JP3397097B2 - 液晶表示素子及びこれを用いた投射型表示装置 - Google Patents

液晶表示素子及びこれを用いた投射型表示装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶表示素子及びこ
れを用いた投射型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】投射型表示装置の一つに2次元光学スイ
ッチとして液晶表示素子を用いた液晶プロジェクタがあ
る。液晶プロジェクタはCRTを用いた表示装置に比べ
小型軽量で、かつ地磁気の影響に対する調整が不要なた
め、手軽に大画面映像が得られるという利点がある。
【0003】液晶プロジェクタに用いる液晶表示素子と
しては例えば透明電極を有する第1の透明基板と、画素
を形成する透明電極及び配線,スイッチング素子等を有
する第2の透明基板との間に誘電異方性が正のネマチッ
ク液晶を封入し、液晶分子長軸を2枚のガラス基板間で
連続的に90°ねじった、いわゆるTN(Twisted Nema
tic)液晶表示素子が用いられる。
【0004】このような透過型の液晶表示素子の他に2
次元光学スイッチとして一方の基板に反射板を内蔵した
反射型の液晶表示素子を用いることができる。
【0005】反射型の液晶表示素子は透過型の液晶表示
素子とは異なり、配線やスイッチング素子等を反射板の
背面に形成することで高い開口率が実現できるため、よ
り明るい投射映像が得られるという利点がある。
【0006】反射型の液晶表示素子としては例えば特開
昭64−7021号に記載のECB(Electrically Controlle
d Birefringence)効果を利用し偏光状態を制御して画像
を形成する表示装置が提案されている。このうち、誘電
異方性が正のネマチック液晶をホモジニアス配向し、液
晶の複屈折によって光学スイッチを行う液晶表示素子
は、TN液晶表示素子で実績のある液晶材料が使用可能
であり、さらに初期配向状態を得るための配向方法が既
に確立している等、製造上の技術的課題が少ないという
利点がある。
【0007】この素子の表示動作を図4を用いて説明す
る。図示しない光源からの光は偏光板等からなる第1の
偏光選択手段401を透過して、偏光方向が液晶表示素
子100の液晶の配向方向と45°をなす直線偏光とな
り液晶表示素子100に入射する。この際、入射光40
3は液晶表示素子100の液晶層を2つの固有モードに
分かれて伝播し、反射板で反射して出射するときには2
つのモードの間に次式で表わされる位相差δを生じる。
【0008】 δ(λ)=2π{2dlΔnl(λ)}/λ (1) このとき、λは入射光の波長、dlは液晶層厚さ、Δn
lは液晶の屈折率異方性である。ここで出射側に入射光
403の偏光方向とは直交する直線偏光を透過する偏光
板等の偏光選択手段402を配置した場合、液晶表示素
子100で反射して偏光選択手段402を透過する光
量、すなわち、液晶表示素子100の反射率R(λ)は偏
光選択手段401及び402の透過率がそれぞれが透過
すべき直線偏光に対して100%だとすると、位相差δ
に対して次式で表わされる。
【0009】 R(λ)=0.5(1−cos(δ(λ))) (2) 尚、液晶層に対して電圧を印加すると液晶分子が基板に
対して水平から垂直の方向に動き、その結果見掛け上Δ
nlは減少する。このため位相差δは減少し、δ=0と
なると反射率R=0となり、黒表示となる。一方、電圧
無印加の場合は、Δnlは最大であり、2dlΔnl=
λ/2となるように液晶層厚さdl、及び液晶の屈折率
異方性Δnlを決めておけばδ=πとなって、反射率R
=1となり、最大の明表示となる。
【0010】ところで、このような液晶表示素子で反射
率R=0の黒表示を得るためには液晶層にかなり高い電
圧(理論的には無限大の電圧)を印加して、液晶分子長
軸が全て基板に対して垂直になるよう配向せしめる必要
がある。これを回避するために、特開昭64−7021号公報
に記載の表示装置では位相板を配置している。ここで、
位相板のリターデーションをdpΔnpとし、位相板の
遅相軸を液晶の配向方向と直交するように配置すれば、
式(1)のdlΔnlは次式で表わされる液晶層と位相
板のリタデーションの合成値(dΔn)toに置き換えられ
る。
【0011】 (dΔn)to=dlΔnl−dpΔnp (3) 従って、位相板のリタデーションdpΔnpを適当に選
べば液晶層のΔnlが0となるような高電圧を印加しな
くても、液晶層と位相板のリタデーションの合成値(d
Δn)toを0とすることができるので、低い電圧で黒表
示が実現できる。また、この場合、液晶層のリタデーシ
ョンdlΔnlは位相板のリタデーションdpΔnpを
考慮して、2dlΔnl=λ/2+2dpΔnpとなる
ようにすれば、電圧無印加で最大の明表示が実現でき
る。
【0012】ところで、このように電圧無印加状態で明
表示を行う場合は、画素電極部以外、すなわち表示領域
以外の電圧が印加されない液晶層部分が明表示となり光
漏れが起こる。この表示領域外部からの光漏れは画質上
好ましくなく、また、このような光漏れは黒表示部の輝
度を上昇させてしまいコントラスト比を低下させてしま
うという懸念がある。
【0013】そこで、特開平3−276122 号公報では駆動
用反射型液晶表示素子の他に2枚の透明基板間に駆動用
