに重複しない四つずつの行程を終了させたこと
になる。即ち、図71a(イ)、(ロ)からb,c,d
の各(イ)、(ロ)を経て出発した図a(イ)、(ロ)
までを1サイクルとして繰り返し作動させると、その時
の燃焼エネルギーが連続的に機械エネルギーに変換され
て回転主軸20を回転させると共に、その回転主軸20
取付けの主軸歯車28が継手軸歯車23を経て出力継手
軸22を回転させる。
【0209】
【実施例15】次に、前記実施の形態2、又は実施の形
態4に基づく構成の図72、図73に示す実施例15を
説明する。この実施例15は、上記実施例において取付
けた環バルブ60か、又は板バルブ61に換えて斜行板
40の流路孔49上に茸弁70を装着するものである
が、その茸弁70は従動節取付けとして原動節のカムに
よって駆動されるから、バルブ本体と動弁装置以外はこ
れまでの実施例の場合と全く同様の構成である。
【0210】この図72,73に示す茸弁70は、斜行
板40中に組込まれて弁頭7aと弁棒7bからなり、そ
の弁棒7b端部方向に弁バネ7cを有する。また、図中
の符号71は、エンドカム状に形成された立体カムのカ
ム円板であって図72に示す実施例の構成においては回
転主軸20取付けのカム板駆動歯車75に駆動される。
尚、動作流体を流出入させる流路孔In,Exは、ハウ
ジング10壁の内外を貫くハウジング流路孔15と、斜
行板40にその弓形面41から外周面にL字状に曲折穿
孔した斜行板流路孔49とが設けられ、その互いを同一
の回転円周上に開口させて接合させる。
【0211】
【実施例15の態様1】この実施例15における前記実
施の形態2の構成に基づく態様は、図72に示すように
斜行板流路孔49,49を開閉すべく茸弁70,70を
斜行板40に差し込み入れて円形状板のカム円板71を
斜行板40裏面の外郭摺接面45側に並立配置する。こ
のカム円板71には、中央部分に回転主軸20を挿通さ
せるカム板通軸孔72を開口させて端部円周を傘歯歯車
に刻設したカム板環歯車73を有し、回転主軸20に
は、カム円板71側の軸頸にカム板環歯車73の1/2
ピッチ円径からなる外歯傘歯車のカム板駆動歯車75を
取付けてカム板環歯車73に歯合させ、カム円板71を
回転主軸20の1/2速度で従動させる。
【0212】このカム円板71は、斜行板40側の板面
に自らの同心円からなる径の異なる2筋の隆状突起部
(これをカムという)がつくられ、カムの輪郭曲線に相
当する大小二つの円筒端面を摺接面としたエンドカムを
円形板の板側面に結合させて形成した原動節である。こ
のカム2筋の各々は、各々が与する茸弁70,70のタ
ペット底面に相当する弁棒7b,7b端部に接し、いま
図のようにカム円板71が回転すると弁棒7b端部に接
しているカムの凸面が作用して弁棒7bを押し上げ、そ
の弁棒7bが弁頭7aを押し上げて弁70は開けられる
が、カムが作用しなければ弁70は弁バネ7cの部分に
よって弁座に密着して閉じられる。
【0213】一方、各気室A,Bに連通する両斜行板流
路孔49,49は互いが180度を隔てた斜行板40の
対向外周面に開口し、その斜行板流路孔49,49開口
円周上のハウジング10壁にも溝状孔のハウジング流路
孔15,15を開口させる。このハウジング流路孔1
5,15は、溝状孔の円周分が回転主軸20と斜行板4
0との双方の軸線を通る平面を境として半円周長分ずつ
に二分され、その一方を吸気孔In、もう一方を排気孔
Exとするが、その2筋の溝状孔に換わって、その筋長
分の範囲内に連続する円孔を直列させてもよい。
【0214】いま図72において、気室空間を最小に収
縮させて茸弁70が開けられている気室Aは、斜行板流
路孔49とハウジング流路孔15の吸気孔Inが接合し
ているから、更に気室Aが回転をすれば吸気行程を開始
し、気室Bも茸弁70が開けられていて斜行板流路孔4
9がハウジング流路孔15の排気孔Exに接合可能な回
転角位置にあって気室空間が収縮に向かえば排気行程を
開始する。結局、上述したようにカム円板71は前記カ
ム板環歯車73がカム板駆動歯車75に歯合して回転主
軸20に従動するから、カム円板71の板面に2筋の隆
状突起を設けてカムとし、その隆状突起に接する弁棒7
b,7b端部によってカム円板71を原車とし、従節と
しての茸弁70,70は回転と共に開閉される。従っ
て、排気行程と吸気行程時には茸弁70,70を押し上
げて斜行板流路孔49,49が開けられ、反対に圧縮行
程と膨張行程時にはカム円板71の作用しないカム筋に
よって茸弁70,70は閉じられる。
【0215】この時、図示はしないが各茸弁70の弁棒
7b端部には、コロ付きの装置か、コロ入りのタペット
を組入れ、またエンドカム状のカム円板71に換えて円
筒カム等でもよく、或は回転主軸20をカム円板71側
に軸柱を持たない軸央枢25と一方側のみの軸柱に形成
すると共に、カム円板71裏面の中心部に柄状のカム円
板軸を固着させた構造にしてもよい。また、カム円板7
1の隆状突起を1条円周のみとし、その円周に気室A,
B分である二つの茸弁70,70を接合させて作動させ
てもよく、また気室A,Bに連通する斜行板流路孔4
9,49の各々を何れも複数孔に形成し、それらに与す
る茸弁70,70も同数の複数個を取付ける。
【0216】
【実施例15の態様2】その点、この実施例15におけ
る前記実施の形態4に基づく態様は、図73に示すよう
に四つの茸弁70,70、70,70を組込んだ二つの
半球分の組成を合一させた双璧分の構成であるが、図7
2に示した半球分組成の以外にカム円板71の形成とそ
のカム円板71の駆動にも違いを有する。即ち、この図
73の態様に示すカム円板71は、並立させた斜行板4
0,40に挟装され、その挟装された両板面にカムとな
る隆状突起がつくられると共に中心部に貫く円孔のカム
板軸受74を有し、そのカム板軸受74に両斜行板4
0,40を連結する斜行板連結軸47が嵌挿して軸受け
支持される。
【0217】また、カム円板71には、隆状突起より外
周面寄りの外側部分に自らの板厚を貫き任意形状からな
る複数の窓状孔が放射状に設けられ、その窓状孔のそれ
ぞれには傘歯歯車のカム板歯車76がカム円板71の中
心から放射状の垂直線を取付け軸線として同一円周上に
配置されるが、その各々がカム円板71の両板面から歯
を露出させて取付けられる。一方、並立させた何れか一
方の斜行板40には、その外郭摺接面45の縁部円周を
傘歯歯車の斜行板環歯車48に刻設形成し、もう一方の
斜行板40側のハウジング10内壁には、その斜行板環
歯車48と同一のピッチ円径からなる傘歯歯車のハウジ
ング固定環歯車18を固定された不動の歯車として設
け、その斜行板環歯車48とハウジング固定環歯車18
との取付け軸線を同一線上に一致させて互いの歯面を対
面させる。
【0218】そして、上述のように形成されたカム円板
71を並立させた斜行板40,40間に挟装させると共
に、斜行板環歯車48とハウジング固定環歯車18間に
前記カム板歯車76の複数個を介在させてその両者に歯
合させると、このカム板歯車76の複数個が斜行板4
0,40の回転に伴って自らを回転させながら斜行板環
歯車48の1/2速度でハウジング固定環歯車18の円
周上を回転し、カム円板71を斜行板40,40回転の
1/2速度で同一方向に回転させる。結局この図73に
示す態様は、斜行板40,40の1/2速度を以て回転
するカム円板71の板面に隆状突起を形成して原車と
し、そのカム円板71に各茸弁70を従動させ、先の図
72の態様における半球分組成の場合と同様に作動させ
て各行程を進行させる。
【0219】尚この図73に示す態様において、図示は
しないが同軸固着の両斜行板40,40を分離し、両回
転主軸20,20を一本の長軸からなる一体構造に形成
してハウジング10の長軸方向に突き抜ける双璧分に構
