JP3397623B2 - インクジェット記録方法およびその方法を適用した記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法およびその方法を適用した記録装置

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JP3397623B2
JP3397623B2 JP07607697A JP7607697A JP3397623B2 JP 3397623 B2 JP3397623 B2 JP 3397623B2 JP 07607697 A JP07607697 A JP 07607697A JP 7607697 A JP7607697 A JP 7607697A JP 3397623 B2 JP3397623 B2 JP 3397623B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録方法およびその方法を適用した記録装置に関し、特に
記録画像の色表現性向上に貢献できるインクが用いられ
るインクジェット記録方法およびその方法を適用した記
録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は、種々な方式
により記録液であるインクを飛翔的液滴となして紙等被
記録材上に着弾させ、ドット記録を行うもので、非接触
式であるために低騒音で、しかも高密度高速記録が可能
なことと、特に普通紙等の被記録材に対しても現像や定
着などの格別な処理を要せず、装置としても量産に適し
廉価で得られることから近年ではその用途が広く普及し
つつある。殊に、オンデマンド型のインクジェット記録
装置はそのカラー化が容易で、しかも装置自体の小型
化、簡略化が可能なことから、将来の需要について有望
視されている。また、上述のようなカラー化の普及につ
れて、被記録材(以下では記録シートと呼ぶ)上に記録
される画像の色表現性がますます求められるようになっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者等
は、さきに、特願平6−259023号において、記録
液(以下ではインクという)に使用される染料や顔料な
どの色材および液媒体について提案を行い、熱を受けた
ときに増粘性を有する物質、さらに狭義には、転移温度
以上で熱可逆的にゲル化する感温性高分子、すなわち、
転移温度以上でゲル化し、転移温度未満に戻ると液体状
態に復帰してインクを使用可能とする感温性高分子や、
曇点を有する物質を含むインクを用いることで、記録シ
ート上にてその粘性を急激に高めるようになして、安定
した表面定着を行うことにより色表現性の向上が達成さ
れるようにした。また、その粘性を急激に高める一方法
として、記録シートを加熱制御することを提案した。
【0004】しかしながら、インクを吐出する記録ヘッ
ドと記録シートとの間の距離は数ミリ以下と極めて狭い
ために、上記のような記録シート加熱制御手段を用いる
だけでは、加熱された記録シートからの輻射熱が、対向
して記録動作中の記録ヘッドのインク吐出口周辺部に伝
達され、吐出口周辺部やインク液路内の温度上昇を招き
易い。特に、加熱制御された記録シートの対向位置で記
録ヘッドが長時間にわたって記録動作をしていると、吐
出口周辺部温度がインク中の熱を受けたときに増粘性を
有する物質や曇点を有する物質の反応温度にまで高めら
れてしまうことによって、吐出口周辺部やインク液路内
に上記の熱を受けたときに増粘性を有する物質がゲル化
して析出、または、曇点を有する物質がエマルジョンを
形成してインク粘度を上昇させ、インクの吐出を妨げる
ことがあった。
【0005】本発明の目的は、上述のような問題に着目
し、上述のインク使用のために記録シートが記録位置で
加熱されるものにおいて、記録ヘッドのインク吐出口周
辺部の温度上昇を、加熱された記録シート上に記録ヘッ
ドが存在する時間に基づいて判断すると共に吐出機能が
妨げられる前にその温度を低める動作を行うことによ
り、上記インクにより良好な記録画像が得られるように
するインクジェット記録方法およびその方法を適用した
記録装置を提案および提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明インクジェット記録装置は、被記録材を記
録位置に導き、記録後排出する搬送手段と、この搬送手
段により記録位置に導かれた被記録材を所定の温度範囲
加熱する加熱手段と、インクをインク吐出口から吐出
して記録を行う記録ヘッドと、この記録ヘッドが記録の
ために加熱された被記録材に対向する位置に存在する時
間を計時するヘッド存在計時手段と、記録ヘッドのイン
ク吐出口周辺部の温度が前記インク中の熱を受けたとき
に増粘性を有する物質および/または曇点を有する物質
の粘度が急上昇する温度を越えることにより、この記録
ヘッドの吐出機能が損われるのを防止するために、該
録ヘッドが前記加熱された被記録材に対向する位置に存
在する時間が所定時間に達したときに、前記加熱された
被記録材に対向しない位置へ前記記録ヘッドを移動させ
ることによって、前記存在時間を制御する制御手段と、
を具備することを特徴とするものである。
【0007】また、その装置によるインクジェット記録
方法は、記録装置に送給された被記録材を加熱し、前記
加熱された被記録材に記録ヘッドを対向させた状態で、
前記加熱された被記録材に向けて前記記録ヘッドのイン
ク吐出口からインクを吐出して記録動作を行う記録方法
において、前記記録動作中において、前記記録ヘッドの
インク吐出口の周辺部の温度が所定範囲となるように、
前記記録ヘッドが前記加熱された被記録材に対向する位
置に存在する時間を制御する制御工程を有し、 前記制御
工程では、前記記録動作中において、前記加熱された被
記録材に対向する位置における前記記録ヘッドの存在時
間が所定時間に達したときに、前記加熱された被記録材
に対向しない位置へ前記記録ヘッドを移動させることに
より、前記存在時間を制御することを特徴とするもので
ある。
【0008】この方法において、記録ヘッドのインク吐
出口周辺部の温度を所定範囲に制御するのに、記録ヘッ
ドが加熱された被記録材に対向する位置に存在する時間
を制御することによって、実現することができる。しか
し、例えば、冷却ファンやペルチェ素子により記録ヘッ
ドを冷却するように構成すれば、記録ヘッドが加熱され
た被記録材に対向する位置に存在し続けても、記録ヘッ
ドのインク吐出口周辺部の温度を所定範囲に制御するこ
とは可能である。
【0009】本発明によれば、加熱された被記録材上に
インクを吐出して記録を行うにあたり、被記録材の温度
を検出しつつ、一方では記録ヘッドが記録領域に存在す
る時間を計時し、記録ヘッドのインク吐出口周辺部温度
が吐出機能の妨げとなる前にインク吐出口周辺部を冷却
して記録を行うので、安定かつ色表現性の高い記録画像
を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を詳細か
つ具体的に説明するが、その説明に先立ち、本発明に適
用するインクの特性について述べておく。本発明に適用
するインクは、好ましくは、所定の温度範囲において熱
を受けたときに増粘性を有する物質および/または曇点
を有する物質を含むインクである。しかし、本発明はこ
れに限定されることなく、一般的な色剤と溶媒との組合
せを含むインクを使用する場合にも適用可能である。
【0011】本発明に用いる熱を受けたときに増粘性を
有する物質と曇点を有する物質について説明する。はじ
めに、熱を受けたときに増粘性を有する物質とは、典型
的には高分子であり、転移温度以下におけるインク中で
は溶解解離している水溶性高分子が、転移温度以上にな
ると高分子同士が会合すなわち1つの分子のように結合
を起こすことによってインクの粘度を増加させ、再び転
移温度未満になると前記会合が解除されてインクの粘度
を低下させる物質である。しかして、この時の高分子の
会合率は温度によって変化するため、転移温度以上での
インクの粘度は温度変化に応じて変化する。そして、こ
の会合した高分子を含むインクが所定の温度範囲に加熱
された被記録材であるシート上に着弾した時、会合した
高分子の粘度が高められるために記録シートの表面部分
に留まることになる。また、会合していない高分子は、
