JP3384582B2 - 走査トンネル顕微鏡 - Google Patents

走査トンネル顕微鏡

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JP3384582B2 JP07683093A JP7683093A JP3384582B2 JP 3384582 B2 JP3384582 B2 JP 3384582B2 JP 07683093 A JP07683093 A JP 07683093A JP 7683093 A JP7683093 A JP 7683093A JP 3384582 B2 JP3384582 B2 JP 3384582B2
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和久 末岡
幸一 武笠
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株式会社サーモボニック
幸一 武笠
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性体表面の電子スピ
ン偏極状態が観察できる走査トンネル顕微鏡に係り、特
にそれの化合物半導体探針の形状に関するものである。
【0002】
【従来の技術】原子分解能を有する走査トンネル顕微鏡
〔以下、STM(Scanning TunnelingMicroscop )と略
記する〕は試料表面の物性を観察できる有効な装置であ
り、無機化合物の表面物性、有機薄膜の表面物性、電気
化学、生物分野など各分野で使用されている。
【0003】STMは試料表面の電子状態の空間的分布
を測定、観察する装置であり、トンネル電流のバイアス
電圧微分は局所状態密度に比例するため、原子分解能で
の分光が可能である。STMではバイアス電圧を変える
ことにより、試料の充満帯と空準位を共に測定できると
いう特徴を有している。
【0004】従来、磁性体表面の磁気的物性の観察は、
磁性体表面からの光電子、2次電子などの放射電子のス
ピン偏極度を測定する方法が採用されていたが、しか
し、この方法は平均的な磁気的状態しか測定できないと
いう欠点を有している。これに対しSTMを使用する
と、各原子での電子スピン偏極状態の観察が可能であ
る。すなわち、STMではトンネル分光の特性、つま
り、トンネル電流が探針と試料の状態密度の畳み込み積
分に依存するから、探針に偏ったスピン状態密度を有す
る材料を選択することによりSTMにスピン分解能をも
たせることができる。
【0005】なお、走査トンネル顕微鏡に関する刊行物
としては、例えばG.Binnig,H.Rohrer,Ch.Gerber,and E.
Weibel.Surface studies by scanning tunneling micro
scopy.Phys.Rev.Lett.,49(1):57-61,1982 、「走査型プ
ローブ顕微鏡のすべて」工業調査会,1992ならびに
特開昭62−139240号公報などがある。
【0006】図8は、従来のスピンSTM用探針の斜視
図である。同図に示すように従来のスピンSTM用探針
100は素材ワイヤを電解エッチングなどの手段で製作
した針状のもので、その先端部101が円錐状になって
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように従来のスピ
ンSTM用探針100はその先端部101が円錐状にな
っているから、その先端部101に収束照射されたスポ
ット状のレーザ光が先端部101の周面で散乱し、その
結果、一定方向にスピンを揃えることが困難であるとい
う欠点、およびこのため最先端部を光照射することとな
り、試料をあたためる欠点もを有している。
【0008】本発明の目的は、このような従来技術の欠
点を解消して、スピンSTM用探針の先端部で光の散乱
がなく、探針先端を試料より離すことができることより
空間分解能の高い走査トンネル顕微鏡を提供するにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、磁性体試料の表面に近接して配置される
例えばGaAsなどの閃亜鉛鉱構造を有する化合物半導
体で構成された探針と、その探針の先端部付近に光を照
射する励起光照射手段と、前記探針と試料とを相対的に
移動する移動手段と、前記試料に流れるトンネル電流を
検出する検出手段とを備え、前記探針の先端部付近に光
を照射し、その探針の伝導帯に励起された電子がトンネ
ル効果により試料に流れ込み、前記移動手段によって探
針と試料とを相対的に移動させながら試料のトンネル電
流の変化を前記検出手段で検出して、当該試料表面の磁
気的特性を観察する走査トンネル顕微鏡を対象とするも
のである。
【0010】そして前記探針の少なくとも前記光が照射
される面が平坦面になっており、その探針が励起層と補
