JP3397601B2 - 非晶質金属薄帯の製造方法及び装置 - Google Patents
非晶質金属薄帯の製造方法及び装置Info
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Description
(合金も含む)の製造方法及び装置に関し、特に単ロー
ル法等で鋳造される該非晶質金属薄帯の品質向上技術に
係わる。
急冷法を用いて溶融金属を急冷し、非晶質金属薄帯(通
称、リボン)が製造されるようになった。このような溶
融金属から直接薄帯を製造する技術では、いかに板厚や
表面性状を均一にするかが重要になる。特に、トランス
材料として用いられる非晶質合金薄帯は、積層して用い
られるので、その一枚一枚の表面性状の優劣がトランス
全体の特性を左右する(薄帯品質の劣化は、一定容積の
トランス内で占める金属重量、つまり占積率が減り、品
質良好なものと同一性能を発揮させるには、トランスの
大型化が必要になる)。
帯という)の表面性状の劣化原因は、高速回転している
冷却ロール(以下、ロールという)の表面に吸着する所
謂空気層が、ロール上の溶融金属の湯溜り(以下、パド
ルという)と該ロール表面との間(境界)に入り、その
空気層がそのままロール上で凝固しつつある薄帯の内部
に閉じ込められてしまうためである。空気層がこの境界
に入り込むメカニズムは、パドルが何らかの外力によっ
て加振され、ロール表面とパドルとが形成する濡れ角を
変化させ、空気の入込み易い空気巻込部(エア・ポケッ
ト)が周期的にできることである。その結果、製造され
た薄帯には、この周期に一致した魚鱗状模様(フィッシ
ュ・スケール)が形成され、薄帯の表面性状を悪化する
のである。
振動については、従来より研究が多々行われており、2
種類の振動形態があると報告されている。その1つは、
空気が前記パドルに衝突することによってパドルの表面
膜が振動するという運動学的原因(キャピラリー・ウェ
ーブ)によるものであり、他の1つは、空気がパドルに
ぶつかり、溶融金属の表面を不均一に酸化させ、表面張
力が不均一になった結果として振動するという化学反応
的原因(マランゴニー・エフェクト)によるものであ
る。
劣化防止方法も従来より研究され、パドルに衝突する空
気を希薄にするか、低密度の不活性ガス、もしくは還元
性ガスと置換する等の方法が、多数開示されている。例
えば、特開昭51−109221号公報は、改良合金フ
ィラメントを減圧室内で製造する方法を開示している。
しかしながら、この製造方法は、実験室的もしくは少量
の薄帯を製造する場合には有効であったが、大量生産に
対しては設備費及びランニング・コストが高いという問
題があった。また、特開昭59−209457号公報
は、上記特開昭51−109221号公報に記載された
方法の設備的問題を改良し、低密度かつ高温の不活性ガ
スを用いることを提案した。しかしながら、この方法に
有効な低密度のヘリウム、クリプトン、キセノン等の不
活性ガスは非常に高価で、やはりランニング・コストの
点で問題があった。さらに、特開昭60−37249号
公報は、発熱性の還元性雰囲気下で薄帯を製造するに際
して、安価な一酸化炭素を燃焼させて低密度の還元性ガ
スとし、上記ランニング・コストの高価であるという問
題を解消した。しかしながら、一酸化炭素は、爆発の危
険性と人体に中毒症を起こすガスであるため、安全上の
問題が別途生じた。これらの問題点を全て解決する方法
としては、ドイツ公開特許、DD 266046 A1
