JP3368293B2 - 磁気センサ - Google Patents

磁気センサ

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JP3368293B2 JP16001593A JP16001593A JP3368293B2 JP 3368293 B2 JP3368293 B2 JP 3368293B2 JP 16001593 A JP16001593 A JP 16001593A JP 16001593 A JP16001593 A JP 16001593A JP 3368293 B2 JP3368293 B2 JP 3368293B2
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順司 伊藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気センサに関するもの
であり、特に、半導体技術を用いて形成された電界放出
カソードを用いて磁気センサを構成したものである。
【0002】
【従来の技術】従来磁気センサとしては、固体ホール素
子が知られている。固体ホール素子は半導体におけるホ
ール効果を利用した素子で、素子に電流と磁界とを加え
るとその積に比例した起電力を発生するものである。
【0003】ホール素子の原理図を図7に示す。この図
において、板状の半導体や金属のような導電性物質70
のZ軸に磁界Hガウスを加え、Y軸方向に電流Iアンペ
アを流すと、X軸方向の2つの側面に電位差VH が生じ
る。この電位差をホール起電力VH と呼んで、 VH =(RIH/d)×10-8[V] で表される。但し、dは導電性物質70の厚さ[c
m]、Rはホール係数と呼ばれるもので、導電性物質7
0の電気的性質に関係する定数である。
【0004】ホール起電力が発生するのは、Z軸方向に
加えられた磁界Hにより電流Iにローレンツ力が働いて
電流IがX軸方向に曲げられるためである。このホール
起電力VH は導電性物質70が金属の場合はきわめて小
さいが、半導体とした場合は磁界Hを1kガウス、電流
Iを0.1アンペアとした時に約数10mVのホール起
電力VH を得ることが出来る。このようなホール素子の
材料としては、一般にゲルマニウムやシリコンが用いら
れているが、InSbやInAsを用いることも出来
る。ホール係数の温度特性はゲルマニウムやシリコンの
方がよいが、比抵抗はInSb,InAsの方が小さ
い。
【0005】このようなホール素子はガウスメータや変
位変換器など各種のセンサとして用いられているが、そ
の使用最高温度はせいぜい摂氏100度前後である。ま
た、磁気センサとしては他に超電導量子干渉素子(SQ
UID)と呼ばれる素子がある。このSQUIDはジョ
セフソン効果を利用して磁場の強さを最小の単位(量
子)で測定できる電子素子であり、並列に接続したジョ
セフソン接合に流し得る直流電流を測定することによ
り、磁気センサとして地磁気の変化や心臓の動きによる
磁気の検出などの微量の磁気の測定をすることが出来
る。SQUIDは高感度であるが超電導素子を用いてい
るため、冷却装置などの設備が大型となると共に、その
取り扱いが難しく可搬型にはなりにくくその上高価であ
る。
【0006】
【発明の解決しようとする課題】ところで最近、磁気セ
ンサはロボットやマニュピレータのエンコーダ等に用い
られているが、この磁気センサの使用環境はセンサ部の
耐熱対策を行ってもモータの発熱のため摂氏100度を
越える環境となっているため、ホール素子を磁気センサ
として使用しようとしても、上述したようにホール素子
の使用最高温度が低いため磁気センサとしてホール素子
を用いることが出来ない。また、冷却対策等を施して使
用できたとしてもホール素子では感度が不十分であると
云う問題点がある。
【0007】また、上記磁気センサとして高感度のSQ
UIDを用いることが出来るが、SQUIDは上述した
ように取り扱いが難しく、さらに小型かつ低価格には程
遠く上記磁気センサとしてSQUIDを使用することは
現実的ではなかった。そこで、本発明は耐環境性に優
れ、高感度、小型、低価格で取り扱いの容易な磁気セン
サを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、半導体技術を
利用して従来表示素子として研究開発されている電界放
出カソードを耐熱性のガラスまたはセラミックの容器に
収納して磁気センサに応用することにより、今までにな
い優れた磁気センサを実現しようとするものである。電
界放出とは、金属または半導体表面の印加電界を109
[V/m]程度にするとトンネル効果により、電子が障
壁を通過して常温でも真空中に電子放出が行われる。こ
れを電界放出(Field Emission)と云い、このような原
