JP3389470B2 - 食器洗浄機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は食器洗浄機に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】洗浄室内に貯留させた洗浄水を回転ノズ
ルから噴出させてこれを食器等の被洗浄物に噴き付ける
形式の食器洗浄機が知られている。図３に例示する食器
洗浄機は、ケーシングａ内に洗浄室ｂが設けられ、この
洗浄室ｂは前方の開口が扉ｃで開閉塞され、被洗浄物
ｅ，ｅを収納した洗浄ラックｄ，ｄが上下二段に分かれ
て出し入れ自在に収容される。洗浄室ｂの内部には、そ
れぞれの洗浄ラックｄ，ｄの下方に回転ノズルｆ，ｆが
設けられている。洗浄室ｂの底は洗浄水貯留用の水受部
ｈとなっており、洗浄水はこの水受部ｈに連通接続され
た洗浄ポンプｊを介して各回転ノズルｆ，ｆへ圧送され
る。水受部ｈへの給水は、給水管ｋから給水弁ｍを経て
所定量の水が供給される。

【０００３】食器洗浄機はこのような構成により、食器
洗浄時は、洗浄ポンプｊの駆動により、水受部ｈに貯留
された洗浄水が洗浄ポンプｊを介してそれぞれの回転ノ
ズルｆ，ｆに送り込まれ、被洗浄物ｅ，ｅへ向けて噴射
される。そして洗浄水は水受部ｈへ戻る。一方、洗浄水
の排水は、水受部ｈの下部に接続された排水管ｎによ
り、水受部ｈ内の残留水が外部へ排出される。すなわち
排水管ｎのうち水受部ｈの下流側には排水ポンプｐが設
けられ、更にその下流側は一部を上方へ屈曲し、かつ洗
浄室ｂ内に開口する空気口ｇを備えた立ち上げ部ｑが設
けられている。従って、水受部ｈの残留水は、排水ポン
プｐが駆動することにより、水受部ｈから排水ポンプｐ
を通り立ち上げ部ｑを経て装置外部へ排水される。な
お、空気口ｇは排水ポンプｐ停止後立ち上げ部ｑ内に空
気を浸入させて置換させ、排水後に立ち上げ部内が洗浄
残水で満たされた状態とならないように設けられてい
る。

【０００４】そして、排水管ｎにおける立ち上げ部ｑ
は、洗浄室ｂ内の衛生維持のために設けられており、何
らかの原因で汚水が食器洗浄機の外部から排水管ｎを通
って逆流しようとしても、この立ち上げ部ｑにより洗浄
室ｂ内へ進入する不都合を回避するものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】かかる洗浄機では、前
述のように水受部ｈに貯留した洗浄水の排水は、排水ポ
ンプｐを用いて排水管ｎから外部へ排出されるのである
が、排水ポンプｐの揚程能力は排水ポンプｐの上流側に
洗浄水が無くなったとき消滅し、排水ポンプｐの動作を
継続しても、排水ポンプｐの下流側に洗浄水が満たされ
た状態が維持される。その後、排水ポンプｐが停止する
と、排水管ｎ中の立ち上げ部ｑに残っていた洗浄水のう
ち、立ち上げ部ｑの空気口ｇより排水ポンプｐ側の洗浄
水がその自重により戻り水となって排水ポンプｐを通っ
て逆流し、再び水受部ｈに戻し返されてしまう。このた
め、水受部ｈには汚れた洗浄水の残水が滞留し、次に行
うすすぎ動作のときは、すすぎ用の清浄水にこの残水が
加わって洗浄室内で循環されることになり、すすぎ効率
を低下させてしまう。またすすぎ後の残水が水受部ｈに
滞留する結果、時間の経過と共に洗浄室ｂ内に悪臭を発
生させるという不都合もある。

【０００６】尚、図例の排水ポンプｐを立ち上げ部ｑの
下流側の部位ｒへ移し設けた場合、排水ポンプｐの揚程
能力は排水ポンプｐ上流に洗浄水が存在しなくなるま
で、継続されて圧送されるため、揚程ができなくなった
時点では立ち上げ部ｑに洗浄水は残らない。従って、当
然立ち上げ部ｑの洗浄水が水受部ｈへ逆流することはな
い。このため上記不都合が解消される。しかしながら、
この場合は、排水ポンプｐが停止した後、排水ポンプｐ
が水没状態とならないため、用いられる排水ポンプｐは
呼び水を必要としない自吸式ポンプに限られる。この自
吸式ポンプは非自吸式ポンプに比較して大型化すると共
にコストアップとなる欠点がある。