公報記載の薄帯製造装置があり、CO2 ガスをパドルの
近傍に吹き付け、薄帯の表面性状を大幅に改善する方法
が提案された。しかしながら、その方法も、100mm
以上の広幅の薄帯になると、安定して良好な表面粗さ
(JISに規定された中心線平均粗さ測定法により測
定、数値が小さいほど好ましい)が得られないという別
の問題があった。さらに加えて、その方法は、実験室規
模の数十〜数百g程度の薄帯を製造するには良いが、数
百kg〜数十tonレベルの工業規模で製造した例の報
告はない。
を鑑み、簡単な設備、低ランニング・コスト、良好な作
業環境及び安全作業で表面性状に優れた広幅の非晶質金
属薄帯を製造する方法及び装置を提供することを目的と
している。
成するため、上記CO2 ガスの利用技術を改善すること
に着眼すると共に、ロール表面とパドルとの境界の清浄
化を図れば良いと考え、鋭意研究を行った。本発明は、
その研究成果を具現化したものであり、すなわち、高速
回転する冷却ロール上にスリット状開口を有するノズル
から溶融金属を射出して該冷却ロール上に湯溜りを形成
し、該湯溜りを広げて急冷凝固させ非晶質金属薄帯を製
造するに際して、上記湯溜り位置より該冷却ロールの回
転方向の上流側であって、ロール表面周長で20mm以
上200mm以下の距離だけ離れた位置の該冷却ロール
の表面を、超音波振動を付加したCO2 ガスの吹きつけ
で洗浄することを特徴とする非晶質金属薄帯の製造方法
である。
ロール表面の一定領域に均一に吹付けたり、あるいは、
下記(1)式を満たす流量(Q)とすることを特徴とす
る非晶質金属薄帯の製造方法である。 N・W/140≦Q≦N・W/50 …(1) ただし、 Q:CO2 ガス流量(m3 /min) W:薄帯の幅(mm) N:スリットの数 この場合、冷却ロール表面の一定領域とは、薄帯が通過
する1〜1.4倍の幅に相当するロール表面部分であ
る。
つけ前に、予め、該冷却ロール表面を、超音波振動を付
加した乾燥空気の吹きつけで洗浄し、汚染した該乾燥空
気を吸引除去することを特徴とする非晶質金属薄帯の製
造方法でもある。加えて、本発明は、高速回転する冷却
ロールと、溶融金属を該冷却ロール上に射出するスリッ
ト状開口を有するノズルとを備えた非晶質金属薄帯の製
造装置において、超音波発振器を内臓し、CO2 ガスを
該冷却ロール表面に吹付けるプレッシャ・ヘッダを、上
記湯溜り位置より該冷却ロールの回転方向の上流側に、
ロール表面周長で20mm以上200mm以下の距離だ
け離して設けたことを特徴とする非晶質金属薄帯の製造
装置である。
・ヘッダのスリット状開口の長さを、製造する薄帯幅の
1〜1.4倍にすると共に、該開口厚みを0.2〜0.
7mmとしたり、また、上記プレッシャ・ヘッダを、冷
却ロールの回転方向に沿い複数個設け、隣り合う2つの
ヘッダ間に、使用済みガスを吸引排出する吸引ボックス
を、これらヘッダと一体に備えたことを特徴とする非晶
質金属薄帯の製造装置(以下、一体型ヘッダ)である。
ダ内のCO2 ガスの圧力を10〜30kPaに設定した
り、あるいは上記プレッシャ・ヘッダ位置よりロール回
転方向の上流側に、超音波発振器を内臓し、冷却ロール
表面に乾燥空気を吹きつけるエア・ヘッダと、汚染した
該乾燥空気を吸引除去する吸引ボックスとを追設したこ
とを特徴とする非晶質金属薄帯の製造装置(以下、分離
型ヘッダ)でもある。
の表面が清浄されるので、低ランニング・コスト及び良
好な作業環境及び安全作業で、表面性状に優れた広幅
な、特に、200mm幅以上の非晶質金属薄帯を製造す