水性インク中に溶解しているため粘度が低くなり記録シ
ート内に浸透する。
【0012】よって、会合した高分子の割合が多いほ
ど、記録シート表面部分に留まる高分子が多くなり、こ
の会合した高分子に色材を結合させることで、記録シー
トの表面部分に密度の高い色材層を形成することができ
る。
【0013】また、この記録シート上に留まる高分子の
量を温度変化により変化させ、記録シートの表面部分の
色材層厚みを変化させることにより中間色の形成能力を
高め色再現性向上を達成させることが可能となる。
【0014】さらに、この増粘性を有する物質を用いる
ことで、インクが被記録材に浸透する程度をコントロー
ルすることができるので、インクの色材が被記録材の上
部に残るようにして発色性を高めることができるように
なる。
【0015】一方の曇点を有する物質とは、それ自身が
熱可逆的増粘性を有し、重量平均分子量が比較的低い分
子量であって挙動変化の速い界面活性剤である。また、
ここでいう曇点とは、透明であった溶液が温度の変化に
より曇りを生じる温度のことを意味する。しかして、曇
点以上でインクの粘度が温度変化に応じて変化する。こ
の特性を利用して、この界面活性剤を含有するインクは
熱可逆型の増粘性高分子を含有したインクと同じような
上記記録方法を用いることにより、記録シート表面部分
に密度の高い色材層を形成することができる。
【0016】以下に、本発明のインクジェット記録装置
に用いられるインクに好適な“熱を受けたときに増粘性
を有する物質の代表例として熱可逆型の増粘性高分子に
ついて説明する。
【0017】熱可逆型の増粘性高分子は、上述したよう
にその水溶液や水懸濁液等が一定の温度(転移温度)以
上のときに増粘し、かつ温度−粘度の関係が可逆的であ
る高分子であって、本発明で使用する上記高分子の好ま
しい具体例としては、窒素含有環を有する活性水素化合
物のアルキレンオキシド付加物のビニル系カルボン酸エ
ステル(a)を構成単位とし、かつこのビニル系カルボ
ン酸エステル(a)が50重量%以上含有されている水
溶性ビニル系重合体(A)等が挙げられ、さらに好まし
くは、上記ビニル系カルボン酸エステル(a)が、(置
換)モルホリンのエチレンオキシドおよび/またはプロ
ピレンオキシド1〜20モル付加物のメタクリル酸エス
テルまたはアクリル酸エステルである化合物等が挙げら
れる。
【0018】なお、上記窒素含有環を有する活性水素化
合物としては、窒素含有環とこれにアルキレンオキシド
が付加するための活性水素を有する化合物であり、例と
して、窒素含有脂環式化合物、例えばアジリジン環を有
するもの(アジリジン、2−メチルアジリジン等)、ピ
ロリジン環を有するもの(ピロリジン、2−メチルピロ
リジン、2−ピロリドン、スクシンイミド等)、ピペリ
ジン環を有するもの(ピペリジン、2−メチルピペリジ
ン、3,5−ジメチルピペリジン、2−エチルピペリジ
ン、4−ピペリジノピペリジン、4−ピロリジノピペリ
ジン、エチルピペコリネート等)、ピペラジン環を有す
るもの(1−メチルピペラジン、1−メチル−3−エチ
ルピペラジン、モルホリン環を有するもの;モルホリ
ン、2−メチルモルホリン、3,5−ジメチルモルホリ
ン等)、及びε−カプロラクタム、窒素含有不飽和環状
化合物(3−ピロリン、2,5−ジメチル−3−ピロリ
ン、2−ヒドロキシピリジン、4−ピリジルカルビノー
ル、2−ヒドロキシピリミジン等)等が挙げられる。
【0019】これらのうち、好ましいものは、窒素含有
脂環式化合物であり、さらに好ましくはピペリジン環を
有するものおよびモルホリン環を有するものであって、
最も好ましいものはモノホリン環を有するものである。
【0020】また、本発明におけるアルキレンオキシド
としてはエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブ
チレンオキシドが好適である。
【0021】さらにまた、かかる熱可逆型の増粘性高分
子の転移温度の調整には、アルキレンオキシドの種類や
その付加モル数を調節することで容易であり、例えば、
エチレンオキシドの場合は、付加モル数を多くすると転
移温度は上昇し、プロピレンオキシドやブチレンオキシ
ドの場合は付加モル数の増加で転移温度は低くなる。ア
ルキレンオキシドの付加モル数としては1〜20モルが
好ましく、より好ましくは1〜5モルである。
【0022】上記ビニル系カルボン酸エステル(a)
は、上述したアルキレンオキシド付加物とビニル系カル
ボン酸との混合エステルであり、ビニル系カルボン酸と
しては、メタクリル酸、アクリル酸(以下、これらを総
称して(メタ)アクリル酸と称す)、アクリル酸、マレ
イン酸、ビニル安息香酸、及びこれらの誘導体が好まし
く、特に好ましくは、(メタ)アクリル酸、及び(メ
タ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
【0023】さらに、上述の水溶性ビニル系重合体
(A)は、上記ビニル系カルボン酸エステル(a)の1
種類以上の重合体、または、ビニル系カルボン酸エステ
ル(a)の1種類以上と他のビニル系モノマー(b)と
の共重合体で、ビニル系カルボン酸エステル(a)の1
種類以上をその構成単位として50重量%以上含有すれ
ばよい。
【0024】他のビニル系ポリマー(b)としては、例
えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)ア
クリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリル
アミド、N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリ
ル酸、(無水)マレイン酸、スチレンスルホン酸、N,
N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,
N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、メ
チル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、グリシジル(メタ)アクリレート、N−ブチル(メ
タ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アク
リルアミド、(メタ)アクリルニトリル、スチレン、酢
酸ビニル、塩化ビニル、ブタジエン、イソプレン等が好
適である。
【0025】なお、水溶性ビニル系重合体(A)を構成
するモノマーでは、ビニル系カルボン酸エステル(a)
の構成比により、増粘の温度幅が変化する。そこでこの
温度幅をできる限り小さくするためには、ビニル系カル
ボン酸エステル(a)の構成比を、水溶性ビニル系重合
体(A)全体の好ましくは50重量%以上、より好まし
くは、70重量%以上であることが望ましい。
【0026】また、上記高分子を水溶液とした場合、一
定の転移温度までは温度上昇にともなって粘度は低下す
るが、転移温度を越えると高い勾配で粘度は上昇する。
その上、温度−粘度関係がヒステリシスをほとんど持た
ないのが特徴である。
【0027】また、転移温度は前述のように、熱可逆型
の増粘性高分子を構成するビニル系カルボン酸エステル
(a)中のアルキレンオキシドの種類や付加モル数を変
化させることで容易に任意の温度に調整できるため、温
度上昇特性がヘッド形態や記録方法等によって変化する
種々の記録ヘッドに適用可能である。
【0028】ただし、熱可逆型の増粘性高分子の転移温
度は、インク中の塩、界面活性剤、溶剤などの添加成分
の種類、量によって変化するので、適用するインクとし
てはその組成での転移温度を用いる必要がある。
【0029】また、本発明においては、インク中に添加
する熱可逆型の増粘性高分子の分子量および添加量をイ
ンクジェット記録用インク粘度の許容範囲内(20mP
a・s以下)に納める必要があるため、上記高分子の重
量平均分子量は2000以上50万以下の範囲が良い。
ただし、重量平均分子量が50万を越えると、分子鎖が
長くなりすぎ、再溶解速度が低下したり、曳糸性が出る
ので好ましくない。そこで、重量平均分子量が比較的低
分子量の範囲、例えば重量平均分子量が2000程度の
ような場合には、増粘効果が弱いので、その添加量を多
くする必要があり、好ましくは、2〜10重量%添加す
る。また、重量平均分子量が比較的高分子量の範囲、例
