JP3370007B2 - 金属部材の射出成形装置及び射出成形方法 - Google Patents

金属部材の射出成形装置及び射出成形方法

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JP3370007B2 JP08855199A JP8855199A JP3370007B2 JP 3370007 B2 JP3370007 B2 JP 3370007B2 JP 08855199 A JP08855199 A JP 08855199A JP 8855199 A JP8855199 A JP 8855199A JP 3370007 B2 JP3370007 B2 JP 3370007B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、金属溶湯を半溶
融状態もしくは融点付近の溶融状態で射出ノズルから成
形型の成形キャビティ内に射出充填して成形品(特に、
内側に開口部を有する成形品)を得るようにした金属部
材の射出成形装置及び射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、マグネシウム(以下、適宜、そ
の元素記号Mgで表示する。)及びその合金あるいはア
ルミニウム(以下、適宜、その元素記号Alで表示す
る。)及びその合金などの軽金属を材料とした金属部材
の製造方法として、射出成形法を用いた製造方法が実用
化されつつある。また、このような金属部材の射出成形
法において、金属溶湯を(基本的にはその融点未満の)
半溶融状態で射出ノズルから成形型の成形キャビティ内
に射出充填して成形品を得るようにした、いわゆる半溶
融射出成形方法は、従来、公知である(例えば、特公平
2−15620号公報参照)。
【0003】この半溶融射出成形法は、例えばダイキャ
スト法などの鋳造法に比べた場合、作業環境面では比較
的クリーン(清浄)で安全性もより高く、また、品質面
においても高精度で均質な金属成形品を得ることができ
るプロセスとして知られており、溶湯温度(以下、完全
に溶融した状態ではなく半溶融状態のものであっても
「溶湯」と称する。)が低いので、所謂「バリ」が出に
くく高速および/または高圧での射出にも適しており、
生産性の向上を図る上でも有利である。また、この半溶
融射出成形法では、金属溶湯を半溶融状態として成形キ
ャビティ内に射出・充填することにより、完全に溶解し
た液相部分中に未溶解の固相部分が混在した溶湯がその
まま充填されるので、比較的層流に近い状態で充填され
るようになり、ガスの巻き込みがそれだけ少なくて済
み、比較的均質な組織が得られる。これにより、得られ
た部材全体としての機械的特性を高めることが可能にな
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記半溶融
射出成形法の場合、例えば所謂コールドチャンバ式のダ
イキャスト法と比較して、上述のように溶湯温度が低
く、また、溶湯を成形型内に供給する供給部分(射出ノ
ズル)についても、通常、その先端部を絞って内径が小
さくなるように設定されている。このため、成形キャビ
ティの容積が大きくなるほど、その全体にわたって均一
に溶湯を充填することが難しくなり、特に、一定以上の
大型の成形品を製造する場合には一般に不利である。
【0005】尚、本明細書中において、(一定以上の)
「大型の成形品」とは、「その成形品の投影図に外接す
る円の直径(D)が最大値(Da)になるように投影し
たときの当該最大値(Da)が300[mm](ミリメ
ートル)以上であるもの」を指称するものとする。成形
品のサイズがこれよりも小さい場合には、成形機のシリ
ンダ温度や成形型の温度(型温)などの温度条件および
射出圧力や射出速度等の射出条件などを適宜調整するこ
とにより、成形キャビティ全体にわたって溶湯を均一に
射出充填して健全な成形品(つまり、欠陥が少なく所定
の機械的性質を備えた高品質の成形品)を得ることは比
較的容易であるが、成形品のサイズが上記の程度以上の
場合には、温度条件や射出条件などの調整だけでは、健
全な成形品を安定して得ることは一般に難しい。
【0006】そこで、射出ノズルの内部通路が接続され
る成形型のランナ部と成形キャビティとを間口(通路面
積)の狭いゲート部で連結し、このゲート部を介して成
形キャビティ内に溶湯を射出・充填することにより充填
される溶湯の流動速度を高め、成形キャビティ内部に均
一に溶湯を充填できるようにする方法が知られている
(例えば、特開平9−38758号公報参照)。特に、
大型の成形品を射出成形する場合には、溶湯の均一な充
填がより難しいので、このようなランナ部及びゲート部
を複数設けることが一般に好ましい。
【0007】ところで、例えば、正面視で環状をなす成
形品など、内側に開口部を有する成形品を射出成形する
場合、成形品の全体形状にもよるが、開口部の内縁部分
などへの金属溶湯の充填性を確保する上で、射出ノズル
からの金属溶湯の射出位置を成形品の開口部に対応する
部位に設定することが好ましい場合が多々ある。また、
射出ノズルからの金属溶湯の射出位置をこのように設定
するに際して、成形キャビティ内への金属溶湯の充填を
より均一なものとするために、上記射出位置と成形キャ
ビティとを結ぶゲート部を複数(例えば2〜4本)設け
ることが考えられる。しかしながら、特に、大型の成形
品や複雑形状の成形品を射出成形する場合などには、ゲ
ート部を複数設けても、成形キャビティ内への金属溶湯
の充填を十分に均一なものとすることは難しいという問
題があった。
【0008】また、前述のようにゲート部を設けて充填
される溶湯の流動速度を高めるようにした場合、ゲート
部上流にこれよりも通路面積が若干大きいランナ部が設
けられていても、比較的層流に近い状態を維持して充填
しガス欠陥が少なく密度の高い部材を安定して得ること
が難しくなる。更に、ランナ部(及びゲート部)の長さが
長いほど、金属溶湯はその途中で熱を奪われて流動性が
低下するのであるが、特に、半溶融射出成形の場合に
は、金属溶湯の温度が元々低いのでその影響がより大き
く、充填不良を招き易いという問題があった。
【0009】また、半溶融射出成形法の場合、射出ノズ
ルから型内への1回(1ショット)の射出が終って次回
(次ショット)の射出が行われるまでの間に、射出ノズ
ルの溶湯供給経路内の金属溶湯が冷やされてノズル先端
側に凝固部分(所謂、コールドプラグ)や固相率の高い
高固相部分が生じる。そして、次ショットの射出時に、
このコールドプラグや高固相部分が含まれた状態で金属
溶湯の射出充填が行われると、成形品の材料組織中に局
部的な不均一部分(つまり、固相率が周囲の部分に比し
て一定以上高い部分)が含まれることとなり、その機械
的特性が大きく損なわれるという問題がある。
【0010】尚、本明細書において、「固相」とは「金
属溶湯が半溶融状態である場合において溶融されずに固
体状態を維持している部分」を言い、また、「液相」と
は「完全に溶融されて液体状態となっている部分」を言
う。上記「固相」は、射出後の成形品の凝固組織を観察
することにより、「半溶融の金属溶湯状態で溶融されず
に固体状態を維持していた部分」として、「半溶融の金
属溶湯状態で完全に溶融されて液体状態となっていた」
液相部分とは、容易に識別することができる。成形品に
ついて「固相」という場合は、「半溶融の金属溶湯状態
で溶融されずに固体状態を維持していた(固相であっ
た)部分」を言う。また、本明細書において、「固相
率」とは、「半溶融状態の金属溶湯において溶湯全体
(固相+液相)に対する固相の割合」を言い、射出後の
成形品の凝固組織を観察することにより、観察領域全体
に対する「固相」であった部分の割合(面積比率)とし
て、数値的に求めることができる。
【0011】更に、本明細書において、射出されるべき
原料の金属溶湯について「半溶融状態」とは、基本的に
は、「固体状態の原料(固相)と溶融して液体状態とな
った原料(液相)とが共存している状態」を言い、通
常、原料をその融点未満に加熱することによって得られ
る状態である。但し、溶湯の温度が実質的にその融点も
しくは融点直上で、固相率が実質的に0(零)%に等し
い場合も、この「半溶融状態」に含まれるものとする。
尚、金属溶湯自体がこのような実質的に固相率0%の場
合でも、現実の射出成形工程を考えれば、上述のよう
に、射出ノズルの溶湯供給経路内には所謂コールドプラ
グや固相率の高い高固相部分が生じるので、実際に成形
キャビティ内に射出される溶湯には、不可避的に固相部
分が含まれることになる。
【0012】このため、例えば、上記特開平9−387
58号公報に示されているように、成形型の射出ノズル
に対向する部位に凹部(所謂、プラグキャッチャ)を設
けておき、射出ノズルから成形型内に金属溶湯を射出す
る際には、主として射出ノズルの先端側に存在するコー
ルドプラグや高固相部分が上記プラグキャッチャ内に捕
捉され収納されるようにすることにより、次ショットの
成形品中に上記コールドプラグや高固相部分の混入によ
る材料組織上の局部的な不均一が生じることを防止する
ことが考えられる。しかしながら、この場合でも、コー
ルドプラグ及び/又は高固相部分の混入防止効果は、上
記プラグキャッチャのサイズ等をどのように設定するか
よって大きな差が生じる。
【0013】更に、成形品が周囲の部位よりも肉厚が大
きい厚肉部を有している場合、この部分的に体積が大き
い厚肉部では、金属溶湯の凝固時に所謂「引け」が生じ
