JP3394256B2 - α2,8−シアリルトランスフェラーゼ - Google Patents
α2,8−シアリルトランスフェラーゼInfo
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Description
α2,8−シアリルトランスフェラーゼをコードするDNA、
該DNAがみ込まれた組換え体ベクターおよび該組換え体
ベクターを含有する細胞ならびにそれらの製造法に関す
る。さらに、該α2,8−シアリルトランスフェラーゼを
用いる糖鎖の製造法および該α2,8−シアリルトランス
フェラーゼを形質転換細胞内に発現させることによる糖
鎖の製造法に関する。さらには、本発明のα2,8−シア
リルトランスフェラーゼをコードするDNAを用いる該α
2,8−シアリルトランスフェラーゼの検出法およびその
生産の抑制法に関する。本発明のα2,8−シアリルトラ
ンスフェラーゼは、ガングリオシドGD3等の有用生理活
性を有する糖鎖とその修飾物の製造等に有用である。
が糖鎖を有していないのに対し、酵母、カビ、植物細
胞、動物細胞等の真核生物によって生産されるタンパク
質および脂質には糖鎖が結合している場合が多い。
として、タンパク質中のアスパラギン(Asn)残基に結
合するN−グリコシド結合型糖鎖(N−グリカンとも呼
ばれる)、およびセリン(Ser)またはスレオニン(Th
r)残基に結合するO−グリコシド結合型糖鎖(O−グ
リカンとも呼ばれる)が知られている。最近、数多くの
タンパク質には糖鎖を含むある種の脂質が共有結合して
おり、この脂質を介してそれらのタンパク質は細胞膜に
付着していることが明らかとなった。糖鎖を含むこの脂
質はグリコシル・ホスファチジルイノシトール・アンカ
ー(glycosyl phosphatidylinositol anchor)と呼ばれ
る。
ン(glycosaminoglycan)があげられる。タンパク質と
グリコサミノグリカンが共有結合している化合物はプロ
テオグリカン(proteoglycan)と呼ばれる。プロテオグ
リカンの糖鎖を構成するグリコサミノグリカンは、糖タ
ンパク質糖鎖であるO−グリカンと構造が類似している
が化学的には異なっている。グリコサミノグリカンは、
グリコサミン(glucosamine)またはガラクトサミン(g
alactosamine)とウロン酸〔但し、ケラタン硫酸(kera
tan sulfate)はウロン酸を有していない〕を含む2糖
単位の繰り返し構造から成り、硫酸基が共有結合してい
る〔但し、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)は硫酸基
を有していない〕という特徴を有している。
d)と呼ばれる物質に含まれる糖鎖が挙げられる。動物
細胞の糖脂質としては、糖と長鎖脂肪酸と長鎖塩基であ
るスフィンゴシン(sphingosine)が共有結合したスフ
ィンゴ糖脂質(sphingoglycolipid)と、糖鎖がグリセ
ロールに共有結合したグリセロ糖脂質(glyceroglycoli
pid)とが知られている。
の進歩とともに急速に解明が進んでおり、現在までに糖
鎖の多様な機能が明らかにされてきている。まず、血中
における糖タンパク質のクリアランスに糖鎖は重要な役
割を果たしている。大腸菌に遺伝子を移入して作られた
エリスロポイエチン(erythropoietin)は、生体外(in
vitro)では活性を示すが、生体内(in vivo)では急
速にクリアランス(clearance)されることが知られて
いる〔ドーダル(Dordal)ら:エンドクリノロジー(En
docrinology),116,2293(1985)およびブローネ(Bro
wne)ら:コールド・スプリング・ハーバー・シンポジ
ア・オン・クアンティテェイティブ・バイオロジー(Co
ld Spr.Harb.Symp.Quant.Biol.),51,693(1986)〕。
ヒト顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(human
granulocyte−macrophage colony stimulating factor;
hGM−CSF)は、天然ではN−グリコシド結合型糖鎖を2
本持っているが、糖鎖の本数を減らすとそれに比例して
ラット血漿のクリアランス速度が速まることが知られて
いる〔ドナヒュー(Donohue)ら:コールド・スプリン
グ・ハーバー・シンポジア・オン・クアンティテェイテ
ィブ・バイオロジー(Cold Spr.Harb.Symp.Quant.Bio
l.),51,685(1986)〕。クリアランスの速度およびク
リアランスされる部位は糖鎖の構造によっても変化し、
シアル酸がついたhGM−CSFは腎臓でクリアランスされる
のに対し、シアル酸を除去したhGM−CSFはクリアランス
速度が速まり、肝臓でクリアランスされることが知られ
ている。ラット肝初代培養の系で各種のN−グリコシド
型糖鎖生合成阻害剤存在下に生合成された、糖鎖構造の
異なるα1−acid glycoproteinについて、ラットの血
漿中のクリアランス速度及びラット灌流液からのクリア
ランス速度を調べたところ、どちらの場合も、高マンノ
ース型、糖鎖欠損型、ハイブリッド型、複合型(天然
型)の順でクリアランス速度が遅くなった。血栓溶解剤
としてすでに医薬品として用いられている組織型プラス
ミノーゲン活性化因子(t−PA;tissue−type plasmino
gen activator)の血中でのクリアランスもその糖鎖の
構造が大きく影響を与えることが知られている。
とが知られており、例えば、フィブロネクチン(fibron
ectin)の糖鎖形成をツニカマイシンで阻害すると、得
られた糖鎖欠損フィブロネクチンの細胞内分解速度が増
進する。糖鎖の付加により、熱安定性や抗凍結性が増大
することも知られている。エリスロポイエチンやβ−イ
ンターフェロンなどにおいては、タンパク質の溶解性の
増大に糖鎖が寄与していることが知られている。
も役立っている。水泡性口内炎ウイルスの膜結合糖タン
パク質の天然に存在する2本のN−グリコシド結合型糖
鎖を除去すると、タンパク質の細胞表面への輸送が阻害
されるが、そのタンパク質に新たな糖鎖が付加されると
それが回復することが知られている。この場合、糖鎖の
除去により、ジスルフィド結合によるタンパク質分子間
の会合が誘起され、その結果タンパク質の輸送が阻害さ
れることが明らかとなった。新たに糖鎖を付加すると、
この会合が阻害されることによりタンパク質の正しい立
体構造が保持されるため、タンパク質の輸送が可能にな
る。その際、新たな糖鎖が付加される位置については、
かなりの融通性があることが示されている。その反面、
糖鎖が導入される位置によっては天然の糖鎖を有するタ
ンパク質の輸送をも完全に阻害する場合があることも明
らかとなった。
も知られている。hGM−CSF、プロラクチン(prolacti
n)、インターフェロン−γ、ラウシャー(Rauscher)
白血病ウィルスgp70およびインフルエンザヘマグルチニ
ン(influenza hemagglutinin)において、ポリクロー
ナル抗体またはペプチド上の特定の領域に対する単クロ
ーン抗体を用いた実験から、これらタンパク質の糖鎖
が、抗体との反応を阻害していると考えられている。糖
鎖自身が糖タンパク質の活性発現に直接かかわっている
場合があることも知られており、例えば、黄体形成ホル
モン、濾胞刺激ホルモン、絨毛性性腺刺激ホルモン等の
ような糖タンパク質ホルモンの活性発現に糖鎖が関与し
ていると考えられている。
質間または細胞とタンパク質間の認識現象に関与してい
ることが挙げられる。例えば、糖鎖の構造の違いにより
生体内でクリアランスされる場所が異なることが知られ
ている。最近、炎症反応に対して特異的に血管内皮細胞
上に発現し、好中球との接着を促すタンパク質ELAM−1
のリガンドがシアリルルイスx(Sialyl−Lewis x)と
呼ばれる糖鎖〔NeuAcα2−3Galβ1−4(Fucα1−
3)GlcNAc、NeuAc:シアル酸;Gal:ガラクトース;Fuc:フ
コース;GlcNAc:N−アセチルグルコサミン〕であること
が判明し、糖鎖自体あるいは糖鎖の修飾物が医薬品など
に利用できる可能性が出てきた〔フィリプス(Phillip
s)ら:サイエンス(Science),250,1130(1990)、ゲ
ルツ(Goelz)ら:トレンズ・イン・グライコサイエン
ス・アンド・グライコテクノロジー(Trends in Glycos
cience and Glycotechnology),4,14(1992)〕。一
部のTリンパ球や好中球に発現しているL−セレクチン
(L−selectin)や炎症刺激によって血小板や血管内皮
細胞の膜表面に発現するGMP−140(P−セレクチンとも
呼ぶ)はELAM−1と同じく炎症反応に関係しており、そ
れらのリガンドもELAM−1のリガンドであるシアリルル
イスx(sialyl−Lewis x)糖鎖に類似した糖鎖である
ことが示唆されている〔ローゼン(Rosen)ら:トレン
ズ・イン・グライコサイエンス・アンド・グライコテク
ノロジー(Trends in Glycoscience and Glycotechnolo
gy),4,1(1992)、ラーセン(Larsen)ら:トレンズ
・イン・グライコサイエンス・アンド・グライコテクノ
ロジー(Trends in Glycoscience and Glycotechnolog
y),4,25(1992)、アルフォ(Aruffo)ら:トレンズ
・イン・グライコサイエンス・アンド・グライコテクノ
ロジー(Trends in Glycoscience and Glycotechnolog
y),4,146(1992)〕。
GMP−140は癌細胞の血管内壁への接着や癌細胞と血小板
との凝集を引き起こすことにより癌転移を促進している
ことが示唆されている〔ゲルツ(Goelz)ら:トレンズ
・イン・グライコサイエンス・アンド・グライコテクノ
ロジー(Trends in Glycoscience and Glycotechnolog
y),4,14(1992)、ラーセン(Larsen)ら:トレンズ
・イン・グライコサイエンス・アンド・グライコテクノ
ロジー(Trends in Glycoscience and Glycotechnolog
y),4,25(1992)〕。このことは転移能の高い癌細胞
ではシアリルルイスx(Sialyl−Lewis x)糖鎖の発現
量が高いという知見とも符号する〔入村(irimura)
ら:実験医学(Experimental Medicine),6,33(198
8)〕。
で、親水性側鎖であるシアル酸を含む糖鎖と、疎水性側
鎖であるスフィンゴシン、脂肪酸から構成される分子で
ある。ガングリオシドの発現は、細胞、臓器、動物種に
よって異なるばかりでなく、細胞の分化や癌化の過程に
おいても発現しているガングリオシドが量的、質的変化
を起こすことが知られている〔箱守(Hakomori):キャ
ンサー・リサーチ(Canser Res.),45,2405(198
5)〕。ガングリオシドには、多くの正常細胞に発現し
ているGM3を始めとして、極微量だけ存在するものまで
数十種類の存在が知られている〔ウィーガント(Wiegan
t):ガングリオシド・アンド・キャンサー(Gangliosi
de and Cancer)、Verlagsgesellschaft、1989年刊、5
−15頁〕。その中で、GD3は、正常組織では微量にしか
存在しないのに対し、悪性黒色腫などの神経外胚葉系腫
瘍に高発現していることから、一種の癌抗原として考え
られている〔Tsuchidaら:ジャーナル・ナショナル・キ
ャンサー・インスティテュート(J.Natl.Cancer Ins
t.),78,45−54(1987)〕。また、最近、悪性黒色腫
の悪性度に応じてGD3とGM3の比率が変化することも報告
され〔Ravindranathら:キャンサー(Cancer),67,302
9(1991)〕、GD3が重要な癌抗原であることが広く知ら
れている。さらに、癌遺伝子を導入した細胞ではGD3の
発現が誘導されることも証明され、細胞の癌化とGD3の
発現が密接に関連していることが裏づけられている〔Sa
naiら:ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(J.Bio
chem.),107,740−742(1990)〕。GD3の機能として
は、癌細胞が細胞外基質に接着するときに重要な役割を
果たすことが示唆されている〔Burnsら:ジャーナル・
セル・バイオロジー(J.Cell Biol.),107,1225−1230
(1988)〕。
ルトランスフェラーゼに起因することが示唆されている
〔Yusufら:バイオロジカル・ケミストリー・ホップセ
イラー(Biol.Chem.Hoppe−Seyler),368,455−462(1
987)〕。しかしながら、GD3合成酵素については、部分
精製が報告されているのみで〔Guら:バイオケミカル・
アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーシ
ョン(Biochem.Biophys.Res.Commun.),166,387−393
(1990)〕、GD3合成酵素は単離されていない。
ローナル抗体を癌患者に投与する受動免疫療法が試みら
れているほか〔Houghtonら:プロシーディンウ・ナショ
ナル・アカデミー・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA),82,1242(1985)〕、GD3自身をワクチンとして癌
患者に免疫する能動免疫療法も試みられている〔Portou
kalianら:インターナショナル・ジャーナル・オブ・キ
ャンサー(Int.J.Cancer),49,893−899(1991)〕、
〔Ritterら:インターナショナル・ジャーナル・オブ・
キャンサー(Int.J.Cancer),48,379−385(199
1)〕。このように、GD3は癌抗原として応用価値の高い
ものであるが、GD3を得るには組織からの精製では量的
に限られており〔Takamizawaら:ジャーナル・オブ・バ
イオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.),261,56
25−5630(1986)〕、また化学合成法も高度な技術が必
要であり収率も極めて低い〔伊藤(Ito)ら:ジャーナ
ル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(J.A
m.Chem.Soc.),111,8508−8510(1989)〕。
るので、GD3合成酵素であるα2,8−シアリルトランスフ
ェラーゼの酵素活性を阻害したり、その遺伝子発現を抑
制することにより、癌を治療できることが期待される。
ある特定の遺伝子の発現を抑制するには、アンチセンス
RNA/アンチセンスDNA技術〔徳久(Tokuhisa):バイオ
サイエンスとインダストリー,50,322(1992)、村上
(Murakami):化学,46,681(1991)〕またはトリプル
