JP3379188B2 - Al合金製品屑の溶解法 - Google Patents

Al合金製品屑の溶解法

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JP3379188B2
JP3379188B2 JP327994A JP327994A JP3379188B2 JP 3379188 B2 JP3379188 B2 JP 3379188B2 JP 327994 A JP327994 A JP 327994A JP 327994 A JP327994 A JP 327994A JP 3379188 B2 JP3379188 B2 JP 3379188B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明はAl合金製品屑の溶解法
に関し、特に自動車用の塗装Al合金製品屑中に含まれ
る主たる不純物であるPbとFeを効率よく除去し、A
l合金原料として再生し有効利用し得る様に工夫された
溶解法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】Alは軽量で加工性がよく且耐食性が良
好で美感にも優れていることから、自動車部品材料とし
てその使用量は急増している。このうち、エンジン、ホ
イールなどの鋳物やダイキヤスト品は、一般的にAl−
Si系合金が主体であり、これらのスクラップは、省資
源、省エネルギーの観点から一般には元の製品原料とし
てリサイクルするルートが確立されつつある。 【0003】一方最近では、主として車体の軽量化を目
的として、ボンネット、トランクリッド、ドアー、フレ
ームなどの部品材料にもAl合金押出し材や板材の需要
が急増してきており、これらについても製品屑を回収し
てリサイクルすることが望まれる。ところがこれらの用
途では、殆どの場合その表面が塗装処理されており、こ
れら塗装された自動車用Al合金の製品屑をリサイクル
するに当たっては、塗装中のPbOに由来して再生Al
合金屑溶湯内へ混入してくるPbが再生品の品質に重大
な悪影響を及ぼす。 【0004】即ち、塗料に含まれるPbOから混入して
くるPbは、Al合金に対する溶解度が低く、Pb単体
として溶湯中および鋳塊中に介在し、鋳塊組織の粒内お
よび粒界に晶出もしくは残留する。従ってこの鋳塊を加
工時にPbの融点以上に加熱するとPbが溶融し、加工
割れの原因となる。 【0005】またFeは、Al合金製品の固定に用いる
ボルト、ナット、座金などの鉄および鉄合金部品として
相当量混入してくることが知られており、このFeは溶
湯中に溶解するが、鋳塊内でAl−Fe系、Al−Fe
−Mn系、Al−Fe−Si系などの共晶化合物とな
り、加工工程における割れや、表面処理における色むら
などの原因となる。このため、自動車用Al合金製品屑
のリサイクルに当たっては、これらの不純元素を極力除
去しなければならない。 【0006】これらの不純物のうちPbについては、特
開平5−17856号に、純Al板材を所定温度に加熱
保持しPbを板表面に拡散移動させ、この表面部を除去
する方法が提案されているが、根本的な不純物除去対策
とは言えず、また溶湯における偏析法によってもPbの
除去は可能であるが効率が悪く工業的でない。 【0007】またFeについても次の様な除去法が提案
・実用化されているが、やはり下記の様な問題がある。 溶湯処理: 1)偏析法:溶湯を冷却すると純度の高いAlが先に凝
固する原理を利用してFe不純物を分離する方法である
(例えば特開昭61−166929号)が、生産性が非
常に低い。 2)電気分解法:電気分解によって不純物を陽極に残
し、高純度Alを陰極に集める方法である(例えば特公
昭62−10315号)が、コストが高過ぎる。 3)化合物法:Fe不純物と化合物を形成し得る元素を
溶湯中に添加し、Fe金属間化合物として除去する方法
である(例えば特公昭57−2134号)が、添加元素
によって溶湯が汚染されてしまう。 【0008】この様に、これまでのPbおよびFeの除
去法にはそれぞれ問題点があり、Al合金製品屑を原料
とする溶湯中のTiおよびFeを、効率よく安価に除去
し得る方法はまだ確立されていないのが現状である。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、不純
元素として相当量のPbおよびFeが混入してくる自動
車用の塗装Al合金製品屑を溶解原料として使用し、こ
れら不純元素を効率よく除去することによりAl合金と
して再生し得る様な溶解処理法を提供しようとするもの