えば重量平均分子量が50万に近い場合には、少量の添
加で十分な増粘効果を示すため、好ましい添加量として
は、添加量を0.005〜5重量%である。つまり、熱
可逆型の増粘性高分子の好ましい添加量は、熱可逆型増
粘効果を最大限に引き出しつつ、かつ、インク全体の粘
度がインクジェット記録用インク粘度の許容範囲を越え
ないようにすることである。なお、本発明において、重
量平均分子量が異なる熱可逆型の増粘性高分子を混合使
用しても本発明の効果は十分に得られる。
【0030】また、本発明で使用する曇点を有する物質
とは、典型的には界面活性剤であり、この界面活性剤を
含有した水溶液や水懸濁液などが一定の温度(曇点T
c)以上で増粘して曇りを生じ、粘度の極大点温度Tp
を持ち、かつ、極大点温度Tp以上の温度では粘度が下
降する特性を有し、温度−粘度の関係が可逆的の界面活
性剤をいう。また、その界面活性剤としては、以下に示
す化合物が使用に好適である。(A)下記一般式(1)
に示される、高級アルコール−エチレンオキシド付加型
界面活性剤
【0031】
【化1】 R-O-(-CH2-CH2-O-)n-H …(1) (Rは炭素数8以上22以下のアルキル基、nは6以上
20以下の整数)(B)下記一般式(2)に示される、
プロピレングリコール−エチレンオキシド付加型界面活
性剤
【0032】
【化2】
【0033】(式中、mは20以上80以下の整数、n
は5以上200以上の整数)上記界面活性剤を水溶液と
した場合、曇点Tcまでは温度上昇にともなって粘度は
ほとんど変化せず一定であり、曇点Tcを越えると高い
勾配で粘度が上昇するが、さらに、温度を上昇させると
粘度の極大点温度Tpがあり、そのときの温度Tp以上
では粘度が下降し、その粘度の下降速度、すなわち再溶
解速度が増粘速度とほぼ等しく、温度−粘度関係がヒス
テリシスをほとんど持たない特徴がある。
【0034】また、曇点Tcは界面活性剤分子を構成す
るアルキレンオキシドの種類や付加モル数を変化させる
ことで、任意の温度に容易に調整できるため、温度上昇
特性が形態や記録方法などによって変化するような、種
々の記録ヘッドに適用可能である。
【0035】ただし、曇点Tcは併用する高分子、イン
ク中の塩、他の界面活性剤、溶剤などの添加成分の種
類、量によって変化するので適用するインク組成に応じ
た曇点Tcを利用するようにする。
【0036】本発明では、添加する界面活性剤の構成官
能基として、分子構造においてそのインクジェット記録
用インク粘度を許容範囲内(20mPa・s以下)に納
める必要があり、一般式(1)の界面活性剤では上述の
ようにRが炭素数8以上22以下のアルキル基、nが6
以上20以下の整数の範囲のものが好ましい。
【0037】さらに、一般式(2)の界面活性剤ではプ
ロピレングリコール部が疎水部として機能し、mは20
以上80以下の整数であり、親水部であるエチレンオキ
シドはnが5以上200以下(全分子中の10〜80w
t%)の整数の範囲のものが好ましい。
【0038】なお、エチレンオキシドの全分子中の比率
を上げていくと曇点Tcが上昇するので、エチレンオキ
シド比率、プロピレンオキシド比率を変えることで曇点
Tcを自由に設定可能である。
【0039】また、上記界面活性剤のインク中への添加
量は比較的その分子量が小さいため添加量範囲が広く設
定できるが、0.1〜10重量%の範囲が好ましい。
【0040】0.1重量下の場合は増粘効果が弱く、1
0重量%以上ではインクの粘度が高くなりすぎること
と、紙などへの浸透性が高くなりすぎて発色性を低下さ
せるので好ましくはない。
【0041】また、一般式(1),(2)に示す異なる
界面活性剤を混合使用してもそれぞれの曇点が近いもの
であれば本発明の効果は十分に得られる。
【0042】なお、以上に述べた化合物はそれぞれ単体
で使用してもよいし、また、混合して使用しても効果に
影響は与えない。
【0043】本発明のインクに用いる色材は公知のもの
でよく、以下に述べるような直接染料、酸性染料、塩基
性染料、反応性染料、食品用色素の水溶性染料、顔料、
又は、分散染料の不溶性色素を用いることができる。
【0044】例えば、水溶性染料としては、C.I.ダ
イレクトブラック,−17,−19,−22,−32,
−38,−51,−62,−71,−108,−14
6,−154;C.I.ダイレクトイエロー,−12,
−24,−26,−44,−86,−87,−98,−
100,−130,−142;C.I.ダイレクトレッ
ド,−1,−4,−13,−17,−23,−28,−
31,−62,−79,−81,−83,−89,−2
27,−240,−242,−243;C.I.ダイレ
クトブルー,−6,−22,−25,−71,−78,
−86,−90,−106,−199;C.I.ダイレ
クトオレンジ,−34,−39,−44,−46,−6
0;C.I.ダイレクトバイオレット,−47,−4
8;C.I.ダイレクトブラウン,−109;C.I.
ダイレクトグリーン,−59等の直接染料、C.I.ア
シッドブラック,−2,−7,−24,−26,−3
1,−52,−63,−112,−118,−168,
−172,−208;C.I.アシッドイエロー,−1
1,−17,−23,−25,−29,−42,−4
9,−61,−71;C.I.アシッドレッド,−1,
−6,−8,−32,−37,−51,−52,−8
0,−85,−87,−92,−94,−115,−1
80,−254,−256,−289,−315,−3
17;C.I.アシッドブルー,−9,−22,−4
0,−59,−93,−102,−104,−113,
−117,−120,−167,−229,−234,
−254;C.I.アシッドオレンジ,−7,−19;
C.I.アシッドバイオレット,−49等の酸性染料、
C.I.リアクティブブラック,−1,−5,−8,−
13,−14,−23,−31,−34,−39;C.
I.リアクティブイエロー,−2,−3,−13,−1
5,−17,−18,−23,−24,−37,−4
2,−57,−58,−64,−75,−76,−7
7,−79,−81,−84,−85,−87,−8
8,−91,−92,−93,−95,−102,−1
11,−115,−116,−130,−131,−1
32,−133,−135,−137,−139,−1
40,−142,−143,−144,−145,−1
46,−147,−148,−151,−162,−1
63;C.I.リアクティブレッド,−3,−13,−
16,−21,−22,−23,−24,−29,−3
1,−33,−35,−45,−49,−55,−6
3,−85,−106,−109,−111,−11
2,−113,−114,−118,−126,−12
8,−130,−131,−141,−151,−17
0,−171,−174,−176,−177,−18
3,−184,−186,−187,−188,−19
0,−193,−194,−195,−196,−20
0,−201,−202,−204,−206,−21
8,−221;C.I.リアクティブブルー,−2,−
3,−5,−8,−10,−13,−14,−15,−
18,−19,−21,−25,−27,−28,−3
8,−39,−40,−41,−49,−52,−6
3,−71,−72,−74,−75,−77,−7
8,−79,−89,−100,−101,−104,
−105,−119,−122,−147,−158,
−160,−162,−166,−169,−170,
−171,−172,−173,−174,−176,
−179,−184,−190,−191,−194,
−195,−198,−204,−211,−216,
−217;C.I.リアクティブオレンジ,−5,−
7,−11,−12,−13,−15,−16,−3
5,−45,−46,−56,−62,−70,−7
2,−74,−82,−84,−87,−91,−9
2,−93,−95,−97,−99;C.I.リアク
ティブバイオレット,−1,−4,−5,−6,−2
2,−24,−33,−36,−38;C.I.リアク
ティブグリーン,−5,−8,−12,−15,−1
9,−23;C.I.リアクティブブラウン,−2,−
7,−8,−9,−11,−16,−17,−18,−
21,−24,−26,−31,−32,−33等の反
応染料;C.I.ベーシックブラック,−2;C.I.