・ヘリックス(Triple helix)技術〔チュブ(Chubb)
とホーガン(Hogan):トレンズ・イン・バイオテクノ
ジー(Trends in Biotechnology),10,132(1992)〕
が有用である。このアンチセンスRNA/DNA技術を用いて
所望の糖転移酵素の発現を抑制するには、その遺伝子あ
るいは遺伝子の塩基配列情報が必要であるため、所望の
糖転移酵素の遺伝子をクローン化すること、およびその
塩基配列情報を解析することは重要である。
リルトランスフェラーゼは癌化と深い関連があり、その
発現量を調べることにより、癌の診断に役に立つことが
期待される。GD3合成酵素であるα2,8−シアリルトラン
スフェラーゼの遺伝子発現を調べるには、該遺伝子また
は該遺伝子の部分断片を放射能などで標識したものをプ
ローブとするノーザンハイブリダイゼーション法〔サン
ブルック(Sambrook)、フリッチ(Fritsch)、マニア
チス(Maniatis)(モレキュラー・クローニング:ア・
ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning,A labo
ratory manual)、第2版、コールド・スプリング・ハ
ーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor L
aboratory Press)、1989年刊〕やポリメラーゼ・チェ
イン・リアクション法(以下、PCR法と略記する)〔イ
ニス(Innis)ら:PCRプロトコールズ(PCR Protocol
s)、アカデミック・プレス(Academic Press)、1990
年刊〕が有用である。これらの手法を適用するには、GD
3合成酵素であるα2,8−シアリルトランスフェラーゼの
遺伝子あるいは遺伝子の塩基配列情報が必要である。こ
の点からも、GD3合成酵素であるα2,8−シアリルトラン
スフェラーゼの遺伝子をクローン化すること、およびそ
の塩基配列情報を解析することは重要である。
F;granulocyte colony−stimulating factor)やプロウ
ロキナーゼ(pro−UK;pro−urokinase)等の有用生理活
性タンパク質に、組換えDNA技術を用いて人為的に糖鎖
を導入することにより、これらのタンパク質の性質を改
善することができることが開示されている。
ゼ活性を利用して、糖タンパク質や糖脂質の糖鎖構造を
改変したり、特定の糖鎖あるいはその修飾物を大量に調
製することは産業上重要な課題である。
している。特に糖鎖を逐次解離してゆく特異性の高い酵
素(エキソグリコシダーゼ)やペプチド鎖との結合点を
ペプチド鎖と糖鎖の双方を変化させずに解裂させるグリ
コペプチダーゼやエンド型グリコシダーゼによって、糖
鎖の構造を改変させることができ、糖鎖の生物学的な役
割についても詳細な研究ができるようになった。さら
に、最近、糖脂質の糖鎖とセラミドの間を開裂するエン
ドグリコセラミダーゼ(endoglycoceramidase)が見出
され〔伊東と山形:ジャーナル・オブ・バイオロジカル
・ケミストリー(J.Biol.Chem.),261,14278(198
6)〕、これにより、糖脂質の糖鎖の調製が容易になっ
ただけでなく、糖脂質、特に細胞表層糖脂質の機能を解
明する研究が進展した。また、糖転移酵素により、新た
な糖鎖を付加することも可能となってきた。例えば、シ
アリルトランスフェラーゼにより、糖鎖の末端にシアル
酸を新たに付加することができる〔サベサン(Sabesa
n)とポールソン(Paulson):ジャーナル・オブ・アメ
リカン・ケミカル・ソサエティー(J.Am.chem.Soc.),
108,2068(1986)〕。その他種々の糖転移酵素やグリコ
シダーゼの阻害剤〔アランら:アニュアル・レビュー・
オブ・バイオケミストリー(Annu.Rev.Biochem.),56,
497(1997)〕を用いることにより、付加する糖鎖を変
化させることも可能である。しかしながら、糖鎖の合成
に用いる糖転移酵素を大量に製造する方法はない。組換
えDNA技術を用いて糖転移酵素をクローン化し、糖転移
酵素を宿主細胞内で効率よく発現させることにより、糖
転移酵素を大量に製造することが望まれる。
シドα2,6−シアリルトランスフェラーゼ(βgalactosi
deα2,6−sialyltransferase)活性を有する酵素の遺伝
子が単離されており、その塩基配列も明らかになってい
る〔ワインスタイン(Weinstein)ら:ジャーナル・オ
ブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.),
262,17735(1987)〕。βガラクトシドα2,3−シアリル
トランスフェラーゼ(βgalactosideα2,3−sialyltran
sferase)活性を有する酵素に関しては、ギルスピー(G
illespie)らが、糖タンパク質のOグリコシド結合型糖
鎖(セリンまたはスレオニン残基に付加する糖鎖)中の
ガラクトースにシアル酸を付加する酵素をコードする遺
伝子のクローン化を報告しているが、その塩基配列は明
らかにされていない〔ギルスピー(Gillespie)ら:グ
ライココンジュゲート・ジャーナル(Glycoconjugate
J.),7,469(1990)〕。また、ワインスタイン(Wein
stein)らは、ラット肝臓からβガラクトシドα2,3−シ
アリルトランスフェラーゼ(βgalactosideα2,3−sial
yltransferase)活性を有する酵素を精製する方法を報
告している〔ワインスタイン(Weinstein)ら:ジャー
ナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.C
ehm.),257,13835(1982)〕が、この方法では所望の
酵素を極めて少量しか得ることができない。このラット
肝臓のβガラクトシドα2,3−シアリルトランスフェラ
ーゼの遺伝子は、ウェンらによってクローン化されたが
〔ウェン(Wen)ら:ジャーナル・オブ・バイオロジカ
ル・ケミストリー(J.Biol.Chem.),267,21011(199
2)〕、ヒトのガラクトシドα2,8−シアリルトランスフ
ェラーゼの遺伝子についての報告はない。α2,8−シア
リルトランスフェラーゼ活性を保有するシアリルトラン
スフェラーゼについては、これまでに大量に調製した例
や該活性を持つシアリルトランスフェラーゼ遺伝子のク
ローン化の報告はない。したがって、α2,8−シアリル
トランスフェラーゼ活性を保有するシアリルトランスフ
ェラーゼ、とくにヒトのガラクトシドα2,8−シアリル
トランスフェラーゼを大量に調製する手段はなく、該酵
素の発現を検出および抑制する方法も確立されていな
い。
行うことができる新規α2,8−シアリルトランスフェラ
ーゼおよび該α2,8−シアリルトランスフェラーゼをコ
ードするcDNAおよび該cDNAを含有するベクターを提供す
ることにある。また、癌などの疾病を診断、治療するた
めに有用な該α2,8−シアリルトランスフェラーゼの活
性発現を検出する方法、および該α2,8−シアリルトラ
ンスフェラーゼの発現を抑制する方法を提供することに
ある。
ら抽出したmRNAを鋳型として合成したcDNAを発現クロー
ニングベクターに組み込むことによりcDNAライブラリー
を構築し、該cDNAライブラリーを細胞に導入し、得られ
る細胞をフローレッセンス・アクチベーテッド・セル・
ソーター(Fluorescence Activated Cell Sorter;以
下、FACSと略記する)を利用して、ガングリオシドGD3
に対する抗体と強く反応する細胞を選別することにより
新規α2,8−シアリルトランスフェラーゼをコードする
遺伝子をクローン化した。さらに、該α2,8−シアリル
トランスフェラーゼをコードする遺伝子をナマルバ細胞
に導入して発現させたところ、新規なα2,8−シアリル
トランスフェラーゼを発現し、さらにガングリオシドGD
3の細胞表面での存在量が増加することを見い出し、本
発明を完成させた。
新規α2,8−シアリルトランスフェラーゼおよび該α2,8
−シアリルトランスフェラーゼをコードするcDNAおよび
該cDNAを含有する組換え体ベクターに関する。本発明の
α2,8−シアリルトランスフェラーゼは、受容体である
ガングリオシドGM3のシアル酸残基にα2→8の結合様
式でシアル酸を付加する活性を有する。
ドするDNAとしては、(a)配列番号1で示される塩基
配列を含むDNA、(b)一つのアミノ酸に対して複数種
の遺伝暗号が存在するため、あるいはヒトを含む動物個
々に起こる自然変異などのため配列番号1で示される塩
基配列とは異なる塩基配列を含むDNA、(c)(a)お
よび(b)で定義されるDNAに対して、本発明のα2,8−
シアリルトランスフェラーゼ活性を失わない範囲内で置
換変異、欠失変異、挿入変異などの変異が導入されたDN
A、例えば、(a)または(b)で定義されるDNAがコー
ドするα2,8−シアリルトランスフェラーゼに対して、
ハイブリダイゼーション法によって単離できる程度に相
同性を有するDNAなどを包含する。この相同性を有するD
NAとは、配列番号1で示される塩基配列またはその一部
の塩基配列を含むDNAをプローブとして、コロニー・ハ
イブリダイゼーション法あるいはプラーク・ハイブリダ
イゼーション法を用いることにより得られるDNAを意味
し、具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNA
を固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaClの
存在下で65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.
1倍濃度から2倍濃度までの間の濃度のSSC溶液(1倍濃
度のSSC溶液の組成は、150mM NaCl、15mMクエン酸ナト
リウムである)の中、65℃でフィルターを洗浄すること
により同定できるDNAを意味する。なお、ハイブリダイ
ゼーションの実験法は、モレキュラー・クローニング:
ア・ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning,A
laboratory manual)、第2版〔サンブルック(Sambroo
k)、フリッチ(Fritsch)、マニアチス(Maniatis)編
集、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・
プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、198
9年刊〕に記載されている。本発明のα2,8−シアリルト
ランスフェラーゼは上記(a)、(b)および(c)で
定義されるDNAによってコードされる全てのα2,8−シア
リルトランスフェラーゼを包含する。
ゼをコードするDNAの製造法を上記(a)で定義されるD
NAの製造法を例にして示す。
を発現クローニングベクター(Expression Cloning Vec
tor)に組み込むことにより、cDNAライブラリーを構築
する。このcDNAライブラリーを動物細胞あるいは昆虫細
胞に導入した後、FACSを利用して、ガングリオシドGD3
に対する抗体と強く反応する細胞を濃縮・単離した後、
該細胞から所要のα2,8−シアリルトランスフェラーゼ
をコードするcDNAを得る。
−シアリルトランスフェラーゼを生産している動物細胞
であればいかなる細胞でも用いることができる。例え
ば、ヒト・メラノーマ細胞株WM266−4(ATCC CRL 167
6)などが用いられる。これらの細胞から抽出したmRNA
を鋳型として合成したcDNAを組み込むベクターは、該CD
NAを組み込み発現できるベクターであればいかなるもの
でも用いることができる。例えば、pAMoPRC3SC等が用い
られる。該ベクターにより構築されるcDNAライブラリー
を導入する動物細胞あるいは昆虫細胞は、該cDNAライブ
ラリーを導入し、発現できるものであればいかなるもの
でも用いることができる。例えば、ヒトナマルバ(Nama
lwa)細胞〔細井ら:サイトテクノロジ(Cytotechnolog
y),1,151(1988)〕などが用いられる。とくに、宿
主としてナマルバ細胞を用いる直接発現クローン化系
は、宿主であるナマルバ細胞へのcDNAライブラリーの導
入効率が極めて高く、しかも導入されたプラスミド(cD
NAライブラリー)は、染色体外で存在可能であり、糖鎖
特異的抗体とFACSを用いたスクリーニングにより取得し
た細胞からのプラスミドの回収が容易であるという利点
を有しているため、好適に用いられる。また、本発明で
用いられるガングリオシドGD3に対する抗体としては、
ガングリオシドGD3と反応する抗体であれば、いかなる
ものでも用いることができる。例えば、KM−643(EP−
A−0493686)等が好適に用いられる。cDNAライブラリ
ーを導入した動物細胞を抗GD3抗体を用いて蛍光染色し
た後、FACSを用いて抗体の結合量が増加した細胞を分離
濃縮する。このようにして得られた細胞から公知の方
法、例えば、ハート法〔ロバート・エフ・マーゴルスキ
ー(Robert F.Margolskee)ら:モレキュラー・アンド
・セリュラー・バイオロジー(Mol.Cell.Biol.),8,2
837(1988)〕により、本発明のα2,8−シアリルトラン
スフェラーゼをコードするcDNAを有するプラスミドある
いは該cDNA部分を含むDNA断片を回収する。本発明の酵
素をコードするcDNAを有するプラスミドとしては、例え
ば、pUC119−WP1Rが挙げられる。pUC119−WP1Rを含む大
腸菌であるEscherichia coli JM105/pUC119−WP1Rは、
平成5年2月18日付で工業技術院生命工学工業技術研究
所にFERM BP−4192として寄託されている。
造法で得られるα2,8−シアリルトランスフェラーゼを
コードするDNAをもとに、ハイブリダイゼーション法やD
NAに変異を導入する方法などの周知の組換えDNA技術
〔特開平2−227075;モレキュラー・クローニング:ア
・ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning,A La
boratory manual)、第2版、コールド・スプリング・
ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor
laboratory Press)、1989年刊等〕を用いて製造する
ことができる。また、本発明のα2,8−シアリルトラン
スフェラーゼをコードするDNAは化学合成法を用いても
製造することができる。
トランスフェラーゼをコードするDNAを適当なベクター
のプロモーター下流に挿入した組換え体ベクターを造成
し、それを宿主細胞に導入し、得られた細胞を培養する
ことにより、本発明のα2,8−シアリルトランスフェラ
ーゼを製造することができる。ここで、用いられる宿主
細胞としては、原核細胞、動物細胞、酵母、カビ、昆虫
細胞など、これまで組換えDNA技術で用いられた宿主細