易く、このため、得られた成形品に引け巣の欠陥が生じ
易いという問題がある。尚、以上、述べたような諸問題
は、金属溶湯が、半溶融状態ではないが、融点付近の溶
融状態で射出される場合にも、同様に生じ得る。
【0014】ところで、金属溶湯を半溶融状態あるいは
融点付近の溶融状態で射出する射出成形法では、良好な
射出成形を行い健全な成形品を得る上で、金属溶湯の流
動性を確保することが非常に重要である。特に、一定以
上の「大型の成形品」を射出成形する場合には、上述の
ように、成形キャビティ全体にわたって金属溶湯を均一
に射出充填することが難しいので、溶湯の流動性の良し
悪しは成形品の品質に直接的な影響を及ぼすことにな
る。
【0015】この金属溶湯の流動性は例えば成形型の温
度(型温)を上げることによって高めることができるの
であるが、型温の調整のみによって溶湯の流動性を確保
しても良好な成形品を得ることは一般に難しい。すなわ
ち、型温の上昇によって金属溶湯の流動性確保を図った
場合には、一般に溶湯の凝固にそれだけ長く時間が掛か
るので成形サイクルタイムが長くなるという生産効率上
の問題があり、更に、型温を上げ過ぎた場合には、「バ
リ」が多くなる、あるいは成形型の型合わせ面から溶湯
が漏れ易くなる、などの不具合を招来する惧れもある。
【0016】半溶融状態の金属溶湯の流動性にはその溶
湯の固相率が大きな影響を及ぼすものと考えられる。こ
の固相率は、上述の定義から明らかなように、射出成形
機のシリンダ温度および/または金型温度などの温度条
件を含めて種々の射出成形条件が織り込まれた結果とし
て得られるものであるので、この固相率の大小で金属溶
湯の流動性の良否を評価することができれば、非常に簡
潔で実用性の高い指標が得られることになる。そして、
かかる指標を用いて好適な条件範囲を設定することによ
り、型温を過度に上げることなく好適な射出成形条件下
で、所要の溶湯流動性を確実に得ることが可能になる。
【0017】しかしながら、実際には、固相率のみと流
動長との関係を調べると、図31のグラフに示すよう
に、固相率を変化(約2〜45[%]の間で変化)させ
た場合の流動長[m](メートル)の変化は極めて不規
則であり、両者の間に有為な相関関係は認められなかっ
た。
【0018】本願発明者は、鋭意研究を積み重ねた結
果、後述するように、半溶融状態の金属溶湯の固相率だ
けでなく平均固相径をも考慮し、両者を組み合わせた指
標とする(具体的には両者掛け合わせた「積」を指標と
する)ことにより、この指標と金属溶湯の流動性(流動
長)との間に高い相関関係が得られること、また、上記
プラグキャッチャの深さと直径の設定を工夫することに
より、成形品中へのコールドプラグ及び/又は高固相部
分の混入防止について高い効果がより確実に得られるこ
とを見出した。
【0019】尚、本明細書において、「平均固相径」と
は、「半溶融状態の金属溶湯において溶融されずに固体
状態を維持している部分の等価円の直径の平均値」を言
う。この「平均固相径」は、射出後の成形品の凝固組織
を観察することにより、「半溶融の金属溶湯状態で溶融
されずに固体状態を維持していた部分の等価円の直径の
平均値」として計測することができる。
【0020】この発明は、金属溶湯を半溶融状態もしく
は融点付近の溶融状態で射出する射出成形法により内側
に開口部を有する金属部材を成形する際の上記諸問題に
鑑みてなされたもので、ゲート部の位置及び形状を工夫
することにより、成形キャビティ内に金属溶湯をできる
だけ均一に充填できるようにすることを、基本的な目的
とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1の発明
(以下、第1の発明という)に係る金属部材の射出成形装
置は、金属溶湯を半溶融状態もしくは融点付近の溶融状
態で射出ノズルから成形型の成形キャビティ内に射出充
填して内側に開口部を有する成形品を得るようにした金
属部材の射出成形装置であって、上記射出ノズルからの
射出位置が上記成形品の開口部に対応する部位に設定さ
れ、上記射出位置から周囲の成形キャビティに向けて広
がる略環状のゲート部が設けられており、上記ゲート部
と上記射出ノズルの間に、下流側がゲート部に連通し上
流側が射出ノズルに繋がる所定容積の容積部が設けられ
ていることを特徴としたものである。
【0022】また、本願の請求項2に係る発明(以下、
第2の発明という)は、上記第1の発明において、上記
容積部の厚さは上記成形キャビティの平均厚さよりも大
きく設定されていることを特徴としたものである。
【0023】更に、本願の請求項3に係る発明(以下、
第3の発明という)は、上記第1または第2の発明にお
いて、上記金属溶湯として軽金属の溶湯が用いられ、上
記容積部を200〜400℃の範囲内の温度に加熱する
加熱手段を備えていることを特徴としたものである。
【0024】ここに、加熱温度範囲の下限値を200℃
としたのは、軽金属の射出成形においては、型温(成形
型の温度)を200℃程度までの温度に保持して成形が
行われるのが一般的だからである。また、上限値を40
0℃としたのは、この温度を越えると、過度に「バリ」
が発生する、あるいは成形型の型合わせ面から溶湯が漏
れ易くなる、などの不具合を招く惧れがあるからであ
る。
【0025】また、更に、本願の請求項4の発明(以
下、第4の発明という)に係る金属部材の射出成形装置
は、金属溶湯を半溶融状態もしくは融点付近の溶融状態
で射出ノズルから成形型の成形キャビティ内に射出充填
して内側に開口部を有する成形品を得るようにした金属
部材の射出成形装置であって、上記射出ノズルからの射
出位置が上記成形品の開口部に対応する部位に設定さ
れ、上記射出位置から周囲の成形キャビティに向けて広
がる略環状のゲート部が設けられており、上記成形型の
射出ノズルに対向する部位に所定の直径(φ)及び深さ
(h)を有する凹部が形成され、この凹部の深さ(h)
の直径(φ)に対する比(h/φ)が0.5以上となる
ように設定されていることを特徴としたものである。
【0026】ここに、上記凹部(すなわち、所謂プラグ
キャッチャ)の深さhの直径φに対する比(h/φ)の
下限値を0.5としたのは、この比(h/φ)の値が0.
5未満の範囲では、コールドプラグ及び/又は高固相部
分をプラグキャッチャで有効に捕捉・収納できず、これ
らの混入によって成形品中に固相率が他に比べて特に高
い材料組織上の不均一部分が生じるからである。
【0027】また、更に、本願の請求項5に係る発明
(以下、第5の発明という)は、上記第1〜第4のいずれ
か一の発明において、上記金属溶湯を半溶融状態で上記
射出ノズルから射出することを特徴としたものである。
【0028】また、更に、本願の請求項6に係る発明
(以下、第6の発明という)は、上記第1〜第5のいずれ
か一の発明において、上記成形品は、その投影図に外接
する円の直径(D)が最大値(Da)になるように投影
したときの当該最大値(Da)が300[mm](ミリ
メートル)以上のものであることを特徴としたものであ
る。
【0029】ここに、上記外接円の最大値Daの下限値
を300[mm]としたのは、最大値Daがこの値未満
の場合(すなわち、本願で言う「大型の成形品」に該当
しない場合)には、成形機のシリンダ温度や成形型の温
度(型温)などの温度条件および射出圧力や射出速度等
の射出条件などを適宜調整することにより、成形キャビ
ティ全体にわたって溶湯を均一に射出充填して健全な成
形品(つまり、欠陥が少なく所定の機械的性質を備えた
高品質の成形品)を得ることは比較的容易であるが、成
形品の上記外接円の最大値Daが300[mm]以上の
場合(すなわち、本願で言う「大型の成形品」に該当す
る場合)には、温度条件や射出条件などの調整だけでは
健全な成形品を安定して得ることが一般に難しいことに
よる。
【0030】また、更に、本願の請求項7に係る発明
(以下、第7の発明という)は、上記第1,第2,第4の
発明のいずれか一において、上記金属溶湯として軽金属
の溶湯を用いることを特徴としたものである。
【0031】また、更に、本願の請求項8に係る発明
(以下、第8の発明という)は、上記第1〜第7のいずれ
か一の発明において、上記成形品が周囲の部位よりも肉
厚が大きい厚肉部を有するとともに、上記成形キャビテ
ィには上記厚肉部に対応する厚肉成形部が設けられてお
り、上記金属溶湯を成形キャビティ内に射出充填した
後、金属溶湯の凝固前に、上記厚肉成形部を部分的に加
圧する加圧手段が設けられていることを特徴としたもの
である。
【0032】また、本願の請求項9の発明(以下、第9
の発明という)に係る金属部材の射出成形方法は、金属
溶湯を半溶融状態もしくは融点付近の溶融状態で射出ノ
ズルから成形型の成形キャビティ内に射出充填して内側
に開口部を有する成形品を得るようにした金属部材の射
出成形方法であって、上記射出ノズルからの射出位置が
上記成形品の開口部に対応する部位に設定され、上記射
出位置から周囲の成形キャビティに向けて広がる略環状
のゲート部が設けられており、上記ゲート部と上記射出
ノズルの間に、下流側がゲート部に連通し上流側が射出
ノズルに繋がる所定容積の容積部が設けられ、該容積部
および上記環状のゲート部を介して上記成形キャビティ
内に金属溶湯を供給充填することを特徴としたものであ
る。
【0033】更に、本願の請求項10に係る発明(以
下、第10の発明という)は、上記第9の発明におい
て、上記金属溶湯として軽金属の溶湯が用いられ、上記
