JP3380525B2 - 管体の開先組立装置 - Google Patents

管体の開先組立装置

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JP3380525B2
JP3380525B2 JP2000185317A JP2000185317A JP3380525B2 JP 3380525 B2 JP3380525 B2 JP 3380525B2 JP 2000185317 A JP2000185317 A JP 2000185317A JP 2000185317 A JP2000185317 A JP 2000185317A JP 3380525 B2 JP3380525 B2 JP 3380525B2
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敏典 岩瀬
智之 三木
恒 服部
浩 桝田
健一郎 林
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Saibu Gas Co Ltd
Osaka Gas Co Ltd
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Kawasaki Motors Ltd
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Saibu Gas Co Ltd
Osaka Gas Co Ltd
Tokyo Gas Co Ltd
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Toho Gas Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば鋼管周継
手の被覆アーク溶接などの管体の溶接にあたって、管体
を突き合わせて、開先を組立てるための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ガスなどを輸送するパイプラインは、突
合せ溶接継手を形成して複数の鋼管を接続して形成され
る。突合せ溶接継手は、被覆アーク溶接(手溶接)なら
びにティグ溶接およびマグ溶接などのアーク溶接の他
に、電子ビーム溶接およびレーザビーム溶接などによっ
て形成される。これらいずれの溶接においても、開先の
精度確保および開先組立作業の作業性向上を図るため
に、開先組立装置を用いることが多い。
【0003】図16は、従来の技術における開先組立方
法を説明するために一例の開先組立装置11を示す正面
図である。開先組立装置11は、管体9と、この管体9
と同様にして端面が形成される管体12とを組立てる装
置であり、各管体9,12内を走行可能な走行体13
と、走行体13に設けられた一対のクランプ体14,1
5とを有している。走行体13は、ハンドル17によっ
て伸縮操作可能な支持脚18に車輪16が保持されてお
り、この車輪16を各管体9,12の内周面に当接させ
た状態で、車輪16が駆動されて各管体9,12内を走
行することができる。
【0004】各クランプ体14,15は、走行体13に
連結された取付体19に、走行体軸と同軸に、相互に対
称に設けられている。クランプ体14は、円環状に並ぶ
複数の当接片20を有しており、駆動手段21によって
各当接片20を半径方向に変位させ、各当接片20を管
体9の内周面に当接させて管体9を内面側からクランプ
することができる。クランプ体15もまた、同様に、円
環状に並ぶ複数の当接片22を有しており、駆動手段2
3によって各当接片22を半径方向に変位させ、各当接
片22を管体12の内周面に当接させて管体12を内面
側からクランプすることができる。
【0005】このような開先組立装置11は、走行体1
3によって走行して、クランプ体14が管体9に臨み、
クランプ体15が管体12に臨む位置に移動し、この位
置で、各クランプ体14によって各管体9,12をそれ
ぞれクランプし、各管体9,12を突き合わせて保持す
ることができる。このとき各クランプ体14,15は、
各当接片20,22を均等に突出させることによって、
各管体9,12を真円筒形状に矯正している。これによ
って各管体9,12の目違い量を、周方向に関してほぼ
均一に(目違い矯正)している。このようにして従来の
技術では、図16の開先組立装置によって、開先を組立
てている。
【0006】また図17は、他の従来の技術の開先組立
装置を示す斜視図である。この装置は、図16に示す装
置と類似するので、対応する構成に同一符号を付し、詳
しい説明を省略する。この他の従来の開先組立装置11
も、図16の開先組立装置11と同様に動作して、開先
を組立てることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術の開先組立
装置11では、各クランプ体14,15が一体的な装置
に組込まれており、各管体9,12を突き合わせるにあ
たっては、各管体9,12を別途の装置によって保持お
よび固定し、各クランプ体14,15によって各管体
9,12をクランプして、目違い矯正しているので、各
管体9,12の偏平度が大きく異なっていても目違い矯
正可能なように、各クランプ体14,15は、管体9,
12をある程度拡径する必要がある。したがって大きな
クランプ力を必要とし、駆動手段21,23が大形とな
るために、開先組立装置11が大形になってしまう。ま
た各当接片20,22は円弧状の広い当接領域で各管体
9,12に当接されるので、管体9,12を押圧するた
めに大きな力を与えなければならず、これによって装置
が大形化してしまう。さらに開先組立装置11は、ギャ
ップ調整機能を有していないので、前記別途の装置で1
つの管体12を保持した状態で、クランプ体15によっ
てクランプ固定した後、もう1つの管体9を前記別途の
装置によって管体12に対するギャップを調整して保持
し、この状態でクランプ体14によってクランプ固定し
ているので、ギャップ調整などに多くの手間を要し、作
業時間が長くなってしまうという問題があった。しかも
上述のような構成では、開先組立装置11によって管体
9,12を塞いでしまうので、作業者の移動などが不可
能であり、作業性が悪く、作業が困難であった。
【0008】本発明の目的は、開先組立作業を容易に
し、かつその作業時間を短くすることができる小形の開
先組立装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも軸