ることができるようになる。
と共に、本発明の内容を説明する。発明者は、前記ドイ
ツ公開特許公報に記載された「パドル近傍をCO2 ガス
雰囲気とする」ことの意味を考え、次のように結論し
た。すなわち、CO2 が溶融金属等の外熱によって加熱
されて次式のガス分解反応を起こし、この分解で生成し
た活性の大きな酸素でパドル表面に、下記式で示す酸化
膜を均一に形成する。
O2 ,B2 O3 ) この均一な酸化膜の形成で該溶融金属の界面での温度が
低下し、粘性が大きくなる。その結果、パドルの上流側
で、パドルとロールとの接触角が90度に近づき、ガス
を跳ね返してしまうので、パドルへのガスの巻込みが少
なくなると考えられる。従って、薄帯の表面に通常生じ
ていたガス・ポケットが減少し、薄帯の表面粗度が改善
される。
ると、パドル内へ巻込まれたガスは、膨張してガス・ポ
ケットになることもわかった。CO2 ガスの雰囲気を用
いると、パドル突入までに、該CO2 ガスが1200℃
以上の高温になり、パドル内での熱膨張が少なくなり、
ガス・ポケットの形成が防止できる。しかしながら、ロ
ールの高速回転で生じた連れ回り空気や微粒子が該ロー
ル表面に付着、あるいは付着して形成された空気層や微
粒子塵は、強固なので、パドル近傍をCO2 ガス雰囲気
にする程度では簡単に除去できない。そして、これら空
気層や微粒子塵がそのままパドルに進入すると、前記C
O2 ガスの吹付け効果が軽減する。
CO2 ガスの吹付けだけでなく、それに超音波を負荷
し、該超音波のもつ衝撃エネルギーにより破壊すると共
に、ロール表面の微粒子塵をも剥離する方法を考え、さ
らに、この吹き付けで、CO2ガスはロール表面に吸着
すると考えたのである。この考えは、図1に示す装置を
開発することで具体化された。
ガス6を該冷却ロール2の表面上に噴射するプレッシャ
・ヘッダ5からなる簡単なものである。しかし、本発明
では、その装置をロール2の適切な位置(記号9で示す
距離だけ、パドル3よりロール2の回転方向8の上流側
にある)に配置することで大きな効果を上げることがで
きた。また、プレッシャ・ヘッダ5から供給したCO2
ガス6は、ロール2の表面上に吸着する作用も発揮し
た。
置9を20mm〜200mmとした理由は、20mmよ
りパドル3へ近づけると、該ヘッダ5より出るCO2 ガ
ス6の吹付力でパドル3の形状が乱れ、かえって薄帯1
の性状が悪化するためであり、一方200mm以上に遠
ざけると、超音波によって破壊したロール2上の空気層
が再度付着するとともに、パドル3周辺でのCO2 ガス
6の濃度が10%以下(残りは、空気である)となり、
薄帯1の性状改善効果が現れないためである。
0〜50kHzで100〜200db(800〜150
0ワット/m2 )の能力を有するものが用いられるが、
30〜40kHzで900〜1100ワット/m2 がさ
らに好ましい。強すぎると乱流になり、弱すぎると空気
層を破壊できないからである。次に、発明者は、100
mm以上の広幅薄帯4の製造では、上記CO2 ガス6の
ロール表面への吹き付けが不均一になり、その吹き付け
効果が低減することを知った。そこで、その対策とし
て、CO2 ガス6が薄帯4の両端に相当する位置まで届
くような吹き付け技術を考えた。 具体的には、図2の
平面図で示すように、前記プレッシャ・ヘッダ5からの
CO2 ガス6の出口に設けるスリット状開口10の長さ
Lを、鋳造する薄帯4の幅Wの1〜1.4倍とし、且つ
該開口厚みdを0.2〜0.7mmとした。また、その
