JP3393867B2 - ウィルムス腫瘍遺伝子の位置決定と特徴付け - Google Patents

ウィルムス腫瘍遺伝子の位置決定と特徴付け

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    • C07K16/30Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants from tumour cells

Description

【発明の詳細な説明】 資金援助 ここに記載する研究は、国立保健研究所、カナダ医学
研究会議、国立癌研究所の資金援助を受けた。
背 景 ウィルムス腫瘍(WT)は、腎臓に見られる胎児性悪性
腫瘍であって、約10、000人の乳児・幼児の内一人がこ
れに侵される。Matsunaga,Human Genetics,57:231−246
(1981)。ウィルムス腫瘍の分子面の基礎はまだよく分
かっていない。
ウィルムス腫瘍症例の一部(約2%)は、泌尿生殖器
異常や精神薄弱ばかりでなく、無虹彩(AN2)にともな
って現われる。これは、虹彩の発達障害である。Miller
et al.,New Engl.J.Med.,270:922−927(1964)。これ
らの障害は,WAGR症候群を形成し、これは、WAGR複合体
として知られている1群の遺伝子におけるヒト染色体11
の11p13帯での体質的欠失が原因であるとされている。R
iccardi,et al.,Pediatrics,61:604−610(1978);Fran
cke,et al.,Cytognet.Cell Genet.,24:185−192(197
9)。この場合、しばしば、両側性ウィルムス腫瘍が観
察されるが、それと同時に、周囲の腎組織に異形成変化
も認められる(腎芽細胞腫症)。後者は、悪性転換に先
行する現象と考えられている。Bove及びMcAdams,Perspe
ctives on Pediatric Pathol.,:185−223(1976)。
劣性癌遺伝子または癌抑制遺伝子として、ウィルムス腫
瘍遺伝子座は、未分化の腎細胞の成長を妨げる。これは
一般に、癌発生に関する2段階突然変位モデルに一致
し、遺伝的には、染色体13q上の網膜芽腫遺伝子座と同
様である。これらの所見から次の結論が導かれる。少な
くとも、ウィルムス腫瘍のこの一部に関しては、網膜芽
腫(RB)遺伝子と同様、11p13における遺伝子の不活性
化が、腫瘍形成を左右する重要事項である。WTの原因と
なる遺伝子の位置を特定するために、これまで相当の努
力が払われてきた。このことは、そのような努力の跡を
記載する多数の報告によって明かである。例えば、多型
遺伝子座についてヘテロ接合性を持たない、散発性ウィ
ルムス腫瘍のゲノム分析では、ウィルムス腫瘍遺伝子は
11p13の部位にあることが支持される。Koufos,et al.,N
ature,309:170−172(1984);Orkin,et al.,Nature,30
9:172−174(1984);Reeve,et al.,Nature,309:174−17
6(1984);Fearon,et al.,Nature,309:176−178(198
4)。
その他の研究に基づいて言うと、ウィルムス腫瘍は、
別の遺伝子座で機能喪失が生ずることによって起こるよ
うである。遺伝的にウィルムス腫瘍にかかりやすい2家
系の調査において、11p遺伝子マーカーとの結合は排除
された。このことから、少なくとも、他にもう一つウィ
ルムス腫瘍遺伝子座があることが明らかになった。Grun
dy,et al.,Nature,336:374−376(1988);Huff,et al.,
Nature,336:377−378(1988)。その後の研究では、ウ
ィルムス腫瘍のヘテロ接合性の喪失は、11p13ではな
く、11p15に認められた。Reeve,et al.,Mol.Cell Bio
l.,:1799−1803(1989);Koufos,et al.,Am.J.Hum.Ge
n.,44:711−719(1989)。これらのデータからは、他の
遺伝子座の可能性が考えられるけれども、11p13のウィ
ルムス腫瘍遺伝子座は、体質性WAGR欠失や、散発性腫瘍
の一部における体細胞性染色体再編成と関連しているこ
とは明かである。Lewis,et al.,Genomics,:25−31(1
988)。
ウィルムス腫瘍遺伝子を特定することには相当の関心
がよせられており、そのことを目標にした研究があるに
も拘らず、現在までのところ、ウィルムス腫瘍遺伝子を
含むと特定された領域の転写マップは、まだ特定されて
いない。
発明の概要 本発明は、ウィルムス(wilms)腫瘍遺伝子に関して
の細胞分析法に関わる。また、ウィルムス腫瘍遺伝子転
写部分またはコードされるポリペプチドに関しての細胞
分析法にも関わる。ここでいう、ウィルムス腫瘍遺伝子
またはウィルムス腫瘍DNAとは、染色体11のバンド13(1
1p13)における障害を指す。この障害は、WAGRまたはウ
ィルムス腫瘍(すなわち、この病状を持つ細胞に見られ
る)の特徴であるが、他の腫瘍タイプと関連していた
り、または、その原因となることも十分に予想されるも
のである。本発明はさらに、ゲノム・クローン、cDNAク
ローン両方のDNA塩基配列にも関わる。この配列は、ウ
ィルムス腫瘍遺伝子座をヒト染色体11のpバンド13(11
p13)に位置づける体質性および癌性欠失の境界内にマ
ップされる。初めて、ウィルムス腫瘍遺伝子を含む領域
にマップされる転写部分を特定した。この転写部分の特
徴を明らかにし、それが、約50kbに長さに渡っているこ
と、長さ約3kbのmRNA(WT mRNAと呼ぶ)をコードしてい
ること、を示した。WT mRNAは、小数の細胞型(すなわ
ち、主に腎臓細胞と、造血細胞の一部)で発現されるこ
とが明らかになった。
この配列によってコードされるポリペプチドのアミノ
酸配列についても明らかにされ、そのポリペプチドの性
質についても調べた。これらの性質の内のいくつか、例
えば、4個のジンク・フィンガー領域の存在並びにプロ
リン及びグルタミン富裕領域の存在は、転写調節におけ
る役割を示している。11p13という遺伝子位置、組織特
異的な発現性及び予想される機能は、11p13、ウィルム
ス腫瘍遺伝子であることを裏付ける。本発明は、さら
に、ウィルムス腫瘍遺伝子を特定する方法;単離したウ
ィルムス腫瘍遺伝子、単離した遺伝子転写部分;単離し
たコードされたポリペプチド;並びに、それらに基づく
診断法および試薬をも含む。本発明は、あるサンプルに
ついて、明らかに、11p13ウィルムス腫瘍遺伝子座内に
存在するDNA、そのmRNA転写部分またはウィルムス腫瘍
コードポリペプチドを特定する方法、並びに、この方法
に用いられる材料(例えば、核酸プローブ、抗ウィルム
ス腫瘍ポリペプチド抗体)を初めて利用可能にする。こ
のことは、特に貴重である。なぜならば、ウィルムス腫
瘍は極めて悪性であり、急速に成長するものではあるけ
れども、有効な治療処方を開発することによって得られ
た、小児腫瘍学における明瞭な成功例の一つとなるもの
であるからである。本発明は、WAGRまたはウィルムス腫
瘍の発生の危険度を、その出現前に推測する手段を、ま
た、一旦発病したならば、その存在を確定する手段を、
提供する。これにより、発病前に、または、病気の初期
に治療を開始することが可能である。本発明はまた、ウ
ィルムス腫瘍遺伝子と同一の、または、同様の配列を有
するDNAの存在を、他の腫瘍型(例えば、白血病細胞、
睾丸腫瘍)において検出することのできる方法を提供す
る。これは、ウィルムス腫瘍遺伝子コードポリペプチド
にたいする特異的なDNAプローブまたは抗体を用いるこ
とによる。
図の簡単な説明 第1図は、ウィルムス腫瘍遺伝子の単離、その特徴付
けを示す図式である。
第2図は、WAGR領域の図式であり、単一コピー・プロ
ーブ、J7−18p2,J8−3p4および、J8−3と相同のcDNAの
マップ位置を示す。
第3図は、WT33 cDNAのヌクレオチド配列と、ヌクレ
オチド1から1035にわたるオープンリーディングフレー
ムのアミノ酸配列を示す。プロリン・グルタミン富裕領
域(ヌクレオチド6から468まで)におけるプロリン及
びグルタミン残基を、四角で囲み、4ジンク・フィンガ
ー(ヌクレオチド670から1002まで)にあって、ジンク
・フィンガーコンセンサスに適合するアミノ酸に下線を
引いた。
第4図は、WT33 cDNAの図式マップである。オープン
リーディングフレームを、四角く囲った領域として表わ
し、それから得られた、プロリン・グルタミン富裕領域
のアミノ酸配列を、陰をつけたオープンリーディングフ
レームの上に表わす。
第5図は、WT33からジンク・フィンガーコンセンサス
領域までの配列と、ヒトEGR1,EGR2遺伝子の配列との比
較を示す図式マップである。
第6図は、ウィルムス腫瘍cDNAと各種DNAとのハイブ
リダイゼーションについてのサザーン・ブロット分析の
結果を示す。
第6A図は、WT33とハイブリダイズしたEcoR I消化ヒト
リンパ芽細胞DNAのサザーン・ブロット分析の結果を示
す。
第6B図は、EcoR Iで消化し、WT2とハイブリダイズさ
せた、Wit−13ハイブリッド細胞系のサザーン・ブロッ
ト分析の結果を示す。
第7図は、WT33 mRNAをコードする、6個の重複コス
ミドのゲノム構成を示す。WT33 cDNAを含む93Kbpゲノム
領域の、EcoR I複合制限マップを図の上段に示す。
第8図は、各種組織、腫瘍細胞系におけるWT33発現の
ノーザン・ブロット分析の結果を示す。
第8A図は、ヒヒにおける、WT33の組織特異性発現の、
ノーザン・ブロットによる分析結果を示す。
第8B図は、マウス及びヒヒの組織から得たRNAの組織
特異的分布を、ノーザン・ブロットによって分析した結
果を示す。
第8C図は、腫瘍細胞系におけるWT33発現をノーザン・
ブロットによって分析した結果を示す。
第9図は、ウィルムス腫瘍融合蛋白の発現を示す。
発明の詳細な記載 本発明は、ウィルムス腫瘍遺伝子、当該遺伝子のmRNA
転写部分の特定と特徴付けに基づく。また、ウィルムス
腫瘍遺伝子によってコードされたポリペプチドの特徴付
けに基づく。下記に詳細に述べるように、染色体11バン
ドp13(11p13)上のウィルムス腫瘍遺伝子座を特定する
体質性、腫瘍性欠失の境界内にマップされる一連のゲノ
ム・クローン、cDNAクローンを単離し、その特徴を明ら
かにした。同様に、後述するように、当該クローンに対
応する転写単位によってコードされるmRNAの発現パター
ンを決めた。さらに、ウィルムス腫瘍遺伝子座によって
コードされるポリペプチドの特徴を調べたところ、この
ポリペプチドが、転写の調節にあづかっていることを示
唆するいくつかの特性を持つことが明らかになった。
ここに記載する研究に基づき、ウィルムス腫瘍DNAの
有無を測定する方法が、細胞内におけるウィルムス腫瘍
DNA定量法と同様に、開発された。ウィルムス腫瘍DNAと
ハイブリダイズする核酸プローブ、ウィルムス腫瘍DNA
の転写部分とハイブリダイズする核酸プローブも生産さ
れ、この方法の中で用いられた。ここでは、これを、ウ
ィルムス腫瘍遺伝子またはウィルムス腫瘍DNAと呼ぶ
が、染色体11バンド13上の遺伝子座をこのように呼ぶの
は、簡単のためであって、本発明を、WAGRやウィルムス
腫瘍と呼ばれる医学上の状態にのみ限定することを意味
するものではない。したがって、ウィルムス腫瘍DNAと
呼ばれる11p13遺伝子座が、他の腫瘍型、例えば、白血
病細胞、睾丸腫瘍にも見られる(に伴う、を引き起こ
す)と期待しても当然である。本発明は、そのような存
在をも含むことを意図したものであり、また、等価的遺
伝子またはDNA配列(すなわち、ここに記載するプロー
ブと交差ハイブリダイズし、それが存在する細胞におい
て劣性癌遺伝子または癌抑制遺伝子として働くDNA配列
である)を、他の腫瘍型においても特定することのでき
る方法を提供する。
下記は、ウィルムス腫瘍ゲノムDNAとcDNA,mRNA転写部
分、コードされたポリペプチドの単離及び特徴付けを記
載したものである。
分子レベルのマッピング実験によって、WAGR領域は、
11p13中の特定間隔に狭められた。この間隔は、赤血球
カタラーゼ(CAT)をコードする遺伝子と、卵胞刺激ホ
ルモン(FSHB)のサブユニットをコードする遺伝子によ
って境されている。Junien et al.,Am.Genet.,23:16−1
68(1980);van Heyningen,et al.,Proc.Natl.Acad.Sc
i.,USA,82:8592−8596(1985);Glaser,et al.,Nature,
321:882−887(1986);Porteous,et al.,Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA,84:5355−5359(1987);Watkins,et al.,DN
A,:205−212(1987)。WAGR領域内における遺伝子の
位置をさらに明確にするために、3つの互いに相補う戦
略を用いた。すなわち、体細胞遺伝学、分子クローニン
グ、パルス式フィールド・ゲル電気泳動である。特定の
転座・欠失染色体を分離する体細胞ハイブリッドは、WA
GR領域内における個々の遺伝子の位置を解明し、特定す
るのに効果的な試薬である。さらに、相当数の11p13 DN
Aマーカーが、染色体11特異的DNAライブラリーから単離
され、その特徴が明らかにされた。Lewis,et al.,ibid
(1988);Compton,et al.,Cell,55:827−836(1988);D
avis,et al.,Genomics,:24−27(1988a);Davis,et a
l.,Science,241:840−842(1988b);Gessler,et al.,J.