線方向一端部が開放する管体の溶接継手を形成するため
に、2つの管体の各一端部を突き合わせて、開先を組立
てる装置であって、一方の管体に内面側から同軸に装着
可能であり、この一方の管体の一端部を内面側から押圧
して真円筒形または真円筒形に極めて近い形状に矯正す
るための一方のクランプ治具と、他方の管体に内面側か
ら同軸に装着可能であり、この他方の管体の一端部を内
面側から押圧して真円筒形または真円筒形に極めて近い
形状に矯正するための他方のクランプ治具と、2つのク
ランプ治具を、同軸に配置して係止して連結し、引寄せ
位置を調整可能に相互に近づくように引き寄せ、かつ連
結を解除して分離可能な引寄せ手段とを含むことを特徴
とする管体の開先組立装置である。
【0010】本発明に従えば、一方のクランプ治具は、
一方の管体に内面側から同軸に装着して、この一方の管
体を内面側から押圧して真円筒形または真円筒形に極め
て近い形状に矯正することができる。また他方のクラン
プ治具は、他方の管体に内面側から同軸に装着して、こ
の他方の管体を内面側から押圧して真円筒形または真円
筒形に極めて近い形状に矯正することができる。引寄せ
手段による連結を解除することによって、各クランプ治
具は、相互に分離された状態にすることができ、各クラ
ンプ治具は、各管体の端部が広い作業空間に臨んだ状態
で、各管体に装着してクランプすることができ、クラン
プ作業が容易である。しかも各クランプ治具は、相互に
関連しない状態で、各管体の内径を平均化するようにし
て真円筒形状にすることができ、管体の端部全体を拡径
する必要がなく、大きなクランプ力を必要としないの
で、クランプ治具を小形にすることができる。また内面
側からクランプすることによって、クランプ力は、外面
側からクランプする場合に比べて小さいので、これによ
ってクランプ治具の大形化を防ぐことができる。
【0011】さらにこのように各管体をクランプした2
つのクランプ治具を、引寄せ手段によって、同軸に配置
して係止して連結し、引寄せ位置を調整可能に相互に近
づくように引き寄せて、各管体を突き合わせて開先を組
立てることができる。このように開先を組立てるため
に、各クランプ治具を同軸にして引き寄せることによっ
て、各クランプ治具に同軸にクランプされた各管体を同
軸に配置して突き合わせることができる。したがって各
クランプ治具によって各管体を真円筒または真円筒に極
めて近い形状に矯正しておくことによって、必然的に目
違い量が周方向に均一になるようにすることができる。
また各クランプ治具の引寄せ位置を調整することができ
るので、各管体の軸線方向の位置を調整することがで
き、ルートギャップを調整することができる。このよう
に各クランプ治具を引き寄せることによって、各管体が
同軸に配置されるとともに、ルートギャップが調整され
るので、従来の技術のように別途の装置を用いて各管体
を同軸にかつルートギャップを調整して配置するための
多くの手間を要することなく、組立作業に要する作業時
間を短くすることができる。
【0012】また本発明は、前記各クランプ冶具は、冶
具本体と、冶具本体から突出して先端部が管体の内面に
当接可能な複数のクランプボルトとを有し、各クランプ
ボルトの冶具本体からの突出量を制御して管体の一端部
を矯正することを特徴とする。
【0013】本発明に従えば、各クランプ冶具は、各ク
ランプボルトの先端部を管体の内面にいわば点接触の状
態で当接させて、各クランプボルトの突出量を制御して
管体の一端部を押圧して矯正することができる。このよ
うに管体を押圧する部材としてクランプボルトを用い、
従来のような線接触させる構成と比較して、管体への当
接領域を小さくすることができる。このように当接領域
を小さくすることによって、管体に局部的に大きな力を
与えることが可能となり、管体の矯正に要する力を小さ
くすることができる。
【0014】また本発明は、前記引寄せ手段は、一方の
クランプ治具の周方向に間隔をあけて配置され、軸線方
向に貫通する係止孔が形成される複数の係止部材と、他
方のクランプ治具の各クランプ治具に挟まれる領域の周
方向に間隔をあけて配置され、軸線方向に延びる略円筒
状に形成され、一方のクランプ治具に形成される嵌合孔
に挿入可能な保持筒と、前記保持筒に保持され、先端部
に前記係止孔に挿通および係止可能な係止片が設けら
れ、前記保持筒に対して伸縮駆動可能なシリンダ本体と
を有する複数のアクチュエータとを含み、各アクチュエ
ータのシリンダ本体の係止片が各係止部材の係止孔に係
止される状態で、前記シリンダ本体を軸線方向に縮退さ
せることによって、各クランプ治具を同軸に配置して相
互に引き寄せることを特徴とする。
【0015】本発明に従えば、複数の係止部材が一方の
クランプ治具の周方向に間隔をあけて配置されるととも
に、複数のアクチュエータが他方のクランプ治具の周方
向に間隔をあけて配置され、各アクチュエータの保持筒
が一方のクランプ治具に形成される嵌合孔に挿入され
る。このとき各クランプ治具が、半径方向に位置決めさ
れて、各クランプ体が同軸に配置される。また各アクチ
ュエータのシリンダ本体の係止片が各係止部材の係止孔
に係止される状態で、前記シリンダ本体を前記保持筒に
対して軸線方向に縮退させることによって、各クランプ
治具を同軸に配置して相互に引き寄せることができるの
で、各アクチュエータによって各クランプ治具の周方向
複数の位置を個別に引き寄せることができる。これによ
って各クランプ治具が、そのクランプ位置と各管体の端
面とが平行になる状態に装着されていなくても、各アク
チュエータによる引寄せ位置を調整して、各管体の端面
間のギャップを調整することができる。またこのような
各アクチュエータは、各クランプ治具に挟まれる領域に
配置されるので、各クランプ治具の半径方向内方に、作
業領域を確保することができる。したがってこの作業領
域を利用して、作業者が移動するまたは工具を移動させ
るなどの作業をすることができ、クランプ治具の着脱作
業を含む開先の組立作業の作業性を向上することができ
る。
【0016】上記の各本発明において、管体は少なくと
も軸線方向一端部が開放する構成であればよく、したが
って管体は、軸線方向両端部が開放するとともに軸線方
向に挿通する管体、軸線方向一端部が開放しかつ軸線方
向他端部が塞がれる有底筒状の管体および軸線方向両端
部が開放するとともに軸線方向両端部間の中間に仕切り
壁が形成される管体を含む。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態の
管体の開先組立装置100を示す正面図である。図1に