ベーシックレッド,−1,−2,−9,−12,−1
3,−14,−27;C.I.ベーシックブルー,−
1,−3,−5,−7,−9,−24,−25,−2
6,−28,−29;C.I.ベーシックバイオレッ
ト,−7,−14,−27;C.I.フードブラック,
−1,−2等が挙げられる。
【0045】なお、これら上記の色材の例は、本発明の
インクに対して特に好ましいものであるが、本発明のイ
ンクに使用する色材は上記色材に特に限定されるもので
はない。
【0046】また、以下に示すような顔料も本発明の効
果に影響を与えないので使用可能である。
【0047】すなわち、カーボンブラック(三菱化成製
のNo.2300,No.900,MCF88,No.
33,No.40,No.45,No.52,MA7,
MA8,#2200B,MA−100、コロンビヤカー
ボン社製Raven1255,Raven1060、キ
ャボット社製Regal3300R,Regal660
R,Mogul L、DEGUSSA社製Color
Black FW18,Printex35,Prin
tex Uなど)、のカーボンブラックの表面を酸化処
理、プラズマ処理したもの、不溶性アゾ系顔料、溶性ア
ゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系
高級顔料、キナクリドン系高級顔料、ジオキサンバイオ
レット、ペリノン・ペリレン系高級顔料などの有機顔
料、さらに、群青(ウルトラマリン)、紺青(プルシア
ンブルー)、チタニウムイエロー、モリブデンレッドな
どの無機顔料等が挙げられる。
【0048】さらに、上記顔料に分類される色材材料と
して、染料を体質顔料に染めつけた、いわゆる染色レー
キも本発明の色材として使用可能である。
【0049】この様な色材は、インク中において一般に
は、インク全量に対して約0.1〜25重量%を占める
割合で使用することが好ましい。
【0050】液媒体としては、水、及び必要に応じて水
溶性有機溶剤を使用する。
【0051】水溶性有機溶剤としては、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−
ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブ
チルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ペ
ンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミ
ド類、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまた
はケトール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ
ーテル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール等のポリアルキレングリコール類、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ブチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサント
リオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、
ジエチレングリコール等のアルキレングリコール類、エ
チレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメ
チルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテ
ル類、その他、グリセリン、N−メチル−2−ピロリド
ン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、モノエ
タノールアミン、トリエタノールアミン、スルホラン、
ジメチルサルフォキサイド、尿素、1,3−ビス(β−
ヒドロキシエチル)尿素などが挙げられる。
【0052】これら水溶性有機溶剤のインク中に占める
割合は特に制限はないが、一般的にはインク全量の1〜
80重量%、好ましくは2〜60重量%が好ましい範囲
である。
【0053】また、インク中の水の含有量は、上記溶剤
の種類や組成等に依存して広い範囲で決定されるが、一
般的にはインク全量に対して10.0〜98.0重量
%、好ましくは35.0〜95.0重量%の範囲で使用
される。
【0054】この他、本発明のインクは、インクの特性
を損なうことが無ければ必要に応じて、分散剤、粘度調
節剤、PH調節剤、防腐剤、酸化防止剤、湿潤剤、他の
界面活性剤などの添加剤を含有することもできるが、生
産コストを重視するならば用いる必要はない。なお、上
述の添加剤としては例えば、ポリビニルアルコール、セ
ルロース類、水溶性樹脂等の粘度調節剤、ジエタノール
アミン、トリエタノールアミン類等の表面張力調節剤、
緩衝液によるpH調節剤、防カビ剤などを挙げることが
できる。
【0055】さらに、本発明のインクは、25℃におけ
る粘度が1〜20mPa・s、表面張力が20mN/m
以上、pHが6〜10程度の物性を有するのが好まし
い。
【0056】以上のようなインクは、本発明にかかるイ
ンクジェット記録に用いられる際、色表現性を高めるた
めに効果的なものである。
【0057】続いて、上述したようなインクを用いてイ
ンクに吐出エネルギを供給し、インク滴を吐出させて記
録を行う本発明にかかるインクジェット記録ヘッドおよ
びインクジェット記録装置の構成例を図1〜図6を参照
しつつ説明する。なお、以下に例示するが、本発明のイ
ンクジェット記録装置の記録ヘッドは、熱エネルギーを
用いてインクを吐出する構成のヘッドばかりでなく、ピ
エゾ素子の運動エネルギーを用いてインクを吐出する構
成の記録ヘッドも使用可能である。
【0058】図1はそのインクジェット記録装置の構成
の一例を示す。ここで、1は記録ヘッドユニットであ
り、2は記録ヘッドユニット1を搭載し、サイド軸3に
沿って移動走査するキャリッジ、4はキャリッジ2に連
結され、キャリッジ2を移動させるタイミングベルト、
5はそのキャリッジ駆動モータである。不図示の記録シ
ートは送給部6から送給ローラ7によって送出され、記
録ヘッドユニット1のインク吐出面対向位置に導かれ
て、ここで記録が行われた上、キャリッジ2による1回
の主走査毎に搬送手段(不図示)によるシート送りがな
され、排出ローラ8によって装置外に排出される。
【0059】また、10は記録ヘッドユニット1の記録
ヘッドインク吐出面にかかわり記録ヘッドに対して吐出
機能の維持・回復を行う吐出回復部、11はそのインク
吐出面の掃拭を行うブレード部材、12はブレード部材
11によって拭き取られたインクを吸収保持するインク
吸収体、13はインク吐出面に接して、インクの蒸発を
抑制すると共に、昇温した記録ヘッドの吐出口周辺部の
熱をとったり、不図示の吸引手段によりインク吐出口か
ら排出されるインクを受け取るキャップ部材である。な
お、キャップ部材13としては後述するようにヘッド冷
却に好適なように吸熱性の高い材料によって形成される
ことが望ましい。かくして、ブレード部材11、インク
吸収体12およびキャップ部材13によって構成される
吐出回復部10により記録ヘッドのインク吐出口面に付
着したインクやごみ等あとの記録の妨げとなるものを清
掃除去すると共に、増粘インクの吸引による回復動作が
行われ、また、後述するようにインク吐出口周辺部の冷
却にも貢献する。
【0060】20は記録シートを記録位置に保持するプ
ラテンである。本例では記録シートを記録位置で加熱す
ることにより記録シート上に吐出された上述のインク中
に含まれる高分子同士を会合させると共に浸透溶材を蒸
発させて、色材層の厚さを変化させ、色表現性の向上を
図るようにしている。そこで、かかる加熱温度としては
インク中の熱可逆型の増粘性高分子および/または曇点
を有する界面活性剤の転移温度もしくは曇点以上かつ被
記録材が変質するような温度未満の範囲に保持する必要
がある。ここで述べる被記録材が変質する温度とは、被
記録材が熱により黄変したり変形したりする温度のこと
である。このような加熱手段としては、例えばプラテン
20自体若しくはその裏面側にシート加熱部(ここでは
不図示)を設けることにより記録開始指令と同時にシー
ト加熱部を作動し、記録シートを所定の温度範囲に加熱
する。なお、このようなシート加熱部としては、サーマ
ルヘッド、赤外線ヒータ、ランプヒータ、ヒータ用コイ
ル等適切に温度制御が可能なものであれば、どのような
形態のものであってもよい。前記所定の温度範囲は、プ
ラテン上にセラミックヒータを設けて、直接記録シート
を加熱する場合は、例えば、25℃〜200℃、記録媒
体を空気を介して遠赤外線ヒータにより加熱する場合
は、例えば、25℃〜80℃である。
【0061】図2は記録ヘッドユニット1に組込まれる
インクカートリッジ31の構成例を示す。インクカート
リッジ31はその筐体32内に可撓性材料例えばインク
に直接触れる内面がポリオレフィン好ましくはポリエチ