成し、図72に示すように前記カム板通軸孔72を設け
たカム円板71の二つを装着してもよい。また、図示は
しないが全体の形状と組成を球形体における四つの気室
A,B,C,Dに構成し、適当な位置のハウジング10
壁を貫通して設けられた吸気孔In,In上と排気孔E
x,Ex上に茸弁70,70、70,70を配置する
時、エンドカムからなるカム円板71以外の平面カム
か、又は立体カムを配置してもよく、或はその各茸弁7
0に換えて図74に示すようなピストン状のピストン弁
78を配置してもよい。その他、流路孔In,Exを開
閉する弁Vaの形状と装置は自由である。
【0220】
【実施例16】上記実施例は、何れも往復ピストン機関
の4行程サイクル機関に相当するが、本発明の球形の回
転ピストン機関では前述したように2行程サイクル機関
に構成して作動をさせることが可能である。図75に示
す実施例16は、これまでの前記実施の形態1に基づく
構成の実施例と同様に、球体のハウジング10内に円形
の回転ピストン30と斜行板40とを組込んで回転主軸
20が回転ピストン30内部とハウジング10壁とを突
き抜けて4気室A,B,C,Dを形成するものである
が、これまでの実施例とは各半月状作動室Haが分担す
る行程とバルブ装置Vaの取付けに相違を有する。つま
り、一方の半月状作動室Haにおける気室A,Bは圧縮
気の燃焼による膨張行程と燃焼ガスの排出を行わせる前
記パワー(出力)側Poとし、もう一方の半月状作動室
Haにおける気室C,Dは吸気行程と圧縮行程を行わせ
る前記ポンプ(入力)側Puとするものであるが、その
両半月状作動室Ha,Ha間には、図示はしないが2行
程サイクル往復ピストン機関の掃気孔に相当して作動媒
体を流通させるハウジング連通孔58がハウジング10
壁に穿孔される。
【0221】このハウジング連通孔58は、気室C,D
側の回転ピストン30が上死点相当の最も収縮させた気
室空間を臨むハウジング10壁の適位置にポンプ側Pu
孔口を開口させ、気室A,B側においても上死点の回転
ピストン30が膨張行程の作動可能な最も収縮させた気
室空間に面してパワー(ワーキング)側Poの孔口を開
口させると共に、このハウジング連通孔58内にはポン
プ側Puからパワー側Poへ動作流体の流通時期を調整
する為に茸弁70が差し込まれるが、図75の態様では
二つの茸弁70,70を備えて回転主軸20か、又は斜
行板40の定位回転部に駆動されるカムを原動節として
従動する。
【0222】そして、この形態におけるハウジング流路
孔15,15は、各半月状作動室Haにおいて一方の気
室空間が最大に拡張し、もう一方側が最小に収縮した位
置に相当する回転ピストン30円形板の概ね延長平面上
のハウジング10壁(図75では回転ピストン30の陰
側に位置する)に、気室C,Dが共用する吸気孔Inが
ポンプ側Puの半月状作動室Haに面し、気室A,Bが
共用する排気孔Exがパワー側Poの半月状作動室Ha
に面して穿設される。また、この吸、排気孔In,Ex
には基本的に茸弁70等のバルブ装置の装着はなく、点
火具Igにおいても基本的にパワー側Poの半月状作動
室Haに面して挿着されるが、それは気室A,Bが回転
に伴って気室空間を最小に収縮させる位置のハウジング
10壁であるか、又は図示はしないがパワー側Poに位
置するハウジング連通孔58内に面して挿着される。
【0223】以上のことから図75においては、ポンプ
側Pu気室Cがパワー側Po気室Aに向けて圧縮気の押
し出しを終了し、ハウジング連通孔58内の茸弁70,
70が閉じた瞬間であるから移動した圧縮気が既に点火
された時点にある。その気室Cは吸気開始から気室Aへ
圧縮気送り込み終了までに2行程分である1回転をし、
再び気室Aに圧縮気移送を終了するまでには更に1回転
分を要すると共に、気室Aにおいても先の膨張行程開始
の時点から図75における膨張行程開始までは1回転を
要し、それは同時にパワー側Poの気室Bとポンプ側P
uの気室Dとの組合せの作動においても同様である。
【0224】つまり、パワー側Poとポンプ側Puの気
室Aと気室C、気室Bと気室Dが何れも与して作動し、
パワー側Po気室A,Bは各々の半回転で膨張行程を行
ってその後の半回転で排気行程を行い、それも気室Aが
膨張行程に入っている時には気室Bは排気行程を行い、
気室Bが膨張行程の時には気室Aは排気行程を行い、ポ
ンプ側Puにおいても気室Cが半回転を以て吸気行程を
行っている時には気室Dは圧縮行程をし、その圧縮行程
後半にはパワー側Po気室Bへ圧縮気の移送を行い、そ
の後の半回転を以て気室Cが吸入給気の圧縮を始めれば
気室Dは圧縮気を押し出して次の吸気行程を開始する。
従って、気室Cの吸気行程と気室Aの膨張行程、気室C
の圧縮行程と気室Aの排気行程は同時進行であり、気室
Dの吸気行程と気室Bの膨張行程、そして気室Dの圧縮
行程と気室Bの排気行程も同時に進行するが、互いに与
するパワー側Poとポンプ側Puの気室A,Cと気室
B,Dとの2組は、互いが同時に同一の行程を重複して
行うことがなく、各気室A,B,C,Dが1回転におい
て2行程の1サイクルを終了する。
【0225】
【実施例16の別態様】この実施例16において、前記
ハウジング連通孔58に換わって図76に示すように回
転ピストン30のピストン中間軸33内両端方向に茸弁
70,70を差し込み入れた貫通孔のピストン連通孔3
6,36を穿設して図75における態様と同様な2行程
サイクルの作動をさせる。即ち回転ピストン30を穿つ
二つのピストン連通孔36,36は、ピストン通軸孔3
4と競合しないピストン中間軸33内の両側部を横断
し、その一方が気室A,C間を連通し、もう一方側が気
室B,D間を連通する。
【0226】この二つのピストン連通孔36,36に
は、弁頭7a,7aの部分を組入れて弁棒7b,7bを
ピストン中間軸33の端部に向けた両茸弁70,70の
各々がピストン中間軸33柱方向にのみ動作可能に組込
まれる。特に、タペット部分に相当する弁棒7b,7b
の端部をピストン中間軸33の底面と斜行板環43とを
突き抜けて装着させ、図示はしないが斜行板ハウジング
10b内部面円周を平面カムに形成し、そのカム円周上
を二つの弁棒7b,7b端部が回転に伴い接触して従動
する。結局、気室A,B,C,Dが回転するとポンプ側
Pu半月状作動室Haにある気室Cか、気室Dの一方が
圧縮行程の適当な時点に、その気室のピストン連通孔3
6内に差し込んだ弁棒7b端部を斜行板ハウジング10
b内部面の固定カムに回転接触させて茸弁70を押し上
げ、そのポンプ側Pu気室Cか、又は気室Dと与するパ
ワー側Po気室Aか、気室Bに圧縮気を移動させる。
【0227】また、その開けられた茸弁70は、ポンプ
側Puの気室Cか、気室Dの圧縮行程終了時に、及びパ
ワー側Poの気室Aか、気室Bが空隙容積(クリアラン
ス・ボリューム)の上死点に相当する時点に弁棒7b端
部が固定カム凸面との接触から外れて閉じられ、そのパ
ワー側Po気室Aか、気室Bが膨張行程をしてそれに与
するポンプ側Pu気室Cか、気室Dが吸気行程を開始す
る。その時、ポンプ側Puのもう一方の気室Cか、気室
Dが圧縮行程を開始し、それに与するパワー側Po気室
Aか、気室Bが排気行程を開始するが、その気室側に与
するピストン連通孔36の茸弁70はまだ閉じられたま
まである。
【0228】
【実施例17】また、2行程サイクル機関として、前記
実施の形態4の構成に基づく相称する半球分の素子組成
の2組分を合一させた図77に示す実施例17は、合一
した双方の回転ピストンハウジング10a,10aを中
にし、その両側に斜行板ハウジング10b,10bを配
置するもので、ハウジング10内の中央部分が凹面内壁
11,11を背対面させたハウジング隔壁16に形成さ
れるが、そのように構成されたハウジング10内に装置
される2組分の組成と配置は、図61(ハ)に示す上記