である。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記課題を達成した本発
明に係る溶解法の構成は、原料の少なくとも一部として
自動車用の塗装Al合金製品屑を使用し、これを溶解し
た後、 (1) 該溶湯中へSiを含む複合酸化物、SiO2 、C
a、Ba、Ca含有化合物およびBa含有化合物よりな
る群から選択される少なくとも1種を添加し、該溶湯中
のPbをPb含有化合物として除去する工程 (2) 該溶湯中へTa、Ta化合物、Ti、Ca、Ba、
Cl、Ti酸化物、Ca酸化物、Ba酸化物および塩素
含有化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を
添加し、該溶湯中のFeをFe含有化合物として除去す
る工程 を、任意の順序で実施し、若しくは同時に実施し、溶湯
中のPb濃度を80ppm以下、Fe濃度を0.5重量
%以下に低減するところに要旨を有するものである。 【0011】 【作用】まずPbの除去法について詳述する。Pb成分
の除去には、上記の様にSiを含む複合酸化物、SiO
2 、Ca、Ba、Ca含有化合物およびBa含有化合物
よりなる群から選択される少なくとも1種を用いる方法
が採用されるが、Siを含む複合酸化物および/または
SiO2 を使用する方法と、Ca、Ba、Ca含有化合
物およびBa含有化合物の少なくとも1種を用いる方法
に分けて説明する。 【0012】Al合金は極めて酸化し易く、かつその酸
化傾向はPb酸化物より大きい。従って、Al合金溶湯
からPbを酸化物として除去することは不可能であると
されている。しかし、本発明者らが鋭意検討した結果、
SiとPbとの複合酸化物は、メタルロスを起こすこと
なくAl合金溶湯中に晶析し、分離除去し得ることを見
出した。これは、Si−Pb−O系複合酸化物が、Al
の酸化物であるAl23 よりも生成自由エネルギーが
低いためであると考えられ、従って、本発明において
は、Al合金製品屑を溶解してなる溶湯中にSiと酸素
源を存在させ、Pbとの複合酸化物を晶析させてこれを
除去する。 【0013】本発明では、Pb除去のためAl合金溶湯
中に、SiO2 および/またはSi系複合酸化物を添加
するが、用いることのできるSi系複合酸化物として
は、MgSiO3 、CaSiO3 、FeSiO3 、Mn
SiO3 、ZnSiO3 が挙げられる。SiO2 および
/またはSi系複合酸化物の添加量は、溶湯中に混入し
ている不純物Pbの量に応じて増減させる必要がある。
これらの元素の総量の下限値は、Si−Pb−O系複合
酸化物を形成し得る化学量論的当量である。当量より少
ないと、不純物Pbの全てを複合酸化物として除去でき
ないためである。例えば、SiO2 のみを添加して、
(PbO)(SiO23 を形成させる場合、Pb:1
モルに対しSiが3モル(化学量論的当量)必要であ
り、重量比としては84.3(SiO2 としては18
0.3):207となる。従ってPbが1重量%含まれ
る溶湯にはSiO2 を0.41重量%以上添加すればよ
いことになる。ただし、複合酸化物形成のための反応の
場が少ないことを考慮すれば、当量の1.5倍以上の元
素を存在させることが好ましい。 【0014】一方、Siは溶湯中のPb量より過剰に多
く存在させると、却って溶湯汚染の原因となり、再生す
るAl合金の性能低下につながりかねない。従って、S
iの上限値は、複合酸化物を形成し得る化学量論的当量
の3倍程度とすることが好ましい。より好ましくは当量
の2倍以下である。 【0015】かくしてPbとSiの複合酸化物が晶析し
たAl合金溶湯中から、これらの複合酸化物を分離する
ことによって、不純物Pbの除去が達成できる。複合酸
化物の除去方法は特に限定されないが、この複合酸化物
はAl合金より重いと考えられるので、溶湯を静置し鎮
静化してから複合酸化物を沈降させた後、耐火性の多孔
体フィルターで溶湯濾過する等の方法で除去することが
好ましい。また複合酸化物は溶湯中に浮遊しているもの
も多いため、窒素、アルゴン、He、ネオン等の不活性
ガスを微細な気泡状に溶湯中に吹込み、気泡の浮上と共
に複合酸化物を浮上させて除滓する等の分離方法も好ま
しく採用できる。この場合は脱水素も同時に達成するこ
とができる。 【0016】また、Al合金溶湯からPbを除去するた
めの他の有効な方法として、該合金溶湯中へCa、B
a、Ca化合物またはBa化合物を添加して処理する方
法が挙げられる。しかして本発明者らが更に研究を重ね
たところによると、PbはCaやBaとも容易に金属間
