JP3404363B2 - 燃料電池用セパレータ - Google Patents

燃料電池用セパレータ

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JP3404363B2 JP2000157189A JP2000157189A JP3404363B2 JP 3404363 B2 JP3404363 B2 JP 3404363B2 JP 2000157189 A JP2000157189 A JP 2000157189A JP 2000157189 A JP2000157189 A JP 2000157189A JP 3404363 B2 JP3404363 B2 JP 3404363B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は燃料電池、特に自動
車の動力用車載燃料電池に用いるセパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は燃料から電気へのエネルギー
変換効率が高く、有害物質を排出しないため、次世代の
発電装置として注目されている。特に、150℃以下の温
度領域で作動する高分子イオン交換膜型燃料電池は盛ん
に研究されており、数年後の実用化が見込まれている。
この燃料電池は比較的低い温度で作動でき、発電の出力
密度が高く、小型化が可能であるため家庭用や車載用の
燃料電池として適している。
【0003】通常、高分子イオン交換膜型燃料電池は、
固体電解質膜の両面に燃料電極及び酸素電極(空気電
極)を固定して単電池(セル)を形成し、これを燃料ガ
スと空気を供給する通気溝を設けた板状セパレータを介
して積層することにより構成される。固体電解質膜とし
てはスルホン酸基を有するフッ素樹脂系イオン交換膜等
が用いられ、電極はカーボンブラックに撥水材PTFEと貴
金属微粒子触媒を分散したもの等により形成する。水素
−酸素燃料電池が作動する際には、水素ガスが酸化され
て生じたプロトンが電解質中に進入し水分子と結合して
H3O+となり、正極側に移動する。正極側では通気溝から
導入された酸素が水素の酸化反応により発生する電子を
得て、電解質中のプロトンと結合し水となる。これらの
反応過程を継続することにより電気エネルギーを連続的
に取り出すことができる。この単電池の理論起電力は1.
2 Vであるが、実際には電極の分極、反応ガスのクロス
オーバー(燃料ガスが電解質を透過して空気電極に漏れ
る現象)、電極及び集電体の接触抵抗による電圧降下等
の原因で、出力電圧は0.6〜0.8 V程度である。従って、
実用的な出力を得るためには、セパレータを介して数十
の単電池をスタックし直列的に接続する必要がある。
【0004】前述の発電原理から解るように、電解質中
にはH+が多量に存在するので、水又は水蒸気が多量に存
在する電解質内部と電極の近傍では強酸性となる。また
正極側で酸素がH+と結合して水を生成するが、電池の作
動状態によっては過酸化水素が生成する場合がある。セ
パレータはこのような環境下に組み込まれるので、電気
伝導性及び気密性に加えて、高い化学・電気化学的安定
性(耐食性)を有することが要求される。
【0005】従来の燃料電池用セパレータの多くは黒鉛
板を機械加工したものである。黒鉛セパレータは電気抵
抗が低く耐食性が高い反面、機械強度が低く加工コスト
が高い。車載用燃料電池に用いるセパレータは高い機械
強度を有し低コストで加工可能であることが要求される
ので、現状の黒鉛セパレータをそのまま車載用燃料電池
に適用することは困難である。近年、黒鉛粉末を樹脂と
混合して射出成形し、更に高温焼成することによりセパ
レータを製造する方法が検討されているが、得られる焼
成体の密度が低いため気密性が悪いという問題がある。
このセパレータを樹脂で浸漬し炭化再焼成することによ
って密度を高めることは可能であるが、製造工程が煩雑
になる。加えて、このように製造されたセパレータの接
触電気抵抗は従来の黒鉛セパレータより数倍大きく、電
池の出力電圧低下が避けられない。
【0006】黒鉛セパレータ以外に、金属からなるセパ
レータも検討されている。金属セパレータはバルク電気
抵抗が低く、高い気密性及び機械強度を有し、加工コス
トの低減が容易である。また、セパレータの厚さを薄く
できるので小型化が容易である。更に、アルミニウムの
ような低比重金属材料を用いると燃料電池を一層軽量化