実施例9の構成と同じである。
【0229】つまり、双方の球心O,Oを通る直線上の
両斜行板ハウジング10b,10b壁に主軸受13,1
3とハウジング隔壁16に中央軸受17とが貫設され
る。また、各々が半円板状の回転ピストン30,30は
ハウジング隔壁16を挟んで互いの球弧面32,32を
対面させ、その両側において斜行板40,40が斜行板
通軸孔44,44をピストン通軸孔34,34に接合さ
せ、その互いに与するピストン通軸孔と斜行板通軸孔3
4,44、34,44とを遊挿して中央軸受17と両主
軸受13,13とを嵌挿する回転主軸20は、双方の球
心O,Oに位置して回転ピストン30,30に枢着す
る。
【0230】尚、図77に示すようにポンプ側Puとパ
ワー側Po間には、ハウジング連通孔58がハウジング
隔壁16を貫通して穿設され、その孔内を窺うハウジン
グ隔壁16には、茸弁70が弁頭7a側をハウジング1
0外壁方向に、弁棒7b側をハウジング10の中心寄り
に置いて差し込まれ、回転主軸20の軸央に取付けた平
面カムの板カム77によって駆動される。その図77に
おいて、気室A,Bの半月状作動室Haを膨張行程をす
るパワー側Poとし、気室C,Dの半月状作動室Ha側
を吸気行程をするポンプ側Puとすれば、吸気孔Inと
排気孔Exの位置、ハウジング連通孔58のパワー側P
o孔口とポンプ側Pu孔口の位置、及び2行程サイクル
の各行程の作動は上述した実施例16の場合と同様であ
る。
【0231】また図77においては、斜行板40,40
が逆ハの字形に配置されているが、図61に示すような
平行な斜行板40,40、図58に示すようなハウジン
グ10内の中寄り斜行板40,40の配置でもよく、又
は図62に示す如くに互いに与する回転ピストン30と
斜行板40との2組を並列配置の構成にしてもよく、更
に図57に示すような斜行板40,40の外郭摺接面4
5,45中心部に突設させた斜行板軸46,46を軸承
する構成でもよいが、その場合にも斜行板40と回転ピ
ストン30の両側2組の位相は自由である。また、点火
具Igは、上記実施例16の場合と同様にパワー側Po
の気室A,Bの空隙容積室内か、又は図77に示すよう
にハウジング連通孔58内を何れも窺うハウジング10
壁に挿着され、また平面カムの取付けにおいても茸弁7
0の取付け向きを変えれば斜行板環43でもよい。
【0232】
【実施例18】更に2サイクル機関として、前記実施の
形態4に基づく構成の図78,79に示す実施例18
は、上述した実施例17と同様に相称する半球分組成の
2組分を合一させた構成であるが、上述の実施例17に
対して二つの斜行板40,40の位相と、両半月状作動
室Ha,Haを連絡する連通孔の取付けとに相違を有
し、加えて半球分組成毎に独立させた2軸構成の回転主
軸20,20であると共に、バルブ装置Vaとして茸弁
70等の独立した可動部分を持たない。
【0233】即ち、この実施例は図56における上記実
施例6の態様と同様に、双方の斜行板ハウジング10
b,10bが内部面形成の軸線を同一線上に置いてハウ
ジング10の真ん中で同体化し、その両側に回転ピスト
ンハウジング10a,10aが互いの凹面内壁11,1
1を対面させるが、このハウジング10内中央は中心部
分に中央軸受17を有する垂直壁のハウジング隔壁16
である。そのように形成されたハウジング10内には、
回転ピストン30,30の各々が互いの球弧面32,3
2をハウジング10長軸方向の外側に向けて配置され、
斜行板40,40はハウジング隔壁16を挟んで互いの
外郭摺接面45,45を対面させて並立すると共に、そ
の対面する互いの外郭摺接面45,45の中心部に中央
軸受17に軸承される斜行板連結軸47が取付け固定さ
れて二つの斜行板40,40を同軸に結合し、また各々
が軸央枢25と一方側のみの軸柱とから形成される回転
主軸20,20は、互いが与する主軸受13,13を嵌
挿すると、この図78においてはハの字形に配置され
る。
【0234】そして、パワー側Po気室A,Bとポンプ
側Pu気室C,Dを連結する連通孔は、各斜行板40に
弓形面41,41の各々から外郭摺接面45に別々に連
通する二つの斜行板連通孔68,68と、ハウジング隔
壁16を貫く孔のハウジング連通孔58とが設けられ
る。その同一斜行板40の二つの斜行板連通孔68,6
8は、同一の回転円周上に互いが中心角で180度分を
隔てて開口し、またハウジング連通孔58は、回転ピス
トン30,30が上死点に位置して各気室A,B,C,
Dを窺うハウジング隔壁16(図79の下部方)に穿孔
される。結局、それらは各気室A,B,C,Dが気室空
間を常に収縮させる回転角位置において、ハウジング連
通孔58を中にした左右の斜行板連通孔68,68との
三者が同一線上に適宜重なり接合してポンプ側Pu気室
Cか、気室Dの圧縮気をその気室C,Dが与するパワー
側Po気室Aか、気室Bに移動させる。
【0235】いま図78においては、パワー側Po気室
Aとポンプ側Pu気室Cとが同通を終了させて連通孔が
閉じた瞬間であるが、気室Aは閉鎖された気室内容が点
火されて燃焼し、同じく気室空間を収縮させている気室
Cは圧縮気の送り出しを終了して吸気孔Inとの接合を
開始する直前であり、また気室Bは膨張行程を終えて排
気行程を開始し、気室空間拡張の気室Dは吸気孔Inと
の接合から外れて圧縮行程開始の位置にある。尚、この
実施例18においては、ポンプ側Puの斜行板連通孔6
8,68内に圧縮気を残留させない為に、例えばその斜
行板連通孔68,68に出入り自由な図78に示すよう
なピン状のピストン38,38をポンプ側Puの回転ピ
ストン30板面に突出固定しておくと、そのピン状ピス
トン38,38はその気室C,Dが拡張されれば斜行板
連通孔68から引き抜かれ、逆にその気室空間が収縮に
向かうほどに斜行板連通孔68に差し込まれて孔内の空
隙体積を減少させる。
【0236】
【実施例18の別態様】又は上記実施例18における別
態様として、図80,81に示すような構造にしても上
述した図78,79の態様と同様な2行程サイクル機関
として作動させることが可能である。その構成の主なる
違いは両斜行板40,40の組成にあるが、それは互い
に与する斜行板40,40と回転ピストン30,30と
の連結部の成分と圧縮気移動の為の連通孔取付けの相違
である。
【0237】即ち、図81に示すように双方の斜行板4
0,40は、何れも斜行板環43を持たずに互いの外郭
摺接面45,45側において合体すると共に、各々には
ピストン中間軸33,33が嵌挿する軸線上に突出させ
た二つずつの前記蝶番ピン51,51、51,51取付
け支柱の蝶番腕53,53、53,53を設ける。ま
た、双方何れのピストン中間軸33にも、その蝶番腕5
3,53を差し込み可能な二つの窓状の切り欠き部分を
両側に有し、更にその窓状切り欠きから継続して両端部
方向に前記蝶番ピン受52,52の孔が設けられる。そ
の蝶番ピン受52,52に蝶番腕53,53取付けの蝶
番ピン51,51を嵌挿させて前記蝶番関節50を組成
させると、背面合体した斜行板40,40と半円状回転
ピストン30,30とが蝶番状作動可能に連結する。
【0238】その上、各斜行板40には回転外周面を溝
状に欠切形成して両板面を架け渡す斜行板連通溝69,
69を有し、また2組のハウジング10が合体した継ぎ
目に相当する内部壁にも凹み状欠切部分のハウジング連
通溝59を有する。そのように形成された二つずつの斜
行板連通溝69,69、69,69とハウジング連通溝
59は、図78,79の態様における構成の斜行板連通
孔68,68、68,68とハウジング連通孔58と同
様な位置関係に設けられ、且つ同様な連接関係を有して
作動する。また、気室A,Bと気室C,Dが行う2行程
サイクルの作動と進行も図78における態様と同じであ