Am.Hum.Genet.,44:486−495(1989a);Gessler,et al.,
Science,244:1575−1572(1989b)。パルス式フィール
ド・ゲル電気泳動によって構築された長尺の制限マップ
によって、いくつかのWAGR疾病遺伝子について、比較的
長い間隔が明確になる。
ウィルムス腫瘍DNAの単離胞を、第1図に、図式的に
表わす。最初、ヒト染色体11の短腕が、他のヒト・ゲノ
ムから分離されているハムスター・ヒト体細胞系(J1−
11)を用いて、コスミド・ライブラリーを作った。その
方法は、実施例に記載してある通りである。いずれも、
染色体11の短腕にマップされるヒトDNAを含む、119個の
コスミド・クローンを、このライブラリーから単離し
た。次に、WAGR領域を含むクローンを特定した。これ
は、ヒト染色体11pの各種フラグメントを含む体細胞ハ
イブリッドのマッピングパネルを用いて行なった。この
ようにして単離したクローンの内、3種(J7−18,J8−
3,J10−15)が、ウィルムス腫瘍遺伝子を含む領域にも
っとも近接してマップされているようであった。J8−3,
J10−15の制限マップから、相当な重複が明らかになっ
たので、このコスミドの内の一つ(J8−3)だけをさら
に分析することにした。
J7−18p2,J8−3p4と名付けた単一コピー配列をサブク
ローンし、それぞれ、J7−18,J8−3コスミドから特定
した。これら単一コピーのDNA配列の微細な位置につい
ては、一連の体細胞ハイブリッドにたいするハイブリダ
イゼーションによって決めた。このハイブリッドは、WA
GR領域内の特定の間隔を示す転座および欠失を有する患
者から得たものである。これは、実施例に詳細に記述
し、その所見を要約したマップは第2図に示す。
cDNAライブラリーをスクリーンするためのプローブと
して、J8−3p4を用いた。J8−3p4をこの目的のために選
んだのは、そのマップ位置から、これが、ウィルムス腫
瘍遺伝子座にごく近いか、その内部に含まれることが示
されたからである。さらに、実施例で説明するように、
二つの観察所見から、J8−3p4が、転写単位の一部を含
んでいることが示唆されたからである。ヒト胎児性腎
(HEK)細胞から得たcDNAライブラリーを、J8−3p4でス
クリーニングした。ノーザン・ブロットの結果に基づき
(実施例参照)、ヒト成人腎ライブラリー、ヒト前B細
胞ライブラリーもスクリーニングした。この3個のライ
ブラリーから得た4種のcDNAクローンを詳細に調べた。
すなわち、HEKから得たもの二つ(WT4,WT2)、ヒト成人
腎臓からのもう一つ(WT22)、前B細胞系から得たもの
一つ(WT33)である。もう一つ別の相同性cDNAクローン
(WT13)を、HEKライブラリーから単離した。これに
は、独立に単離した保存ゲノムDNAクローン、λK13を用
いた。Glaser,T.著、ヒト11番目染色体の微細構造と進
化、理学博士論文、マサチューセッツ工科大学、ケンブ
リッジ、マサチューセッツ州(1988)。
cDNAクローンWT33は、長さが2313塩基対(bp)で、単
離した中では最長のものである。このものは、単離した
クローンの5'、3'の両方向へもっとも遠くまで延びてい
る。他の4つのcDNAは、長さが約1000から1200bpである
DNA配列の共通内部領域を共有している。
cDNAクローンWT33を選んでその後の分析対象とした。
このことについては、実施例に詳細に記載してある。WT
33ヌクレオチド配列を決定し、予測したアミノ酸配列を
得た。いずれも第3図に示してある。塩基配列分析か
ら、345個のアミノ酸から成る連続オープンリーディン
グフレームの存在が明らかになった。これは、ヌクレオ
チド1から1035に渡っている。このオープンリーディン
グフレームが、WT33コード部分の大部分を代表している
ようであるが、イニシエーターのメチオニン・コドンを
含んではいないらしい。プライマー拡張実験によって、
WT33に相当するmRNAの5'末端に、さらに200bpが存在す
ることが示唆された。このcDNAに相当する遺伝子座の転
写パターンは、多少、複雑である。RNA PCR(ポリメラ
ーゼ連鎖反応)を用いた実験によって、mRNAのコード領
域の5'セグメントのmRNA塩基配列に変動のあることがあ
きらかになった。これから、各組織タイプ間には、いろ
いろのスプライシングパターンのあることが示唆され
た。
特に興味深いのは、ヌクレオチド670から1002まで
が、4個の、相接触する「ジンク・フィンガー」領域を
コードしていることである。WT33(第5図)によってコ
ードされる4個のジンク・フィンガーは、すべて、ジン
ク・フィンガーの共通配列に適合する(Miller,J.,eta
l.EMBO J.,:1609−1614(1985);Evans,R.N.,et a
l.,Cell,52:1−3(1988))。ジンク・フィンガー間の
H/C結合は、TGE−R/K−P−F/Y−Xというアミノ酸配列
によって代表されるが、これも、得られたアミノ酸配列
の中に保存されている(Shuh,R.,et al.,Cell,47:1025
−1032(1986))。
他のポリペプチドについても、WT33に関連する配列を
調べていくと、最近特定された、2種のヒト初期成長反
応(early growth response)遺伝子EGR1(Sukhatme,et
al.,Cell,53:37−43(1988))とEGR2(Joseph,et a
l.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:7164−7168(1988))
のジンク・フィンガー領域のアミノ酸配列との間に51%
の類似性のあることが明らかになった。初期成長反応遺
伝子は、細胞増殖を制御する経路にも関わっていること
が示唆されている。WT33の個々のジンク・フィンガー
は、ジンク・フィンガー共通配列に従って配列してお
り、また、第5図のように、EGR1及びEGR2のジンク・フ
ィンガーと比較される。WT33ポリペプチドは、TFIIIA及
びSp1を含む他の蛋白のジンク・フィンガーにたいして
相同性を有しているが、その相同の程度は、EGR1及びEG
R2にたいしてもっとも高く、しかも、その相同性は、3
個の相接触するジンク・フィンガー全てにわたって観察
された。
ジンク・フィンガー領域の5'アミノ末端のアミノ酸の
内容も、転写因子と考えられる蛋白質独特のものであ
る。アミノ末端から、最初のジンク・フィンガーの起始
部まで、高濃度のセリン(10.2%)、プロリン(9.8
%)、グリシン(9.7%)、スレオニン(8.8%)、グル
タミン(7.9%)の諸残基が存在する。これらのアミノ
酸は、EGR1及びEGR2によってコードされるポリペプチド
のアミノ酸末端にも高頻度で見られる。プロリン及びグ
ルタミン富裕領域は、数種の疑転写因子及び転写因子に
おいても特色として特定されている。Mitchell and Tji
an,Science,245:371−378(1989)。また、高濃度のス
レオニン及びセリンが、Sp1を含む数種の転写因子にも
観察されている。Courey,et al.,Cell,55:887−898(19
88)。
前述のように単離したcDNAクローンと、11p13におけ
るゲノムDNA配列との関係についても、探査の目を向け
た。これは、実施例に詳細に記述した通りである。簡単
に言うと、WT33 cDNAセグメントを、ヒト2倍体細胞系
由来のゲノムDNAにハイブリダイズさせ、かつ、1団の
体細胞ハイブリッドにハイブリダイズさせた。これによ
り、11p13内における微細な構造マッピングが得られた
(表)。第6A図に示したように、WT33 cDNAは、正常ヒ
トDNAの7個のEcoR Iフラグメントとハイブリダイズす
る。それぞれ長さは、13.5,10.4,6.1,5.7,3.7,3.1及び
1.85kbである。体細胞ハイブリッドの分析によって、こ
れら制限フラグメントのすべてが、染色体11のバンドp1
3に位置することが確認された。さらに、これらのDNA配
列は、WiT−13細胞系およびこの系由来のハイブリッド
から、すべてホモ接合的に欠失している(第6B図、およ
び、未発表データ)。
この領域内部におけるゲノムDNAの構造をさらに分析
するために、WT33をプローブとして用い、他のコスミド
DNAクローンを単離した。第7図は、この分析によって
得た4個のコスミド(L156,L159,L109,L155−1)に加
えて2個の最初のコスミド(J8−3及びJ10−15)、お
よび、ファージ・クローンλk13の複合マップを示す。G
laser,T.著、ヒト11番目染色体の微細構造と進化、理学
博士論文、マサチューセッツ工科大学、ケンブリッジ、
マサチューセッツ州(1988)。クローンされたゲノム配
列は、90kbより長いDNAセグメントに広がっていた。ゲ
ノムクローンとcDNAクローンとを関連づけるために、各
コスミドのEcoR I消化物を、WT33 cDNAセグメントとハ
イブリダイズさせた。このようにして、ゲノムDNAにた
いするcDNAのサザーン・ハイブリダイゼーションによっ
て観察された7個のEcoR Iフラグメントのすべてが、こ
の重複クローン集合中に特定された(第7図)。転写単
位の方向性は、各コスミドの制限消化物を、WT33 cDNA
の各種部分領域由来のプローブとハイブリダイズさせる
ことによって確定した(実施例参照)。これらのデータ
から、WT33の転写単位は、コスミドL156のNot I部位近
接位置から始まり、3'方向に続いて、1.85kb EcoR Iフ
ラグメントまで延びていることが示される。このフラグ
メントは、コスミドL109,L155−1,J10−15,J8−3およ
びクローンλk13に共通である。これらのハイブリダイ
ズするEcoR Iフラグメントは約50kbにわたった。WT33 c
DNAは、完全長ではないので(上記参照)、全遺伝子の
サイズは、50kbよりも大きいであろう。
クローンしたゲノムDNA中の制限酵素認識部位の分析
によって、同領域のパルス式フィールド・ゲル電気泳動
マップとの直接比較が可能である。第7図に示したよう
に、WT33 cDNAの5'末端をコードする、ゲノムDNAセグメ
ントの5'末端は、制限酵素Not Iの認識部位を含んでい
る。パルス式フィールド・ゲルマッピングによって、11
p13ウィルムス腫瘍遺伝子は、2個の隣接するNot Iフラ
グメントの境界内に位置することが証明された。このフ
ラグメントの長さは、500kbと325kbである。Sfi I及びN
ot I両方によって消化されたゲノムDNAのハイブリダイ
ゼーションの結果から、コスミドL156におけるNot I部
位は、325kbと500kbのNot I制限フラグメント間の接合
部を表わすことが確認された。パルス式フィールド・ゲ
ル分析によって、500kb Not Iフラグメントは、325kb N
ot Iよりも動原体よりであることが分かっているから、
転写は、動原体から末端小粒の方向に向かって進行する
に違いない。
コスミドL156は、いくつかの制限酵素にたいして、ジ
ヌクレオチドCpGを含む認識配列を備えた部位を持つ。
この制限酵素としては、Not I,BssH II及びEag Iがあ
る。上記データ及びパルス式フィールド・ゲル分析か
ら、Not I部位を取り囲むゲノムDNA領域に「HTF島(isl
and)」のあることが明らかになった。HTF島は、転写単
位の5'末端によく見られる。Bird,A.,et al.,Cell,40:9
1−99(1985);Bird,A.,Nature,321:209−213(1986);