レン等で形成され、内部にインクを収容するインク袋3
3と逆に記録ヘッド側から排出されたインクを収容する
廃インク吸収体34とを保持するものである。また、3
5はインク袋33と一体に形成され、インク袋33から
インクを記録ヘッド側に供給するための栓体であり、例
えば弾性体で形成されていて、この栓体35に針状の供
給口(不図示)が差し込まれることで記録ヘッド側に接
続され、インクを供給することができる。なお、インク
カートリッジはこのようなものに限らず、記録ヘッド部
41とインク収容部(インクタンク部)42とが一体に
構成される図3に示すようなものもある。この図に示す
記録ヘッドユニット1において、43はその内部のイン
クタンク部42に連通する大気連通口である。
【0062】続いて、記録ヘッド部41の構成を図4に
従って説明する。図4においてその(B)は(A)のA
−A′断面図でありその(C)は外観の概要を示す。図
4の(A)に示すように記録ヘッド部41は、発熱素子
基板44上に設けられる液路45と液路45内のインク
46に吐出エネルギとして熱エネルギを発生する発熱素
子47と、液路45上を覆蓋する天板48とで構成され
るもので、49はインク吐出口、46Aはインク吐出口
49から吐出され記録シートPに向けて飛翔するインク
滴である。なお、発熱素子基板44は酸化シリコン,窒
化シリコン,炭化シリコン等で形成される保護層44
A、アルミニウム,金,アルミニウム−銅合金等で形成
される電極44B、HfB2 ,TaN,TaAl等の高
融点材料で形成される発熱抵抗体層44C、熱酸化シリ
コン,酸化アルミニウム等で形成される蓄熱層44Dお
よびシリコン,アルミニウム,窒化アルミニウム等放熱
性の良い材料で形成される基板材44Eによって構成さ
れている。
【0063】図5は力学的な吐出エネルギ発生素子とし
て圧電素子を用いた記録ヘッド部41の構成例を示す。
ここで、50は圧電素子、51は圧電素子50の伸縮に
応じて振動する振動板、52は基体、53は基体52に
形成され圧電素子50の伸縮による振動板51の変位を
許容するための空間、54はインク吐出口46が形成さ
れているオリフィスプレートであり、オリフィスプレー
ト54はステンレスやニッケル等の金属材料で形成され
ていて、複数のインク吐出口46が穿設されている。ま
た、振動板51はステンレス,ニッケル,チタンなどの
金属フィルムや高弾性樹脂フィルム等で形成される。一
方、圧電素子50はチタン酸バリウム,PZTなどの誘
電材料で形成されるものである。なお、液路45は不図
示の共通液室に連通しており、これらは感光性樹脂材な
どを用いた公知の半導体技術により作製される。
【0064】このような構成になる記録ヘッド部41で
は、各液路45の吐出口46対向位置に配設されている
圧電素子50がパルス状電圧の駆動信号により選択的に
駆動されて、発生するひずみ応力により振動板51を変
位させる。そして、その変位によって液路45内のイン
クを加圧し、インク吐出口46からインク滴となして吐
出させるものである。
【0065】なお、以上に述べたインクジェット記録装
置では、基本的構成のみで、カラー記録にかかる構成に
ついては述べなかったが、公知のカラー記録装置として
構成可能なものである。
【0066】ついで、本発明にかかる記録制御用の回路
構成を図6に示す。61はその制御部、62は本発明に
かかる制御を含め種々の制御用プログラムが格納されて
いる記録装置ROM、63は記録データ等が一時格納さ
れるリフレッシュ可能な記録装置RAMである。また、
制御部61はドライバ64を介してキャリッジ駆動モー
タ5や搬送モータ等のモータ類65を駆動すると共にヘ
ッドドライバ66を介して記録ヘッド部41を駆動し、
記録を行う。
【0067】67は記録位置に保持される記録シートP
を所定の温度範囲に加熱する記録シート加熱手段、68
は加熱された記録シートの温度を検出する記録シート温
度検出手段、さらにまた、69は記録ヘッド部41が記
録シート加熱手段67により加熱された状態の記録シー
トPに沿って記録を継続する時間(存在時間)を計時す
る手段(以下でヘッド存在計時手段という)である。な
お、ヘッド存在計時手段69としては、記録シート加熱
手段67の設置領域に沿って記録ヘッドにより継続して
記録が行われる時間を計時するものであれば良い。
【0068】70はヘッド冷却手段であり、ヘッド冷却
手段70としては図1に示したヘッド回復部10による
インク吸収動作を利用してもよく、その冷却動作につい
てはさらに後で詳述する。なお、記録シート加熱手段6
7は、先に図1の説明のところで述べたように例えば記
録シートを保持するプラテン20自体またはその裏面側
に配設されたものである。
【0069】
【実施例】続いて、本発明の実施例について述べること
とする。なお、下記に示す表1および表2は、実施例に
適用したインク中の熱可逆型増粘特性を有する高分子お
よび効果的に増粘を可能とする曇点を有する界面活性剤
の例を示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】なお、インクの作成手順は、あらかじめ適
切な濃度(10〜40%)の高分子イオン交換水水溶液
をそれぞれ調製しておいて、以下に述べる方法で作成し
た。すなわち、それぞれ、高分子水溶液にイオン交換
水、溶剤、染料水溶液、および曇点を有する界面活性剤
をその順に攪拌しながら添加し、各組成物の所定の濃度
に調製し、3時間攪拌した後、ポアサイズ0.45μm
のメンブレンフィルターで濾過して、表3に示す例1〜
7のインクを作製した。
【0073】
【表3】
【0074】まず、比較例として、上記の表3に示すイ
ンクを用いて記録シートを加熱して記録を行う従来の手
順を、図7に示す。従来は、このフローに示すように記
録開始の信号によって、まずステップS101で被記録
材(記録シート)を記録シート加熱手段67によって加
熱し、ステップS102でその記録シートに対する連続
記録が終了したか否かを判断するだけで、記録の終了を
待つまで記録ヘッドによる記録が継続された。しかし、
このような方法では本発明に適用するインクの安定した
色表現性を十分に具現化することができない場合があっ
たことは、先に述べた通りである。
【0075】図8は本実施例による制御動作の手順を示
す。まず、記録開始指令(または電源投入)に応じてス
テップS1で記録シート加熱手段67によるシート加熱
を行い、ステップS2で記録シートの温度を温度検出手
段68により検出する。なお、記録シート自体の温度を
検出する代りに記録シート加熱手段67自体の加熱温度
を検出するようにしてもよい。かくして、記録シートを
インク中の熱を受けたときに増粘性を有する物質(熱可
逆型の増粘性高分子)および/または曇点を有する界面
活性剤の転移温度もしくは曇点以上かつ被記録材が変質
する温度未満の温度範囲に保持し、続いてステップS3
に進み、本実施例で使用するインクの特性に応じて許容
される記録ヘッド存在時間を例えばテーブルから読み出
して設定する。かくして、ステップS4においてキャリ
ッジ3を駆動してその主走査中に記録を行うと共に、記
録ヘッド部1が加熱された記録シート49の対向位置に
ある時間をヘッド存在計時手段69により計時する。
【0076】なお、その計時にあたっては、連続走査回
数を走査中のキャリッジ速度および加速度に基づいて算
出可能であるが、一般には走査方向の切換え時での待ち
時間を含めて連続的に記録が行われている時間に複数の
シート送り回数が行われる時間を含めてタイマにより計
時されるようにすればよく、その計時手段としては本発
明の要旨から逸脱しない限りどのような手段であっても
よい。
【0077】そして、次のステップS5でヘッド存在計
時手段69により計時された存在時間がステップS3で
設定された時間に到達したか否かを判断し、否定の判断
であれば到達する迄走査を継続する。また、存在時間が
設定時間に到達したとの判断の場合は、これ以上記録ヘ
ッドによる記録を継続したのでは記録ヘッドのインク吐
出口周辺部に感温ゲル化高分子が析出して記録を妨げる
おそれがあるので、ステップS6に進みキャリッジ3を
駆動して記録ヘッドユニット1をキャップ部材13の対
向位置に導く。かくして、キャップ部材13によりイン
ク吐出口面を覆蓋することでインク吐出口周辺部を冷却
する。あるいは、さらに吸引手段によるインク吸引回復
動作を行うことで、あらたなインクを各液路に導き、イ
ンク吐出口周辺部を冷却するようにしてもよい。
【0078】また、ステップS6で、インク吸引回復動
作にかえて記録ヘッド部41を駆動することにより全イ
ンク吐出口49からインクを吐出させる予備吐出を行
い、その吐出によって、昇温したインクを記録ヘッドか
ら排出することでインク吐出口周辺部を冷却するように
してもよい。かくして、ステップS7に進み、ここでイ
ンク吐出口周辺部の温度が許容値、つまりインク中の高
分子が析出しない温度となったか否かを判断し、その温
度低下を待つ。ただし、ステップS6からステップS8
への動作の間、被記録材への加熱を中断するか、ステッ
プS6からステップS8への動作時間を短時間で行うこ