容積部は加熱手段により200〜400℃の範囲内の温
度に加熱されることを特徴としたものである。ここに、
加熱温度範囲の下限値を200℃とし、また、上限値を
400℃としたのは、上記第3の発明における場合と同
様の理由による。
【0034】更に、本願の請求項11に係る発明(以
下、第11の発明という)は、上記第9または第10の
発明において、上記金属溶湯を半溶融状態で上記射出ノ
ズルから射出することを特徴としたものである。
【0035】また、更に、本願の請求項12に係る発明
(以下、第12の発明という)は、上記第9〜第11のい
ずれか一の発明において、上記成形品は、その投影図に
外接する円の直径(D)が最大値(Da)になるように
投影したときの当該最大値(Da)が300[mm]
(ミリメートル)以上のものであることを特徴としたも
のである。ここに、上記外接円の最大値Daの下限値を
300[mm]としたのは、上記第6の発明における場
合と同様の理由による。
【0036】また、更に、本願の請求項13に係る発明
(以下、第13の発明という)は、上記第9の発明におい
て、上記金属溶湯として軽金属の溶湯を用いることを特
徴としたものである。
【0037】
【0038】また、更に、本願の請求項14に係る発明
(以下、第14の発明という)は、上記第9〜第13のい
ずれか一の発明において、上記金属溶湯の固相率(Fs
[%])と平均固相径(ds[μm])の積(Fs×ds)
が4000以下となるように設定して射出成形を行うこ
とを特徴としたものである。
【0039】ここに、上記固相率Fsと平均固相径dsの
積(Fs×ds)の上限値を4000としたのは、両者の
積(Fs×ds)がこの値を下回ると、金属溶湯の流動性
の低下の程度が大きくなり、所要の流動性を安定して確
保することが難しくなるからである。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施
の形態に係る金属部材の射出成形を行う射出成形機の概
略構成を示す部分断面説明図である。この図に示すよう
に、上記射出成形機1は、所謂スクリュー式のもので、
先端部にノズル3を有し外周に配置されたヒータ4で加
熱されるシリンダ2と、該シリンダ2及びそれに連接さ
れた成形機本体内5で回転可能に支持されたスクリュー
6と、例えばモータ機構および減速機構等を備えスクリ
ュー6を回転駆動する回転駆動装置7と、原料が投入さ
れ貯えられるホッパ8と、ホッパ8内の原料を計量して
成形機本体5内に送給するフィーダ9とを備えている。
また、上記成形機本体5内には、具体的には図示しなか
ったが、スクリュー6をノズル3側に前進させる高速射
出機構が設けられている。この高速射出機構は、所定の
タイミングでスクリュー6を前進させるとともに、該ス
クリュー6が予め設定された距離だけ後退するとそれを
検知してスクリュー6の回転を停止させ、同時にその後
退動作も停止させるように構成されている。
【0041】上記射出成形機1は、ノズル3の内部通路
と成形キャビティ11に繋がるランナ部12とが連通す
るように位置設定された上で、シリンダ2の先端側を金
型10に結合して用いられる。上記ホッパ8に投入され
てその内部に貯えられた原料は、フィーダ9で所定量が
計量されて成形機本体5内に供給され、スクリュー6の
回転によって加熱状態のシリンダ2内に送給される。送
給された原料は、このシリンダ2の内部でスクリュー6
の回転により十分に攪拌・混錬されながら所定温度に加
熱される。本実施の形態では、かかるプロセスによって
原料の融点未満の半溶融状態の金属溶湯を得るようにし
【0042】このようにして得られた半溶融状態の金属
溶湯がスクリュー6の前方に押し出されるに連れて、そ
の圧力で該スクリュー6が後退して行く。尚、他の手法
として、スクリューを所望の速度で強制的に後退させる
ようにしても良い。スクリュー6が予め設定された距離
だけ後退すると、成形機本体5内の上記高速射出機構
(不図示)がそれを検知してスクリュー6の回転を停止
させ、同時にその後退動作も停止させる。尚、原料の計
量を、スクリュー6の後退距離を設定することによって
行うようにしても良い。
【0043】そして、回転が停止し後退位置にあるスク
リュー6を、高速射出機構(不図示)によって前進させ
所定の力で押し出すことより、ノズル3から金型10内
に半溶融状態の金属溶湯が射出される。つまり、ノズル
3からランナ部12を介して成形キャビティ11内に金
属溶湯が射出充填されるようになっている。本実施の形
態では、原料として軽金属の一種であるマグネシウム
(Мg)合金を用い、これを例えば切り粉状のペレット
の形態で射出成形機1のホッパ8に供給するようにし
た。上記ホッパ8から成形機本体5内に通じる通路に
は、より好ましくは不活性ガス(例えばアルゴンガス)
が充填され、原料(Mg合金ペレット)の酸化反応の防
止が図られている。
【0044】また、本実施の形態では、半溶融射出成形
法により金属部材を成形するに際して、型温を過度に上
げることなく好適な射出成形条件下で所要の溶湯流動性
を確実に得ることができるようにするため、また、成形
品中へのコールドプラグ及び/又は高固相部分の混入を
より効果的に防止できるようにするため、更には、厚肉
部での引け巣の発生を有効に防止できるようにするた
め、また、成形キャビティ内に金属溶湯をできるだけ均
一に充填できるようにするために、種々の試験を行っ
た。これらの試験は、下記表1に示す2種類のMg合金
(合金Aおよび合金B)を原料に用いて行った。
【0045】
【表1】
【0046】<試験1>まず、半溶融状態の金属溶湯の
流動性を調べるために行った試験1について説明する。
図2および図3は、半溶融射出成形における金属溶湯の
流動長を調べるための試験装置の一部である試験用金型
内の成形キャビティを模式的に示した説明図である。こ
の図に示すように、本試験に用いた成形キャビティ21
は、所定の断面形状(厚さ3ミリメートル(mm)で幅
が20ミリメートル(mm)の矩形の断面形状:図3参
照)の通路を、所定ピッチLpでU字状に幾重にも折り
返して形成されており、このU字部分の最大幅Lwが3
00ミリメートル(mm)に設定されている。従って、
この成形キャビティ21内に金属溶湯を射出し、その溶
湯がキャビティ入口部21aから少なくともU字形の最
初のカーブの頂点21pまで達すると、得られた成形品
については、その投影図に外接する円23の直径が最大
値Daになるように投影したときの当該最大値Daが3
00[mm](ミリメートル)以上のもの、つまり、本
願で言う「大型の成形品」となる。
【0047】上記キャビティ入口部21aの直ぐ近傍の
金型部位には、所謂、プラグキャッチャ22が設けられ
ている。このプラグキャッチャ22は、後でも詳しく説
明するように、金型の射出ノズルに対向する部位に設け
られる凹状部であり、射出ノズルから金型内に金属溶湯
を射出する際に、主として射出ノズルの先端側に存在す
る所謂コールドプラグ及び/又は高固相部分を収納させ
るものである。かかるプラグキャチャ22を設けること
により、成形品に上記コールドプラグ及び/又は高固相
部分の混入による材料組織上の局部的な不均一が生じる
ことを防止することできる。
【0048】そして、上記プラグキャッチャ22に対向
する部位に射出ノズルをセットし、半溶融状態の金属溶
湯を射出することにより、金属溶湯はその流動性に応じ
た長さだけ通路状の成形キャビティ21を埋めることに
なる。従って、金属溶湯が凝固した後、成形キャビティ
21の金属が充填された部分の長さ(つまり、射出成形
された成形体の長さ)を比較することにより、射出され
た金属溶湯の流動性の良否を評価することができる。
【0049】本試験1では、半溶融状態の金属溶湯の固
相率だけでなく平均固相径をも考慮し、両者を組み合わ
せた指標(具体的には両者掛け合わせた「積」)と金属
溶湯の流動性(流動長)の関係を調べた。尚、この試験
中、金型温度は200℃に保持した。金型温度がこの程
度であれば、「バリ」が多くなり過ぎたり、あるいは金
型の型合わせ面から溶湯が漏れ易くなる、などの不具合
が生じる惧れはなく、また、溶湯の凝固に時間が掛かり
過ぎて成形サイクルタイムが過度に長くなることもな
い。
【0050】試験結果は図29のグラフに示す通りであ
り、合金Aおよび合金Bのいずれの材料についても、半
溶融状態の金属溶湯の固相率(Fs[%])と平均固相
径(ds[μm])の積(Fs×ds)と、当該金属溶湯の
流動長との間に高い相関関係があることがわかった。
尚、本試験において上記固相率(Fs[%])と平均固
相径(ds[μm])は、射出成形された成形体の凝固組
織を観察し計測して得られた数値である。また、いずれ
の材料についても、上記固相率(Fs[%])と平均固
相径(ds[μm])の積(Fs×ds)を横軸とし流動長
を縦軸としたグラフ(図29参照)では、いわゆる変極
点が現れ、上記積(Fs×ds)が一定以下(4000以
下)の場合は、比較的長い流動長(約1m以上の流動
長)を安定して確保できるが、上記積(Fs×ds)が4
000を越えると、流動長の落ち込みが顕著となること
がわかった。尚、流動長が約1m以上あれば、本願で言
う「大型の成形品」を成形する場合でも、ある程度のサ
イズのものであれば、支障無く健全な成形品を得ること
ができる。また、前述の固相率のみと流動長との関係
(図31参照)を調べる試験は、試料合金Bを用いて型
温が200℃の条件で、本試験1と同様の試験装置によ
って行ったものである。
