JP3400260B2 - 有機薄膜素子 - Google Patents

有機薄膜素子

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JP3400260B2 JP24388096A JP24388096A JP3400260B2 JP 3400260 B2 JP3400260 B2 JP 3400260B2 JP 24388096 A JP24388096 A JP 24388096A JP 24388096 A JP24388096 A JP 24388096A JP 3400260 B2 JP3400260 B2 JP 3400260B2
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伸也 青木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機薄膜素子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、有機分子を用いて新しい機能素子
を実現しようとする試みが各所で活発化してきている。
素子への応用の面から見て、有機分子材料において特に
注目される現象は分子間の電荷移動現象である。この現
象を示す代表として、ドナー(D分子)とアクセプター
(A分子)とからなる交互積層型電荷移動錯体(DA錯
体)が注目されている。DA錯体は、D分子とA分子と
の様々な組み合わせにより、D分子−A分子間の電荷移
動が小さい中性状態または電荷移動が大きいイオン性状
態になることが知られている。これらのDA錯体は、そ
の状態に応じて、様々な光学特性または電気特性を示
す。また、いくつかのDA錯体、例えばテトラチアフル
バレン−クロラニル(TTF−CA)は、温度または圧
力によって中性状態からイオン性状態への転移(NI転
移)を起こし、転移に伴ってその光学特性や電気特性が
変化することが知られている(J.B.Torranc
e et al.;Phys.Rev.Lett.4
6,253(1981)、Y.Tokura et a
l.;Physica 143B,527(198
6))。
【0003】このようなDA錯体における電荷移動現象
を電気素子または光学素子の動作原理として応用する場
合には、電場または光によって、いかに効率よくしかも
制御性よく錯体の電荷移動状態の変化を起こすかという
ことが重要になる。
【0004】電場または光により中性状態からイオン性
状態への状態変化を容易に引き起こすためには、中性基
底状態とイオン性励起状態とのエネルギー差が小さいD
A錯体を用いることが必要である。このエネルギー差が
小さい錯体種としては、温度によってNI転移を起こす
錯体が挙げられる。しかし、温度誘起NI転移を示す錯
体として従来報告されているものは、先に挙げたテトラ
チアフルバレン−クロラニル(TTF−CA)のほか、
3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン−テトラ
シアノキノジメタン(TMB−TCNQ)(Y.Iwa
sa et al.;Phys.Rev.B42,23
74(1990))、ジメチルテトラチアフルバレン−
クロラニル(DMTTF−CA)(S.Aoki et
al.;Phys.Rev.B48,626(199
3))などわずかである。このように素子への応用が可
能なDA錯体種は限られており、所望の光学特性や電気
特性などを示す素子を作製することが困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、中性
基底状態とイオン性励起状態とのエネルギー差を制御可
能な有機薄膜を有する、表示素子などの有機薄膜素子を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の有機薄膜素子
は、ドナー分子とアクセプター分子(ドナーおよびアク
セプターの少なくとも一方は2種以上の分子種を含む)
が交互に積層された、混晶をなす交互積層型電荷移動錯
体からなる有機薄膜を有し、ドナー分子とアクセプター
分子との組み合わせが、イオン性錯体結晶を形成する群
と、中性錯体結晶を形成する群とからなるものである。
【0007】本発明において、有機薄膜はn種類のドナ
ー分子D1 、…Dn とm種類のアクセプター分子A1
…Am (ただし、nおよびmはn+m>2をみたす正の
自然数)を含有する。交互積層型電荷移動錯体とは、ド
ナー分子Di (i=1〜n)およびアクセプター分子A
j (j=1〜m)が、有機薄膜の膜厚方向に沿って以下
のように配列して一次元的なカラムを形成し、さらにこ
のようなカラムが互いに隣り合って多数形成されている
ものである。
【0008】・・・Di j i j i j ・・・ 例えば、2種類のドナー分子と1種類のアクセプター分
子とからなる交互積層型電荷移動錯体では、・・・D1
AD2 AD1 AD2 A・・・のようなカラムが形成され
る。また、1種類のドナー分子と2種類のアクセプター
分子とからなる交互積層型電荷移動錯体では、・・・D
1 DA2 DA1 DA2 ・・・のようなカラムが形成さ
れる。
【0009】本発明においては、ドナーおよびアクセプ
ターの少なくとも一方が2種以上の分子種を含むので、
交互積層型電荷移動錯体が混晶となる。このような混晶
をなす交互積層型電荷移動錯体を下記式のように表す。
【0010】 (D1 x1…(Dn xn−(A1 y1…(Am ym (ただし、xi (i=1〜n)はドナー分子Di のモル
分率、yj (j=1〜m)はアクセプター分子Aj のモ
ル分率であり、x1 +…+xn =1、y1 +…+ym
1) 本発明において、有機薄膜に含有されるドナー分子Di
とアクセプター分子Aj との組み合わせは、典型的に
は、イオン性錯体結晶を形成する群と中性錯体結晶を形
成する群からなっている。ここで、錯体結晶は主に交互
積層型電荷移動錯体の結晶を意味する。
【0011】本発明においては、ドナー分子Di とアク
セプター分子Aj との組み合わせがイオン性または中性
の錯体結晶を形成する温度は、85K以上、好ましくは
室温である。室温という用語は、何らの冷却手段または
加熱手段を必要としないという意味で用いており、具体
的にはおおよそ−30〜60℃の範囲である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の有機薄膜素子において、
有機薄膜を構成する混晶をなす交互積層型電荷移動錯体
は、中性基底状態とイオン性励起状態とのエネルギー差
を小さくすることができる。以下、その理由について説
明する。
【0013】まず、1種類のドナーDと1種類のアクセ
プターAとからなるDA錯体について、イオン性状態と
中性状態とのエネルギー差EI −EN を考える。ここ
で、ドナーDのイオン化ポテンシャルをI、アクセプタ
ーAの電子親和力をEとする。このエネルギー差は、D
分子およびA分子のイオン化エネルギーI−Eと、イオ
ン化したDA錯体のDA1ペア当りのマーデルングエネ
ルギーEM とを用いて、以下のように表される。
【0014】EI −EN =I−E−|EM | I−E−|EM |>0であればDA錯体は中性を示し、
I−E−|EM |<0であればDA錯体はイオン性を示
す。イオン化エネルギーI−EはDA錯体を構成する分
子種に固有の値である。また、マーデルングエネルギー
|EM |の大きさは錯体の種類によらず約4.1eVと
いうほぼ一定の値をとることが知られている(J.B.
Torrance et al.,Phys.Rev.