は、2つの管体41,42を突き合わせて開先40を組
立てた状態で示す。本発明の開先組立装置100は、ガ
スなどを輸送するパイプラインを形成するにあたって、
突合せ溶接継手を形成して複数の鋼管を接続するため
に、外面側から溶接を行う開先40を組立てるための装
置である。換言すれば、たとえば鋼管などの軸線方向両
端部が開放するとともに軸線方向に挿通する2つの管体
41,42の一端部(以下単に「端部」という)43,
44を突き合わせて、各管体41,42の内面側から溶
接して継手を形成するために開先40を組立てる装置で
ある。
【0018】開先組立装置100は、管体の溶接継手を
形成するために、2つの管体41,42の端部43,4
4を突き合わせて、開先40を組立てる装置である。こ
の開先組立装置100は、2つのクランプ体47,48
と、引寄せ手段101とを含んで構成される。一方のク
ランプ体47は、一方の管体41に内面側から同軸に装
着可能であり、この一方の管体41を内面側から押圧し
て真円筒形または真円筒形に極めて近い形状に矯正する
ための治具である。他方のクランプ体48は、他方の管
体42に内面側から同軸に装着可能であり、この他方の
管体42を内面側から押圧して真円筒形または真円筒形
に極めて近い形状に矯正するための治具である。引寄せ
手段101は、2つのクランプ47,48を、分離可能
に、かつ同軸に配置して引寄せ位置を調整可能に引き寄
せるための手段であり、係止部材90およびアクチュエ
ータである引寄せシリンダ93を含んで構成される。
【0019】図2は、クランプ体47の具体的構成を示
す側面図であり、図3は、図2の左側から見て示すクラ
ンプ体47の正面図である。クランプ治具であるクラン
プ体47は、治具本体であるクランプリング62と、複
数のクランプボルト63とを含む。クランプリング62
は、一体であってもよいし、複数に分割されてもよい。
このクランプリング62は、たとえば高強度鋼から成
り、円弧状の外周壁68と円弧状の内周壁69とが、連
結壁70によって連結されて構成されている。外周壁6
8および内周壁69は、クランプリング62の軸線L4
まわりの真円筒面に沿って延びている。換言すれば、ク
ランプリング62は、真円筒状に構成される。このクラ
ンプリング62は、管体41と比較して、少なくとも半
径方向に関して剛性が高く、本実施の形態では、半径方
向だけでなく、軸線方向および周方向に関しても剛性が
高い。加圧押し部材としての押し金具であるクランプボ
ルト63は、クランプリング62の周方向に等間隔に配
置されている。クランプボルト63の本数は限定されな
いが、たとえば12本であってもよい。
【0020】このクランプ体47は、クランプボルト6
3による押圧位置が、管体41の軸線方向に関して端面
45から距離D1の位置となるように、管体41に装着
される。押圧位置の端面45からの距離D1は、たとえ
ば120mmである。
【0021】図4は、図3の切断面線IV−IVから見
て示す断面図であり、図5は、図4の下側から見た底面
図であり、図6は、図4の下側から見て一部を切欠いて
示す断面図である。連結壁70は、外周壁68および内
周壁69を軸線方向一方側の端部で連結している。また
クランプ体47の外周壁68および内周壁69の軸線方
向他方側、したがって連結壁70が設けられる側と反対
側の端部間には、側壁200が設けられている。
【0022】クランプリング62のクランプボルト63
が設けられる位置には、連結壁70と側壁200との間
であって、かつ外周壁68の内周部側に、ナット保持部
80が設けられ、外周壁68、内周壁69およびナット
保持部80に、軸線L4を通る一半径線L10に沿った
挿通孔81,82,83がそれぞれ形成されている。各
クランプボルト63は、各挿通孔81〜83を挿通して
設けられる。
【0023】ナット保持部80には、外周側に臨んで開
放する内面形状が略楕円形状の凹所84が形成されてお
り、この凹所84に外径形状が略楕円形状のナット85
が嵌まり込んで、前記一半径線L10まわりの回転が阻
止された状態で設けられる。またナット85は、蓋片8
6によって外部に抜落ちることが阻止されている。この
ナット85にクランプボルト63が螺着されて設けられ
ており、クランプボルト63は、一半径線L10まわり
に回転することによって、クランプリング62に対して
半径方向の位置を調節可能であり、したがって先端部に
設けられるクランプパッド88のクランプリング62か
ら半径方向内方への突出量を調整可能である。
【0024】このクランプボルト63をクランプリング
62から半径方向外方に突出させ、先端部、したががっ
てクランプパッド88を管体41の内周面に当接させ
て、管体41をクランプすることができる。このとき、
クランプパッド88が管体41の内周面に当接した状態
で、さらにクランプボルト63を半径方向外方に突出さ
せることによって、管体41を半径方向外方に押圧して
矯正することができる。クランプボルト63には、クラ
ンプリング62の内周側にある頭部87に6角穴89が
形成されており、6角レンチを用いて回転することがで
きる。
【0025】また各クランプボルト63は、その軸線ま
わりとなる一半径線L10まわりの一回転によってクラ
ンプリング62の半径方向に変位する変位量は、同一で
あり、各クランプボルト63は、同一回転数回転(同一
角度角変位)させることによって同一変位量変位させる
ことができる。したがって真円筒状のクランプリング6
2から各クランプボルト63を、各突出量が同一となる
ように半径方向外方に突出させることが可能である。こ
れによって管体41にクランプ体47を装着するにあた
って、各クランプボルト63のクランプリング62から
の突出量を同一に保ちながら突出させることによって、
各クランプボルト63の管体41の半径方向内方に入り
込んでいる部分に臨むボルトから管体41に当接し、各
クランプボルト63の全部が管体41に当接するまで突
出させることによって、管体41を真円筒、具体的に
は、内周面が真円筒となる形状に矯正することができ
る。このときクランプ体47の軸線L4と管体41の軸
線L2とは同軸となる。
【0026】また各クランプボルト63の突出量を変え
ることによって、真円筒とは異なる他の形状、たとえば
楕円形状、略三角形状およびその他の略多角形状などに
矯正することができる。
【0027】このようなクランプ体47には、複数、た
とえば本実施の形態において6つの係止部材90が、周
方向に等間隔に設けられる。各係止部材90は、連結壁