液晶表示素子と同じ液晶を同じ配向,層厚で挟持した液
晶セル、または駆動用液晶表示素子と同じリタデーショ
ンを有する位相板を光学補償用に配置し、電圧無印加状
態で黒表示を行う投射液晶表示装置を公開している。す
なわち駆動用液晶表示素子と光学補償用液晶セルの液晶
分子長軸が互いに直交するように配置、もしくは位相板
をその遅相軸が液晶分子長軸と直交するように配置する
ことで電圧無印加状態でのリタデーションの合成値が0
となるようにして、黒表示を行うようにしている。
【0014】この場合、駆動用液晶表示素子の液晶層の
見掛けの屈折率異方性Δnlが印加電圧の上昇とともに
減少すると、その分だけ駆動用液晶表示素子と光学補償
用液晶セル(または位相板)のリタデーションの合成値
(dΔn)toの絶対値が増大し、2|(dΔn)to|=λ/
2の条件を満たしたとき最大の明表示が実現する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】液晶プロジェクタでは
明るい投射映像を得るために高出力のランプによって、
液晶表示素子を照明している。このため、液晶表示素子
の温度はランプの点灯とともに室温から上昇していく。
この際、液晶表示素子の液晶層(LC)のリタデーショ
ンは図7に示す通り、温度の上昇とともに減少するが、
上記従来技術では温度による液晶層のリタデーションの
変化については何ら考慮されていない。例えば、光学補
償用の位相板としてポリビニルアルコール(PVA)や
ポリカーボネート(PC)といった1軸延伸した高分子
フィルムを用いた場合、温度が上昇すると液晶層のリタ
デーション値は低下するが、高分子フィルムのリタデー
ションは、例えばPCの場合はほとんど変化せず、PV
Aの場合は逆に上昇してしまう。このため、黒表示を実
現するために特定の温度、特定の印加電圧において液晶
層と位相板のリタデーションの合成値(dΔn)toが0に
なるように構成しても、設計した温度及び印加電圧以外
では(dΔn)to=0とならず完全な黒表示ができない。
このため、画質を評価する際に重要な項目となるコント
ラスト比が低下するという問題を生じる。
【0016】この問題を解決するために液晶表示素子の
温度をモニターし、冷却手段等の温度制御手段によって
液晶表示素子の温度を一定に保ったり、液晶層への印加
電圧を制御して安定な表示を行うという方法が考えられ
るが、温度センサーや温度制御手段,電圧制御手段を用
いることはコスト高を招くことになる。また、上記従来
例のように光学補償用液晶セルを用いれば、温度による
液晶層のリタデーションの変化を同じ液晶層を有する光
学補償用液晶セルによってキャンセルすることが可能で
あるが、駆動用液晶表示素子と同様な液晶セルが別に必
要となるためコストが高くなるという問題がある。
【0017】本発明の目的は高いコストを掛けることな
く広い温度範囲で安定した画質が得られる液晶表示素
子、及びこれを用いることで始動時から安定な画質が得
られ、かつ小型で低コストな投射型表示装置を提供する
ことにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の液晶表示素子は透明な表示電極を備える透明
基板と、反射板と行及び列にマトリクス状に配置した画
素電極及びこれを電気的に駆動するスイッチング素子と
を備え前記画素電極を電気的に個別に駆動しうるように
した反射基板と、前記透明基板と前記反射基板の間に挟
持した液晶層とからなる液晶表示素子であって、前記反
射基板は前記画素電極の領域外に、前記画素電極を取り
囲むように形成された額縁電極を1つ以上有し、前記額
縁電極はこれを電気的に駆動するスイッチング素子と接
続され、電気的に個別に駆動しうるようにしたことを特
徴とする。
【0019】さらに上記液晶表示素子において、黒表示
は液晶層に電圧を印加し、前記液晶層の見掛けのリタデ
ーションが電圧無印加状態よりも減少した状態で行い、
さらに前記額縁電極上の液晶層に黒表示となる電圧を印
加するようにしたことを特徴とする。
【0020】上記構成により、本発明の液晶表示素子は
液晶層に電圧を印加し、液晶層の見掛けのリタデーショ
ンが小さくなった状態、すなわち温度変化による液晶層
のリタデーションの変化の絶対量が小さな状態で黒表示
を行うため、温度によらず安定した黒表示を行うことが
できる。また、この際、画素電極領域の周囲に設けた額
縁電極上の液晶層に黒表示を行う電圧を印加するように
したので、画素電極領域以外、すなわち表示領域以外か
らの光漏れによる画質劣化がない。
【0021】さらに、額縁電極を設けたことにより、シ
ール材等での不要反射を防止するための遮光手段と、画
素電極との位置合わせのマージンが額縁電極の領域分だ
け広がるので、組み立てが容易になり、歩止り,スルー
プットが向上し、コストが低くなる。
【0022】また、上記目的を達成するため本発明の他
の液晶表示素子は透明な表示電極を備える透明基板と、
反射板と行及び列にマトリクス状に配置した画素電極と
これを電気的に駆動するスイッチング素子とを有し前記
画素電極を電気的に個別に駆動しうるようにした反射基
板と、前記透明基板と前記反射基板の間に挟持した液晶
層とからなる液晶表示素子であって、前記透明基板の光
入射側に温度上昇に伴いそのリタデーションが上昇する
第1の位相板と、温度が上昇してもそのリタデーション