化合物を形成し、Al溶湯中に晶析してメタルロスなし
に分離除去し得ることを知った。従って本発明では、P
b除去のための他の方法としてCaおよび/またはBa
を溶湯中に添加する方法を採用することもできる。 【0017】CaやBaは単体金属のまま、またはシリ
カ物、炭化物、弗化物、硼化物、塩化物、硫化物等の化
合物の形で添加することができる。添加量は、Alまた
はAl合金溶湯中に含まれるPbの量に応じて、その存
在量を増減させる必要があり、実験により確認したとこ
ろによると、Ca量は、溶湯中のPb1に対して重量比
で0.5〜2、Ba量は1.7〜6.9が好ましい。C
aまたはBa量が不足する場合はPbの除去効果不十分
となり、また逆に多過ぎるとCaやBaが処理溶湯中に
不純物として残存し溶湯が汚染される。 【0018】理論的な下限値は、金属間化合物を形成し
得る化学量論的当量であるが、たとえばCaを添加した
場合Pbとの間にCaPb、またはCa2 Pbの2種の
金属間化合物が形成されるため、化学量論的当量を定め
にくい。CaPbの生成自由エネルギーは660℃で約
−90kJ/molPbであり、Ca2 Pbの生成自由
エネルギーは660℃で約−170kJ/molPbで
ある。従って、CaPbよりもCa2 Pbが生成し易い
と考えると、Ca:Pb=2:1が化学量論的当量とな
り、溶湯中のPb1モルに対しCaは2モル以上存在さ
せることが好ましいことになる。重量比としては、C
a:Pb=80:207となり、大体実験値と一致して
いる。 【0019】このPb除去法を実施するにあたっては、
Ca、Ba、Ca化合物およびBa化合物の1種以上を
直接溶解炉へ添加したり、または不活性ガスと共にノズ
ルから溶湯中へ吹込む方法によって添加することができ
る。窒素、アルゴン、He、ネオン等の不活性ガスを微
細な気泡状に溶湯中に吹込む方法を採用すれば、溶湯中
に浮遊している金属間化合物が気泡の浮上と共に浮上し
て取り除き易くなる効果も有する。また、脱水素も同時
に達成することができる。 【0020】かくして生成した金属間化合物をAl合金
溶湯中から分離除去すると、不純物Pb含有量の少ない
再生Al合金を得ることができる。金属間化合物の除去
方法は特に限定されないが、金属間化合物はAl合金よ
り重いと考えられるので、前記方法の場合と同様に溶湯
を静置し鎮静化してから金属間化合物を沈降させた後、
耐火性の多孔体フィルターで溶湯濾過する方法などを採
用すればよい。 【0021】次に溶湯中のFeの除去について説明す
る。尚本発明においては、Feの除去手段としてTa、
Ta化合物、Ti、Ca、Ba、Cl、Ti酸化物、C
a酸化物、Ba酸化物および塩素含有化合物よりなる群
から選択される少なくとも1種を使用する方法を採用す
るが、以下の説明ではTaまたはTa化合物を使用する
方法と、Ca、Ba、Cl、Ca酸化物、Ba酸化物お
よび塩素含有化合物の1種以上を使用する方法に分けて
説明する。 【0022】まずTaまたはTa化合物を使用する方法
について説明すると、前述の如くAlは極めて酸化し易
く、その酸化傾向はFe酸化物より大きいので、Al合
金溶湯からFeを酸化物として除去することも難しいと
考えられている。ところが本発明者らが鋭意検討したと
ころによると、TaとFeとの金属間化合物は、メタル
ロスを起こすことなくAlまたはAl合金溶湯中に晶析
もしくは半溶融状態で存在し、濾過によって分離除去し
得ることを見出した。これは、TaとFeとの金属間化
合物が、熱力学的に安定であるためと考えられる。 【0023】Taは単体金属のまま、もしくはTaB、
TaCl3 、TaN、Ta2 Si等のTa化合物として
添加することができる。Taは、Al合金溶湯中に含ま
れるFeの量に応じて、その存在量を増減させる必要が
ある。Ta化合物中のTaと単体金属Taの添加総量の
下限値は、金属間化合物を形成し得る化学量論的当量で
ある。当量より少ないと、不純物Feの全てを金属間化
合物として除去できないためである。TaとFeの金属
間化合物はFe−Taであるので両者は当モル必要であ
り、重量比としては180.9:55.8となる。ただ
し、金属間化合物形成のための反応の場が少ないことを
考慮すれば、当量の1.5倍以上のTaを存在させるこ
とが好ましい。 【0024】一方、Taは溶湯中のFe量より過剰に多
く存在させると、却って溶湯汚染の原因となり、得られ
るAl合金の性能低下につながりかねない。従って、T
a添加量の総量の上限値は、金属間化合物を形成し得る
化学量論的当量の3倍程度とすることが好ましい。より