強層の複合体で構成されていることを特徴とするもので
ある。
【0011】
【作用】本発明は前述のように、探針の少なくとも前記
光が照射される面が平坦面になっているため、従来の円
錐状の先端部を有する探針に比較して励起光の散乱がな
く、効率良く励起電子を生成させることが出来、そのた
めに空間分解能の高い走査トンネル顕微鏡を提供するこ
とができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面とともに説明す
る。図1は実施例に係るスピンSTM用探針の斜視面
図、図2はスピンSTM用探針を使用したSTMの概略
構成図、図3はそのSTMの原理説明図である。
【0013】まず、図2を用いてSTMの全体的な概略
構成について説明する。STMは、駆動電源1と、その
駆動電源1によって3次元的に微小駆動されるピエゾ素
子2と、ピエゾ素子2に取り付けられたスピンSTM用
探針3と、励起光照射装置4と、画像信号から磁区像な
どの像を作成するCRTディスプレイ5と、プリンタ6
とから主に構成されている。
【0014】前記励起光照射装置4は、半導体レーザ源
7と、偏波面保存光ファイバ8と、電気光学素子9と、
1/4波長板10と、レンズ11とから主に構成されて
いる。
【0015】前記半導体レーザ源7から出射した直線偏
光は偏波面保存光ファイバ8によって伝送され、電気光
学素子9ならびに1/4波長板10を通ることにより円
偏波光12となり、その円偏波光12をレンズ11で収
束してスピンSTM用探針3の先端近傍にスポット状に
照射する。
【0016】スピンSTM用探針3はGaAsなどの閃
亜鉛鉱構造を有する化合物半導体で構成されており、前
記円偏波光12の照射で探針3の価電子帯の電子が伝導
帯へと選択的に励起され、その伝導帯におけるこれら励
起電子の大部分は円偏波光12の進行方向と同じ方向に
スピンをもち、残りの励起電子はそれと逆方向のスピン
をもつ。このスピンSTM用探針3を図に示すように磁
性体試料13の表面に近接すると、探針3の伝導帯にあ
る励起電子はトンネル効果により磁性体試料13に流れ
込む。このとき、試料13の磁化方向が、励起電子スピ
ンの平均的な方向と同じかあるいは逆かによって、トン
ネル電流14の大きさが異なる。
【0017】図3はその様子を模式的に示した図で、同
図(a)のようにスピンSTM用探針3を磁性体試料1
3の表面に沿って走査すると、同図(b)に示すように
試料13の磁化方向に対応してトンネル電流の値が変化
し、その変化の状態が電流計21によって検出される。
【0018】演算処理機能を備えたCRTディスプレイ
5にこのトンネル電流値の変化を画像情報として入力す
ると演算処理されて試料13の原子分解能でスピン偏極
像が表示され、またプリンタ6でスピン偏極像をグラフ
ィック印刷することができる。
【0019】スピンSTM用の探針には強磁性体で構成
した針状の探針があるが、これでは漏れ磁場が大きく、
試料への影響が問題となる。これに対してGaAsなど
の閃亜鉛鉱構造を有する化合物半導体は、漏れ磁場によ
る試料への影響がなく、適切な波長の円偏波光を照射す
ると、伝導帯にスピン偏極したほぼ理論値に相当する偏
極電子を励起することができ、この励起電子と試料磁性
体との結合により、試料のスピン偏極電子状態に依存し
たトンネル電流が正確に測定することができるという特
長を有している。
【0020】このSTMに使用されるスピンSTM用探
針3は前述のようにGaAsなどの閃亜鉛鉱構造を有す
る化合物半導体で構成され、その形状は図1に示すよう
に先端部15は空間分解能を上げるために鋭角に尖って
おり、この実施例の場合はその先端部15の下方は幅広
くなり、円偏波光12が照射される側面16とその反対
の面とが平坦面となっている。この側面16部分は超格
子膜あるいは歪み格子膜となっており、その厚さtは
0.1〜1μmが適当で、厚さtが余り厚くなると円偏
波光12が探針3の内部まで到達せず、電子の励起が少
なくなる。また0.1μmよりも薄くなると探針3の機
械的強度が確保できない。図1のような形状に加工する
方法として、収束イオンビーム(FIB)による切削加
工が適している。
【0021】図4は、スピンSTM用探針3の第1変形
例を示す拡大断面図である。この例の場合は、超格子あ
るいは歪み格子のGaAs等の励起層17の反対側に、
例えばAlGaAsからなる補強層18が形成された2
層構造になっている。
【0022】図5は、スピンSTM用探針3の第2変形
例を示す拡大断面図である。この例の場合は、GaAs
励起層17の両側に、例えばAlGaAsからなる補強
層18a,18bが形成されたサイドイッチ構造になっ
ている。この補強層18のうちの円偏波光12が照射さ
れる側の補強層18aの膜厚は、円偏波光12が十分に
透過できる程度に調整されている。
【0023】図6は、スピンSTM用探針3の第3変形