【0051】以上より、半溶融状態の金属溶湯の固相率
Fsだけでなく平均固相径Fdをも考慮し、両者を組み
合わせた指標とする(具体的には両者掛け合わせた「積
(Fs×Fd)」を指標とする)ことにより、この指標
と金属溶湯の流動性(流動長)との間に高い相関関係が
得られることが判った。そして、この指標(Fs×F
d)を用いて好適な条件範囲を設定することにより、型
温を過度に上げることなく好適な射出成形条件下で、所
要の溶湯流動性を確実に得ることが可能になる。すなわ
ち、上記固相率Fsと平均固相径dsの積(Fs×ds)が
4000以下となるように設定して射出成形を行うこと
により、所要の流動性(流動長が約1m以上)を安定し
て確保することができる。尚、流動長が約1m以上あれ
ば、本願で言う「大型の成形品」を成形する場合でも、
ある程度のサイズのものであれば、支障無く健全な成形
品を得ることができるのである。
【0052】半溶融状態の金属溶湯の固相率Fsと平均
固相径dsの積(Fs×ds)が、所定値以下(本試験に
よれば4000以下)となるような設定は、例えば、次
のようにして行う。すなわち、ある材料について、ある
射出成形装置を用いて、成形機のシリンダ温度や成形型
の温度(型温)などの温度条件および射出圧力や射出速
度等の射出条件などを種々変更調節して射出成形を行
い、それぞれの射出成形で得られた成形品の凝固組織を
観察し、固相率Fsと平均固相径dsの積(Fs×ds)を
計測してデータを収集する。そして、このデータに基づ
いて、固相率Fsと平均固相径dsの積(Fs×ds)が所
定値以下となるような温度条件および射出条件などを選
定すれば良い。これにより、当該材料について当該射出
成形装置を用いて射出成形を行う場合の条件設定を行う
ことができる。尚、材料および/または射出成形装置が
異なる場合には、改めてデータを収集して条件設定を行
えば良い。
【0053】<試験2>次に、成形品中へのコールドプ
ラグ及び/又は高固相部分の混入に対する所謂プラグキ
ャッチャの深さと直径の関係を調べるために行った試験
2について説明する。図4および図5は、上記射出成形
機1を用いて射出成形された成形ワークKwに所謂「だ
肉」が付いたままの物、すなわち、板状の成形ワークK
wに、図7に示す金型Jのランナ部Jrに対応するラン
ナ対応部分Kr,ゲート部(不図示)に対応するゲート
対応部分Kg及びプラグキャッチャJpに対応するプラ
グキャッチャ対応部分Kpが連結されたままの成形体K
を示す説明図である。また、図6は、射出成形機1のシ
リンダ2の先端部に設けられたノズル3を拡大して示す
断面説明図である。
【0054】1ショットの射出が終るとノズル3の内部
通路3Hには半溶融状態の金属溶湯が残存するが、この
残存した金属溶湯は時間経過とともに冷やされ、この図
6から良く分かるように、次サイクル(次ショット)ま
でにその一部が凝固(凝固部:所謂コールドプラグМ
p)もしくは固相率が高い高固相部Мsとなる。この冷
却は、通常、温度が低いノズル先端側から起こるので、
ノズル3の内部通路3H内には、先端側から順に、凝固
部Мp(コールドプラグ),高固相部Мsが並び、その
後に、通常の固相率の半溶融状態の金属溶湯Мmが続く
ことになる。
【0055】本試験では、次サイクルの射出時に、コー
ルドプラグМp及び/又は高固相部Мsが含まれた状態
で金属溶湯の射出充填が行われることを効果的に防止で
きるように、プラグキャッチャJpの深さhの直径φに
対する比(h/φ)の値を種々変えて射出成形を行い、
それぞれで得られた成形ワークKwについて、異なる部
位(図4および図5における固相率測定部位W1,W
2)における固相率を調べて比較した。
【0056】試験結果は図30のグラフに示す通りであ
り、ランナ部Jrにほぼ連接された固相率測定部W1で
は、上記比(h/φ)の値が低くても(h/φ=0.2
程度以下でも)固相率は十分に低く(約5%程度)かつ
一定に保たれるが、ランナ部Jrから最も遠い固相率測
定部W2では、上記比(h/φ)の値が低ければ(h/
φ=0.2程度以下では)固相率が非常に高く(約25
%以上)、しかも、上記比(h/φ)の値の若干の変化
で固相率が大きく変化している。そして、この比(h/
φ)の値が0.5以上になると、ランナ部Jrから最も
遠い固相率測定部W2でも、固相率が十分に低く(約5
%程度)かつ比(h/φ)の値の変化に対して一定にな
る。
【0057】これは、プラグキャッチャJpの深さhの
直径φに対する比(h/φ)の値を0.5以上とするこ
とにより、射出成形時、前回ショットでノズル3の内部
通路3Hに残留した金属溶湯が時間経過とともに冷却さ
れることによって生じたコールドプラグМpと、より好
ましくは、これに加えて高固相部Мsとが、図7におい
て破線で示されるように、プラグキャッチャJp内に確
実に捕捉されて収納されることにより、成形ワークKw
内への混入が有効に防止されるためであると考えられ
る。
【0058】以上より、プラグキャッチャJpの深さh
の直径φに対する比(h/φ)の値を0.5以上とする
ことにより、コールドプラグМp及び/又は高固相部分
МsをプラグキャッチャJpで有効に捕捉し収納するこ
とができ、これらの混入によって成形品中に固相率が他
に比べて特に高い材料組織上の不均一部分が生じること
を防止できることが確認できた。
【0059】<試験3>次に、厚肉部での引け巣の発生
を有効に防止する方法、及び射出ノズルから成形キャビ
ティ内に至る金属溶湯の射出経路を工夫することによっ
て溶湯をできるだけ均一に充填できるようにする方法に
関する試験3について説明する。まず、図8〜図10
は、上記射出成形機1及び図11に示す第1金型R1
(金型R1a+金型R1b)を用いて射出成形された第
1成形ワークSw1に所謂「だ肉」が付いたままの物、
すなわち、断面凹状の所定厚さ(厚さ5mm)の第1成
形ワークSw1に、第1金型R(金型R1a+金型R1
b)で形成されたキャビティQ1の3本に分岐したラン
ナ部Qr1に対応するランナ対応部分Sr1,ゲート部
Qg1に対応するゲート対応部分Sg1及びプラグキャ
ッチャQp1に対応するプラグキャッチャ対応部分Sp
1が連結されたままの第1成形体S1を示す説明図であ
る。図8がその縦断面、図9が正面、また、図10がそ
の背面をそれぞれ示している。尚、各図において寸法を
表す数字の単位はミリメートル([mm])である。
【0060】上記第1成形ワークSw1は、例えば座席
シートのフレーム体であり、正面視で縦が300[m
m]横が400[mm]の長方形状をなしており、本願
で言う「大型の成形品」に該当する。このような大型の
成形品を射出成形する場合、間口(通路面積)の狭いゲ
ート部Qg1を介して各ランナ部Qr1と成形キャビテ
ィQw1とを連結することにより、該成形キャビティQ
w1に充填される溶湯の流動速度を高めることができ、
これにより、成形キャビティQw1の容積がある程度以
上大きい場合であっても、その内部に均一に溶湯を充填
する上で有利となる。
【0061】上記第1成形ワークSw1は、その背面の
一部に、周囲の部分(厚さ5mm)よりも肉厚が大きい厚
肉部St1(厚さ10mm)が設けられている。そして、
上記第1金型R1には、成形キャビティQw1の上記厚
肉部St1に対応する部位に部分加圧用の加圧ピンPn
が配置され、該加圧ピンPnは、金型R1の外部に配置
されたシリンダ装置Cyによって進退動させられるよう
になっている。尚、このシリンダ装置Cyは、射出成形
機1の制御ユニット(不図示)に電気的に接続され、該制
御ユニットからの制御信号に応じて、所定のタイミング
で加圧ピンPnを進退動させるようになっている。
【0062】上記加圧ピンPnは、成形キャビティQw
1内に金属溶湯が射出充填された後、上記厚肉部St1
が凝固を開始してから終了するまでの間に、該厚肉部S
t1を所定の圧力で部分的に押圧することにより、厚肉
部St1内での凝固に伴なう引け巣の発生を防止するも
のである。本試験では、上記第1成形ワークSw2につ
いて、図10において斜線ハッチングで示す4箇所P1
〜P4の密度を測定した。このうち、測定部位P2は成
形ワークSw1の上記肉厚部St1に対応する部位であ
り、上記加圧ピンPnを作動させて部分加圧を行った場
合と行わなかった場合とについて、当該肉厚部St1の
密度を比較して引け巣防止の効果を調べた。測定結果
は、表2に示す通りであった(表2:「容積部”無し”
(第1金型)」の欄参照)。
【0063】
【表2】
【0064】また、図12〜図14は、上記射出成形機
1及び図15に示す第2金型R2(金型R2a+金型R
2b)を用いて射出成形された第2成形ワークSw2に
所謂「だ肉」が付いたままの第2成形体S2を示す説明
図である。図12がその縦断面、図13が正面、また、
図14がその背面をそれぞれ示している。尚、各図にお
いて寸法を表す数字の単位はミリメートル([mm])
である。上記第2成形ワークSw2は、上記第1成形ワ
ークSw1と同じく、例えば座席シートのフレーム体で
あり、正面視で縦が300[mm]横が400[mm]
の長方形状をなしており、本願で言う「大型の成形品」
に該当する。
【0065】図15に示されるように、互いに対をなす
金型R2aと金型R2bとを衝合させて形成された上記
第2金型R2のキャビティQ2は、第2成形ワークSw
2に対応する成形キャビティQw2と、該成形キャビテ
ィQw2内に開口し上記射出ノズル3から射出された金
属溶湯を成形キャビティQw2内に流入させる複数のゲ