することができる。しかしながら、金属セパレータにお
いては、基材の金属そのものが腐食しやすいという問題
がある。特にアルミニウム基材は非常に腐食速度が大き
いことが報告されている(R. L. Rorup, et al., Mate
r. Res. Soc. Symp. Proc., 393 (1995)等)。また、腐
食により生成した金属イオンが電解質膜に進入すると、
膜のイオン伝導性が低下し電池の性能に影響を与える恐
れがある。
【0007】特開平11-162478号は、貴金属を金属セパ
レータの全表面にメッキすることにより、耐食性を改善
する手法を開示している。この手法はセパレータ性能に
関しては問題が無いが、高コスト化を招き実用的ではな
い。コスト低減のためには貴金属メッキ層を薄くする必
要があるが、湿式メッキの際に層厚を薄くすると微細な
ピンホールが発生し腐食の原因となり、また乾式メッキ
(蒸着、スパッタ等)では生産効率が悪く、被膜の均一
性も悪化してしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、優れた耐食性を有するアルミニウム製燃料電池用セ
パレータを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、一部にアルマイト被膜を設けた
アルミニウム製燃料電池用セパレータは優れた耐食性を
示すことを発見し、本発明に想到した。
【0010】すなわち、本発明の燃料電池用セパレータ
の第一の好ましい態様は、アルミニウム金属板からな
り、電極又は集電体との接触面及び反応ガス通気溝を有
する燃料電池用セパレータにおいて、前記反応ガス通気
溝の表面に多孔度5%以下の緻密質アルマイト被膜が形
成され、前記緻密質アルマイト被膜上に多孔度10%以上
の多孔質アルマイト被膜が形成されていることを特徴と
する。
【0011】本発明の燃料電池用セパレータの第二の好
ましい態様は、アルミニウム金属板からなり、電極又は
集電体との接触面及び反応ガス通気溝を有し、前記反応
ガス通気溝の表面にアルマイト被膜が形成された燃料電
池用セパレータにおいて、前記反応ガス通気溝内の壁面
同士は、なす角部が0.5 mm以上の曲率半径を有する曲面
状であることを特徴とする。
【0012】本発明の燃料電池用セパレータの第三の好
ましい態様は、アルミニウム金属板からなり、電極又は
集電体との接触面及び反応ガス通気溝を有し、反応ガス
通気溝の表面にアルマイト被膜が形成された燃料電池用
セパレータにおいて、反応ガス通気溝内の側面と前記接
触面とは、なす角部が0.3 mm以上の曲率半径を有する曲
面状であることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の燃料電池用セパレータは
アルミニウム金属板からなり、その一部にはアルマイト
被膜が形成されている。アルミニウム金属を基材として
用いることにより、セパレータの軽量化や電気伝導性及
び耐震性能の向上を図ることができる。本発明のセパレ
ータは様々な燃料電池に使用でき、特に自動車の動力用
車載燃料電池に好適に利用できる。以下、本発明のセパ
レータを図1〜4を用いて詳述するが、本発明はそれら
に限定されず、本発明の趣旨を変更しない限り種々の変
更を加えることができる。
【0014】図1は本発明の一実施例による燃料電池用
セパレータを含む燃料電池の一例を示す部分概略図であ
る。図1の燃料電池は、固体電解質2とその両側に設け
られたアノード3及びカソード4からなる単電池1を、
セパレータ5を介して積層して構成されている。積層の
両端は外部回路(図示せず)に接続される。
【0015】本発明のセパレータは電極又は集電体との
接触面を有する。該接触面の形状は、燃料電池の電極又
は一次集電体のカーボンペーパー、カーボンクロス等と
接触するために適した形状であればよく、図1により限
定されない。
【0016】図1に示すように、本発明のセパレータ5
は反応ガス通気溝8及び9を有する。反応ガス通気溝9
とアノード3により形成される通路には燃料ガスが供給
され、反応ガス通気溝8とカソード4により形成される
通路には酸化剤ガスが供給される。反応ガス通気溝8及
び9は機械加工、プレス、精密鋳造、化学研磨(エッチ
ング)、電解研磨等の方法により所定パターンに形成す
ればよい。反応ガス通気溝の形状は図1ではコ字型とし
たが、電極に接する部分に反応ガス用通路が形成できる
形状であれば特に限定されず、反応ガス通気抵抗が小さ