好ましくは当量の2倍以下である。なお、Ta化合物と
して添加する場合も、Ta元素換算で添加量を決定すれ
ばよい。 【0025】Taおよび/またはTa化合物をAlまた
はAl溶湯に添加する時の溶湯の温度は1000〜13
00℃とすることが好ましい。1000℃より低い場合
は、Taが溶解しないためFeとの金属間化合物を形成
されにくくなり、また1300℃を超えると溶湯酸化が
激しくなってメタルロスが増大する。同じ理由で、Ta
添加後は、通常のAl合金の溶解温度700〜900℃
に降温するのがよい。 【0026】次に、Ti、Ca、Ba、Cl、Ti酸化
物、Ca酸化物、Ba酸化物および塩素含有化合物の1
種以上を用いるFe除去法について説明すると、Ca、
Ba、TiまたはClと、Feとの複合酸化物も、メタ
ルロスを起こすことなくAl合金溶湯中に晶析もしくは
半溶融状態で存在し、濾過によって容易に分離除去し得
ることが確認された。即ちこれらの元素とFeとの複合
酸化物も、Alの酸化物であるAl23 よりも生成自
由エネルギーが低いためであると考えられる。 【0027】ちなみに、FeO、Fe34 、Fe2
3 等のFe化合物の生成自由エネルギーもAl23
自由生成エネルギーより高いのに対し、Ca2 Fe2
5 、FeTiO3 、FeCl24 等のFe複合酸化物
はAl23 の自由生成エネルギーよりも低く、従っ
て、Al合金溶湯中にCa、Ba、Ti、Clを添加し
て、Feとの複合酸化物を形成させることによっても、
Feを除去することができるのである。 【0028】この場合も、Taとの複合酸化物を形成し
てFeを除去する前記方法と同様に2つの方法を採用で
きる。まず第1の方法は、Ca、BaまたはTiの酸化
物を溶湯中に添加する方法である。この方法では、添加
物が酸化物であるため、空気吹込みを行って酸化させる
必要はない。また、これらの酸化物に代えてCa、B
a、Ti、もしくはCl、またはこれらの元素を1種以
上含む酸化物以外の化合物として1種以上添加して、空
気吹込みによって複合酸化物を形成するための酸素源を
与える方法も採用できる。さらに両方法を併用すること
も可能である。Ca、Ba、Tiは単体金属のまま添加
するか、CaSi、CaC、CaF等のCa化合物やB
aSi、BaC、BaF等のBa化合物、TiCl4
TiS2 、TiF3 等のTi化合物として添加すること
もできる。ClはCl2 ガスとして空気と共に吹き込む
か、塩化物として、KCl、NaCl、NH4 Cl、T
iCl4 等を添加してもよい。なお、効果については程
度の差はあるがいずれも有効であった。 【0029】Al合金溶湯に添加されるCa、Ba、T
i、Cl各元素の量は、溶湯中に混入している不純物F
eの量に応じて、その存在量の総量を増減させるべきで
あるが、これらの元素の総量の下限値は、複合酸化物を
形成し得る化学量論的当量とするのがよい。しかして当
量より少ないと、不純物Feの全てを複合酸化物として
除去できないためである。例えば、Caのみを添加し
て、Ca2 Fe25 を形成させる場合、CaとFeは
当モル必要であり、重量比としては40:55.8とな
り、Feが1重量%含まれる溶湯にはCaを0.716
重量%以上添加すればよいことになる。ただし、複合酸
化物形成のための反応の場が少ないことを考慮すれば、
当量の1.5倍以上の元素を存在させることが好まし
い。 【0030】一方、これらの元素を溶湯中のFe量より
過剰に多く存在させると、却って溶湯汚染の原因とな
り、得られる再生Al合金の性能低下につながりかねな
い。従って、これらの元素の総量の上限値は、複合酸化
物を形成し得る化学量論的当量の3倍程度とすることが
好ましい。より好ましくは当量の2倍以下である。 【0031】なお、これらの元素を酸化物、あるいは他
の化合物として添加する場合も、Feとの複合酸化物を
作るのはCa、Ba、Ti、Clであるので、これらの
元素換算で添加量を決定すればよい。ただし、酸化物の
みを添加して空気吹込みを行わない場合は、大気、ある
いはすでに溶湯中に生成しているAl23 から酸素を
奪うことも考えられるが、複合酸化物の組成の理論値か
らは酸素源が不足すると考えられるので、酸化物は金属
元素換算の当量の1.5倍以上入れることが好ましい。
また、空気吹込みによって複合酸化物を形成させる時の
空気吹込み量も、余剰酸素によってAl23 が形成さ
れるのを極力防ぐために、化学量論的当量の1〜3倍、
好ましくは1.5〜2倍とする。 【0032】具体的な元素の添加量はFe:1に対する
重量比で、それぞれ単独に添加するとして、Ca=0.