ート部Qg2と、各ゲート部Qg2と上記射出ノズル3
の間に設けられた所定容積の容積部Qv2とを備えてい
る。該容積部Qv2は、金属溶湯射出時の溶湯の流れ方
向を基準として、その上流側が第1ランナ部Qra2を
介して上記射出ノズル3の内部通路3Hに繋がってい
る。一方、上記容積部Qv2の下流側は、各第2ランナ
部Qrb2を介して各ゲート部Qg2に並列に連通して
いる。
【0066】このように、複数のゲート部Qg2と射出
ノズル3の間に、下流側が各ゲート部Qg2に並列に連
通し上流側が上記射出ノズル3に繋がる所定容積の容積
部Qv2が設けられているので、各ゲート部Qg2の上
流側の通路容積を非常に大きく確保でき、金属溶湯を一
旦この容積部Qv2に溜めた上で各ゲート部Qg2から
成形キャビティQw2内に充填することが可能になる。
これにより、比較的層流に近い状態を維持しながら金属
溶湯を成形キャビティQw2内に射出・充填しガス欠陥
を少なくすることが期待できる。
【0067】また、通路面積が絞られたランナ部(第1
ランナ部Qra2+第2ランナ部Qrb2)の長さを容
積部Qw2の通路長さに相当するだけ短くすることがで
き、射出ノズル3から成形キャビティQw2に至る経路
での金属溶湯の温度低下(つまり、流動性の低下)を抑
制でき、充填性の向上を期待することができる。すなわ
ち、射出ノズル3から成形キャビティQw2に至る射出
経路に上記容積部Qv2を設けることにより、金属溶湯
を成形キャビティQw2内により均一に充填し、密度の
高い金属部材を安定して得ることが可能になる。
【0068】上記容積部Qv2は、図16に詳しく示す
ように、その上流側部分に金属溶湯が流入する(つま
り、第1ランナ部Qra2に接続される)溶湯流入部Q
iを備えるとともに、その下流側部分に各ゲート部Qg
2に向かって金属溶湯をそれぞれ排出する(つまり、第
2ランナ部Qrb2にそれぞれ接続される)複数の溶湯
排出部Qdを備えている。そして、より好ましくは、各
溶湯排出部Qdは、上記溶湯流入部Qiに対向する下流
側部位Pqdから離間した位置に設定されている。すな
わち、溶湯流入部Qiに最も近い中央の溶湯排出部Qd
でも、溶湯流入部Qiに対向する下流側部位Pqdから
距離Ldだけ離間している。
【0069】このように、容積部Qv2の下流側部分に
設けられた各溶湯排出部Qdは、上流側部分に設けた溶
湯流入部Qiに対向する下流側部位から離間した位置に
設定されているので、容積部Qv2が金属溶湯で略満た
される前に、上記溶湯流入部Qiから流入した金属溶湯
が直接的に溶湯排出部Qdから成形キャビティQw2内
に供給されて、充填が不均一になることを防止できる。
【0070】また、第2成形ワークSw2には、上記第
1成形ワークSw1と同じく、その背面の一部に、周囲
の部分(厚さ5mm)よりも肉厚が大きい厚肉部St2
(厚さ10mm)が設けられている。尚、第2金型R2に
は、成形キャビティQw2の上記厚肉部St2に対応す
る部位を部分加圧するために、第1金型R1におけるも
のと同様の部分加圧用の加圧ピンPn及びシリンダ装置
Cyが設けられている。
【0071】上記容積部Qv2は、例えば、上記厚肉部
St2に対応する部分と略同程度の厚さを有している。
つまり、容積部Qv2の厚さは、上記成形キャビティQ
w2の平均厚さよりも大きく設定されている。このよう
に、上記容積部Qv2の厚さは成形キャビティQv2の
平均厚さよりも大きく設定されているので、容積部Qv
2内の金属溶湯が早期に流動性が低下することによる充
填不良の防止を図ることができるのである。
【0072】更に、上記第2金型R2には、上記容積部
を所定温度に加熱する加熱手段として、図17から良く
分かるように、加熱ヒータHTvが設けられている。該
加熱ヒータHTvは、第1ランナ部Qra2及び容積部
Qvとの干渉を回避するために、例えば、左右に対をな
して上下2本ずつ配置され、金型R2の外部に設置され
た電源およびコントローラ(共に不図示)に接続されて
いおり、上記容積部を200〜400℃の範囲内の所定
温度に加熱するように制御される。このように、上記容
積部を200〜400℃の範囲内の温度に加熱すること
により、容積部Qv2内の金属溶湯の温度低下(つま
り、流動性の低下)を防止し、成形キャビティQw2内
への充填をより均一なものとすることができるのであ
る。
【0073】上記第2金型R2のキャビティQ2内にノ
ズル3から金属溶湯を射出・充填することにより、図1
2〜図14に示されるように、第2成形ワークSw2
に、第1ランナ部Qra2に対応する第1ランナ対応部
分Sra2,プラグキャッチャQp2に対応するプラグ
キャッチャ対応部分Sp2,容積部Qv2に対応する容
積部対応部分Sv2,第2ランナ部Qrb2に対応する
第2ランナ対応部分Srb2及びゲート部Qg2に対応
するゲート対応部分Sg2が連結されたままの第2成形
体S2が得られる。すなわち、この第2成形体S2は、
ランナ対応部分(第1ランナ対応部分Sra2+第2ラ
ンナ対応部分Srb2)の途中部に容積部対応部分Sv
2が設けられている点において、前述の第1成形体S1
と異なっている。
【0074】上記第2成形ワークSw2についても、図
14において斜線ハッチングで示す4箇所P1〜P4の
密度を測定した。これら4箇所の測定部位P1〜P4
は、図10に示した第1成形ワークSw1についての測
定部位P1〜P4に対応している。従って、各測定部位
ごとに、第1,第2の成形ワークSw1,Sw2の密度
をそれぞれ比較することにより、容積部Qv2を設けた
ことによる充填性向上の効果を調べることができる。
尚、上記4箇所の測定部位P1〜P4のうち、測定部位
P2は成形ワークSw2の上記肉厚部St2に対応する
部位であり、上記加圧ピンPnを作動させて分加圧を行
った場合と行わなかった場合とについて、当該肉厚部S
t2の密度を比較して引け巣防止の効果を調べた。測定
結果は、表2に示す通りであった。
【0075】表2から良く分かるように、部分加圧を行
わない場合(「部分加圧”無し”」の場合)には、P2
点の密度は他の3点の密度に比べて低く、やはり厚肉部
St1及びSt2では引け巣が発生し易いことが確認さ
れた。そして、この厚肉部St1及びSt2(測定部位
P2点)に対して部分加圧を行うことにより(「部分加
圧”有り”」の場合)、合金Aおよび合金Bのいずれの
材料についても、また、第1金型R1および第2金型R
2のいずれの金型方案においても(つまり、容積部Qv
2の有無に拘わらず)、厚肉部St1及びSt2の密度
が大幅に高められ、上記加圧ピンPnによる部分加圧が
厚肉部St1及びSt2での引け巣発生の防止に極めて
有効であることが確認された。
【0076】このように、金属溶湯を成形キャビティQ
w1,Qw2内に射出充填した後、金属溶湯の凝固前
に、厚肉成形部を部分的に加圧することにより、通常、
凝固時に「引け」が発生し易い厚肉部St1,St2に
ついて、引け巣による欠陥発生を有効に防止できるので
ある。
【0077】また、「容積部”無し”(第1金型)」の
欄と「容積部”有り”(第2金型)」で「容積部加熱”
無し”」の欄とを比較することにより、合金Aおよび合
金Bのいずれの材料についても、容積部を設けた場合に
は、これが無い場合に比べて、各測定部位(P2〜P
4)の密度が大幅に高くなることが確認された。尚、測
定部位P1は、成形キャビティQw1,Qw2のゲート
部Qg1,Qg2に隣接した部分に対応した箇所で、成
形ワークSw1,Sw2の中で最も十分に充填されて密
度が高い(密度≒1)部位であるので、容積部の有無に
よる密度の差は余り無い。
【0078】このように、複数のゲート部Qg2と射出
ノズル3の間に上記容積部Qv2を設けたことにより、
各ゲート部Qg2の上流側の通路面積を非常に大きく確
保でき、比較的層流に近い状態を維持しながら金属溶湯
を成形キャビティQw2内に射出・充填しガス欠陥を少
なくすることが可能になり、また、通路面積が絞られた
ランナ部(第1ランナ部Qra2+第2ランナ部Qrb
2)の長さを容積部Qw2の通路長さに相当するだけ短
くすることができ、射出ノズル3から成形キャビティQ
w2に至る経路での金属溶湯の温度低下(つまり、流動
性の低下)が抑制され、充填性が向上する。すなわち、
射出ノズル3から成形キャビティQw2に至る射出経路
に上記容積部Qv2を設けることにより、金属溶湯を成
形キャビティQw2内により均一に充填し、密度の高い
金属部材を安定して得られることが確認できた。
【0079】更に、「容積部”有り”(第2金型)」の
場合について、「容積部加熱”無し”」の欄と「容積部
加熱”有り”」の欄とを比較することにより、容積部を
加熱した場合には、各測定部位(P2〜P4)の密度が
高くなることが確認された。尚、ここに、「容積部加
熱”無し”」とは、容積部Qv2が通常の型温(約20
0℃)に保持された場合であり、「容積部加熱”有
り”」とは、上記加熱ヒータHTvによって容積部Qv
2を200〜400℃の範囲内で所定温度(例えば、約
300℃)に保持した場合である。
【0080】このように、上記容積部Qv2を加熱ヒー
タHTvによって型温(約200℃)以上で400℃以
下の範囲内の温度に加熱することにより、容積部Qv2
内の金属溶湯の温度低下(つまり、流動性の低下)が防
止され、成形キャビティQw2内への充填をより均一な
ものとすることができることが確認された。
【0081】また、図18〜図19は、本実施の形態に
係る第3成形ワークSw3に所謂「だ肉」が付いたまま
