JP3387611B2 - Coガスセンサーおよびcoガス検出方法 - Google Patents

Coガスセンサーおよびcoガス検出方法

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益燦 張
英和 成田
純一郎 水崎
博章 田川
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株式会社曙ブレーキ中央技術研究所
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、室内外空気中あるいは
燃焼機から発生するCOガスの濃度を測定するためのC
Oガス検出センサーおよびCOガス検出方法に関するも
のであり、さらに詳細には、酸素センサーの機能と白金
電極の触媒作用を利用し、COガスの混入により、セン
サーに流れる電流の変化からCOガス濃度を測定、検知
できるCOガスセンサーおよびCOガス検出方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ファン式石油ストーブ、ガススト
ーブなどの暖房機器、あるいは瞬間湯沸器、風呂釜など
の給湯設備においては、強い有毒性の一酸化炭素(C
O)ガスが発生して、毎年多くの犠牲者を出している。
COガスは人体血液のヘモグロビンと直接結合して、窒
息症状を引き起こし生死に係わることがあり、計測の分
野において、COガスの検出が重視されている。こうし
た背景のもと、現在実用化されているCOガスセンサー
としては、非分散性赤外線吸収式、溶液定電位電解式、
あるいは半導体(SnO 、ZnO )などを用いた種
々の形式のものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前両者は小型
化とメインテナンスが難しく高価であり、普及が妨げら
れており、後者のSnO、ZnO系センサーはセンサー
全体の小型化やコスト低減を図ることができるものの、
共存ガスに対する選択性が十分でないという問題点があ
る。そこで、本発明は、固体電解質を用い、小型、安定
なCOガスセンサーを提供するとともに、応答速度が速
く、しかも電位または電流の設定を選ぶことにより、選
択的にCOガスを検出するができる新規なCOガス検出
センサーおよびCOガス検出方法を提供し、上記諸問題
を解決せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】このため、本発明が採用
した技術解決手段は、酸化物イオン導電体に取り付けた
多孔性白金電極に電圧を印加したときに得られる酸素の
電極反応による定常分極電流がCOガスの混入により変
化することを利用して、COガス濃度を測定することを
特徴とするCOガスセンサーであり、また、前記センサ
ーに電圧を印加する時、設定の電位を選ぶことにより、
COガスに対する感度が高められることを特徴とするC
Oガスセンサーであり、また、前記センサーに電圧を印
加する時、濃淡電池を構成した時の平衡電位から 40
mV以内の印加電位領域を選ぶことを特徴とするCOガ
スセンサーであり、また、前記酸化イオン導電体は安定
化ジルコニアであることを特徴とするCOガスセンサー
であり、また、前記安定化ジルコニア表面のフッ酸によ
る処理により、センサーを低温作動させるようにしたこ
とを特徴とするCOガスセンサーあり、また、酸化物イ
オン導電体に取り付けた多孔性白金電極に電圧を印加し
たときに得られる酸素の電極反応による定常分極電流を
予め調べておき、この定常分極電流がCOガスの混入に
より変化する量を測定して、COガス濃度を求めること
を特徴とするCOガス検出方法である。
【0005】
【作用】本発明は、固体電解質として安定化ジルコニア
などの酸素イオン導電体を用い、その酸素イオン導電体
の一面に多孔質白金電極を取り付けて検知極とし、もう
一方の面に参照極と対極を取り付けた三端子形式のもの
として構成してある。このように構成したCOガス検出
センサーでは、対極と検知極の間に定電位を印加し、多
孔性白金電極表面での吸着解離酸素原子〔O(ad)〕の電
極反応によって、流れる定常分極電流(Io)を測定す
る。センサーの検知極に微量のCOガスを混入すると、
白金電極表面で、酸素と反応することで、検知極では、 O(ad)+2e- →O2- ( 1) CO+O2-→CO2 +2e- (2) の両反応が同時に進行して、この時、測定した電流はこ