70に固定されて設けられる。各係止部材90には、ク
ランプリング62の軸線方向に貫通し、周方向に長い略
矩形状の係止孔91が形成されている。
【0028】図7は、クランプ体48の具体的構成を示
す側面図であり、図8は、図7の左側から見て示すクラ
ンプ体48の正面図である。クランプ体48は、図2〜
図6に示すクランプ体47と同様の構成を有するので、
同様の構成を有する部分は、同一の参照符号を付して詳
しい説明を省略する。クランプ体48自体は、クランプ
体47と同様に構成されるけれども、クランプ体48に
は、係止部材90に代えて、引寄せシリンダ93が設け
られる。
【0029】このクランプ体48もまた、クランプ体4
7と同様に各クランプボルト63を有しており、管体4
2にクランプ体48を装着するにあたって、各クランプ
ボルト63のクランプリング62からの突出量を同一に
保ちながら突出させることによって、各クランプボルト
63の管体42の半径方向内方に入り込んでいる部分に
臨むボルトから管体42に当接し、各クランプボルト6
3の全部が管体42に当接するまで突出させることによ
って、管体42を真円筒、具体的には、内周面が真円筒
となる形状に矯正することができる。このときクランプ
体48の軸線L6と管体42の軸線L3とは同軸とな
る。
【0030】また各クランプボルト63の突出量を変え
ることによって、真円筒とは異なる他の形状、たとえば
楕円形状、略三角形状およびその他の略多角形状などに
矯正することができる。
【0031】引寄せシリンダ93は、係止部材90と同
数、したがって複数、たとえば本実施の形態において6
つ設けられ、周方向に等間隔に配置される。各引寄せシ
リンダ93は、連結壁70に固定されて設けられる。各
引寄せシリンダ93は、保持筒94の基端部で連結壁7
0に固定され、クランプリング62から軸線方向に沿っ
て設けられる。各引寄せシリンダ93は、作動油によっ
て、保持筒94に対して伸縮駆動可能なシリンダ本体9
5を有し、その先端部に係止片96が設けられている。
このクランプ体48は、各引寄せシリンダ93がクラン
プリング62から端面46側に突出するように装着され
る。
【0032】このクランプ体48は、クランプボルト6
3による押圧位置が、管体42の軸線方向に関して端面
46から距離D2の位置となるように、管体42に装着
される。押圧位置の端面46からの距離D2は、たとえ
ば120mmである。
【0033】図9は、引寄せ手段101の具体的構成を
示す断面図であり、図10は、図9の切断面線X−Xか
ら見て示す断面図である。また図11は、各クランプ体
47,48を相互に対向させた状態で示す斜視図であ
る。クランプ体47の連結壁70は、外周壁68および
内周壁69の軸線方向一方側端部を連結している。この
クランプ体47は、軸線方向一方側を管体41の端面4
5側に配置してクランプされる。
【0034】クランプ体47の連結壁70には、係止部
材90が設けられる部位の軸線方向他方側に略矩形状の
凹所103が形成されるとともに、この凹所103の中
央部で軸線方向に挿通する嵌合孔104が形成されてい
る。またクランプ体47の側壁200には、係止部材9
0が設けられる部位に、軸線方向に貫通する貫通孔20
1が形成されている。
【0035】係止部材90は、菱形形状の板状の部材で
あり、凹所103に嵌まり込んだ状態で嵌合孔104を
クランプ体47の軸線方向他方側から塞ぐように設けら
れる。この係止部材90は、たとえば固定用ボルトを用
いて連結壁70に固定される。係止部材90には、前述
のように係止孔91が形成されており、この係止孔91
によって嵌合孔104が、部分的に、クランプ体47の
軸線方向他方側に開口される。
【0036】またクランプ体48の連結壁70は、外周
壁68および内周壁69の軸線方向一方側端部を連結し
ている。このクランプ体48は、軸線方向一方側を管体
42の端面46側に配置してクランプされる。クランプ
体48の連結壁70には、引寄せシリンダ93が設けら
れる部位の軸線方向他方側に略矩形状の凹所103が形
成されるとともに、この凹所103の中央部で軸線方向
に挿通する嵌合孔104が形成されている。各クランプ
体47,48は、上述のように同様の構成であり、各凹
所および各嵌合孔には、同一の符号を付す。
【0037】引寄せシリンダ93の保持筒94は、略円
筒状であり、基端部に半径方向外方に突出する菱形形状
の取付部106を有する。この保持筒94は、嵌合孔1
04を挿通するように嵌合され、取付部106が凹所1
03に嵌まり込んだ状態で、遊端部が嵌合孔104から
クランプ体48の軸線方向一方側に突出するように設け
られ、たとえば固定用ボルトを用いて連結壁70に固定
される。
【0038】引寄せシリンダ93のシリンダ本体95
は、保持筒94に固定されて保持されるピストンチュー
ブ109と、ピストンチューブ109に対して伸長およ
び縮退可能に設けられるピストンロッド部110とを有
する。このシリンダ本体95は、ピストンチューブ10
9側から保持筒94に内挿され、ピストンチューブ10
9の基端部111の外周部に形成される雄ねじ(外ね
じ)が、保持筒94の内周部に形成される雌ねじ(内ね
じ)に螺合され、これによってシリンダ本体95が保持
筒94に固定される。このシリンダ本体95は、ピスト
ンチューブ109の内部に形成される案内溝によって、
ピストンロッド部110が、最も突出する最突出位置
(図9の仮想線で示す位置)付近を除く位置では軸線方
向に変位可能に、かつ突出位置付近では、軸線まわりに
角変位するように案内される。ピストンロッド部110
は、ストンチューブ109内に密に形成される圧力室へ
の圧力流体の供給および圧力室からの圧力流体の排出に
よって変位される。したがってピストンロット部110
が最も縮退した状態(図9に実線で示す状態)から圧力
室内に流体を供給すると、ピストンロッド部110は、
最突出位置付近に到達するまでは、軸線まわりに角変位
することなく軸線方向に突出し、最突出位置付近まで到
達すると軸線まわりに角変位しながら突出変位する。逆
にピストンロット部110が最も突出した状態から圧力
室の流体を排出すると、ピストンロッド部110は、最
突出位置付近にある間軸線まわりに角変位しながら軸線
方向に縮退し、最突出位置付近をすぎると、軸線まわり
に角変位することなく、軸線方向に縮退変位する。
【0039】引寄せシリンダ93の係止片96は、略矩
形の板状であって、シリンダ本体95のロッド部110
の先端部分に固定されている。この係止片96の長手方