Lindsay,S.,et al.,Nature,327:336(1987).これか
ら、コスミドL156のゲノムDNAは、WT33転写単位の5'末
端を含んでいる可能性があることが示唆された。
WT33転写部分(2)の大きさ、組織分布についても評
価した。これは、一連のノーザン・ブロット実験によっ
て行なった。第8A図は、ヒヒの各種組織から単離した全
細胞性RNAにたいするWT33 cDNAのハイブリダイゼーショ
ンを示す。約3kb長のmRNA種が、ヒヒの腎臓、脾臓RNA中
に検出された。3kbのかすかなハイブリダイゼーション
・バンドが、長く露光すると、心臓に認められた(第8B
図)。一方、筋、肝臓、空腸、回腸及び脳由来のRNAに
は、検出可能なハイブリダイゼーションは認められなか
った(第8A図)。WT33は、マウス組織由来のRNAとのハ
イブリダイゼーションにおいても、有効なプローブであ
る。WT33と相同な3kb mRNA種も、マウス組織内に認めら
れた。WT33と相同な3kb mRNA種は、マウス腎臓に観察さ
れる(第8B図)。成熟マウスにおける、WT33 mRNAの組
織特異性発現パターンは、ヒヒのものと似ている。マウ
スにおける発生研究から、WT33 mRNAは、胎児腎臓にも
っとも高度に発現することが判明した。この発現は、ウ
ィルムス腫瘍の起源組織と考えられている。後腎芽体に
おける成長調節にあづかる遺伝子と一致する。Bove,et
al.,(1986)ibid。EGR1及びEGR2遺伝子と相同性である
という所見からも、WT33が、腎芽細胞の成長調節にあづ
かっていることが示唆される。
下記のものを含む腫瘍細胞系スペクトラムは、WT33 c
DNAにたいして検出可能なハイブリダイゼーションを示
さなった。すなわち、神経芽細胞種の2種(SK−N−Be
(2)及びNGP)、網膜芽細胞種(WER I)、乳癌(MCF
7)、骨肉種の2種(HOS及びU205)、黒色種の2種(SK
−MEL−130及びSK−MEL−147)、膀胱癌(Ej)、結腸癌
の2種(SE480及びWIDR)、子宮頚癌(HeLa)及びEpste
in−Barrウィルス形質転換B細胞系の2種(TSH−1及
びTSH−2)である。対照的に、いくつかの散発性ウィ
ルムス腫瘍から単離したRNAでは、3kb位置に、WT33 cDN
Aにたいして強度のハイブリダイゼーションが認められ
た。1例を、第8C図に示す。同様に、2種の造血細胞
系、すなわち、赤血白血病(K562)と急性リンパ性白血
病(CEM)から単離したRNAも、3kb位置に、WT33にたい
する強いハイブリダイゼーションを呈した。
この結果から、腎臓細胞や、造血細胞系株の一部にWT
33転写部分の発現が証明された。この結果は、ヒヒの腎
臓及び脾臓で主に観察された組織特異的発現と一致す
る。
かくして、前記の方法を用いて、ウィルムス腫瘍遺伝
子に対応するDNAが特定され、単離され、配列決定され
た。このDNAは、約50kbの広がりを持ち、長さ約3kbのmR
NAをコードする転写単位をコードしていることが判明し
た。このmRNAは、ごく限られた範囲の細胞型にしか発現
されない。すなわち、主に、腎臓、造血細胞の一部であ
る。この遺伝子座によってコードされるポリペプチド
は、転写の調節にあづかっている可能性を示唆するいく
つかの特性を有する。この特性の中には、4個のジンク
・フィンガー領域の存在、プロリン及びグルタミン富裕
領域の存在も含まれる。予測されるポリペプチドのアミ
ノ酸配列から、2種の、ほ乳類成長調節ポリペプチド、
EGR1,EGR2にたいする目立った相同性が明らかにされ
た。この遺伝子の遺伝学的位置、組織特異的発現及びそ
の配列から予測される機能は、この遺伝子が、11p13ウ
ィルムス腫瘍遺伝子であることを示す。
ウィルムス腫瘍遺伝子の単離と特徴付けの結果、ウィ
ルムス腫瘍遺伝子または、ウィルムス腫瘍遺伝子の代表
的な部分に関してサンプルを分析する方法が、この方法
に有効な試薬(例えば、核酸プローブ、抗体)と同様に
利用できるようになった。この方法は、診断目的にも用
いることができる。例えば、WAGR症候群、および/また
はウィルムス腫瘍発症の可能性・危険度を推定する場
合、WAGRまたはウィルムス腫瘍と関連する、または、お
そらくその兆候である症状を呈する個人について、その
病気の有無を決める場合、などである。例えば、ある個
人から得た細胞を、既知の技法を用いて、第3図に示し
たヌクレオチド配列の全部もしくは一部をプローブとし
て調べることができる。このようなプローブのヌクレオ
チド配列は、第3図のものと厳密に同じである必要はな
い。第3図の配列と、用いた条件下でウィルムス腫瘍遺
伝子とハイブリダイズするのに十分な類似性を持ってい
ればよい。細胞(例えば、血液、腎臓)は、出生前でも
出生後に入手したものでもよい。ウィルムス腫瘍遺伝子
の存在は推測できる。細胞は、ウィルムス腫瘍DNAや、
コードされたRNA転写部分および/またはウィルムス腫
瘍遺伝子によってコードされたポリペプチドに関して分
析することができる。例えば、細胞、出生前、または出
生後に入手して、分析し、ウィルムス腫瘍DNAに関して
分析することができる。これは、普通のブロット法(例
えば、サザーン・ブロット法)や、ウィルムス腫瘍のす
べて、または、一部とハイブリダイズする(と相補的
な)、放射性ラベルしたDNAプローブを用いて、実行で
きる。放射性ラベルしたDNAプローブは、ハイブリダイ
ゼーションを起こすのに適当な条件下で、その細胞DNA
を、相補的DNAとハイブリダイズできるように処理した
細胞DNAと結合させることができる。サンプル中の標識D
NAプローブと相補的DNA(もしあれば)とがハイブリダ
イズし、標識DNAプローブ/サンプルDNA複合体を形成す
るのに十分な時間を経過させた後、既知の方法を用いて
(例えば、オートラジオグラフィー)、標識DNAプロー
ブ/サンプルDNA複合体の検出を実行する。標識は、検
出することができ、その存在が、プローブDNAが相補的D
NAと結合する能力に干渉しないものである限りどんな物
質でもよい(例えば、蛍光物質)。標識DNAプローブ/
サンプルDNA複合体を検出する方法は、用いる標識の型
に依存する(例えば、蛍光発光団を用いる場合には、蛍
光検出法を用いる)。必要なら、サンプルから入手した
DNAを増幅することもできる。これには、ポリメラーゼ
連鎖反応のように既知の技法を用い、この増幅したDNA
を、ウィルムス腫瘍DNAの有無の分析に供する。たとえ
サンプルDNAが増幅されても、生成物は、対象の増幅DNA
(ウィルムス腫瘍DNAを含むDNA)と、対象のDNA以外の
増幅DNAを含む、増幅混合体である。一般に、増幅混合
体中のDNAは、既知の技法を用いて、大きさに基づいて
分離される。化学的な検出方法も用いられる。分離され
た増幅DNAは、既知の技法を用いて、対象DNAについて分
析する。既知の技法とは、例えば、サザーン・ブロット
法、DNA配列決定、適当な制限エンドヌクレアーゼによ
る消化または臭化エチジウム染色ゲルによる可視化等で
ある。
また、プローブとして、ウィルムス腫瘍遺伝子の全
部、または、一部を用いて、サンプル中のmRNAを検出す
ることができる。この方法は、ある個人の細胞から得た
mRNAを用いても、または、細胞から得たmRNAを既知の増
幅法、例えば、RNA PCR等によって増幅して用いてもよ
い。いずれの場合にしろ、RNAは、既知の技法、例え
ば、ノーザン・ブロット法を用いて分析される。
ウィルムス腫瘍遺伝子コードポリペプチド(または、
あるポリペプチド部分)にたいして特異的な抗体も、診
断目的に使用することができる。このような抗体は、既
知の方法で生産することができる。Maniatis,T.ら、
「分子クローン法、実験室操作法」、Cold Spring Harb
or(1982)。本実施態様においては、ウィルムス腫瘍遺
伝子によってコードされるポリペプチド(例えば、第3
図の配列のすべて、もしくは、一部、または、それと機
能的に等価のものによってコードされるもの)にたいし
て特異的な抗体を、ある個人から得たサンプル(例え
ば、腎臓細胞、血液細胞)と混合する。使用した抗体
は、検出できるように標識できる(例えば、放射性物質
または蛍光物質で)。標本中のポリペプチドおよび抗体
が、合体あるいは結合し、ウィルムス腫瘍遺伝子によっ
てコードされたポリペプチド/特異的抗体複合体が形成
するのに十分な時間を経過させた後、複合体の存在(有
無、および・または量)を、既知の技法を用いて決定す
る。もし標識した特異的抗体を用いたのであれば、標識
複合体の存在を決定する(例えば、オートラジオグラフ
ィー、蛍光検出法によって)。または、サンプルを、固
相の支持体(例えば、ニトロセルロース、ガラス・スラ
イド、ポリスチレン・ビーズ、免疫磁性体ビーズ)と混
合させてもよい。この支持体には、複合体中に存在する
抗体にたいして特異的な抗体を付しておく。これによ
り、サンプル中の(例えば、ポリペプチド/特異的抗体
複合体中の)特異的抗体が、固相の支持体に結合する。
このようにして得られた固相支持体結合複合体をサンプ
ルから取り出し、既知の技法を用いて検出する。例え
ば、ウィルムス腫瘍遺伝子のコードされたポリペプチド
・特異的抗体複合体中の抗体が標識されているならば、
支持体結合複合体の検出は、その標識を検出することに
よって実行される。
前記のプローブ(例えば、DNAプローブ、mRNAプロー
ブ及び抗体プローブ)を用いて、個人個人のウィルムス
腫瘍遺伝子の違いを決定することができる。この違い
は、当該遺伝子における、前述した欠失または置換であ
る場合もある。この遺伝子について、観測するのに好都
合な部分と言えば、ジンク・フィンガー領域をコードす
る部分、もしくは、その発現産物、好ましくは、ジンク
・フィンガー領域を少なくとも一部をコードするヌクレ
オチドであり、抗体プローブは、当該残基そのものと親
和性を検出する。前述したように、プローブは、第3図
に示した遺伝子全体、または、その一部に対するもので
ある。この技術分野でよく知られているように、このよ
うな部分は、少なくとも、約20ヌクレオチド長でなけれ
ばならない。ある好ましい実施態様では、あるプローブ
は、PCRのプアリマーのうち少なくとも一つとして、DNA
もしくはmRNAを調べることによってその遺伝子の中の欠
失または変更を決定するのに役立つ。本開示に基づく技
法から明らかな通りである。ある機能的な部分に、この
ような欠失または変更のあることを検出したことは、癌
性または前癌性状態の存在を示唆する。上記プローブ
は、ヒト由来の細胞、液体を調べることができる。例え
ば、ヒトから、あらかじめ定めた細胞または液体サンプ
ルを取り、プローブを、その細胞または液体サンプルに
加え、プローブから、ウィルムス腫瘍遺伝子の機能的部
分に変更または欠失があるかどうかを確かめる。そのよ
うな変更または欠失は、癌性もしくは前癌性状態の存在
を示す。標準的な技法、例えば、サザーン・ブロット
法、ノーザン・ブロット法、PCR,ELISA,イムノアッセイ
を、この確定に用いることができる。
本法は、WAGR及びウィルムス腫瘍の早期発見に有効で
ある。結果として、外科、化学療法、および/または放
射線療法という形での早期治療が可能になる。例えば、
本法は、腹部に成長する塊、腹痛、血尿、または、ウィ
ルムス腫瘍を疑わせる身体的症状(例えば、発熱、おう
吐、食欲不振、不快、赤血球増加症、高血圧)を有する
患者において、上記状態を診断するのに用いることがで
きる。
ウィルムス腫瘍遺伝子を検出する本法は、また、他の