れらの並列反応の速度によって決まる。ここで反応
(1)および反応(2)に伴って流れる電流をそれぞれ
Io 、Icoとするとセンサーの白金電極に流れる全電流
I(o+co)は、 I(o+co)=Io +Ico で与えられる。
【0006】ところでIcoはアノード電流、Io はセン
サーの平衡電位を境にして負の電圧を印加した時のカソ
ード電流である。負の電圧を印加した時には両者電流の
符号は相反するものであるから、全電流I(o+co)は減
少する。逆に、正の電圧を印加した時には、Io はアノ
ード電流で、全電流I(o+co)は増加することになる。
以上の原理によって、本発明では、センサーにCOガス
を混入した時にセンサーの定常分極電流値が変化する変
化量ΔI(ΔI=I(o+co)−Io )からCOガスの濃
度を測定することができる。
【0007】また、本発明はCOガスセンサーのCOガ
スに対する感度を高めるために、次の二つの方法を用い
ている。 (1)センサーに電圧を印加する時、濃淡電池を構成し
た時の平衡電位から40mV以内の印加電位領域を選ぶ
ことにより、センサーの電流値を小さくする。これによ
って、COガスに対する感度が大きくなるだけでなく、
多孔性白金電極の微細構造の経時変化が少なくなるの
で、電極の触媒活性を保ち、より正確なCOガスの濃度
を測定することができる。 (2)固体電解質ジルコニア表面のフッ化酸による処理
により、センサーを低温作動させる方法を用いることが
知られている(水崎ら日本化学学会誌1160−116
5、1985)。低温で酸素によるセンサーの電極反応
電流(Io )が小さくなるが、センサーのCOガスに対
する感度は見かけ上高められる。
【0008】
【実施例】以下図面を参照して本発明に係わる実施例と
してのCOガスセンサーの説明をする。図1はCOガス
センサーの構造図であり、図2は図1中のA部拡大図で
ある。即ち、図1において1は固体電解質であり、この
固体電解質1の表面には、白金からなる参照極2、対極
3、検知極4が取り付けられている。各電極2、3、4
のそれぞれには白金網6を介して白金リード線5が接続
されており、さらに、電極が取り付けられた固体電解質
1の両面にはOリング7を介して石英管8が取り付けら
れている。こうして濃淡電池を構成する。
【0009】このCOガスセンサーにおいて、センサー
素子をヒータ9にて550°Cに加熱しセンサーを作動
させると同時に、センサーの対極3と検知極4の間に定
電圧を印加する。このセンサーでは、図2に示すように
酸素(実験の酸素分圧は0.1atm)は多孔性白金電
極表面に吸着解離し、電子を受け取って酸素イオンにな
る。この酸素イオンが固体電解質(酸素イオン導電体)
中を流れる時の定常電流を測定し、酸素濃度に対するこ
のセンサーの特性を予め調べておく。
【0010】センサーの特性が測定された後、COガス
を含んだ検知ガスが検知極4側に流される。この際CO
ガスが検知極に混入すると、その白金電極表面で、CO
ガスが、吸着している酸素と酸化反応を起こすので、セ
ンサーの定常電流値が変化する。この電流値の変化量と
COガス濃度との関係を予め測定したデータと比較し、
電流値の変化量からCOガス濃度を求めることができ
る。図3、図4は、酸素ガスセンサーの平衡電位の近傍
に負の電圧あるいは正の電圧を印加した時に得られたC
Oガスに対する応答特性を示すグラフである。図3で
は、センサーに負の電圧を設定しているため、COガス
濃度に従って電流値が減少する。逆に、図4では正の電
圧を設定しているため、COガス濃度に従って電流値が
増加する。なお、COガスセンサーに設定する電圧はこ
のCOガスセンサーを使用する時にどちらか一方の電圧
を設定すれば良い。
【0011】このCOガスセンサーを使用してCOガス
濃度を測定しようとする場合、たとえばセンサーの平衡
電位の近傍に負の電圧を印加している時には、図3を用
いて、電流値の減少量から検知ガス中のCOガス濃度を
知ることができる。なお、図3、図4中の(a)はセン
サーの応答速度、(b)はセンサーの検量線を示してお
り、センサーのCOガスに対する応答速度は約1分程度
でほぼ定常状態に達した。また、通常空気中の酸素濃度
は略一定であるため、通常空気中の酸素濃度に対する本
ガスセンサーの特性を一度調べておくだけで、空気中に
混入したCOガスの濃度は図3、図4のいづれかを利用
して定常分極電流値の変化量ΔIから簡単に検出するこ
とができる。
【0012】〔製作実施例〕本例では、図1に示される