がほぼ変化しない第2の位相板を配置し、液晶層及び第
1の位相板のリタデーションの合成値が使用温度範囲に
おいてほぼ一定となるようし、液晶層に任意の電圧を印
加することで、液晶層及び第1の位相板及び第2の位相
板のリタデーションの合成値が、照明光の主波長をλと
したとき、0〜λ/4の間で変化するようにしたことを
特徴とする。
【0023】より具体的には、前記第1の位相板はその
遅相軸が前記液晶層の透明基板側の液晶の配向方向と平
行となるように配置し、前記第2の位相板の遅相軸は前
記液晶層の透明基板側の液晶の配向方向とその遅相軸が
直交するように配置したことを特徴とする。
【0024】上記構成により、本発明の液晶表示素子は
温度上昇にともなう液晶層のリタデーションの減少分
を、温度上昇に伴いそのリタデーションが上昇する位相
板によって補償し、さらに温度が上昇してもそのリタデ
ーションがほぼ変化しない第2の位相板により、光学的
な補償を行うので広い温度範囲で安定した画質を得るこ
とができる。またこの効果は位相板として安価な高分子
フィルムを用いることで低コストで実現できる。
【0025】また、上記目的を達成するため本発明の投
射型表示装置は本発明の液晶表示素子と、光源と、特定
の偏光のみを透過もしくは反射する偏光選択手段と、前
記液晶表示素子により形成された画像光を拡大投射する
投射手段とを備えることを特徴とする。
【0026】上記構成により本発明の投射型表示装置
は、光変調手段である液晶表示素子が広い温度範囲で安
定した画質を得ることができるため、始動時の液晶表示
素子温度が低い状態から、温度が上昇し安定するまで画
質変動の少ない安定した投射映像が得られる。また、大
掛かりな冷却手段や温度制御手段を用いて液晶表示素子
の温度を一定に保つ必要がないので、装置が小型化,低
コスト化できる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
例を詳細に説明する。図1は本発明の液晶表示素子の一
実施例を示す部分断面図である。本液晶表示素子100
は透明基板101と、反射基板102と、これら2枚の
基板間に挟持された液晶層103と、透明基板101の
光入射側に積層された位相板104と、位相板104の
光入射側に設けられた遮光手段105とからなる。
【0028】透明基板101には例えばITO(インジ
ウム・ティン・オキサイド)からなる透明電極106
と、ポリイミド系高分子からなる配向膜107が形成さ
れる。また、反射基板102には行及び列にマトリクス
状に配置した画素電極108と、ポリイミド系高分子か
らなる配向膜109と、前記画素電極108を電気的に
駆動するための図示しないスイッチング素子及び配線と
を備え、画素電極108を電気的に個別に駆動しうるよう
になっている。さらに反射基板102には、画素電極1
08の領域外にその周囲を取り囲むように額縁電極11
0が形成されており、画素電極108と同様、額縁電極
110を電気的に駆動するための図示しないスイッチン
グ素子と配線を備え、個別に電気的に駆動しうるように
なっている。
【0029】尚、反射基板102としては、半導体基板
上にスイッチング素子及び、反射板を兼ねる画素電極を
形成した反射基板、例えば図2に例示した特開平6−194
690号公報に記載の基板を用いることができる。図2は
反射基板102の一実施例を示す部分断面図である。詳
細は特許公報にゆずるので、ここでは詳述しないが反射
基板102は単結晶シリコン層201上にMOSFET等から
なるスイッチング素子領域202を有し、スイッチング
素子は第1の金属層203とスルーホールを介して画素
電極108に接続されている。画素電極108はAlで
構成され、その表面は鏡面となっており、反射板の役目
も兼ねる。尚、画素電極108と配向膜109の間には
パッシベーション膜204としてSiO2 層を形成して
おくことが望ましい。また、ここでは図示していないが
額縁電極110も画素電極108と同じく反射板の機能
を備えるAl電極で構成され、スイッチング素子と接続
されている。
【0030】上記Si基板を用いる他に反射基板102
としてはガラス基板上にアモルファスシリコン、もしく
は多結晶シリコンよりなるTFTスイッチのような半導
体素子を形成し、スイッチング素子,配線,保持容量等
を覆うように反射板兼、画素電極を形成したものを用い
てもよい。
【0031】反射基板102の額縁電極110の周囲に
は図1に示すとおりシール材111が施され、シール材
111により透明基板101と反射基板102は固着さ
れる。この際、図示しないシリカビーズ等のスペーサー
によって2枚の基板間には一定のギャップが形成され、
このギャップに液晶が注入封止されている。また、この
とき2枚の基板間のギャップは画素電極108部分と、
額縁電極110部分ともに等しくし、液晶層103の厚
さは一定となっている。液晶層103の初期配向状態は
配向膜107及び配向膜109にラビング処理を行うこ
とでホモジニアス配向としている。
【0032】位相板104は複屈折性を有する透明平板
であり、例えばポリビニルアルコール,ポリサルホン,
ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレー
ト,ポリアリレート,ポリカーボネート等の1軸延伸し
た高分子フィルムを用いることができる。その他に液晶