り、点火具Igも気室A,Bの間隙が最も収縮するパワ
ー側Poの半月状作動室Haに面するハウジング10壁
か、又はパワー側Poの斜行板連通溝69,69内を窺
う適位置のハウジング10壁に挿着される。
【0239】
【実施例19】次に、前記実施の形態1の構成に基づく
2行程サイクル作動の実施例19を図82,83におい
て説明する。この実施例19は、上記実施例16におけ
る構成と同様にハウジング10の全体形状を球形に形成
し、そのハウジング10内に連結与する円形状板の回転
ピストン30と斜行板40とを組込む。また、バルブ装
置Vaは、上記実施例18における構成と同様に茸弁7
0等の独立した可動部分を持たずに静止と可動の連通孔
の断続により開閉され、そして吸、排気孔In,Exは
上記実施例16における構成と同様に取付けられて点火
具Igもパワー側Poのハウジング10壁に挿着され
る。
【0240】この実施例19では、図82,83に示す
如く、ピストン中間軸33内の中央部にピストン中間軸
33径より小さく回転主軸20径より大きい直径長を有
する球体の固定球80が不動部分として密接関係に組込
まれる。この固定球80には、上記実施例における不動
側の前記ハウジング連通孔58やハウジング連通溝59
に相当する貫通孔の固定球連通孔82が穿設される。同
様に可動側の連通孔は、ピストン中間軸33を穿ち気室
A,B,C,Dの各々に開口するピストン連通孔36,
36、36,36が固定球連通孔82の開口円周上に開
口し、その孔口の各々がピストン中間軸33の回転に伴
って固定球連通孔82の対向孔口の各々に与して内接
し、両半月状作動室Ha,Haの互いに与する気室Aと
C、又は気室BとDとを別々に連通させる。
【0241】尚、固定球80を支え持つ丸柱の支軸棒8
1は固定球80に端部が固着すると共に、回転主軸20
内を挿通して挿通先端が回転ピストンハウジング10a
壁に固定されるから、回転主軸20の何れか一方の軸柱
は自らの軸線に沿った内部が管状にくり抜かれ、その管
内に支軸棒81を挿通させてその管状の軸柱端部が回転
ピストンハウジング10a壁の内側に取付けた主軸受1
3に嵌挿する。その回転主軸20の円形板からなる軸央
枢25は、中心部分が同心円にくり抜かれて球帯状の内
周面を持つ環状に形成されるが、その軸央枢25の内側
に固定球80を回転摺接可能に嵌合させると、回転主軸
20の軸柱の一方は固定球80取付けの支軸棒81が挿
通してハウジング10壁内に軸止めされ、もう一方の軸
柱はハウジング10を貫通しても余る軸長を有して回転
ピストンハウジング10a壁に貫設した主軸受13に軸
承される。
【0242】この場合、回転ピストン30内部中央の空
隙部分に形成されるピストン枢35は、その内部中央の
水平壁面の各々が凹面の球冠状に切り欠かれて対面する
が、そのピストン枢35の両球冠状凹面と軸央枢25の
球帯状内側面とで内空球面が形成されるから、その内空
球面内に固定球80を回転摺動可能に嵌合させる。ま
た、その固定球80を貫通する前記固定球連通孔82
は、その対向両孔口の一方がパワー側Poの半月状作動
室Haに、他方がポンプ側Puの半月状作動室Haに何
れもが連接可能な位置にのみ開口し、且つそのパワー側
Poとポンプ側Pu孔口の何れもが各々の半月状作動室
Ha,Haにおける二つずつのピストン連通孔36,3
6、36,36に与し、その孔口の回転円周上に開口す
る。
【0243】その上この実施例において、図示はしない
が支軸棒81を挿通させた側の回転主軸20の軸柱端部
に前記主軸歯車28を取付け、その主軸歯車28に外接
歯合する前記継手軸歯車23もハウジング10壁の適位
置に装着すれば、図69に示す上記実施例14における
構成と同様にその継手軸歯車23取付けの前記出力継手
軸22が出力軸として突出取付けられる。或は、支軸棒
81を一方側のみではなく固定球80の対向両側に設
け、その支軸棒81,81を挿通させる回転主軸20の
両側軸柱も管状に形成し、その軸柱端部の各々をハウジ
ング10壁内に回転自由に軸止めし、且つその両軸柱端
部に上述の主軸歯車28,28を固着させると共に、そ
の主軸歯車28,28の各々に与する継手軸歯車23,
23を持つ出力継手軸22,22をハウジング10の対
向壁の適位置に取付けてもよい。
【0244】
【発明の効果】上記構成と作動による本発明の球形の回
転ピストン機関は、機関軸からクランク軸を排除してピ
ストンの往復動も排除し、且つ球形構造にしたことによ
り高いピストンスピードが得られ、同時に各種優れた性
能を発揮する。即ち、ピストンの往復加速運動による往
復質量の慣性力を解決することは、平均ピストンスピー
ドの上限を押し上げて機関の使用回転範囲を広げると共
に、機関の高速回転を意味するから高出力が実現し、高
回転をするほどにPS/lの比出力が増大するから必然
的に燃費性能も向上する。
【0245】また、排気ガス、静粛性、耐久性、重量寸
法、生産費、及び燃焼状態、冷却、油膜潤滑、耐摩耗、
気密保持、機械力学等の内燃機関に不可欠の諸条件を満
たすべく機関の形状を球形、及び球面を以て基本構造と
するものである。即ち、立体形において最大容積と最小
表面積からなる球形を基本構造とすることにより機関体
積に対して行程容積の占める割合が著しく大きいこと、
クランク機構がないこと、ダブルエンドのピストンであ
ること、基準球体内に4気筒分に相当する4気室が存在
すること等から極めて軽量コンパクトな機関である。更
に本発明における球体内に回転し得る回転体は、回転軸
線に対してシンメトリーな造形が可能であるから、慣性
モーメントが小さく過渡特性に優れ、且つ回転運動をす
る為に機械効率が良く、振動・騒音の発生が少なく、機
関本体である球体は熱変形や応力、衝撃荷重に強く堅牢
である。
【0246】また、回転ピストン30、斜行板40、回
転主軸20、バルブ装置Vaから構成される主要部品の
各々がシンプルであり、部品数が少なく、同一の部品も
少ない上に機構も簡単平明で複雑でない。つまり、同一
部品、同一装置の組立てがなく、機構が簡単ということ
は分解、組立て、手入れ等の作業性に有利であり、機構
に複雑さがなく、高い製作精度、高い組立て精度を要求
されないから、言うまでもなく低コストであり、故障し
にくい上に耐久性に富む。
【0247】球形内に形成される作動室は、概ね1:1
のボア径とストロークの比を持った往復ピストン機関
(最も需要の多い自動車用機関)に対し、本発明におけ
る偏平な櫛形状の作動室Fuは容積に対して面積の比が
著しく大きい上、球面の凹面内を常に作動室が移動して
いること等から流入空気に乱れと撹拌が生じる。その結
果、燃焼室内の火炎伝播は進行して完全燃焼が促され、
不完全燃焼による有害なCOの生成や未燃焼のHCガス
の排出を抑えて高い燃焼効率が得られる反面、火炎が接
触する燃焼室壁の表面積が大きい為に火炎は燃焼室壁に
冷やされて最高燃焼温度が低く、高温で発生する有害排
気ガスのNOxの生成と異常燃焼の発生が少ない。
【0248】而も燃焼温度が低いということは、耐熱の
観点からもより低級な材質の安価な材料を以て機関の製
造が可能であるが、球体内の燃焼、取り分け燃焼に伴っ
て移動する燃焼室は燃焼熱が燃焼室壁に伝導拡散して機
関全体の温度を均一化させ、温度差による機関の剛性・
強度の低下、バイメタル的熱変形を抑制する。且つ、燃
焼温度が低いことに加えて同一球体に複数の燃焼室が集
合する機関本体は、高温のためのより大型、大容量の冷
却装置や高い冷却性能を要求しないばかりか、ピストン
通軸孔34と回転主軸20との組合わせをオイルポンプ
に構成することによって機関枢部の潤滑油膜の生成と冷
却が同時に行える。
【0249】球を切り欠き形成した本発明における回転
体は、回転円周面にピストン環に相当する円形の気密具
を嵌め込めばよく、また回転体の回転外周面が作動室の
