JP3376374B2 - プローブ顕微鏡における試料表面のイメージ作成方法 - Google Patents

プローブ顕微鏡における試料表面のイメージ作成方法

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  • Radiology & Medical Imaging (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走査型プローブ顕
微鏡のうち、特に原子間力顕微鏡における試料の新規な
イメージ作成方法に関するもので、走査プローブのチッ
プに微細な振動を加え、負の力勾配と引力領域との下
で、チップの振動をきわめて正確に測定して試料の表面
に存在する凹凸とか形態、化学種分布のイメージを作成
するようにしたもので、磁気、静電気、ピエゾ電気等、
あらゆる種類のカンチレバーの駆動に利用することがで
きる。
【0002】原子間力顕微鏡の最重要部品は、先端に細
いチップを取り付けたカンチレバーであり、カンチレバ
ーの自由端の動きにより、チップと試料との間に働く力
を計算することができる。ほとんどの原子間力顕微鏡
は、上記力を検出するためにのみ使用されるが、本発明
の原子間力顕微鏡ではチップの背後から直接力を加える
ことも可能である。
【0003】本発明の特徴の一つは、カンチレバーを振
動させる力をチップに直接印加し、チップと試料間との
相互作用の力の絶対値ではなく、そのスティフネス(力
勾配)を一定に保ちながら、チップで試料の表面を走査
してイメージを作成するようにしたことである。そし
て、本発明では、負の力勾配と引力領域との範囲で、こ
のスティフネス信号を利用する点に新規性があり、この
ようなスティファネス信号を利用する手法は、従来の力
の絶対値の制御では実現することのできないものであっ
た。
【0004】
【従来の技術】チップと試料間との相互作用により生じ
るスティフネス測定については、一時期文献をにぎわし
たことがある。通常この目的のためには、試料を大振幅
で振動させたり、チップを大振幅で振動させたりする。
いずれの場合でも、AC(交流)信号の内でチップに作
用する力を制御可能な領域は斥力領域であり、かつ正の
力領域である(図1参照)。これらの例では、図1に示
すように、常に正の力領域でスティフネスが測定されて
いるため、一定のスティフネスの値を与える点が2ケ所
存在する。したがって、この手法では、スティフネス信
号をフィードバック信号として使用することは困難であ
る。
【0005】従来技術では、設定点への接近は非可逆的
で、力または力勾配のチップと試料表面間の距離曲線で
は、ヒステリシスが現れる。このヒステリシスは、試料
表面および/またはチップの変形を表している。この変
形は、従来技術での制御では、チップと試料とが接触す
ることに起因している。
【0006】そして、カンチレバーのスティフネスは、
感度を高くするために低く押さえるのが一般的である。
負の力設定点を選ぶことも可能であるが、やわらかいカ
ンチレバーの場合には、この点に可逆的に到達すること
は不可能である。
【0007】また、チップが試料表面をたたくタッピン
グモードまたは間歇接触モードは、1つのサイクルの中
で、チップと試料との相互作用領域の全体にわたって、
チップが探索するように大きな振幅で振動する、共振点
またはその近傍のAC法である。チップの振動の振幅は
フィードバックパラメータとして使用され、チップは試
料の表面を接触しながら、試料の表面を走査する。
【0008】プローブの振動の設定点における振幅は1
0nm以上で、レバーアームのエネルギーは各サイクル
で試料の表面にぶつかるために失われるエネルギーより
もはるかに大きく設定してある。この主な目的は、チッ
プで試料表面をイメージするときに、側面から働く力の
影響を小さくすることである。
【0009】チップと試料とが接触している状態でのス
ティフネスとタッピングの効果が、チップの振動の振幅
の観測値に二重に影響するのと、各サイクルの中でカン
チレバーが、表面の弾性変形および、おそらく可塑変形
を含む、相互作用ポテンシャルの大部分のデータを集め
るので、チップと試料との相互作用に関する正確な定量
的情報を抽出することが困難である。
【0010】そして、超高真空内において、カンチレバ
ーを共振点またはその近傍で振動させる2つのイメージ
ングモードが使用されている。
【0011】第1の方法は、ピエゾ素子を使ってカンチ
レバーのチップ全体を振動させ、共振点近くに励起した
カンチレバーの振動の振幅を測定する方法である。振動
の振幅は、一般的には10nm以上であるが、15オン
グストローム(ピーク間)のフリーレバー振幅によりイ
メージ作成したという報告もある。しかし、共振周波数
のシフトに加えて、Q−値の変動も振動の振幅を左右す
るので、振動の振幅と相互作用の力勾配との間に、明確