く、且つ発電効率が高くなるように設定するのが好まし
い。通常、各反応ガス通気溝の深さは0.2〜2mmとする
のが好ましく、幅は0.5〜5mmとするのが好ましい。
【0017】本発明においては、セパレータの耐食性を
確保するために、電極等と接触しない上記反応ガス通気
溝の表面には化学的及び物理的に安定なアルマイト被膜
6を形成する。アルマイト被膜は陽極酸化法等により形
成でき、例えば電解液としてシュウ酸、硫酸、クロム酸
等の水溶液を用いて電解することにより、γ-アルミナ
被膜を母材表面に形成すればよい。
【0018】陽極酸化条件を適宜選択することにより、
緻密な硬質アルマイト被膜を形成することができ、より
一層の耐食性向上を図ることが可能である。また、陽極
酸化処理を施した後、沸騰水又は水蒸気で処理すると、
アルマイト被膜に特有な微細孔を閉じることができ耐食
性を更に改善する。アルマイト被膜の多孔度は5%以下
とするのが好ましい。また、アルマイト被膜の膜厚は5
〜50μmとするのが好ましく、10〜30μmとするのがより
好ましい。
【0019】アルマイト被膜に微細な垂直細孔や海綿状
の多孔質層を形成する。本発明では、図2に示すよう
に、セパレータ5のアルマイト被膜6を緻密質アルマイ
ト被膜11及びその上に形成される多孔質アルマイト被膜
10から構成するのが、長期間の耐食性保持の観点から好
ましい。この緻密質アルマイト被膜の多孔度は5%以下
し、多孔質アルマイト被膜の多孔度は10%以上とす
る。この場合、緻密質アルマイト被膜の膜厚は2〜30μ
mとするのが好ましく、多孔質アルマイト被膜の膜厚は
5〜50μmとするのが好ましい。アルマイト被膜の耐食
性劣化の原因は、被膜が水蒸気中で膨潤成長し膜歪みを
生じることにより発生するクラックや剥離であると考え
られるが、前述のような多孔質アルマイト被膜を形成す
ることにより、膜歪みを緩和することができる。
【0020】アルミニウム基材中の不純物が多いとアル
マイト被膜の均一性が悪化し、密度が低くなる。更にこ
のような場合、被膜が一旦形成されると沸騰水、水蒸気
等を用いた緻密化処理の効果が小さくなる。従って、本
発明のセパレータに用いるアルミニウム金属の純度は9
9.5%以上であるのが好ましく、99.9%以上であるのが
より好ましい。また、アルミニウム基材の厚さは特に限
定されないが、車載用燃料電池に用いる場合は0.5〜3m
mとするのが好ましい。
【0021】本発明においては、図1に示すように、電
極又は集電体との接触面(電気伝導面)には導電性被膜
7を形成するのが好ましい。すなわち、本発明のセパレ
ータの全表面は非導電性アルマイト被膜及び導電性被膜
により覆うのが好ましい。
【0022】導電性被膜は電気伝導性の良い耐食性を有
する材料を用いて形成するのが好ましく、Pt、Au、Pd、
Ru、Rh、Ir及びAgからなる群から選ばれる金属若しくは
その合金、カーボン、又は導電性炭化物により形成する
のがより好ましい。Au、Ag、Pt、Pd等の貴金属系被膜
は、接触抵抗が低く耐食性も極めて良好である。カーボ
ンとしてはCVDによる黒鉛膜、DLC膜(ダイヤモンドライ
クカーボン膜)等が好ましい。また黒鉛粉に撥水剤を添
加したものを塗布しても良い。電極がカーボンブラック
に微量のPtを添加したもの等からなる場合、カーボン被
膜を用いると接触なじみが良い。導電性炭化物としては
炭化ケイ素、炭化ニオブ、炭化タングステン等が好まし
い。炭化物被膜は接触抵抗が小さいのみならず、良好な
耐食性及び耐酸化性を有するので、セパレータの保護膜
としても作用する。
【0023】導電性被膜はスパッタ法、電気メッキ、湿
式メッキ、CVD等の方法により形成できる。また導電性
被膜の膜厚は0.01〜5μmとするのが好ましい。膜厚が
0.01μmより小さいと膜強度が弱く不安定であり、5μm
より大きいとコストが高くなるため好ましくない。
【0024】セパレータを燃料電池中に組み込む際に
は、一般に気密性及び導電部の接触性を向上させるため
にスタック方向に沿って締め付ける。このとき面圧力は
約1〜10 kg/cm2となる。また燃料電池の作動温度は通
常約80〜120℃であり、温度変化によるセパレータの熱
膨張変形が起こることが多い。応力がかかりやすい箇所
のアルマイト被膜には亀裂・破損が発生しやすく、それ
により耐食性が大幅に低下する場合がある。従って、本
発明では応力を緩和するために反応ガス通気溝内の壁面