際、プレッシャ・ヘッダ5内のCO 2 ガス6の圧力を1
0〜30kPaとすると、さらに大きな吹き付け効果を
挙げることができた。 本発明で、上記ヘッダ5のスリ
ット状開口10の長さLを、薄帯4の幅Wの1〜1.4
倍が好ましいとした理由は、以下の通りである。つま
り、スリット状開口10の長さLを鋳造する薄帯の幅W
未満とすると、CO2 ガス6のロール2への吹付けが薄
帯4の端部に相当する位置で不足し、吹き付け効果が軽
減するためである。また、CO2 ガスに付加される超音
波エネルギーの強度は、スリットの両端部で減少するの
で、スリット状開口10の長さLを薄帯4の幅Wと少な
くとも等倍以上とすることが好ましい。一方、スリット
状開口の長さLが薄帯4の幅Wの1.4倍を超えると、
効果が飽和してしまう。また、CO 2 ガス6が、ノズル
1の周囲からパドル3に吹き込まれるようになり、パド
ル3の形状を乱したり、冷やしたりして、かえって薄帯
4の表面性状を悪化することになるためである。
リット状開口10の厚みdを、0.2〜0.7mmを好
ましいとした理由は、0.7mmを超えると、スリット
状開口10内で超音波振動を得るのに必要なCO2 ガス
6の流量が大変多くなり、超音波が発生し難くなるから
である。また、0.2mm未満では、スリット状開口1
0の加工が難しく、スリット状開口10の長さ方向でC
O2 ガス6の吹付けが不均一になるからである。
10〜30kPaに設定することが好ましいとした理由
は、10kPa未満では超音波が発生せず、30kPa
を超えると、発生する超音波エネルギーは増大するが、
薄帯の品質への影響に差異が無くなるからである。特
に、30kPaを超えた場合には、CO2 ガス6がノズ
ル1の後方よりパドル3に吹き込むようになり、その吹
付け力でパドル3の後流側の形状が乱れ、かえって薄帯
4の性状が悪化するためである。
付け効果を一層促進させることを検討し、ガス流量を適
切に選定することで、その目的を達成した。すなわち、
発明者は、鋳造される薄帯4の性状に影響を与える上記
ヘッダ5のスリット状開口10の長さLや厚みd、スリ
ット数、薄帯4の幅W、ロール周速等あらゆる操業因子
を鋭意検討し、下記のCOガス流量に関する適切領域を
求めたのである。 N・W/140 ≦ Q ≦ N・W/50 但し、Q:CO2 ガスの流量(m3 /min)、W:薄
帯の幅(mm)、N:スリット数である。なお、スリッ
ト数が複数になるのは、上記ヘッダが複数の場合、薄帯
4の進行方向に直角なスリットが多数本設けられること
になるからである。
す。それは、幅(W)200mm及び50mmの薄帯4
を鋳造するに際して、薄帯4と同一の開口長さLのスリ
ット状開口(開口厚みd=0.5mm一定)を1本ある
いは3本設け、CO2 ガス6の流量を種々変更して、該
ガスの吹込み効果を整理したものである。なお、横軸の
数値50は、薄帯の幅50mm×スリット数1、数値1
50は、薄帯の幅50mm×スリット数3、数値200
は、薄帯の幅200mm×スリット数1、数値600
は、薄帯の幅200mm×スリット数3を意味する。
は、超音波が発生せず、且つ吹込み後に回収したガスの
CO2 濃度は20%未満(残り空気)で、ロール2の洗
浄効果は期待できないことが明らかである。実際に製造
した薄帯4の表面品質は改善されていなかった。また、
流量QがN・W/50を超えるると、CO2 ガス6の吹
付けが強く、その力でパドル3が乱れ、かえって薄帯4
の品質が悪化していた。従って、本発明では、CO2 ガ
ス6の吹き付け流量Qを上記式を満足する範囲が好まし