向寸法は、係止孔91の長手方向寸法よりも小さくかつ
幅方向寸法よりも大きく、また係止片96の幅方向寸法
は、係止孔91の幅方向寸法よりも小さい。したがって
係止片96は、少なくともその長手方向が係止孔91の
長手方向と同一の方向に配置される同じ向きにあるとき
(図9に仮想線で示す配置状態にあるとき)は、係止孔
91を通過することができる。また係止片96は、少な
くともその長手方向が係止孔の長手方向が係止孔91の
幅方向と同一の方向に配置される直交する向きにあると
き(図9に実線で示す配置状態にあるとき)は、係止孔
91を通過することができず、係止部材90によって係
止することができる。
【0040】このような引寄せ手段101は、各クラン
プ体47,48が各管体41,42にクランプされた状
態で、さらに各管体41,42を、各端面45,46が
対向するように、したがって各クランプ体47,48が
図9に示すように対向するように配置した状態で、各ク
ランプ体47,48を相互に近づくように引き寄せる。
具体的には、まずシリンダ本体95を全行程突出し、す
なわち最突出位置に伸長し、係止片96が最縮退位置に
対して90度角変位した状態とする。次にクランプ体4
7の嵌合孔104に保持筒94を挿入するとともに、係
止部材90の係止孔91に係止片96を挿通させる。こ
こでシリンダ本体95は、ロッド部110が最突出位置
に突出し、係止片96が最縮退位置に対して90度角変
位しているときに、相対する係止部材90の係止孔91
と同一の向きとなり係止部材90に接触することなく係
止孔91を挿通できる角度位置に調整されて、保持筒9
4に保持されている。このとき、ロッド部110の係止
部材90の係止孔91からの突出量は、ロッド部110
が回転を伴って変位する軸線方向の行程以上となるよう
に、各クランプ体47,48が配置される。この後、シ
リンダ本体95のロッド部110を縮退させると、係止
片96が係止孔91を通過するまえに90度角変位さ
れ、係止片96が係止部材90によって係止される状態
となる。
【0041】このように係止片96を上述のような係止
部材90によって係止できる配置状態にして、さらにロ
ッド部110を縮退させる。これによって係止片96が
係止部材90にクランプ体47の軸線方向他方側で係止
された状態で、ロッド部110が縮退されることにな
り、各クランプ体47,48が、相互に近づくように引
き寄せられる。このようにして引寄せ手段101によっ
て各クランプ体47,48を引き寄せることによって、
開先組立装置100は、各管体41,42を突き合わ
せ、開先40を組立てることができる。
【0042】図12は、各管体41,42を突き合わせ
た状態で示す正面図であり、図13は、図12のセクシ
ョンXIIIを拡大して内部を示す断面図である。各管
体41,42を突き合わせて組立てられる開先40の精
度は、各管体41,42の端面45,46間の間隔であ
るルートギャップG1と、各管体41,42の内周面の
半径方向のずれ量である目違い量G2とによって決ま
り、周方向に関してばらつきが少ないほど精度が高い。
図13は、パイプラインを形成する管体の溶接継手を形
成するためによく用いられる、自動マグ溶接および自動
ティグ溶接用の開先形状を示したものであるが、この開
先形状の場合、ルートギャップG1と目違い量G2のい
ずれもゼロに近い方が、良質な溶接品質を得るために望
まれる。
【0043】またこのように各クランプ体47,48が
引き寄せられた状態では、保持筒94の遊端部が、クラ
ンプ体47の嵌合孔104に嵌合された状態となる。こ
れによって各クランプ体47,48が、周方向および半
径方向に位置決めされ、各クランプ体47,48が同軸
に配置される。したがって各クランプ体47,48とそ
れぞれ同軸である各管体41,42が同軸に配置され
る。このように各管体41,42は、同軸に配置される
うえ、各端部43,44が真円筒または極めて真円筒に
近い状態であるので、目違い量G2は、周方向における
ばらつきを極めて小さくすることができる。
【0044】ここで各クランプ体47,48を相互に引
き寄せたときに、各クランプ体47,48の同軸度を高
くするために、保持筒94の外径とクランプ体48の嵌
合孔104の内径との寸法差を小さくして、引寄せシリ
ンダ93の取付位置精度を高くし、かつ保持筒94の外
径とクランプ体47の嵌合孔104の内径との寸法差を
小さくして、位置決め精度が高くなるように構成され
る。これによって各クランプ体47,48の同軸度が高
くなり、各管体41,42の同軸度が高くなる。
【0045】さらに全ての引寄せシリンダ93におい
て、上述のような寸法精度とすると、引き寄せ作業が困
難になるので、2つ以上の一部、たとえば一直径線状に
配置される引寄せシリンダ93に関して、上述のような
寸法精度とし、他の引寄せシリンダ93に関しては、保
持筒94を小径にし、各嵌合孔104の内径との寸法差
を大きくするようにしてもよい。これによって一部の引
寄せシリンダ93によって、各クランプ体47,48を
高い精度で位置決めできるうえ、他の引寄せシリンダ9
3は、保持筒94の遊端部がクランプ体47の嵌合孔1
04に容易に嵌まり込むので、引き寄せ作業が容易にな
る。
【0046】また各引寄せシリンダ93の保持筒94の
遊端部は、端面が基端部に向かうにつれて拡開する円錐
台状に傾斜して形成される。これによって上述のように
保持筒94の遊端部が嵌合孔104に嵌合されるとき
に、保持筒94がクランプ体47に案内され、容易に嵌
合され、これによって引き寄せ作業を容易にすることが
できる。
【0047】図14は、本発明の開先組立装置100に
よって開先40を組立てる手順を、各管体41,42の
軸線L2,L3に垂直な方向から見て示す図であり、図
15は、開先組立装置100によって開先40を組立て
る手順を、各管体41,42の軸線L2,L3に対して
傾斜した方向から見て示す図である。パイプラインを敷
設するにあたっては、一般的に、溶接継手によって接続
された管体から順次埋設される。これによって相互に突
き合わされる各管体のうち一方、たとえば管体41は、
部分的に埋設される既設管であり、各管体のうち他方、
たとえば管体42は、既設管に接続されるべき新設管で
ある。
【0048】通常、図14(1)に示す既設管である管
体41に、図14(2)および図15(1)に示すよう
に、係止部材90が設けられるクランプ体47がクラン
プされて装着され、管体41の端部43が真円筒形また
は真円筒形に極めて近い形状に矯正される。また図15
(2)に示すように、新設管である管体42に、引寄せ