同士がなす角部(図3中、Rで示す)は曲面状とする。
この曲面の曲率半径は0.5 mm以上と、1.0 mm以上とす
るのが特に好ましい。
【0025】上記アルマイト被膜と導電性被膜の境界部
には応力が集中しやすい。またこの二種類の被膜を形成
する際には、基材表面に対して垂直方向に被膜が成長し
横方向には成長しないため、上記境界部のアルマイト被
膜は非常に破損しやすい。従って本発明では、ガス通気
溝の内部側面と上記接触面とがなす角部(図4中、Rで
示す)は曲面状とする。この曲面の曲率半径は0.3 mm以
上と、0.5 mm以上とするのが特に好ましい。またこの
ようにすることで、前述のアルマイト被膜の膨潤成長に
由来する膜歪みを緩和する効果も得られると考えられ
る。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明
するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0027】参考例1及び比較例1〜3 純度99.6%のアルミニウム金属板(1mm×150 mm×150
mm)に、プレス加工により深さ1.0 mm及び幅3.0 mmの反
応ガス通気溝を形成し、セパレータ基材を作製した。こ
の基材をシュウ酸水溶液中で陽極酸化し、次いで沸騰水
中に30分間浸漬し、乾燥して基材表面に膜厚12μmのア
ルマイト被膜を形成した。次に、セパレータの電極接触
面の平坦度を向上させるために、電極接触面をラッピン
グ研磨し、洗浄した。この工程により電極接触面上に形
成されたアルマイト被膜は除去される。続いて、5mTor
rの純アルゴンガス雰囲気中、基材温度を200℃として電
極接触面にAuをスパッタして導電性被膜を形成し、本発
明の一参考例によるセパレータを作製した。なお、導電
性被膜の厚さは約1μmであった。
【0028】100重量部のカーボンブラックに15重量部
のPtペースト(Pt:90重量%)を添加し、更に15重量部
のテフロン粒子(平均粒径:0.2μm)を撥水剤として添
加して電極用ペーストを調製した。この電極用ペースト
をプロトン伝導性高分子固体電解質膜(Nafion)に塗布
し、乾燥した。これをカーボンクロスで挟み、更に2枚
の上記セパレータで挟み込んで参考例1の燃料電池(単
電池)を作製した。セパレータの締め付け圧力は10kg/c
m2とした。
【0029】上記参考例1の燃料電池の作製方法と同様
にして、黒鉛製セパレータを用いた比較例1の燃料電
池、及びステンレス(SUS304)製セパレータを用いた比
較例2の燃料電池をそれぞれ作製した。また、アルマイ
ト被膜を形成しないこと以外は上記参考例1と同様に、
比較例3の燃料電池を作製した。なお、比較例2及び3
で用いたセパレータの電極接触面には上記参考例1と同
様にAuからなる導電性被膜を形成した。
【0030】得られた参考例1及び比較例1〜3の燃料
電池(単セル)に対して、アノード側の反応ガス通気溝
に加湿した模擬燃料ガス(70%H2、15%CO2、15%H2O)
を供給し、カソード側通気溝に酸化剤として空気を供給
して、各燃料電池の発電性能の安定性を評価した。各燃
料電池のセパレータ基材、初期発電電圧、10日間作動後
の発電電圧、及び10日間作動後のセパレータの耐腐食状
況を表1に併せて示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1より、アルマイト被膜を設けたアルミ
ニウム金属板からなる本発明のセパレータは優れた耐食
性を示し、該セパレータを用いた参考例1の燃料電池は
高い発電性能安定性を示すことがわかる。
【0033】参考例2及び比較例4 導電性被膜の材料として表2に示す各材料を用いたこと
以外は上記参考例1と同様に、参考例2a〜2r及び比較例
4の燃料電池をそれぞれ作製した。ただし、カーボン
参考例2q)及び導電性炭化物SiC(参考例2r)の導電
性被膜を形成する際には、被膜組成のターゲットを用い
スパッタガスとしてAr(30mTorr)を用いた。得られた
参考例2a〜2r並びに比較例1及び4の燃料電池(単セ
ル)に対して、アノード側の反応ガス通気溝に加湿した
模擬燃料ガス(70%H2、20%CO2、10%H2O)を供給し、
カソード側通気溝に酸化剤として空気を供給して、各燃
料電池の発電性能の安定性を評価した。各燃料電池の導
電性被膜の材料、初期発電電圧、10日間作動後の発電電
圧、及び10日間作動後のセパレータの耐腐食状況を表2