Lett.,46,253(1981))。したがっ
て、EI −EN の値は、選択された特定のD分子および
A分子に依存してほぼ決定され、この値を制御すること
は困難である。このような理由により、上述したように
NI転移を示す錯体種が限られており、素子への応用が
困難であった。
【0015】これに対して、本発明の有機薄膜素子は、
n種類のドナーD1 、…Dn とm種類のアクセプターA
1 、…Am (ただし、nおよびmはn+m>2をみたす
自然数)とを用いて混晶を形成することにより、以下に
示すようにDA錯体のイオン化エネルギーI−Eを任意
に制御できる。
【0016】以下においてはまず、最も簡単なモデルの
1つとして、2種類のドナーD1 およびD2 と1種類の
アクセプターAとからなる混晶すなわち(D1 x1(D
2 x2−A(ただしx1 +x2 =1、以下これを混晶1
という)からなる有機薄膜の場合について説明する。
【0017】混晶1における2種類のドナーD1 および
2 のイオン化ポテンシャルをそれぞれI1 およびI2
とする。ドナーのイオン化ポテンシャルの平均値IはI
=x1 1 +x2 2 と表される。また、1種類のアク
セプターAの電子親和力をEとする。このとき錯体のイ
オン化エネルギーI−Eは、以下のように表される。
【0018】 I−E=(x1 1 +x2 2 )−E (i) 一方、D1 −A錯体およびD2 −A錯体のマーデルング
エネルギーはいずれもほぼ一定値(約4.1eV)であ
る。このため、混晶1のマーデルングエネルギーも、構
成錯体種およびその成分比によらず、ほぼ一定値である
約4.1eVとなる。
【0019】したがって、混晶1におけるイオン性励起
状態と中性基底状態とのエネルギー差は、EI −EN
I−E−|EM |に(i)式を代入して、以下のように
表される。
【0020】 EI −EN =(x1 1 +x2 2 )−E−|EM | (ii) (ii)式から、2種類のドナーのモル比を制御すること
によって、EI −ENの値を制御できることがわかる。
例えば、D1 −Aが中性錯体結晶を形成し、D2 −Aが
イオン性錯体結晶を形成する場合には、|EI −EN
を極めて小さくすることができる。この場合、I1 −E
−|EM |>0、I2 −E−|EM |<0が成立する。
このとき(ii)式よりEI −EN =0となるxNI(0<
NI<1)が存在する。この値は、(ii)式にx1 =1
−x2 を代入してx2 を求めることにより次式のように
与えられる。
【0021】 xNI=(I1 −E−|EM |)/(I1 −I2 ) (iii) 混晶1はx2 <xNIで中性を示し、xNI<x2 でイオン
性を示す。したがって、2種のドナーのモル比を調整し
て|x2 −xNI|を小さくすることによって、|EI
N |を極めて小さくすることができる。
【0022】最も簡単な他のモデルである、1種類のド
ナーDと2種類のアクセプターA1およびA2 とからな
る混晶すなわちD−(A1 y1(A2 y2(ただしy1
+y2 =1、以下これを混晶2という)からなる有機薄
膜の場合についても上記と同様な議論が成立する。
【0023】混晶2における1種のドナーDのイオン化
ポテンシャルをI、2種のアクセプターA1 およびA2
の電子親和力をそれぞれE1 およびE2 とすると、錯体
のイオン化エネルギーI−Eは、 I−E=I−(y1 1 +y2 2 ) (i’) と表される。また、混晶2におけるマーデルングエネル
ギーも、構成錯体種およびその成分比によらずほぼ一定
値である約4.1eVをとる。したがって、混晶2にお
けるイオン性励起状態と中性基底状態とのエネルギー差
は、EI −EN =I−E−|EM |に(i’)式を代入
して、 EI −EN =I−(y1 1 +y2 2 )−|EM | (ii’) と表される。
【0024】(ii’)式から、2種類のアクセプターの
モル比を制御することによって、EI −EN の値を制御
できる。例えば、D−A1 が中性錯体結晶を形成し、D
−A2 がイオン性錯体結晶を形成する場合、I−E1
|EM |>0、I−E2 −|EM |<0が成立する。こ
のとき(ii’)式よりEI −EN =0となるyNI(0<
NI<1)が存在し、この値は次式のように与えられ
る。
【0025】 yNI=(I−E1 −|EM |)/(E2 −E1 ) (iii’) 混晶2はy2 <yNIで中性を示し、yNI<y2 でイオン
性を示す。したがって、2種のアクセプターのモル比を
調整して|y2 −yNI|を小さくすることによって、|
I −EN |を極めて小さくすることができる。
【0026】以上では、最も簡単なモデルとして混晶1
および混晶2について説明したが、これ以外の混晶、す
なわち2種類のドナーと2種類のアクセプターとからな
る混晶、またはドナーまたはアクセプターの少なくとも
一方が3種類以上含まれる混晶の場合にも、上記と同様
にドナーおよび/またはアクセプターのモル比を調整し
て|EI −EN |を極めて小さくすることができる。
【0027】本発明においては、有機薄膜に含有される
ドナー分子Di とアクセプター分子Aj との組み合わせ
が、錯体結晶を形成しない群を含んでいてもよい。この
ようにドナー分子とアクセプター分子との組み合わせが
錯体結晶を形成しない群を含む場合でも、他の群が錯体
結晶を形成すれば、全体として上記のような錯体混晶を
形成することができる。この場合、通常の条件では錯体
結晶を形成しないドナー分子とアクセプター分子との組
み合わせでも、仮想的に錯体結晶を形成するものと仮定
して上記と同様に考えてよい。
【0028】錯体結晶を形成しないドナー分子Di とア
クセプター分子Aj との間の電荷移動度は、イオン化エ
ネルギーI−Eとマーデルングエネルギー(約4.1e
V)との大小関係により予測できる。すなわち、I−E
<4.1eVを満たすドナー分子Di とアクセプター分
子Aj との組み合わせは、イオン性錯体結晶を形成する
とみなしてもよい。また、I−E>4.1eVを満たす
ドナー分子Di とアクセプター分子Aj との組み合わせ
は、中性錯体結晶を形成するとみなしてもよい。したが
って、本発明においては、ドナー分子Di とアクセプタ
ー分子Aj との組み合わせが、中性錯体結晶を形成する
群とI−E<4.1eVを満たす群とからなっていても
よいし、イオン性錯体結晶を形成する群とI−E>4.
