JP3372078B2 - 亜塩素酸イオンの測定方法 - Google Patents
亜塩素酸イオンの測定方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料液のpHに拘ら
ず、試料液中の亜塩素酸イオン(ClO2 -)濃度を正確
に測定する方法に関する。
ず、試料液中の亜塩素酸イオン(ClO2 -)濃度を正確
に測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、上水やプール水の殺菌には塩
素が使用されているが、塩素からは発癌性のトリハロメ
タンが発生することが判り問題となっている。そこで、
トリハロメタンを発生しない二酸化塩素を用いて上水や
プール水の殺菌を行うことが検討され、最近に至り厚生
省生活衛生局企画課長通知「衛企第46号」等により遊
泳用プール水の消毒に二酸化塩素の使用が認められるこ
ととなった。
素が使用されているが、塩素からは発癌性のトリハロメ
タンが発生することが判り問題となっている。そこで、
トリハロメタンを発生しない二酸化塩素を用いて上水や
プール水の殺菌を行うことが検討され、最近に至り厚生
省生活衛生局企画課長通知「衛企第46号」等により遊
泳用プール水の消毒に二酸化塩素の使用が認められるこ
ととなった。
【0003】二酸化塩素を水の消毒に利用すると二酸化
塩素そのものは還元されるが、一部は分解されて亜塩素
酸となる。亜塩素酸は光や紫外線によって又酸性にする
ことによって二酸化塩素を生成し、二酸化塩素の酸化能
を潜在的に有するものであるから、上記の水の消毒に当
たっては二酸化塩素と共に亜塩素酸の濃度管理を行うこ
とが必要である。又、亜塩素酸は高濃度で摂取するとヘ
モグロビン障害や貧血等を起こすとの動物実験による報
告があるので、プール水においても亜塩素酸濃度を1.
2mg/l以下とすることが要望されている。
塩素そのものは還元されるが、一部は分解されて亜塩素
酸となる。亜塩素酸は光や紫外線によって又酸性にする
ことによって二酸化塩素を生成し、二酸化塩素の酸化能
を潜在的に有するものであるから、上記の水の消毒に当
たっては二酸化塩素と共に亜塩素酸の濃度管理を行うこ
とが必要である。又、亜塩素酸は高濃度で摂取するとヘ
モグロビン障害や貧血等を起こすとの動物実験による報
告があるので、プール水においても亜塩素酸濃度を1.
2mg/l以下とすることが要望されている。
【0004】かかる亜塩素酸の濃度測定方法としては、
上記「衛企第46号」に付記されているジエチル−p−
フェニレンジアミン法(DPD法)、及び化学防災指針
(7)に定められたヨウ素滴定法が知られている。しかし
ながら、両方法とも試料液に硫酸とヨウ化カリウムを加
え、酸性下で亜塩素酸から生成した二酸化塩素によりヨ
ウ化カリウムをヨウ素に変えた後、このヨウ素の量から
亜塩素酸濃度を求める間接的な方法である。
上記「衛企第46号」に付記されているジエチル−p−
フェニレンジアミン法(DPD法)、及び化学防災指針
(7)に定められたヨウ素滴定法が知られている。しかし
ながら、両方法とも試料液に硫酸とヨウ化カリウムを加
え、酸性下で亜塩素酸から生成した二酸化塩素によりヨ
ウ化カリウムをヨウ素に変えた後、このヨウ素の量から
亜塩素酸濃度を求める間接的な方法である。
【0005】即ち、DPD法では発色試薬ジエチル−p
−フェニレンジアミンをヨウ素により発色させてその吸
光度を測定し、ヨウ素滴定法では遊離したヨウ素を酸化
還元滴定する。従って、いずれの方法も溶存二酸化塩素
の影響を受けるため、その影響を除く操作が必要であ
り、操作が極めて繁雑であって連続モニターするには不
適当であるうえ、試薬の1つとして硫酸を用いるため危
険である等の欠点があった。
−フェニレンジアミンをヨウ素により発色させてその吸
光度を測定し、ヨウ素滴定法では遊離したヨウ素を酸化
還元滴定する。従って、いずれの方法も溶存二酸化塩素
の影響を受けるため、その影響を除く操作が必要であ
り、操作が極めて繁雑であって連続モニターするには不
適当であるうえ、試薬の1つとして硫酸を用いるため危
険である等の欠点があった。
【0006】ところで、亜塩素酸は解離定数pKa=
2.31(25℃)の弱酸で、図2に示すごとくpH約
4以上ではほぼ100%亜塩素酸イオンに解離してい
る。従って、上水やプール水のような中性付近の水中で