に併せて示す。
【0034】
【表2】
【0035】表2より、前述した好ましい導電性被膜を
有する本発明のアルミニウム製セパレータは優れた耐食
性を示し、該セパレータを用いた参考例2a〜2rの燃料電
池は高い発電性能安定性を示すことがわかる。
【0036】参考例3 アルマイト被膜の多孔度を、形成条件を変化させること
により表3に示すように変えたこと以外は上記参考例1
と同様に、参考例3a〜3jの燃料電池をそれぞれ作製し
た。得られた参考例3a〜3jの燃料電池(単セル)の発電
性能の安定性を上記実施例2と同様に評価した。各燃料
電池のアルマイト被膜の多孔度、初期発電電圧、10日間
作動後の発電電圧、及び10日間作動後のセパレータの耐
腐食状況を表3に併せて示す。
【0037】
【表3】
【0038】表3より、本発明のセパレータが有するア
ルマイト被膜の多孔度は、5.06%以下であるのが好まし
く、2.01%以下であるのがより好ましいことがわかる。
【0039】参考例4 アルマイト被膜の膜厚を、膜形成時間を調整することに
より表4に示すように変えたこと以外は上記参考例1と
同様に、参考例4a〜4jの燃料電池をそれぞれ作製した。
なお、アルマイト被膜の多孔度は約1.25%とした。得ら
れた参考例4a〜4jの燃料電池(単セル)の発電性能の安
定性を上記参考例2と同様に評価した。各燃料電池のア
ルマイト被膜の膜厚、初期発電電圧、10日間作動後の発
電電圧、及び10日間作動後のセパレータの耐腐食状況を
表4に併せて示す。
【0040】
【表4】
【0041】表4より、本発明のセパレータが有するア
ルマイト被膜の膜厚は、4.8〜51.5μmであるのが好まし
く、9.7〜33.1μmであるのがより好ましいことがわか
る。
【0042】実施例 アルマイト被膜の形成中に電解条件を変えることによ
り、途中から膜の多孔度を変え、緻密質アルマイト被膜
上に表5に示す多孔度を有する多孔質アルマイト被膜
(膜厚:約10〜30μm)を形成したこと以外は上記参考
例1と同様に、実施例1a〜1gの燃料電池をそれぞれ作製
した。なお、緻密質アルマイト被膜の膜厚は約15μmと
し、多孔度は1.25%とした。得られた実施例1a〜1gの燃
料電池(単セル)の発電性能の安定性を上記参考例2と
同様に評価した。ただし、評価は36日間行った。各燃料
電池の多孔質アルマイト被膜の多孔度、初期発電電圧、
36日間作動後の発電電圧、及び36日間作動後のセパレー
タの耐腐食状況を表5に併せて示す。
【0043】
【表5】
【0044】表5より、本発明のセパレータのアルマイ
ト被膜を緻密質アルマイト被膜及び多孔質アルマイト被
膜により構成する場合、多孔質アルマイト被膜の多孔度
は9.4%以上であるのが好ましく、19.4%以上であるの
がより好ましいことがわかる。また、腐食が見られたア
ルマイト被膜においては、被膜のクラック周辺に腐食部
が存在していることを確認した。
【0045】実施例 反応ガス通気溝内の壁面同士がなす角部を、表6に示す
曲率半径を有する曲面状としたこと以外は上記参考例1
と同様に、実施例2a〜2gの燃料電池をそれぞれ作製し
た。なお、アルマイト被膜の厚みは約15μmとし、多孔
度は1.25%とした。得られた実施例2a〜2gの燃料電池
(単セル)の発電性能の安定性を上記参考例2と同様に
評価した。ただし、評価は34日間行った。各燃料電池の
上記曲率半径及び34日間作動後のセパレータの耐腐食状
況を表6に併せて示す。
【0046】
【表6】
【0047】表6より、本発明のセパレータの上記曲率
半径は0.5 mm以上であるのが好ましく、1.0 mm以上であ
るのがより好ましいことがわかる。また、腐食が見られ
たアルマイト被膜においては、鋭角加工部での被膜のク
ラック周辺に腐食部が存在していることを確認した。
【0048】実施例 反応ガス通気溝の側面と電極接触面とがなす角部を、表
7に示す曲率半径を有する曲面状としたこと以外は上記
参考例1と同様に、実施例3a〜3gの燃料電池をそれぞれ
作製した。なお、反応ガス通気溝内の壁面同士がなす角
部は曲面状とし、その曲面の曲率半径は1.0 mmに固定し
た。また、アルマイト被膜の厚みは約15μmとし、多孔
度は1.25%とした。得られた実施例3a〜3gの燃料電池
(単セル)の発電性能の安定性を上記実施例2と同様に
評価した。ただし、評価は34日間行った。各燃料電池の
反応ガス通気溝の側面と電極接触面とがなす角部曲面の
曲率半径、初期発電電圧、34日後の発電電圧、及び34日