胞ならば、いかなる細胞でも用いることができる。例え
ば、原核細胞としては大腸菌、動物細胞としてはチャイ
ニーズ・ハムスターの細胞であるCHO細胞、サルの細胞
であるCOS細胞、ヒトの細胞であるナマルバ細胞等が挙
げられる。
ドするDNAを導入するベクターとしては、該α2,8−シア
リルトランスフェラーゼをコードするDNAを組み込むこ
とができ、宿主細胞で発現できるものであればいかなる
ベクターでも用いることができる。例えば、pAGE107
〔特開平3−22979、および宮地ら:サイトテクノロジ
ー(Cytotechnology),3,133(1990)〕、pAS3−3
(特開平2−227075),pAMoERC3Sc,CDM8〔ブライアン・
シード(Brian Seed)ら:ネイチャー(Nature),329,
840(1987)〕等が挙げられる。また、大腸菌内で本発
明の酵素を発現するためには、trpプロモーターなどの
強力な転写活性を有するプロモーターの下流に外来DNA
を挿入することができ、しかもシャイン−ダルガノ(Sh
ine−Dalgarno)配列(以下、SD配列と略記する)と開
始コドンの間を適当な距離(例えば、6〜18塩基)に調
節したプラスミドを用いることが好ましい。具体的に
は、pKYP10(特開昭58−110600)、pLSA1〔宮地ら:ア
グリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミスト
リー(Agric.Biol.Chem.),53,277(1989)〕、pGEL1
〔関根ら:プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・
アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA),82,4306(1985)〕等が挙げられる。
は、特開平2−227075あるいはサンブルック(Sambroo
k)、フリッチ(Fritsch)、マニアチス(Maniatis)ら
の方法〔モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリ
ー・マニュアル(Molecular Cloning,A laboratory man
ual)、第2版、コールド・スプリング・ハーバー・ラ
ボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory
Press)、1989年刊〕に記載されている方法を用いるこ
とができる。mRNAの単離およびcDNAライブラリーの合成
は、上記の方法の他、市販されている多くのキットを用
いて行うことができる。動物細胞へのDNAの導入法とて
は、現在までに知られているいかなる方法も用いること
ができる。例えば、エレクトロポーレーション法〔宮地
ら:サイトテクノロジー(Cytotechnology),3,133
(1990)〕、リン酸カルシウム法(特開平2−22707
5)、リポフェクション法〔フィリップ・エル・フェル
グナー(Philip L.Felgner)ら:プロシーディング・オ
ブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス
(Proc.Natl.Acad.Sci.USA),84,7413(1987)〕等を
用いることができる。形質転換株の取得および培養は、
特開平2−227075あるいは特開平2−257891に記載され
ている方法に準じて行うことができる。
の生産方法としては、宿主細胞内に生産させる方法、宿
主細胞外に分泌させる方法、あるいは宿主細胞外膜上に
生産させる方法がある。生産させる部位は、使用する宿
主細胞の種類、生産させる糖転移酵素の形によって変わ
ってくる。糖転移酵素を天然に存在する形で動物細胞を
宿主細胞として生産させる場合は、一般的に、宿主細胞
内あるいは宿主細胞外膜上に生産され、一部は、プロテ
アーゼにより切断されて細胞外に分泌される。宿主細胞
外に積極的に分泌させる場合は、ポールソンらの方法
〔J.C.Paulsonら:ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジ
カル・ケミストリー(J.Biol.Chem.),264,17619(198
9)〕およびロウらの方法〔John.B.Loweら:プロシーデ
ィング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サ
イエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.USA),86,8227(198
9)、John.B.Loweら:ジーンズ・アンド・ディベラプメ
ント(Genes Develop.),4,1288(1990)〕に準じて
遺伝子組換えの手法を用いて、糖転移酵素の活性部位を
含む部分にシグナルペプチドを付加した形で生産させ
る。
ヒドロ葉酸還元酵素遺伝子等を用いた遺伝子増幅系を利
用して生産量を上昇させることもできる。
トランスフェラーゼは、通常の糖転移酵素の精製方法
〔J.Evan.Sadlerら:メソッド・イン・エンザイモロジ
ー(Methods of Enzymology)、83巻、458頁〕に準じて
精製できる。また、大腸菌内に生産させる場合は、上記
の方法と特開昭63−26729に記載された方法を組み合わ
せることにより効率的に精製することができる。また、
本発明の酵素を他のタンパク質との融合タンパク質とし
て生産し、融合したタンパク質に親和性をもつ物質を用
いたアフィニティークロマトグラフィーを利用して精製
することもできる。例えば、ロウらの方法〔John.B.Low
eら:プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.US
A),86,8227(1989)、John.B.Loweら:ジーンズ・ア
ンド・ディベラプメント(Genes Develop.),4,1288
(1990)〕に準じて、本発明の酵素をプロテインAとの
融合タンパク質として生産し、イムノグロブリンGを用
いるアフィニティークロマトグラフィーにより精製する
ことができる。また、該酵素自身に対する抗体を用いた
アフィニティークロマトグラフィーで精製することもで
きる。
〔サドラー(J.Evan.Sadler)ら:メソッド・イン・エ
ンザイモロジー(Methods in Enzymology)、83巻、458
頁;サムエルソン(Bo E.Samuelson):メソッド・イン
・エンザイモロジー(Methods in Enzymology)、138
巻、567頁;バス(Manju Basu)ら:メソッド・イン・
エンザイモロジー(Methods in Enzymology)、138巻、
575頁;Naoyuki Tanigutiら:メソッド・イン・エンザイ
モロジー(Methods in Enzymology)、179巻、397頁〕
に準じて測定する。
て、イン・ビトロ(in vitro)で、糖鎖を合成すること
ができる。例えば、オリゴ糖NeuAcα2→3 Galβ1→4
Glcの非還元末端にα2→8結合でシアル酸を付与する
ことができる。また、基質としてガングリオシドGM3を
用いれば、本発明のα2,8−シアリルトランスフェラー
ゼを作用させることにより、ガングリオシドGD3を製造
することができる。
ドするDNAを用いて、該α2,8−シアリルトランスフェラ
ーゼの受容基質である糖鎖(糖タンパク質、糖脂質また
はオリゴ糖)を生産している動物細胞あるいは昆虫細胞
の中で、該α2,8−シアリルトランスフェラーゼと糖鎖
とを同時に生産させることにより、生産されたα2,8−
シアリルトランスフェラーゼを細胞の中で糖鎖に作用さ
せ、該糖鎖の非還元末端にシアル酸を付加することがで
きる。例えば、ガングリオシドGM3を生産している細胞
に本発明のα2,8−シアリルトランスフェラーゼを同時
に生産させることにより、ガングリオシドGD3を生産さ
せることができる。
した糖タンパク質、糖脂質またはオリゴ糖から公知の酵
素的手法または化学的手法によりオリゴ糖の一部を切り
出すこともできる。
ドするDNAは、タンパク質や糖脂質の糖鎖の改変および
特定の糖鎖の効率的生産に用いることができるだけでな
く、アンチセンスRNA/DNA技術を用いて悪性腫瘍などの
疾病の治療に利用すること、ならびにノーザンハイブリ
ダイゼーション法またはPCR法を用いてそれらの疾病の
診断に利用することもできる。
ゼをコードするDNAを用いて、アンチセンスRNA/DNA技術
〔徳久(Tokuhisa):バイオサイエンスとインダストリ
ー,50,322−326(1992)、村上(Murakami):化学,4
6,681−684(1991)、ミラー(Miller):バイオテクノ
ロジー(Biotechnology),9,358−362(1992)、コー
エン(Cohen):トレンズ・イン・バイオテクノジー(T
rends in Biotechnology),10,87−91(1992)、アグ
ラワル(Agrawal):トレンズ・イン・バイオテクノジ
ー(Trends in Biotechnology),10,152−158(199
2)〕あるいはトリプル・ヘリックス技術〔チュブ(Chu
bb)とホーガン(Hogan):トレンズ・イン・バイオテ
クノジー(Trends in Biotechnology),10,132−136
(1992)〕により、該α2,8−シアリルトランスフェラ
ーゼの活性発現を抑制することができる。具体的には、
本発明のα2,8−シアリルトランスフェラーゼをコード
するDNAの一部の塩基配列、好ましくは翻訳開始領域に
ある10〜50塩基の塩基配列を基にしてオリゴヌクレオチ
ドを設計・調製し、生体内に投与するにより、本発明の
α2,8−シアリルトランスフェラーゼの生産を抑制する
ことができる。合成オリゴヌクレオチドの塩基配列とし
ては、本発明のα2,8−シアリルトランスフェラーゼを
コードするDNAのアンチセンス鎖の塩基配列の一部と一
致するもの、あるいは本発明のα2,8−シアリルトラン
スフェラーゼの活性発現を抑制する活性を失わない範囲
内で改変したものを利用することができる。トリプル・
ヘリックス技術を用いる場合、センス鎖およびアンチセ
ンス鎖の双方の塩基配列情報をもとに合成オリゴヌクレ
オチドの塩基配列を設計する。
て、本発明のα2,8−シアリルトランスフェラーゼの生
産を検出することができる。ノーザンハイブリダイゼー
ション法またはPCR法を用いて、本発明のα2,8−シアリ
ルトランスフェラーゼの生産を検出するためには、本発
明のα2,8−シアリルトランスフェラーゼをコードするD
NAまたはそれらの塩基配列に基づいてDNAプローブまた
は合成オリゴヌクレオチドを調製する。ノーザンハイブ
リダイゼーション法およびPCR法は、それぞれ公知の方
法〔サンブルック(Sambrook)、フリッチ(Fritsc
h)、マニアチス(Maniatis)(モレキュラー・クロー
ニング:ア・ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cl
oning,A laboratory manual)、第2版、コールド・ス
プリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spr
ing Harbor Laboratory Press)、1989年刊およびイニ
ス(Innis)ら:PCRプロトコールズ(PCR Protocols)、
アカデミック・プレス(Academic Press)、1990年刊〕
に従って行う。
ある。
す図である。
である。
図である。
る。
ある。
ある。
ある。
ある。
ある。
ある。
である。
ある。
である。
である。
Rの造成工程を示す図である。
るいはpAMoPRWP1(α2,8−シアリルトランスフェラーゼ
発現プラスミド)を導入したKJM−1株についてKM643を
用いて間接蛍光抗体染色後、エピックス・エリート・フ
ローサイトメーター〔EPICS Elite Flow Cytometer;コ
ールター(COULTER)社製〕で解析を行った結果を示す
図である。pAMoPRC3Sc(コントロールプラスミド)を導
入したKJM−1株について、正常マウス血清を用いて間
接蛍光抗体染色を行った結果を対照として示した。
ある。
ある。
ある。
ある。
ある。
図である。
バ細胞の培養上清より、IgGセファロースを用いてα2,8
−シアリルトランスフェラーゼを精製した後、各種糖脂
質を基質としてシアリルトランスフェラーゼ活性を測定
した結果である。HPTLC処理後のHPTLCプレートをバイオ
・イメージング・モデルBAS2000アナライザー(FUJIX)
を用いて解析したときのパターンを示す。
マイシン耐性遺伝子 hyg :ハイグロマイシン耐性遺伝子 Ap :pBR322アンピシリン耐性遺伝子 Tc :pBR322由来テトラサイクリン耐性遺伝子 P1 :pBR322由来P1プロモーター Ptk :ヘルペス・シンプレックス・ウイルス(H
erpes simplex virus;HSV)チミジンキナーゼ(tk)遺
伝子プロモーター Sp.βG :ラビットβグロビン遺伝子スプライシン
グシグナル A.βG :ラビットβグロビン遺伝子ポリA付加シ
グナル A.SE :シミアン・ウィルス(simian virus)40
(SV40)初期遺伝子ポリA付加シグナル Atk :ヘルペス・シンプレックス・ウイルス(H
erpessimplex virus;HSV)ミジンキナーゼ(tk)遺伝子
のポリA付加シグナル Pse :シミアン・ウィルス(simian virus)40
(SV40)初期遺伝子プロモーター Pmo :モロニー・マウス白血病ウイルスのロン
グ・ターミナル・リピート(long terminal repeat:LT
R)プロモーター HTLV−1 :ヒトT細胞白血病ウイルス(human T−ce
ll leukemia virus type−1:HTLV−1)遺伝子 EBNA−1 :エプシュタイン・バール・ウイルス(Eps
tein−Barr virus)のEBNA−1遺伝子 oriP :エプシュタイン・バール・ウイルス(Eps
tein−Barr virus)の複製開始点 ori :pUC119の複製開始点 lac'Z :大腸菌のβガラクトシダーゼ遺伝子の一
部 IG :M13ファージDNAインタージェニック領域
(intergenic region) G−CSF der.:ヒト顆粒球コロニー刺激因子誘導体の遺
伝子 S :ヒト顆粒球コロニー刺激因子のシグナル
ペプチドをコードする遺伝子部分 A又はProA :黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureusの
プロテインAのIgGとの結合領域をコードする遺伝子部
分 WP1 :WM266−4細胞より取得したGD3合成酵素
遺伝子(全長あるいは活性領域部分の遺伝子) 発明を実施するための最良の形態 実施例1 ヒト・メラノーマ細胞株であるWM266−4細
胞からのα2,8−シアリルトランスフェラーゼをコード