【０００７】本発明は上記問題に鑑みてなされたもので
あって、その目的は、装置の大型化やコストアップとな
ることなく、洗浄工程後に排水されるべき汚れた洗浄水
が洗浄室の水受部内に残水として残らないようにし、す
すぎ効率の低下を改善すると共に、汚れた残水の悪臭が
洗浄室内に発生する不都合を解消することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に講じた請求項１記載の食器洗浄機は、『被洗浄物が収
容され、底部に洗浄水を貯留する水受部を備えた洗浄室
と、前記水受部から吸引した洗浄水を前記水受部の上方
の前記被洗浄物へ噴出させる洗浄水噴出装置と、前記水
受部の下流側に設けられ、前記水受部の洗浄水を外部へ
排出させる排水ポンプとを備え、前記排水ポンプの下流
側の排水管路のうち、一部を上方へ屈曲し、かつ空気口
を備えた立ち上げ部が設けられた、食器洗浄機であっ
て、前記水受部と前記排水ポンプとの間には、前記排水
ポンプの停止時において前記立ち上げ部に滞留した前記
洗浄水が前記水受部へ逆流することを阻止する逆止弁が
設けられ、 前記水受部内の水位を検知する水位センサ
が設けられて、前記排水ポンプが「オン」状態となった
後、前記水位センサにより前記水受部内の０水位を検出
してから所定時間後に前記排水ポンプが「オフ」状態に
なる構成とした』ことを特徴とする。

【０００９】この解決手段によれば、水位センサにより
水受部内の０水位を検出してから所定時間後に排水ポン
プが「オフ」状態になるので、水位センサでの０水位検
出後、所定時間のポンプ作動により水位センサを接続し
た高さ以下の水受部内および逆止弁より上流側の排水管
路内から滞留水を全て排出させることができる。そし
て、排水ポンプと水受部との間に逆止弁を設け、排水ポ
ンプを停止して空気口の作用が生じたとき、立ち上げ部
に滞留した洗浄水が水受部へ逆流しないようにした。こ
のため、排水管路中における立ち上げ部に滞留した戻り
水は水受部へ進入しないから、水受部に汚れた洗浄残水
が存在せず、従って次のすすぎ動作時にこの残水が混じ
ってすすぎ効率を低下させることがない。また水受部に
は洗浄残水が存在しないから、洗浄室内に悪臭が発生す
ることもない。

【００１０】請求項２記載の食器洗浄機は、請求項１記
載の排水ポンプを限定し、『前記排水ポンプは、始動時
に呼水を必要とする非自吸式ポンプである』ことを特徴
とする。この解決手段によれば、非自吸式ポンプを用い
ることにより、自吸式ポンプと比較して小型化とコスト
低減を図ることができる。すなわち本発明の食器洗浄機
は、排水ポンプが停止後、排水管路中における逆止弁と
立ち上げ部との間に、立ち上げ部からの戻り水が滞留
し、この部位に排水ポンプが浸漬された状態となる。こ
のため、次回の運転に際して、排水ポンプには既に呼び
水が宛てがわれた水没状態となっているから、本食器洗
浄機は呼水を必要とする排水ポンプを用いることに何ら
妨げを受けず、従ってこの排水ポンプを用いることによ
り小型化とコスト低減とが図れる。

【００１１】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１記載の食
器洗浄機によれば、水位センサでの０水位検出後、所定
時間のポンプ作動により水位センサを接続した高さ以下
の水受部内および逆止弁より上流側の排水管路内から滞
留水を全て排出させると共に、立ち上げ部に滞留した洗
浄水が水受部へ逆流しないように、排水ポンプと水受部
との間に逆止弁を設けたから、排水ポンプ停止後の水受
部に残水が存在せず、すすぎ効率が低下したり、洗浄室
内に悪臭が発生することもない。また請求項２記載の食
器洗浄機によれば、非自吸式ポンプを用いることによ
り、請求項１記載の発明の効果に加えて、小型化とコス
ト低減を図ることができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明の食器洗浄機について添付
の図面を参照しつつ説明する。図１は本食器洗浄機の全
体断面図であり、図に示すようにケーシング１内には前
方に開放する洗浄室２が形成され、この前方開放部は上
下方向に回動して開閉される扉３で開閉塞される。洗浄
室２内には食器等の被洗浄物Ｍを収容する上下２段の洗
浄ラック４が設けられ、扉３を開放した状態で出し入れ
自在に配備されている。上方の洗浄ラック４は左右の底
面の図示省略のローラーと洗浄室２の左右両側壁に設け
られた図示省略のレールによって引き出し自在に支持さ
れ、他方、下方の洗浄ラック４は、該ラック４の左右の
底面に配設された図示省略のローラーと洗浄室２の左右
両側壁に設けられた図示省略の支持レールによって引き
出し自在に支持されている。各洗浄ラック４の下方に
は、ラック４に収納された被洗浄物Ｍに対して洗浄水を
噴出する為の回転ノズル６ａ，６ｂが上下二段に配設さ
れており、回転ノズル６ａは洗浄室２の後壁から突出さ
せた支持腕６１によって、回転ノズル６ｂは洗浄室２の
底壁から突出させた支持腕によって、各々回動自在に支
持されている。