とが必要である。もし、これらを行わなければ、被記録
材への熱が蓄積され、それにより被記録材が変質するお
それがあるからである。ステップS8では記録を終了し
たか否かを判断し、記録が終了していなければステップ
S2に戻って以下のステップを繰返えす。また、ステッ
プS8で記録終了との判断であれば、この制御のフロー
を終了する。
【0079】表4に上述のインクを用い、さらに上述の
手順に従って記録を行った場合の性能評価を示す。な
お、その評価にあたっては、被験者10人によるパネル
テストを行い、記録開始から終了まで記録品位を損うこ
との無かったと10人中全員が評価したものを「○」、
記録品位が少しでも低下したと10人中1人でも評価し
た場合は「△」とした。また、記録シート加熱手段とし
ては、記録シートの表面温度が1〜7の各例のインク中
に含まれる界面活性剤の曇点Tcとなるようにその温度
を調整した。また、プラテン20に組込まれる加熱手段
から記録シート表面迄の距離を0.5mmとし、記録シ
ートには事務用標準紙である電子写真用NP紙(キヤノ
ン販売(株):カタログ名Lot No.OKK10)
を使用した。
【0080】
【表4】
【0081】なお、上述の実施例においては、インクと
して所定の温度範囲において熱を受けたときに増粘性を
有する物質および/または曇点を有する物質を含むイン
クを使用した場合について説明したが、本発明はこれに
限定されることなく、一般的な色剤と溶媒との組合せを
含むインクを使用する場合にも適用可能である。すなわ
ち、このような一般的なインクを使用した場合であって
も、本発明によればインク吐出口周りの温度上昇を、吐
出機能が妨げられる前に抑制するように制御できる。よ
って、長時間インクの吐出が行われない吐出口があった
としても、昇温によりインク中の溶媒の蒸発が促進され
て粘性が高まりインクの流動性が低くなって吐出しにく
い状況ひいては不吐出が生じるおそれを低減することが
できる。
【0082】(その他)なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が
達成できるからである。
【0083】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐
出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第4463359号明細書,同第
4345262号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第4313124号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。
【0084】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書,米国特許第44
59600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭59−138461号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。
【0085】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0086】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0087】また、本発明に記録装置の構成として設け
られる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助
手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できる
ので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれ
ば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニ
ング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれと
は別の加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱
手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行な
うことも安定した記録を行なうために有効である。
【0088】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本
発明は極めて有効である。
【0089】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するもの、あるいはインクジェット方式ではイ
ンク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を
行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制
御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時に
インクが液状をなすものであればよい。加えて、積極的
に熱エネルギによる昇温をインクの固形状態から液体状
態への状態変化のエネルギとして使用せしめることで防
止するか、またはインクの蒸発防止を目的として放置状
態で固化するインクを用いるかして、いずれにしても熱
エネルギの記録信号に応じた付与によってインクが液化
し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達す
る時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エネ
ルギによって初めて液化する性質のインクを使用する場
合も本発明は適用可能である。このような場合のインク
は、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60
−71260号公報に記載されるような、多孔質シート
凹部または貫通孔に液状又は固形物として保持された状
態で、電気熱変換体に対して対向するような形態として
もよい。本発明においては、上述した各インクに対して
最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するもの
である。
【0090】さらに加えて、本発明の液体噴射記録ヘッ
ドを使用する記録機構を備えた記録装置の形態として
は、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末とし
て用いられるものの他、リーダ等と組合せた複写装置、
さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を
採るもの等であってもよい。
【0091】図9は本発明の記録装置をワードプロセッ
サ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ装置、複写
装置としての機能を有する情報処理装置に適用した場合
の概略構成を示すブロック図である。
【0092】図中、1801は装置全体の制御を行なう
制御部で、マイクロプロセッサ等のCPUや各種I/O
ポートを備え、各部に制御信号やデータ信号等を出力し
たり、各部よりの制御信号やデータ信号を入力して制御
を行なっている。1802はディスプレイ部で、この表
示画面には各種メニューや文書情報およびイメージリー
ダ1807で読み取ったイメージデータ等が表示され
る。1803はディスプレイ部1802上に設けられた
透明な感圧式のタッチパネルで、指等によりその表面を
押圧することにより、ディスプレイ部1802上での項
目入力や座標位置入力等を行なうことができる。
【0093】1804はFM(Frequency M
odulation)音源部で、音楽エディタ等で作成
された音楽情報をメモリ部1810や外部記憶装置18
12にデジタルデータとして記憶しておき、それらメモ
リ等から読み出してFM変調を行なうものである。FM
音源部2804からの電気信号はスピーカ部1805に
より可聴音に変換される。プリンタ部1806はワード
プロセッサ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ装
置、複写装置の出力端末として、本発明記録装置が適用
されたものである。
【0094】1807は原稿データを光電的に読取って
入力するイメージリーダ部で、原稿の搬送経路途中に設
けられており、ファクシミリ原稿や複写原稿の他各種原
稿の読取りを行なう。1808はイメージリーダ部18
07で読取った原稿データのファクシミリ送信や、送ら
れてきたファクシミリ信号を受信して復号するファクシ
ミリ(FAX)の送受信部であり、外部とのインターフ
ェース機能を有する。1809は通常の電話機能や留守
番電話機能等の各種電話機能を有する電話部である。
【0095】1810はシステムプログラムやマネージ