は亜塩素酸は全て亜塩素酸イオンになっていると考えて
良く、亜塩素酸イオンの濃度をもって亜塩素酸の濃度と
することができる。即ち、上記亜塩素酸の濃度管理に亜
塩素酸イオンの濃度を用いても実用上において問題はな
い。
2.31(25℃)の弱酸で、図2に示すごとくpH約
4以上ではほぼ100%亜塩素酸イオンに解離してい
る。従って、上水やプール水のような中性付近の水中で
は亜塩素酸は全て亜塩素酸イオンになっていると考えて
良く、亜塩素酸イオンの濃度をもって亜塩素酸の濃度と
することができる。即ち、上記亜塩素酸の濃度管理に亜
塩素酸イオンの濃度を用いても実用上において問題はな
い。
【0007】かかる事実に基づいて、亜塩素酸イオンの
電解によって生じる酸化電流を測定することにより、亜
塩素酸イオン濃度ひいては亜塩素酸濃度を求める方法が
提案され、特開平2−296145号公報に開示されて
いる。この方法によれば、溶存二酸化塩素の影響を受け
ることなく、簡単にしかも連続的に亜塩素酸イオン濃度
を測定することができる。
電解によって生じる酸化電流を測定することにより、亜
塩素酸イオン濃度ひいては亜塩素酸濃度を求める方法が
提案され、特開平2−296145号公報に開示されて
いる。この方法によれば、溶存二酸化塩素の影響を受け
ることなく、簡単にしかも連続的に亜塩素酸イオン濃度
を測定することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平2−296145号公報に開示された方法は、ポー
ラログラフィーを用いた方法であるため試料液のpH等
が変動すると測定値に誤差を生じることが判明した。化
学分析においてpHの影響を回避するためには、予めp
H緩衝液を試料液に添加することにより、一定pH値と
した試料液について測定を行うのが一般的である。しか
し、この方法は緩衝液によるpH調整の操作が面倒であ
り、しかも人手に頼らざるを得ないうえ、このpH調整
のため上水やプール水等の管理では連続的な濃度管理が
出来なくなる欠点がある。
開平2−296145号公報に開示された方法は、ポー
ラログラフィーを用いた方法であるため試料液のpH等
が変動すると測定値に誤差を生じることが判明した。化
学分析においてpHの影響を回避するためには、予めp
H緩衝液を試料液に添加することにより、一定pH値と
した試料液について測定を行うのが一般的である。しか
し、この方法は緩衝液によるpH調整の操作が面倒であ
り、しかも人手に頼らざるを得ないうえ、このpH調整
のため上水やプール水等の管理では連続的な濃度管理が
出来なくなる欠点がある。
【0009】本発明は、かかる従来の事情に鑑み、特開
平2−296145号公報に記載の方法を用いて、試料
液のpHが変動した場合であっても、常に正しい亜塩素
酸イオン濃度を求めることができる方法を提供すること
を目的とする。
平2−296145号公報に記載の方法を用いて、試料
液のpHが変動した場合であっても、常に正しい亜塩素
酸イオン濃度を求めることができる方法を提供すること
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供する亜塩素酸イオンの測定方法におい
ては、試料液中に作用電極と対極の2極又は作用電極と
参照電極と対極の3極を浸漬し、貴金属又は炭素からな
る作用電極と試料液とを相対的に動かしながら、2極の
場合は対極を基準に又3極の場合は参照電極を基準にし
て作用電極に亜塩素酸イオンの酸化電流を生じる電圧を
印加し、流れる酸化電流に基づいて試料液中の亜塩素酸
イオン濃度を測定し、この亜塩素酸イオンの濃度測定値
を、別途測定した試料液のpH値に応じて補償すること
を特徴とする。
め、本発明が提供する亜塩素酸イオンの測定方法におい
ては、試料液中に作用電極と対極の2極又は作用電極と
参照電極と対極の3極を浸漬し、貴金属又は炭素からな
る作用電極と試料液とを相対的に動かしながら、2極の
場合は対極を基準に又3極の場合は参照電極を基準にし
て作用電極に亜塩素酸イオンの酸化電流を生じる電圧を
印加し、流れる酸化電流に基づいて試料液中の亜塩素酸
イオン濃度を測定し、この亜塩素酸イオンの濃度測定値
を、別途測定した試料液のpH値に応じて補償すること
を特徴とする。
【0011】本発明方法に従ってpH補償を行う具体的
な方法の1つは; (1) 任意の異なるpHを有する複数の亜塩素酸既知濃