の第3成形体S3を示す説明図である。図18がその縦
断面、図19が正面をそれぞれ示している。尚、各図に
おいて寸法を表す数字の単位はミリメートル([m
m])である。この第3成形ワークSw3は、上記第1
および第2成形ワークSw1及びSw2と同じく、例え
ば座席シートのフレーム体であり、正面視で縦が300
[mm]横が400[mm]の長方形状をなしており、
本願で言う「大型の成形品」に該当する。
【0082】この第3成形体S3は、前述の第2成形体
S2に類似しており、第3成形ワークSw3に、第1ラ
ンナ対応部分Sra3,プラグキャッチャ対応部分Sp
3,容積部対応部分Sv3及びゲート対応部分Sg3が
連結されている。すなわち、この第3成形体S3は、第
2成形体S2のように容積部対応部分Sv2とゲート対
応部分Sg2との間に第2ランナ対応部分Srb2が設
けられておらず、容積部対応部分Sv3とゲート対応部
分Sg3とが直接に繋がっている点において、前述の第
2成形ワークSw2と異なっている。
【0083】このように、各ゲート部が上記容積部の下
流側部分に直接に連通することにより、ランナ部の長さ
をより短く設定することができ、金属溶湯の流動性の低
下をより抑制して充填性を一層高め、金属溶湯を成形キ
ャビティ内により均一に充填することができるのであ
る。
【0084】<試験4>次に、内側に開口部を有する成
形品を射出成形するに際して、ゲート部を工夫すること
によって、成形キャビティ内に金属溶湯をできるだけ均
一に充填できるようにする方法に関する試験4について
説明する。図20および図21は、上記射出成形機1及
び図22に示す第3金型R3(金型R3a+金型R3
b)を用いて射出成形された第4成形ワークSw4に所
謂「だ肉」が付いたままの第4成形体S4を示す説明図
である。図20がその縦断面、また図21が正面をそれ
ぞれ示している。尚、各図において寸法を表す数字の単
位はミリメートル([mm])である。
【0085】上記第4成形ワークSw4は、円筒部4c
と底板部4bとを備え、縦断面の全体形状は略凹状であ
る。また、上記底板部4bの中央部分には開口部4aが
設けられている。すなわち、第4成形ワークSw4は、
その内側に開口部4aを有している。尚、この第4成形
ワークSw4は、正面視で外径300[mm]の円形環
状をなしており、本願で言う「大型の成形品」に該当す
る。
【0086】図22に示されるように、互いに対をなす
金型R3aと金型R3bとを衝合させて形成された上記
第3金型R3のキャビティQ3は、第4成形ワークSw
4に対応する成形キャビティQw3と、射出ノズル3の
内部通路3Hに繋がるランナ部Qr3と、金属溶湯射出
時の溶湯の流れ方向を基準として、該ランナ部Qr3の
下流側に位置して成形キャビティQw3内に開口し上記
射出ノズル3から射出された金属溶湯を成形キャビティ
Qw3内に流入させるゲート部Qg3とを備えている。
上記射出ノズル3は、キャビティQ3の略中央に対向す
る位置に配設されている。つまり、ノズル3の射出位置
は、第4成形ワークSw4の開口部4aに対応する部位
に設定されている。そして、この射出位置から周囲の成
形キャビティQw3に向けて広がる略環状のゲート部Q
g3が設けられている。
【0087】このように、上記射出ノズル3からの射出
位置が成形ワークSw4の開口部4aに対応する部位に
設定され、上記射出位置から周囲の成形キャビティQw
3に向けて広がる略環状のゲート部Qg3が設けられて
いることにより、成形キャビティQw3内に金属溶湯を
より均一に充填することができ、密度の高い金属部材Q
w4を安定して得ることが可能になる。
【0088】上記第3金型R3のキャビティQ3内にノ
ズル3から金属溶湯を射出・充填することにより、図2
0および図21に示されるように、第4成形ワークSw
4に、ランナ部Qr4に対応するランナ対応部分Sr
4,プラグキャッチャQp4に対応するプラグキャッチ
ャ対応部分Sp4及び環状のゲート部Qg4に対応する
ゲート対応部分Sg4が連結されたままの第4成形体S
4が得られる。
【0089】また、図23および図24は、上記第4成
形ワークSw4に対する比較例としての第5成形ワーク
Sw5に「だ肉」が付いたままの第5成形体S5を示す
説明図である。図23がその縦断面、また、図24が正
面をそれぞれ示している。尚、各図において寸法を表す
数字の単位はミリメートル([mm])である。上記第
5成形ワークSw5は、円筒部5cと底板部5bとを備
え、縦断面の全体形状は略凹状である。また、上記底板
部5bの中央部分には開口部5aが設けられている。す
なわち、第5成形ワークSw5は、上記第4成形ワーク
Sw4と同じく、その内側に開口部5aを有している。
【0090】上記第5成形体S5は、その成形用金型は
具体的には示さなかったが、第5成形ワークSw5に、
金型のランナ部に対応するランナ対応部分Sr5,プラ
グキャッチャに対応するプラグキャッチャ対応部分Sp
5及びゲート部に対応するゲート対応部分Sg5が連結
されて構成されている。尚、この第5成形ワークSw5
も、正面視で外径300[mm]の円形環状をなしてお
り、本願で言う「大型の成形品」に該当する。
【0091】この比較例に係る第5成形体S5では、ラ
ンナ対応部分Sr5と成形ワークSw5との間に、放射
リブ状に配置された複数(4本)のゲート対応部分Sg
5が設けられている。すなわち、この第5成形体S5
は、ゲート対応部分Sg5が、環状に広がるものではな
く放射リブ状に配置された複数(4本)のものである点
において、前述の第4成形体S4と異なっている。
【0092】上記第5成形ワークSw5についても、図
24において斜線ハッチングで示す3箇所Pm1〜Pm
3の密度を測定した。これら3箇所の測定部位Pm1〜
Pm3は、図21に示した第4成形ワークSw4につい
ての測定部位Pm1〜Pm3に対応している。従って、
各測定部位ごとに、第4,第5の成形ワークSw4,S
w5の密度をそれぞれ比較することにより、環状に広が
るゲート部Qg4を設けたことによる充填性向上の効果
を調べることができる。測定結果は、表3に示す通りで
あった。
【0093】
【表3】
【0094】表3から良く分かるように、環状ゲート
(第4成形ワークSw4)の場合には、放射リブ状ゲー
ト(第5成形ワークSw5)で非常に密度の低いPm2
点について、その密度が極めて高くなる(密度≒1とな
る)。また、測定部位Pm3についても、その密度が大
幅に高められることが確認された。この結果は、合金A
および合金Bのいずれの材料についても同様であった。
すなわち、成形キャビティQw4内に金属溶湯をより均
一に充填する上で、ランナ部から成形キャビティに至る
ゲート部を環状に広がるものとすることが、極めて有効
であることが確認された。
【0095】また、上述のように環状のゲート部を設け
た場合において、試験3で述べたような、厚肉部への部
分加圧、射出経路への容積部の設置および該容積部の加
熱を行うことにより、成形キャビティ内に金属溶湯をよ
り一層均一に充填できるようにすることが可能である。
図25および図26は、図27および図28に示す第4
金型R4(金型R4a+金型R4b)を用いて射出成形
された第6成形ワークSw6に所謂「だ肉」が付いたま
まの第6成形体S6を示す説明図である。図25がその
背面を、また、図26がその縦断面をそれぞれ示してい
る。尚、各図において寸法を表す数字の単位はミリメー
トル([mm])である。上記第6成形ワークSw6
は、背面視で外径が300[mm]の円形環状をなして
おり、本願で言う「大型の成形品」に該当する。
【0096】図27に示されるように、互いに対をなす
金型R4aと金型R4bとを衝合させて形成された上記
第4金型R4のキャビティQ4は、第6成形ワークSw
6に対応する成形キャビティQw4と、該成形キャビテ
ィQw4内に開口し上記射出ノズル3(図27において
は不図示)から射出された金属溶湯を成形キャビティQ
w4内に流入させる複数のゲート部Qg4と、各ゲート
部Qg4と上記射出ノズル3の間に設けられた所定容積
の容積部Qv4とを備えている。
【0097】該容積部Qv4は、試験3で説明したもの
と同様の作用をなすもので、金属溶湯射出時の溶湯の流
れ方向を基準として、その上流側がランナ部Qr4を介
して上記射出ノズル3の内部通路3Hに繋がっている。
一方、上記容積部Qv4の下流側は、ノズル3の射出位
置から周囲の成形キャビティQw4に向けて広がる環状
のゲート部Qg4に連通している。このように、射出ノ
ズル3から成形キャビティQw4に至る射出経路に上記
容積部Qv4を設けることにより、金属溶湯を成形キャ
ビティQw4内により均一に充填し、密度の高い金属部
材を安定して得ることが可能になる。
【0098】上記第4金型R4のキャビティQ4内にノ
ズル3から金属溶湯を射出・充填することにより、図2
5及び図26に示されるように、第6成形ワークSw6
に、ランナ部Qr4に対応するランナ対応部分Sr6,
プラグキャッチャQp4に対応するプラグキャッチャ対
応部分Sp6,容積部Qv4に対応する容積部対応部分
Sv6及びゲート部Qg4に対応するゲート対応部分S
g6が連結されたままの第2成形体S6が得られる。
【0099】また、第6成形ワークSw6には、その背
面の一部に、周囲の部分(厚さ5mm)よりも肉厚が大き
い厚肉部St6(例えば、厚さ10mm)が設けられてい
る。第4金型R4には、成形キャビティQw4の上記厚
肉部St6に対応する部位を部分加圧するために、第1