シリンダ93が設けられるクランプ体48がクランプさ
れて装着され、管体42の端部44が真円筒形または真
円筒形に極めて近い形状に矯正される。ここで図示され
ていないが、各引寄せシリンダ93には、ロッド部11
0を伸長および縮退駆動するための作動流体としてたと
えば作動油を供給および排出するための油圧ユニット
が、管路を介して接続される。
【0049】次に図14(3)および図15(3)に示
すように、各端部43,44を対向させて各管体41,
42を突き合わせ、引寄せ手段101によって各クラン
プ体47,48を相互に引き寄せることによって、各管
体41,42を相互に引き寄せる。このとき、各引寄せ
シリンダ93は、個別に動作可能であり、各クランプ体
47,48の周方向の複数の位置を個別に引き寄せるこ
とができ、容易にギャップ調整できる。これによって図
14(4)および図15(4)に示すように、開先40
が組立てられる。このようにして組立てられる開先40
が、たとえば外面側から溶接されて溶接継手が形成さ
れ、各管体41,42が接続される。
【0050】ここで本発明において、真円筒とは、軸線
に垂直な断面の形状において内周面形状(内形)が真円
である筒を意味するものとし、真円は、次式(1)で示
される真円度が0%である形状を意味する。 真円度 =(最大直径−最小直径)/平均直径 …(1)
【0051】最大直径は、仮想中心からの内周面半径を
全周にわたって測定し、得られたデータからばらつきを
包含する最大真円、すなわち測定結果に基づいて求めら
れる最小直径の内周面に対する外接真円を求めてその直
径を最大直径とする。また最小直径は、最大真円と同心
の最小真円、すなわち最大真円と同心の内周面に内接す
る内接真円を求めてその直径を最小直径とする。平均直
径は、最大直径と最小直径と加算して2で除算した直径
とする。また本発明において、極めて真円筒に近い形状
とは、軸線に垂直な断面の形状において内周面形状が極
めて真円に近い形状を意味するものとし、極めて真円に
近い形状は、次式(1)で示される真円度が0%よりも
大きく0.3%以下である形状を意味する。
【0052】たとえばこのようにパイプラインを形成す
るための管体41,42の溶接継手を形成するために、
開先40を組立てるにあたって、本発明の開先組立装置
100を用いることによって、クランプ体47は、管体
41に内面側から同軸に装着して、管体41を内面側か
ら押圧して真円筒形または真円筒形に極めて近い形状に
矯正することができる。またクランプ体48は、管体4
2に内面側から同軸に装着して、管体42を内面側から
押圧して真円筒形または真円筒形に極めて近い形状に矯
正することができる。各クランプ体47,48は、相互
に分離された状態にすることができ、各クランプ体4
7,48は、各管体41,42の端部が広い作業空間に
臨んだ状態で、各管体41,42に装着してクランプす
ることができ、クランプ作業が容易である。しかも各ク
ランプ体47,48は、相互に関連しない状態で、各管
体41,42の内径を平均化するようにして真円筒形状
にすることができ、管体の端部全体を拡径する必要がな
く、大きなクランプ力を必要としないので、クランプ体
47,48を小形にすることができる。
【0053】さらにこのように各管体41,42をクラ
ンプした2つのクランプ体47,48を、引寄せ手段1
01によって、同軸に配置して引寄せ位置を調整可能
に、引き寄せ各管体を突き合わせて開先40を組立てる
ことができる。このように開先を組立てるために、各ク
ランプ体47,48を同軸にして引き寄せることによっ
て、各クランプ体47,48に同軸にクランプされた各
管体41,42を同軸に配置して突き合わせることがで
きる。したがって各クランプ体47,48によって各管
体41,42を真円筒または真円筒に極めて近い形状に
矯正しておくことによって、必然的に目違い量が周方向
に均一になるようにすることができる。このように各ク
ランプ体47,48を引き寄せることによって、各管体
41,42が同軸に配置されるとともに、ルートギャッ
プG1が、開先全周にわたってゼロになるように調整さ
れるので、従来の技術のように別途の装置を用いて各管
体を同軸にかつルートギャップを調整して配置するため
の多くの手間を要することなく、組立作業に要する作業
時間を短くすることができる。
【0054】また各クランプ体47,48は、各クラン
プボルト63の先端部を管体41,42の内面にいわば
点接触の状態で当接させて、各クランプボルト63の突
出量を制御して管体41,42の端部43,44を押圧
して矯正することができる。このように管体41,42
を押圧する部材としてクランプボルト63を用い、従来
のような線接触させる構成と比較して、管体41,42
への当接領域を小さくすることができる。このように当
接領域を小さくすることによって、管体41,42に局
部的に大きな力を与えることが可能となり、管体41,
42の矯正に要する力を小さくすることができる。
【0055】また複数の引寄せシリンダ93が周方向に
間隔をあけて配置され、各引寄せシリンダ93によって
各クランプ体47,48を相互に引き寄せることができ
るので、各引寄せシリンダ93によって各クランプ体4
7,48の周方向複数の位置を個別に引き寄せることが
できる。これによって各クランプ体47,48が、その
クランプ位置と各管体41,42の端面とが平行になる
状態に装着されていなくても、各引寄せシリンダ93に
よる引寄せ位置を調整して、各管体41,42の端面間
のギャップG1を調整することができる。またこのよう
な各引寄せシリンダ93は、各クランプ体47,48に
挟まれる領域に配置されるので、各クランプ体47,4
8の半径方向内方に、作業領域を確保することができ
る。したがってこの作業領域を利用して、作業者が移動
するまたは工具を移動させるなどの作業をすることがで
き、クランプ体47,48の着脱作業を含む開先の組立
作業の作業性を向上して良好にし、作業を容易にするこ
とができる。
【0056】さらに各端部43,44を矯正するにあっ
て、内面側から押圧力を与えるようにしているので、各
管体41,42の端部を所定形状にするための押圧力
は、外面側から押圧力を与える場合に比べて小さくて済
む。具体的に述べると、たとえば楕円筒状である管体を
真円筒状に矯正する場合、楕円筒状の管体は、長軸との
交点位置を相互に近づけるように力を与える場合より
も、短軸との交点位置を相互に遠ざけるように力を与え
る場合が、管体を小さな力で変形させることができる。