ハウジング10内壁面に面接触をするから潤滑油膜の生
成と気密保持の両面において有利であると共に、同一の
気密具を複数の作動室が共用するから細分化された同一
部品を出さず、円形体からなる回転体の回転荷重は円形
の接触面に分散されて耐摩耗性に有利である。つまり往
復ピストン機関においては、例えばピストンの往復加速
運動によって真円であるべきシリンダーの円筒内部をピ
ストン環がクランク回転方向に削って楕円形に変形させ
る上に、ピストン、コネクティングロット、クランク軸
の各々を連結する関節の部分もその影響を受けるが、本
発明の球形の回転ピストン機関には、往復動の摩擦抵抗
に起因する作動室の変形と摩擦摩耗によるリークロスの
発生要素がない。
【0250】一方、吸気、排気の弁においては、往復ピ
ストン機関のようにシリンダー頭部のみの1箇所に集中
してないこと、吸、排気孔の孔径範囲に自由度があるこ
と、互いの体積を反比例に変化させて対を成す二つの櫛
形状の作動室Fu,Fuが吸気行程と排気行程とを連続
して行うこと等、空気流出入の慣性抵抗質量が小さい為
に吸、排気効率に優れ、より多くの吸入空気重量を取り
込み高い平均有効圧力値を得ることが出来る。
【0251】又は、本発明の球形の回転ピストン機関を
2ストロークサイクル機関に構成すると、基本的には
吸、排気の弁機構を必要としない為に作動媒体である出
入空気の流れを阻止する閉塞部分や流速抵抗の増す狭窄
部分がなく、その分流路抵抗、背圧等によるポンピング
損失が少なくなる。また、ポンプ側Puの作動室は、作
動媒体を休止することなく吸い込み続け、パワー側Po
においても、燃焼ガスを一方的に排出し続けるから周期
的なオン・オフが無く、各々の行程に連続性が発生して
空気慣性重量が有効に働き、吸入、排出側において行程
間の繋ぎ目に発生するポンプ損失、機械損失が少なく、
高い吸、排気効率を得ることが出来ると共に、その連続
的に行われる燃焼と膨張行程もヒートロスを減少させて
高い燃焼効率をもたらす。
【0252】その上、その燃焼の高温側と新気吸入の低
温側とは完全に分離されていてピストンがその両方を往
来する機構動作がない為に、機関は熱応力による影響を
受けないと同時に、燃焼行程後に空気密度が小さくなっ
て吸入空気の充填効率の低下や吸入した新気が膨張して
吸入空気体積を減少させることもない。更に、作動媒体
はポンプ側Pu気室からパワー側Po気室へと移動する
ときに流速を増して流れに乱れや渦流が生じ易く、それ
らは燃料の蒸発や混合を促してガス流動を強め、燃焼の
火炎速度を向上させて乱流火炎伝播を可能にするから、
燃焼効率を改善して完全燃焼をさせる為に高い熱効率が
獲得出来る。そして、ポンプ側Pu気室とパワー側Po
気室との行程体積比を1:1以外の設定にすれば、吸入
空気量の増減によって発生トルクの調節が可能である。
【0253】以上説明したように、本発明によれば従来
の往復ピストン機関とは全く異なった原理に基づく構造
と作動を持つものであり、従来の往復ピストン機関では
相矛盾して解決が不可能とされていた出力と燃費性能と
の両立を実現させ、高出力で優れた燃料経済性を兼ね備
えた高性能の回転ピストン機関である。而も本発明によ
る高性能機関の具現化は、排出ガスの低害化、無害化を
具備していて部品や組成に難解さがなく簡単平明であ
り、部品数が少なく、取り扱い易い上に、その単純さ故
に製造コストが大幅に低くなり安価である。且つ耐久品
であり、軽量コンパクトであると共に振動と騒音の発生
を抑制した静粛機関である等、多数の優れた効果を奏す
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を示す基本図形の一部縦断斜視
図。
【図2】基準図形の角度変化を示す斜視図。
【図3】基準図形の角度変化を示す斜視図。
【図4】基準図形の角度変化を示す斜視図。
【図5】基準図形の角度変化を示す斜視図。
【図6】基準図形の角度変化を示す斜視図。
【図7】基準図形の角度変化を示す斜視図。
【図8】基準図形の角度変化を示す斜視図。
【図9】本発明の実施の形態1を示す一部縦断側面図。
【図10】図9の一部断面分解斜視図。
【図11】本発明の実施の形態2を示す一部縦断側面
図。
【図12】図11の一部断面分解斜視図。
【図13】本発明の実施の形態3を示す一部縦断側面
図。
【図14】図13の一部断面分解斜視図。
【図15】本発明の実施の形態4を示す一部縦断側面
図。
【図16】図15の一部断面分解斜視図。
【図17】本発明におけるピン継手関節を示す一部断面
分解斜視図。
【図18】本発明におけるピン継手関節を示す一部断面
分解斜視図。
【図19】本発明におけるピン継手関節を示す一部断面
分解斜視図。
【図20】本発明における回転主軸と回転ピストンの作
動を示す(い)(ろ)(は)(に)の各斜視図。
【図21】図20の続き、回転主軸と回転ピストンの作
動を示す(ほ)(へ)(と)(ち)の各斜視図。
【図22】本発明における各気室の容積変化を示す
(A)(B)(C)(D)(E)(F)の各一部縦断側
面図。
【図23】図22の続き、各気室の容積変化を示す
(G)(H)(I)(J)(K)(L)の各一部縦断側
面図。
【図24】本発明における4行程の作動を示す(ア)
(イ)(ウ)(エ)(オ)(カ)の各一部縦断側面図。
【図25】図24の続き、4行程の作動を示す(キ)
(ク)(ケ)(コ)(サ)(シ)の各一部縦断側面図。
【図26】本発明におけるトルク発生の原理を示す一部
縦断正面図。
【図27】本発明の実施例1を示す一部縦断側面図。
【図28】実施例1の環バルブ(1/2回転速度)と動
弁装置を示す斜視図。
【図29】図27(実施例1)の分解斜視図。
【図30】実施例1の斜行板流路孔を示す側面図。
【図31】実施例1の斜行板流路孔、バルブ連接孔、ハ
ウジング流路孔を示す一部断面分解斜視図。
【図32】図31の各流出入孔の連接を示す一部断面正
面図。
【図33】実施例1における4行程の作動を示す(aイ
〜dイ)(aロ〜dロ)の各一部縦断正面方向の模式
図。
【図34】本発明の実施例2を示す一部縦断側面図。
【図35】実施例2の環バルブ(1/2回転速度)を示
す一部切り欠き断面斜視図。
【図36】図34(実施例2)の一部断面分解斜視図。
【図37】実施例2における斜行板流路孔を示す側面
図。
【図38】実施例2の斜行板流路孔、バルブ連接孔、ハ
ウジング流路孔を示す一部断面分解斜視図。
【図39】図38の各流出入孔の連接を示す一部断面正
面図。
【図40】実施例2における4行程の作動を示す(aイ
〜dイ)(aロ〜dロ)の各一部縦断正面方向の模式
図。
【図41】実施例2の環バルブ(3/4回転速度)を示
す一部切り欠き断面斜視図。
【図42】図41の環バルブ装着における4行程の作動
を示す(aイ〜dイ)(aロ〜dロ)の各一部縦断正面
方向の模式図。
【図43】実施例2の環バルブ(5/6回転速度)を示
す一部切り欠き斜視図。
【図44】図43の環バルブ装着における4行程の作動
を示す(aイ〜dイ)(aロ〜dロ)の各一部縦断正面
方向の模式図。
【図45】実施例2の環バルブ(7/8回転速度)を示
す一部切り欠き斜視図。
【図46】図45の環バルブ装着における4行程の作動
を示す(aイ〜dイ)(aロ〜dロ)の各一部縦断正面
方向の模式図。
【図47】本発明の実施例3を示す一部縦断側面図。
【図48】実施例3の環バルブ(1/2回転速度)を示
す斜視図。
【図49】図47の一部断面分解斜視図。
【図50】本発明の実施例4を示す一部縦断側面図。
【図51】実施例4の板バルブ(1/2回転速度)を示
す斜視図。
【図52】本発明の実施例5を示す一部縦断側面図。
【図53】本発明の実施例6を示す一部縦断側面図。
【図54】実施例6の板バルブ(1/2回転速度)を示
す一部切り欠き斜視図。