するDNA(WP1)のクローン化 1.直接発現クローニングベクター(Expression Cloning
Vector)pAMoERC3ScおよびpAMoPRC3Scの造成 pAMoERC3Scを以下に示す(1)〜(14)の工程に従っ
て造成した。
遺伝子プロモーターとヒトT細胞白血病ウイルス(huma
n T−cell leukemia virus type−1:HTLV−1)のロン
グ・ターミナル・リピート(long terminal repeat:LT
R)のR領域のU5領域の一部を融合したプロモーターを
有するプラスミドpAGEL106の造成を行った。R領域とU5
領域の一部を含むDNA断片〔Ban II−Sau3A断片(0.27k
b)〕をpATK03から切り出し、合成リンカーを介してpAG
E106のBgl I−BamH I間に挿入した。
−塩酸(pH7.5)、6mM塩化マグネシウム、100mM塩化ナ
トリウム、6mM 2−メルカプトエタノールからなる緩衝
液(以下、Y−100緩衝液と略記する)30μlに溶解
し、10単位のBgl I(宝酒造社製、以下、とくに断らな
いかぎり制限酵素は宝酒造社製のものを使用した)と10
単位のBamH Iを加え、37℃で2時間消化反応を行った。
該反応液をアガロースゲル電気泳動後、約4.9kbのDNA断
片を回収した。
・ナショナル・アカデミィ・オブ・サイエンス(Proc.N
atl.Acad.Sci.USA),80,3618(1983)〕1μgをY−1
00緩衝液30μlに溶解し、10単位のBan IIを加え、37℃
で2時間消化反応を行い、アガロースゲル電気泳動後、
約0.4kbのDNA断片を回収した。回収したDNA断片は30μ
lのY−100緩衝液に溶解し、10単位のSau3A Iを加え37
℃で2時間消化反応を行い、アガロースゲル電気泳動
後、約0.27kbのDNA断片を回収した。
るためのリンカーとして以下のDNAリンカーを合成し
た。
アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)
社380A・DNA合成機を用いて合成した。合成したDNAはそ
れぞれ0.2μgずつ、50mMトリス−塩酸(pH7.5)、10mM
塩化マグネシウム、5mMジチオスレイトール(以下、DTT
と略記する)、0.1nM EDTAおよび1mMアデノシン3リン
酸(以下、ATPと略記する)を含む緩衝液(以下、T4キ
ナーゼ緩衝液と略記する)40μlに溶解し、T4ポリヌク
レオチドキナーゼ(宝酒造社製、以下同じ)30単位を加
えて、37℃で2時間リン酸化反応を行った。
9kb)0.2μgとpATK03由来のBan II−Sau3A I断片(0.2
7kb)0.01μgを66mMトリス−塩酸(pH7.5)、6.6mM塩
化マグネシウム、10mM DTTおよび0.1mM ATPからなる液
(以下、T4DNAリガーゼ緩衝液と略記する)30μlに溶
解し、上記DNAリンカーを0.01μgとT4DNAリガーゼ(宝
酒造社製、以下同じ)175単位を加えて、12℃で16時間
結合反応を行った。
r)ら:ジーン(Gene),2,75(1988)〕をコーエンら
の方法〔エス・エヌ・コーエン(S.N.Cohen)ら:プロ
シーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オ
ブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)69,2110(1
972)〕(以下、大腸菌の形質転換にはこの方法を用い
た)によって形質転換し、カナマイシン耐性株を得た。
この形質転換株から公知の方法〔エイチ・シー・バーン
ボイム(H.C.Birnboim)ら:ヌクレイック・アシッド・
リサーチ(Nucleic Acids Res.),7,1513(1979)〕
(以下プラスミドの単離はこの方法を用いた)に従って
プラスミドを単離した。このプラスミドをpAGEL106と名
付け、その構造を制限酵素消化により確認した。
ーミナル・リピート(LTR)のR領域とU5領域の一部を
融合したプロモーターを有する、ヒト顆粒球コロニー刺
激因子(hG−CSF)の発現プラスミドpASLB3−3−1の
造成を以下のようにして行った。
塩酸(pH7.5)、6mM塩化マグネシウム、20mM塩化カリウ
ム、6mM 2−メルカプトエタノールからなる緩衝液(以
下、K−20緩衝液と略記する)30μlに溶解し、10単位
のSma Iを加え、37℃で2時間消化反応を行った。エタ
ノール沈殿後、30μlのT4DNAリガーゼ緩衝液に溶解
し、Sal Iリンカー(5'−pGGTCGACC−3':宝酒造社製)
を0.01μgとT4DNAリガーゼ175単位を加えて、12℃で16
時間結合反応を行った。エタノール沈殿後、10mMトリス
−塩酸(pH7.5)、6mM塩化マグネシウム、175mM塩化ナ
トリウム、6mM 2−メルカプトエタノールからなる緩衝
液(以下、Y−175緩衝液と略記する)30μlに溶解
し、10単位のSal Iと10単位のMlu Iを加え、37℃で2時
間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル電気泳
動後、約1.7kbのDNA断片を回収した。
175緩衝液30μlに溶解し、10単位のSal Iと10単位のMl
u Iを加え、37℃で2時間消化反応を行った。該反応液
をアガロースゲル電気泳動後、約6.7kbのDNA断片を回収
した。
7kb)0.1μgとpAS3−3由来のMlu I−Sal I断片(6.7k
b)0.2μgをT4DNAリガーゼ緩衝液30μlに溶解し、T4D
NAリガーゼ175単位を加えて、12℃で16時間結合反応を
行った。該反応液を用いて大腸菌HB101株をコーエンら
の方法によって形質転換し、カナマイシン耐性株を得
た。この形質転換株から公知の方法に従ってプラスミド
を単離した。このプラスミドをpASLB3−3−1と名付
け、その構造を制限酵素消化により確認した。
プラスミドpASLB3−3の造成を行うため、pAS3−3のア
ンピシリン耐性遺伝子を含むDNA断片〔Xho I−Mlu I断
片(7.26kb)〕をpASLB3−3−1のXho I−Mlu I間に導
入した。
ス−塩酸(pH7.5)、6mM塩化マグネシウム、150mM塩化
ナトリウム、6mM 2−メルカプトエタノールからなる緩
衝液(以下、Y−150緩衝液と略記する)30μlに溶解
し、10単位のXho Iと10単位のMlu Iを加え、37℃で2時
間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル電気泳
動後、約7.26kbのDNA断片を回収した。
150緩衝液30μlに溶解し、10単位のXho Iと10単位のMl
u Iを加え、37℃で2時間消化反応を行った。該反応液
をアガロースゲル電気泳動後、約2.58kbのDNA断片を回
収した。
片(7.26kb)0.2μgとpAS3−3由来のXho I−Mlu I断
片(2.58kb)0.1μgをT4DNAリガーゼ緩衝液30μlに溶
解し、T4DNAリガーゼ175単位を加えて、12℃で16時間結
合反応を行った。該反応液を用いて大腸菌HB101株をコ
ーエンらの方法によって形質転換し、アンピシリン耐性
株を得た。この形質転換株から公知の方法に従ってプラ
スミドを単離した。このプラスミドをpASLB3−3と名付
け、その構造を制限酵素消化により確認した。
ニットを除去すると同時に、エプシュタイン・バール・
ウイルス(Epstein−Barr virus)の複製開始点(ori
P)とEBNA−1遺伝子(oriPにトランスに作用し複製を
引き起こす働きを持つ)を導入したプラスミドpASLBE3
−3の造成を以下のようにして行った。oriPとEBNA−1
遺伝子は、p201〔ビル・ズグデン(Bill Sugden)ら、
ネイチャー(Nature),313,812(1985)〕のNar I部位
にpUC12〔メッシング(Messing)ら:メソッド・イン・
エンザイモロジー(Methods in Enzymology),101,20
(1983)〕由来のマルチクローニングサイトを含むSma
I−Hae III断片が組み込まれたプラスミドであるp220.2
から切り出して使用した。
単位のEcoR Iを加え、37℃で2時間消化反応を行った。
エタノール沈殿後、30μlのDNAポリメラーゼI緩衝液
〔50mMトリス−塩酸(pH7.5)、10mM塩化マグネシウ
ム、0.1mM dATP(テオキシアデノシン3リン酸)、0.1m
M dCTP(デオキシシチジン3リン酸)、0.1mM dGTP(デ
オキシグアノシン3リン酸)、0.1mM TTP(チミジン3
リン酸)〕に溶解し、6単位の大腸菌DNAポリメラーゼ
I・クレノー断片を加え、37℃で60分間反応させ、EcoR
I消化によって生じた5'突出末端を平滑末端に変えた。
反応をフェノール抽出によって止め、クロロホルム抽出
とエタノール沈殿の後、20μlのT4DNAリガーゼ緩衝液
に溶解し、Xho Iリンカー(5'−pCCTCGAGG−3':宝酒造
社製)を0.05μgとT4DNAリガーゼ175単位を加えて、12
℃で16時間結合反応を行った。エタノール沈殿後、Y−
100緩衝液30μlに溶解し、10単位のBamH Iを加え、37
℃で2時間消化反応を行った。エタノール沈殿後、30μ
lのDNAポリメラーゼI緩衝液に溶解し、6単位の大腸
菌DNAポリメラーゼI・クレノー断片を加え、37℃で60
分間反応させ、BamH I消化によって生じた5'突出末端を
平滑末端に変えた。反応をフェノール抽出によって止
め、クロロホルム抽出とエタノール沈殿の後、Y−100
緩衝液30μlに溶解し、10単位のXho Iを加え、37℃で
2時間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル電
気泳動後、約4.9kbのDNA断片を回収した。
0緩衝液30μlに溶解し、20単位Xho Iを加え、37℃で2
時間消化反応を行った。エタノール沈殿の後、30μlの
DNAポリメラーゼI緩衝液に溶解し、6単位の大腸菌DNA
ポリメラーゼI・クレノー断片を加え、37℃で60分間反
応させ、Xho I消化によって生じた5'突出末端を平滑末
端に変えた。反応をフェノール抽出によって止め、クロ
ロホルム抽出とエタノール沈殿の後、10mMトリス−塩酸
(pH7.5)、6mM塩化マグネシウム、6mM 2−メルカプト
エタノールからなる緩衝液(以下、Y−0緩衝液と略記
する)30μlに溶解し、20単位のKpn Iを加え、37℃で
2時間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル電
気泳動後、約1.3kbのDNA断片を回収した。
ら:サイトテクノロジー(Cytotechnology),3,133
(1990)〕1μgをY−0緩衝液30μlに溶解し、20単
位のKpn Iを加え、37℃で2時間消化反応を行った。そ
の後、塩化ナトリウム濃度が100mMになるように塩化ナ
トリウムを添加し、20単位のXho Iを加え、さらに37℃
で2時間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル
電気泳動後、約6.0kbのDNA断片を回収した。
端)断片(4.9kb)0.2μgとpASLB3−3由来のXho I
(平滑末端)−Kpn I断片(1.3kb)0.1μgおよびpAGE1
07由来のKpn I−Xho I断片(6.0kb)0.2μgをT4DNAリ
ガーゼ緩衝液30μlに溶解し、T4DNAリガーゼ175単位を
加えて、12℃で16時間結合反応を行った。該反応液を用
いて大腸菌HB101株をコーエンらの方法によって形質転
換し、アンピシリン耐性株を得た。この形質転換株から
公知の方法に従ってプラスミドを単離した。このプラス
ミドをpASLBE3−3と名付け、その構造を制限酵素消化
により確認した。
にマルチクローニングサイトを導入したプラスミドpASL
BCを造成した。マルチクローニングサイトは、合成DNA
を用いて作製した。
液30μlに溶解し、20単位のSal Iと20単位のMlu Iを加
え、37℃で2時間消化反応を行った。該反応液をアガロ
ースゲル電気泳動後、約3.1kbのDNA断片を回収した。
解し、20単位のKpn Iを加え、37℃で2時間消化反応を
行った。その後、塩化ナトリウム濃度が150mMになるよ
うに塩化ナトリウムを添加し、20単位のMul Iを加え、
さらに37℃で2時間消化反応を行った。該反応液をアガ
ロースゲル電気泳動後、約6.0kbのDNA断片を回収した。
ためのリンカーとして以下のDNAリンカーを合成した。
なお、このリンカー中にはHind III、EcoR V、Sfi I、S
tu I、Not Iの各制限酵素切断部位が組み込まれてい
る。
番号4)の1本鎖DNAはそれぞれアプライド・バイオシ
ステムズ社380A・DNA合成機を用いて合成した。合成し
たDNAはそれぞれ0.2μgずつ、T4キナーゼ緩衝液20μl
に溶解し、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造社製、
以下同じ)30単位を加えて、37℃で2時間リン酸化反応
を行った。
(3.1kb)0.1μgと同プラスミド由来のKpn I−Mlu I断
片(6.0kb)0.2μgをT4DNAリガーゼ緩衝液30μlに溶
解し、上記DNAリンカーを0.01μgとT4DNAリガーゼ175
単位を加えて、12℃で16時間結合反応を行った。該反応
液を用いて大腸菌HB101株をコーエンらの方法によって
形質転換し、アンピシリン耐性株を得た。この形質転換
株から公知の方法に従ってプラスミドを単離した。この
プラスミドをpASLBCと名付け、その構造を制限酵素消化
により確認した。
トを除去し、oriPとEBNA−1遺伝子を導入したプラスミ
ドpASLBECを造成した。
液30μlに溶解し、20単位のMlu Iと20単位のXho Iを加
え、37℃で2時間消化反応を行った。該反応液をアガロ
ースゲル電気泳動後、約1.3kbのDNA断片を回収した。
解し、20単位のKpn Iを加え、37℃で2時間消化反応を
行った。その後、塩化ナトリウム濃度が150mMになるよ
うに塩化ナトリウムを添加し、5単位のMul Iを加え、
さらに37℃で20分間部分消化反応を行った。該反応液を
アガロースゲル電気泳動後、約9.6kbのDNA断片を回収し
た。
緩衝液30μlに溶解し、20単位のKpn Iを加え、37℃で
2時間消化反応を行った。その後、塩化ナトリウム濃度
が100mMになるように塩化ナトリウムを添加し、20単位
のXho Iを加え、さらに37度で2時間消化反応を行っ
た。該反応液をアガロースゲル電気泳動後、約0.6kbのD
NA断片を回収した。
(1.3kb)0.2μgと同プラスミド由来のKpn I−Mlu I断
片(9.6kb)0.2μg、およびpASLBC由来のKpn I−Xho I
断片(0.6kb)0.05μgをT4DNAリガーゼ緩衝液30μlに
溶解し、T4DNAリガーゼ175単位を加えて、12℃で16時間
結合反応を行った。該反応液を用いて大腸菌HB101株を
コーエンらの方法によって形質転換し、アンピシリン耐