腫瘍型において、ウィルムス腫瘍の場合と同一のまたは
相似の障害を特定するのにも用いることができる。すな
わち、ある特定の型の腫瘍の形成に直接あづかったり、
または、その唯一の原因であるということはないにして
も、ウィルムス腫瘍遺伝子(すなわち、本明細書中で、
ウィルムス腫瘍遺伝子と呼ぶDNA配列)または、それと
緊密な関連を持つ遺伝子が他の腫瘍型(例えば、白血病
細胞、睾丸腫瘍)に発現すること、および、そのような
遺伝子が、それらの腫瘍型と因果的に結びついていた
り、または、そのような腫瘍型の、信頼度の高い指標
(マーカー)として役立つことを期待するのは当然だか
らである。従って、本法、および、適当な試薬、例え
ば、ここに記載したコスミド・クローンやウィルムス腫
瘍遺伝子自体のDNA配列等を用いて、他の腫瘍型におい
ても、染色体11バンド13における同様の障害を特定する
ことができる。ここに記載したDNA配列を用いて、ある
腫瘍サンプルについて(例えば、白血病細胞、睾丸腫
瘍)、既知の技法やここに記載した方法を用いて、変化
した11p13配列を特定することができる。
このポリペプチドまたは、その免疫活性部分を、治療
的または診断的目的のために用いることができる。
例えば、ウィルムス腫瘍遺伝子cDNA配列を、好ましく
は、第3図に示した配列、または、ATG開始配列を含
む、それと機能的に等価のもの、cDNA配列から下流の3'
方向のポリアデニル化配列、さらにできれば複製開始部
を含むベクターを用いて、細胞にトランスフェクトする
ことができる。ベクターにはまた、サプレッサー遺伝子
の発現を促進するためにプロモーターを含ませる。ベク
ターで用いるプロモーターは、既知のプロモーターのい
ずれであってもよく、その選択は、使用したい宿主細胞
によって支配される。すなわち、この細胞は、所期の生
成物の発現を可能にするように選ばれたものである。レ
トロウィルスプロモーターが好ましい。そのようなプロ
モーターとして、Akv,SL3−3及びフレンド・ウィルス
のようなレトロウィルスプロモーターが挙げられる。ベ
クターは、好ましくは、エンハンサーを含むものがよ
い。そのようなエンハンサーは本技術分野で既知であ
り、例えば、ウィルス性エンハンサーがある。さらに好
ましくは、組織特異性のエンハンサーを含むことが望ま
しい。ベクターは、さらに、マーカー遺伝子を含むもの
が好ましい。それによって、形質転換細胞検出が容易に
なるからである。そのようなマーカーは、この技術分野
においてはよく知られており、抗生物質耐性遺伝子を含
んでもよい。例えば、細菌性ネオマイシン耐性遺伝子が
挙げられるが、これは、真核細胞において、抗生物質G4
18にたいして、優勢な、選択可能な耐性を付与する。
異なる細胞系は、トランスフェクトされたサプレッサ
ー遺伝子DNAを取り込み、適当なプロモーターを用いて
発現するにあたって、その能力はまちまちであるが、広
範な宿主細胞を使用することができる。例えば、NIH3T
3,CHO,COS,SF−9(ATCC No.CRL 1711)及びSF−21が好
ましい。普通、ほ乳類細胞が好ましいが、本発明の細胞
系は、それだけに限られるものではない。例えば、大腸
菌のような細菌細胞を用いることもできる(実施例参
照)。
細胞系を形質転換させるのに、ベクターを用いること
ができる。例えば、この技術分野でよく知られた様々の
方法を用いて、psi/2(エコトロピック,ecotropic)、p
siAM(アンホトロピック,amphotropic)細胞系に導入す
ることによる。好ましい方法としては、燐酸カルシウム
共沈澱法があり、これについてはWigler,et al.,Cell 1
6:777−785(1979)を参照されたい。上記細胞系は、ベ
クター由来のゲノムを含む、感染性、複製欠損、マウス
白血病ウィルスを構成的に生産する。Cone,et al.,PNAS
81:6349−6353(1984);Mann,et al.,Cell 33:153−15
9(1983)トランスフェクションの二日後、マーカー、
すなわち、抗生物質耐性遺伝子を調べることによって、
細胞を選択することができる。また、ベクターもこの遺
伝子を含んでいることが好ましい。抗生物質耐性クロー
ン、例えば、G418は、短期間に、通常7−10日で、明ら
かになる。
抗生物質耐性クローン、psi/2,psi/AMを単離し、大量
のサプレッサー遺伝子産物を生産するクローンを選び出
す。次に、この細胞を、標準培養液で培養し、必要に応
じて、収穫する。
次に、この細胞の生産するタンパク質を用いて、サプ
レッサー遺伝子産物(蛋白質)にたいする抗体を生成す
る。得られた抗体は、意図する特定の応用に従って、ポ
リクローナルでも、モノクローナルでもよい。このよう
な抗体は、当業者によく知られた技法を用いて調製する
ことができる。例えば、蛋白質、または、その蛋白質の
抗原性部分を、カサガイのヘモシアニン(KLH)に結合
させ、ウサギのような動物の中で抗体を生成させること
ができる。通常、抗体を生成するには、ペプチド−KLH
の複合体を、約2カ月に渡って、数回注入する。次に、
標準法を用いて、抗体を、血清から収集する。また、別
のやり方として、細胞内に、モノクローナル抗体を生産
させることもできる。すなわち、細胞に、ハイブリドー
マ細胞を形成するのに用いられる標準融合法によって、
その蛋白にたいする抗体を生産させることもできる。
{Kohler,G.,et al.,Nature 256:495(1975)、引用に
よって、この内容に含めることにする}。通常、この方
法では、抗体産生細胞と、恒久細胞系、例えば、ミエロ
ーマ細胞とを融合させ、ハイブリッド細胞を作る。また
別のやり方として、Huse他の方法を用いてモノクローナ
ル抗体を、細胞から生産することもできる(Huse,et a
l.,Science 246:1275(1989)、引用によって、この内
容に含めることにする)。
例えば、ハイブリドーマは、サプレッサー遺伝子含有
ベクターによって形質転換した生細胞で、マウスを免疫
することで生産することができるが、これは、このサプ
レッサー遺伝子産物を発現する。例えば、蛋白質全長を
免疫原として用い、その蛋白質全長に渡る特異性を持つ
一群のモノクローナル抗体を生産することも可能であ
る。好ましくは、抗体をプローブとして作成する場合に
は、転写領域のいずれかのような遺伝子配列、例えば、
ジンク・フィンガー領域のいずれかのような遺伝子配列
及び欠陥蛋白を示すと思われるポリペプチドの免疫原部
分を用いるのがよい。できれば、この領域のシステイン
残基のどれかの欠失または変化を検出できる抗体を生産
することが好ましい。免疫原ペプチドは、少なくとも、
8アミノ酸長でなければならない。実施例に示したウィ
ルムス腫瘍融合蛋白を用いて、標準法により、抗体を生
産することができる。
宿主細胞の、十分な数の生細胞で、腹腔(I.P.)注入
によりマウスを免疫することができる。この宿主細胞
は、サプレッサー遺伝子ベクターでトランスフェクトさ
れることになっている。この腹腔注入の直後に、例え
ば、水に溶かしたサイクロホスファミドの腹腔注射を行
なってもよい。このサイクロホスファミド投与は、第1
回注入後1日から2日に繰り返す。免疫化の約2週間
後、マウスに、形質転換宿主細胞の十分量を注入し、さ
らに2週間、間をおく。そこで、全工程をもう一度繰り
返す。第2回の形質転換細胞注入後4日目に、動物を屠
殺し、第1回の融合用に、その脾臓を入手する。
ハイブリドーマは、例えば、下記のような通常の方法
を用いて、細胞を融合することによって生産される。す
なわち、SP2/0ミエローマ細胞で免疫したマウスから、
ポリエチレン・グリコール(PEG)法によって生産する
ことができる。細胞は、免疫マウスから無菌的に取り出
し、脾臓細胞の単一細胞懸濁を、腎臓を血清非含有培養
液(例えば、DME)で灌流して入手する。脾臓細胞とミ
エローマ細胞を一緒に、例えば、脾臓細胞対ミエローマ
細胞が5対1の比率で混合する。次に、細胞を遠心し、
上清を吸引で除去する。次に、細胞を標準法を用いて培
養液中で増殖させる。ハイブリドーマは、融合操作の後
増殖するが、次に、抗ヒト・サプレッサー産物抗体の分
泌について、スクリーニングを行なう。これには、細胞
の溶解産物にELISA法を用いる。陽性の結果を呈したハ
イブリドーマは、限界希釈によって希釈し、クローンす
る。これは、細胞と、それに由来する抗体が、本当に、
モノクローナルであることを確実にするためである。ヒ
ト・サプレッサー遺伝子産物にたいする抗体の存在がテ
ストの結果陽性であったハイブリドーマ・コロニーを、
培養液中で、例えば、1ml当り5ハイブリドーマ細胞の
濃度となるように希釈する。一旦、コロニーが成長した
ら、再び、その上清について、ヒト・サプレッサー遺伝
子産物にたいする抗体の有無についてテストする。も
し、ELISAアッセイでテストして見て、その結果が陽性
であるならば、そのコロニーを再び限界希釈でクローン
する。
ここに得られた抗体は、前述したアッセイ法のプロー
ブとして用いることができる。このような抗体プローブ
は、得られる蛋白産物に影響するサプレッサー遺伝子の
変化、欠失にたいして特に感受性が高い。したがって、
この抗体プローブは、遺伝子の欠失ないし変化が、機能
単位に影響を及ぼしているかどうかを調べる場合、簡単
で、能率的な手段となる。抗体プローブを用いることに
よって、発現蛋白質のレベルや、発現に変化があるかど
うか、についても確定することができる。結果を、サン
プリングした材料の基礎レベル、例えば、血中のサプレ
ッサー遺伝子産物のレベルと対照させて比較したり、あ
るいは、ある個体の試験細胞(あらかじめ選んだ細胞)
を、同一個体のもので、悪性のものでないと思われる、
別の細胞と比較する。もし変化があれば(例えば、変化
した電気泳動度を持った反応蛋白質が無ければ)、試験
細胞は、悪性であることを示す。さらに、同一個体か
ら、様々な時間に細胞サンプルを採取して、それを比較
のレベルとすることもできる。これは、ヌクレオチド・
プローブについても実行することができる。
本発明に基づいて、抗体、またはプローブの混合体、
例えば、抗体プローブ(複数)を検出のために用いるこ
とができる。プローブ、例えば、抗体を、直接リポータ
ーでラベルしたり、従来の方法を用いて、特異的な結合
ペアの片割れ(メンバー)を用いて間接的にラベルする
こともできる。
特異的な結合ペアは、免疫型でも非免疫型でもよい。
免疫性特異的結合ペアについては、ハプテン/抗ハプテ
ン系の抗原抗体システムが例示される。これには、フル
オレセイン/抗フルオレセイン、ジニトロフェニル/抗
ジニトロフェニル、ビオチン/抗ビオチン、ペプチド/
抗ペプチド等が含まれる。特異的結合ペアの抗体メンバ
ーは、その技術分野に熟練した人々にはよく知られてい
る通例の方法をもちいて生産することができる。このよ
うな方法は特異的結合ペアの抗原メンバーで動物を免疫
化することを含む。もし特異的結合ペアの抗原メンバー
が、免疫性のものでなかったら、例えば、ハプテンだと
したら、キャリヤー蛋白に共有的に結合させて、免疫性
にすることができる。
非免疫性結合ペアには、二つの成分が、互いに自然の
親和性を有し、抗体ではない、システムが含まれる。非
免疫性ペアの例としては、ビオチン−ストレプトアビジ
ン、内在因子−ビタミンB12,葉酸−葉酸結合蛋白質、等
がある。
抗体を、特異的結合ペアのメンバーで共有結合的にラ
ベルする方法は様々ある。方法は、特異的結合ペアのメ
ンバーの性質、望ましい結合型、抗体の、各種結合化学
作用にたいする許容度に基づいて選ぶ。ビオチンは、市
販されている活性誘導体を用いて抗体に共有結合的に結