な関係を決めることができない。
【0012】これは共振周波数の近傍を利用する方法な
ので、超高真空でたいていのカンチレバーのQ−値が高
くなることから、新たな問題を生ずる。この場合、散逸
が少なく、その結果、緩和時間が秒のオーダーになるた
め、振動の振幅の減衰がきわめて遅くなって適切な走査
時間が得られない。
【0013】第2の方法は、周波数変調法を利用する方
法で、カンチレバーが定振幅オッシレータの周波数決定
要因となる。そして、オッシレータ出力の周波数は、直
ちにカンチレバーに働く力勾配の変動により変調を受け
る。この方法では、一般的には20nm(ピーク間)以
上の振動振幅が使用される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記した両方法とも原
子レベルの分解能をもつイメージが得られるが、チップ
の各振動のサンプリング範囲が大きいため、チップと試
料表面との間の相互作用に関する正確な定量的情報を得
ることが困難である。同様な理由で、イメージング機構
を決定的に解明したり、振動の転回点におけるチップと
試料間との最少間隔を決めることが難しい。この分野は
今でも論議の対象となっている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の方法では、カン
チレバーのスティフネスを最大力勾配よりも大きくとり
(図1のMAX点)、カンチレバーの振動の振幅から設
定点を決めることにより、上記した問題を解決してい
る。これは、カンチレバーのスティフネスが図1のMA
X点より小さいとすると2つの安定な点が同時に存在し
(例えば図1中の非接触モードサンプリング領域を示す
線)、機械的に不安定になり、制御不能となることよ
る。そして、一番重要なことは、チップと試料間との相
互作用の正の力領域に入らないで設定点に到達できるこ
とである。こうして直接のチップ振動法を用いて、必要
な感度が得られている。
【0016】
【0017】また、本発明は、カンチレバーのチップに
1nm以下の振動を与え、チップと試料との相互作用の
引力領域においてその力勾配が負の一定値となるよう
に、チップと試料との間の距離をフィードバック制御
し、さらにチップの振動の振幅あるいは位相が一定とな
るように振動の振幅あるいは位相のフィードバック制御
を行うとともに、試料表面上でチップを走査しそのとき
の振幅あるいは位相のフィードバック制御信号を用いて
試料表面のイメージを作成する、ことを特徴とするプロ
ーブ顕微鏡における試料表面のイメージ作成方法を提供
するものである。
【0018】また、本発明は、上記力勾配が負の一定値
に制御されるとき、チップと試料との相互作用は引力で
あり、かつ双方間の距離はただ一点に制御される、こと
を特徴とするプローブ顕微鏡における試料表面のイメー
ジ作成方法を提供するものである。
【0019】さらに、本発明は、上記力勾配を負の一定
値とする制御において、チップと試料との間の距離によ
って変化する電流を用いて試料表面のイメージを作成す
る、ことを特徴とするプローブ顕微鏡における試料表面
のイメージ作成方法を提供するものである。
【0020】また、本発明は、上記チップの振動によ
り、チップの先端を原子一個にとがらせ先端に原子一個
を留めた状態とし、その状態で測定を行う、ことを特徴
とするプローブ顕微鏡における試料表面のイメージ作成
方法を提供するものである。
【0021】また、本発明は、上記力勾配を負の一定値
とする制御と同時に、チップにねじり振動を与え側方運
動を生じさせてその際の摩擦力勾配を検出し、この摩擦
力勾配を用いて試料表面のイメージを作成する、ことを
特徴とするプローブ顕微鏡における試料表面のイメージ
作成方法を提供するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
すると、図2から、プローブ顕微鏡におけるカンチレバ
ーのチップと試料との間の相互作用における負の範囲の
力勾配であって、またチップと試料とが吸引する方向に
作用する引力領域において、力曲線の極小値を可逆的に
通過できることがわかる。このことは、試料表面に永続
的な変形を、全くまたはほとんど残さないため、上記し
た負の力勾配と引力領域を有効に利用できることを示し
ている。
【0023】また、この領域において、チップと試料と
の相互作用の傾斜が急なので、適当にとがったチップを
使用すれば、このモードで原子レベルの解像度をもつイ
メージングが可能であると期待される。
【0024】特に図1において、チップと試料との間の
相互作用における負の範囲の力勾配で、本発明のイメー
ジ作成方法を実施できる範囲の新しいイメージング領域
を示している。
【0025】そして、安定した形でこの領域を利用する
には、実験装置におけるチップと試料とのスティフネス