度の基準液について、前記方法による酸化電流に基づい
て各亜塩素酸イオンの濃度測定値を求め、 (2) 得られた各濃度測定値から、少なくともpHと当
該pHに対応する亜塩素酸イオン濃度とを変数として持
つ関数であって、任意指定のpHでの正しい亜塩素酸イ
オン濃度を算出する計算式を予め求めておき、 (3) その後、試料液について前記方法による酸化電流
に基づく亜塩素酸イオンの濃度とpH値を測定し、 (4) 試料液の亜塩素酸イオンの濃度測定値とpH値を
前記計算式に代入して、試料液のpH補償された亜塩素
酸イオン濃度を演算する方法である。
な方法の1つは; (1) 任意の異なるpHを有する複数の亜塩素酸既知濃
度の基準液について、前記方法による酸化電流に基づい
て各亜塩素酸イオンの濃度測定値を求め、 (2) 得られた各濃度測定値から、少なくともpHと当
該pHに対応する亜塩素酸イオン濃度とを変数として持
つ関数であって、任意指定のpHでの正しい亜塩素酸イ
オン濃度を算出する計算式を予め求めておき、 (3) その後、試料液について前記方法による酸化電流
に基づく亜塩素酸イオンの濃度とpH値を測定し、 (4) 試料液の亜塩素酸イオンの濃度測定値とpH値を
前記計算式に代入して、試料液のpH補償された亜塩素
酸イオン濃度を演算する方法である。
【0012】又、pH補償を行う別の方法として、前記
(1)で得られた複数の基準液の各pHに対応する各濃度
測定値から、pHと当該pHに対応する亜塩素酸イオン
濃度とを変数とする表又は図を予め作製し、その後試料
液について測定した亜塩素酸イオンの濃度測定値とpH
値から、表又は図のいずれかを用いて、試料液のpH補
償された亜塩素酸イオン濃度を求めることも出来る。
(1)で得られた複数の基準液の各pHに対応する各濃度
測定値から、pHと当該pHに対応する亜塩素酸イオン
濃度とを変数とする表又は図を予め作製し、その後試料
液について測定した亜塩素酸イオンの濃度測定値とpH
値から、表又は図のいずれかを用いて、試料液のpH補
償された亜塩素酸イオン濃度を求めることも出来る。
【0013】
【作用】本発明者らは、上記特開平2−296145号
公報記載の方法のpH依存性を研究した結果、その濃度
測定値は試料液のpHによる影響を受けること、及びp
Hの影響は定量的に定め得ることを見い出し、この発見
に基づいてpH変動による影響を補償して正しい亜塩素
酸イオン濃度を求めることを可能にしたものである。
公報記載の方法のpH依存性を研究した結果、その濃度
測定値は試料液のpHによる影響を受けること、及びp
Hの影響は定量的に定め得ることを見い出し、この発見
に基づいてpH変動による影響を補償して正しい亜塩素
酸イオン濃度を求めることを可能にしたものである。
【0014】即ち、本発明方法では、定量的に変化する
pHと亜塩素酸イオン濃度との関係を予め求めておき、
この関係を計算式、表又は図として表現若しくは記録し
た上で、実際の試料液の測定に際しては、試料液の亜塩
素酸イオンの濃度測定値と共にpH計でpHを測定し、
これらの値を用いて正しい亜塩素酸イオン濃度を計算式
から演算するか、表又は図から読み取るものである。
pHと亜塩素酸イオン濃度との関係を予め求めておき、
この関係を計算式、表又は図として表現若しくは記録し
た上で、実際の試料液の測定に際しては、試料液の亜塩
素酸イオンの濃度測定値と共にpH計でpHを測定し、
これらの値を用いて正しい亜塩素酸イオン濃度を計算式
から演算するか、表又は図から読み取るものである。
【0015】しかし、pHの影響が定量的であるとは言
っても、その程度は使用する測定装置、特に作用電極等
の構造により変わる可能性があるので、測定装置毎に本
発明方法を適用することが好ましい。又、pHの測定は
同一試料液について亜塩素酸イオン濃度の測定と同時に
行うことが好ましいが、pHの変動幅が小さい場合に
は、pHの測定間隔を長くして、1つのpH測定値を数
回の亜塩素酸イオン濃度の測定に利用することも可能で
ある。
っても、その程度は使用する測定装置、特に作用電極等
の構造により変わる可能性があるので、測定装置毎に本
発明方法を適用することが好ましい。又、pHの測定は
同一試料液について亜塩素酸イオン濃度の測定と同時に
行うことが好ましいが、pHの変動幅が小さい場合に
は、pHの測定間隔を長くして、1つのpH測定値を数
回の亜塩素酸イオン濃度の測定に利用することも可能で