1eVを満たす群からなっていてもよい。なお、I−E
の値は、前者の場合1eV以上、後者の場合9eV以下
であることが好ましい。
【0029】本発明においては、有機薄膜に含有される
ドナー分子Di とアクセプター分子Aj との組み合わせ
が、分離積層型錯体結晶を形成する群を含んでいてもよ
い。このようにドナー分子とアクセプター分子との組み
合わせがイオン性である分離積層型錯体結晶を形成する
群を含む場合でも、他の群が中性錯体結晶を形成すれ
ば、全体として上記のような錯体混晶を形成することが
できる。したがって、本発明においては、ドナー分子D
i とアクセプター分子Aj との組み合わせが、中性錯体
結晶を形成する群と分離積層型錯体結晶を形成する群か
らなっていてもよい。
【0030】以上のように本発明の有機薄膜素子では、
有機薄膜の|EI −EN |の値を小さくできるので、電
場または光によるNI転移が容易であり、表示素子など
の有機薄膜素子に容易に応用できる。
【0031】次に、本発明において用いられる、有機薄
膜を構成するドナー分子およびアクセプター分子を例示
する。以下においては、ドナー分子およびアクセプター
分子の略称、化合物名および化学式を示す。また、イオ
ン性錯体結晶を形成するドナーとアクセプターとの組み
合わせ、および中性錯体結晶を形成するドナーとアクセ
プターとの組み合わせを表に示す。
【0032】( ドナー分子) アニリン[D−1] N−メチルアニリン[D−2] N,N−ジメチルアニリン[D−3] PD:p−フェニレンジアミン[D−4] ClPD:2−クロロ−p−フェニレンジアミン[D−
5] ClMePD:2−クロロ−5−メチル−p−フェニレ
ンジアミン[D−6] DClPD:2,5−ジクロロ−p−フェニレンジアミ
ン[D−7] DMePD:2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミ
ン[D−8] DAD:ジアミノジュレン[D−9] TMPD:N,N,N’,N’−テトラメチル−PD
[D−10] N,N−DMePD:N,N−ジメチル−PD[D−1
1] 1,5−ジメチルナフタレン[D−12] 1,8−ジメチルナフタレン[D−13] ベンジジン[D−14] TMB:3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン
[D−15] NNN’N’−TMB:N,N,N’,N’−テトラメ
チル−ベンジジン[D−16] DAP:1,6−ジアミノピレン[D−17] TMDAP:N,N,N’,N’−テトラメチル−DA
P[D−18] フェナジン[D−19] M2 P:5,10−ジメチル−5,10−ジヒドロフェ
ナジン[D−20] E2 P:5,10−ジエチル−5,10−ジヒドロフェ
ナジン[D−21] Pr2 P:5,10−ジプロピル−5,10−ジヒドロ
フェナジン[D−22] HMP:5−メチル−5,10−ジヒドロフェナジン
[D−23] M6 P:5,10−ジヒドロ−2,3,5,7,8,1
0−ヘキサメチルフェナジン[D−24] PTZ:フェノチアジン[D−25] N−MePTZ:N−メチルフェノチアジン[D−2
6] ClPTZ:2−クロロフェノチアジン[D−27] TDAE:テトラキス(ジメチルアミノ)エチレン フェロセン[D−28] ジメチルフェロセン[D−29] デカメチルフェロセン[D−30] ニッケロセン デカメチルニッケロセン コバルトセン TTF:テトラチアフルバレン[D−31] DMTTF:2,6−ジメチルテトラチアフルバレン
[D−32] TMTTF:テトラメチルテトラチアフルバレン[D−
33] DPhTTF:2,6−ジフェニルテトラチアフルバレ
ン[D−34] DPhDMTTF:2,6−ジフェニル−3,7−ジメ
チルテトラチアフルバレン[D−35] DBTTF:ジベンゾテトラチアフルバレン[D−3
6] OMTTF:オクタメチレンテトラチアフルバレン[D
−37] HMTTF:ヘキサメチレンテトラチアフルバレン[D
−38] TTC1 TTF[D−39] TTeC1 TTF[D−40] TSF:テトラセレナフルバレン[D−41] TMTSF:テトラメチルテトラセレナフルバレン[D
−42] HMTSF:ヘキサメチレンテトラセレナフルバレン
[D−43] HMTTeF:ヘキサメチレンテトラテルラフルバレン
[D−44]TTT:テトラチアテトラセン[D−4
5] TST:テトラセレナテトラセン[D−46] BTP:テトラフェニルビチオピラリデン[D−47] ナフタレン アントラセン フェナントレン ペンタセン ピレン ペニレン アズレン アセナフテン カルバゾール アクリジン (アクセプター分子) BQ:p−ベンゾキノン[A−1] R1 2 3 4 BQ(R1 −R4 =H,Me,Cl,
Br,I,F,CN)[A−2] R1 BQ:2−R1 −BQ(R1 =Me,Cl,Br)
[A−3] MeBQ ClBQ BrBQ R1 2 BQ:2−R1 −5−R2 −BQ(R1 ,R2
=Me,Cl,Br)[A−4] Me2 BQ Cl2 BQ ClMeBQ Br2 BQ BrMeBQ 2−R1 −6−R2 −BQ(R1 ,R2 =Me,Cl,
Br)[A−5] 2,6−Cl2 BQ 2,6−Br2 BQ 2,6−Me2 BQ Cl3 BQ:2,3,5−トリクロロ−p−ベンゾキノ
ン[A−6] CA:クロラニル[A−7] BA:ブロマニル[A−8] IA:ヨーダニル[A−9] FA:フルオラニル[A−10] DDQ:2,3−ジシアノ−5,6−ジクロロ−p−ベ
ンゾキノン[A−11] Me4 BQ:テトラメチル−p−ベンゾキノン[A−1
2] o−BQ:o−ベンゾキノン[A−13] o−CA:o−クロラニル[A−14] o−BA:o−ブロマニル[A−15] NQ:ナフトキノン[A−16] R1 2 3 4 5 6 NQ[A−17] R1 2 NQ:2−R1 −3−R2 −NQ(R1 ,R2
=Cl,CN)[A−18] Cl2 NQ:2,3−ジクロロナフトキノン (CN)2 NQ:2,3−ジシアノナフトキノン AQ:9,10−アントラキノン[A−19] R1 2 3 4 5 AQ[A−20] TCNQ:テトラシアノキノジメタン[A−21] R1 2 3 4 TCNQ[A−22] R1 TCNQ:2−R1 −TCNQ(R1 =Me,OM
e,F,Cl,Br)[A−23] MeTCNQ (OMe)TCNQFTCNQ ClTCNQ BrTCNQ R1 2 TCNQ:2−R1 −5−R2 −TCNQ(R
1 =Me,Et,Pr,OMe,F,Cl,Br,I)
[A−24] Me2 TCNQ Et2 TCNQ Pr2 TCNQ (OMe)2 TCNQ F2 TCNQ Cl2 TCNQ Br2 TCNQ I2 TCNQ ClMeTCNQ BrMeTCNQ IMeTCNQ F4 TCNQ[A−25] TCNNQ:テトラシアノ−1,4−ナフトキノジメタ
ン[A−26] R1 2 3 4 5 6 TCNNQ[A−27] TCNAQ:テトラシアノ−9,10−アントラキノジ
メタン[A−28] R1 2 3 4 5 TCNAQ[A−29] TNAP:テトラシアノ−2,6−ナフトキノジメタン
[A−30] F6 TNAP[A−31] TCNDQ[A−32] F8 TCNDQ[A−33] DCNQI:ジシアノキノンジイミン[A−34] R1 2 3 4 DCNQI[A−35] R1 DCNQI:2−R1 −ジシアノキノンジイミン
(R1 ,R2 =Me,Cl,Br)[A−36] MeDCNQI:2−メチルジシアノキノンジイミン ClDCNQI:2−クロロジシアノキノンジイミン BrDCNQI:2−ブロモジシアノキノンジイミン R1 2 DCNQI:2−R1 −5−R2 −DCNQI