いとした。
6を吹き付ける前に、前記空気層を除去もしくは微粒子
塵を予め軽減することを考えた。そして、本発明では、
その手段として乾燥空気11に超音波を付加し、その衝
撃エネルギーで該空気層を破壊し、かつロール表面の微
粒子塵をも剥離するようにもした。つまり、予め剥離し
たこれら空気層と微粒子塵、水蒸気等を直ちに吸引、除
去し、引続きCO2 ガス6を吹付けてロール2の表面に
均一に吸着させ、パドル3周辺の表面を洗浄することも
行うようにしたのである。その際、このCO2 ガス6に
も超音波を発生させ、残存する連れ回り空気層を破壊
し、該CO2 ガス6のロール表面への吸着を効果的にし
ている。ここで、乾燥空気を用いるのは、他のガスでは
密度や露点が適切でなく、有効な超音波が得られないか
らである。また、その後の使用済み乾燥空気の吸引は、
剥離空気の排出流れを一定にして汚染した空気を速やか
に取り除き、その後にCO2 ガスをロール2の表面に吸
着し易くするためである。
の洗浄作業を順次、迅速に行える装置も考え、図4に示
すように、超音波発振器7を内臓しガスの吹き付けを行
うプレッシャ・ヘッダ5を複数個設け、隣り合う2つの
プレッシャ・ヘッダ5間に、使用済みガスを吸引、除去
するための吸引ボックス12を一体に組み込んだヘッダ
を開発した。この一体型ヘッダを用いると、上流側のヘ
ッダ5より乾燥空気11を吹き付け、吸引ボックス12
で使用済み空気を吸引、除去し、下流側のヘッダ5から
CO2 ガス6を吹き付けることが可能となる。勿論、こ
の一体型ヘッダは、CO2 ガスのみの吹き付けに使用し
ても良い。また、本発明では、図5に示すように、乾燥
空気11を吹き付けるエア・ヘッダ14を、CO2 ガス
6を吹き付けるプレッシャ・ヘッダ5と分離して別に設
けても良い。
用いて、下記条件で溶融金属合金からなる薄帯4を鋳造
した。 溶融金属:Fe80B10Si9 C1 (原子%) 温度:1300℃ 鋳造ノズルのスリット状開口長さ(薄帯の幅W):20
0mm ロール(水冷した銅合金製):外径1m ロールの周速:25m/sec プレッシャ・ヘッダのスリット状開口長さL:150m
m プレッシャ・ヘッダのスリット状開口厚みd:0.3m
m プレッシャ・ヘッダ内のガス圧力:0.2kgf/cm
2 また、ロール表面の洗浄手段、つまり上記超音波発生器
7を内臓したCO2 ガス6のプレッシャ・ヘッダ5は、
パドル3位置よりロール2の回転方向の上流側で、周長
50mmの所に配置した。CO2 ガス6の吹き付け流量
は、0.8Nm 3 /minであり、印加する超音波は周
波数25kHzで1kワット/m2 (150db)であ
った。なお、吹き付け後、パドル位置での雰囲気ガス中
のCO2濃度は20%(残部は空気)であった。
層を、CO2 ガスの所謂ナイフ効果で10μm厚み分程
度破壊し、超音波の効果として、さらに10μmを破壊
できたと推定される。得られた薄帯4の性状としては、
図6に示すように、薄帯4幅方向の表面粗さ(Ra)が
大幅に改善され、安定してRa<0.8μmが達成でき
た。
スの代わりに空気を用いた場合及びCO2 ガス雰囲気と
した場合の結果も示している。これらの結果は、本発明
によるCO2 ガス6の吹き付け効果を明白に示してい
る。 (実施例2)実施例1と下記条件だけを変更して、CO
2 ガス6の吹き付けをロール表面の一定領域に実施例1
より拡大し、溶融金属合金からなる薄帯4を鋳造した。
さ(L):220mm プレッシャ・ヘッダのスリット状開口厚み(d):0.