合させることができる。この内のいくつかを挙げると、
蛋白質のアミン基に結合するビオチン−N−ヒドロキシ
スクシンイミド;炭水化物部分、アルデヒド及びカルボ
キシル基にカルボジイミド結合を介して結合するビオチ
ンヒドラジド;スルフヒドリル基に結合するビオチンマ
レイミドとヨードアセチルビオチンがある。フルオレセ
インは、フルオレセインイソチオシアネートを用いて、
蛋白質のアミン基に結合させることができる。ジニトロ
フェニル基は、2,4−ジニトロベンゼンサルフェートま
たは2,4−ジニトロフルオロベンゼンを用いて、蛋白質
のアミン基に結合させることができる。他の標準的な結
合法を用いて、特異的結合ペアの片割れに、モノクロー
ナル抗体を結合させることができる。この結合法には、
ジアルデヒド、カルボジイミド結合、同種官能性架橋結
合、及び異種二官能性架橋結合が含まれる。カルボジイ
ミド結合は、ある物質上のカルボキシル基を、もう一つ
の物質のアミン基に結合させる有効な方法である。カル
ボヂイミド結合は、市販の試薬1−エチル−3−(ジメ
チルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDAC)を用い
ると容易である。
同種二官能性架橋結合物質(クロスリンカー)は、二
官能性イミドエステル及び二官能性N−ヒドロキシスク
シンイミドエステルを含めて、市販されており、ある物
質上のアミン基を、別の物質のアミン基に結合させるの
に用いられる。異種二官能性架橋結合物質は、異なる官
能基を有する試薬である。もっとも平凡な市販の異種二
官能性架橋結合物質は、1官能基にアミン反応性のN−
ヒドロキシスクシンイミドエステルを有し、第2の官能
基として、スルフヒドリル反応性基を有する。もっとも
平凡なスルフヒドリル反応性基は、マレイン酸イミド、
ピリジルジスルフィド、活性ハロゲンである。官能基の
一つとして、光活性アリール・ナイトレンがある。これ
は照射されると、いろいろな基と反応する。
検出できるように標識したプローブ、例えば、抗体、
検出できるように標識した抗体、あるいは、特異的結合
ペアの、検出できるように標識したメンバーを、レポー
ターに結合させる。レポーターは、放射性同位元素で
も、酵素でも、蛍光性、化学発光性または電気化学物質
であってもよい。通常用いられる二つの放射性同位元素
は、125I,3Hである。標準的な、放射性同位元素標識法
には、クロラミンT,ラクトパーオキシダーゼと、125Iに
はBolton−Hunter法、3Hにはメチル化還元がある。
本発明に用いるのが適当な酵素としては、次のものが
あるが、それに限定されるものではない。西洋ワサビ・
パーオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、β−ガ
ラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ルシフェラ
ーゼ、β−ラクタマーゼ、ウレアーゼ及びリゾチーム。
酵素標識は、ジアルデヒド、カルボジイミド結合、ま
た、抗体の特異的結合ペアの片割れへの結合に関して記
載したように、同種二官能性架橋結合物質、異種二官能
性架橋結合物質を用いることによって促進される。
選ぶ標識法は、酵素に付属する官能基、標識の対象と
なる物質、および、その両方の結合条件にたいする許容
能力による。本発明に用いられる標識法は、下記のもの
を含む、最近よく用いられる方法の内のどれかであって
よいが、それらのみに限定されるものではない。すなわ
ち、Engvall and Pearlmann,Immunochemistry :871
(1971),Avrameas and Ternynck,Immunochemistry :
1175(1975),Ishikawa et al.,J.Immunoassay
(3):209−327(1983)及びJablonski,Anal.biochem.
148:199(1985)らの記載した方法である。
標識は、例えば、スペーサーや、特異的結合ペアの他
の片割れを用いるような間接法によって行なってもよ
い。この1例として、ビオチン化した抗体を、無標識の
ストレプトアビジン及びビオチン化酵素で検出するやり
方がある。この場合、ストレプトアビジンとビオチン化
酵素は、順番に加えたり、同時に加えたりする。したが
って、本発明では、検出に用いられる抗体は、直接レポ
ーターで、検出できるように標識されたものでもよい
し、特異的結合ペアの第一メンバーで間接的に検出でき
るように標識されたものでもよい。抗体が、ある特異的
結合ペアの第1メンバーに結合している場合は、検出
は、抗体と特異的結合第1メンバーの複合体を、前述し
たように、標識または無標識の特異的結合ペアの第2メ
ンバーと反応させて行なわれる。
さらに、無標識検出用抗体は、この無標識抗体にたい
して特異的な、標識抗体と、無標識抗体を反応させて、
検出することができる。このような抗−抗体は、前述し
た方法のどれかを用いて、直接または間接に標識するこ
とができる。例えば、抗−抗体は、ビオチンに結合させ
ることができるが、これは、前述したストレプトアビジ
ン−西洋ワサビ・パーオキシダーゼ系と反応させること
によって、検出することができる。
ある好ましい実施態様として、ビオチンを利用するも
のがある。ビオチン化抗体を、次に、ストレプトアビジ
ン−西洋ワサビ・パーオキシダーゼ複合体と反応させ
る。オルトフェニレンジアミン、4−クロロナフトール
またはテトラメチルベンジジン(TMB)を用いて、呈色
性検出を行なうことができる。
本発明を実行するにあたって、望ましいイムノアッセ
イ方式は、フォワードサンドウィッチ・アッセイであっ
て、この方式においては、捕捉試薬は、通例の技法を用
いて、支持体表面に固定させる。
アッセイに用いられる適当な支持体には、合成ポリマ
ー支持体が含まれる。例えば、ポリプロピレン、ポリス
チレン、置換ポリスチレン(例えば、アミノ化ポリスチ
レン、カルボキシル化ポリスチレン)、ポリアクリルア
ミド、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等、ガラス・ビーズ
・アガロース、ニトロセルロース等、がある。
前述したように、癌性状態、前癌性状態に侵されてい
る人を、好ましくは、上記プローブで診断された人を、
治療することも可能である。これは、ウィルムス腫瘍サ
プレッサー遺伝子産物の治療量を供給することによって
行なう。これは、この技術分野で既知の、いくつかの方
法によって実施することができる。Williams,D.A.,et a
l.,Nature 310:476−480(1984);Cepko,C.L.,et al.,C
ell 37(3)1053−1062(1984)。例えば、遺伝子移送
法を用いて、ウィルムス腫瘍遺伝子またはその機能的フ
ラグメントに一致するヌクレオチド配列を含むベクター
を調製し、そのようなベクターを用いて、悪性細胞を形
質転換してもよい。ベクターは、好ましくは、BrownとS
cottが記載したようなレトロウィルスベクターがよい。
Brown and Scott,in DNA Cloning,vol III,A Practical
Approach,ch.9,“Retroviral Vectors",CRL Press(19
87)。
また、例えば、ウィルムス腫瘍形質転換細胞系を用い
て、機能的ウィルムス腫瘍遺伝子産物を多量に生産する
こともできる。次に、これを、単離・精製し、発熱物質
やエンドトキシンをほとんど含まないようにする。この
遺伝子産物は、好ましくは、少なくとも約90%の純度
に、より好ましくは、少なくとも95%の純度に、さらに
より好ましくは、少なくとも98%の純度になるように精
製する。次に、この精製蛋白を、標準的な製薬法を用い
て、例えば、注入、キャリヤー結合性調剤等によって、
悪性細胞に移送されるようにパッケージする。この精製
蛋白は、治療的に有効な量を使用する。治療的に有効な
量は、本開示に基づいて、簡単に経験的に決めることが
できる。
次に、本発明を、下記の実施例を用いてさらに具体的
に説明する。
実施例 材料および方法 細胞培養 患者細胞系、DG−85−1436,GM4613から、染色体11ま
たは転座染色体を含む、体細胞ハイブリッドを分離し
た。DG85−1436は、家族性無虹彩を持つ患者から得た線
維芽細胞系であって、染色体11、22の細胞学的にはバラ
ンスした転座を含む{t(11;22)(p13;q12.2)}。Mo
ore,et al.,Hum.Genet.,72:297−302(1986)。GM4613
は、線維芽細胞系であり(ヒト突然変異細胞保存施設
(Human Genetic Mutant Cell Respository)、Camden,
ニュージャージー)、染色体2、11に関わる。細胞学的
にバランスした転座を示す{t(2;11)(p11;p1
3)}。これは、ポッター症候群を呈する新生児から得
たものである。Potter,In:Normal and Abnormal Develo
pment of the Kidney,Year Book Medical Publ.,Chicag
o,IL.,pp.3−79,83−123及び259−281(1972)、体細胞
ハイブリッドは、先に記載されたようにして単離され
た。Glaser,et al.,Nature,321:282−887(1986)。こ
れらハイブリッドの染色体11の半数型を、染色体11の短
腕と長腕の両方に対するDNAプローブを使用して、RFLP
分析で確定した。最初のDGハイブリッドはすべてder(1
1),der(22)及び正常染色体11を保持していた。細胞
表面抗原研究によって、あるハイブリッドDG−7A−3の
小集団は、der(22)染色体しか持たないことが判明し
た。der(22)染色体しか持たない2種のハイブリッ
ド、R19−2C,R19−3Bを、DG−7A−3集団から、細胞表
面抗原選択法によって単離した。これは、11p15のmer2
表面抗原を保持しているものを選択し、かつ、11p13の
転座位置にたいして動原体側にあるMIC1表面抗原を排除
するように選択することによった。ポッター患者の場
合、der(11)(BW G2−5),der 2(BW A2−5),ま
たは、正常の染色体11(BW H2−3)のみを保持するGM4
613ハイブリッドが、PFLP分析によって特定された。
患者HVは、家族性無虹彩を持っており、これは、染色
体11および4 t(4;11)(q22;p13)に関わる細胞学的に
バランスした転座と関連していた。これは、Simola,et
al.,Hum.Genet.,63:158−161(1983)の記載した通りで
ある。HVヒト・マウスハイブリッドR195は、der(11)
染色体を含み、HVハイブリッド、LHV−1A5は、der
(4)染色体を含む。WAGR患者、JH,MH、NWから得たハ
イブリッドについては既に記載された。Glaser,et al.,
Nature,321:882−887(1986)。ウィルムス腫瘍患者DR
から得たヒト・マウスハイブリッド15.14ハイブリッド
は、11p13−p12という介在欠失を持つが(Turleau,et a
l.,Hum.Genet.,67:455−456(1986))、その特性は既
に明らかにされている。この細胞系のゲノムDNAは、Cla
udine Junien(INSERM,パリ)によって恵与された。細
胞系株WiT−13は、古典的三相組織構造を有する段階III
のウィルムス腫瘍の異種間移植培養から得た。腫瘍は、
その他の転では健康な2才の女児に散発的に発生したも