(R1 ,R2 =Me,Cl,Br)[A−37] DMeDCNQI:2,5−ジメチルジシアノキノンジ
イミン ClMeDCNQI:2−メチル−5−ジメチルジシア
ノキノンジイミン DClDCNQI:2,5−ジクロロジシアノキノンジ
イミン BrMeDCNQI:2−ブロモ−5−ジメチルジシア
ノキノンジイミン Br2 DCNQI:2,5−ジブロモジシアノキノンジ
イミン Cl4 DCNQI:2,3,5,6−テトラクロロジシ
アノキノンジイミン F4 DCNQI:2,3,5,6−テトラフルオロジシ
アノキノンジイミン DCNNQI:ジシアノ−1,4−ナフトキノンジイミ
ン[A−38] R1 2 3 4 5 6 DCNNQI[A−39] DCNAQI:ジシアノ−9,10−アントラキノンジ
イミン[A−40] R1 2 3 4 5 DCNAQI[A−41] TNB:1,3,5−トリニトロベンゼン[A−42] TNF:2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン
[A−43] DTF:2,4,7−トリニトロ−9−フルオレニリデ
ンマロノニトリル[A−44] TENF:2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオ
レノン[A−45] DTENF:2,4,5,7−テトラニトロ−9−フル
オレニリデンマロノニトリル[A−46] TCNE:テトラシアノエチレン[A−47] HCBD:ヘキサシアノブタジエン[A−48] HCNB:ヘキサシアノベンゼン[A−49] TCNB:テトラシアノベンゼン[A−50] DCNB:ジシアノベンゼン[A−51] PMDA:ピロメリト酸二無水物[A−52]
【化1】
【0033】
【化2】
【0034】
【化3】
【0035】
【化4】
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】
【化8】
【0040】
【化9】
【0041】
【化10】
【0042】
【化11】
【0043】
【化12】
【0044】
【化13】
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【表7】
【0052】
【表8】
【0053】
【表9】
【0054】
【表10】
【0055】
【表11】
【0056】次に、本発明において好適に用いられるド
ナー分子およびアクセプター分子を選択する基準につい
て説明する。まず、素子への応用を考慮すると、有機薄
膜が電場または光により容易にNI転移を引き起こすこ
とが重要になる。この観点から、有機薄膜を構成するド
ナーのイオン化ポテンシャルの平均値Iとアクセプター
の電子親和力の平均値Eとの差I−Eが、マーデルング
エネルギー|EM |よりわずかに大きいことが好まし
い。具体的には、I−Eと|EM |との差は0.5eV
以下、さらには0.1eV以下であることが好ましい。
上記の平均値IおよびEは、モル分率による重みつきの
平均値であり、それぞれ次式で表される。
【0057】I=x1 1 +…+xn n E=y1 1 +…+ym m 上記の条件を満たすDA錯体は圧力誘起NI転移または
温度誘起NI転移を起こさないものでもよいが、好まし
くは圧力誘起NI転移を起こすDA錯体、より好ましく
は温度誘起NI転移を起こすDA錯体が好適である。こ
のようなDA錯体は室温で中性であり、温度誘起NI転
移を起こす温度はかなり低温である。このようなDA錯
体では、温度誘起NI転移を起こす温度が高いほど、I
−Eと|EM |との差が小さく、電場または光によるN
I転移が容易になる。
【0058】本発明者らは、上記のような温度誘起NI
転移を起こすDA錯体を構成するドナーおよびアクセプ
ターに着目し、置換基を変更することにより室温でイオ
ン性錯体結晶を形成するドナーおよびアクセプターの組
み合わせを容易に選択できることを見い出した。
【0059】例えば、2−クロロ−5−メチルパラフェ
ニレンジアミン(ClMePD)と2,5−ジメチルジ
シアノキノンジイミン(DMeDCNQI)との錯体
は、温度NI転移を示す。この錯体結晶について、30
0Kおよび100Kにおいて紫外・可視吸収スペクトル
および赤外吸収スペクトルを測定した結果を図1(a)
および(b)ならびに図2(a)および(b)に示す。
これらの図に示されるように、温度によってClMeP
D−DMeDCNQI錯体結晶のスペクトルに顕著な差
が認められる。この錯体結晶は、300Kで中性、10
0Kでイオン性であり、100Kと300Kの間で温度
誘起NI転移を示す。また、この錯体結晶に関しては、
I−E−|EM |<<0.1eVと見積もることができ
る。
【0060】次に、本発明者らは、ClMePDの置換
基を別の置換基で置換したドナー分子とDMeDCNQ
Iの置換基を別の置換基で置換したアクセプター分子と
の組み合わせからなる錯体結晶について検討した。ここ
では、置換基として塩素原子およびメチル基に着目して
いる。これらの分子を以下に示す。
【0061】これらのドナー分子とアクセプター分子と
の組み合わせからなる錯体結晶について電荷移動度から
判断される性質は以下の通りであった。
【0062】中性 ClMePD−DMeDCNQI DClPD−ClMeDCNQI このDClPD−ClMeDCNQIは、ClMePD
−DMeDCNQIと同様に、温度誘起NI転移を示し
た。
【0063】イオン性 ClMePD−ClMeDCNQI DMePD−DMeDCNQI DClPD−DClDCNQI
【化14】
【0064】3種のドナー分子どうしおよび3種のアク
セプター分子どうしは、互いに分子構造が類似している
が、電子構造が異なる。また、分子構造の類似性から、
いずれのドナー分子とアクセプター分子とを組み合わせ
からなる錯体でも、結晶構造は類似していると予想され
る。
【0065】上記のように分子構造の類似性を保つため
には、変更する置換基として互いにファンデルワールス
半径Rの近いものを選択することが好ましい。上記の例
では、ファンデルワールス半径RはClで0.18n
m、Meで0.2nmである。本発明では、一方の置換
基のファンデルワールス半径Rが他方の置換基に対して
0.8〜1.2の範囲であることが好ましい。
【0066】メチル基に対してこのような条件を満たす
置換基としては、塩素原子のほかに、臭素原子(R=
0.195nm)およびヨウ素原子(R=0.215n
m)が挙げられる。他の例として、水素原子(R=0.
12nm)に対するフッ素原子(R=0.135nm)
が挙げられる。
【0067】置換基がドナー分子またはアクセプター分
子の電子状態に及ぼす影響に関しては定性的には以下の
ようなことがいえる。例えば、塩素などのハロゲンは、
D分子に導入されるとそのIの値を大きくしてドナー性
を弱め、A分子に導入されるとそのEの値を大きくして
アクセプター性を強める。一方、メチル基などのアルキ
ル基は、D分子に導入されるとそのIの値を小さくして
ドナー性を強め、A分子に導入されるとそのEの値を小
さくしてアクセプター性を弱める。したがって、上記で
例示したドナー分子とアクセプター分子との組み合わせ
による、錯体結晶の中性とイオン性の違いは、導入され
た置換基の違いによるものであることがわかる。
【0068】なお、ハロゲンと同様な傾向を示す置換基
としては、シアノ基が挙げられる。一方、アルキル基と
同様な傾向を示す置換基としては、アルケニル基、アル
キニル基、アリール基、アルキルオキシ基、アミノ基が
挙げられる。これらの置換基のうち、特にハロゲン、炭
素数3以下のアルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基およびシアノ基