性高分子フィルム等も用いることができる。位相板10
4はその遅相軸が液晶層103の配向方向と直交するよ
う配置される。
【0033】図3は本発明の液晶表示素子の一例を示す
部分正面図である。上記の通り、額縁電極110は画素
電極108の領域外、すなわち表示領域の外部にこれを
取り囲むように形成される。また、額縁電極110の周
囲に形成されたシール材111等は、この部分での不要反
射を防ぐため遮光手段105によって覆われる。遮光手
段105は内部に表示領域すなわち画素電極108が形
成されている領域よりも大きな矩形の開口部を有する反
射面から構成されており、その反射面はガラス基板上に
AlやAg等の金属薄膜を蒸着したものを用いても良い
し、誘電体多層膜による反射面を用いても良い。
【0034】次に本液晶表示素子の表示動作を図4を用
いて説明する。図示しない光源からの光は偏光板からな
る第1の偏光選択手段401を透過して、偏光方向が液
晶表示素子100の液晶層103の配向方向と45°を
なす直線偏光となり液晶表示素子100に入射する。
【0035】入射光403は液晶表示素子100の位相
板104及び液晶層103中を2つの固有モードに分か
れて伝播し、画素電極108で反射し出射するときには
2つのモードの間に次式で表わされる位相差を生じる。
【0036】 δ(λ)=2π{2(dΔn)to(λ)}/λ (4) このとき、λは入射光の波長、(dΔn)toは位相板10
4と液晶層103のリタデーションの合成値であり、液
晶層103のリタデーションをdlΔnl、位相板10
4のリタデーションをdpΔnpとすると次式で表わさ
れる。
【0037】 (dΔn)to=dlΔnl−dpΔnp (3) ここで、出射側に入射直線偏光403の偏光方向と直交
する直線偏光を透過する偏光板からなる第2の偏光選択
手段402を配置した場合、液晶表示素子100で反射し
て偏光選択手段402を透過する光量、すなわち、液晶
表示素子100の反射率Rは偏光選択手段401及び4
02の透過率がそれぞれが透過すべき直線偏光に対して
100%であり、液晶表示素子100の各界面での反射
を無視すると位相差δに対して次式で表わされる。
【0038】 R(λ)=0.5(1−cos(δ(λ))) (2) ここで、液晶層103に電圧を印加すると液晶分子長軸
は基板に対して水平から垂直の方向に動き、その結果見
掛け上液晶層103の屈折率異方性Δnlは減少する。
このため液晶層103の見掛けのリターデーションdl
Δnlが減少し、2(dΔn)to=0となると反射率R=
0となり黒表示となる。また、2(dΔn)to=λ/2と
なると反射率R=1となり最大の明るさが得られる。つ
まり、画像情報に応じて液晶層103に印加する電圧を
変えて2(dΔn)toの値が0〜λ/2の間で変化するよ
うにすれば、所望の階調の表示を行うことが可能とな
る。
【0039】図5は液晶層103への印加電圧3.0V
で黒表示を行い、0.7Vで最大の明表示を行う場合の
液晶層への印加電圧と反射率の関係を示した図である。
横軸は液晶層103への印加電圧であり、縦軸は光源光
を第1の偏光選択手段401を透過する直線偏光とした
場合の液晶表示素子100の反射率である。
【0040】このとき用いた液晶は正の誘電異方性を持
つネマチック液晶であり、アクティブマトリクス駆動用
に高抵抗なものとした。また、この液晶の20℃におけ
る屈折率異方性Δnlは0.091であり、N−I(ネマ
チック−イソトロピック相転移)点は126.7℃であっ
た。また、液晶表示素子100の温度が50℃の状態に
おいて最大のコントラスト比が得られるよう液晶層10
3及び位相板104を以下の通りとした。
【0041】液晶層の厚さdlは2.1μm とし、配向
はホモジニアス配向,プレチルト角は約3°とした。
【0042】位相板104は20℃におけるリタデーシ
ョンdpΔnpが22nmである1軸延伸したポリビニ
ルアルコール(PVA)を用いた。
【0043】尚、図5には液晶表示素子100の温度が
50℃の場合の他、20℃と80℃の場合についても併
記した。
【0044】また、比較例として図6には液晶層103
への印加電圧0.7V で黒表示を行い、3.0V で最大
の明表示を行う場合について、図5と同じように液晶層
103への印加電圧と反射率との関係を示した。この場
合、液晶層103は材料,層厚,配向等全て上記実施例
と同じとし、位相板104として20℃でのリタデーシ
ョンdpΔnpが166nmの1軸延伸したポリカーボ
ネート(PC)を用いた。
【0045】図5,図6から明らかな通り、液晶表示素
子100の温度が変化すると、電圧−反射率曲線が変化
する。これは、主に液晶表示素子100の液晶層103
のリタデーションが温度により変化することに起因す
る。
【0046】図7は本実施例に用いた液晶層103(図
7中ではLC)と、位相板104(PC及びPVA)の
温度によるリタデーションの変化を示した図である。横
軸が温度,縦軸が50℃におけるリタデーション値で各
リタデーションの値を割った値である。液晶層103の
リタデーションは温度の上昇とともに減少するが、PC
はほとんど変化なく、PVAは逆にリタデーションの値
が上昇してしまう。このため、黒表示を実現するために
特定の温度,特定の印加電圧において液晶層103と位
相板104のリタデーションの合成値(dΔn)toが0に
なるように構成しても、特定の温度及び特定の印加電圧