性株を得た。この形質転換株から公知の方法に従ってプ
ラスミドを単離した。このプラスミドをpASLBECと名付
け、その構造を制限酵素消化により確認した。
にBamH Iリンカーを導入したプラスミドpASLBEC2を以下
のようにして造成した。pASLBEC2では、マルチクローニ
ングサイト中のStu Iサイトは消失している。
μlに溶解し、5単位のStu Iを加え、37℃で20分間部
分消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル電気泳
動後、約11.5kbのDNA断片を回収した。回収したDNA断片
を30μlのT4DNAリガーゼ緩衝液に溶解し、BamH Iリン
カー(5'−pCCGGATCCGG−3':宝酒造社製)を0.01μgと
T4DNAリガーゼ175単位を加えて、12℃で16時間結合反応
を行った。エタノール沈殿後、Y−100緩衝液30μlに
溶解し、20単位のBamH Iを加え、37℃で2時間消化反応
を行った。該反応液をアガロースゲル電気泳動後、約1
1.5kbのDNA断片を回収した。回収したDNA断片を20μl
のT4DNAリガーゼ緩衝液に溶解し、T4DNAリガーゼ175単
位を加えて、12℃で16時間結合反応を行った。該反応液
を用いて大腸菌HB101株をコーエンらの方法によって形
質転換し、アンピシリン耐性株を得た。この形質転換株
から公知の方法に従ってプラスミドを単離した。このプ
ラスミドをpASLBEC2と名付け、その構造を制限酵素消化
により確認した。
ターとHTLV−1のロング・ターミナル・リピート(long
terminal repeat:LTR)のR領域とU5領域の一部を融合
したプロモーター〕をモロニー・マウス白血病ウイルス
のロング・ターミナル・リピート(long terminal repe
at:LTR)のプロモーターにすげかえたプラスミドpAMoEC
2の造成を以下のようにして行った。モロニー・マウス
白血病ウイルスLTRのプロモーターは、プラスミドMolp
−1〔アキノリ・イシモト(Akinori Ishimoto)ら、ビ
ロロジー(Virology),141,30(1985)〕から切り出し
て使用した。
酸(pH7.5)、6mM塩化マグネシウム、5mM塩化カリウ
ム、6mM 2−メルカプトエタノールからなる緩衝液(以
下、K−50緩衝液と略記する)30μlに溶解し、20単位
のHind IIIと20単位のAat II(東洋紡績社製)を加え、
37℃で2時間消化反応を行った。該反応液をアガロース
ゲル電気泳動後、約4.8kbのDNA断片を回収した。
解し、20単位のAat IIを加え、37℃で2時間消化反応を
行った。その後、5単位のXho Iを加え、さらに37℃で2
0分間部分消化反応を行った。該反応液をアガロースゲ
ル電気泳動後、約6.1kbのDNA断片を回収した。
のリンカーとして以下のDNAリンカーを合成した。
プライド・バイオシステムズ社380A・DNA合成機を用い
て合成した。合成したDNAはそれぞれ0.2μgずつ、T4キ
ナーゼ緩衝液40μlに溶解し、T4ポリヌクレオチドキナ
ーゼ30単位を加えて、37℃で2時間リン酸化反応を行っ
た。
Ishimoto)ら、ビロロジー(Virology),141,30(198
5)〕1μgをY−50緩衝液30μlに溶解し、20単位のC
la Iを加え、37℃で2時間消化反応を行った。エタノー
ル沈殿後、30μLのT4DNAリガーゼ緩衝液に溶解し、上
記DNAリンカー0.01μgとT4DNAリガーゼ175単位を加え
て、12℃で16時間結合反応を行った。エタノール沈殿
後、K−20緩衝液30μlに溶解し、20単位のSam Iを加
え、37℃で2時間消化反応を行った。該反応液をアガロ
ースゲル電気泳動後、約0.6kbのDNA断片を回収した。回
収したDNA断片を30μlのT4DNAリガーゼ緩衝液に溶解
し、Hind IIIリンカー(5'−pCAAGCTTG−3':宝酒造社
製)を0.03μgとT4DNAリガーゼ175単位を加えて、12℃
で16時間結合反応を行った。エタノール沈殿後、10mMト
リス−塩酸(pH7.5)、6mM塩化マグネシウム、50mM塩化
ナトリウム、6mM 2−メルカプトエタノールからなる緩
衝液(以下、Y−50緩衝液と略記する)30μlに溶解
し、10単位のHind IIIを加え、37℃で2時間消化反応を
行った。その後、塩化ナトリウム濃度が100mMになるよ
うに塩化ナトリウムを添加し、10単位のXho Iを加え、
さらに37℃で2時間消化反応を行った。該反応液をアガ
ロースゲル電気泳動後、約0.6kbのDNA断片を回収した。
(4.8kb)0.2μgと同プラスミド由来のAat II−Xho I
断片(6.1kb)0.2μg、およびMolp−1由来のHind III
−Xho I断片(0.6kb)0.05μgをT4DNAリガーゼ緩衝液3
0μlに溶解し、T4DNAリガーゼ175単位を加えて、12℃
で16時間結合反応を行った。該反応液を用いて大腸菌HB
101株をコーエンらの方法によって形質転換し、アンピ
シリン耐性株を得た。この形質転換株から公知の方法に
従ってプラスミドを単離した。このプラスミドをpAMoEC
2と名付け、その構造を制限酵素消化により確認した。
トに、詰め込みDNA(Stuffer DNA)として、pBR322のテ
トラサイクリン耐性遺伝子を含むDNA断片〔Dra I−Pvu
II断片(2.5kb)〕を以下のようにして挿入し、プラス
ミドpAMoEC3を造成した。
μlに溶解し、20単位のBamH Iを加え、37℃で2時間消
化反応を行った。エタノール沈殿後、30μlのDNAポリ
メラーゼI緩衝液に溶解し、6単位の大腸菌DNAポリメ
ラーゼI・クレノー断片を加え、37℃で60分間反応さ
せ、BamH I消化によって生じた5'突出末端を平滑末端に
変えた。該反応液をアガロースゲル電気泳動後、約11.5
kbのDNA断片を回収した。
e),2,95(1977)〕1μgをY−50緩衝液30μlに溶
解し、20単位のDra Iと20単位のPvu IIを加え、37℃で
2時間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル電
気泳動後、約2.5kbのDNA断片を回収した。
片(11.5kb)0.1μgとpBR322由来のDra I−Pvu II断片
(2.5kb)0.2μgをT4DNAリガーゼ緩衝液30μlに溶解
し、T4DNAリガーゼ175単位を加えて、12℃で16時間結合
反応を行った。該反応液を用いて大腸菌HB101株をコー
エンらの方法によって形質転換し、アンピシリンとテト
ラサイクリンに耐性である株を得た。この形質転換株か
ら公知の方法に従ってプラスミドを単離した。このプラ
スミドをpAMoEC3と名付け、その構造を制限酵素消化に
より確認した。
を逆にしたプラスミドpAMoERC3を以下のようにして造成
した。
μlに溶解し、20単位のXho Iを加え、37℃で2時間消
化反応を行った。その後、1Mトリス−塩酸(pH8.0)を3
0μlと大腸菌アルカリフォスファターゼ(宝酒造社
製)1単位を加え、37℃で2時間脱リン酸化反応を行っ
た。エタノール沈殿後、10mMトリス−塩酸(pH8.0)、1
mM EDTA(エチレンジアミン4酢酸ナトリウム)からな
る緩衝液(以下、TE緩衝液と略記する)30μlに溶解
し、アガロースゲル電気泳動を行ない、約9.1kbのDNA断
片を回収した。
溶解し、20単位のXho Iを加え、37℃で2時間消化反応
を行った。該反応液をアガロースゲル電気泳動後、約4.
9kbのDNA断片を回収した。
μgと同プラスミド由来のXho I断片(4.9kb)0.2μg
をT4DNAリガーゼ緩衝液30μlに溶解し、T4DNAリガーゼ
175単位を加えて、12℃で16時間結合反応を行った。該
反応液を用いて大腸菌HB101株をコーエンらの方法によ
って形質転換し、アンピシリン耐性株を得た。この形質
転換株から公知の方法に従ってプラスミドを単離した。
このプラスミドをpAMoERC3と名付け、その構造を制限酵
素消化により確認した。
g)耐性遺伝子にすげかえたプラスミドpAGE207を以下の
ようにして造成した。hyg耐性遺伝子は、p201〔ビル・
ズグデン(Bill Sugden)ら、ネイチャー(Nature),3
13,812(1985)〕より切り出して使用した。
単位のCla Iを加え、37℃で2時間消化反応を行った。
その後、塩化ナトリウム濃度が150mMになるように塩化
ナトリウムを添加し、20単位のMlu Iを加え、さらに37
℃で2時間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲ
ル電気泳動後、約4.6kbのDNA断片を回収した。
ー(Nature),313,812(1985)〕0.5μgをY−50緩衝
液30μlに溶解し、20単位のNar I(ニュー・イングラ
ンド・バイオラボ(New Englnad Biolab)社製)を加
え、37℃で2時間消化反応を行った。エタノール沈殿
後、30μlのDNAポリメラーゼI緩衝液に溶解し、6単
位の大腸菌DNAポリメラーゼI・クレノー断片を加え、3
7℃で60分間反応させ、Nar I消化によって生じた5'突出
末端を平滑末端に変えた。反応をフェノール抽出によっ
て止め、クロロホルム抽出とエタノール沈殿の後、20μ
lのT4DNAリガーゼ緩衝液に溶解し、Cla Iリンカー(5'
pCATCGATG3':宝酒造社製)を0.05μgとT4DNAリガーゼ1
75単位を加えて、12℃で16時間結合反応を行った。エタ
ノール沈殿後、Y−50緩衝液30μlに溶解し、10単位の
Cla Iを加え、37℃で2時間消化反応を行った。その
後、塩化ナトリウム濃度が150mMになるように塩化ナト
リウムを添加し、10単位のMlu Iを加え、さらに37℃で
2時間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル電
気泳動後、約1.6kbのDNA断片を回収した。
kb)0.2μgとp201由来のCla I−Mlu I断片(1.6kb)0.
1μgをT4DNAリガーゼ緩衝液30μlに溶解し、T4DNAリ
ガーゼ175単位を加えて、12℃で16時間結合反応を行っ
た。該反応液を用いて大腸菌HB101株をコーエンらの方
法によって形質転換し、アンピシリン耐性株を得た。こ
の形質転換株から公知の方法に従ってプラスミドを単離
した。このプラスミドをpAGE207と名付け、その構造を
制限酵素消化により確認した。
の類似配列を除去するため、pAGE207のBal IサイトにSc
a Iリンカーを挿入したプラスミドpAGE207ScNを以下の
ようにして造成した。pAGE207ScNにおいては、挿入され
たSca Iリンカーの数は明らかではない。
μlに溶解し、10単位のBal Iを加え、37℃で2時間消
化反応を行った。エタノール沈殿後、20μlのT4DNAリ
ガーゼ緩衝液に溶解しSca Iリンカー(5'pAAGTACTT3':
宝酒造社製)を0.01μgとT4DNAリガーゼ175単位を加え
て、12℃で16時間結合反応を行った。該反応液を用いて
大腸菌HB101株をコーエンらの方法によって形質転換
し、アンピシリン耐性株を得た。この形質転換株から公
知の方法に従ってプラスミドを単離した。このプラスミ
ドをpAGE207ScNと名付け、その構造を制限酵素消化によ
り確認した。
Sfi Iサイトの類似配列を除去するため、以下のように
してpAMoERC3中のラビットβグロビン遺伝子を、すでに
その類似配列を除去してあるpAGE207ScN中のラビットβ
グロビン遺伝子にすげかえ、プラスミドpAMoERC3Scを造
成した。造成の都合上、まずpAMoC3Scを造成し、次いで
pAMoERC3Scの造成を行った。前記のpAGE207ScNにおいて
は、Sfi Iサイトの類似配列を除去するために挿入され
たSca Iリンカーの数は明らかではないが、pAMoERC3Sc
の場合は、造成の際にpAGE207ScNを一度Sca Iで切断し
ているため、押入されたSca Iサイトの数は1つである
と推定される。
30μlに溶解し、20単位のKpn Iを加え、37℃で2時間
消化反応を行った。その後、塩化ナトリウム濃度が100m
Mになるように塩化ナトリウムを添加し、20単位のSca I
を加え、さらに37℃で2時間消化反応を行った。該反応
液をアガロースゲル電気泳動後、約0.7kbのDNA断片を回
収した。
溶解し、20単位のSca Iと20単位のCla Iを加え、37℃で
2時間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル電
気泳動後、約0.9kbのDNA断片を回収した。
0緩衝液30μlに溶解し、20単位のKpn Iを加え、37℃
で2時間消化反応を行った。その後、塩化ナトリウム濃
度が100mMになるように塩化ナトリウムを添加し、20単
位のXho Iを加え、さらに37℃で2時間消化反応を行っ
た。該反応液をアガロースゲル電気泳動後、約3.2kbのD
NA断片を回収した。
00緩衝液30μlに溶解し、20単位のXho Iと20単位のCla
Iを加え、37℃で2時間消化反応を行った。該反応液を
アガロースゲル電気泳動後、約4.3kbのDNA断片を回収し
た。
(0.7kb)0.1μgと同プラスミド由来のSca I−Cla I断
片(0.9kb)0.1μg、pAMoERC3由来のKpn I−Xho I断片
(3.2kb)0.3μg、およびpAGE107由来のXho I−Cla I
断片(43kb)0.3μgをT4DNAリガーゼ緩衝液30μlに溶
解し、T4DNAリガーゼ175単位を加えて、12℃で16時間結
合反応を行った。該反応液を用いて大腸菌HB101株をコ
ーエンらの方法によって形質転換し、アンピシリン耐性
株を得た。この形質転換株から公知の方法に従ってプラ
スミドを単離した。このプラスミドをpAMoC3Scと名付
け、その構造を制限酵素消化により確認した。
μlに溶解し、20単位のKpn Iを加え、37℃で2時間消
化反応を行った。その後、塩化ナトリウム濃度が150mM
になるように塩化ナトリウムを添加し、20単位のMlu I
を加え、さらに37℃で2時間消化反応を行った。該反応
液をアガロースゲル電気泳動後、約6.8kbのDNA断片を回
収した。
溶解し、20単位のXho Iと20単位のMlu Iを加え、37℃で
2時間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル電
気泳動後、約1.3kbのDNA断片を回収した。
0緩衝液30μlに溶解し、20単位のKpn Iを加え、37℃
で2時間消化反応を行った。その後、塩化ナトリウム濃
度が100mMになるように塩化ナトリウムを添加し、20単
位のXho Iを加え、さらに37℃で2時間消化反応を行っ
た。該反応液をアガロースゲル電気泳動後、約5.9kbのD
NA断片を回収した。
8kb)0.2μgと同プラスミド由来のXho I−Mlu I断片
(1.3kb)0.05μg、およびpAMoC3Sc由来のKpn I−Xho
I断片(5.9kb)0.2μgをT4DNAリガーゼ緩衝液30μlに