【図55】図53の一部縦断分解斜視図。
【図56】実施の形態4における両回転主軸の取付け範
囲を示す(イ)(ロ)(ハ)の各一部縦断側面図。
【図57】本発明の実施例7を示す一部縦断側面図。
【図58】本発明の実施例8を示す一部縦断側面図。
【図59】実施例8における二つの環バルブ(1/2回
転速度)を示す(イ)(ロ)の各斜視図。
【図60】図58の一部縦断分解斜視図。
【図61】本発明の実施例9、及び実施の形態4におけ
る両斜行板取付け軸線を示す(イ)(ロ)(ハ)の各一
部縦断側面図。
【図62】本発明の実施例10を示す一部縦断側面図。
【図63】本発明の実施例11を示す一部縦断側面図。
【図64】実施例11の板バルブと動弁歯車を示す一部
切り欠き断面側面図。
【図65】実施の形態4における2組連結を示す(イ)
(ロ)(ハ)(ニ)の各一部縦断側面図。
【図66】本発明の実施例12を示す一部縦断平面図。
【図67】本発明の実施例13を示す一部縦断側面図。
【図68】実施例13の環バルブ(1/2回転速度)を
示す斜視図。
【図69】本発明の実施例14を示す一部縦断側面図。
【図70】実施例14の環バルブ(1/2回転速度)を
示す側面図。
【図71】実施例14における4行程の作動を示す(a
イ〜dイ)の各一部縦断平面模式図、及び環バルブの回
転角度の変化を示す(aロ〜dロ)の各斜視図。
【図72】本発明の実施例15(態様1)を示す一部縦
断側面図。
【図73】本発明の実施例15(態様2)を示す一部縦
断側面図。
【図74】実施例15におけるピストン弁を示す一部断
面側面図。
【図75】本発明の実施例16を示す一部縦断側面図と
ハウジング連通孔とバルブ装置を示す一部断面側面図。
【図76】実施例16の別態様(ピストン連通孔と弁)
を示す断面平面図。
【図77】本発明の実施例17を示す一部縦断側面図。
【図78】本発明の実施例18を示す一部縦断側面図。
【図79】実施例18の斜行板連通孔とハウジング連通
孔を示す一部切り欠き一部断面分解斜視図。
【図80】実施例18の別態様を示す一部縦断側面図。
【図81】図80の斜行板連通溝とハウジング連通溝と
蝶番ピン取付けを示す一部切り欠き一部断面分解斜視
図。
【図82】本発明の実施例19を示す一部縦断側面図。
【図83】実施例19の固定球と軸央枢とを示す一部断
面分解斜視図。
【符号の説明】
G 球面 O 球面Gの球心 r 球面Gの半径 X X軸線(回転主軸の取付け軸線) Y Y軸線(S円面の形成軸線、斜行板の回転軸線) θ θ角度(X軸線とY軸線との鋭角側の交差角度) P P点(X軸線が球面Gに交わる点) Q Q点(Y軸線が球面Gに交わる点) U 円錐軌跡U(点P,Qを直径底面、球心Oを頂点
とする円錐軌跡) M M軸線(X軸線の垂直軸線、ピン継手関節の連結
軸線) R R円面(X軸線上の水平円面) S S円面(Y軸線の垂直円面) L L軸線(R円面の自転軸線) K K軸線(R円面とS円面との交差割線、蝶番関節
の連結軸線) Ka K軸線両端の一方の端点 Kb K軸線両端のもう一方の端点 Ha 半月状の空間、半月状作動室 Fu 櫛形状の空間、櫛形状作動室 In 吸気孔 Ex 排気孔 Ig 点火具、又は燃料噴射弁 Va バルブ装置、弁 A 空間、作動室、気室Aに連通する斜行板流路孔 B 空間、作動室、気室Bに連通する斜行板流路孔 C 空間、作動室、気室Cに連通する斜行板流路孔 D 空間、作動室、気室Dに連通する斜行板流路孔 Pu ポンプ側、入力側 Po ワーキング、パワー側、出力側 10 ハウジング 10a 回転ピストンハウジング 10b 斜行板ハウジング 11 回転ピストンハウジングの凹面内壁 12 軌道隙 13 主軸受 14 斜行板軸受 15 ハウジング流路孔 5a ハウジング流路孔の内部口 16 ハウジング隔壁 17 ハウジング隔壁の中央軸受 18 ハウジング固定環歯車 19 バルブ軌道隙 20 回転主軸 22 出力継手軸 23 継手軸歯車 25 軸央枢 27 動弁歯車 28 主軸歯車 30 回転ピストン 31 回転ピストンの弓形面 32 回転ピストンの球弧面 33 ピストン中間軸 34 ピストン通軸孔 35 ピストン枢 36 ピストン連通孔 38 ピン状ピストン 39 中間軸切り込み 40 斜行板 40a 斜行板本体 40b 斜行板止め枠 41 斜行板の弓形面 42 斜行板の弦側面 43 斜行板環 44 斜行板通軸孔 45 斜行板の外郭摺接面 46 斜行板軸 47 斜行板連結軸 48 斜行板環歯車 49 斜行板流路孔 9b 斜行板流路孔の外郭口 50 蝶番関節 51 蝶番ピン 52 蝶番ピン受 53 蝶番腕 54 中間歯車 55 ピン継手関節 58 ハウジング連通孔 59 ハウジング連通溝 60 環バルブ 61 板バルブ 62 バルブ環歯車 64 バルブ板軸受 65 バルブ通軸孔 66 バルブ連接孔 6a バルブ連接孔の内向口 6b バルブ連接孔の外向口 68 斜行板連通孔 69 斜行板連通溝 70 茸弁 7a 茸弁の弁頭 7b 茸弁の弁棒 7c 茸弁の弁バネ 71 カム円板 72 カム板通軸孔 73 カム板環歯車 74 カム板軸受 75 カム板駆動歯車 76 カム板歯車 77 板カム 78 ピストン弁 80 固定球 81 固定球の支軸棒 82 固定球連通孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01C 3/06 F01C 9/00 F02B 53/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 球心(O)から半径(r)を有して球面
    (G)をなす内壁面に形成したハウジング(10)にお
    いて、角度(θ)をなし球心(O)において交差する固
    定した二つの軸直線を軸線(X)軸線(Y)としその軸
    線(X)が球面(G)に交わる点を点(P)としまた軸
    線(Y)が球面(G)に交わる点を点(Q)としその点
    (P)点(Q)間を底面の直径として球心(O)を頂点
    とする円錐形の軌跡を円錐軌跡(U)とし更に球心
    (O)において軸線(X)に直交する軸直線を軸線
    (M)としそして軸線(X)に水平面をなしてその直径
    線分の軸線(L)を自転軸とする球面(G)内の大円平
    面を円面(R)としまた軸線(Y)を鉛直軸線として球
    面(G)内に球心(O)を通って形成される大円平面を
    円面(S)としその円面(R)と円面(S)が球心
    (O)において交差する交差割線を軸線(K)としその
    交差割線(K)の両端を点(Ka)点(Kb)とし、 そのように点線面の各関係を設定したハウジング(1
    0)には円面(S)延長平面上のハウジング(10)内
    壁を周回溝の軌道隙(12)に削成して軸線(X)が貫
    通するハウジング(10)対向壁に主軸受(13),
    (13)を設け、 その主軸受(13),(13)に直軸状をなす回転主軸
    (20)の両軸頸を軸承させこの回転主軸(20)の球
    心(O)に位置して軸線(M)を連結軸とするピン継手
    関節(55)のピン柱か又はピン受孔の何れかからなる
    軸央枢(25)を有し、 円面(R)上には球面(G)をなすハウジング(10)
    内壁面に回転可能に接する対向外周面の球弧面(3
    2),(32)とその球弧面(32),(32)の弓形
    輪郭平面をなして軸線(K)側を弦とする表裏の弓形面
    (31),(31)、(31),(31)とその弦側に
    円柱状のピストン中間軸(33)を介在合体させた略円
    形板の回転ピストン(30)を配置し、 この回転ピストン(30)には両球弧面(32),(3
    2)に前記回転主軸(20)を遊挿させるピストン通軸
    孔(34)を開口させ且つそのピストン通軸孔(34)