以外では(dΔn)to=0とならず完全な黒表示ができな
い。このため、画質を評価する際に重要な項目となるコ
ントラスト比が低下するという問題を生じる。
【0047】図8は上記構成例において、液晶表示素子
の温度とコントラスト比の関係を示した図である。図
中、電圧3.0V で黒表示を行う本実施例の場合をノー
マリーホワイトとし、0.7V で黒表示を行う比較例の
場合をノーマリーブラックとしている。図から明らかな
通り、印加電圧が低く、液晶層103の見掛けのリタデ
ーションが大きい状態で黒表示を行うと、温度上昇に伴
う液晶層のリタデーションの変化の絶対量が大きいた
め、安定した黒表示が行えずコントラスト比の低下が著
しいことがわかる。
【0048】従って、本発明では液晶層103に電圧が
印加され液晶層103の見掛けのリタデーションができ
るだけ小さくなった状態で黒表示を行う構成とする。こ
れは、液晶層103の見掛けのリタデーションが小さい
場合には温度による液晶層103の見掛けのリタデーシ
ョンの変化量が相対的に小さくなるため、表示に及ぼす
影響が小さくなるからである。
【0049】尚、液晶層103の見掛けのリタデーショ
ンは0に近いことが望ましいが、この場合は液晶層10
3に印加する電圧が高くなるため、現実的には液晶層1
03の見掛けのリタデーションが20〜40nmで黒表
示を行うようにすることが望ましい。また、通常の使用
温度範囲において、温度に対する液晶層103のリタデ
ーションの変化量は液晶のN−I点が高いほど小さくな
るため、液晶としては上記実施例に用いたようにN−I
点が100℃以上のものを用いることが望ましい。
【0050】ところで、液晶層103に電圧を印加した
状態で黒表示を行う場合は画素電極108以外、すなわ
ち表示領域以外の液晶層には電圧が印加されないため明
表示となり光漏れが生じて画質上好ましくない。さら
に、このような表示領域外部からの光漏れは黒表示部の
輝度を上昇させてしまいコントラスト比を低下させてし
まうという懸念がある。
【0051】ここで、本発明の液晶表示素子では画素電
極108の領域外に、画素電極108を取り囲むように額
縁電極110を形成し、額縁電極110上の液晶層に黒
表示を与える電圧を印加するようにしたことを特徴とし
ている。つまり、黒表示を行う際の画素電極108の電
圧と同じ電圧を額縁電極110に絶えず印加するため、
画素電極108以外、すなわち表示領域以外の部分は黒
表示となり、表示領域以外からの光漏れによる画質の劣
化はなくなる。
【0052】従って、本発明の液晶表示素子は液晶層に
電圧を印加し、液晶層のリタデーションが小さくなった
状態、すなわち温度変化による液晶層のリタデーション
の変化量が小さな状態で黒表示を行うため、温度によら
ず安定した黒表示を行うことができる。この際、本液晶
表示素子は画素電極の周囲に額縁電極を設けて、額縁電
極上の液晶層に黒表示を行う電圧を印加するようにした
ので、画素電極以外、すなわち表示領域外部からの光漏
れによる画質劣化がない。つまり、表示領域外部からの
光漏れによる画質劣化がなく、温度変化によるコントラ
ス比の低下が少ない安定した画質が得られるという効果
がある。
【0053】また、本発明の液晶表示素子では額縁電極
110を設けて、画素電極108以外の領域を黒表示と
しているので、遮光手段105の内側にある矩形開口部
の大きさを画素電極108の領域と一致させる必要がな
くなる。つまり、遮光手段105の内側にある矩形開口
部の大きさを額縁電極110の領域分だけ、画素電極1
08、すなわち表示領域よりも大きくしておくことが可
能となる。従って、遮光手段105と画素電極110と
の位置合わせのマージンが額縁電極110の領域分だけ
広がり、高い合わせ精度が必要なくなるため組み立てが
容易になり、歩止り,スループットが向上するという効
果がある。この効果は液晶表示素子100が小型化し、
表示が高精細化されるとより顕著となるだろう。
【0054】尚、本実施例では遮光手段105として反
射面を用いた。この反射面では入射した直線偏光の偏光
方向は反射によって変化しない。従って、入射光403
のうち、遮光手段105で反射した光は直線偏光の偏光
方向が変化しないため、第2の偏光板402で吸収され
て黒表示となり、画質の劣化は起こさない。また、遮光
手段105として反射面を用いているため可視光の吸収
はほとんどなく、あらかじめ入射光から紫外線や赤外線
を除去しておけば液晶表示素子100の温度を上昇させ
る要因とはならない。
【0055】図9は本発明の液晶表示素子の他の一例を
示す部分正面図である。本実施例は上記実施例の額縁電
極110の代わりに画素電極108を表示領域901よ
りも多く配置したものである。本実施例においても表示
領域901以外の画素電極に黒表示となる電圧を絶えず
印加することで、上記実施例の額縁電極110と同様の
効果が得られる。
【0056】上記の通り、温度によらず安定な黒表示を
得るには液晶層の見掛けのリタデーションができるだけ
小さい状態で黒表示を行うことが望ましい。しかし、液
晶層の見掛けのリタデーションを小さくするには高い電
圧を液晶層に印加することが必要となり、この場合はス
イッチング素子や配線に負担がかかり信頼性が低下する
という問題を生じる。特に液晶表示素子を小型化,高精
細化した場合はスイッチング素子なども小型になり耐圧