ある。
【0016】
【実施例】本発明方法を実施するための測定装置の具体
例を図1に示す。電解セル1は底部に試料液流入口2を
及び上部に試料液流出口3を備え、感応部がグラッシー
カーボンからなる作用電極4が電解セル1の底部に配置
されると共に、銀/塩化銀電極からなる対極5と参照電
極6とが作用電極4の上方に配置されている。これらの
作用電極4、対極5及び参照電極6はポテンショスタッ
ト7に接続され、参照電極6を基準にして作用電極4に
亜塩素酸イオンの酸化電流を生じる0.6〜1.2Vの電
圧を印加できるようになっている。
例を図1に示す。電解セル1は底部に試料液流入口2を
及び上部に試料液流出口3を備え、感応部がグラッシー
カーボンからなる作用電極4が電解セル1の底部に配置
されると共に、銀/塩化銀電極からなる対極5と参照電
極6とが作用電極4の上方に配置されている。これらの
作用電極4、対極5及び参照電極6はポテンショスタッ
ト7に接続され、参照電極6を基準にして作用電極4に
亜塩素酸イオンの酸化電流を生じる0.6〜1.2Vの電
圧を印加できるようになっている。
【0017】又、ポテンショスタット7はデータ処理部
8に接続されている。このデータ処理部8には予め実験
的に求めた亜塩素酸イオン濃度とその酸化電流との関係
が入力してあり、この入力データと実測によりポテンシ
ョスタット7で求められた試料液の酸化電流とに基づい
て、データ処理部8で試料液中の亜塩素酸イオンの濃度
測定値を算出し、これを表示/印字部9に表示し又は印
字できるようになっている。更に、電解セル1はpH測
定用のガラス電極10と比較電極11とを備えており、
これらはpH計12に接続されている。
8に接続されている。このデータ処理部8には予め実験
的に求めた亜塩素酸イオン濃度とその酸化電流との関係
が入力してあり、この入力データと実測によりポテンシ
ョスタット7で求められた試料液の酸化電流とに基づい
て、データ処理部8で試料液中の亜塩素酸イオンの濃度
測定値を算出し、これを表示/印字部9に表示し又は印
字できるようになっている。更に、電解セル1はpH測
定用のガラス電極10と比較電極11とを備えており、
これらはpH計12に接続されている。
【0018】図1の測定装置を用いて、以下のごとく試
料液の亜塩素酸イオン濃度を測定した。まず校正操作に
おいて、亜塩素酸イオン濃度が0mg/lと2.5mg
/lの2種類の校正液のpHをリン酸塩緩衝液を用いて
共に7.2に調整し、この2種類の校正液を用いて2点
校正を行った。校正後の測定装置により、亜塩素酸イオ
ン濃度の異なる5種の試料液(いずれもpH7.2)に
ついて測定を行ったところ、既知亜塩素酸イオン濃度と
その測定値とは図3に示す通り良好な直線性を示した。
料液の亜塩素酸イオン濃度を測定した。まず校正操作に
おいて、亜塩素酸イオン濃度が0mg/lと2.5mg
/lの2種類の校正液のpHをリン酸塩緩衝液を用いて
共に7.2に調整し、この2種類の校正液を用いて2点
校正を行った。校正後の測定装置により、亜塩素酸イオ
ン濃度の異なる5種の試料液(いずれもpH7.2)に
ついて測定を行ったところ、既知亜塩素酸イオン濃度と
その測定値とは図3に示す通り良好な直線性を示した。
【0019】次に、校正後の測定装置を用い、亜塩素酸
イオン濃度が1.0mg/l(一定)で且つpHが5.1
3から8.45の間(このpH範囲でHClO2は100
%ClO2 -に解離している)にある7種の試料液〜
について、亜塩素酸イオンの濃度測定値とpH値を同時
に測定し、下記表1に示した。表1のpH値と濃度測定
値及びこれをグラフ化した図4(図中○)から判るよう
に、pH補償を行わない濃度測定値は、pH約7.2よ
りも低pH領域では実際の亜塩素酸イオン濃度よりも低
く、又高pH領域では高くなり、試料液のpHによる影
響を受けていることが明白である。
イオン濃度が1.0mg/l(一定)で且つpHが5.1
3から8.45の間(このpH範囲でHClO2は100
%ClO2 -に解離している)にある7種の試料液〜
について、亜塩素酸イオンの濃度測定値とpH値を同時
に測定し、下記表1に示した。表1のpH値と濃度測定
値及びこれをグラフ化した図4(図中○)から判るよう
に、pH補償を行わない濃度測定値は、pH約7.2よ
りも低pH領域では実際の亜塩素酸イオン濃度よりも低
く、又高pH領域では高くなり、試料液のpHによる影