ャプログラムおよびその他のアプリケーションプログラ
ム等や文字フォントおよび辞書等を記憶するROMや、
外部記憶装置1812からロードされたアプリケーショ
ンプログラムや文書情報さらにはビデオRAM等を含む
メモリ部である。
【0096】1811は文書情報や各種コマンド等を入
力するキーボード部である。
【0097】フロッピィディスクやハードディスク等を
記憶媒体とする外部記憶装置で、この外部記憶装置18
12には文書情報や音楽或は音声情報、ユーザのアプリ
ケーションプログラム等が格納される。
【0098】図10は図9に示す情報処理装置の模式的
外観図である。
【0099】図中、1901は液晶等を利用したフラッ
トパネルディスプレイで、各種メニューや図形情報およ
び文書情報等を表示する。このディスプレイ1901上
にはタッチパネル1803の表面を指等で押圧すること
により座標入力や項目指定入力を行なうことができる。
1902は装置が電話器として機能するときに使用され
るハンドセットである。キーボード1903は本体と脱
着可能にコードを介して接続されており、各種文書情報
や各種データ入力を行なうことができる。また、このキ
ーボード1903には各種機能キー1904等が設けら
れている。1905は外部記憶装置212へのフッピー
ディスクの挿入口である。
【0100】1906はイメージリーダ部1807で読
取られる原稿を戴置する用紙戴置部で、読取られた原稿
は装置後部より排出される。またファクシミリ受信等に
おいては、インクジェットプリンタ1907より記録さ
れる。
【0101】なお、上記でディスプレイ部1802はC
RTでもよいが、強誘電性液晶を利用した液晶ディスプ
レイ等のフラットパネルが望ましい。小型、薄型化に加
え軽量化が図れるからである。
【0102】上記情報処理装置をパーソナルコンピュー
タやワードプロセッサとして機能する場合、キーボード
部211から入力された各種情報が制御部1801によ
り所定のプログラムに従って処理され、プリンタ部18
06に画像として出力される。
【0103】ファクシミリ装置の受信機として機能する
場合、通信回線を介してFAX送受信部1808から入
力したファクシミリ情報が制御部1801により所定の
プログラムに従って受信処理され、プリンタ部1806
に受信画像として出力される。
【0104】また、複写装置として機能する場合、イメ
ージリーダ部1807によって原稿を読取り、読取られ
た原稿データが制御部1801を介してプリンタ部18
06に複写画像として出力される。なお、ファクシミリ
装置の受信機として機能する場合、イメージリーダ部1
807によって読取られた原稿データは、制御部180
1により所定のプログラムに従って送信処理された後、
FAX送受信部1808を介して通信回線に送信され
る。
【0105】なお、上述した情報処理装置は図11に示
すようにインクジェットプリンタを本体に内蔵した一体
型としてもよく、この場合は、よりポータブル性を高め
ることが可能となる。同図において、図10と同一機能
を有する部分には、対応する符号を付す。
【0106】以上説明した多機能型情報処理装置に本発
明の記録装置を適用することによって、高品位の記録画
像を高速かつ低騒音で得ることができるため、上記情報
処理装置の機能をさらに向上させることが可能となる。
【0107】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明インク
ジェット記録方法およびその方法を適用した記録装置に
よれば、記録装置に送給された被記録材をインク中の熱
を受けたときに増粘性を有する物質および/または曇点
を有する物質の転移温度もしくは曇点以上かつ被記録材
が変質する温度未満の温度範囲に加熱し、この所定の温
度範囲において熱を受けたときに増粘性を有する物質お
よび/または曇点を有する物質を含むインクを、記録ヘ
ッドのインク吐出口から記録装置に送給された被記録材
に向けて吐出して記録を行い、この記録ヘッドのインク
吐出口周辺部の温度が加熱された被記録材からの輻射熱
による温度上昇により、記録ヘッドの吐出状態が、損わ
れるのを抑制するように前記記録ヘッドのインク吐出口
周辺部の温度を所定の範囲に制御するので、記録ヘッド
のインク吐出口周辺部に、例えば過度の昇温によって高
分子等がゲル化して析出したり増粘付着するのを防止
し、本発明にかかるインクの特性を十分に発揮させて色
表現性の高い記録を得ることができる。
【0108】特に、電子写真用紙のような事務用普通紙
を使用して、高発色が得られ、フェザーリングや混色を
防止することができる。
【0109】さらにまた、普通紙以外の被記録材に対し
てもその表面の粗さの影響を受けることなく、十分な定
着が得られるように記録することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用が可能なインクジェット記録装置
の構成例を示す斜視図である。
【図2】本発明の適用が可能なインクカートリッジの構
成例を示す断面図である。
【図3】本発明の適用が可能な記録ヘッドユニットの構
成例を示す斜視図である。
【図4】本発明の適用が可能な記録ヘッド部の構成例を
断面図(A)、(A)のA−A′線断面図(B)および
外観の斜視図(C)によって示す説明図である。
【図5】本発明の適用が可能な記録ヘッド部の他の構成
例を示す断面図である。
【図6】本発明にかかる制御用回路の構成を示すブロッ
ク図である。
【図7】従来例による記録時の制御動作の手順を示すフ
ローチャートである。
【図8】本発明の実施例による記録時の制御動作の手順
を示すフローチャートである。
【図9】本発明の記録装置を情報処理装置に適用した場
合の概略構成を示すブロック図である。
【図10】図9に示す情報処理装置の一例を示す模式的
外観図である。
【図11】図9に示す情報処理装置のインクジェットプ
リンタを本体に内蔵した構成例の模式的外観図である。
【符号の説明】
1 記録ヘッドユニット 2 キャリッジ 5 キャリッジ駆動モータ 10 吐出回復部 11 ブレード部材 13 キャップ部材 20 プラテン 41 記録ヘッド部 47 発熱素子 49 インク吐出口 P 被記録材(記録シート) 50 圧電素子 51 振動板 61 制御部 62 ROM 63 RAM 67 記録シート加熱手段 68 記録シート温度検出手段 69 ヘッド存在計時手段 70 ヘッド冷却手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 133/14 B41J 3/04 101Z 171/02 101Y 102Z (72)発明者 木村 勲 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−258590(JP,A) 特開 平3−178442(JP,A) 特開 平8−39884(JP,A) 特開 平6−171074(JP,A) 特開 平6−171075(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/05 B41J 2/01 B41J 2/175 B41M 5/00 C09D 11/00 C09D 133/14 C09D 171/02

Claims (25)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録装置に送給された被記録材を加熱
    し、 前記加熱された被記録材に記録ヘッドを対向させた状態
    で、前記加熱された被記録材に向けて前記 記録ヘッドの
    インク吐出口からインクを吐出して記録動作を行う記録
    方法において、前記記録動作中において、前記記録ヘッドのインク吐出
    口の周辺部の温度が所定範囲となるように、前記記録ヘ
    ッドが前記加熱された被記録材に対向する位置に存在す
    る時間を制御する制御工程を有し、 前記制御工程では、前記記録動作中において、前記加熱
    された被記録材に対向する位置における前記記録ヘッド
    の存在時間が所定時間に達したときに、前記加熱された
    被記録材に対向しない位置へ前記記録ヘッドを移動させ
    ることにより、前記存在時間を制御する ことを特徴とす
    るインクジェット記録方法。
  2. 【請求項2】 前記インクは、前記所定の温度範囲にお
    いて熱を受けたときに増粘性を有する物質および/また
    は曇点を有する物質を含むことを特徴とする請求項1に
    記載のインクジェット記録方法。
  3. 【請求項3】 前記記録ヘッドが熱エネルギーを用いて
    吐出駆動する構造の記録ヘッドであって、前記記録ヘッ
    ドのインク吐出口周辺部の温度が、インクの吐出駆動に
    伴う発熱によっても上昇することを特徴とする請求項1
    または2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 【請求項4】 前記制御工程では、前記加熱された被記
    録材に対向する位置における前記記録ヘッドの存在時間
    が所定時間に達したとき、前記加熱された被記録材に対