のである。Lewis,et al.,Genomics,:25−31(198
8)。
コスミド・クローンの単離 高分子量DNAを、J1−11ハイブリッドから調製した。
このハイブリッドは、チャイニーズ・ハムスター・ヒト
体細胞ハイブリッドで、ヒト染色体11の短腕しか有して
いない。
Kao,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,73:193−197(1
976)。このDNAを用いて、ベクターpJB8(Ish−Horowit
z,et al.,Nucl.Acid.Res.,:2989−2998(1981))及
びpWe15中のコスミド・ライブラリーを、EvansとWahlの
方法に従って構築した。Evans,et al.,Methods in Enzy
m.,152:604−610(1987)。DNAは制限酵素Mbo Iで部分
的に消化し、5−25%NaCl勾配を用いて、35から45kbの
フラグメントを分離した。このDNAを、ベクターDNAに連
結させ、ファージとしてパックし(Gigapack Gold,Stra
tagene,ラホヤ、カリフォルニア州)、これを、大腸菌
株1046またはDH5に感染させた。コロニーは、LB−アン
ピシリン平板に低濃度(150mmプレート当り1,000から2,
000個)でプレートした。Maniatis,et al.,Molecular C
loning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Labo
ratory,Cold Spring Harbor,NY(1982)。
ゲノム・ライブラリーのスクリーニング 標準スクリーニング法を実行した。これは、Maniati
s,et al.,(1982)ibidの概説した通りである。レプリ
カ・フィルターを、ヒト陽性に関してスクリーニングし
た。そのために、放射性標識したヒト全DNA(Gusella,e
t al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:2829−2833(198
8)、クローンしたヒトAlu反復プローブ(Blur 11)(J
elinik,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:1398−1402
(1980))または、Cot1ヒト反復を多く含むDNA(Shih,
et al.,Cell,29:616−619(1982))とハイブリダイゼ
ーションをさせた。J1−11ライブラリーのコロニーの内
約0.5−1%がヒト陽性であることが判明した。コスミ
ドDNAを、これらヒト陽性コロニーの各々について行な
った小規模の培養から、Maniatisらの方法にしたがって
単離した。Maniatis,et al.,(1982)ibid。コスミドの
EcoR I制限パターンは、標準アガロース・ゲル電気泳動
によって分析した。
コスミドのマッピング ヒト染色体11pの定められたセグメントを持つJ1細胞
ハイブリッドの、省略形マッピング・パネルを、11p13
におけるヒト・コスミドを速やかに特定するために用い
た。ヒト・コスミドのマッピングは、放射性標識したDN
Aを、ヒト反復列からの信号をできるだけ抑えるため
に、完全に1本鎖にしたヒトDNAでプレアニーリング
し、(Litt,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:6206−
6210(1985))、次に、J1細胞由来の、EcoR I消化DNA
のナイロン(Zetabind,AMF−Cuno)フィルターとハイブ
リダイズさせて、行なった。
単一コピー配列の単離 単一コピー配列をコスミドから下記のようにサブクロ
ーンした。コスミドを、Sau3A Iで完全に消化し、生成
したフラグメントを、プラスミドpUC19のBamH Iポリリ
ンカー部位にサブクローンした。挿入体を含むクローン
を、ニトロセルロース・フィルターにグリッド状に付着
させ、単一コピー配列を持つものを、反復の多い(Co
t1)DNAにたいするハイブリダイゼーションの欠如で特
定した。さらに、ランダムな単一コピー・フラグメント
を、低溶解度アガロースゲルスライスから分離した放射
性標識を有する挿入体を、ヒトとλファージDNAのニト
ロセルロースフィルターにハイブリダイズすることによ
ってテストした。プローブJ7−18p2,J9−3p4は、これら
コスミドから特定された単一コピー配列の中にあったも
のである。
DNAプローブの起源 ヒトコスミドJ7−18,J8−3,J10−15は、J1−11/pWe15
コスミドライブラリーから単離された。さらに4種のコ
スミド(L156,L159,L155−1,L109)が、ヒトpWe15の全
コスミドライブラリーから単離された(Stratagene,ラ
ホヤ(La Jolla)、カリフォルニア州)。これには、プ
ローブとして、WT33 cDNAの1.8kbのEcoR Iフラグメント
を用いた。11p13にたいする全コスミドの位置決定は、
体細胞マッピングによって証明された。ゲノム・プロー
ブJ7−18p2,J8−3p4は、それぞれ、コスミドJ7−18,J8
−3由来のpUC19における、0.5kb,1.3kb長の、単一コピ
ーEcoR I/Hind IIIフラグメントと特定された。ファー
ジK13は、Goss−Harrisハイブリッド3AのBamH I完全消
化物から構築したλダッシュ(Stratagene)ライブラリ
ーから単離された。CATプローブは、cDNAクローンpC24
の0.6kb Pst I−Ava Iフラグメントである。Bruns,et a
l.,Am.J.Hum.Genet.,36:245(1984)。FSHBプローブ
は、pFSH−1.4の1.4kbのPst I挿入体である。Watkins,e
t al.,DNA,:205−212(1987)。
サザーン・プロット法 ゲノムDNAの単離と消化、DNAのナイロン膜への移送、
放射性標識プローブのハイブリダイゼーション、フィル
ターの洗浄、オートラジオグラフィーは、Glaserらの記
述に従って行なった。Glaser,et al.,(1986)ibid。DN
Aは、ランダムム・プライマー法にしたがって、32P−α
dCTP(New England Nuclear)で放射性標識した。Feinb
erg,et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.,111:47−54(1
983)。
cDNAライブラリーのスクリーニング 胎児腎臓、成人腎臓、前B細胞起源のヒトcDNAライブ
ラリーをスクリーニングした。Maniatis,et al.,(198
2)ibid。各ライブラリーをスクリーニングするため
に、全数106個のファージを、NZCYMアガロース・プレー
トにプレートし、各プレートにつき2個のレプリカを、
ニトロセルロース・フィルターで作成した。Schleicher
及びSchull。このレプリカ・フィルターを、Maniatis,e
t al.,(1982)ibidにしたがって、変性液、中性化液、
2×SCC(1×SCC=0.15M NaCl,0.015Mクエン酸ナトリ
ウム)で、それぞれ、5分間処理し、次に、真空オーブ
ン中で、80℃で、2時間乾燥させた。レプリカ・フィル
ターは、保存しておいた単一コピー・プローブJ8−3p4
または、WT cDNAのサブフラグメントとハイブリダイズ
させた。
ノーザン・ブロット法 全RNAは、塩化リチウム/尿素法によって単離した。A
uffray,et al.,Eur.J.Biochem.,107:303−314(198
0)。細胞を収穫し、ペレットにし、3M塩化リチウム/6M
尿素に再懸濁し、4℃でホモジェネートした。RNAを沈
澱させ、3M塩化リチウム/6M尿素で洗浄し、沈澱させ、T
E/SDS中に再懸濁した。RNAは、フェノールクロロホルム
で抽出し(2〜3X、エタノールで沈澱させ、凍結乾燥
し、再懸濁、定量後、−20℃で保存した。10−20μgの
RNAを、1%アガロース37%ホルムアルデヒドRNAゲル上
を移動させ、Gene Scree Plus(New England Biolabs)
膜上にプロットした。フィルターを、50%ホルムアミ
ド、5×Denhardts液、0.5%SDS(ドデシル硫酸ナトリ
ウム)、10%硫酸デキストラン、0.1%ピロリン酸塩及
び100μg/mlサケ精子DNAの溶液中で、42℃で24時間、プ
レハイブリダイズ及びハイブリダイズした。プロット
は、保存ゲノム・プローブJ8−3p4,cDNA 2−1(1.5kb
Pst I/EcoR Iフラグメント)、cDNA 2−1の0.5kb Sau3
a Iサブクローン、または、cDNA WT33の1.8kb EcoR Iフ
ラグメントとハイブリダイズさせた。18−36時間のハイ
ブリダイゼーション後、ブロットは、2×SSC.0.1%SDS
で30分間室温で2度洗い、1×SSC,0.1%SDSで、30分間
55−60℃で1回から2回洗浄した。
DNA塩基配列の決定 DNA塩基配列決定は、2重鎖DNAの鋳型を用いるチェー
ン停止法によって行なった。Sanger,et al.,Proc.Nat.A
cad.Sci.USA,74:5463−5467(1977)。WT33 cDNAの制限
フラグメントをpUC19またはBluescript(New England B
iolabs)でサブクローンした。Bluescript用の直接配列
決定用プライマーは、New England Biolabsから入手し
た。このcDNAに相当する、別のオリゴヌクレオチド・プ
ライマー(Research Genetics,Huntsville,アリゾナ
州)も、このcDNA配列決定に用いた。さらに、他のcDNA
(WT2,WT4,WT22)の領域についても、配列を確認した。
配列決定反応物は、6%、8%ポリアクリルアミド・ゲ
ルで電気泳動し、乾燥し、オートラジオグラフィーで調
べた。Fast−Pアルゴリズムを用いた。Lipman,et al.,
Science,227:1435−1441(1985)。cDNA WT33の予測ア
ミノ酸配列を、国立生物医学研究所(National Biomedi
cal Research Foundation)の蛋白同定リソース(Prote
in Identifecation Resource)(NBRF/PIRデータ・ベー
ス)に保存されている蛋白配列と比較した。
結 果 ゲノム・プローブの単離とマッピング コスミド・ライブラリーは、ハイブリッド細胞系、J1
−11から構築した。この系においては、染色体11の短腕
が、チャイニーズ・ハムスターをバックグラウンドとし
て、他のヒトゲノムから分離されていた。Kao,et al.,
(1976)ibid。ヒトDNA配列を含む、全数119個のコスミ
ド・クローンが単離された。そのいずれも染色体11の短
腕にマップされた。WAGR領域内のクローンを特定するた
めに、ヒト染色体11pの各種フラグメントを含む体細胞
ハイブリッドのマッピング・パネルを用いた。Glaser,e
t al.,(1989)ibid。3個のコスミド、J7−18,J8−3,J
10−15が、ウィルムス腫瘍遺伝子を含む領域にもっとも
近接していることが明らかになった。コスミドJ−8,J1
0−15の制限マップは、かなりの重複を示した。したが
って、単一コピー配列(J7−18p2,J8−3p4)をサブクロ
ーンし、それぞれ、コスミドJ7−18,J8−3から特定し
た。
11p13内における、これら単一コピーDNA配列の微細な