が、接近中に遭遇する最高の力勾配以上でなければなら
ない(図1および2において、点MAXで示してあ
る。)。これを実現するには、大きな機械的スティフネ
スをもつレバーを使用するか、フィードバックでスティ
フネスを強調したレバーを使用する。
【0026】チップが実際に負の力勾配で引力領域に入
っていることを確認するためにはレバーの自由端を振動
させ、振動の位相または振幅を測定する。もしこの振動
がレバーの共振周波数より低くて、相互作用ポテンシャ
ルによる共振シフトが、振幅に影響を与えない場合に
は、振幅の測定値がA/A0=k/(k−dF/dz)
の数式により直接相互作用力勾配と関係づけられる。
【0027】ただし、Aはレバー振幅の測定値、A0は
フリーレバーの振幅、kはレバーのスティフネス、dF
/dzは力勾配である。
【0028】上記した直接的な関係により、測定データ
の定量解析がきわめて簡単になり、周波数変調法による
検出イメージング法に比べて、大幅の改善となる。
【0029】共振周波数から離れたところでは、レバー
のQ−値がきわめて大きくなる超高真空の下でも、振動
を小さく押さえることができる。この方法は超高真空の
下で実証された、唯一の共振周波数外のイメージング技
法であるという点で、独自のものである。
【0030】スティフネスの大きいカンチレバーを力セ
ンサとして用いるもう一つの利点は、熱的な振動がきわ
めて小さく、駆動された振動の振幅がオングストローム
以下の場合でも、チップと試料との間の距離が外部から
印加した振動によって決まることである。この微小振動
技法は、トンネル効果や電気伝導のような、第2の距離
依存パラメータを測定する際にも有用である。
【0031】カンチレバーにおける振動の振幅または位
相は、図3に示すロックイン増幅器を用いてモニタする
ことができる。ダイナミック測定法を使用すると、信号
/ノイズ比や感度が著しく改善される。振動の振幅また
は位相と比例した信号を設定点と比較し、設定点と測定
値との差から作られるフィードバック信号を用いて、カ
ンチレバーまたは試料の位置を調整することもできる。
【0032】写真として示す図4は、図2の設定点で作
成した金表面(超高真空でマイカ上にスパッタ/アニー
ルした蒸着金)の安定した試料のイメージを示す。第1
のイメージの中で選択した一部を拡大した第2のイメー
ジは、新しいイメージング技法が再現性のあるイメージ
を作ることを示している。
【0033】図3は本発明方法を実施するための構成例
を概略的に示す図である。図において、カンチレバー1
はレバー13の先端にチップ11と磁石12とを有して
いる。鉄心コア付きコイル(電磁石)9は、コイルドラ
イバ5からの制御電流で磁場を発生し、その磁場で磁石
12に力を加え、チップ11を1nm以下の振幅で試料
10に対して往復動する方向に振動させる。コイルドラ
イバ5は関数ジェネレータ3が発生する振動信号に基づ
いて制御電流を出力している。ピエゾチューブ16は、
ピエゾドライバ8からの制御電流でXYZ方向に微小変
動し、先端に配置した試料10とチップ11との間の距
離を制御するとともに、チップ11に対して試料10の
表面で走査させる。
【0034】チップ11の振動変位は、発光ダイオード
21と受光ダイオード22とで構成された微小変動測定
装置2によって測定され、その測定データは、ロックイ
ン増幅器4に出力される。ロックイン増幅器4は、微小
変動測定装置2からの測定データおよび関数ジェネレー
タ3からの振動信号に基づいて、力勾配(振動変位の微
分)を求め、その力勾配をレギュレータ6に出力する。
レギュレータ6には、予め力勾配の設定点Sが負の一定
値(図1のS点、図2の設定点)として設定されてお
り、レギュレータ6は、この力勾配設定点Sと、ロック
イン増幅器4からの力勾配データとを比較し、その差分
に応じた制御信号をフィードバック制御信号としてピエ
ゾドライバ8に出力する。このフィードバック制御信号
で力勾配は負の一定値(S点)に制御され、チップ11
と試料10との間の距離も、距離D(図1)に保たれ
る。
【0035】このように、力勾配が負の一定値(S点)
に制御されるとき、チップ11と試料10との相互作用
は引力領域に留まるとともに、双方間の距離はただ一点
(図1のC点)に制御される。なお、図1のO点はチッ
プ11と試料10との距離が「0」となる点である。
【0036】そして、上記の力勾配制御を、走査により
試料10の表面各点で行うと、その際のフィードバック
制御信号は、試料10表面での凹凸情報を表すようにな
る。したがって、このフィードバック制御信号を用いて
試料10の表面のイメージを作成可能となる。
【0037】上記の説明では、フィードバック制御信号
をピエゾドライバ8に出力するように構成したが、この
フィードバック制御信号をコイルドライバ5に同時に出
力するように構成してもよい。