金型R1及び第2金型R2におけるものと同様の部分加
圧用の加圧ピンPn及びシリンダ装置Cyが設けられて
いる。上記容積部Qv4は、より好ましくは、上記厚肉
部St6に対応する部分と略同程度の厚さを有し、上記
成形キャビティQw4の平均厚さよりも厚く設定されて
おり、容積部Qv4内の金属溶湯の流動性が早期に低下
することによる充填不良の防止が図られている。
【0100】また、上記第4金型R4には、上記容積部
Qv4を、200〜400℃の範囲内で金型R4の通常
の型温よりも高い所定温度に加熱する加熱手段として、
加熱ヒータHTvが設けられている。該加熱ヒータHT
vは、図27にも示すように、ランナ部Qr4との干渉
を回避するために、例えば、上下に対をなして配置され
ている。このように、上記容積部Qv4を加熱ヒータH
Tv4によって型温(約200℃)以上で400℃以下
の範囲内の温度に加熱することにより、容積部Qv4内
の金属溶湯の温度低下(つまり、流動性の低下)が防止
され、成形キャビティQw4内への充填をより均一なも
のとすることができる。
【0101】尚、以上の実施の形態は、主として「大型
の成形品」を射出成形する場合についてのものであった
が、本発明は、かかる「大型の成形品」に限らず、これ
よりも小さいサイズの成形品を射出成形する場合にも有
効に適用することができる。また、上記実施の形態は、
射出材料としてМg合金を用いた場合についてのもので
あったが、本発明は、他の種類の金属(特に軽金属)を
材料に用いる場合にも有効に適用することができる。こ
のように、本発明は、以上の実施態様に限定されるもの
ではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の
変更あるいは設計上の改良等が可能であることは言うま
でもない。
【0102】
【発明の効果】本願の第1の発明によれば、金属溶湯を
半溶融状態もしくは融点付近の溶融状態で成形キャビテ
ィ内に射出充填して内側に開口部を有する成形品(金属
部材)を得るに際して、上記射出ノズルからの射出位置
が上記成形品の開口部に対応する部位に設定され、上記
射出位置から周囲の成形キャビティに向けて広がる略環
状のゲート部が設けられているので、成形キャビティ内
に金属溶湯をより均一に充填することができ、密度の高
い金属部材を安定して得ることが可能になる。特に、ゲ
ート部と射出ノズルの間に、下流側がゲート部に連通し
上流側が上記射出ノズルに繋がる所定容積の容積部が設
けられているので、ゲート部の上流側の通路容積を非常
に大きく確保でき、金属溶湯を一旦この容積部に溜めた
上でゲート部から成形キャビティ内に充填することが可
能になる。これにより、比較的層流に近い状態を維持し
ながら金属溶湯を成形キャビティ内に射出・充填しガス
欠陥を少なくすることが期待できる。また、通路面積が
絞られたランナ部の長さを容積部の通路長さに相当する
だけ短くすることができ、射出ノズルから成形キャビテ
ィに至る経路での金属溶湯の温度低下(つまり、流動性
の低下)を抑制でき、充填性を向上させることができ
る。すなわち、射出ノズルから成形キャビティに至る射
出経路に上記容積部を設けることにより、金属溶湯を成
形キャビティ内により均一に充填し、密度の高い金属部
材をより安定して得ることが可能になる。
【0103】また、本願の第2の発明によれば、基本的
には、上記第1の発明と同様の効果を奏することができ
る。特に、上記容積部の厚さは上記成形キャビティの平
均厚さよりも大きく設定されているので、容積部内の金
属溶湯が早期に流動性が低下することによる充填不良の
防止を図ることができる。
【0104】更に、本願の第3の発明によれば、基本的
には、上記第1または第2の発明と同様の効果を奏する
ことができる。特に、金属溶湯として軽金属の溶湯が用
いられ、上記容積部を200〜400℃の範囲内の温度
に加熱する加熱手段を備えているので、容積部内の軽金
属溶湯の温度低下(つまり、流動性の低下)を防止し、
成形キャビティ内への充填をより均一なものとすること
ができる。
【0105】また、更に、本願の第4の発明によれば、
金属溶湯を半溶融状態もしくは融点付近の溶融状態で成
形キャビティ内に射出充填して内側に開口部を有する成
形品(金属部材)を得るに際して、上記射出ノズルから
の射出位置が上記成形品の開口部に対応する部位に設定
され、上記射出位置から周囲の成形キャビティに向けて
広がる略環状のゲート部が設けられているので、成形キ
ャビティ内に金属溶湯をより均一に充填することがで
き、密度の高い金属部材を安定して得ることが可能にな
る。特に、成形型の射出ノズルに対向する部位に所定の
直径φおよび深さhを有する凹部(プラグキャッチャ)
を設け、このプラグキャッチャの深さhの直径φに対す
る比(h/φ)の値を0.5以上としたので、コールド
プラグ及び/又は高固相部分をプラグキャッチャで有効
に捕捉し収納することができ、これらの混入によって成
形品中に固相率が他に比べて特に高い材料組織上の不均
一部分が生じることを防止できる。
【0106】また、更に、本願の第5の発明によれば、
特に、金属溶湯の温度が低く充填不良が生じ易い半溶融
射出成形において、上記第1〜第4の発明のいずれか一
と同様の効果を奏することができる。
【0107】また、更に、本願の第6の発明によれば、
基本的には、上記第1〜第5の発明のいずれか一と同様
の効果を奏することができる。特に、充填不良が生じ易
い「大型の成形品」、つまり、その投影図に外接する円
の直径Dが最大値Daになるように投影したときの当該
最大値Daが300[mm]以上の成形品について、成
形キャビティ内に金属溶湯を均一に射出充填し、健全な
成形品を得ることができる。
【0108】また、更に、本願の第7の発明によれば、
特に、軽金属の金属溶湯を用いて金属部材を半溶融射出
成形するに際して、上記第1,第2,第4の発明のいず
れか一と同様の効果を奏することができる。
【0109】また、更に、本願の第8の発明によれば、
基本的には、上記第1〜第7の発明のいずれか一と同様
の効果を奏することができる。特に、金属溶湯を成形キ
ャビティ内に射出充填した後、金属溶湯の凝固前に、厚
肉成形部を部分的に加圧できるので、通常、凝固時に
「引け」が発生し易い厚肉部について、引け巣による欠
陥発生を有効に防止できる。
【0110】また、本願の第9の発明によれば、金属溶
湯を半溶融状態もしくは融点付近の溶融状態で成形キャ
ビティ内に射出充填して内側に開口部を有する成形品
(金属部材)を得るに際して、上記射出ノズルからの射
出位置が上記成形品の開口部に対応する部位に設定さ
れ、上記射出位置から周囲の成形キャビティに向けて広
がる略環状のゲート部が設けられているので、成形キャ
ビティ内に金属溶湯をより均一に充填することができ、
密度の高い金属部材を安定して得ることが可能になる。
特に、ゲート部と射出ノズルの間に、下流側がゲート部
に連通し上流側が上記射出ノズルに繋がる所定容積の容
積部が設けられているので、ゲート部の上流側の通路容
積を非常に大きく確保でき、金属溶湯を一旦この容積部
に溜めた上でゲート部から成形キャビティ内に充填する
ことが可能になる。これにより、比較的層流に近い状態
を維持しながら金属溶湯を成形キャビティ内に射出・充
填しガス欠陥を少なくすることが期待できる。また、通
路面積が絞られたランナ部の長さを容積部の通路長さに
相当するだけ短くすることができ、射出ノズルから成形
キャビティに至る経路での金属溶湯の温度低下(つま
り、流動性の低下)を抑制でき、充填性を向上させるこ
とができる。すなわち、射出ノズルから成形キャビティ
に至る射出経路に上記容積部を設けることにより、金属
溶湯を成形キャビティ内により均一に充填し、密度の高
い金属部材をより安定して得ることが可能になる。
【0111】更に、本願の第10の発明によれば、基本
的には、上記第9の発明と同様の効果を奏することがで
きる。特に、金属溶湯として軽金属の溶湯が用いられ、
上記容積部を200〜400℃の範囲内の温度に加熱す
る加熱手段を備えているので、容積部内の軽金属溶湯の
温度低下(つまり、流動性の低下)を防止し、成形キャ
ビティ内への充填をより均一なものとすることができ
る。
【0112】また、更に、本願の第11の発明によれ
ば、特に、金属溶湯の温度が低く充填不良が生じ易い半
溶融射出成形において、上記第9または第10の発明と
同様の効果を奏することができる。
【0113】また、更に、本願の第12の発明によれ
ば、基本的には、上記第9〜第11の発明のいずれか一
と同様の効果を奏することができる。特に、充填不良が
生じ易い「大型の成形品」、つまり、その投影図に外接
する円の直径Dが最大値Daになるように投影したとき
の当該最大値Daが300[mm]以上の成形品につい
て、成形キャビティ内に金属溶湯を均一に射出充填し、
健全な成形品を得ることができる。
【0114】また、更に、本願の第13の発明によれ
ば、特に、軽金属の金属溶湯を用いて金属部材を半溶融
射出成形するに際して、上記第9の発明と同様の効果を
奏することができる。
【0115】
【0116】また、更に、本願の第14の発明によれ
ば、基本的には、上記第9〜第13の発明のいずれか一
と同様の効果を奏することができる。特に、半溶融射出
成形法により金属部材を成形するに際して、半溶融状態
の金属溶湯の固相率だけでなく平均固相径をも考慮し、
両者を組み合わせた指標とする(具体的には両者掛け合
わせた「積」を指標とする)ことにより、この指標と金