を導入したD分子およびA分子は比較的合成が容易であ
る。したがって、これらの置換基は、D分子のIの値
や、A分子のEの値を調整するうえで有効である。
【0069】本発明において好適に用いられるドナー分
子およびアクセプター分子を選択するための上述した基
準は、分子骨格が類似する他のドナー分子およびアクセ
プター分子にも適用できる。上記の例では、パラフェニ
レンジアミン骨格を有するドナー分子とジシアノキノン
ジイミン骨格を有するアクセプター分子について説明し
た。このうち、アクセプター分子に関しては、ジシアノ
キノンジイミン骨格に類似する分子骨格として、例えば
テトラシアノキノジメタン骨格およびベンゾキノン骨格
が挙げられる。
【0070】TMB−TCNQはテトラシアノキノジメ
タン骨格を有するアクセプターを含有する。このTMB
−TCNQ錯体は、室温で中性であり、約205Kで温
度誘起NI転移を起こすことが知られている。TMB−
TCNQについても、アクセプター分子に特定の置換基
を導入することにより、イオン性錯体結晶を形成するド
ナー分子およびアクセプター分子の組み合わせを見つけ
ることができる。例えば、TMB−FTCNQ、TMB
−F2 TCNQ、またはTMB−F4 TCNQはイオン
性錯体結晶を形成する。したがって、ドナー分子とアク
セプター分子との組み合わせとしてイオン性錯体結晶を
形成する群と中性錯体結晶を形成する群を用いることに
より、容易に混晶をなす交互積層型電荷移動錯体を形成
できる。
【0071】また、ベンゾキノン骨格を有するアクセプ
ターを含有する混晶の例としては、中性錯体結晶を形成
するM2 P−BQとイオン性錯体結晶を形成するM2
−FAとの組み合わせからなるも錯体、および中性錯体
結晶を形成するTMPD−BQとイオン性錯体結晶を形
成するTMPD−FAとの組み合わせからなる錯体が挙
げられる。
【0072】本発明の有機薄膜素子を構成する有機薄膜
を形成する方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキ
シー法、塗布法、スピンコート法などの成膜法を採用す
ることができる。真空蒸着法または分子線エピタキシー
法により有機薄膜を形成する場合には、混晶の構成要素
となるドナーおよびアクセプターまたは錯体を蒸発源と
して用いる多元法が考えられる。また、予め共昇華法、
溶媒を用いた徐冷法、拡散法、電解法などの別の方法に
よって形成した混晶を蒸発源として用いてもよい。塗布
法またはスピンコート法により有機薄膜を形成する場合
には、混晶の構成要素となるドナーおよびアクセプター
を含む溶液の塗布またはスピンコートを行う。
【0073】本発明の有機薄膜素子は上述した有機薄膜
を有するものであり、例えば表示素子、電界効果トラン
ジスタ、光記録素子などを含む。これらの素子におい
て、本発明に係る有機薄膜は種々の方法で組み込むこと
ができる。
【0074】例えば、混晶を形成する複数の有機薄膜
を、他の有機薄膜(例えば絶縁膜)を挟んで積層しても
よい。この場合、複数の有機薄膜が、2種以上の混晶か
らなっていてもよい。
【0075】また、表示素子に組み込む場合、混晶を形
成する有機薄膜の両面に、絶縁層および電極を設ける。
【0076】また、電界効果トランジスタに組み込む場
合、シリコン基板と、シリコン基板中に形成されたソー
ス・ドレイン領域と、ソース・ドレイン領域間のチャネ
ル領域上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上
に形成された、混晶を形成する有機薄膜を含む有機薄膜
層と、有機薄膜層上に形成されたゲート電極とを設け
る。
【0077】さらに、光記録素子に組み込む場合、混晶
を形成する有機薄膜の両面に、ドナー分子からなる有機
薄膜と、アクセプター分子からなる有機薄膜とを積層し
た3層構造の記録単位を形成する。この場合、ドナー分
子と、混晶錯体と、アクセプター分子の組み合わせが異
なる3層構造の複数の記録単位を形成すれば、多重光記
録素子として用いることができる。
【0078】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0079】実施例1 Si基板上およびガラス基板上に、2種類のドナーすな
わち2−クロロ−5−メチル−p−フェニレンジアミン
(ClMePD)および2,5−ジメチル−p−フェニ
レンジアミン(DMePD)と、1種類のアクセプター
すなわち2,5−ジメチルジシアノキノンジイミン(D
MeDCNQI)とを含有し、(ClMePD)x1(D
MePD)x2−DMeDCNQIという混晶からなる有
機薄膜を以下に述べる(a)および(b)の2通りの方
法で作製した。室温において、ClMePD−DMeD
CNQIは中性錯体結晶を形成し、DMePD−DMe
DCNQIはイオン性錯体結晶を形成する。
【0080】(a)ClMePD−DMeDCNQI結
晶粉末とDMePD結晶粉末とをそれぞれ別個のるつぼ
に入れた。1×10-5Torrの真空下で、それぞれの
るつぼを加熱し、約240Kに冷却した基板上に混晶を
蒸着した。このとき、2個のるつぼの温度を調節してC
lMePD−DMeDCNQIとDMePDとのフラッ
クス比を変化させることにより、ドナー分子のモル比が
異なる種々の(ClMePD)x1(DMePD)x2−D
MeDCNQI混晶薄膜を形成した。
【0081】(b)ClMePDとDMePDとを溶解
した加熱トルエン溶液と、DMeDCNQIを溶解した
加熱トルエン溶液とを、窒素雰囲気下で混合し、徐冷す
ることにより、(ClMePD)x1(DMePD)x2
DMeDCNQI混晶を得た。このとき、一方のトルエ
ン溶液中のClMePDおよびDMePDの濃度を調整
することにより、ドナーのモル分率x1 およびx2 を様
々に変化させた。1×10-5Torrの真空下で、混晶
粉末を入れたるつぼを加熱し、およそ240Kに冷却し
た基板上に混晶を蒸着した。混晶粉末の種類に応じて、
ドナー分子のモル比が異なる種々の(ClMePD)x1
(DMePD)x2−DMeDCNQI混晶薄膜を形成し
た。
【0082】得られた混晶薄膜中のClMePDとDM
ePDとのモル比は、混晶薄膜をトルエンに溶解し、紫
外・可視スペクトルを測定することにより求めた。
【0083】(a)および(b)のいずれの方法でも、
得られた混晶薄膜の赤外吸収スペクトルおよびX線回折
パターンから、DMePDのモル分率x2 が0<x2
1の範囲で交互積層型CT錯体が形成されていることが
確認できた。赤外吸収スペクトルから室温におけるCT
錯体のイオン化度を評価したところ、x2 <0.3で中
性、x2 >0.3でイオン性であることがわかった。ま
た、ガラス基板上に形成された薄膜において、x2 の増
加に伴って黄褐色から赤褐色への色変化が確認できた。
【0084】実施例2 Si基板上およびガラス基板上に、1種類のドナーすな
わち2−クロロ−5−メチル−p−フェニレンジアミン
(ClMePD)と、2種類のアクセプターすなわち
2,5−ジメチルジシアノキノンジイミン(DMeDC
NQI)および2−クロロ−5−ジメチルジシアノキノ
ンジイミン(ClMeDCNQI)とを含有し、ClM
ePD−(DMeDCNQI)y1(ClMeDCNQ
I)y2という混晶からなる有機薄膜を以下のようにして
作製した。室温において、ClMePD−DMeDCN
QIは中性錯体結晶を形成し、ClMePD−ClMe
DCNQIはイオン性錯体結晶を形成する。
【0085】ClMePDを溶解した加熱アセトニトリ
ル溶液と、DMeDCNQIとClMeDCNQIとを
溶解した加熱アセトニトリル溶液とを、窒素雰囲気下で
混合し、徐冷することにより、ClMePD−(DMe
DCNQI)y1(ClMeDCNQI)y2混晶を得た。