【0038】すなわち、レギュレータ6は、負の一定値
として予め設定されている力勾配設定点Sと、ロックイ
ン増幅器4からの力勾配データとを比較し、その差分に
応じた制御信号をフィードバック制御信号としてピエゾ
ドライバ8に出力し、力勾配が負の一定値となるように
チップ11と試料10との間の距離を制御する。さら
に、レギュレータ6は、ロックイン増幅器4からのチッ
プ11の振幅データあるいは位相データと、予め設定し
た振幅あるいは位相の一定値との差分に応じた制御信号
をコイルドライバ5に出力し、チップ11の振幅あるい
は位相が一定となるようにフィードバック制御を行うと
ともに、試料10の表面上でチップ11を走査する。そ
して、そのときの振幅あるいは位相のフィードバック制
御信号を用いて試料10の表面のイメージを作成する。
この場合、チップ11と試料10との間の距離は、図1
のC点に制御され、かつチップ11の振幅あるいは位相
が一定値に制御される。したがって、このフィードバッ
ク制御信号には、試料10表面の凹凸に関する情報だけ
でなく粘着性に関する情報も含まれることとなり、従来
入手困難であった非接触での粘着性に関する情報をも精
度良く得ることができる。
【0039】このように、微小な振幅の振動の下で、チ
ップ11を斥力領域に入る手前の引力領域内のC点に留
めて位置制御するため、高感度の制御を行うことができ
る。しかも、この場合の設定点Sは力勾配の負の一定値
(S点)に設定されていて、このような設定点Sは、チ
ップ11と試料10との間の距離の全体にわたって、た
だの1点しか存在しておらず、したがって、この点から
も、チップ11と試料10との間の微小距離Dでの高感
度の制御が可能となる。
【0040】上記したチップ11の振動のフィードバッ
ク制御において、先端が大きいチップを用いると、相互
作用する面積が大きくなり、引力がとてつもなく大きく
なり、たとえ制御がかかっていても、この大きな引力に
よりチップ11と試料10表面との接触が起こる(図5
(a)(b))。こうなるとフィードバック制御信号に
より無理矢理にチップ11が引き戻される(図5
(c)。その際、いわゆるガムのように接触部分の原子
群が伸び続け、先端近傍がだんだん鋭くなり、最終的に
切れる瞬間に真に先端に一個の原子11aが留まった状
態のチップ11ができあがる(図5(d)。すなわち、
この実施形態では、チップ11に1nm以下の振動を継
続的に与えるので、上記のように、チップ11の先端が
丸みを持ち大きくなっている場合でも、最終的には先端
にただ一個の原子11aが留まる状態にすることができ
る。その後はチップ11の先端が小さくなったことで引
力が適度なものとなり、非接触で測定が継続できるの
で、これによって測定をより一層高精度に、原子レベル
の精度で行えるようになる。
【0041】上記の説明では、チップ11の振動を制御
するフィードバック制御信号を用いてイメージを作成す
ることとしたが、チップ11と試料10との間の距離に
よって変化する電流を用いて試料10表面のイメージを
作成するようにしてもよい。電流の検出には、導電性の
高いカンチレバーとチップとを用い、通常の走査トンネ
ル顕微鏡と同じようにして、チップと試料表面に流れる
電流を計ればよい。その際、チップ振動の振幅が、その
振動周期の全体にわたって電流が流れ続ける程度に微小
であることが重要で、チップ振動の振幅が微小であれ
ば、電流は、ロックイン増幅器を用いて振動の一周期に
わたっての平均値として検出される。このように、イメ
ージ作成に電流を用いることで、電気伝導性の異なる物
質の分布状況や不均一性に関する情報を得ることができ
る。
【0042】また、上記の説明では、チップ11を試料
10に対して往復動する方向で振動させるようにした
が、この往復動に加えてカンチレバー1に熱振動や静電
力、磁気力によりねじり振動を与え、チップ11に側方
運動を生じさせその際の摩擦力勾配を検出し、この摩擦
力勾配を用いて試料表面のイメージを作成するようにし
てもよい。往復振動とねじり振動とを同時に与えるため
には、図3において磁極が磁石12の磁極と直交するも
う一個の磁石をチップ11近傍のレバー13に設け、磁
石12と電磁石9との間の相互作用により往復振動を発
生させ、もう一個の磁石と電磁石9との間の相互作用に
よりねじり振動を発生させるようにすればよい。そし
て、この場合、フォトダイオード22を図3に示すよう
に、A,B,C,Dの四個の組み合わせで構成し、各々
のフォトダイオードの検出信号を用いることで、往復振
動は{(A+B)−(C+D)}で、またねじり振動は
{(A+C)−(B+D)}でそれぞれ演算して検出可
能となる。
【0043】このように、イメージ作成に摩擦力勾配を
用いることで、試料10表面の摩擦に係る物性情報を得
ることができる。
【0044】
【発明の効果】以上のように本発明は、走査型プローブ
