JP3391045B2 - リチウム2次電池の充電方法 - Google Patents

リチウム2次電池の充電方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,充電時におけるデンド
ライト等の異常析出物の析出を抑制しつつ,速やかに充
電を行うリチウム2次電池の充電方法に関する。
【0002】
【従来技術】2次電池を充電する方法には,連続した電
流又は電圧を印加する定電流法,定電圧法の他に,電
圧,電流を断続させながら充電を行う電流パルス法,電
圧パルス法などがある。
【0003】
【解決しようとする課題】チウム2次電池は,充電時
の状態によっては,デンドライト等の異常析出物が析出
し,サイクル寿命の低下や安全性の面において大きな障
害となっている。
【0004】そして,上記デンドライト等の異常析出物
は,充電の初期において核が発生し易く,特に充電初期
に連続して大電流を流すことにより生成が促進されるこ
とが知られている。一方,充電初期には,電池電圧が低
いので,定電圧で充電した場合には,連続して大電流が
流れ,デンドライト等の異常析出物が析出し易い。本発
明は,かかる従来の問題点に鑑み,デンドライト等の異
常析出物の生成を抑制しつつ,高速充電を行うことので
るリチウム2次電池の充電方法を提供しようとするも
のである。
【0005】
【課題の解決手段】本発明は,一定の大きさの電圧をオ
ンオフさせて充電を行うリチウム2次電池の定電圧パル
ス充電方法であって,電池電圧が低い状態では,上記オ
フ時間を長くし,電池電圧が上昇するにつれてオフ時間
を短くすることを特徴とするリチウム2次電池の充電方
法にある。
【0006】本発明において,最も注目すべきことは,
定電圧パルス充電方法において,電池の電圧が低い状態
においては,パルスのオフ時間を長くし,電池電圧が上
昇するにつれてオフ時間を短くするようにしたことであ
る。
【0007】上記のリチウム2次電池の充電方法は,例
えば,一定の波高値を有する定周期の三角波又は鋸歯状
波からなる基準電圧と,電池電圧に比例する検出電圧と
を比較し,検出電圧の絶対値が基準電圧の絶対値を越え
る場合にのみ,印加電圧をオンすることによって実現す
ることができる。
【0008】上記例は,三角波又は鋸歯状波の発振回
路,電池電圧の検出回路,コンパレータ等の比較回路,
及び定電圧パルス発振回路等の比較的簡単な汎用回路の
組合せにより,安価かつ容易に実現することができるの
で好適である。
【0009】
【作用及び効果】本発明による充電方法においては,断
続する定電圧パルスにより電池を充電する。従って,充
電電流は連続した電流とならず,オンオフを繰り返す。
この様に,充電電流に休止(オフ)期間を設けることに
より,デンドライト等の異常析出物の生成を大幅に減少
させることができる。
【0010】また,電池に印加する定電圧パルスは,電
池電圧が低い充電初期においてオフ時間を長くする。従
って,充電電流(印加電圧と電池電圧の差にほぼ比例)
の平均値は,充電初期において特に大きくなることがな
く,低めに抑制することができる。それ故,デンドライ
等の異常析出の生成が抑制される。
【0011】そして,電圧パルスにより,短時間に大電
流を流すので平均電流を大きくすることができる。その
ため急速充電が可能となる。上記のように,本発明によ
れば,デンドライト等の異常析出の生成を抑制しつつ,
高速充電を行うことのできるリチウム2次電池の充電方
法を提供することができる。
【0012】
【実施例】本発明の実施例につき,図1〜図5を用いて
説明する。本例は,図1に示すように,一定の大きさの
電圧を発生させる定電圧回路11の出力を,スイッチン
グ回路12によりオンオフさせて充電を行う,金属リチ
ウム2次電池8の定電圧パルス充電方法である。そし
て,図2(b)に示すように,金属リチウム2次電池8
の電圧Vが低い状態では,印加電圧VI のオフ時間を長
くし,電池電圧Vが上昇するにつれてオフ時間を短くす
る。
【0013】即ち,図1に示すように,発振器13が発
振する一定の波高値を有する定周期の三角波又は鋸歯状
波からなる基準電圧Vs と,電池電圧Vに比例する検出
電圧Vd とを,コンパレータ14で比較し,検出電圧V
d の絶対値が基準電圧Vs の絶対値を越える場合にの
み,スイッチング回路12により電池に対する印加電圧
I をオンする。
【0014】以下それぞれについて詳説する。金属リチ
ウム2次電池8は,図1に示す充電装置10によって充
電される。充電装置10における定電圧回路11は,電
池の上限電圧に等しい定電圧Vmax を発生する回路であ
る。また,発振器13は,上記定電圧Vmax を振幅とす
る一定周期の三角波又は鋸歯状波を発振する回路であ
り,その出力は基準電圧Vs としてコンパレータ14に
入力される。
【0015】一方,分圧抵抗15,16は,金属リチウ
ム2次電池8の電圧Vを分圧し,Vに比例した検出電圧
d を発生させる高抵抗の抵抗器である。検出電圧Vd
は,コンパレータ14のもう一方の入力端子に入力され
る。そして,コンパレータ14は,検出電圧Vd が基準
電圧Vs より大きい場合にスイッチング回路12にオン
指令を出力する。
【0016】一方,スイッチング回路12は,コンパレ
ータ14からのオン指令の継続中にのみ,定電圧Vmax
を出力するオンオフ回路である。スイッチング回路12
の出力電圧VI は,限流抵抗17を経て,金属リチウム