このとき、一方のアセトニトリル溶液中のDMeDCN
QIおよびClMeDCNQIの濃度を調整することに
より、アクセプター分子のモル分率y1 およびy2 を様
々に変化させた。1×10-5Torrの真空下で、混晶
粉末を入れたるつぼを加熱し、およそ240Kに冷却し
た基板上に混晶を蒸着した。混晶粉末の種類に応じて、
アクセプター分子のモル比が異なる種々のClMePD
−(DMeDCNQI)y1(ClMeDCNQI)y2
晶薄膜を形成した。
【0086】得られた混晶薄膜の赤外吸収スペクトルお
よびX線回折パターンから、ClMeDCNQIのモル
分率y2 が0<y2 <1の範囲で交互積層型CT錯体が
形成されていることが確認できた。赤外吸収スペクトル
から室温におけるCT錯体のイオン化度を評価したとこ
ろ、y2 <0.3で中性、y2 >0.3でイオン性であ
ることがわかった。また、ガラス基板上に形成された薄
膜において、y2 の増加に伴い黄褐色から赤色への色変
化が確認できた。
【0087】実施例3 Si基板上およびガラス基板上に、1種類のドナーすな
わちフェノチアジン(PTZ)と、2種類のアクセプタ
ーすなわちTCNQおよびテトラフルオロ−TCNQ
(F4 TCNQ)とを含有し、PTZ−(TCNQ)y1
(F4 TCNQ)y2という混晶をなす有機薄膜を作製し
た。室温において、PTZ−TCNQは中性錯体結晶を
形成する。また、PTZとF4 TCNQとの組み合わせ
は結晶を形成しないが、PTZのイオン化ポテンシャル
はI=6.8eV、F4 TCNQの電子親和力はE=
3.3eVであり、I−E<4.1eVを満たす。
【0088】本実施例では、混晶薄膜の作製方法として
実施例1の(a)と同様にPTZ−TCNQおよびF4
TCNQをそれぞれ別個の蒸発源に用いる2元蒸着法を
用いた。そして、2つの蒸発源からのフラックス比を変
化させることにより、TCNQとF4 TCNQとのモル
比が異なるPTZ−(TCNQ)y1(F4 TCNQ)y2
混晶薄膜を形成した。
【0089】得られた混晶薄膜の赤外吸収スペクトルお
よびX線回折パターンから、F4 TCNQのモル分率y
2 に関して0<y2 <0.5の範囲で交互積層型CT錯
体が形成されていることが確認できた。赤外吸収スペク
トルから室温におけるCT錯体のイオン化度を評価した
ところ、y2 <0.3で中性、0.3<y2 <0.5で
イオン性であることがわかった。また、ガラス基板上に
形成された薄膜において、y2 の増加に伴って赤褐色か
ら濃紫色への色変化が確認できた。
【0090】実施例4 Si基板上およびガラス基板上に、1種類のドナーすな
わちテトラチアフルバレン(TTF)と、2種類のアク
セプターすなわちベンゾキノン(BQ)およびブロマニ
ル(BA)とを含有し、TTF−(BQ)y1(BA)y2
という混晶をなす有機薄膜を作製した。室温において、
TTF−BAはイオン錯体結晶を形成する。また、TT
FとBQとの組み合わせは結晶を形成しないが、TTF
のイオン化ポテンシャルはI=6.4eV、BQの電子
親和力はE=1.9eVであり、I−E>4.1eVを
満たす。
【0091】本実施例ではTTF、BQ、BAをそれぞ
れ別個の蒸発源とする3元蒸着法により、1×10-5
orrの真空下で、およそ100Kに冷却した基板上に
混晶を蒸着した。そして、3つの蒸発源からのフラック
ス比を変化させることにより、BQとBAとのモル比が
異なるTTF−(BQ)y1(BA)y2混晶薄膜を形成し
た。
【0092】得られた混晶薄膜について、赤外吸収スペ
クトルおよびX線回折パターンからBAのモル分率y2
に関して0.5<y2 <1の範囲で交互積層型CT錯体
が形成されていることが確認できた。赤外吸収スペクト
ルからCT錯体のイオン化度を評価したところ、y2
0.7で中性、y2 >0.7でイオン性であることがわ
かった。また、ガラス基板上に形成された薄膜におい
て、y2 の増加に伴って黄褐色から黒色への色変化が確
認できた。
【0093】実施例5 Si基板上およびガラス基板上に、1種類のドナーすな
わち2,5−ジクロロ−p−フェニレンジアミン(DC
lPD)と、2種類のアクセプターすなわち2−クロロ
−5−メチルジシアノキノンジイミン(ClMeDCN
QI)および2,5−ジクロロジシアノキノンジイミン
(DClDCNQI)とを含有し、DClPD−(Cl
MeDCNQI)y1(DClDCNQI)y2という混晶
をなす有機薄膜を作製した。室温において、DClPD
−ClMeDCNQIは中性錯体結晶を形成し、DCl
PD−DClDCNQIはイオン性錯体結晶を形成す
る。
【0094】本実施例ではDClPD、ClMeDCN
QI、DClDCNQIをそれぞれ別個の蒸発源とする
3元蒸着法により、1×10-5Torrの真空下で、お
よそ240Kに冷却した基板上に混晶を蒸着した。そし
て、3つの蒸発源からのフラックス比を変化させること
により、ClMeDCNQIとDClDCNQIとのモ
ル比が異なるDClPD−(ClMeDCNQI)
y1(DClDCNQI)y2混晶薄膜を形成した。
【0095】得られた混晶薄膜の赤外吸収スペクトルお
よびX線回折パターンからDClDCNQIのモル分率
2 に関して0<y2 <1の範囲で交互積層型CT錯体
が形成されていることが確認できた。赤外吸収スペクト
ルから室温におけるCT錯体のイオン化度を評価したと
ころ、y2 <0.2で中性、y2 >0.2でイオン性で
あることがわかった。また、ガラス基板上に形成された
薄膜において、y2 の増加に伴って黄褐色から濃赤黒色
への色変化が確認できた。
【0096】実施例6 グラファイト基板上に、(DClPD)x1(ClMeP
D)x2−ClMeDCNQIという混晶をなす有機薄膜
を作製した。
【0097】本実施例ではDClPD、ClMePD、
ClMeDCNQIの3種類の分子線を用いた分子線エ
ピタキシー法により、1×10-9Torrの真空下で、
77Kに冷却した基板上に、DClPDおよびClMe
PDからなるドナー層と、ClMeDCNQIからなる
アクセプター層とを交互に積層することにより、混晶を
成長させた。そして、分子線のフラックス比を変化させ
ることにより、ドナー分子のモル比が異なる(DClP
D)x1(ClMePD)x2−ClMeDCNQI混晶薄
膜を形成した。
【0098】得られた混晶薄膜の赤外吸収スペクトルか
ら室温における混晶のイオン化度を評価したところ、x
2 <0.3で中性、x2 >0.3でイオン性であること
がわかった。
【0099】実施例7(表示素子) 図3は本発明の表示素子の一例を示す断面図である。こ
の表示素子はガラス基板1上に厚さ400nmのITO
膜からなる透明電極層2、厚さ100nmのSrTiO
3 膜からなる第1の絶縁層3、厚さ200nmのTTF
−(Br2 BQ)y1(BA)y2混晶からなる有機薄膜層
4、厚さ100nmのポリフッ化ビニリデン(PVD
F)膜からなる第2の絶縁層5、厚さ20nmの半透明
のAu膜からなる背面電極層6が積層された構造をも
つ。
【0100】透明電極層2および第1の絶縁層3は、ガ
ラス基板1上に順次スパッタにより形成した。TTF−
(Br2 BQ)y1(BA)y2混晶からなる有機薄膜層4
は、実施例4と同じ方法により形成した。本実施例で
は、y2 =0.29(素子1)およびy2 =0.42
(素子2)となるようにフラックス比を調整して、2種
類の素子を作製した。第2の絶縁層5、背面電極層6は
真空蒸着法により順次形成した。
【0101】これらの表示素子1および2はいずれも、
2つの電極間に電圧を印加しないときにはTTF−(B
2 BQ)y1(BA)y2からなる有機薄膜層4が黄緑色
を示した。また、透明電極層2を接地し、背面電極層6