顕微鏡、とくに原子間力顕微鏡において、チップに振動
力を直接印加し、チップと試料間との相互作用のスティ
フネスを一定に保ちながら、試料の表面をチップで走査
することが可能である。
【0045】また、カンチレバーのチップに1nm以下
の振動を与え、チップと試料との相互作用の引力領域に
おいて、その力勾配が負の一定値となるように、チップ
と試料との間の距離をフィードバック制御したので、チ
ップと試料とは接触することはなく、したがって、安定
した状態で制御を行うことができる。また双方間の距離
はただ一点に制御されるので、この点からも安定した状
態での制御が可能となり、しかも非接触を保つので、試
料表面の凹凸等のイメージ作成を再現性良く高精度に行
うことができる。
【0046】また、カンチレバーのチップに1nm以下
の振動を与え、チップと試料との相互作用の引力領域に
おいてその力勾配が負の一定値となるように、チップと
試料との間の距離をフィードバック制御し、さらにチッ
プの振動の振幅あるいは位相が一定となるように振動の
振幅あるいは位相のフィードバック制御を行うようにし
たので、上記のチップと試料との間の距離をフィードバ
ック制御した場合と同様に、チップと試料とは接触する
ことはなく、したがって、安定した状態で制御を行うこ
とができる。また双方間の距離はただ一点に制御される
ので、安定した状態での制御が可能となり、しかも非接
触を保つので、試料表面の凹凸等のイメージ作成を再現
性良く高精度に行うことができ、さらにこのフィードバ
ック制御信号には、試料表面の凹凸に関する情報だけで
なく粘着性に関する情報も含まれることとなり、従来入
手困難であった非接触領域での粘着性に関する情報をも
精度良く得ることができる。
【0047】また、チップと試料との間の距離によって
変化する電流を用いて試料表面のイメージを作成するよ
うにしたので、電気伝導性の異なる物質の分布状況や不
均一性に関する情報を得ることができる。
【0048】また、先端に原子一個を留めた状態のチッ
プを形成することができ、このチップを用いて測定する
ので、測定をより一層高精度で、原子レベルの精度で行
うことができる。
【0049】さらに、カンチレバーに同時にねじり振動
を与え、その際の摩擦力勾配を用いて試料表面のイメー
ジを作成するようにしたので、試料表面の摩擦に係る物
性情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】チップと試料間との距離に対して、力相互作用
をプロットした曲線で、スティフネス測定、タッピング
モードおよび非接触モードの典型的な作動範囲を示した
概念図である。
【図2】本発明による実験的に測定した力勾配曲線であ
って、力勾配曲線上に、イメージングを行った設定点を
指示し、接近・後退のサイクルがプロットされ、イメー
ジングを行った範囲では、ヒステリシスを伴うことな
く、可逆的にプロービングが可能なことを示す概念図で
ある。
【図3】本発明のイメージ作成のためのフィードバック
回路の実施の形態を示したブロック図である。
【図4】フィードバック法の例として、新しいイメージ
ングモードで作成したマイカ上の金のイメージを示す顕
微鏡写真である。
【図5】チップ先端に原子一個が留まるようになる状況
の説明図である。
【符号の説明】
1 カンチレバー 2 微小変動測定装置 3 関数ジェネレータ 4 ロックイン増幅器 5 コイルドライバ 6 レギュレータ 8 ピエゾドライバ 9 鉄心コア付きコイル(電磁石) 10 試料 11 チップ 12 磁石 13 レバー 16 ピエゾチューブ 21 発光ダイオード 22 受光ダイオード
フロントページの続き (73)特許権者 390009531 インターナショナル・ビジネス・マシー ンズ・コーポレーション INTERNATIONAL BUSI NESS MASCHINES COR PORATION アメリカ合衆国10504、ニューヨーク州 アーモンク ニュー オーチャード ロード (74)上記1名の代理人 100061642 弁理士 福田 武通 (外2名) (72)発明者 スーザン フィリッパ ジャービス 茨城県つくば市東1−1−4 工業技術 院 産業技術融合領域研究所内 技術研 究組合オングストロームテクノロジ研究 機構内 (72)発明者 ウルス デューリック スイス シーエッチ−8803 リュシュリ コン ゾイマーストラッセ 4 インタ ーナショナル・ビジネス・マシーンズ・ コーポレイション研究部門 チューリッ ヒ研究所内 (72)発明者 マーク アルフレッド ランツ 茨城県つくば市東1−1−4 工業技術 院 産業技術融合領域研究所内 技術研 究組合オングストロームテクノロジ研究 機構内 (72)発明者 徳本 洋志 茨城県つくば市東1−1−4 工業技術 院 産業技術融合領域研究所内 (56)参考文献 特開 平9−304407(JP,A) 