位置については、一連の体細胞ハイブリッドにたいする
ハイブリダイゼーションによって研究した。このハイブ
リッドは、WAGR領域内部に特定の間隔を示す転座、欠失
を有する患者から得たものである。サブクローンJ7−18
p2,J8−3p4は、無虹彩患者DGから得たハイブリッド細胞
からのDNAとハイブリダイズさせた。この患者は、バン
ド11p13を分断する、細胞学的にはバランスした11;22転
座を持っている。この転座は、この家系において、無虹
彩とともに、数世代受け継がれており、Moore,et al.,
(1986)ibid、断点での小分子量の欠失と関連する。Da
vis,et al.,(1988b)ibid,;Gessler,et al.,(1989b)
ibid。プローブJ7−18p2,J8−3p4と相同的なヒトDNA配
列は、細胞系R19−2C,R19−3Bには存在しないことが判
明した。その細胞系は、派生的(der)(22)染色体し
か含んでいなかった。上記の結果と、この患者から得た
線維芽細胞DNA中の正常遺伝子量を考え合わせると、J7
−18p2,J8−3p4は、染色体11のDG転座断点の動原体側に
あることになる。同様の結果が、もう一人、先のとは無
関係の患者(HV)で、やはり11p13転座(表)を持つも
のからのハイブリッド細胞についても得られた。したが
って、両コスミドは、AN2にたいして動原体側に、ウィ
ルムス腫瘍遺伝子座近傍にマップされた。
第2の患者(BW)から得た体細胞ハイブリッドからの
DNAに、J7−18p2をハイブリダイズしたものを、J7−18p
2及びJ8−3p4とハイブリダイズさせた。この患者は、泌
尿器に多発性欠陥(ポッター症候群)と、t(2;11)
(p11;p13)転座を持っていた(GM4613,ヒト突然変異細
胞保存施設、Camden,ニューヨーク州)。この転座の断
点は、泌尿生殖異常の遺伝的決定要素と思われる部位に
特定された。Porteus,et al.,(1987)ibid。両プロー
ブは、det(2)染色体を含む細胞系A2−5にはハイブ
リダイズするが、der(11)染色体を含む細胞系G2−5
とはハイブリダイズしない。したがって、両者は共に、
無虹彩転座とポッター転座の両断点間にある。この間隔
は、ウィルムス腫瘍遺伝子を含んでいるのだから、この
所見から、J7−18p2,J8−3p4は、ウィルムス腫瘍遺伝子
座の近傍、または、その内部にあることは明らかであ
る。
WAGRおよびウィルムス腫瘍患者(表)の染色体11の欠
失の分析から、これらプローブの、ウィルムス腫瘍遺伝
子にたいする位置をより厳密に知ることができた。J7−
18p2,J8−3p4のいずれも、テストした3個の体質性WAGR
欠失(患者JH,MJ,NW)においては、ヘミ接合的に欠けて
いた。これは、ウィルムス腫瘍遺伝子座のごく近傍にあ
る、これらのDNA配列の位置と一致した。
ウィルムス腫瘍遺伝子座にたいする、J7−18p2,J8−3
p4の相対的位置を、二人のウィルムス腫瘍患者由来の細
胞系から得たDNAにハイブリダイズさせることにより、
さらに研究した。患者DRは、11p12−p13という体質性欠
失を持つ患者であり、Couillin,et al.,(1988)ibid、
この欠失部は、ウィルムス腫瘍とAN2部位(表)の間で
終結している。J7−18p2は、患者DRの欠失染色体11にあ
るのに、J8−3p4は無い。カタラーゼは、DRに欠けてい
るのだから、J7−18p2は、J8−3p4にたいして末端小粒
側にあるに違いない。この二つのプローブ間の距離は、
340kb未満である。DRデータから、次のことが判明す
る。患者WiT−13のウィルムス腫瘍を含むにちがいない
領域の末端側境界は、無名のDNAセグメントD11S87のホ
モ接合性欠失から明らかなように、腫瘍組織の重複する
11p13欠失を担っていることが以前示されている(Lewi
s,et al.,(1988)ibid)。J7−18p2はこの染色体にあ
り、J8−3p4は無いのであるから(表)、WiT−13の△
(小)欠失染色体11は、この二つのプローブの間に断点
を持っているのに違いない。J8−3p4は、△(大)欠
失染色体にも欠けていることが判明したので、WiT−13
において、ホモ接合的に欠失している。ウィルムス腫瘍
遺伝子座の位置の中心側の限界は、WiT−13の△欠失
の終点である。したがって、J8−3p4は、WiT−13におい
て、ホモ接合的に欠失している所見から、これは、ウィ
ルムス腫瘍遺伝子座を含む11p13領域にマップされる。
その間隔は、パルス式フィールド・ゲル電気泳動による
分析では、345kb以下である。上記所見をまとめたマッ
プを第2図に示す。
cDNAクローンの単離 J8−3p4のマップ位置から、このプローブが、ウィル
ムス腫瘍遺伝子座の近傍にあるか、その内部にあること
は明かであった。二つの観察所見から、J8−3p4は、転
写単位の一部を含むことが示唆された。第一に、ハムス
ターおよびマウスDNAゲノム配列にたいする強い、異種
間ハイブリダイゼーションが、J8−3p4を有する体細胞
ハイブリッドに観察された(第1A、1B図)。異種間保存
が、発現されたDNA配列に伴うことがしばしばある。第
二に、J8−3p4は、ヒヒ腎臓及び脾臓から単離されたRNA
とのハイブリダイゼーションを示した。J8−3p4を、ヒ
ト胎児腎臓(HEK)細胞から得たcDNAライブラリーのス
クリーニングにプローブとして用いた。ノーザン・ブロ
ット法の結果に基づいて、ヒト成人腎臓、ヒト前B細胞
ライブラリーもスクリーニングした。4つのcDNAクロー
ンについて、二つはHEK由来のものであり(WT4,WT2)、
一つはヒト成人腎臓から(WT22)、一つは前B細胞から
(WT33)であるが、詳細に調べた。もう一つ、独立に単
離した、保存ゲノムDNAクローン、λK13を用いて、五つ
目の相同性cDNAクローン(WT13)もHEKライブラリーか
ら単離した。単離したもののうち、もっとも長いcDNAク
ローン、WT33は、長さが、2313塩基対である(第3図、
4図)。WT33 cDNAは、5'、3'いずれの方向にももっと
も長く延びている。他の4つのcDNAは、DNA配列の共通
の内部領域を分かち持っている。その長さは、約1000か
ら1200塩基対である。
WT33 cDNAの配列分析 WT33 cDNAのヌクレオチド配列を決定し、予測される
アミノ酸配列を得た。WT33の配列から、345アミノ酸か
ら成る、連続オープンリーディングフレームが明らかに
された。このフレームは、ヌクレオチド1から1035にわ
たっている。WT33 cDNAを図式的に表わしたものを第3
図に示す。このオープンリーディングフレームは、WT33
のコード・セグメントの大部分を占めているが、イニシ
エーターであるメチオニン・コドンを含んではいない。
プライマー拡張実験から、さらに200bpが、WT33に対応
するmRNAの5'末端にあることが明らかにされた。すなわ
ち、WT33に対応する遺伝子座の転写パターンである。こ
れらのcDNAに対応する遺伝子座の転写パターンは多少複
雑である。RNA PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を利用し
た実験では、mRNAのコード領域の5'セグメントのmRNA配
列に変動のあることが明らかにされた。このことから、
各種組織タイプの間に、別々のスプライシングパターン
のあることが示唆された。
特に興味あるのは、ヌクレオチド670から1002が、4
個の相接する「ジンク・フィンガー」領域をコードして
いることである。ジンク・フィンガー・モチーフが最初
に記載されたのは、ゼノプス(Xenopus)TF−III Aにお
いてであり、5S遺伝子の内部コントロール領域のDNAに
結合している。Miller,et al.,EMBO.J.,:1609−1614
(1985);Brown,et al.,FEBS Lett.,186:271−274(198
5)。その後、他にも核酸認識蛋白が、ジンクフィンガ
ー領域を含むことが報告された。Klug,et al.,TIBS,12:
464(1987);Evans,et al.,Cell,52:1−3(1988)。ジ
ンク・フィンガー配列モチーフは、29から30個のアミノ
酸の繰り返し単位から成り(Y/F−X−C−X2-4 −C−
X3 −F−X5 −L−X2 −H−X3-4 −H−X6-7,式中、
Xはアミノ酸であれば何でもよい)、このアミノ酸は、
一対のシステインとヒスチジン間に亜鉛原子をキレート
する領域の中に折りたたまれる。Diakun,et al.,Natur
e,324:698−699(1986);Green,et al.,Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA,86:4047−4051(1989)。WT33(第4図、5
図)によってコードされる4個のジンク・フィンガーは
すべて、ジンク・フィンガー共通配列に一致する。ジン
ク・フィンガー間のH/C結合は、TGE−R/K−P−F/Y−X
なるアミノ酸配列に代表されるが、Suh,et al.,Cell,4
7:1025−1032(1986)、これも、WT33について得られた
アミノ酸配列に保存されていた。
ウィルムス腫瘍遺伝子産物の細菌発現 グルタチオン S−トランスフェラーゼ−ウィルムス
腫瘍融合蛋白を、ウィルムスのcDNAのフラグメントを、
細菌発現ベクターpGEX−3X(Pharmacia)に挿入して、
生成した。プラスミドWT33を、BamH Iで消化し、Klenow
でブラントにし、つぎに、Psr IIで制限処理した。生成
したフラグメントを、停止コドンを含むDNAリンカー(M
cGill大学、生化学部)に結合させ、pGEX−3Xのブラン
ト処理したBam H1部位にサブクローンした。生成したプ
ラスミド、pGEX/h W.T.を大腸菌株NB42に導入した。こ
のプラスミドは、ウィルムス腫瘍蛋白の97−295アミノ
酸(番号は、第3図を参照)を含む融合蛋白を発現する
ことができる。
融合蛋白の増殖誘発と分離は、メーカーの説明書にし
たがって実行した。発現は、SDS−PAGEによって分析し
た。
結 果 細菌発現 ウィルムス腫瘍蛋白の95−295アミノ酸を含むグルタ
チオン S−トランスフェラーゼ(GST)ウィルムス腫
瘍融合蛋白(GST−WT)をコードするプラスミドが生成
された。第9図は、このプラスミドが、〜50kDaの蛋白
を発現できることを示している。pGEXと標識されたレー
ン1と3は、ベクターによって発現される融合蛋白のGS
T部分の発現を示している。この蛋白は、溶解性に富
み、グルタチオン・セファロース(Pharmacia #17−07
56−01)に効率的に結合する。{レーン1と4は、上清
であり、レーン2と5は、ペレットであり、レーン3と
6は、グルタチオンアフィニティである}矢印は、約50
kDaの融合蛋白の発現を示す。GST部分だけの場合と対照
的に、GST−WT蛋白は、不溶性で、グルタチオン・セフ
ァロース・アフィニティ・クロマトグラフィーでは精製
されない。レーン3、6参照のこと。
等価対象物 本技術分野に熟練している人々であれば、ほんの通例
の実験法を用いるだけで、ここに記載した発明の特定の
実施態様について、たくさんの等価的対象物を理解し、
確かめることができるであろう。そのような等価的対象