属溶湯の流動性(流動長)との間に高い相関関係を得る
ことができる。そして、この指標(固相率×平均固相
径)を用いて好適な条件範囲を設定することにより、型
温を過度に上げることなく好適な射出成形条件下で、所
要の溶湯流動性を確実に得ることが可能になる。すなわ
ち、上記固相率と平均固相径の積が4000以下となる
ように設定して射出成形を行うことにより、所要の流動
性を安定して確保することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る射出成形装置の概
略構成を示す部分断面説明図である。
【図2】 試験1の試験用金型の成形キャビティを模式
的に示す説明図である。
【図3】 図2のY3−Y3線に沿った断面説明図であ
る。
【図4】 試験2に係る成形体の正面説明図である。
【図5】 図4のY5−Y5線に沿った断面説明図であ
る。
【図6】 上記射出成形装置のノズルの先端部を拡大し
て示す縦断面説明図である。
【図7】 試験2に係る金型の要部とノズル先端部とを
示す縦断面説明図である。
【図8】 試験3に係る第1成形体の縦断面説明図であ
って図9のY8−Y8線に沿った断面説明図である。
【図9】 試験3に係る第1成形体の正面説明図であ
る。
【図10】 試験3に係る第1成形体の背面説明図であ
る。
【図11】 試験3に係る第1金型の縦断面説明図であ
る。
【図12】 試験3に係る第2成形体の縦断面説明図で
あって図13のY12−Y12線に沿った断面説明図で
ある。
【図13】 試験3に係る第2成形体の正面説明図であ
る。
【図14】 試験3に係る第2成形体の背面説明図であ
る。
【図15】 試験3に係る第2金型の縦断面説明図であ
る。
【図16】 上記第2金型の要部を拡大して示す縦断面
説明図である。
【図17】 上記第2金型の縦断面説明図であって図1
5のY17−Y17線に沿った断面説明図である。
【図18】 本実施の形態に係る第3成形体の縦断面説
明図であって図19のY18−Y18線に沿った断面説
明図である。
【図19】 上記第3成形体の正面説明図である。
【図20】 試験4に係る第4成形体の縦断面説明図で
あって図21のY20−Y20線に沿った断面説明図で
ある。
【図21】 試験4に係る第4成形体の正面説明図であ
る。
【図22】 試験4に係る第3金型の縦断面説明図であ
る。
【図23】 試験4の比較例に係る第5成形体の縦断面
説明図であって図24のY23−Y23線に沿った断面
説明図である。
【図24】 試験4の比較例に係る第5成形体の正面説
明図である。
【図25】 本実施の形態に係る第6成形体の背面説明
図である。
【図26】 上記第6成形体の縦断面説明図であって図
25のY26−Y26線に沿った断面説明図である。
【図27】 上記第6成形体用の第4金型の縦断面説明
図である。
【図28】 上記第4金型の横断面説明図であって図2
7のY28−Y28線に沿った断面説明図である。
【図29】 試験1の試験結果を現すもので固相率と平
均固相径の積と流動長との関係を示すグラフである。
【図30】 試験2の試験結果を現すものでプラグキャ
ッチャの深さの径に対する比と固相率との関係を示すグ
ラフである。
【図31】 従来の試験の試験結果を現すもので固相率
のみと流動長との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…射出成形機 3…射出ノズル 23…外接円 Cy…(加圧用)シリンダ装置 HTv,HTv4…加熱ヒータ Pn…加圧ピン Qg3,Qg4…環状のゲート部 Qp2,Qp3,Qp4…凹部(プラグキャッチャ) Qv2,Qv4…容積部 Qw2,Qw3,Qw4…成形キャビティ R2,R3,R4…金型 St1,St2,St6…厚肉部 Sw1,Sw2,Sw3,Sw4,Sw6…成形ワーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 17/00 B22D 17/22

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属溶湯を半溶融状態もしくは融点付近
    の溶融状態で射出ノズルから成形型の成形キャビティ内
    に射出充填して内側に開口部を有する成形品を得るよう
    にした金属部材の射出成形装置であって、 上記射出ノズルからの射出位置が上記成形品の開口部に
    対応する部位に設定され、上記射出位置から周囲の成形
    キャビティに向けて広がる略環状のゲート部が設けられ
    ており、上記ゲート部と上記射出ノズルの間に、下流側
    がゲート部に連通し上流側が射出ノズルに繋がる所定容
    積の容積部が設けられていることを特徴とする金属部材
    の射出成形装置。
  2. 【請求項2】 上記容積部の厚さは上記成形キャビティ
    の平均厚さよりも大きく設定されていることを特徴とす
    る請求項1記載の金属部材の射出成形装置。
  3. 【請求項3】 上記金属溶湯として軽金属の溶湯が用い
    られ、上記容積部を200〜400℃の範囲内の温度に
    加熱する加熱手段を備えていることを特徴とする請求項
    1または請求項2に記載の金属部材の射出成形装置。
  4. 【請求項4】 金属溶湯を半溶融状態もしくは融点付近
    の溶融状態で射出ノズルから成形型の成形キャビティ内
    に射出充填して内側に開口部を有する成形品を得るよう
    にした金属部材の射出成形装置であって、 上記射出ノズルからの射出位置が上記成形品の開口部に
    対応する部位に設定され、上記射出位置から周囲の成形
    キャビティに向けて広がる略環状のゲート部が設けられ
    ており、上記成形型の射出ノズルに対向する部位に所定
    の直径(φ)及び深さ(h)を有する凹部が形成され、
    この凹部の深さ(h)の直径(φ)に対する比(h/
    φ)が0.5以上となるように設定されていることを特
    徴とする金属部材の射出成形装置。
  5. 【請求項5】 上記金属溶湯を半溶融状態で上記射出ノ
    ズルから射出することを特徴とする請求項1〜請求項4
    のいずれか一に記載の金属部材の射出成形装置。
  6. 【請求項6】 上記成形品は、その投影図に外接する円
    の直径(D)が最大値(Da)になるように投影したと
    きの当該最大値(Da)が300[mm](ミリメート
    ル)以上のものであることを特徴とする請求項1〜請求
    項5のいずれか一に記載の金属部材の射出成形装置。
  7. 【請求項7】 上記金属溶湯として軽金属の溶湯を用い
    ることを特徴とする請求項1,請求項2,請求項4のい
    ずれか一に記載の金属部材の射出成形装置。
  8. 【請求項8】 上記成形品が周囲の部位よりも肉厚が大
    きい厚肉部を有するとともに、上記成形キャビティには
    上記厚肉部に対応する厚肉成形部が設けられており、上
    記金属溶湯を成形キャビティ内に射出充填した後、金属
    溶湯の凝固前に、上記厚肉成形部を部分的に加圧する加
    圧手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜請
    求項7のいずれか一に記載の金属部材の射出成形装置。
  9. 【請求項9】 金属溶湯を半溶融状態もしくは融点付近
    の溶融状態で射出ノズルから成形型の成形キャビティ内
    に射出充填して内側に開口部を有する成形品を得るよう
    にした金属部材の射出成形方法であって、 上記射出ノズルからの射出位置が上記成形品の開口部に
    対応する部位に設定され、上記射出位置から周囲の成形
    キャビティに向けて広がる略環状のゲート部が設けられ
    ており、上記ゲート部と上記射出ノズルの間に、下流側
    がゲート部に連通し上流側が射出ノズルに繋がる所定容
    積の容積部が設けられ、該容積部および上記環状のゲー
    ト部を介して上記成形キャビティ内に金属溶湯を供給充
    填することを特徴とする金属部材の射出成形方法。
  10. 【請求項10】 上記金属溶湯として軽金属の溶湯が用
    いられ、上記容積部は加熱手段により200〜400℃
    の範囲内の温度に加熱されることを特徴とする請求項9
    記載の金属部材の射出成形方法。
  11. 【請求項11】 上記金属溶湯を半溶融状態で上記射出
    ノズルから射出することを特徴とする請求項9または請
    求項10に記載の金属部材の射出成形方法。
  12. 【請求項12】 上記成形品は、その投影図に外接する
    円の直径(D)が最大値(Da)になるように投影した
    ときの当該最大値(Da)が300[mm](ミリメー
    トル)以上のものであることを特徴とする請求項9〜請
    求項11のいずれか一に記載の金属部材の射出成形方
    法。
  13. 【請求項13】 上記金属溶湯として軽金属の溶湯を用
    いることを特徴とする請求項9に記載の金属部材の射出
    成形方法。
  14. 【請求項14】 上記金属溶湯の固相率(Fs[%])
    と平均固相径(ds[μm])の積(Fs×ds)が400
    0以下となるように設定して射出成形を行うことを特徴
    とする請求項9〜請求項13のいずれか一に記載の金属
    部材の射出成形方法。
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