特開 平6−258071(JP,A) 特開 平5−187864(JP,A) 特開 平8−166396(JP,A) 特開 平8−211078(JP,A) Y.Martin、C.C.Will iams、H.K.Wickramas inghe,”Atomic forc e microscope−force mapping and profi ling on a sub 100−Å scale”,Journal of APPLIED PHYSICS,米 国,American Institu te of Physics,1987年 3月15日,Vol.61,No.10,p p.4723−4729 S.D.O’Connor、R.C. Gamble、R.K.Eby、J. D.Baldeschwieler," Gamble mode:Resona nce contact mode i n atomic force mic roscopy”,Journal o f Vacuum Science & Technology B,米国,A merican Vacuum Soc iety ,1996年 5月 9日,Vo l.14,No.2,pp.852−855 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 13/10 - 13/24 G12B 21/00 - 21/24 G01B 21/30 JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カンチレバーのチップに1nm以下の振
    動を与え、チップと試料との相互作用の引力領域におい
    てその力勾配が負の一定値となるように、チップと試料
    との間の距離をフィードバック制御すると同時に、チッ
    プの振動の振幅あるいは位相が一定となるように振動の
    振幅あるいは位相のフィードバック制御を行うととも
    に、試料表面上でチップを走査しそのときの振幅あるい
    は位相のフィードバック制御信号を用いて試料表面のイ
    メージを作成する、 ことを特徴とするプローブ顕微鏡における試料表面のイ
    メージ作成方法。
  2. 【請求項2】 上記力勾配が負の一定値に制御されると
    き、チップと試料との相互作用は引力であり、かつ双方
    間の距離はただ一点に制御される、 ことを特徴とする請求項1に記載のプローブ顕微鏡にお
    ける試料表面のイメージ作成方法。
  3. 【請求項3】 上記力勾配を負の一定値とする制御にお
    いて、チップと試料との間の距離によって変化する電流
    を用いて試料表面のイメージを作成する、 ことを特徴とする請求項1または2に記載のプローブ顕
    微鏡における試料表面のイメージ作成方法。
  4. 【請求項4】 上記チップの振動により、チップの先端
    を原子一個にとがらせ先端に原子一個を留めた状態と
    し、その状態で測定を行う、 ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のプロ
    ーブ顕微鏡における試料表面のイメージ作成方法。
  5. 【請求項5】 上記力勾配を負の一定値とする制御と同
    時に、チップにねじり振動を与え側方運動を生じさせて
    その際の摩擦力勾配を検出し、この摩擦力勾配を用いて
    試料表面のイメージを作成する、 ことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のプロ
    ーブ顕微鏡における試料表面のイメージ作成方法。
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S.D.O’Connor、R.C.Gamble、R.K.Eby、J.D.Baldeschwieler,"Gamble mode:Resonance contact mode in atomic force microscopy",Journal of Vacuum Science & Technology B,米国,American Vacuum Society ,1996年 5月 9日,Vol.14,No.2,pp.852−855
Y.Martin、C.C.Williams、H.K.Wickramasinghe,"Atomic force microscope−force mapping and profiling on a sub 100−Å scale",Journal of APPLIED PHYSICS,米国,American Institute of Physics,1987年 3月15日,Vol.61,No.10,pp.4723−4729

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