が低くなるためこの問題がより顕著となる。従って、よ
り低い電圧で表示を行うという要求は強い。そこで温度
が変化しても安定な画質が得られ、かつ低電圧表示が可
能となる本発明の他の液晶表示素子について以下説明す
る。
【0057】本発明の他の液晶表示素子の要点は、透明
基板の光入射側に温度上昇に伴いそのリタデーションが
上昇する温度補償用の位相板と、温度が上昇してもその
リタデーションがほぼ変化しない光学補償用の位相板を
配置し、液晶層及び温度補償用位相板のリタデーション
の合成値が使用温度範囲においてほぼ一定となるように
せしめ、液晶層に任意の電圧を印加することで、液晶層
及び温度補償用位相板及び光学補償用位相板のリタデー
ションの合成値が、照明光の主波長をλとしたとき、0
〜λ/4の間で変化するようにしたことにある。
【0058】ここで、一番簡素な場合として、温度補償
用位相板と光学補償用位相板をそれぞれ一枚用いる場合
の実施例を説明する。この場合、温度補償用位相板はそ
の遅相軸が液晶層の配向方向と平行となるように配置
し、光学補償用位相板の遅相軸は液晶層の配向方向とそ
の遅相軸が直交するように配置する。
【0059】図10は本発明の液晶表示素子の部分断面
図であり、図1に示した前記実施例の位相板104の代
わりに、温度補償用位相板1001と光学補償用位相板
1002を配置したこと以外は前記実施例と同じ構成であ
る。
【0060】この場合、液晶層103と温度補償用位相
板1001と光学補償用位相板1002のリタデーションの
合成値(dΔn)toは、液晶層103のリタデーションを
dlΔnl,温度補償用位相板1001のリタデーショ
ンをdptΔnpt,光学補償用位相板1002のリタ
デーションをdpoΔnpoとすると次式で表わされ
る。
【0061】 (dΔn)to=dlΔnl+dptΔnpt−dpoΔnpo (5) この際、黒表示を行いたい電圧で(dΔn)to=0となる
ようにdlΔnl,dptΔnpt,dpoΔnpoの
それぞれの値を決定すれば、温度が変化してもdlΔn
l+dptΔnpt及びdpoΔnpoの値はほとんど
変化しないので、温度によらず(dΔn)to≒0となり安
定した黒表示が行える。さらに、液晶層に印加する所望
の電圧範囲内で2(dΔn)to=0〜λ/2の条件が満た
されるようdlΔnl,dptΔnpt,dpoΔnp
oのそれぞれの値を決定すれば黒表示から最大の明表示
までの階調表示が可能となる。
【0062】以下、より具体的な場合について説明す
る。図11は液晶層103への印加電圧が2.0V で黒
表示を行う場合の液晶層への印加電圧と反射率との関係
を示す。
【0063】このとき用いた液晶は正の誘電異方性を持
つネマチック液晶であり、アクティブマトリクス駆動用
に高抵抗なものとした。また、この液晶の20℃におけ
る屈折率異方性Δnlは0.091であり、N−I点は
126.7℃である。また、液晶表示素子100の温度
が50℃の状態において最大のコントラスト比が得られ
るよう液晶層103及び位相板1001及び位相板10
02を以下の通りとした。
【0064】液晶層103の厚さdlは2.4μm と
し、配向はホモジニアス配向,プレチルト角は約3°と
した。
【0065】温度補償用位相板1001は20℃におけ
るリタデーションdptΔnptが44nmである1軸
延伸したPVAを用い、光学補償用位相板1002とし
ては20℃におけるリタデーションdpoΔnpoが9
7nmである1軸延伸したPCを用いた。
【0066】また、比較例として温度補償用位相板を使
用しない場合として液晶層103への印加電圧が0.7
Vで黒表示を行う場合と、2.0Vで黒表示を行う場合
についてもそれぞれ図12と図13に液晶層への印加電
圧と反射率との関係を示した。この場合の液晶は材料,
層厚,配向等全て温度補償用位相板を使用する前記本発
明の液晶表示素子と同じとし、0.7V で黒表示を行う
場合は位相板として20℃でのリタデーション値が18
9nmの1軸延伸したPCを用い、2.0V で黒表示を
行う場合は、位相板として20℃でのリタデーション値
が44nmの1軸延伸したPVAを用いた。
【0067】また、図14には上記3種類の液晶表示素
子について、液晶表示素子の温度とコントラスト比の関
係を示した。図中、電圧2.0V で黒表示を行う場合を
ノーマリーホワイトとし、0.7V で黒表示を行う場合
をノーマリーブラック,温度補償用位相板1001を用
いた場合を本発明としている。
【0068】ここで、図8と図14のノーマリーホワイ
ト同士を比べると同じノーマリーホワイトであっても黒
表示を行う電圧が3.0Vから2.0Vに低下し、液晶層
の見掛けのリタデーションがより高い状態で黒表示を行
う構成とすると、温度変化によるコントラスト比の低下
が著しいことがわかる。しかしながら、本発明の液晶表
示装置では2.0V という低い電圧で黒表示を行うにも
関わらず温度によらず極めて安定的に高いコントラスト
比が得られる。
【0069】さらに、図11〜図13から明らかな通
り、温度補償位相板1001を用いた本発明の液晶表示
素子では各温度での電圧−反射率曲線の差が小さくな
り、温度が変わってもより安定な階調表現が可能とな
る。
【0070】上記の通り、本発明の液晶表示素子では温
度上昇にともなう液晶層のリタデーションの減少分を、
温度上昇とともにリタデーションが上昇する位相板によ