響を受けていることが明白である。
【0020】
【表1】
試 料 液
試 料 液 の pH 値 5.13 6.06 6.69 7.21 7.60 8.00 8.45
濃 度 測 定 値(mg/l) 0.76 0.89 0.98 1.08 1.15 1.22 1.31
【0021】そこで、基準液の測定により求めた表1及
び図4に示す亜塩素酸イオンの濃度測定値とpH値とか
ら、亜塩素酸イオン濃度とpHとを変数とする関数であ
って、任意指定のpHでの正しい亜塩素酸イオン濃度を
算出する計算式を求めたところ、下記式1の計算式が得
られた:
び図4に示す亜塩素酸イオンの濃度測定値とpH値とか
ら、亜塩素酸イオン濃度とpHとを変数とする関数であ
って、任意指定のpHでの正しい亜塩素酸イオン濃度を
算出する計算式を求めたところ、下記式1の計算式が得
られた:
【式1】亜塩素酸イオン濃度値=濃度測定値÷{1+
0.15(試料液pH−7.2)}
0.15(試料液pH−7.2)}
【0022】そこで、測定装置のデータ処理部8に式1
の計算式を記憶させ、亜塩素酸イオンの濃度測定値とp
H値とから、式1に従ってデータ処理部8でpHの違い
による補償を行ったpH補償濃度値を演算し、これを表
示/印字部9に表示又は印字するようにした。その後、
同じ試料液〜を再度測定して得られたpH補償を行
った亜塩素酸イオンの濃度値を、補償前の濃度測定値と
共に表2に示した。
の計算式を記憶させ、亜塩素酸イオンの濃度測定値とp
H値とから、式1に従ってデータ処理部8でpHの違い
による補償を行ったpH補償濃度値を演算し、これを表
示/印字部9に表示又は印字するようにした。その後、
同じ試料液〜を再度測定して得られたpH補償を行
った亜塩素酸イオンの濃度値を、補償前の濃度測定値と
共に表2に示した。
【0023】
【表2】
試 料 液
濃 度 測 定 値(mg/l) 0.76 0.89 0.98 1.08 1.15 1.22 1.31
pH補償濃度値(mg/l) 1.10 1.07 1.06 1.08 1.08 1.09 1.10
【0024】上記表2及びこれをグラフ化した図4(図
中●)から判るように、本発明方法によりpH補償した
後の亜塩素酸イオンの濃度値は、試料液のpHの変動に
拘らず、常に実際の亜塩素酸イオン濃度である1.0m
g/lにほぼ等しい値を示すことが判る。従って、この
測定装置を使用すれば、以後いかなるpHの試料液を測
定しても、常にpH7.2における正しい亜塩素酸イオ
ン濃度を知ることが出来る。尚、前記計算式を求める際
に、意味のある任意のpH値としてpH7.2以外の値
を選択すれば、当該任意pHにおける正しいpH補償濃
度値を算出する計算式を求めることが可能である。
中●)から判るように、本発明方法によりpH補償した
後の亜塩素酸イオンの濃度値は、試料液のpHの変動に
拘らず、常に実際の亜塩素酸イオン濃度である1.0m
g/lにほぼ等しい値を示すことが判る。従って、この
測定装置を使用すれば、以後いかなるpHの試料液を測
定しても、常にpH7.2における正しい亜塩素酸イオ
ン濃度を知ることが出来る。尚、前記計算式を求める際
に、意味のある任意のpH値としてpH7.2以外の値
を選択すれば、当該任意pHにおける正しいpH補償濃
度値を算出する計算式を求めることが可能である。
【0025】次に、pHと亜塩素酸イオン濃度との関係
を表又は図にまとめ、この表又は図を用いて亜塩素酸イ
オン濃度測定値をpH補償する方法を実施した。まず、
前記計算式を記憶させる前の図1の測定装置を用い、亜
塩素酸イオン濃度が0.1〜3.0mg/lの各基準液で
pHを5.00から9.00の範囲(このpH範囲でHC
lO2は100%ClO2 -に解離している)で変化させ
た多数の基準液について、亜塩素酸イオンの濃度とpH
値を同時に測定し、その結果を正しい亜塩素酸イオン濃
度と各pH値をそれぞれ縦横の欄とし、各pH値に対応
する各亜塩素酸イオン濃度測定値を両欄の交差する位置
に記入して表に整理した。又、この表に整理された結果
を、pHを横軸とし、亜塩素酸イオンの濃度測定値と正
しい濃度値とを左右の縦軸とする図に表示した。
を表又は図にまとめ、この表又は図を用いて亜塩素酸イ
オン濃度測定値をpH補償する方法を実施した。まず、
前記計算式を記憶させる前の図1の測定装置を用い、亜
塩素酸イオン濃度が0.1〜3.0mg/lの各基準液で