5mm その結果、ロール2の表面に付着する空気層を、CO2
ガス6の所謂ナイフ効果で10μm厚み分程度破壊し、
超音波の効果として、さらに10μmを破壊できたと推
定できる。得られた薄帯4の性状としては、図7に示す
ように、幅方向の表面粗さ(Ra)が大幅に改善され、
安定してRa<0.8μmが達成できた。
(L)が70mmのプレッシャ・ヘッダ5(ガス圧、ス
リット間隔は実施例と同じ)を用いた場合及び超音波振
動のないCO2 ガス雰囲気とした場合も比較例として示
す。さらに、吹き付けガス及びプレッシャ・ヘッダ5の
スリット状開口長さを種々変更した鋳造を行い、表1に
示す結果を得た(表1には、上記実施例2及び比較例の
結果も同時に示してある)。
方法を適用すると、得られた薄帯4の性状が他の方法や
装置を用いた場合に比べ、優れていることが明らかであ
る。なお、表1において、B8とは磁化力800アンペ
ア/mで磁化した時の磁束密度(テスラ)である。 (実施例3)実施例2と、CO2 ガス6の吹き付け流量
だけを変更し、溶融金属合金からなる薄帯4の鋳造を行
った。つまり、本発明で好ましいとしたCO2 ガス流量
(前記した関係式「N・W/140 ≦ Q ≦ N・
W/50」を満足する)を選択して、吹き付けたのであ
る。具体的には、1.5m3 /minである。
空気層を、CO2 ガス6の所謂ナイフ効果で10μm厚
み分程度破壊し、超音波の効果として、さらに10μm
を破壊できたと推定される。また、吹き付けガス及びプ
レッシャ・ヘッダ5のスリット状開口長さを種々変更し
た鋳造をも行い、その結果を表2に一括して示す(表2
には、実施例3の結果も同時に示してある)。
正な吹き付け量を選定すれば、鋳造された薄帯4の性状
が上記実施例1及び2の結果よりさらに良くなることが
明らかである。なお、表2におけるW13/50 とは、最高
磁束密度が1.3テスラとなるように、周波数50Hz
で磁化した時の鉄損(ワット/kg)である。 (実施例4)CO2 ガス6の吹き付け前に乾燥空気でロ
ール2の表面を事前洗浄した後、実施例1とほぼ同じ条
件で、溶融金属合金からなる薄帯4の鋳造を行った。
ダ5内のガス圧力が0.3kgf/cm2 ,プレッシャ
・ヘッダ5がパドル3の位置よりロール2の回転方向の
上流側に約150mm離して配置した点である。また、
使用したプレッシャ・ヘッダ5は、図4に示した所謂一
体型構造で、上流側のヘッダ5のスリット状開口10か
ら乾燥空気11を噴射し、それを吸引ボックス12で吸
引した後、後流側のスリット状開口10からCO2 ガス
6を噴射するものである。なお、乾燥空気11及びCO
2 ガス6の流量は、それぞれ1.5Nm3 /minであ
る。
記実施例4以外にも、従来の方法及び装置を用いた鋳造
結果を比較例として多数示してある。
帯4は、粗度、鉄損、磁束密度及び占積率のいずれにお
いても、比較例より優れている。その状況を図8〜10
に示す。図8は、薄帯4をトランスに用いた時に発揮す
る磁束密度を比較したもので、薄帯4としては、本発明
法の実施例4(超音波+CO2 ガスの吹き付け)、従来
法1(CO2 ガスのみの吹き付け)及び従来法2(単に
大気中で鋳造)の3つの方法で得たものである。図8よ
り、本発明の適用で得た薄帯4の磁束密度は、従来法で
得たものより大幅に増加していることが明らかである。
また、図9は、鉄損について同様の比較をしたが、鉄損
も大幅に増加しており、本発明によって薄帯4の磁性が
改善されたことがわかる。さらに、図10は、薄帯4の
表面粗度(Ra,単位μm)をL方向(図10(a))
及びC方向(図10(b))で示す。図10より明らか