溶解し、T4DNAリガーゼ175単位を加えて、12℃で16時間
結合反応を行った。該反応液を用いて大腸菌HB101株を
コーエンらの方法によって形質転換し、アンピシリン耐
性株を得た。この形質転換株から公知の方法に従ってプ
ラスミドを単離した。このプラスミドをpAMoERC3Scと名
付け、その構造を制限酵素消化により確認した。
て、モロニー・マウス白血病ウイルスのロング・ターミ
ナル・リピート(long terminal repeat)を有してい
る。また、異種遺伝子の効率良い発現のために、ラビッ
トβグロビン遺伝子スプラインシングシグナル、ラビッ
トβグロビン遺伝子ポリA付加シグナルおよびSV40初期
遺伝子ポリA付加シグナルが、挿入した異種遺伝子の後
ろに付加するようにデザインされている。また、動物細
胞用の薬剤耐性マーカーとしてG418耐性遺伝子を、大腸
菌用の薬剤耐性マーカーとしてカナマイシン耐性遺伝子
(G418耐性遺伝子と同じもの)とアンピシリン耐性遺伝
子を有している。さらに,エプシュタイン・バール・ウ
イルス(Epstein−Barr virus)の複製開始点(oriP)
とEBNA−1遺伝子(oriPにトランスに作用し複製を引き
起こす働きを有する)を有するため、ナマルバ細胞をは
じめとしてゲッ歯類を除く多くの細胞中で、染色体に組
み込まれることなくプラスミド状態で存在することがで
きる。
の両末端にSfi Iリンカーを付加した後、pAMoERC3Sc中
のSfi I部位に組み込むことにより行うことができる。
している細胞を宿主として用いる際には、プラスミドpA
MoERC3Sc中のEBNA−1遺伝子がなくても、宿主に導入し
たプラスミドは染色体に組み込まれることなくプラスミ
ド状態で存在することができると考えられる。そこで、
pAMoERC3Sc中からEBNA−1遺伝子を除去したプラスミド
pAMoPRC3Scの造成を以下のようにして行った。pAMoPRC3
SCは、pAMoERC3Scと同様にして直接発現クローニングベ
クターとして使用することができる。
30μlに溶解し、20単位のNsi I〔ニュー・イングラン
ド・、バイオラブズ(New England Biolabs)社製〕を
加え、37℃で2時間消化反応を行った。エタノール沈殿
後、30μlのDNAポリメラーゼI緩衝液に溶解し、6単
位の大腸菌DNAポリメラーゼI・クレノー断片を加え、3
7℃で60分間反応させ、Nsi I消化によって生じた3'突出
末端を平滑末端に変えた。反応をフェノール抽出によっ
て止め、クロロホルム抽出とエタノール沈殿の後、Y−
100緩衝液30μlに溶解し、20単位のNot Iを加え、37℃
で2時間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル
電気泳動後、約8.1kbのDNA断片を回収した。
溶解し、20単位のXho Iを加え、37℃で2時間消化反応
を行った。エタノール沈殿後、30μlのDNAポリメラー
ゼI緩衝液に溶解し、6単位の大腸菌DNAポリメラーゼ
I・クレノー断片を加え、37℃で60分間反応させ、Xho
I消化によって生じた5'突出末端を平滑末端に変えた。
反応をフェノール抽出によって止め、クロロホルム抽出
とエタノール沈殿の後、Y−100緩衝液30μlに溶解
し、20単位のNot Iを加え、37℃で2時間消化反応を行
った。該反応液をアガロースゲル電気泳動後、約3.2kb
のDNA断片を回収した。
−Not I断片(8.1kb)0.1μgと同プラスミド由来のXho
I(平滑末端)−Not I断片(3.2kb)0.1μgをT4DNAリ
ガーゼ緩衝液30μlに溶解し、T4DNAリガーゼ175単位を
加えて、12℃で16時間結合反応を行った。該反応液を用
いて大腸菌HB101株をコーエンらの方法によって形質転
換し、アンピシリン耐性株を得た。この形質転換株から
公知の方法に従ってプラスミドを単離した。このプラス
ミドをpAMoPRC3Scと名付け、その構造を制限酵素消化に
より確認した。
A(WP1)のクローン化 (1)ヒト・メラノーマ細胞株WM266−4細胞からのmRN
Aの取得 1×108個のWM266−4細胞(ATCC CRL 1676)より、
インビトロジェン(Invitrogen)社製のmRNA抽出キット
であるファーストトラック(Fast Track;商品番号K1593
−02)を用いて、約30μgのmRNAを取得した。具体的試
薬および方法は、キットに付与されている説明書に従っ
た。
ットであるcDNA合成システム(cDNA Synthesis Syste
m)を用いて、オリゴdTをプライマーとして2本鎖cDNA
を合成した。その際、逆転写酵素としてはキット中のMo
loney Murine Leukemia Virus(M−MLV)reverse tran
scriptaseの代わりに、同社のSuper ScriptTM RNase H
−Reverse Transcriptaseを使用した。その後、cDNAの
両末端に以下に示すSfi Iリンカーを付与し、アガロー
スゲル電気泳動によりcDNAをサイズにより分画を行な
い、約1.6kb以上のcDNA断片を回収した。
れアプライド・バイオシステムズ社380A・DNA合成機を
用いて合成した。合成したDNAはそれぞれ50μgずつ、
別々にT4キナーゼ緩衝液50μlに溶解し、T4ポリヌクレ
オチドキナーゼ(宝酒造社製)30単位を加えて、37℃で
16時間リン酸化反応を行った。上記で合成した2本鎖cD
NAおよび上記でリン酸化したリンカー(11merのものを
4μgと8merのものを2.9μg)をT4DNAリガーゼ緩衝液
45μlに溶解し、T4DNAリガーゼ1050単位を加えて、16
℃で16時間結合反応を行った。該反応液をアガロースゲ
ル電気泳動に供した後、約1.6kb以上のcDNA断片を回収
した。
ベクター(Expression Cloning Vector)であるpAMoPRC
3Scの24μgをY−50緩衝液590μlに溶解し、80単位の
Sfi Iを加え、37℃で16時間消化反応を行った。その
後、その一部(5μl)をアガロースゲル電気泳動にか
け、切断が完了したことを確認後、cDNAライブラリー造
成時のバックグラウンド(cDNAインサートが挿入されて
いないクローン)の量を減少させるため、40単位のBamH
Iを加え、さらに37℃で2時間消化反応を行った。その
後、該反応液をアガロースゲル電気泳動に供した後、約
8.8kbのDNA断片を回収した。
2μgと上記で精製したcDNAをT4DNAリガーゼ緩衝液250
μlに溶解し、T4DNAリガーゼ2000単位を加えて、16℃
で16時間結合反応を行った。その後、トランスファーRN
A(tRNA)5μgを添加し、エタノール沈殿後、TE緩衝
液20μlに溶解した。該反応液を用いて大腸菌LE392株
〔マニアティス(Maniatis)ら編集:モレキュラー・ク
ローニング(Molecular Cloning)、第2版、Cold Spri
ng Harbor 1989年刊行〕をエレクトロポーレーション法
〔ウイリアム・ジェイ・ドゥワー(William J.Dower)
ら:ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acid
s Res.),16,6127(1988)〕により形質転換し、約26
万個のアンピシリン耐性株を得た。
るcDNA(WP1)のクローン化 上記で得られた約26万個のアンピシリン耐性化(cDNA
ライブラリー)を混合した後、キィアジェン(Qiagen)
社製のプラスミド調製キットである〉plasmid〈maxi ki
t(商品番号41031)を用いてプラスミドを調製した。取
得したプラスミドはエタノール沈殿後、1μg/μlとな
るようにTE緩衝液に溶解した。
地(Miyaji)ら:サイトテクノロジー(Cytotechnolog
y),3,133(1990)〕により、無血清培地馴化ナマル
バ細胞(KJM−1株)〔細井ら、サイトテクノロジー(C
ytotechnology),1,151(1988)〕に導入した。1.6×
106細胞あたり4μgのプラスミドを導入した後、8mlの
RPM1640・ITPSGF培地〔7.5%炭酸水素ナトリウムを1/40
量、200mM L−グルタミン溶液(GIBCO社製)を3%、ペ
ニシリン・ストレプトマイシン溶液(GIBCO社製、5000u
nits/mlペニシリン、5000μg/mlストレプトマイシン)
を0.5%、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N'−
2−ヒドロキシプロパン−3−スルフォニック・アシッ
ド(N−2−hydroxyethylpiperazine−N'−2−hydrox
ypropane−3−sulfonic acid;HEPES)(10mM)、イン
シュリン(3μg/ml)、トランスフェリン(5μg/m
l)、ピルビン酸ナトリウム(5mM)、亜セレン酸ナトリ
ウム(125nM)、ガラクトース(1mg/ml)、プルロニッ
ク(Pluronic)F68(0.1%w/v)を添加したRPMI1640培
地(日水製薬社製)〕に縣濁し、炭酸ガスインキュベー
ターで37℃で24時間培養した。その後、G418(ギブコ社
製)を0.5mg/mlになるように添加して、さらに7日間培
養し、形質転換株を得た。得られた形質転換株は、0.5m
g/mlのG418を含むRPMI1640・ITPSGF培地で培養後、約3
×107個の細胞を、ガングリオシドGD3に対する抗体であ
るKM−643(EP−A−0493686)を用いた間接蛍光抗体染
色に供した。間接蛍光抗体染色の操作は以下のとおりで
ある。
ーブ:ファルコン社製)にとり、遠心分離(130×g、1
0分間)により細胞を集めた。ついで、0.1%のアジ化ナ
トリウムを含むリン酸緩衝液PBS(A−PBS;8g/l塩化ナ
トリウム,0.2g/l塩化カリウム、1.15g/lリン酸水素2ナ
トリウム(無水),0.2g/lリン酸2水素カリウム,0.1%
アジ化ナトリウム)20mlで細胞の洗浄を行った。集めた
細胞に対しKM−643を0.8ml(10μg/ml)加えて懸濁し、
4℃で1時間反応させた。ついで、細胞をA−PBSで2
回洗浄した後、フルオレセインイソチオシアネート(FI
TC)で蛍光標識した抗マウスIgG抗体および抗マウスIgM
抗体〔キルケガード・アンド・ペリー・ラボラトリーズ
(KIRKEGAAD & PERRY LABORATORIES)社製;A−PBSで16
倍希釈して使用した〕を320μl加えて懸濁し、4℃で3
0分間反応させた。細胞をA−PBSで2回洗浄した後、A
−PBS1mlに懸濁し、フルオレッセンス・アクティベーテ
ッド・セル・ソーター〔エピックス・エリート・フロー
サイトメーター(EPICS Elite Flow Cytometer);コー
ルター(COULTER)社製〕を用いて、蛍光強度の高い細
胞(上位1%)を無菌的に分離回収した。回収した細胞
は、0.5mg/mlのG418を含むRPMI1640・ITPSGF培地で培養
し増殖させた。増殖した細胞について、再度同様の操作
を繰り返すことにより蛍光強度の高い細胞を分離濃縮し
た。2回目の操作では蛍光強度の高い細胞(上位1.5
%)を、3回目の操作では蛍光強度の高い細胞(上位3
%)を、4回目の操作では蛍光強度の高い細胞(上位3
%)を、5回目の操作では蛍光強度の高い細胞(上位8
%)を分離回収した。その結果、蛍光強度の増加した細
胞、すなわちガングリオシドGD3の発現量の増加した細
胞を取得することができた。そこで、その細胞を0.5mg/
mlのG418を含むRPMI1640・ITPSGF培地で培養後、約5×
106の細胞からハート法〔ロバート・エフ・マーゴルス
キー(Robert F.Margolskee)ら:モレキュラー・アン
ド・セリュラー・バイオロジー(Mol.Cell.Biol.),
8,2837(1988)〕によりプラスミドを回収した。回収
したプラスミドは、エレクトロポーレーション法〔ウイ
リアム・ジェイ・ドゥワー(William J.Dower)ら:ヌ
クレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acids Re
s.),16,6127(1988)〕により大腸菌LE392株に導入
し、アンピシリン耐性株を取得した。その形質転換株よ
りキィアジェン(Qiagen)社製のプラスミド調製キット
を用いてプラスミドを調製し、その構造を各種制限酵素
で切断して調べたところ、約2.1kbのcDNAを含んでいる
ことが明らかとなった。このプラスミドをpAMoPRWP1と
名付け、これを上記と同様のの方法で再度KJM−1株に
導入し、KM−643を用いた間接蛍光抗体染色を行ったと
ころ、このプラスミドを有するKJM−1株では、コント
ロールプラスミド(pAMoPRC3Sc)を導入したKJM−1株
に比べ、ガングリオシドGD3の発現量が約30倍に増加し
ていることが判明した。
産を促進する活性を有するα2,8−シアリルトランスフ
ェラーゼをコードする遺伝子であることが明らかとなっ
た。
A(WP1)の塩基配列の決定 (1)α2,8−シアリルトランスフェラーゼをコードす
るcDNA(WP1)のpUC119への組み込み(第16図参照) 上記2項(3)で得られたpAMoPRWP1の2μgをY−8
0緩衝液50μlに溶解し、30単位のHind IIIおよび30単
位のAsp718を加え、37℃で2時間消化反応を行った。エ
タノール沈殿後、30μlのDNAポリメラーゼI緩衝液に
溶解し、6単位の大腸菌DNAポリメラーゼI・クレノー
断片を加え、37℃で60分間反応させ、Hind III消化によ
って生じた5'突出末端およびAsp718消化によって生じた
5'突出末端を平滑末端に変えた。該反応液をアガロース
ゲル電気泳動に供した後、約2.2kbのDNA断片を回収し
た。
・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymolog
y),153,3(1987)〕1μgをY−100緩衝液30μlに
溶解し、20単位のHinc IIを加え、37℃で2時間消化反
応を行った。その後、1Mトリス−塩酸(pH8.0)を30μ
lと大腸菌アルカリフォスファターゼ(宝酒造社製)1
単位を加え、37℃で2時間脱リン酸化反応を行った。エ
タノール沈殿後、TE緩衝液30μlに溶解し、アガロース
ゲル電気泳動を行ない、約3.16kbのDNA断片を回収し
た。
端)−Asp718(平滑末端)断片(2.2kb)0.05μgとpUC
119由来のHinc II断片(3.16kb)0.05μgをT4DNAリガ
ーゼ緩衝液30μlに溶解し、T4DNAリガーゼ175単位を加
えて、12℃で16時間結合反応を行った。
ン(Yanisch−Perron)ら:ジーン(Gene),33,103(1
985)〕をコーエンらの方法によって形質転換し、アン
ピシリン耐性株を得た。これらの形質転換株から公知の
方法に従ってプラスミドを単離し、その構造を制限酵素
消化により確認した。pAMoPRWP1由来Hind III(平滑末
端)−Asp718(平滑末端)断片のpUC119中での向きが異