内面側から押圧力を与えて矯正するときには、短軸との
交点位置を相互に遠ざけるように力を与えることにな
り、矯正に要する力が最も小さくて済む。
【0057】開先は、ルートギャップG1の精度だけで
なく、目違い量G2を最小にして精度を高くすることが
望まれるが、溶接する管体の周長が異なる場合、一方の
管体を塑性変形させない限り、目違い量G2を0(ゼ
ロ)にすることができないので、この場合には、周長の
差から生じる目違い量G2を周方向に均一化することが
考えられる。上述のように各管体の端部を真円筒または
真円筒極めて近い形状、すなわち真円筒状にし、各管体
を同軸に配置することによって、目違い量G2を周方向
に均一化する目的を容易に達成することができる。
【0058】クランプ箇所数は限定されないけれども、
公称外径が600mm以上である管体を真円筒状にする
場合には、クランプ箇所数は、12箇所以上であること
が好ましい。これによってクランプ箇所数が少なすぎる
ことによって管体が局部的な変形を起こしてしまうこと
を防止して、形状の制御を容易にし、真円形状に容易に
することができる。
【0059】またクランプ治具であるクランプ体47,
48の軸線L4,L5と、各管体41,42の軸線L
2,L3とが一致するようにクランプすることによっ
て、クランプ力の調整を容易にすることができる。また
クランプ力は、上述のクランプボルト63を用いる構成
では、クランプボルト63の回転数(回転角)または締
付けトルクを制御することによって、容易に制御するこ
とができる。
【0060】上述の各実施の形態は、本発明の例示に過
ぎず、本発明の範囲内において、構成を変更することが
できる。たとえばクランプ治具であるクランプ体は、2
つまたは3つ以上に分割可能構造であってもよいし、ク
ランプボルト数は、3つ以上であれば限定されることは
ない。また管体は、必ずしも真円筒に矯正する必要はな
く、略多角形状などの他の形状であってもよい。またた
とえば管体の材質および寸法などは、例示した材質およ
び寸法に限定されることはなく、他の管体を突き合わせ
て開先を組立てるようにしてもよい。また突合せ溶接継
手の形成目的は、ガスを輸送するパイプラインの形成に
限らず、石油を輸送するためのパイプラインであっても
よく、またはその他工業製品および構造物の形成を目的
としてもよい。また図13に示すようなU開先に限ら
ず、V開先、Y開先およびI開先などの他の開先を組立
てるようにしてもよい。また引寄せ手段101の引寄せ
シリンダ93は、必ずしも油圧式シリンダでなくてもよ
く、たとえばねじ部材を回転駆動することによってロッ
ド部110を伸長および縮退させる機械式シリンダであ
ってもよい。機械式シリンダは、引寄せ位置を任意の位
置に調整可能である利点を有している。また、管体は少
なくとも軸線方向一端部が開放する構成であればよく、
軸線方向一端部が開放しかつ軸線方向他端部が塞がれる
有底筒状の管体および軸線方向両端部が開放するととも
に軸線方向両端部の中間に仕切り壁が形成される管体で
あってもよい。
【0061】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、一方のク
ランプ治具は、一方の管体に内面側から同軸に装着し
て、この一方の管体を内面側から押圧して真円筒形また
は真円筒形に極めて近い形状に矯正することができる。
また他方のクランプ治具は、他方の管体に内面側から同
軸に装着して、この他方の管体を内面側から押圧して真
円筒形または真円筒形に極めて近い形状に矯正すること
ができる。引寄せ手段による連結を解除することによっ
て、各クランプ治具は、相互に分離された状態にするこ
とができ、各クランプ治具は、各管体の端部が広い作業
空間に臨んだ状態で、各管体に装着してクランプするこ
とができ、クランプ作業が容易である。しかも各クラン
プ治具は、相互に関連しない状態で、各管体の内径を平
均化するようにして真円筒形状にすることができ、管体
の端部全体を拡径する必要がなく、大きなクランプ力を
必要としないので、クランプ治具を小形にすることがで
きる。また内面側からクランプすることによって、クラ
ンプ力は、外面側からクランプする場合に比べて小さい
ので、これによってクランプ治具の大形化を防ぐことが
できる。
【0062】さらにこのように各管体をクランプした2
つのクランプ治具を、引寄せ手段によって、同軸に配置
して係止して連結し、引寄せ位置を調整可能に相互に近
づくように引き寄せて、各管体を突き合わせて開先を組
立てることができる。このように開先を組立てるため
に、各クランプ治具を同軸にして引き寄せることによっ
て、各クランプ治具に同軸にクランプされた各管体を同
軸に配置して突き合わせることができる。したがって各
クランプ治具によって各管体を真円筒または真円筒に極
めて近い形状に矯正しておくことによって、必然的に目
違い量が周方向に均一になるようにすることができる。
また各クランプ治具の引寄せ位置を調整することができ
るので、各管体の軸線方向の位置を調整することがで
き、ルートギャップを調整することができる。このよう
に各クランプ治具を引き寄せることによって、各管体が
同軸に配置されるとともに、ルートギャップが調整され
るので、従来の技術のように別途の装置を用いて各管体
を同軸にかつルートギャップを調整して配置するための
多くの手間を要することなく、組立作業に要する作業時
間を短くすることができる。
【0063】また本発明によれば、各クランプ冶具は、
各クランプボルトの先端部を管体の内面にいわば点接触
の状態で当接させて、各クランプボルトの突出量を制御
して管体の一端部を押圧して矯正することができる。こ
のように管体を押圧する部材としてクランプボルトを用
い、従来のような線接触させる構成と比較して、管体へ
の当接領域を小さくすることができる。このように当接
領域を小さくすることによって、管体に局部的に大きな
力を与えることが可能となり、管体の矯正に要する力を
小さくすることができる。
【0064】また本発明によれば、複数の係止部材が一
方のクランプ治具の周方向に間隔をあけて配置されると
ともに、複数のアクチュエータが他方のクランプ治具の
周方向に間隔をあけて配置され、各アクチュエータの保
持筒が一方のクランプ治具に形成される嵌合孔に挿入さ
れる。このとき各クランプ治具が、半径方向に位置決め
されて、各クランプ体が同軸に配置される。また各アク
チュエータのシリンダ本体の係止片が各係止部材の係止
孔に係止される状態で、前記シリンダ本体を前記保持筒
に対して軸線方向に縮退させることによって、各クラン