なように、薄帯4の表面粗度も本発明の適用で大幅に改
善された。
性状の良好な非晶質金属薄帯を効果的に、且つ安価で安
全に大量生産することが可能となった。その結果、トラ
ンス用として有効な非晶質合金の安価な提供が期待でき
る。
ル周辺の状況を示す側面図である。
示す図である。
様(一体型)を示す側面図である。
様(分離型)を示す側面図である。
(実施例と比較例)を示す図である。
(実施例と比較例)を示す図である。
る磁束密度(実施例と比較例)を示す図である。
る鉄損(実施例と比較例)を示す図である。
(a)は薄帯のL方向、(b)はC方向に対応する。
Claims (9)
- 【請求項1】 高速回転する冷却ロール上にスリット状
開口を有するノズルから溶融金属を射出して該冷却ロー
ル上に湯溜りを形成し、該湯溜りを広げて急冷凝固させ
非晶質金属薄帯を製造するに際して、 上記湯溜り位置より該冷却ロールの回転方向の上流側で
あって、ロール表面周長で20mm以上200mm以下
の距離だけ離れた位置の該冷却ロールの表面を、超音波
振動を付加したCO2 ガスの吹きつけで洗浄することを
特徴とする非晶質金属薄帯の製造方法。 - 【請求項2】 上記CO2 ガスを、冷却ロール表面の一
定領域に均一に吹付けることを特徴とする請求項1記載
の非晶質金属薄帯の製造方法。 - 【請求項3】 上記CO2 ガスを、下記(1)式を満た
す流量(Q)とすることを特徴とする請求項1又は2記
載の非晶質金属薄帯の製造方法。 N・W/140≦Q≦N・W/50 …(1) ただし、 Q:CO2 ガス流量(m3 /min) W:薄帯の幅(mm) N:スリットの数 - 【請求項4】 上記CO2 ガスの吹きつけ前に、予め、
該冷却ロール表面を、超音波振動を付加した乾燥空気の
吹きつけで洗浄し、汚染した該乾燥空気を吸引除去する
ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の非晶質金
属薄帯の製造方法。 - 【請求項5】 高速回転する冷却ロールと、溶融金属を
該冷却ロール上に射出するスリット状開口を有するノズ
ルとを備えた非晶質金属薄帯の製造装置において、 超音波発振器を内臓し、CO2 ガスを該冷却ロール表面
に吹付けるプレッシャ・ヘッダを、上記湯溜り位置より
該冷却ロールの回転方向の上流側に、ロール表面周長で
20mm以上200mm以下の距離だけ離して設けたこ
とを特徴とする非晶質金属薄帯の製造装置。 - 【請求項6】 上記プレッシャ・ヘッダのスリット状開
口の長さを、製造す る薄帯幅の1〜1.4倍にすると共
に、該開口厚みを0.2〜0.7mmとしたことを特徴
とする請求項5記載の非晶質金属薄帯の製造装置。 - 【請求項7】 上記プレッシャ・ヘッダを冷却ロールの
回転方向に沿い複数個設け、隣り合う2つのヘッダ間
に、使用済みガスを吸引排出する吸引ボックスを備えた
ことを特徴とする請求項5又は6記載の非晶質金属薄帯
の製造装置。 - 【請求項8】 上記プレッシャ・ヘッダ内のCO 2 ガス
の圧力を10〜30kPaに設定してなることを特徴と
する請求項5〜7いずれか記載の非晶質金属薄帯の製造
装置。 - 【請求項9】 上記プレッシャ・ヘッダ位置よりロール
回転方向の上流側に、超音波発振器を内臓し、冷却ロー
ル表面に乾燥空気を吹きつけるエア・ヘッダと、汚染し
た該乾燥空気を吸引除去する吸引ボックスとを追設した
ことを特徴とする請求項5〜8いずれか記載の非晶質金
属薄帯の製造装置。
Priority Applications (1)
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