なる2種のプラスミドを単離し、それぞれのプラスミド
をpUC119−WP1およびpUC119−WP1Rと命名した。
AであるWP1の全塩基配列は以下に示す手順に従って決定
した。
し、40単位のSac Iを加え、37℃で16時間消化反応を行
った。その後、塩化ナトリウム濃度が80mMになるように
塩化ナトリウムを添加し、40単位のAsp718を加え、さら
に37℃で2時間消化反応を行った。エタノール沈殿後、
Exo III緩衝液(宝酒造社製のキロシークエンス用デレ
ーションキットに添付されている)100μlに溶解し
た。
緩衝液30μlに溶解し、40単位のSph Iおよび40単位のN
ot Iを加え、37℃で16時間消化反応を行った。エタノー
ル沈殿後、Exo III緩衝液(宝酒造社製のキロシークエ
ンス用デレーションキットに添付されている)100μL
に溶解した。
片およびpUC119−WP1R由来のSph I−Not I断片より、宝
酒造社製のキロシークエンス用デレーションキットを用
いて合計13種の欠失変異プラスミドを作製した。具体的
な試薬および方法は、キットに付与されている説明書に
従った。
プライド・バイオシステムズ社の塩基配列決定キット
(Taq DyeDeoxyTM Terminator Cycle Sequencing Kit;
商標番号401113)を用いて決定した。上記欠失変異プラ
スミドを用いて決定できない部分の配列は、欠失変異プ
ラスミドを用いて決定された塩基配列を基に合成したDN
Aをプライマーとして用いることにより決定した。得ら
れたWP1の塩基配列を配列番号1に示した。その結果、W
P1は、356アミノ酸からなるタンパク質をコードしてい
ることが明らかになった。そのアミノ酸配列より、この
タンパク質がグリコシルトランスフェラーゼ(GT)に共
通な構造を有することが明らかになった。すなわち、N
末端の29アミノ酸を細胞質側に出し、それに続く19アミ
ノ酸からなる疎水製に富む領域で膜に結合し、残りの大
半のC末端部分(触媒部位を含む)をゴルジ体内腔に露
出するといった構造をとると考えられる。また、これま
でに構造が明らかになっているグリコシルトランスフェ
ラーゼとアミノ酸配列を比較したところ、2種のα2,3
−シアリルトランスフェラーゼ〔ウェン(Dawn X.Wen)
ら:ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー
(J.Biol.Chem.),267,21011(1992);ギレスピー(W
illiam Gillespie)ら:ジャーナル・オブ・バイオロジ
カル・ケミストリー(J.Biol.Chem.),267,21004(199
2)〕およびα2,6−シアリルトランスフェラーゼ〔ワイ
ンスタイン(Jasminder Weinstein)ら:ジャーナル・
オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Che
m.),262,17735(1987)〕と部分的に相同性があるこ
とが判明した。WP1をナマルバ細胞内で発現させるとガ
ングリオシドGD3の発現が増加すること、WP1のコードす
るタンパク質がシアリルトランスフェラーゼと相同性を
有すること、およびWP1のコードするタンパク質のアミ
ノ酸配列が公知のシアリルトランスフェラーゼと異なる
ことから、WP1は新規シアリルトランスフェラーゼをコ
ードしていると考えられる。
3を発現しているが、ガングリオシドGD3は発現していな
い。ガングリオシドGD3は、ガングリオシドGM3の末端の
シアル酸にα2,8結合でさらにシアル酸が付加されるこ
とにより生成し、この反応を触媒する酵素がα2,8−シ
アリルトランスフェラーゼである。したがって、以上の
結果からWP1はα2,8−シアリルトランスフェラーゼをコ
ードしていると考えられる。
ラスミドを導入したKJM−1株におけるガングリオシドG
D3の合成 プラスミドpAMoPRC3SC(直接発現クローニングベクタ
ー;コントロール)およびpAMoPRWP1(α2,8−シアリル
トランスフェラーゼ発現プラスミド)をキィアジェン
(Qiagen)社製のプラスミド調製キットである〉plasmi
d〈maxi kit(商品番号41031)を用いて調製した。取得
したプラスミドはエタノール沈殿後、1μg/μlになる
ようにTE緩衝液に溶解した。その後、両プラスミドを、
エレクトロポーレーション法〔宮地(Miyaji)ら:サイ
トテクノロジー(Cytotechnology),3,133(1990)〕
により、それぞれナマルバKJM−1株に導入した。1.6×
106細胞あたり4μgのプラスミドを導入後、8mlのRPMI
1640・ITPSGF培地に懸濁し、炭酸ガスインキュベーター
で37℃で24時間培養した。その後、G418(ギブコ社製)
を0.5mg/mlになるように添加して7日間培養した。その
後、22mlのRPMI1640・ITPSGF培地(0.5mg/mlのG418を含
む)を添加し、さらに5日間培養し形質転換株を得た。
取得した形質転換株を、G418を0.5mg/ml含むRPMI1640・
ITPSGF培地で培養した後、それぞれ約1×106個の細胞
をマイクロチューブ(1.5ml:エッペンドルフ社製)にと
り、遠心分離(550×g、7分間)により細胞を集め
た。ついで、0.1%のアジ化ナトリウムを含むリン酸緩
衝液PBS(A−PBS;8g/l塩化ナトリウム,0.2g/l塩化カリ
ウム、1.15g/lリン酸水素2ナトリウム(無水),0.2g/l
リン酸2水素カリウム,0.1%アジ化ナトリウム)1mlで
細胞の洗浄を行った。集めた細胞に対し、ガングリオシ
ドGD3に対する抗体であるKM−643(EP−A−0493686)
を用いて間接蛍光抗体染色を行ない、これらの細胞にお
けるガングリオシドGD3の発現を調べた。即ち、集めた
細胞に対しKM−643をそれぞれ50μl(10μg/ml)加え
て懸濁し、4℃で1時間反応させた。細胞をA−PBSで
2回洗浄した後、フルオレッセインイソチオシアネート
(FITC)で蛍光標識した抗マウスIgG抗体およびIgM抗体
〔キルケガード・アンド・ペリー・ラボラトリーズ(KI
RKEGAAD & PERRY LABORATORIES)社製;A−PBSで16倍希
釈して使用した〕20μlを加えて懸濁し、4℃で30分間
反応させた。さらに、細胞をA−PBSで3回洗浄した
後、再度A−PBSに懸濁し、エピックス・エリート・フ
ローサイトメーター〔EPICS Elite Flow Cytometer);
コールター(COULTER)社製〕で解析を行った。対照と
して、KM−643の代わりに正常マウス血清(A−PBSで50
0倍希釈して使用)を用いて上記と同様の実験を行っ
た。
pAMoPRC3Sc(コントロールプラスミド)を導入したKJM
−1株において、KM−643で染色した細胞の蛍光強度
は、対照の蛍光強度とほぼ同じであることから、KJM−
1株はガングリオシドGD3を発現していないことが確認
された。また、KM−643による染色処理を施したpAMoPRW
P1(α2,8−シアリルトランスフェラーゼ発現プラスミ
ド)を有するKJM−1株の蛍光強度は、KM−643による染
色処理を施したpAMoPRC3Sc(コントロールプラスミド)
を有するKJM−1株の蛍光強度に比べて約25倍強いこと
がわかった。
ランスフェラーゼを細胞内で発現させることによりガン
グリオシドGD3を新たに合成できることが示された。
産 1.分泌発現ベクターpAMoPRSAの造成: (1)pAGE147の造成(第18図参照) pAGE107のSV40初期遺伝子プロモーターをモロニー・
マウス白血病ウイルスのLTRのプロモーターにすげかえ
たプラスミドpAGE147の造成を行った。
−0緩衝液30μlに溶解し、20単位のSma Iを加え、30
℃で3時間消化反応を行った。その後、塩化ナトリウム
を50mMになるように添加し、20単位のCla Iを加えて37
℃で2時間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲ
ル電気泳動に供した後、モロニー・マウス白血病ウイル
スのLTRプロモーターを含む約0.6kbのDNA断片を回収し
た。
Aをそれぞれ25ピコモル(pmoles)ずつT4キナーゼ緩衝
液10μlに溶解し、5単位のT4DNAキナーゼを加え、37
℃で30分間反応させることにより5'末端をリン酸化し
た。
b)0.05μgと5'リン酸化された2種の合成DNA(1ピコ
モルずつ)およびHind IIIリンカー(5'−pCAAGCTTG−
3';宝酒造社製)(1ピコモル)をT4DNAリガーゼ緩衝液
30μlに溶解し、T4DNAリガーゼ200単位を加え、12℃で
16時間結合反応を行った。エタノール沈澱により該DNA
断片を回収した後、Y−100緩衝液に溶解し、10単位のH
ind IIIおよび10単位のXho Iを加えて37℃で2時間消化
反応を行った。反応をフェノール−クロロホルム抽出に
より停止させ、エタノール沈澱により該DNA断片を回収
した。
クノロジー(Cytotechnology),3,133(1990)]1μ
gを30μlのY−100緩衝液に溶解し、10単位のHind II
Iと10単位のXho Iを加えて37℃で2時間消化反応を行っ
た。該反応液をアガロースゲル電気泳動に供した後、G4
18耐性遺伝子およびアンピシリン耐性遺伝子を含む約6.
0kbのDNA断片を回収した。
(6.0kb)0.3μgとpPMOL1由来のHind III−Xho I断片
(0.6kb)0.01μgをT4DNAリガーゼ緩衝液20μlに溶解
し、T4DNAリガーゼ200単位を加え、12℃で16時間結合反
応を行った。
によって形質転換し、アンピシリン耐性株を得た。この
形質転換株から公知の方法に従ってプラスミドを単離し
た。このプラスミドをpAGE147と名付け、その構造を制
限酵素消化により確認した。
マイス白血病ウイルスのLTRのプロモーターにすげかえ
たプラスミドpAGE247の造成を以下のようにして行っ
た。
緩衝液に溶解し、10単位のHind IIIと10単位のXho Iを
加えて37℃で2時間消化反応を行った。該反応液をアガ
ロースゲル電気泳動に供した後、モロニー・マウス白血
病ウイルスのLTRプロモーターを含む約0.63kbのDNA断片
を回収した。
μg)を30μlのY−100緩衝液に溶解し、10単位のHin
d IIIと10単位のXho Iを加えて37℃で2時間消化反応を
行った。該反応液をアガロースゲル電気泳動に供した
後、ハイグロマイシン耐性遺伝子およびアンピシリン耐
性遺伝子を含む約5.84kbのDNA断片を回収した。
(0.63kb)0.05μgとpAGE207由来のHind III−Xho I断
片(5.84kb)0.1μgをT4DNAリガーゼ緩衝液30μlに溶
解し、T4DNAリガーゼ100単位を加え、12℃で16時間結合
反応を行った。
によって形質転換し、アンピシリン耐性株を得た。この
形質転換株から公知の方法に従ってプラスミドを単離し
た。このプラスミドをpAGE247と名付け、その構造を制
限酵素消化により確認した。
ーとし、ハイグロマイシン耐性遺伝子をマーカーとして
有する、ヒト顆粒球コロニー刺激因子誘導体の発現プラ
スミドpAMN6hygの造成を行った。
μlに溶解し、20単位のCal Iを加え、37℃で2時間消
化反応を行った。その後、塩化ナトリウムを175mMにな
るように添加し、20単位のSal Iを加えて37℃で2時間
消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル電気泳動
に供した後、モロニー・マウス白血病ウイルスのLTRプ
ロモーター、アンピシリン耐性遺伝子およびハイグロマ
イシン耐性遺伝子を含む約4.8kbのDNA断片を回収した。
ラスミドpASN6(2μg)をY−50緩衝液30μlに溶解
し、20単位のCla Iを加え、37℃で2時間消化反応を行
った。その後、塩化ナトリウムを175mMになるように添
加し、20単位のSal Iと20単位のMlu Iを加えて37℃で2
時間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル電気
泳動に供した後、ヒト顆粒球コロニー刺激因子誘導体遺
伝子を含む約5.0kbのDNA断片を回収した。
kb)0.1μgとpASN6由来のCla I−Sal I断片(5.0kb)
0.1μgをT4DNAリガーゼ緩衝液20μlに溶解し、T4DNA
リガーゲ200単位を加え、12℃で16時間結合反応を行っ
た。
によって形質転換し、アンピシリン耐性株を得た。この
形質転換株から公知の方法に従ってプラスミドを単離し
た。このプラスミドをpAMN6hygと名付け、その構造を制
限酵素消化により確認した。
菌(Staphylococcus aureus)プロテインAの免疫グロ
ブリンG(IgG)結合領域と融合させた形で分泌発現す
るためのベクターpAMoERSAの造成を以下のようにして行
った。
衝液30μlに溶解し、20単位のSnaB Iを加え、37℃で2
時間消化反応を行った。その後、塩化ナトリウムを100m
Mになるように添加し、20単位のXba Iを加えて37℃で2
時間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル電気
泳動に供した後、ヒト顆粒球コロニー刺激因子のシグナ
ル配列を含む約0.33kbのDNA断片を回収した。
グ(Protein Engineering),2,481(1989)]2μg
をY−50緩衝液30μlに溶解し、20単位のCla Iを加
え、37℃で2時間消化反応を行った。エタノール沈殿の
後、30μlのDNAポリメラーゼI緩衝液に溶解し、6単
位の大腸菌DNAポリメラーゼI・クレノー断片を加え、3
7℃で60分間反応させ、Cla I消化によって生じた5'突出
末端を平滑末端に変えた。反応をフェノール抽出によっ
て止め、クロロホルム抽出とエタノール沈澱の後、Y−
100緩衝液30μlに溶解し、20単位のBamH Iを加え、37
℃で2時間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲ
ル電気泳動に供した後、プロテインAのIgG結合領域を
含む約0.21kbのDNA断片を回収した。
2μgをY−100緩衝液30μlに溶解し、20単位のXba I
と20単位のBamH Iを加え、37℃で2時間消化反応を行っ
た。該反応液をアガロースゲル電気泳動に供した後、約
12.1kbのDNA断片を回収した。
(0.33kb)0.05μgとpPrAS1由来のCla I(平滑末端)
−BamH I断片(0.21kb)0.05μg、およびpAMoERC3Sc由
来のXba I−BamH I断片(12.1kb)0.1μgをT4DNAリガ
ーゼ緩衝液30μlに溶解し、T4DNAリガーゼ175単位を加
えて、12℃で16時間結合反応を行った。
によって形質転換し、アンピシリン耐性株を得た。この
形質転換株から公知の方法に従ってプラスミドを単離し
た。このプラスミドをpAMoERSAと名付け、その構造を制
限酵素消化により確認した。