    中央に前記軸央枢(25)に対応する連結素子のピスト
    ン枢(35)を設けて軸線(X)上の回転主軸(20)
    に対して角度(±θ)範囲を揺動可能に枢着させると共
    にピストン中間軸(33)両端の前記点(Ka)点(K
    b)側に蝶番関節(50)素子の蝶番ピン(51),
    (51)又は蝶番ピン受(52),(52)を設け、 また円面(S)上には両側表裏の弓形面(41),(4
    1)、(41),(41)とピストン中間軸(33)柱
    面に摺接関係に契合して互いに対面する弦側面(4
    2),(42)とから形成される二つの弓形板に前記軌
    道隙(12)に回転可能に嵌合する環状の斜行板環(4
    3)を合体させて外周面とした円形板状の斜行板(4
    0)を配置し、 この斜行板(40)には前記点(Ka)点(Kb)側に
    位置する斜行板環(43)の対向両側に前記蝶番関節
    (50)素子に対応する連結素子を設けて嵌合させこの
    蝶番関節(50)が斜行板(40)と回転ピストン(3
    0)とを交差割線(K)を蝶着の軸として角度(±θ)
    範囲に擺動可能に連結し、 すると円面(S)上の斜行板(40)が球面(G)をな
    すハウジング(10)の内壁面を閉鎖して各々が半球状
    の空間からなる二つの半月状作動室(Ha),(Ha)
    を形成しその半月状作動室(Ha),(Ha)の各々を
    円面(R)上の回転ピストン(30)が二つずつの櫛形
    状の空間をなす四つの作動室(Fu),(Fu)、(F
    u),(Fu)に形成し、 更に半月状作動室(Ha),(Ha)に臨ませて作動媒
    体の吸入孔(In)と排出孔(Ex)と適宜その作動媒
    体の通路を開閉するバルブ装置(Va)を設け且つ燃焼
    室を窺って点火具(Ig)或は燃料噴射弁を挿着したこ
    とを特徴とする球形の回転ピストン機関。
  2. 【請求項2】 球心(O)から半径(r)を有して球面
    (G)をなす内壁面に形成したハウジング(10)にお
    いて、角度(θ)をなし球心(O)において交差する固
    定した二つの軸直線を軸線(X)軸線(Y)としその軸
    線(X)が球面(G)に交わる点を点(P)としまた軸
    線(Y)が球面(G)に交わる点を点(Q)としその点
    (P)点(Q)間を底面の直径として球心(O)を頂点
    とする円錐形の軌跡を円錐軌跡(U)とし更に球心
    (O)において軸線(X)に直交する軸直線を軸線
    (M)としそして軸線(X)に水平面をなしてその直径
    線分の軸線(L)を自転軸とする球面(G)内の大円平
    面を円面(R)としまた軸線(Y)を鉛直軸線として球
    面(G)内に球心(O)を通って形成される大円平面を
    円面(S)としその円面(R)と円面(S)が球心
    (O)において交差する交差割線を軸線(K)としその
    交差割線(K)の両端を点(Ka)点(Kb)とし、 そのように点線面の各関係を設定したハウジング(1
    0)を円面(S)の平行平面で両側に分けて球面(G)
    の内壁面を有する半球状空間の作動室部分と軸線(Y)
    に同心円の半径(r)より大きい内径長の内周面を有す
    る凹状空隙の軌道隙(12)の部分とに形成して軸線
    (X)が貫通するハウジング(10)壁に主軸受(1
    3)を設け、 その主軸受(13)に直軸状をなす回転主軸(20)の
    軸頸を軸承させこの回転主軸(20)の球心(O)に位
    置して軸線(M)を連結軸とするピン継手関節(55)
    のピン柱か又はピン受孔の何れかからなる軸央枢(2
    5)を有し、 円面(R)上には球面(G)をなすハウジング(10)
    内壁面に回転可能に接する外周面の球弧面(32)とそ
    の球弧面(32)の弓形輪郭平面をなして軸線(K)側
    を弦とする表裏の弓形面(31),(31)とその弦側
    に円柱状のピストン中間軸(33)を合体させた略半円
    板の回転ピストン(30)を配置し、 この回転ピストン(30)には球弧面(32)に前記回
    転主軸(20)を遊挿させるピストン通軸孔(34)を
    開口させ且つそのピストン通軸孔(34)のピストン中
    間軸(33)内中央に前記軸央枢(25)に対応する連
    結素子のピストン枢(35)を設けて軸線(X)上の回
    転主軸(20)に対して角度(±θ)範囲を揺動可能に
    枢着させると共にピストン中間軸(33)両端の前記点
    (Ka)点(Kb)側に蝶番関節(50)素子の蝶番ピ
    ン(51),(51)又は蝶番ピン受(52),(5
    2)を設け、 また円面(S)上には軸線(K)上のピストン中間軸
    (33)を挟んで両側に弓形面(41),(41)とそ
    の両弓形面(41),(41)間にピストン中間軸(3
    3)柱面と摺接関係に契合する溝状の凹面からなる弦側
    面(42)とその両弓形面(41),(41)の裏面を
    同一回転面に形成した外郭摺接面(45)とから形成さ
    れる円形板に前記軌道隙(12)に回転可能に嵌合する
    環状の斜行板環(43)を合体させて外周面とした円形
    状板の斜行板(40)を配置し、 この斜行板(40)には前記点(Ka)点(Kb)側に
    位置する斜行板環(43)の対向両側に前記蝶番関節
    (50)素子に対応する連結素子を設けて嵌合させこの
    蝶番関節(50)が斜行板(40)と回転ピストン(3
    0)とを交差割線(K)を蝶着の軸として角度(±θ)
    範囲に擺動可能に連結し、 すると円面(S)上の斜行板(40)が球面(G)をな
    すハウジング(10)の内壁面を閉鎖して半球状の空間
    からなる半月状作動室(Ha)を形成し、その半月状作
    動室(Ha)を円面(R)上の回転ピストン(30)が
    櫛形状の空間をなす二つの作動室(Fu),(Fu)に
    形成し、 更に半月状作動室(Ha)に臨ませて作動媒体の吸入孔
    (In)と排出孔(Ex)と適宜その作動媒体の通路を
    開閉するバルブ装置(Va)を設け且つ燃焼室を窺って
    点火具(Ig)或は燃料噴射弁を挿着したことを特徴と
    する球形の回転ピストン機関。
  3. 【請求項3】 球心(O)から半径(r)を有して球面
    (G)をなす内壁面に形成したハウジング(10)にお
    いて、角度(θ)をなし球心(O)において交差する固
    定した二つの軸直線を軸線(X)軸線(Y)としその軸
    線(X)が球面(G)に交わる点を点(P)としまた軸
    線(Y)が球面(G)に交わる点を点(Q)としその点
    (P)点(Q)間を底面の直径として球心(O)を頂点
    とする円錐形の軌跡を円錐軌跡(U)とし更に球心
    (O)において軸線(X)に直交する軸直線を軸線
    (M)としそして軸線(X)に水平面をなしてその直径
    線分の軸線(L)を自転軸とする球面(G)内の大円平
    面を円面(R)としまた軸線(Y)を鉛直軸線として球
    面(G)内に球心(O)を通って形成される大円平面を
    円面(S)としその円面(R)と円面(S)が球心
    (O)において交差する交差割線を軸線(K)としその
    交差割線(K)の両端を点(Ka)点(Kb)とし、 そのように点線面の各関係を設定したハウジング(1
    0)には円面(S)延長平面上のハウジング(10)内
    壁を周回溝の軌道隙(12)に削成して軸線(X)が貫
    通するハウジング(10)対向壁に主軸受(13),
    (13)を設け、 その主軸受(13),(13)に直軸状をなす回転主軸