物は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12P 21/00 C12R 1:91 21/08 C12P 21/00 (C12N 15/09 ZNA C12R 1:19 C12R 1:91) C12N 15/00 ZNAA (C12P 21/00 A61K 37/02 C12R 1:19) (72)発明者 グラサー,トーマス・エム アメリカ合衆国、マサチユーセツツ・ 02138、ケンブリツジ、セント・ポー ル・ストリート・9 (72)発明者 イトウ,キヤリー・ワイ アメリカ合衆国、ノース・カロライナ・ 27510、セルボロ、デイー―9、オール ド・ウエル・ソル・ジヨーンズ・フエリ ー・ロード (番地なし) (72)発明者 バツクラー,アラン・ジエイ アメリカ合衆国、マサチユーセツツ・ 02138、ケンブリツジ、センター・スト リート・ナンバー・42・5 (72)発明者 ペリテアー,ジエリー アメリカ合衆国、マサチユーセツツ・ 02141、ケンブリツジ、ナンバー・209、 ソーンダイク・218 (72)発明者 ハーバー,ダニエル・エイ アメリカ合衆国、マサチユーセツツ・ 02139、ケンブリツジ、ハーバード・ス トリート・ナンバー・3・ジー、334 (72)発明者 ローズ,エリーズ・エイ アメリカ合衆国、カリフオルニア・ 94608、エメリービル、クリステイス・ アベニユー・6400 (72)発明者 ハウスマン,デイビツド・イー アメリカ合衆国、マサチユーセツツ・ 02159、ニユートン、ホーマー・ストリ ート・64 (56)参考文献 Genomics,(1988),3 (2),p.117−123 Cell,(1988),55(5),p. 827−836 Nature,(1986),321 (6073),p.882−887 Proc Natl Acad Sc i U S A,(1987),84(15), p.5355−5359 Science,(1989),244 (4912),p.1575−1578 Genomics,(1988),3 (1):25−31 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 C12Q 1/68 G01N 33/574 G01N 33/577 A61K 38/00 C12P 21/00 SwissProt/PIR/GeneS eq GenBank/EMBL/DDBJ/G eneSeq BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed

Claims (37)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)以下のアミノ酸配列: を有するポリペプチド、又は (b)ウイルムス腫瘍の障害を引き起こす、(a)のア
    ミノ酸配列においてアミノ酸の1以上の欠失、置換若し
    くは付加を有するポリペプチド、 をコードする、11p13ウイルムス腫瘍遺伝子の単離DNA。
  2. 【請求項2】(a)以下のヌクレオチド配列: を有するDNA、又は (b)ウイルムス腫瘍の障害を引き起こすポリペプチド
    をコードする、ストリンジェントな条件下に(a)のDN
    Aに相補的なヌクレオチド配列とハイブリダイズするDN
    A、 である、11p13ウイルムス腫瘍遺伝子の単離DNA。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の単離DNAに結合す
    る、11p13ウイルムス腫瘍遺伝子の単離mRNA。
  4. 【請求項4】請求項1又は2に記載のDNAによってコー
    ドされるポリペプチド。
  5. 【請求項5】(a)以下のアミノ酸配列: を有するポリペプチド、又は (b)ウイルムス腫瘍の障害を引き起こす、(a)のア
    ミノ酸配列においてアミノ酸の1以上の欠失、置換若し
    くは付加を有するポリペプチド、 から選択される、11p13ウイルムス腫瘍のポリペプチ
    ド。
  6. 【請求項6】請求項4又は5に記載のポリペプチドに特
    異的な抗体。
  7. 【請求項7】モノクローナル抗体である請求項6記載の
    抗体。
  8. 【請求項8】a)細胞中に存在するDNAを、相補的DNAと
    ハイブリダイズできるようにし、 b)相補的ヌクレオチド配列のハイブリダイゼーション
    が起こるのに適した条件下で、請求項1又は2に記載の
    DNAのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列で
    あるDNAプローブと、手順a)で形成されたDNAを接触さ
    せ、 c)細胞中に存在するDNAの、DNAプローブとのハイブリ
    ダイゼーションを検出する ことから成る細胞中のウイルムス腫瘍DNAの検出法(細
    胞中に存在するDNAの、DNAプローブとのハイブリダイゼ
    ーションは、ウイルムス腫瘍DNAの存在を示す。)。
  9. 【請求項9】ヒトにおけるウイルムス腫瘍遺伝子の変化
    の検出法であって、ヒト由来の細胞又は生物性液体を、 a)細胞又は液体を、請求項1若しくは2に記載のDNA
    のヌクレオチド配列を含むウイルムス腫瘍DNA、該DNAか
    ら転写されたmRNA又は該DNAにコードされた遺伝子産物
    と結合することができる少なくとも1つのプローブと接
    触させ、 b)結合が起こったかどうかを決める ことによって、変化のないウイルムス腫瘍遺伝子又は遺
    伝子産物の有無についてテストすることから成る前記方
    法。
  10. 【請求項10】ヒト由来の細胞又は生物性液体中の、ウ
    イルムス腫瘍遺伝子産物の存在を検出ないし定量するイ
    ムノアッセイであって、 a)細胞又は液体を、ウイルムス腫瘍遺伝子産物に結合
    することのできる、請求項7に記載のモノクローナル抗
    体と反応させ、 b)手順a)の産物を検出又は定量する ことから成る前記イムノアッセイ。
  11. 【請求項11】ヒト細胞における癌又は前癌状態の有無
    を調べるアッセイ法であって、 a)ヒトから、あらかじめ定めた細胞又は液体サンプル
    を採取し、 b)請求項1若しくは2に記載のDNAのヌクレオチド配
    列を含むヒトウイルムス腫瘍遺伝子又は該遺伝子にコー
    ドされる遺伝子産物に対するプローブをあらかじめ定め
    た細胞又は液体サンプルに加え、 c)このプローブから、あらかじめ定めた細胞サンプル
    中のウイルムス腫瘍遺伝子の機能部分に変化又は欠失が
    あるかどうか検出することから成る該アッセイ法(ウイ
    ルムス腫瘍遺伝子又は遺伝子産物の変化又は欠失は、癌
    又は前癌状態の指標である。)。
  12. 【請求項12】プローブがヌクレオチドプローブである
    請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】プローブが抗体プローブである請求項11
    に記載の方法。
  14. 【請求項14】請求項1又は2に記載のDNAのヌクレオ
    チド配列を含むベクター。
  15. 【請求項15】細胞中のウイルムス腫瘍DNAを定量する
    方法であって、 a)細胞中に存在するDNAを、相補的DNAとハイブリダイ
    ゼーションできるようにし、 b)相補的DNA配列のハイブリダイゼーションが起こ
    り、ウイルムス腫瘍DNA/検出可能標識DNAプローブ複合
    体が形成されるのに適した条件下で、手順a)で形成さ
    れたDNAを、請求項1又は2に記載のDNAのヌクレオチド
    配列に相補的なヌクレオチド配列を含む検出可能に標識
    されたDNAプローブと接触させ、 c)ウイルムス腫瘍DNA/検出可能標識DNAプローブ複合
    体の量を測定すること から成る前記方法。
  16. 【請求項16】請求項1又は2に記載のDNAのヌクレオ
    チド配列に相補的である、請求項15に記載の方法におい
    て使用するためのDNAプローブ。
  17. 【請求項17】個体から得たサンプル中の、ウイルムス
    腫瘍遺伝子にコードされるポリペプチドの検出法であっ
    て、 a)ウイルムス腫瘍遺伝子にコードされるポリペプチド
    と抗体との結合及びウイルムス腫瘍遺伝子コードポリペ
    プチド/抗体複合体の形成に適した条件下で、サンプル
    を、請求項4又は5に記載のポリペプチドに特異的な少
    なくとも1種の抗体と組み合わせ、 b)ウイルムス腫瘍遺伝子コードポリペプチド/抗体複
    合体を検出することから成る該検出法。
  18. 【請求項18】請求項1又は2に記載のDNAのヌクレオ
    チド配列に相補的なヌクレオチド配列を含むDNAプロー
    ブを含む、細胞中のウイルムス腫瘍DNAを検出するため
    のキット。
  19. 【請求項19】請求項4又は5に記載のポリペプチドに
    特異的な単離抗体を含む、細胞中の、ウイルムス腫瘍遺
    伝子がコードするポリペプチドを検出するためのキッ
    ト。
  20. 【請求項20】容器をさらに含む、請求項18又は19記載
    のキット。
  21. 【請求項21】以下のヌクレオチド配列: を含むウイルムス腫瘍DNAにコードされた単離ポリペプ
    チドを含んでなる組成物。
  22. 【請求項22】以下のアミノ酸配列: (a) (b) 又は (c) を含む単離ポリペプチドを含んでなる組成物。
  23. 【請求項23】個体におけるウイルムス腫瘍遺伝子に関
    連する癌又は前癌状態の治療に使用するための請求項21
    又は22記載の組成物。
  24. 【請求項24】癌又は前癌状態が、ウイルムス腫瘍、白
    血病、睾丸腫瘍及び腎臓癌からなる群より選ばれる、請
    求項23記載の組成物。
  25. 【請求項25】免疫応答の誘導に使用するのに適する請
    求項21〜24いずれか記載の組成物。
  26. 【請求項26】抗体応答の誘導に使用するのに適する請
    求項21〜24いずれか記載の組成物。
  27. 【請求項27】請求項1又は2に記載の11p13ウイルム
    ス腫瘍遺伝子の単離DNAを含んでなる組成物。
  28. 【請求項28】請求項1又は2に記載のDNAのヌクレオ
    チド配列の上流にプロモーターをさらに含んでなる請求
    項14記載のベクター。
  29. 【請求項29】前記プロモーターがウイルス性プロモー
    ターであり、エンハンサー及びポリアデニル化配列をさ
    らに含んでなる請求項28記載のベクター。
  30. 【請求項30】以下のヌクレオチド配列: を含むウイルムス腫瘍DNAにコードされたタンパク質に
    特異的な単離抗体。
  31. 【請求項31】以下のアミノ酸配列: (a) (b) 又は (c) を含むタンパク質に特異的な単離抗体。
  32. 【請求項32】ポリクローナル抗体又はモノクローナル
    抗体である請求項30又は31記載の抗体。
  33. 【請求項33】請求項30又は31に記載の単離抗体を含ん
    でなる、生物試料又は細胞においてウイルムス腫瘍ポリ
    ペプチドを検出するためのキット。
  34. 【請求項34】該抗体がポリクローナル抗体又はモノク
    ローナル抗体である請求項33記載のキット。
  35. 【請求項35】以下のアミノ酸配列: を含む単離ポリペプチド。
  36. 【請求項36】以下のアミノ酸配列: を含む単離ポリペプチド。
  37. 【請求項37】請求項36に記載のポリペプチドをコード
    する単離DNA。
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