理で電子を放出するカソードを電界放出カソード(Fiel
d Emission Cathode)と呼んでいる。近年、半導体加工
技術を駆使して、ミクロンサイズの電界放出カソードか
らなるアレイをもちいて、面放出型の電界放出カソード
を作ることが可能となっている。
【0009】図8に、その一例であるスピント(Spind
t)型と呼ばれる電界放出カソード(以下、FECと記
す)を示す。このFECは、ガラス等の基板の上にアル
ミニウム等の金属からなるエミッタ電極が蒸着により形
成されており、このエミッタ電極上にモリブデン等の金
属からなるコーン状のエミッタが形成されている。エミ
ッタ電極上のエミッタが形成されていない部分には二酸
化シリコン(SiO2)膜が形成されており、さらにその上
にはゲートが形成されており、ゲートに設けられた丸い
穴の中に上記コーン状のエミッタが位置している。すな
わち、このコーン状のエミッタの先端部分がゲートにあ
けられた穴から臨む構成とされている。
【0010】このコーン状のエミッタのエミッタ間のピ
ッチは10ミクロン以下とすることができ、数万から数
10万個のFECを1枚の基板上に設けることができ
る。さらに、ゲートとエミッタのコーンの先端との距離
をサブミクロンとすることができるため、ゲートとエミ
ッタ電極間とに僅か数10ボルトのゲート電圧VGを印
加することにより、電子をエミッタから電界放出するこ
とができる。この電界放出された電子はゲート電極上に
アノードを対向して設けておくと、このアノードにより
捕集することができる。この場合、アノードにはアノー
ド電圧VA を印加しておく。このようにスピント型のF
ECにおいてはエミッタから放出された電子はFECに
対し垂直の方向に放出される。
【0011】図9に他のFECの例を示す。このFEC
は平面状に形成されており、ここでは平面型のFECと
称するものとする。この平面型のFECは石英板等の基
板上にニオブ等からなるゲートとアノードが形成されて
いる。このゲートより一段高い基板の部分には櫛歯状の
エミッタが形成されている。
【0012】この櫛歯状のエミッタの先端とゲートとの
間の距離をサブミクロンとなるよう作製されているた
め、このFECでも僅か数10ボルトのゲート電圧VG
を印加することによりエミッタから電子を電界放出する
ことができる。電界放出された電子は基板上に設けられ
たアノードに捕集される。このとき、アノードにはアノ
ード電圧VA を印加しておく。このように平面型のFE
Cにおいては、エミッタから放出される電子はFECの
面に対し平行な方向に放出される。図9に示すFECは
櫛歯状のエミッタとされているが、平面型のFECにお
いては必ずしも櫛歯状にする必要はなく、例えば、櫛歯
を3角状にして先端を尖らしても良く、エミッタの形状
の条件は先端の角が尖っていさえすればよい。
【0013】上述したFECはいずれも真空容器内に封
着されており、半導体のように格子散乱の影響を受ける
ことがないため、電子の移動度は半導体に比較して数1
0倍から数100倍の速度を得ることが出来る。
【0014】本発明の磁気センサは上述した電界放出カ
ソードを用いて電子を放出し、放出した電子を少なくと
も2つに分割・独立されたアノードにより捕集するよう
にしたものである。
【0015】すなわち、FECのエミッタに対向して少
なくとも2分割して独立して動作するアノードを設ける
ようにすると、エミッタから電界放出された電子は真空
中を高速で飛来してアノードに捕集される。この時、F
ECに磁界が印加されていると電界放出された電子にロ
ーレンツ力が働き電子の軌道は曲げられるようになる。
そして、電界放出された電子を捕集するアノードを例え
ば、2分割して独立して動作させておくと、印加された
磁界により軌道が曲げられた電子の方向に位置する一方
のアノードの電流が増加すると共に、他方のアノードの
電流が減少するため、2つのアノードに流れる電流の差
分を取ることにより磁界が印加された方向及び強度を検
出することができる。
【0016】
【作用】本発明の磁気センサによれば、差分電流の大き
さを検出することにより高感度で磁界の方向及び強さを
検出することができる。また、磁気センサを構成するF
ECは半導体技術を用いて小型、かつ、安価に製作する
ことができ、このようにして製作したFECを真空容器
内に封着することにより磁気センサは構成されているた
め、耐環境性に優れていると共に、小型、安価で、か
つ、取り扱いの容易な磁気センサを得ることができる。
【0017】
【実施例】本発明の磁気センサの第1実施例を図1に示
す。この磁気センサは、上記図8に示すスピント型のF
ECを用いたものである。このスピント型のFEC2は
後で述べるように耐熱性ガラス、またはセラミックから
なる真空容器1内に収納されており、そのエミッタ電極