ような構造を持ったCOガス検出用センサーを製作し
た。固体電解質としては、安定化ジルコニア〔(8m/o
2 3 添加ZrO2(YSZ)〕のペレットを用い
た。試料は#1500エメリー紙でよく研磨後、エタノ
ールで洗浄し、46%フッ酸水溶液に約30分浸漬し処
理した。ペレットの両面に白金電極を取り付け、一方を
参照極2と対極3、他方を検知極4とした。各電極に
は、リード用の白金線5が付いた集電体の白金網6を取
付ける。これにより上下よりパイレックスガラスO−リ
ング7を挟んで石英管8で押しつけて気密性を保ち、濃
淡電池を構成した。これをヒーター9によって加熱し、
機能を果たすのを確認した後、対極と検知極の間に一定
電圧(負あるいは正)を印加する。酸素によって流れる
定常電流は、検知極に微量のCOガスの混入により変化
する。この電流変化量からCOガス濃度を測定すること
ができる。
【0013】
【発明の効果】以上本発明によれば、酸素イオン導電体
に取り付けた多孔性白金電極に一定の電圧を印加し、C
Oガスの混入により、酸素によって流れる電流の変化か
らCOガス濃度を測定、検知しているので、非分散性赤
外線吸収式、溶液定電位電解式より、小型、安価、迅速
にCOガス濃度を検知することができる。環境、防災、
工業プロセスなど多岐の計測分野に利用することができ
る、等の優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 COガスセンサーの構造と原理図である。
【図2】 図1中のA部拡大図である。
【図3】 COガスセンサーに負の電圧を印加して得ら
れる応答特性図である。
【図4】 COガスセンサーに正の電圧を印加して得ら
れる応答特性図である。
【符号の説明】
1 固体電解質 2 参照極 3 対極 4 検知極 5 白金リード線 6 白金網 7 0−リング 8 石英管 9 ヒータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田川 博章 神奈川県川崎市宮前区有馬3丁目14番地 5号 (56)参考文献 特開 平5−52802(JP,A) 特開 平4−290955(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/416 G01N 27/419 G01N 27/41 G01N 27/409

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化物イオン導電体に取り付けた多孔性白
    金電極に電圧を印加したときに得られる酸素の電極反応
    による定常分極電流がCOガスの混入により変化するこ
    とを利用して、COガス濃度を測定することを特徴とす
    るCOガスセンサー。
  2. 【請求項2】前記センサーに電圧を印加する時、設定の
    電位を選ぶことにより、COガスに対する感度が高めら
    れることを特徴とする請求項1に記載のCOガスセンサ
    ー。
  3. 【請求項3】前記センサーに電圧を印加する時、濃淡電
    池を構成した時の平衡電位から40mV以内の印加電位
    領域を選ぶことを特徴とする請求項1に記載のCOガス
    センサー。
  4. 【請求項4】前記酸化イオン導電体は安定化ジルコニア
    であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか
    に記載のCOガスセンサー。
  5. 【請求項5】前記安定化ジルコニア表面のフッ酸による
    処理により、センサーを低温作動させるようにしたこと
    を特徴とする請求項4に記載のCOガスセンサー。
  6. 【請求項6】酸化物イオン導電体に取り付けた多孔性白
    金電極に電圧を印加したときに得られる酸素の電極反応
    による定常分極電流を予め調べておき、この定常分極電
    流がCOガスの混入により変化する量を測定して、CO
    ガス濃度を求めることを特徴とするCOガス検出方法。
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JP2000065789A (ja) 1998-08-25 2000-03-03 Ngk Insulators Ltd 一酸化炭素センサとその作製方法及び使用方法
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