pHを5.00から9.00の範囲(このpH範囲でHC
lO2は100%ClO2 -に解離している)で変化させ
た多数の基準液について、亜塩素酸イオンの濃度とpH
値を同時に測定し、その結果を正しい亜塩素酸イオン濃
度と各pH値をそれぞれ縦横の欄とし、各pH値に対応
する各亜塩素酸イオン濃度測定値を両欄の交差する位置
に記入して表に整理した。又、この表に整理された結果
を、pHを横軸とし、亜塩素酸イオンの濃度測定値と正
しい濃度値とを左右の縦軸とする図に表示した。
【0026】その後、同じ測定装置を用いて試料液の亜
塩素酸イオンの濃度とpH値を測定した。得られた亜塩
素酸イオン濃度測定値とpH値を表又は図にあてはめ
て、pH補償された亜塩素酸イオン濃度を求めることが
出来た。即ち、表からは当該pH値の欄の該当する濃度
測定値を摘出すれば、その濃度測定値に対応する任意p
Hにおける正しい濃度値(pH補償濃度値)を求めるこ
とが出来る。一方、図の場合には、当該pH値と濃度測
定値との交点を求め、その交点近くを通る曲線又は直線
を当該交点に平行移動し、平行移動した曲線又は直線上
での任意pHに対応する正しい濃度値(pH補償濃度
値)を求めることが出来る。
塩素酸イオンの濃度とpH値を測定した。得られた亜塩
素酸イオン濃度測定値とpH値を表又は図にあてはめ
て、pH補償された亜塩素酸イオン濃度を求めることが
出来た。即ち、表からは当該pH値の欄の該当する濃度
測定値を摘出すれば、その濃度測定値に対応する任意p
Hにおける正しい濃度値(pH補償濃度値)を求めるこ
とが出来る。一方、図の場合には、当該pH値と濃度測
定値との交点を求め、その交点近くを通る曲線又は直線
を当該交点に平行移動し、平行移動した曲線又は直線上
での任意pHに対応する正しい濃度値(pH補償濃度
値)を求めることが出来る。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、溶存二酸化塩素の影響
を受けることなく、簡単にしかも連続的に亜塩素酸イオ
ン濃度を測定することができる特開平2−296145
号公報記載のポーラログラフィーを用いた方法におい
て、試料液のpHが変動しても、測定値のpH補償を行
うことにより常に正確な亜塩素酸イオン濃度を求めるこ
とができる。
を受けることなく、簡単にしかも連続的に亜塩素酸イオ
ン濃度を測定することができる特開平2−296145
号公報記載のポーラログラフィーを用いた方法におい
て、試料液のpHが変動しても、測定値のpH補償を行
うことにより常に正確な亜塩素酸イオン濃度を求めるこ
とができる。
【図1】本発明方法を実施するための測定装置の具体例
を示す概略の説明図である。
を示す概略の説明図である。
【図2】亜塩素酸(HClO2)の亜塩素酸イオン(ClO
2 -)への解離度αとpHとの関係を示すグラフである。
2 -)への解離度αとpHとの関係を示すグラフである。
【図3】pH一定の試料液の亜塩素酸イオン濃度と、本
発明方法に係わる測定装置により求めたその測定値との
関係を示すグラフである。
発明方法に係わる測定装置により求めたその測定値との
関係を示すグラフである。
【図4】本発明方法によりpH補償した場合とpH補償
しない場合について、試料液のpHと求められた亜塩素
酸イオン濃度の関係を示すグラフである。
しない場合について、試料液のpHと求められた亜塩素
酸イオン濃度の関係を示すグラフである。
1 電解セル
2 試料液流入口
3 試料液流出口
4 作用電極
5 対極
6 参照電極
7 ポテンショスタット
8 データ処理部
9 表示/印字部
10 ガラス電極
11 比較電極
12 pH計
Claims (3)
- 【請求項1】 試料液中に作用電極と対極の2極又は作
用電極と参照電極と対極の3極を浸漬し、貴金属又は炭
素からなる作用電極と試料液とを相対的に動かしなが
ら、2極の場合は対極を基準に又3極の場合は参照電極
を基準にして作用電極に亜塩素酸イオンの酸化電流を生
じる電圧を印加し、流れる酸化電流に基づいて試料液中
の亜塩素酸イオンの濃度を測定する亜塩素酸イオンの測
定方法において、 (1) 任意の異なるpHを有する複数の亜塩素酸既知濃
度の基準液について、前記方法による酸化電流に基づい
て各亜塩素酸イオンの濃度測定値を求め、 (2) 得られた各濃度測定値から、少なくともpHと当
該pHに対応する亜塩素酸イオン濃度とを変数として持