MoPRSAの造成を以下のようにして行った。pAMoPRSAは、
pAMoERSAと同様に分泌発現ベクターとして使用できる。
MgCl2、80mM NaCl、6mM 2−メルカプトエタノールから
なる緩衝液(以下、Y−80緩衝液と略記する)30μlに
溶解し、20単位のXba Iと20単位のAsp718[ベーリンガ
ー・マンハイム(Boehringer Manheim)社製]を加え、
37℃で2時間消化反応を行った。該反応液をアガロース
ゲル電気泳動後、約1.3kbのDNA断片を回収した。
溶解し、20単位のXba Iと20単位のAsp718を加え、37℃
で2時間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル
電気泳動に供した後、約8.5kbのDNA断片を回収した。
kb)0.05μgとpAMoPRC3Sc由来のXba I−Asp718断片
(8.5kb)0.1μgをT4DNAリガーゼ緩衝液30μlに溶解
し、T4DNAリガーゼ175単位を加えて、12℃で16時間結合
反応を行った。
によって形質転換し、アンピシリン耐性株を得た。この
形質転換株から公知の方法に従ってプラスミドを単離し
た。このプラスミドをpAMoPRSAと名付け、その構造を制
限酵素消化により確認した。
プラスミドpAMoPRSAWP1の造成(第23図参照) クローン化したα2,8−シアリルトランスフェラーゼ
はその一次配列から、N末端の29アミノ酸を細胞質側に
出し、それに19アミン酸からなる疎水製に富む領域で膜
に結合し、残りの大半のC末端部分(触媒部位を含む)
をゴルジ体内腔に露出するといった構造をとると推定さ
れる。そこで、膜結合領域を含むN末端部分を除去し、
かわりにヒト顆粒球コロニー刺激因子のシグナル配列お
よびプロテインAのIgG結合領域を付加することにより
α2,8−シアリルトランスフェラーゼの分泌生産させ
た。触媒領域と推定される部分〔配列番号1の57番目の
イソロイシンから356番目のセリンまで〕をコードするD
NAをPCR法を用いて調製し、上記で造成した分泌発現ベ
クターpAMoPRSAに組み込んだ。
NA〔P1−N(36mer)およびP1−C(37mer)〕をアプラ
イド・バイオシステムズ社380A・DNA合成機を用いて合
成した。
1−C(37mer;配列番号7)にはAsp718サイトがされぞ
れ導入されるように構築されているため、PCRで増幅さ
れたDNA断片はEco VとAsp718で切断した後に、pAMoPRSA
のStu IサイトとAsp718サイト間に組み込むことができ
る。PCR反応は、宝酒造社製のキット(GeneAmpTM DNA A
mplification Reagent Kit with AmpliTaqTM Recombina
nt Taq DNA Polymerase)を用いて行った。反応液の調
製はキットに添付の説明書に従って行い、パーキン・エ
ルマー・シータス社のサーマル・サイクラー(PERKIN E
LMER CETUS DNA Thermal Cycler;宝酒造社が販売)を用
いて、94℃で1分間、65℃で1分間、72℃で3分間の反
応を20サイクル行った後、さらに72℃で7分間反応させ
た。鋳型としては、70ngのプラスミドpUC119−WP1Rを使
用した。反応終了後、クロロホルム抽出およびエタノー
ル沈澱を行った後、Y−80緩衝液30μlに溶解し、20単
位のAsp718を加え、37℃で2時間消化反応を行った。そ
の後、塩化ナトリウムを150mMになるように添加し、20
単位のEcoR Vを加えて37℃で2時間消化反応を行った。
該反応液をアガロースゲル電気泳動に供した後、約0.9k
bのDNA断片を回収した。
解し、20単位のStu Iと20単位のAsp718を加え、37℃で
2時間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル電
気泳動に供した後、約9.06kbのDNA断片を回収した。
18断片(0.9kb)0.1μgとpAMoPRSA由来のStu I−Asp71
8断片(9.06kb)0.1μgをT4DNAリガーゼ緩衝液30μl
に溶解し、T4DNAリガーゼ175単位を加えて、12℃で16時
間結合反応を行った。該反応液を用いて大腸菌HB101株
をコーエンらの方法によって形質転換し、アンピシリン
耐性株を得た。この形質転換株から公知の方法に従って
プラスミドを単離した。このプラスミドをpAMoPRSAWP1
と名付け、その構造を制限酵素消化により確認した。
ランスフェラーゼの分泌生産 上記で得られたプラスミドpAMoPRSA(分泌発現ベクタ
ー)および上記で造成したpAMoPRSAWP1(α2,8−シアリ
ルトランスフェラーゼ分泌発現用プラスミド)をキィア
ジェン(Qiagen)社製のプラスミド調製キット(〉plas
mid〈maxi kit;商標番号41031)を用いて調製した。取
得したプラスミドはエタノール沈殿の後、1μg/μlに
なるようにTE緩衝液に溶解した。その後、エレクトロポ
ーレーション法[宮地ら:サイトテクノロジー(Cytote
chnology),3,133(1990)]により、両プラスミドを
それぞれナマルバKJM−1株に導入した。1.6×106細胞
あたり4μgのプラスミドを導入した後、8mlのRPMI164
0・IT0SGF培地に懸濁し、炭酸ガスインキュベーターで3
7℃で24時間培養した。その後、G418(ギブコ社製)を
0.5mg/mlになるように添加して7日間培養した。その
後、22mlのRPMI1640・ITPSGF培地(0.5mg/mlのG418を含
む)を添加し、さらに5日間培養し、形質転換株を得
た。取得した形質転換株は、それぞれG418を0.5mg/ml含
むRPMI1640・ITPSGF培地30mlに5×104細胞/mlになるよ
うに懸濁し、炭酸ガスインキュベーターで37℃で8日間
培養した。その後、遠心分離(160×g、10分間)によ
り細胞を除き上清を回収し、再度遠心分離(1500×g、
10分間)の後、その上清を回収した。このようにして取
得した培養上清は、使用するまで−80℃で保存した。
トランスフェラーゼはプロテインAのIgG結合領域との
融合蛋白質として分泌発現されるため、IgGセファロー
ス(Sehparose)を用いて、容易に精製することができ
る。そこで、上記のようにして取得した培養上清にアジ
化ナトリウムを最終濃度0.1%になるように添加した
後、製品説明書にしたがって前処理したIgGセファロー
ス[ファルマシア(Pharmacia製]を15μl添加し、4
℃で一晩ゆっくり攪拌した。その後、遠心分離(160×
g、10分間)によりIgGセファロースを回収し、リン酸
緩衝液〔PBS;8g/l塩化ナトリウム、0.2g/l塩化カリウ
ム、1.15g/lリン酸水素2ナトリウム(無水)、0.2g/l
リン酸2水素カリウム、0.1%アジ化ナトリウム〕1mlで
3回洗浄後、20μlのRPMI1640培地(無血清)に懸濁し
た。このIgGセファロース懸濁液を用いて常法〔サムエ
ルソン(Samuelson):メソッド・イン・エンザイモロ
ジー(Method in Enzymology),138巻、567頁;バス(B
asuら):メソッド・イン・エンザイモロジー(Method
in Enzymology)、138巻、575頁)に従って、GD3合成酵
素活性を測定した。
HCl(pH6.0)、20mM塩化マンガン、1%トライトン、12
0μMCMP−[14C]シアル酸〔アマーシャム(Amasham)
社製〕、10mg基質糖脂質、上記IgGセファロース懸濁液
(5μl)〕中、37℃で4時間反応を行った後、200μ
lのPBSを加え、C−18カラム〔100mg;ファットマン(W
hatman)社製〕に通した。3mlの水で洗浄後、カラムに
吸着した糖脂質を1mlのメタノールと1mlのクロロホルム
/メタノール(1:1)で溶出し、窒素ガスを用いて溶媒
を除去した。その後、糖脂質を10μlのクロロホルムに
溶解し、クロロホルム/メタノール/塩化カリウム(5
5:45:10)を展開溶媒として用い、ハイ・パフォーマン
ス薄層クロマトグラフィー後のHPTLCプレートはバイオ
・イメージング・モデルBAS2000アナライザー(FUJIX)
を用いて解析し、放射性標識された生成物の同定および
定量を行った。基質としては、ラクトシルセラミド(以
下、LacCerと略記する)、ガングリオシドGM3、GM2、GM
1b、GD3、GD1a、GD1b、GT1bを用いた。GM3およびGD3は
常法〔花井ら:ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケ
ミストリー(J.Biol.Chem.),263,10915−10921(198
8);花井ら:アンチ・キャンサー・リサーチ(Antican
cer Res.),10,1579−1586(1990)〕に従って調製し
た。LacCer,GM2,GM1b,GD1a,およびGD1bはシグマ(Sigm
a)社より購入した。GT1bはバイオシンスAG(Biosynth
AG)社より購入した。生成物の同定は、スタンダード糖
脂質と展開位置を比較することにより行った。スタンダ
ード糖脂質はオルシノール/硫酸を用いて検出した。そ
の結果を第24図に示す。
和処理を行ったIgGセファロースを使用した際には、GD3
合成酵素活性(GM3からGD3を合成する活性)が検出され
た(培地1ml中に生産された分泌型酵素を用いて1時間
当たり0.1pmolのGD3を生産した)。一方、ベクターであ
るpAMoPRSAを導入したナマルバ細胞の培養上清由来のIg
Gセファロースを使用した際には、活性は検出されなか
った。また、pAMoPRSAWP1がコードするシアリルトラン
スフェラーゼは、GM3以外の糖脂質を基質としないこと
より、GM3に基質特性の高いα2,8−シアリルトランスフ
ェラーゼ(GD3合成酵素)であることが判明した(第24
図)。
フェラーゼが黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureu
s)のプロテインAのIgG結合領域との融合蛋白質として
培養上清中に分泌生産されること、およびその分泌生産
物がIgGセファロースを用いて、容易に回収、精製でき
ることが示された。
を有する糖鎖とその修飾物の製造等に有用なα2,8−シ
アリルトランスフェラーゼが提供される。
Claims (19)
- 【請求項1】以下の(a)、(b)および(c)からな
る群より選ばれるポリペプチド。 (a)配列番号2記載のアミノ酸配列からなるポりペプ
チド (b)配列番号2記載のアミノ酸配列の57〜356番目の
アミノ酸配列を含むポリペプチド (c)(a)または(b)のポリペプチドの有するアミ
ノ酸配列において1個以上のアミノ酸が欠失、置換若し
くは付加されたアミノ酸配列からなり、かつα2,8−シ
アリルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド - 【請求項2】以下の(a)、(b)、(c)、(d)お
よび(e)からなる群より選ばれるDNA。 (a)請求項1に記載のポリペプチドをコードするDNA (b)配列番号1で表される塩基配列を有するDNA (c)配列番号1で表される塩基配列の483〜1550番目
の塩基配列を有するDNA (d)配列番号1で表される塩基配列の651〜1550番目
の塩基配列を有するDNA (e)(a)〜(d)いずれかに記載のDNAとストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであり、か
つα2,8−シアリルトランスフェラーゼ活性を有するポ
リペプチドをコードするDNA - 【請求項3】請求項2記載のDNAが組み込まれた組換え
体ベクター。 - 【請求項4】動物細胞から抽出したmRNAを鋳型として合
成したcDNAを発現クローニングベクターに組み込むこと
によりcDNAライブラリーを構築し、該cDNAライブラリー
を細胞に導入し、得られる細胞よりガングリオシドGD3
に対する抗体と強く反応する細胞を選別し、該細胞より
請求項1記載のポリペプチドをコードするcDNAを採取す
ることを特徴とする請求項2記載のDNAの製造法。 - 【請求項5】動物細胞から抽出したmRNAを鋳型として合
成したcDNAを発現クローニングベクターに組み込むこと
によりcDNAライブラリーを構築し、該cDNAライブラリー
を細胞に導入し、得られる細胞よりガングリオシドGD3
に対する抗体と強く反応する細胞を選別し、該細胞より
請求項1記載のポリペプチドをコードするcDNAを単離
し、該cDNAをベクター中のプロモーターの下流に導入す
ることを特徴とする請求項3記載の組換え体DNAの製造
法。 - 【請求項6】請求項3記載の組換え体ベクターを保有す
る細胞を培地に培養し、培養物中に請求項1記載のポリ
ペプチドを生成蓄積させ、該培養物から該ポリペプチド
を採取することを特徴とする請求項1記載のポリペプチ
ドの製造法。 - 【請求項7】動物細胞が、ヒト・メラノーマWM266−4
細胞である請求項4記載のDNAの製造法。 - 【請求項8】動物細胞が、ヒト・メラノーマWM266−4
細胞である請求項5記載の組換え体ベクターの製造法。 - 【請求項9】組換え体ベクターが、プラスミドpUC119−
WP1である請求項3記載の組換え体ベクター。 - 【請求項10】請求項3記載の組換え体ベクターを含有
する細胞。 - 【請求項11】請求項3記載の組換え体ベクターを、ガ
ングリオシドGM3を生産している細胞に導入して得られ
る細胞を培地に培養し、培養物中にガングリオシドGD3
を生成蓄積させ、該培養物からガンクリオシドGD3を採
取することを特徴とするガングリオシドGD3の製造法。 - 【請求項12】請求項10記載の細胞を用いてガングリオ
シドGM3をガングリオシドGD3に変換する方法。 - 【請求項13】請求項1記載のポリペプチドを用いてガ
ングリオシドGM3をガングリオシドGD3に変換する方法。 - 【請求項14】請求項2記載のDNA中の連続した10〜50
塩基からなるオリゴヌクレオチド、該オリゴヌクレオチ
ドの相補配列を有するオリゴヌクレオチド。 - 【請求項15】請求項2記載のDNA、または請求項14記
載のオリゴヌクレオチドを用いるハイブリダイゼーショ
ン法により、請求項1記載のポリペプチドの生産を検出
する方法。 - 【請求項16】請求項14記載のオリゴヌクレオチドを用
いるポリメラーゼ・チェイン・リアクション法により、
請求項1記載のポリペプチドの生産を検出する方法。 - 【請求項17】請求項2記載のDNAの翻訳開始領域内の1
0〜50塩基からなるオリゴヌクレオチド、該オリゴヌク
レオチドの相補配列を有するオリゴヌクレオチドを含む
DNAを用いて請求項1記載のポリペプチドの生産を抑制
する方法。 - 【請求項18】請求項3または9に記載の組換え体ベク
ターを含有する大腸菌。 - 【請求項19】大腸菌が、Escherichia coli JM105/pUC
119−WP1R(FERMBP−4192)である請求項18記載の大腸
菌。
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