って補償するため、広い温度範囲で安定した画質を得る
ことができるという効果がある。またこの効果は位相板
として安価な高分子フィルムを用いることで低コストで
実現できるという効果がある。
【0071】尚、本実施例では温度補償用位相板100
1、すなわち温度上昇によってリタデーションが増加す
る位相板としてPVAを用いたが、このほかに1軸延伸
したポリサルホン等の高分子フィルムを用いることがで
きる。また、光学補償用位相板1002、すなわち温度
によるリタデーション変化がほとんど無い位相板として
PCを用いたが、このほかに液晶性高分子フィルム等を
用いることができる。また、本実施例では、液晶層へ印
加する電圧範囲の内、高い電圧側で黒表示を行う場合を
示したが、低い電圧で黒表示を行う場合に適用してもよ
い。
【0072】次に本発明の液晶表示素子を用いた投射型
表示装置について説明する。
【0073】図15は本発明の液晶表示素子を用いて実
現した投射型表示装置の概要図である。本投射型表示装
置は主にランプ1501,UV,IRカットフィルタ15
02,偏光ビームスプリッタ1503,ダイクロイックミ
ラーB1504,ダイクロイックミラーR1505,液
晶表示素子100R,100G,100B,投射光学系
1506から構成される。
【0074】ランプ1501から出射した光はUV,I
Rカットフィルタ1502により有害な紫外線や熱線が
除去された後、偏光ビームスプリッタ1503に入射す
る。偏光ビームスプリッタ1503は特定の直線偏光は
透過し、これとは偏光方向が直交する直線偏光は反射す
るものである。従って、偏光ビームスプリッタ1503に入
射した光のうち特定の直線偏光のみが透過し、ダイクロ
イックミラーB1504及びダイクロイックミラーR150
5に入射する。ダイクロイックミラーは特定の波長帯域
の光束を反射するものである。例えばダイクロイックミ
ラーB1504は青色光を反射し、ダイクロイックミラ
ーR1505は赤色光を反射するものとすると、液晶表
示素子100Bには青色光が入射し、液晶表示素子10
0Rには赤色光が入射し、液晶表示素子100Gには緑
色光がそれぞれ入射する。液晶表示素子100R,10
0G,100Bに入射した光は、それぞれの色の画像情
報に対応した変調を受けて、液晶表示素子から出射し、
ダイクロイックミラーB1504及びダイクロイックミ
ラーR1505で合成された後、再び偏光ビームスプリ
ッタ1503に入射する。偏光ビームスプリッタ150
3に再入射した光の内、液晶表示素子により偏光状態が
変化していない光はそのまま偏光ビームスプリッタ15
03を透過するため、スクリーン1507に到達せず黒
表示となる。一方、液晶表示素子で偏光状態が変化した
光のうち特定の直線偏光成分は偏光ビームスプリッタ1
503で反射され、投射光学系1506を介してスクリ
ーン1507に到達するため明表示となる。特に、液晶
表示素子において入射した直線偏光の偏光方向と直交す
る直線偏光となった光は、全てが投射光学系1506を介し
てスクリーン1507に到達するため最大の明表示とな
る。以上の通り、各液晶表示素子で形成された光学像は
スクリーン上に拡大投影され、フルカラーの映像を形成
する。
【0075】ここで、本投射型表示装置の光変調手段で
ある液晶表示素子100は広い温度範囲で安定した画質
を得ることができる。このため本投射型表示装置は始動
時の液晶表示素子温度が低い状態から、温度が上昇し安
定するまで画質変動の少ない安定した投射映像が得られ
るという効果がある。また、大掛かりな冷却手段や温度
制御手段を用いて液晶表示素子の温度を一定に保つ必要
がないので、装置が小型化,低コスト化できるといった
効果もある。
【0076】以上述べた通り、本発明の液晶表示素子は
液晶層に電圧を印加し、液晶層のリタデーションが小さ
くなった状態、すなわち温度変化による液晶層のリタデ
ーションの変化量が小さな状態で黒表示を行うため、温
度によらず安定した黒表示を行うことができる。この
際、本液晶表示素子は画素電極の周囲に額縁電極を設け
て、額縁電極上の液晶層に黒表示を行う電圧を印加する
ようにしたので、画素電極以外、すなわち表示領域以外
からの光漏れによる画質劣化がない。つまり、表示領域
外部からの光漏れによる画質劣化がなく、温度変化によ
るコントラス比の低下が少ない安定した画質が得られる
という効果がある。
【0077】また、本発明の液晶表示素子では額縁電極
を設けたことにより、シール材等での不要反射を防止す
るための遮光手段と反射基板の画素電極との位置合わせ
のマージンが額縁電極の領域分だけ広がるので、組み立
てが容易になり、歩止り,スループットが向上するとい
う効果がある。
【0078】本発明の他の液晶表示素子では透明基板の
光入射側に温度上昇に伴いそのリタデーションが上昇す
る温度補償用位相板をその遅相軸が液晶層の配向方向と
平行となるように配置し、これとは別に温度によるリタ
デーションの変化がほとんどない光学補償用位相板も配
置する。上記構成により、本液晶表示素子では温度上昇
にともなう液晶層のリタデーションの減少分を、温度補
償用位相板のリタデーションの上昇分で補償し、さらに
温度が上昇してもそのリタデーションがほぼ変化しない
光学補償用位相板により、光学的な補償を行うので広い
温度範囲で安定した画質を得ることができる。またこの
効果は位相板として安価な高分子フィルムを用いること