に負電圧を印加すると、素子1では約−30Vの印加電
圧で、素子2では約−10Vの印加電圧で有機薄膜層4
がはっきりと黒色に変化した。
【0102】一方、比較のために、TTF−Br2 BQ
のみからなる有機薄膜層4を形成した以外は上記と全く
同様の表示素子を作製した。この素子では−100Vま
で電圧を印加しても有機薄膜層4の色変化が見られなか
った。
【0103】実施例8(表示素子) 本実施例では、図3の有機薄膜層4を図4に示す多層構
造に形成して多値(多色)表示素子を作製した。この有
機薄膜層4は、厚さ100nmの(ClMePD)0.95
(DMePD)0.05−DMeDCNQI混晶薄膜11、
厚さ20nmのPVDF膜12、厚さ100nmの(C
lMePD)0.85(DMePD)0.15−DMeDCNQ
I混晶薄膜13が積層された構造を有する。この有機薄
膜層の上に、厚さ50nmのPVDF膜からなる第2の
絶縁層5が形成されている。
【0104】この表示素子は、印加電圧|V|の値に応
じて以下のような表示色を示した。
【0105】 |V|<5Vで黄褐色 5<|V|<8Vで赤褐色 |V|>8Vで濃赤黒色 実施例9(表示素子) 本実施例では、図3の有機薄膜層4を、図5に示す多層
構造に形成して多値(多色)表示素子を作製した。この
有機薄膜層4は、厚さ100nmのClMePD−(D
MeDCNQI)0.95(ClMeDCNQI)0.05混晶
薄膜21、厚さ20nmのPVDF膜22、厚さ100
nmの(ClMePD)0.85(DMePD)0.15−DM
eDCNQI混晶薄膜23が積層された構造を有する。
この有機薄膜層の上に、厚さ50nmのPVDF膜から
なる第2の絶縁層5が形成されている。
【0106】この表示素子は、印加電圧|V|の値に応
じて以下のような表示色を示した。
【0107】 |V|<5Vで黄褐色 5<|V|<8Vで赤褐色 |V|>8Vで濃赤色 実施例10(FET) 本実施例においては、図6に示すnチャネルMOSFE
Tを作製した。図6において、p型シリコン基板51に
n型ソース、ドレイン領域52、53が形成されてい
る。ソース、ドレイン領域52、53間のチャネル領域
上に厚さ約10nmの熱酸化膜からなるゲート酸化膜5
4を介して有機薄膜層55が形成され、その上にゲート
電極56が形成されている。ソース、ドレイン領域5
2、53上にはソース、ドレイン電極57、58が形成
されている。
【0108】本実施例においては、図6のFETの有機
薄膜層55を、図7に示す多層構造に形成した。この有
機薄膜層55は、厚さ10nmのDClPD−ClMe
DCNQI薄膜61、厚さ5nmのPVDF膜62、厚
さ10nmの(DClPD)0.85(ClMePD)0.15
−ClMeDCNQI混晶薄膜63、厚さ5nmのPV
DF膜64が積層された構造を有する。これらの各層は
真空蒸着法により形成した。
【0109】このFETでは、図9に示すように、1.
5V(V1 )および2.1V(V2)のゲート電圧が印
加されたときにソース・ドレイン電流が急激に増加し、
多段階のスイッチング機能を示した。
【0110】実施例11(FET) 本実施例においては、図6のFETの有機薄膜層55
を、図8に示す多層構造に形成した。この有機薄膜層5
5は、厚さ10nmのClMePD−DMeDCNQI
薄膜71、厚さ5nmのPVDF膜72、厚さ10nm
の(DClPD)0.85(ClMePD)0.15−ClMe
DCNQI混晶薄膜73、厚さ5nmのPVDF膜74
が積層された構造を有する。これらの各層は真空蒸着法
により形成した。
【0111】このFETでは、図9に示すように、1.
5V(V1 )および1.8V(V2)のゲート電圧が印
加されたときにソース・ドレイン電流が急激に増加し、
多段階のスイッチング機能を示した。
【0112】実施例12(光記録素子) 図10は本実施例の光記録素子の断面図である。図10
に示すように、ガラス基板111上に、A分子薄膜11
2として厚さ50nmのDMeDCNQI薄膜、錯体薄
膜113として厚さ100nmの(ClMePD)0.85
(DMePD)0.15−DMeDCNQI混晶薄膜、D分
子薄膜114として厚さ20nmのテトラアザアヌレン
ニッケル錯体薄膜が積層されており、3層構造の記録単
位が形成されている。
【0113】この光記録素子に、D分子であるテトラア
ザアヌレンニッケル錯体にだけ特異的な吸収波長である
460nmのレーザー光を、光学系を通してスポット径
5nm、出力100mWの条件で照射して、情報を記録
する。記録領域では、D分子が光により励起し、混晶薄
膜を介してA分子薄膜への電子移動が生じ、D分子およ
びA分子がそれぞれイオン化され、分極場の作用によっ
て混晶錯体がイオン化される。この結果、情報が保持さ
れる。記録領域のイオン性混晶は560nmに吸収を持
つ。一方、非記録領域の中性混晶は560nmに吸収を
持たない。次に、白色光をバンドフィルターを通過さ
せ、500〜600nmにだけ光強度分布を持つように
調整した出力0.2mWの参照光を照射し、波長560
nmの透過光の強度を増幅して検出する。記録領域と非
記録領域とで透過光強度を比較すると、雑音レベルの強
度変化ΔTnに対して極めて大きい信号強度変化ΔTs
が検出される。
【0114】実施例13(多重光記録素子) 本実施例においては、図11および図12を参照して多
重光記録素子への記録方法および読み出し方法を説明す
る。
【0115】図11に示すように、ガラス基板111上
に、Dm /[DA]m /Am (mは1〜n)という3層
構造からなる記録単位(各記録単位の構成分子の組み合
わせは異なる)がn段階にわたって積層されて多重光記
録素子121が形成されている。各記録単位を構成する
m (mは1〜n)分子は、互いに異なる波長λm (m
は1〜n)の光に特異的に感応する。外部情報は、信号
割当て回路122によって、多重光源123を構成する
波長λm (mは1〜n)の光を照射する各光源に割り当
てられ、各光源のオン・オフが制御される。外部情報に
対応する光は、光学系124を通して多重光記録素子1
21の記録領域(xy)へ照射される。記録領域(x
y)では、照射された光に感応する記録単位のD分子が
励起され、[DA]混晶薄膜を介してA分子に電子移動
が起こり、D分子およびA分子がイオン化され、分極場
の作用によって混晶錯体がイオン化される。このため、
記録領域(xy)では、各記録単位が形成されている階
層毎に情報が記録される。
【0116】図12に示すように、記録がなされた記録
単位では、混晶錯体が中性からイオン性へ転移して[D
+ - m (mは1〜n)となった状態で情報が保持さ
れている。これらのイオン性の[D+ - m 混晶錯体
は、中性の[DA]混晶錯体よりも長波長側に、光吸収
λ’m (mは1〜n)を有する。そして、参照光源12
5から波長域の広い低出力の参照光を一括照射し、多重
光記録素子121の下方に配置され、走査回路127に
よって走査される分光検出器126により、記録領域の
情報を同時並列的に読み出す。こうして、信号処理回路
128により元の情報と等価な情報が再生される。
【0117】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、中
性基底状態とイオン性励起状態とのエネルギー差を制御
可能な有機薄膜を有する、表示素子などの有機薄膜素子
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ClMePD−DMeDCNQI錯体結晶の3
00Kおよび100Kにおける紫外−可視吸収スペクト
ル。
【図2】ClMePD−DMeDCNQI錯体結晶の3
00Kおよび100Kにおける赤外吸収スペクトル。
【図3】本発明の表示素子の断面図。