72〜2.1、Ba=2.5〜7.2、Ti=0.86
〜2.6、Cl=1.3〜3.8となる。 【0033】併用系の場合は、酸化物生成自由エネルギ
ーの低い元素が先に複合酸化物を形成し、その元素がす
べて消費されるまで他の元素との複合酸化物は形成され
にくい傾向があるので、併用系の場合はこれを考慮して
総添加量を決定することが必要である。 【0034】かくして生成するFeの複合酸化物をAl
合金溶湯中から分離することによって、不純物Feの除
去が達成できる。これら複合酸化物は、Al合金溶湯よ
りも重いと考えられるので、溶湯を静置し鎮静化するこ
とにより複合酸化物を沈降させた後、耐火性の多孔体フ
ィルターで溶湯濾過する等によって除去すればよい。ま
たこの場合も、複合酸化物は溶湯中に浮遊しているもの
も多いため、窒素、アルゴン、He、ネオン等の不活性
ガスを微細な気泡状に溶湯中に吹込み、気泡の浮上と共
に複合酸化物を浮上させて除滓する等の分離方法も好ま
しく採用できる。この場合は脱水素も同時に達成するこ
とができる。 【0035】かくして、自動車用の塗装Al合金製品屑
を、場合によっては更に他のAl合金製品屑やAl地金
などと共に溶解し、その溶湯を常法により精錬してから
上記Pb除去とFe除去を任意の順序で順次実施し、若
しくは同時に実施し、あるいは上記Pb,Feの除去処
理後に精錬を行なうことによって、Pb含有量およびF
e含有量の非常に少ない再生Al合金を得ることができ
る。このとき、再生Al合金製品としてこれら不純物の
障害を無くすには、最終溶湯中のPb含有率を80pp
m以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは1
0ppm以下に、またFe含有率は0.5重量%以下、
好ましくは0.3重量%以下、より好ましくは0.20
重量%以下にする必要がある。尚、本発明を実施する際
における溶解処理は、通常の700〜900℃の温度範
囲で行なえばよい。 【0036】 【実施例】次に本発明の実施例を示すが、本発明はもと
より下記実施例によって制限を受けるものではなく、前
後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施
することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の
技術的範囲に含まれる。 【0037】実施例1(溶湯からのPbの除去) 原料:自動車用アルミ合金板屑、ボンネット材主体、原
料前処理:無 溶解:30tLNG焚き反射炉、大気溶解、750℃ 精錬:KCl系フラックスのN2 ガス吹込み(溶湯量の
0.1重量%) Pb除去処理:溶湯中のPb量に対して1.7倍量のS
iO2 を、N2 ガスをキャリアーガスとしてランスによ
り吹き込む(ガス流量:20Nl/分) 除滓:滓をレーキにて溶解炉外へ排出 脱ガス処理:ユニオンカーバイド社製スニフ使用 脱介在物処理:三井金属製のチューブラーフィルター
(18本)使用 鋳造:400mmt ×1500mmw のスラブを半連続
鋳造 加工:熱間および冷間圧延にて0.3mmt Al合金板
とする 検査:熱間加工割れ発生率、冷延板強度テスト、冷延板
の表面処理(アルマイト)性 結果を、Pb除去処理のみを省略した比較例と共に表1
に示す。 【0038】 【表1】 【0039】実施例2(溶湯からのFeの除去) 原料:自動車用アルミ合金板屑、ボンネット材主体、固
定用鉄ボルト付塗料除去材 溶解:30tLNG焚き反射炉、大気溶解、750℃ 精錬:Cl2ガス、100Nl×15分吹込み Fe除去処理:(1)溶湯温度を900〜1200℃に昇
温した後、Taを溶湯中のFe量に対し化学量論比で
1.5〜2倍添加し、その後750℃で保持 (2)CaまたはBaを溶湯中のFe量に対して化学量論
比で1.5〜3倍添加した後、酸化処理を行ない、Ca
またはBaとFeとの複合酸化物を生成 除滓〜検査:実施例1と同様に実施 結果を、Fe処理のみを省略した比較例と共に表2に示
す。 【0040】 【表2】 【0041】実施例3(PbおよびFeの同時除去) 原料:自動車用アルミ合金板屑、ボンネット、トランク