で低コストで実現できるという効果もある。
【0079】また、本発明の投射型表示装置は、光変調
手段である液晶表示素子が広い温度範囲で安定した画質
を得ることができるため、始動時の液晶表示素子温度が
低い状態から、温度が上昇し安定するまで画質変動の少
ない安定した投射映像が得られるという効果がある。ま
た、大掛かりな冷却手段や温度制御手段を用いて液晶表
示素子の温度を一定に保つ必要がないので、装置が小型
化,低コスト化できるという効果がある。
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、液晶表示素子の表示領
域以外からの光漏れによる画質劣化がなくなるという効
果がある。
【0081】また、本発明によれば、液晶表示素子の液
晶層の温度変化によるコントラストの低下を解消するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示素子の部分断面図である。
【図2】本発明の反射基板の部分断面図である。
【図3】本発明の液晶表示素子の部分正面図である。
【図4】本発明の液晶表示素子の表示動作の説明図であ
る。
【図5】本発明の液晶表示素子の液晶層への印加電圧と
反射率との関係を示す図である。
【図6】比較例の液晶表示素子の液晶層への印加電圧と
反射率との関係を示す図である。
【図7】本発明の実施例に用いた液晶層と位相板(ポリ
カーボネート及びポリビニルアルコール)の温度とリタ
デーションの関係を示す図である。
【図8】本発明の液晶表示素子と比較例の温度とコント
ラスト比との関係を示す図である。
【図9】本発明の液晶表示素子の部分正面図である。
【図10】本発明の液晶表示素子の部分断面図である。
【図11】本発明の液晶表示素子の液晶層への印加電圧
と反射率との関係を示す図である。
【図12】比較例の液晶表示素子の液晶層への印加電圧
と反射率との関係を示す図である。
【図13】比較例の液晶表示素子の液晶層への印加電圧
と反射率との関係を示す図である。
【図14】本発明の液晶表示素子と比較例の温度とコン
トラスト比との関係を示す図である。
【図15】本発明の投射型表示装置の概略構成図であ
る。
【符号の説明】
100…液晶表示素子、101…透明基板、102…反
射基板、103…液晶層、104…位相板、105…遮
光手段、106…透明電極、107,109…配向膜、
108…画素電極、110…額縁電極、1001…温度
補償用位相板、1002…光学補償用位相板、1501
…ランプ、1502…UV,IRカットフィルタ、15
03…偏光ビームスプリッタ、1504,1505…ダ
イクロイックミラー、1506…投射光学系。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廣田 昇一 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 竹本 一八男 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社 日立製作所 電子デバイス事業部内 (56)参考文献 特開 平9−127547(JP,A) 特開 平10−170935(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1368 G02F 1/13 505 G02F 1/1335 520 G02F 1/1343 G09F 9/35 305

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明電極を備える透明基板と、反射板と行
    及び列にマトリクス状に配置した画素電極及びこれを電
    気的に駆動するスイッチング素子とを備え前記画素電極
    を電気的に個別に駆動しうるようにした反射基板と、前
    記透明基板と前記反射基板の間に挟持した液晶層とから
    なる液晶表示素子であって、前記透明基板の光入射側に位相板を配置し、 該位相板の光入射側に矩形開口部を有する反射面からな
    る遮光手段を配置し、 前記反射基板は前記画素電極の領域外に、前記画素電極
    を取り囲むように形成された額縁電極を1つ以上有し、
    前記額縁電極はこれを電気的に駆動するスイッチング素
    子と接続され、電気的に個別に駆動しうるようにし 前記遮光手段は、前記額縁電極を覆うように配置してい
    ることを特徴とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】請求項1の液晶表示素子において、黒表示
    前記液晶層に電圧を印加し、前記液晶層の見掛けのリ
    タデーションが電圧無印加状態よりも減少した状態で行
    い、さらに前記額縁電極上の液晶層には黒表示となる電
    圧を印加するようにしたことを特徴とする液晶表示素
    子。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の液晶表示素子と、
    光源と、特定の偏光のみを透過もしくは反射する偏光選
    択手段と、前記液晶表示素子により形成された画像光を
    拡大投射する投射手段とを備えることを特徴とする投射
    型表示装置。
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