【図4】表示素子を構成する有機薄膜の積層構造を示す
図。
【図5】表示素子を構成する有機薄膜の積層構造を示す
図。
【図6】本発明のFETの断面図。
【図7】FETを構成する有機薄膜の積層構造を示す
図。
【図8】FETを構成する有機薄膜の積層構造を示す
図。
【図9】FETの出力特性を示す図。
【図10】本発明の光記録素子の断面図。
【図11】本発明の光記録素子への記録方法を説明する
図。
【図12】本発明の光記録素子からの読み出し方法を説
明する図。
【符号の説明】
1…ガラス基板 2…透明電極層 3…第1の絶縁層 4…有機薄膜層 5…第2の絶縁層 6…背面電極層 51…p型シリコン基板 52、53…n型ソース、ドレイン領域 54…ゲート酸化膜 55…有機薄膜層 56…ゲート電極 57、58…ソース、ドレイン電極 111…ガラス基板 112…A分子薄膜 113…錯体薄膜 114…D分子薄膜 121…多重光記録素子 122…信号割当て回路 123…多重光源 124…光学系 125…参照光源 126…分光検出器 127…走査回路 128…信号処理回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−202296(JP,A) 特開 平8−162692(JP,A) 特開 昭63−140434(JP,A) 特公 平7−70708(JP,B2) 特許3361928(JP,B2) 特許3150331(JP,B2) 特許2902029(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 51/00 G11B 7/24

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 交互積層型電荷移動錯体からなる有機薄
    膜を有する有機薄膜素子において、 有機薄膜がn種類のドナー分子D1 、…Dn とm種類の
    アクセプター分子A1 、…Am (ただし、nおよびmは
    n+m>2をみたす自然数)とを含有し、下記式 (D1 x1…(Dn xn−(A1 y1…(Am ym (ただし、xi (i=1〜n)はドナー分子Di のモル
    分率、yj (j=1〜m)はアクセプター分子Aj のモ
    ル分率であり、x1 +…+xn =1、y1 +…+ym
    1)で表される混晶を形成しており、 ドナー分子とアクセプター分子との組み合わせが、イオ
    ン性錯体結晶を形成する群と、中性錯体結晶を形成する
    群とからなることを特徴とする有機薄膜素子。
  2. 【請求項2】 交互積層型電荷移動錯体からなる有機薄
    膜を有する有機薄膜素子において、 有機薄膜がn種類のドナー分子D1 、…Dn とm種類の
    アクセプター分子A1 、…Am (ただし、nおよびmは
    n+m>2をみたす自然数)とを含有し、下記式 (D1 x1…(Dn xn−(A1 y1…(Am ym (ただし、xi (i=1〜n)はドナー分子Di のモル
    分率、yj (j=1〜m)はアクセプター分子Aj のモ
    ル分率であり、x1 +…+xn =1、y1 +…+ym
    1)で表される混晶を形成しており、 ドナー分子とアクセプター分子との組み合わせが、中性
    錯体結晶を形成する群と、ドナーDi のイオン化ポテン
    シャルIi とアクセプターAj の電子親和力Ejとの差
    i −Ej が4.1eV以下である群とからなることを
    特徴とする有機薄膜素子。
  3. 【請求項3】 交互積層型電荷移動錯体からなる有機薄
    膜を有する有機薄膜素子において、 有機薄膜がn種類のドナー分子D1 、…Dn とm種類の
    アクセプター分子A1 、…Am (ただし、nおよびmは
    n+m>2をみたす自然数)とを含有し、下記式 (D1 x1…(Dn xn−(A1 y1…(Am ym (ただし、xi (i=1〜n)はドナー分子Di のモル
    分率、yj (j=1〜m)はアクセプター分子Aj のモ
    ル分率であり、x1 +…+xn =1、y1 +…+ym
    1)で表される混晶を形成しており、 ドナー分子とアクセプター分子との組み合わせが、イオ
    ン性錯体結晶を形成する群と、ドナーDi のイオン化ポ
    テンシャルIi とアクセプターAj の電子親和力Ej
    の差Ii −Ej が4.1eV以上である群とからなるこ
    とを特徴とする有機薄膜素子。
  4. 【請求項4】 有機薄膜を有する有機薄膜素子におい
    て、有機薄膜が、ドナー分子とアクセプター分子(ドナ
    ー分子およびアクセプター分子の少なくとも一方は2種
    以上の分子種を含む)が交互に積層された、混晶をなす
    交互積層型電荷移動錯体からなり、ドナー分子とアクセ
    プター分子との組み合わせが、85K以上でイオン性錯
    体結晶を形成する群と、85K以上で中性錯体結晶を形
    成する群とからなることを特徴とする有機薄膜素子。
  5. 【請求項5】 イオン性錯体結晶および中性錯体結晶が
    いずれも交互積層型電荷移動錯体結晶であることを特徴
    とする請求項1記載の有機薄膜素子。
  6. 【請求項6】 イオン性錯体結晶が分離積層型錯体結晶
    であり、中性錯体結晶が交互積層型電荷移動錯体結晶で
    あることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜素子。
  7. 【請求項7】 有機薄膜を構成するドナーのイオン化ポ
    テンシャルの平均値をI、アクセプターの電子親和力の
    平均値をE、マーデルングエネルギーをEMとしたと
    き、I−E−|EM |の値が0.1eV以下であること
    を特徴とする請求項1記載の有機薄膜素子。
  8. 【請求項8】 混晶を形成する有機薄膜が、他の有機薄
    膜を挟んで積層されていることを特徴とする請求項1記
    載の有機薄膜素子。
  9. 【請求項9】 複数の有機薄膜が、2種以上の混晶から
    なることを特徴とする請求項8記載の有機薄膜素子。
  10. 【請求項10】 混晶を形成する有機薄膜が、絶縁層を
    挟んで積層されていることを特徴とする請求項1記載の
    有機薄膜素子。
  11. 【請求項11】 混晶を形成する有機薄膜の両面に、絶
    縁層および電極を有し、表示素子として用いられること
    を特徴とする請求項1記載の有機薄膜素子。
  12. 【請求項12】 シリコン基板と、シリコン基板中に形
    成されたソース・ドレイン領域と、ソース・ドレイン領
    域間のチャネル領域上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲ
    ート絶縁膜上に形成された、混晶を形成する有機薄膜を
    含む有機薄膜層と、有機薄膜層上に形成されたゲート電
    極とを有し、電界効果トランジスタとして用いられるこ
    とを特徴とする請求項1記載の有機薄膜素子。
  13. 【請求項13】 混晶を形成する有機薄膜の両面に、ド
    ナー分子からなる有機薄膜と、アクセプター分子からな
    る有機薄膜とを積層した3層構造の記録単位を有し、光
    記録素子として用いられることを特徴とする請求項1記
    載の有機薄膜素子。
  14. 【請求項14】 ドナー分子と、混晶錯体と、アクセプ
    ター分子の組み合わせが異なる3層構造の複数の記録単
    位を有し、多重光記録素子として用いられることを特徴
    とする請求項13記載の有機薄膜素子。
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