【００１３】洗浄室２の底には一定の深さの水受部２３
が形成され、この水受部２３内に濾過網７０を具備する
濾過容器７が設けられている。また水受部２３の側方下
部に連通して洗浄ポンプ６２が設けられ、この下流側に
上記回転ノズル６ａ，６ｂが連通管６１を介して接続さ
れる。更に水受部２３の側方下部に連通パイプ５２が接
続され、その端部に検知部を臨ませた水位センサ５１が
設けられている。

【００１４】洗浄室２の後壁部２１には、給水弁２２が
設けられ、装置外部から導入された給水パイプ９１に接
続されている。この給水弁２２の開弁により洗浄室２内
部へ洗浄水が給水され、洗浄室２に所定量の洗浄水が貯
留され、水位センサ５１が所定水位となったことを検知
すると、給水弁２２が閉弁する。また洗浄室２内に電熱
ヒータ２３ａが設けられ、これにより洗浄室２内に貯留
された洗浄水が所定温度に加熱保持される。

【００１５】水受部２３の底には排水パイプ７４が接続
され、その下流側に排水ポンプ７３が設けられている。
排水パイプ７４中、この排水ポンプ７３の下流側はケー
シング１の内部において上方約０．６メートルの逆Ｕ字
状に屈曲形成された立ち上げ部７２が設けられており、
更にその下流側に管路が凹設された排水トラップ７５を
介してケーシング１の外部へ通じている。洗浄室２内に
貯留される洗浄水の水より高い位置である立ち上げ部７
２の頂点７２ａの上流側近傍には排水ポンプ停止後に立
ち上げ部７２内が洗浄残水によって満たされた状態とな
らないように洗浄室２内に開口する空気口７６が設けら
れている。即ち、排水動作終了後、空気口７６から立ち
上げ部７２に空気を導入することによって空気口７６の
位置に対する上流側と下流側の排水を分断して、立ち上
げ部７２の機能を発揮させる。尚、空気口７６は洗浄室
２内に貯留される洗浄水の水位より高い位置である立ち
上げ部７２の頂点７２ａの下流側近傍に洗浄室２内に開
口するように設けてもよい。

【００１６】本発明の洗浄機には、排水パイプ７４にお
いて、水受部２３と排水ポンプ７３との間に、排水方向
を順方向とする逆止弁７７が設けられており、また排水
ポンプ７３には、非自吸式ポンプが用いられている。一
方、ケーシング１の上部には、このケーシング１の上部
前面に形成した吸気口１０から、洗浄室２の背部を通り
後壁２１の下部の開口２４に至る吸気通路８３が形成さ
れている。この吸気通路８３には乾燥ファン８０が配設
されている。また、洗浄室２の天井壁２６に開口２７が
設けられ、この開口２７からケーシング１の上部前面に
設けた排気口３６に連通する排気通路３４が形成されて
いる。

【００１７】かかる洗浄機は上記のように構成されてお
り、食器洗浄時は、洗浄ポンプ６２の動作により、電熱
ヒータ２３ａで加熱された水受部２３の洗浄水は、回転
ノズル６ａ，６ｂに送り込まれ、被洗浄物Ｍへ向けて噴
射される。そして洗浄汚水は水受部２３へ戻り、濾過容
器７で濾過され、再び洗浄ポンプ６２から回転ノズル６
ａ，６ｂへ送り込まれて洗浄室２を介して循環する。
尚、回転ノズル６ａ，６ｂ、連通管６１及び洗浄ポンプ
６２をもって、本洗浄機の洗浄水噴出装置とされる。