    (20)の両軸頸を軸承させこの回転主軸(20)の球
    心(O)に位置して軸線(M)を連結軸とするピン継手
    関節(55)のピン柱か又はピン受孔の何れかからなる
    軸央枢(25)を有し、 円面(R)上には球面(G)をなすハウジング(10)
    内壁面に回転可能に接して円面(S)を跨ぐ半球面より
    大きい外周面の球弧面(32)とその球弧面(32)の
    弓形輪郭平面をなして互いの弦側が軸線(K)を挟む両
    側の弓形面(31),(31)とその両弓形面(3
    1),(31)間に円柱状のピストン中間軸(33)を
    介在合体させた半球状円形板の回転ピストン(30)を
    配置し、 この回転ピストン(30)には球弧面(32)の対向両
    側に前記回転主軸(20)を遊挿させるピストン通軸孔
    (34)を開口させ且つそのピストン通軸孔(34)の
    中央部に前記軸央枢(25)に対応する連結素子のピス
    トン枢(35)を設けて軸線(X)上の回転主軸(2
    0)に対して角度(±θ)範囲を揺動可能に枢着させる
    と共にピストン中間軸(33)両端の前記点(Ka)点
    (Kb)側に蝶番関節(50)素子の蝶番ピン(5
    1),(51)又は蝶番ピン受(52),(52)を設
    け、 また円面(S)上には表裏の弓形面(41),(41)
    とピストン中間軸(33)柱面に摺接関係に契合する弦
    側面(42)とから形成される弓形板に前記軌道隙(1
    2)に回転可能に嵌合する環状の斜行板環(43)を合
    体させて外周面とした円形板状の斜行板(40)を配置
    し、 この斜行板(40)には前記点(Ka)点(Kb)側に
    位置する斜行板環(43)の対向両側に前記蝶番関節
    (50)素子に対応する連結素子を設けて嵌合させこの
    蝶番関節(50)が斜行板(40)と回転ピストン(3
    0)とを交差割線(K)を蝶着の軸として角度(±θ)
    範囲に擺動可能に連結し、 すると円面(S)上の斜行板(40)が球面(G)をな
    すハウジング(10)の内壁面を両側に隔てて各々が半
    球状の空間からなる二つの半月状作動室(Ha),(H
    a)を形成しその半月状作動室(Ha),(Ha)の各
    々を円面(R)上の回転ピストン(30)が櫛形状の空
    間をなす作動室(Fu),(Fu)に形成し、 更に半月状作動室(Ha),(Ha)に臨ませて作動媒
    体の吸入孔(In)と排出孔(Ex)と適宜その作動媒
    体の通路を開閉するバルブ装置(Va)を設け且つ燃焼
    室を窺って点火具(Ig)或は燃料噴射弁を挿着したこ
    とを特徴とする球形の回転ピストン機関。
  4. 【請求項4】 球心(O)から半径(r)を有して球面
    (G)をなす内壁面に形成したハウジング(10)にお
    いて、角度(θ)をなし球心(O)において交差する固
    定した二つの軸直線を軸線(X)軸線(Y)としその軸
    線(X)が球面(G)に交わる点を点(P)としまた軸
    線(Y)が球面(G)に交わる点を点(Q)としその点
    (P)点(Q)間を底面の直径として球心(O)を頂点
    とする円錐形の軌跡を円錐軌跡(U)とし更に球心
    (O)において軸線(X)に直交する軸直線を軸線
    (M)としそして軸線(X)に水平面をなしてその直径
    線分の軸線(L)を自転軸とする球面(G)内の大円平
    面を円面(R)としまた軸線(Y)を鉛直軸線として球
    面(G)内に球心(O)を通って形成される大円平面を
    円面(S)としその円面(R)と円面(S)が球心
    (O)において交差する交差割線を軸線(K)としその
    交差割線(K)の両端を点(Ka)点(Kb)とし、 そのように点線面の各関係を設定したハウジング(1
    0)を円面(S)の平行平面で両側に分けて球面(G)
    の内壁面を有する半球状空間の作動室部分と軸線(Y)
    に同心円の半径(r)より大きい内径長の内周面を有す
    る凹状空隙の軌道隙(12)の部分とに形成して軸線
    (X)が貫通するハウジング(10)壁に主軸受(1
    3)を設け、 その主軸受(13)に直軸状をなす回転主軸(20)の
    軸頸を軸承させこの回転主軸(20)の球心(O)に位
    置して軸線(M)を連結軸とするピン継手関節(55)
    のピン柱か又はピン受孔の何れかからなる軸央枢(2
    5)を有し、 円面(R)上には球面(G)をなすハウジング(10)
    内壁面に回転可能に接する外周面の球弧面(32)とそ
    の球弧面(32)の弓形輪郭平面をなして軸線(K)側
    を弦とする表裏の弓形面(31),(31)とその弦側
    に円柱状のピストン中間軸(33)を合体させた略半円
    板の回転ピストン(30)を配置し、 この回転ピストン(30)には球弧面(32)に前記回
    転主軸(20)を遊挿させるピストン通軸孔(34)を
    開口させ且つそのピストン通軸孔(34)のピストン中
    間軸(33)内中央に前記軸央枢(25)に対応する連
    結素子のピストン枢(35)を設けて軸線(X)上の回
    転主軸(20)に対して角度(±θ)範囲を揺動可能に
    枢着させると共にピストン中間軸(33)両端の前記点
    (Ka)点(Kb)側に蝶番関節(50)素子の蝶番ピ
    ン(51),(51)又は蝶番ピン受(52),(5
    2)を設け、 また円面(S)上には軸線(K)上のピストン中間軸
    (33)を挟んで両側に弓形面(41),(41)とそ
    の両弓形面(41),(41)間にピストン中間軸(3
    3)柱面と摺接関係に契合する溝状の凹面からなる弦側
    面(42)とその両弓形面(41),(41)の裏面を
    同一回転面に形成した外郭摺接面(45)とから形成さ
    れる円形板に前記軌道隙(12)に回転可能に嵌合する
    環状の斜行板環(43)を合体させて外周面とした円形
    状板の斜行板(40)を配置し、 この斜行板(40)には前記点(Ka)点(Kb)側に
    位置する斜行板環(43)の対向両側に前記蝶番関節
    (50)素子に対応する連結素子を設けて嵌合させこの
    蝶番関節(50)が斜行板(40)と回転ピストン(3
    0)とを交差割線(K)を蝶着の軸として角度(±θ)
    範囲に擺動可能に連結し、 以上のように構成されたハウジング(10)内の回転ピ
    ストン(30)と斜行板(40)と回転主軸(20)と
    からなる素子組成を1組分としその成分と同様なもう1
    組分を構成してその2組の組成を連動可能な並列又は直
    列に連結し、 すると双方の円面(S),(S)上の斜行板(40),
    (40)が互いの与する球面(G),(G)をなすハウ
    ジング(10)の内壁面を閉鎖してそれぞれに半球状の
    空間からなる半月状作動室(Ha),(Ha)を形成し
    その半月状作動室(Ha),(Ha)の各々をそれぞれ
    の円面(R),(R)上の回転ピストン(30),(3
    0)が櫛形状の空間をなす二つずつの作動室(Fu),
    (Fu)、(Fu),(Fu)に形成し、 更に半月状作動室(Ha),(Ha)に臨ませて作動媒
    体の吸入孔(In)と排出孔(Ex)と適宜その作動媒
    体の通路を開閉するバルブ装置(Va)を設け且つ燃焼
    室を窺って点火具(Ig)或は燃料噴射弁を挿着したこ
    とを特徴とする球形の回転ピストン機関。
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