プ治具を同軸に配置して相互に引き寄せることができる
ので、各アクチュエータによって各クランプ治具の周方
向複数の位置を個別に引き寄せることができる。これに
よって各クランプ治具が、そのクランプ位置と各管体の
端面とが平行になる状態に装着されていなくても、各ア
クチュエータによる引寄せ位置を調整して、各管体の端
面間のギャップを調整することができる。またこのよう
な各アクチュエータは、各クランプ治具に挟まれる領域
に配置されるので、各クランプ治具の半径方向内方に、
作業領域を確保することができる。したがってこの作業
領域を利用して、作業者が移動するまたは工具を移動さ
せるなどの作業をすることができ、クランプ治具の着脱
作業を含む開先の組立作業の作業性を向上することがで
きる。
【0065】上記の各本発明において、管体は少なくと
も軸線方向一端部が開放する構成であればよく、したが
って管体は、軸線方向両端部が開放するとともに軸線方
向に挿通する管体、軸線方向一端部が開放しかつ軸線方
向他端部が塞がれる有底筒状の管体および軸線方向両端
部が開放するとともに軸線方向両端部間の中間に仕切り
壁が形成される管体を含む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の開先組立装置100を
示す正面図である。
【図2】クランプ体47を示す側面図である。
【図3】クランプ体47を示す正面図である。
【図4】クランプボルト63を示す断面図である。
【図5】図4の下から見てクランプボルト63を示す底
面図である。
【図6】図4の下から見てクランプボルト63を示す断
面図である。
【図7】クランプ体48を示す側面図である。
【図8】クランプ体48を示す正面図である。
【図9】引寄せ手段101を示す断面図である。
【図10】図9の切断面線X−Xから見て示す断面図で
ある。
【図11】各クランプリング47,48を対向させて示
す斜視図である。
【図12】各管体41,42の突き合わせ状態を示す正
面図である。
【図13】図12のセクションXIIIを拡大して示す
断面図である。
【図14】開先組立装置100を用いて開先40を組立
てる手順を示す図である。
【図15】開先組立装置100を用いて開先40を組立
てる手順を示す図である。
【図16】従来の技術の開先組立装置11を示す正面図
である。
【図17】他の従来の技術の開先組立装置11を示す斜
視図である。
【符号の説明】
40 開先 41,42 管体 43,44 端部 45,46 端面 47,48 クランプ体 62 クランプリング 63 クランプボルト 90 係止部材 91 係止孔 93 引寄せシリンダ 100 開先組立装置 101 引寄せ手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 000221834 東邦瓦斯株式会社 愛知県名古屋市熱田区桜田町19番18号 (73)特許権者 000196680 西部瓦斯株式会社 福岡県福岡市博多区千代1丁目17番1号 (72)発明者 岩瀬 敏典 兵庫県加古郡播磨町新島8番地 川崎重 工業株式会社 播磨工場内 (72)発明者 三木 智之 東京都港区浜松町2丁目4番1号 世界 貿易センタービル 川崎重工業株式会社 東京本社内 (72)発明者 服部 恒 東京都港区海岸一丁目5番20号 東京瓦 斯株式会社内 (72)発明者 桝田 浩 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2 号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 林 健一郎 愛知県名古屋市熱田区桜田町19番18号 東邦瓦斯株式会社内 (72)発明者 柴田 忠之 福岡県福岡市博多区千代一丁目17番1号 西部瓦斯株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−164491(JP,A) 特開 平8−197246(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 37/053 B23K 31/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも軸線方向一端部が開放する管
    体の溶接継手を形成するために、2つの管体の各一端部
    を突き合わせて、開先を組立てる装置であって、 一方の管体に内面側から同軸に装着可能であり、この一
    方の管体の一端部を内面側から押圧して真円筒形または
    真円筒形に極めて近い形状に矯正するための一方のクラ
    ンプ治具と、 他方の管体に内面側から同軸に装着可能であり、この他
    方の管体の一端部を内面側から押圧して真円筒形または
    真円筒形に極めて近い形状に矯正するための他方のクラ
    ンプ治具と、 2つのクランプ治具を、同軸に配置して係止して連結
    し、引寄せ位置を調整可能に相互に近づくように引き寄
    せ、かつ連結を解除して分離可能な引寄せ手段とを含む
    ことを特徴とする管体の開先組立装置。
  2. 【請求項2】 前記各クランプ治具は、治具本体と、治
    具本体から突出して先端部が管体の内面に当接可能な複
    数のクランプボルトとを有し、各クランプボルトの治具
    本体からの突出量を制御して管体の一端部を矯正するこ
    とを特徴とする請求項1記載の管体の開先組立装置。
  3. 【請求項3】 前記引寄せ手段は、一方のクランプ治具
    の周方向に間隔をあけて配置され、軸線方向に貫通する
    係止孔が形成される複数の係止部材と、 他方のクランプ治具の各クランプ治具に挟まれる領域の
    周方向に間隔をあけて配置され、軸線方向に延びる略円
    筒状に形成され、一方のクランプ治具に形成される嵌合
    孔に挿入可能な保持筒と、前記保持筒に保持され、先端
    部に前記係止孔に挿通および係止可能な係止片が設けら
    れ、前記保持筒に対して伸縮駆動可能なシリンダ本体と
    を有する複数のアクチュエータとを含み、 各アクチュエータのシリンダ本体の係止片が各係止部材
    の係止孔に係止される状態で、前記シリンダ本体を軸線
    方向に縮退させることによって、各クランプ治具を同軸
    に配置して相互に引き寄せることを特徴とする請求項1
    または2記載の管体の開先組立装置。
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