【００１８】洗浄動作後、水受部２３に滞留した洗浄汚
水は、排水ポンプ７３が「オン」状態となって水受部２
３の洗浄汚水が排水パイプ７４を通ってケーシング１の
外部へ排出される。この状態を図２ (a)に示し、逆止弁
７７は順方向の通水となっており排水を妨げない。排水
ポンプ７３が「オン」状態となった後、水位センサ５１
により水受部２３内が０水位かどうかが検知され、０水
位を検出してから１０秒後に水受部２３に滞留した洗浄
汚水が排出されたとして、図２ (b)に示すように、排水
ポンプ７３が「オフ」状態になる。尚、前記の１０秒遅
延の理由は、連通パイプ５２の接続位置で０水位を検出
してしまうため、検出後、所定時間のポンプ作動により
水受部２３から滞留水を全て排出させるためである。排
水ポンプ７３が停止すると、空気口７６から立ち上げ部
７２内に空気が入って立ち上げ部７２に滞留していた洗
浄汚水のうち、立ち上げ部７２の空気口７６より下流側
のものはサイフォン現象によりそのまま外部へ排出さ
れ、空気口７６より上流側のものはその自重により戻り
水となって水受部２３側へ逆流しようとする。しかしな
がら図２ (c)に示すようにこの戻り水は、逆止弁７７に
よって逆流が阻止され、逆止弁７７と立ち上げ部７２の
空気口７６の下方位置との間で保持される。

【００１９】従って、排水パイプ７４の洗浄汚水が、水
受部２３内に残水となって貯留せず、次のすすぎ工程に
おいてこの洗浄汚水がすすぎ用浄水に混じって再び洗浄
室２内をに戻ることがない。このため、すすぎ効率が良
い。すすぎ工程が終了後、再び排水ポンプ７３が上記と
同様に動作し、水受部２３に貯留水がなくなると停止す
る。そのため、すすぎ用浄水が洗浄室２内に残って時間
の経過と共に悪臭が発生することも防止される。尚、本
洗浄機では、図２ (c)で明らかなように、洗浄工程及び
すすぎ工程終了後は、排水ポンプ７３が水没状態となっ
ており、呼び水が必要な非自吸式ポンプを用いることが
でき、洗浄機の小型化と製造コスト低減に寄与できる。

【００２０】すすぎ工程の後、乾燥ファン８０と電熱ヒ
ータ２３ａが動作して洗浄室２内に加熱空気が送り込ま
れ、被洗浄物Ｍが乾燥される。尚、逆止弁７７の付設箇
所は、排水経路中における水受部２３と排水ポンプ７３
との間であれば、任意に設けることができ、また逆止弁
７７には公知のスイング式やリフト式等を付設箇所に応
じて自由に選択することができる。

【００２１】また、上記実施の形態では排水ポンプとし
て非自吸式ポンプを用いているが、これに代えて自吸式
ポンプを用いることもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の食器洗浄機の全体断面図である。

【図２】図１の動作状態を説明する部分断面図である。

【図３】従来の食器洗浄機の全体断面図である。

【符号の説明】

１・・・ケーシング ２・・・洗浄室 ３・・・扉 ４・・・洗浄ラック ７・・・濾過容器 ２３・・水受部 ７２・・立ち上げ部 ７３・・排水ポンプ ７４・・排水パイプ ７７・・逆止弁 ８０・・・乾燥ファン 尚、各図中同一符号は、同一又は相当部分を示す。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平４−187132（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−264035（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−117172（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−329087（ＪＰ，Ａ) 実公 昭58−54050（ＪＰ，Ｙ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A47L 15/00 - 15/46

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被洗浄物が収容され、底部に洗浄水を貯
   留する水受部を備えた洗浄室と、 前記水受部から吸引した洗浄水を前記水受部の上方の前
   記被洗浄物へ噴出させる洗浄水噴出装置と、 前記水受部の下流側に設けられ、前記水受部の洗浄水を
   外部へ排出させる排水ポンプとを備え、 前記排水ポンプの下流側の排水管路のうち、一部を上方
   へ屈曲し、かつ空気口を備えた立ち上げ部が設けられ
   た、食器洗浄機であって、 前記水受部と前記排水ポンプとの間には、前記排水ポン
   プの停止時において前記立ち上げ部に滞留した前記洗浄
   水が前記水受部へ逆流することを阻止する逆止弁が設け
   られ、 前記水受部内の水位を検知する水位センサが設けられ
   て、前記排水ポンプが「オン」状態となった後、前記水
   位センサにより前記水受部内の０水位を検出してから所
   定時間後に前記排水ポンプが「オフ」状態になる構成と
   した、食器洗浄機。
2. 【請求項２】 前記排水ポンプは、始動時に呼び水を必
   要とする非自吸式ポンプである、請求項１記載の食器洗
   浄機。