つ関数であって、任意指定のpHでの正しい亜塩素酸イ
オン濃度を算出する計算式を予め求めておき、 (3) その後、試料液について前記方法による酸化電流
に基づく亜塩素酸イオンの濃度とpH値を測定し、 (4) 試料液の亜塩素酸イオンの濃度測定値とpH値を
前記計算式に代入して、試料液のpH補償された亜塩素
酸イオン濃度を演算する ことを特徴とする亜塩素酸イオ
ンの測定方法。 - 【請求項2】 請求項1における (2) の計算式の代わ
りに、前記 (1) で得られた複数の基準液の各pHに対
応する各濃度測定値から、pHと当該pHに対応する亜
塩素酸イオン濃度とを変数とする表又は図を予め作製
し、その後試料液について測定した亜塩素酸イオンの濃
度測定値とpH値から、表又は図のいずれかを用いて、
試料液のpH補償された亜塩素酸イオン濃度を求めるこ
とを特徴とする、請求項1に記載の亜塩素酸イオンの測
定方法。 - 【請求項3】 試料液のpH値の測定は、当該試料液の
亜塩素酸イオンの濃度測定と同時に行うことを特徴とす
る、請求項1又は2に記載の亜塩素酸イオンの測定方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06287493A JP3372078B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | 亜塩素酸イオンの測定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06287493A JP3372078B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | 亜塩素酸イオンの測定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06249830A JPH06249830A (ja) | 1994-09-09 |
JP3372078B2 true JP3372078B2 (ja) | 2003-01-27 |
Family
ID=13212856
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP06287493A Expired - Fee Related JP3372078B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | 亜塩素酸イオンの測定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3372078B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018048830A (ja) * | 2016-09-20 | 2018-03-29 | 株式会社日立パワーソリューションズ | 腐食影響度判定装置、プローブ装置、及び腐食影響度判定方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3425067B2 (ja) * | 1997-02-12 | 2003-07-07 | 喜代子 高村 | 酸度測定装置 |
JP4944740B2 (ja) * | 2007-11-19 | 2012-06-06 | 大幸薬品株式会社 | 亜塩素酸イオンの測定方法 |
JP5181352B2 (ja) * | 2009-02-05 | 2013-04-10 | 株式会社ユニフィードエンジニアリング | 残留遊離塩素濃度の測定方法及び装置 |
-
1993
- 1993-02-26 JP JP06287493A patent/JP3372078B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2018048830A (ja) * | 2016-09-20 | 2018-03-29 | 株式会社日立パワーソリューションズ | 腐食影響度判定装置、プローブ装置、及び腐食影響度判定方法 |
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JPH06249830A (ja) | 1994-09-09 |
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