    向しない位置へ前記記録ヘッドを移動させることにより
    記録を中断させ、前記記録ヘッドのインク吐出口周辺部
    が許容温度となったら記録を再開させることを特徴とす
    る請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット
    記録方法。
  5. 【請求項5】 前記加熱された被記録材に対向する位置
    おける前記記録ヘッドの存在時間が、前記インク中の
    熱を受けたときに増粘性を有する物質および/または曇
    点を有する物質の粘度が急上昇する温度にまで前記記録
    ヘッドのインク吐出口周辺部の温度が上昇する時間に達
    したときに、該記録ヘッドのインク吐出口面を吸熱性の
    高い材料でキャッピングして冷却することを特徴とする
    請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  6. 【請求項6】 前記加熱された被記録材に対向する位置
    おける前記記録ヘッドの存在時間が、前記インク中の
    熱を受けたときに増粘性を有する物質および/または曇
    点を有する物質の粘度が急上昇する温度にまで前記記録
    ヘッドのインク吐出口周辺部の温度が上昇する時間に達
    したときに、該記録ヘッドのインク吐出口面をキャッピ
    ングした後、温度上昇していない前記インクを前記イン
    ク吐出口から吸引および/または吐出させることによ
    り、該インク吐出口周辺部を冷却することを特徴とする
    請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  7. 【請求項7】 前記記録ヘッドが前記加熱された被記録
    材に対向する位置に存在していない間、前記被記録材を
    加熱する動作を中断することを特徴とする請求項4に
    載のインクジェット記録方法。
  8. 【請求項8】 前記熱を受けたときに増粘性を有する物
    質が、その水溶液や水懸濁液が一定の温度以上のときに
    増粘するとともに温度と粘度との関係が可逆的である熱
    可逆型の増粘性高分子であることを特徴とする請求項
    2、5、6のいずれかに記載のインクジェット記録方
    法。
  9. 【請求項9】 前記熱可逆型の増粘性高分子は、窒素含
    有環を有する活性水素化合物のアルキレンオキシド付加
    物であるビニル系カルボン酸エステルを、50重量%以
    上含有する水溶性ビニル系重合体であることを特徴とす
    る請求項8に記載のインクジェット記録方法。
  10. 【請求項10】 前記曇点を有する物質は、非イオン型
    界面活性剤であることを特徴とする請求項2、5、6
    いずれかに記載のインクジェット記録方法。
  11. 【請求項11】 前記被記録材が加熱制御される前記所
    定の温度範囲は、前記熱を受けたときに増粘性を有する
    物質および/または曇点を有する物質の転移温度もしく
    は曇点以上かつ被記録材が変質する温度未満の温度範囲
    となるように、前記被記録材の温度を制御することを特
    徴とする請求項2、5、6、8〜10のいずれかの項に
    記載のインクジェット記録方法。
  12. 【請求項12】 前記インクの温度は、前記記録ヘッド
    から吐出されるまで前記熱を受けたときに増粘性を有す
    る物質および/または曇点を有する物質の転移温度もし
    くは曇点未満であることを特徴とする請求項11に記載
    のインクジェット記録方法。
  13. 【請求項13】 前記記録ヘッドは、力学的エネルギを
    作用して前記インクを前記インク吐出口からインク滴と
    して吐出させることを特徴とする請求項1、2、4ない
    し12のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  14. 【請求項14】 被記録材を記録位置に導き、記録後排
    出する搬送手段と、 該搬送手段により前記記録位置に導かれた被記録材を所
    定の温度範囲に加熱する加熱手段と、 インクをインク吐出口から吐出して記録を行う記録ヘッ
    ドと、 該記録ヘッドが記録のために前記加熱された被記録材に
    対向する位置に存在する時間を計時するヘッド存在計時
    手段と、 該記録ヘッドのインク吐出口周辺部の温度が前記インク
    中の熱を受けたときにインクの粘度が急上昇する温度を
    越えることにより、該記録ヘッドの吐出機能が損われる
    のを防止するために、該記録ヘッドが前記加熱された
    記録材に対向する位置に存在する時間が所定時間に達し
    たときに、前記加熱された被記録材に対向しない位置へ
    前記記録ヘッドを移動させることによって、前記存在時
    間を制御する制御手段と、 を具備することを特徴とするインクジェット記録装置。
  15. 【請求項15】 前記インクは、前記被記録材に向けて
    熱を受けたときに増粘性を有する物質/または曇点を有
    する物質を含むことを特徴とする請求項14に記載のイ
    ンクジェット記録装置。
  16. 【請求項16】 記録時における前記記録ヘッドの前記
    加熱された被記録材に対向する位置に存在する時間が、
    前記インク中の熱を受けたときに増粘性を有する物質お
    よび/または曇点を有する物質の粘度が急上昇する温度
    にまで前記記録ヘッドのインク吐出口周辺部の温度が上
    昇する時間に達したときに、該記録ヘッドのインク吐出
    口面を吸熱性の高い材料でキャッピングして冷却するこ
    とを特徴とする請求項15に記載のインクジェット記録
    装置。
  17. 【請求項17】 記録時における前記記録ヘッドの前記
    加熱された被記録材に対向する位置に存在する時間が、
    前記インク中の熱を受けたときに増粘性を有する物質お
    よび/または曇点を有する物質の粘度が急上昇する温度
    にまで前記記録ヘッドのインク吐出口周辺部の温度が上
    昇する時間に達したときに、該記録ヘッドのインク吐出
    口面をキャッピングした後、温度上昇していない前記イ
    ンクを、前記インク吐出口から吸引および/または吐出
    させることにより、該インク吐出口周辺部を冷却するこ
    とを特徴とする請求項15に記載のインクジェット記録
    装置。
  18. 【請求項18】 前記インクは染料や顔料などの色材と
    液媒体を含むことを特徴とする請求項14ないし17の
    いずれかに記載のインクジェット記録装置。
  19. 【請求項19】 前記熱を受けたときに増粘性を有する
    物質が、その水溶液や水懸濁液が一定の温度以上のとき
    に増粘するとともに温度と粘度との関係が可逆的である
    熱可逆型の増粘性高分子であることを特徴とする請求項
    15ないし18のいずれかに記載のインクジェット記録
    装置。
  20. 【請求項20】 前記熱可逆型の増粘性高分子は、窒素
    含有環を有する活性水素化合物のアルキレンオキシド付
    加物であるビニル系カルボン酸エステルを50重量%以
    上含有する水溶性ビニル系重合体であることを特徴とす
    る請求項19に記載のインクジェット記録装置。
  21. 【請求項21】 前記曇点を有する物質は、非イオン型
    界面活性剤であることを特徴とする請求項15ないし2
    0のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  22. 【請求項22】 前記被記録材が加熱される前記所定の
    温度範囲は、前記熱を受けたときに増粘性を有する物質
    および/または曇点を有する物質の転移温度もしくは曇
    点以上かつ被記録材が変質する温度未満であることを特
    徴とする請求項15ないし21のいずれかに記載のイン
    クジェット記録装置。
  23. 【請求項23】 前記インクの温度は前記記録ヘッドか
    ら吐出されるまで前記熱を受けたときに増粘性を有する
    物質および/または曇点を有する物質の転移温度もしく
    は曇点未満であることを特徴とする請求項22に記載の
    インクジェット記録装置。
  24. 【請求項24】 前記記録ヘッドは、熱エネルギを利用
    して前記インクを前記インク吐出口からインク滴として
    吐出させることを特徴とする請求項14ないし23のい
    ずれかに記載のインクジェット記録装置。
  25. 【請求項25】 前記記録ヘッドは、力学的エネルギを
    作用して前記インクを前記インク吐出口からインク滴と
    して吐出させることを特徴とする請求項14ないし23
    のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
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