間作動後のセパレータの耐腐食状況を表7に併せて示
す。
【0049】
【表7】
【0050】表7より、本発明のセパレータの上記曲率
半径は0.3 mm以上であるのが好ましく、0.5 mm以上であ
るのがより好ましいことがわかる。また、腐食が見られ
たアルマイト被膜においては、鋭角加工部での被膜のク
ラック周辺に腐食部が存在していることを確認した。
【0051】参考 アルミニウム基材の純度を表8に示すように変えたこと
以外は上記参考例1と同様に、参考5a〜5fの燃料電池
をそれぞれ作製した。得られた参考5a〜5fの燃料電池
(単セル)の発電性能の安定性を上記参考例1と同様に
評価した。ただし、評価は12日間行った。各燃料電池の
アルミニウム基材の純度、初期発電電圧、12日後の発電
電圧、及び12日間作動後のセパレータの耐腐食状況を表
8に併せて示す。
【0052】
【表8】
【0053】表8より、本発明のセパレータに用いるア
ルミニウム基材の純度は99.50%以上であるのが好まし
く、99.90%以上であるのがより好ましいことがわか
る。
【0054】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の燃料電池
用セパレータはアルミニウムを主成分とするため非常に
軽量であり、従来の黒鉛製セパレータに比べ量産性が高
く加工コストを低減できる。更に本発明においては、基
材上に適宜アルマイト被膜を形成することにより、優れ
た耐食性を示すアルミニウム製セパレータを得ることが
できる。本発明のセパレータを用いた燃料電池は高い発
電性能安定性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例による燃料電池用セパレー
タを含む燃料電池の一例を示す部分概略図である。
【図2】 本発明の一実施例による燃料電池用セパレー
タを示す概略図、及びそのアルマイト被膜の構造を示す
部分拡大図である。
【図3】 本発明の燃料電池用セパレータの、反応ガス
通気溝の形状の一例を示す部分概略図である。
【図4】 本発明の燃料電池用セパレータの、反応ガス
通気溝及び電極又は集電体との接触面の形状の一例を示
す部分概略図である。
【符号の説明】
1・・・単電池 2・・・固体電解質 3・・・アノード 4・・・カソード 5・・・セパレータ 6・・・アルマイト被膜 7・・・導電性被膜 8、9・・・反応ガス通気溝 10・・・多孔質アルマイト被膜 11・・・緻密質アルマイト被膜
フロントページの続き (56)参考文献 特開2000−323151(JP,A) 特開2000−182640(JP,A) 特開2000−58080(JP,A) 特開 昭58−217677(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 8/00 - 8/24

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム金属板からなり、電極又は
    集電体との接触面及び反応ガス通気溝を有する燃料電池
    用セパレータにおいて、前記反応ガス通気溝の表面に多
    孔度5%以下の緻密質アルマイト被膜が形成され、前記
    緻密質アルマイト被膜上に多孔度10%以上の多孔質アル
    マイト被膜が形成されていることを特徴とする燃料電池
    用セパレータ。
  2. 【請求項2】 アルミニウム金属板からなり、電極又は
    集電体との接触面及び反応ガス通気溝を有し、前記反応
    ガス通気溝の表面にアルマイト被膜が形成された燃料電
    池用セパレータにおいて、前記反応ガス通気溝内の壁面
    同士がなす角部が0.5 mm以上の曲率半径を有する曲面状
    であることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
  3. 【請求項3】 アルミニウム金属板からなり、電極又は
    集電体との接触面及び反応ガス通気溝を有し、前記反応
    ガス通気溝の表面にアルマイト被膜が形成された燃料電
    池用セパレータにおいて、前記反応ガス通気溝内の側面
    と前記接触面とがなす角部が0.3 mm以上の曲率半径を有
    する曲面状であることを特徴とする燃料電池用セパレー
    タ。
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