2次電池8に供給される。
【0017】次に,金属リチウム2次電池8に対する充
電時の各電圧,電流のタイムチャートについて,図2を
用いて説明する。基準電圧VS と検出電圧Vd は,図2
(a)に示すように変化する。そしてコンパレータ14
は,Vd >Vs のときにのみオン信号を出力するから,
金属リチウム2次電池8の充電電圧VI は,図2(b)
に示すように変化する。
【0018】そして,電池に対する充電電流は,上記充
電電圧VI と電池電圧Vとの差電圧が正であるときにの
み,その差電圧に比例して流れるから,充電電流の平均
値Ia は図2(c)の実線801のように変化する。な
お,上記検出電圧Vd に,適当なオフセットをかけるこ
とにより,充電電流の平均値Ia は,破線802のよう
に変化させることができる。
【0019】一方,本例の金属リチウム2次電池8から
負荷に電力を供給する場合には,上記充電装置10から
切り離した後,以下に述べる方法により,電池の内部抵
抗や緩和を測定し,残存容量と劣化状態を測定しながら
給電を行う。
【0020】即ち,図3,図4に示すように,金属リチ
ウム2次電池8の負荷85と並列に電力を蓄積するコン
デンサ86を設けると共に,金属リチウム2次電池8と
両者85,86との間には開閉器87を設ける。そし
て,開閉器87を周期的に開路し,後述する監視装置2
0(図5)により,電池の内部抵抗や緩和を測定する。
そして,その間は,図4に示すように,コンデンサ86
を放電して負荷85に対する電力供給(IL )を継続す
る。
【0021】上記監視装置20は,図5に示すように,
電池の放電電流を検出する電流検出器21と,上記電流
と,電池電圧とをディジタル値に返還するA/D変換器
22と,上記電圧と電流とから内部抵抗を演算し,緩和
を解析する演算部23と,開閉器87の開閉及び計測タ
イミングを制御する制御器24とを有している。なお,
図5において,符号861は,コンデンサ86の充電電
流Ic を制限する電流リミッタ(図3,図4では図示
略)である。
【0022】次に,本例の作用効果について述べる。本
例の金属リチウム2次電池8の充電方法においては,図
2(b)に示すように,充電電圧VI (充電電流)を断
続させながら充電を行う。そして,電池電圧Vd の小さ
い充電初期において,特に長い充電休止期間を設けてい
る。その為,充電に伴うデンドライトの核生成を抑制す
ることができる。
【0023】また,平均充電電池Ia は,充電初期にお
いて著しく大きくなることなく低めに抑制され,充電後
期においては,充電電圧の平均値は,ほぼ電池の定格値
となり,過充電を防止するとともに,充電効率を上げる
ことができる。
【0024】また,前記のように,検出電圧Vd にオフ
セットを与えることにより,充電電流の変化カーブを破
線802のようにシフトさせ,電流が極大値となるタイ
ミングを遅くすることができる。このように極大値のず
れた電流カーブ802とすることにより,充電時間を長
くすることなく,初期充電電流Ia を更に抑制し,デン
ドライトの核生成を一段と抑えることができる。
【0025】また,放電時には,図3〜図5に示すよう
に,負荷85への電力供給(IL )を停止することな
く,電池の内部抵抗や緩和を継続して監視することがで
きる。即ち,給電を停止することなく,電池の残存容量
や劣化を監視することができる。これにより過放電等を
回避することができる。
【0026】上記のように,本例によれば,デンドライ
トの生成を抑制しつつ,高速充電を行うことができる金
属リチウム2次電池の充電方法を提供することができ,
また給電を継続しながら金属リチウム2次電池の残存容
量や劣化を監視し,電池の適切な使用を行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における充電方法の回路図。
【図2】実施例における充電時の各電圧,電流のタイム
チャート。
【図3】実施例における放電時の主回路図(監視回路非
作動時)。
【図4】図3において監視回路作動時の主回路図。
【図5】実施例における電池放電時の全体回路図。
【符号の説明】
10...充電装置, 11...定電圧回路, 12...スイッチング回路, 13...発振器, 14...コンパレータ, 15,16...分圧抵抗, 17...限流抵抗, 8...金属リチウム2次電池,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 10/42 - 10/48 H02J 7/00 - 7/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一定の大きさの電圧をオンオフさせて充
    電を行う,リチウム2次電池の定電圧パルス充電方法で
    あって, 電池電圧が低い状態では,上記オフ時間を長くし,電池
    電圧が上昇するにつれてオフ時間を短くすることを特徴
    とするリチウム2次電池の充電方法。
  2. 【請求項2】 一定の波高値を有する定周期の三角波又
    は鋸歯状波からなる基準電圧と,電池電圧に比例する検
    出電圧とを比較し,検出電圧の絶対値が基準電圧の絶対
    値を越える場合にのみ印加電圧をオンすることを特徴と
    する請求項1記載のリチウム2次電池の充電方法。
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