リッド、屋根、ドアー混合固定用鉄ボルト有。 溶解:重油焚き、30t反射炉、大気溶解、750℃ 精錬:Cl2 ガス、100Nl×15分吹込み 不純物元素除去処理: A:(1) Pb除去:実施例1と同様にしてPb除去 (2) Fe除去:Pb除去の後、実施例2の(1) または
(2) と同様にしてFe除去 B:(1) Fe除去:実施例2の(1) または(2) と同様に
してFe除去 (2) Pb除去:Fe除去の後、実施例1と同様にしてF
e除去 C:(Fe+Pb)同時除去:実施例1と実施例2の
(1) 、または実施例1と実施例2の(2) を組合せて同時
実施 除滓〜検査:実施例1と同様に実施 結果は表3に示す通りであり、屑溶湯中のPbとFeを
いずれも大幅に低減することができ、再生Al合金とし
て支障のない品質が確保できることが分かる。 【0042】 【表3】 【0043】 【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、自
動車用の塗装Al合金製品屑を再生原料として、この中
に含まれる主たる不純物であるPbとFeを溶解状態で
効率よく除去することができ、Al合金屑を清浄度の高
いAl合金として再生し得ることになった。
フロントページの続き (72)発明者 大隅 研治 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (72)発明者 大賀 清正 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (72)発明者 新井 基浩 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (72)発明者 益田 穣司 山口県下関市長府港町14番1号 株式会 社神戸製鋼所長府製造所内 (72)発明者 北野 貴之 山口県下関市長府港町14番1号 株式会 社神戸製鋼所長府製造所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22B 1/00 - 61/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 原料の少なくとも一部として自動車用の
    塗装Al合金製品屑を使用し、これを溶解した後、該溶
    湯中のPbをPb含有化合物として除去する工程と該溶
    湯中のFeをFe含有化合物として除去する工程を、任
    意の順序で実施し、若しくは同時に実施し、溶湯中のP
    b濃度を80ppm以下、Fe濃度を0.5重量%以下
    に低減するためのAl合金製品屑の溶解法であって、 (1-1)該溶湯中へ、Siを含む複合酸化物および/また
    はSiO 2 を添加し、該溶湯中にSi−Pb−O系複合
    酸化物を形成し、この複合酸化物を除去する工程、 (1-2)該溶湯中へ、Ca、Ba、Ca含有化合物および
    Ba含有化合物よりなる群から選択される少なくとも1
    種を添加し、該溶湯中に、PbとCaあるいはPbとB
    aとの金属間化合物を形成し、この金属間化合物を除去
    する工程、 (2-1)該溶湯中へ、Taおよび/またはTa化合物を添
    加し、該溶湯中にTaとFeとの金属間化合物を形成
    し、この金属間化合物を除去する工程、 (2-2)該溶湯中へ、Ti、Ca、Ba、Cl、Ti酸化
    物、Ca酸化物、Ba酸化物および塩素含有化合物より
    なる群から選択される少なくとも1種を添加し、該溶湯
    中に、添加された元素とFeとの複合酸化物を形成し
    て、この複合酸化物を除去する工程、 の4工程のうち、PbをPb化合物として除去する工程
    が、上記(1-1)工程および/または(1-2)工程であり、F
    eをFe化合物として除去する工程が、上記(2-1)工程
    および/または(2-2)工程である ことを特徴とするAl
    合金製品屑の溶解法。
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