例を示す拡大断面図である。この例の場合もGaAs励
起層17が例えばAlGaAsからなる補強層18a,
18bでサンドイッチ状に挟まれた構造になっている
が、補強層18aはGaAs励起層17の先端部付近
(円偏波光12の照射部付近)を覆っておらず、部分的
にGaAs励起層17が露出して、円偏波光12が直接
GaAs励起層17に照射されるようになっている。
【0024】図7は、スピンSTM用探針3の第4変形
例を示す拡大断面図である。この例の場合もGaAs励
起層17が補強層18a,18bでサンドイッチ状に挟
まれた構造になっており、補強層18aには開口部19
が形成されて円偏波光12が直接GaAs励起層17に
照射されるようになっている。
【0025】またGaAs励起層17の円偏波光12が
照射される付近が部分的に肉厚に形成されている。
【0026】前記第1〜4変形例のいずれの場合も、G
aAs励起層17の先端部15は厚さ方向においても尖
っており、空間分解能を上げる形状になっている。
【0027】
【発明の効果】本発明は前述のように、探針の少なくと
も前記光が照射される面が平坦面になっているため、従
来の円錐状の先端部を有する探針に比較して励起光の散
乱がなく、そのために空間分解能の高い走査トンネル顕
微鏡を提供することができるという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るスピンSTM用探針の斜
視面図である。
【図2】そのスピンSTM用探針を使用したSTMの概
略構成図である。
【図3】そのSTMの原理説明図である。
【図4】スピンSTM用探針の第1変形例を示す拡大断
面図である。
【図5】スピンSTM用探針の第2変形例を示す拡大断
面図である。
【図6】スピンSTM用探針の第3変形例を示す拡大断
面図である。
【図7】スピンSTM用探針の第4変形例を示す拡大断
面図である。
【図8】従来のスピンSTM用探針の斜視面図である。
【符号の説明】
1 駆動電源 2 ピエゾ素子 3 スピンSTM用探針 4 励起光照射装置 5 CRTディスプレイ 6 プリンタ 12 円偏波光 13 試料 14 トンネル電流 15 先端部 16 側面 17 GaAs励起層 18 補強層 19 開口部 21 電流計
フロントページの続き (72)発明者 武笠 幸一 北海道札幌市北区麻生町5丁目9−1− 901 (56)参考文献 特開 平4−36946(JP,A) 特開 昭63−55845(JP,A) 特開 昭62−139240(JP,A) 特開 平6−160501(JP,A) 特開 平2−176482(JP,A) 特開 平3−68880(JP,A) 特開 平5−302965(JP,A) 特許3058514(JP,B2) 特許3144907(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 13/10 - 13/24 G12B 21/00 - 21/24 JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料の表面に近接して配置される探針
    と、その探針の先端部付近に光を照射する励起光照射手
    段と、前記探針と試料とを相対的に移動する移動手段
    と、前記試料に流れるトンネル電流を検出する検出手段
    とを備え、 前記探針の先端部付近に光を照射し、その探針の伝導帯
    に励起した電子がトンネル効果により試料に流れ込み、
    前記移動手段によって探針と試料とを相対的に移動させ
    ながら試料のトンネル電流の変化を前記検出手段で検出
    して、当該試料表面の磁気的特性を観察する走査トンネ
    ル顕微鏡において、 前記探針の少なくとも前記光が照射される面が平坦面に
    なっており、その探針が励起層と補強層の複合体で構成
    されている ことを特徴とする走査トンネル顕微鏡。
  2. 【請求項2】 請求項記載において、前記励起層の励
    起光照射面が補強層で被覆されておらず露出しており、
    励起層の励起光照射面以外の面が補強層で被覆されてい
    ることを特徴とする走査トンネル顕微鏡。
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JP3223155B2 (ja) 1998-02-05 2001-10-29 科学技術振興事業団 薄膜スピンプローブ
JP3399841B2 (ja) * 1998-06-25 2003-04-21 科学技術振興事業団 光導波路付き探針及びその製造方法
JP3472828B2 (ja) * 2001-03-05 2003-12-02 北海道大学長 走査型磁気検出装置、及び走査型磁気検出装置用深針

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