4と図示しないゲートの引き出し電極間に所定の電圧を
印加することにより、エミッタから放出された電子は破
線で図示するように垂直方向に放出される。
【0018】この放出された電子を捕集するアノードは
2つのアノード3−1,3−2に分割されており、この
2つのアノード3−1,3−2にはそれぞれ引き出し電
極5−1,5−2が接続されており、それぞれの引き出
し電極5−1,5−2にはアノード電流I1 ,アノード
電流I2 が流れている。
【0019】このように構成された磁気センサにたい
し、外部から磁界Hが6で図示するように紙面に対し上
から下へ垂直に印加されると、放出された電子はローレ
ンツ力を受けて実線で図示するように右方向に軌道が曲
げられるようになる。すると、電子はアノード3−2の
方向に曲げられるため、アノード3−2で捕集される電
子が増加し、他方アノード3−1で捕集される電子は減
少する。
【0020】従って、アノード3−1とアノード3−2
からそれぞれ得られるアノード電流I1 とアノード電流
2 との差分ΔI=(I1 −I2 )を演算すると、負の
差分電流ΔIが検出され、印加された磁界Hが図示する
方向の時は差分電流ΔIを負として検出することが出来
る。さらに、外部からの磁界Hの方向が反転した時は、
差分電流ΔIが正になることは容易に理解し得るところ
であるから、外部からの磁界Hの印加方向を差分電流Δ
Iを検出することにより検出することが出来る。また、
この差分電流ΔIは磁界の大きさにほぼ比例することか
ら、磁界Hの強度を検出することも出来る。
【0021】さらに、差分電流ΔIを(I1 +I2 )で
正規化することにより、エミッタから放出される電子の
変動によるアノード電流の揺らぎの影響を除去すること
が出来る。また、図1において用いられているスピント
型のFEC(図8参照)のエミッタコーンの直下のエミ
ッタ電極の部分に抵抗層を設けることにより、エミッタ
の動作を安定化することが出来ると共に、磁気センサの
寿命を向上することが出来る。なお、電子放出型の磁気
センサにおいては、エミッタから放出される電子の移動
度が磁気センサの感度に依存していることから、真空容
器1内の真空度を維持するために、真空容器1内にはゲ
ッターを設ける。
【0022】図2に本発明の第2の実施例を示す。この
実施例もスピント型のFECを用いた磁気センサであ
り、耐熱性のガラス又はセラミックからなる真空容器2
1内の底部にFEC22が設けられており、2つに分割
されたアノード23−1,23−2は真空容器21の対
向する側部にそれぞれ設けられている。そして、FEC
22のエミッタ電極24と図示しないゲートの引き出し
電極間に所定の電圧を印加することにより、エミッタか
ら放出された電子は破線で図示するようにほぼ垂直方向
に放出される。
【0023】この放出された電子を捕集する真空容器2
1の側部に設けたアノード23−1,23−2にはそれ
ぞれ引き出し電極25−1,25−2が接続されてお
り、それぞれの引き出し電極25−1,25−2にはア
ノード電流I1 ,アノード電流I2 が流れている。この
ように構成された磁気センサにたいし、外部から磁界H
が26で図示するように紙面に対し上から下へ垂直に印
加されると、放出された電子はローレンツ力を受けて実
線で図示するように右方向に軌道が曲げられるようにな
る。すると、電子はアノード23−2の方向に曲げられ
るため、アノード23−2で捕集される電子が増加し、
他方アノード23−1で捕集される電子は減少する。
【0024】従って、図1に示す磁気センサと同様にア
ノード23−1とアノード23−2からそれぞれ得られ
るアノード電流I1 とアノード電流I2 との差分ΔI=
(I1 −I2 )を検出すると、印加された磁界Hの方向
及び強度を検出することが出来る。また、図1に示す磁
気センサのところで説明したようにエミッタコーンの直
下に抵抗層を設けたり、真空容器内にゲッターを備える
ことにより磁気センサの信頼性を向上することができ
る。さらに、この磁気センサにおいてはアノードが真空
容器21の側部に対向するように設けられているため、
アノード間の相互作用がなく差分電流を正確に取り出す
ことが出来る。
【0025】次に、本発明の第3の実施例を図3に示
す。この磁気センサは上記図9に示すような平面型のF
ECを用いたものである。図3(a)は磁気センサの上
面図であり、同図(b)は線A−Bで磁気センサを切断
したときの断面図である。これらの図において、基板3
1は例えば、耐熱ガラスやセラミック製とされており、
この基板31を真空容器の一部として使用するようにさ
れており、その上にエミッタ32及びエミッタ引き出し
電極33、2つに分割されたアノード34−1,34−
2及びアノード引き出し電極35−1,35−2並びに
ゲート36が蒸着により形成されている。また、基板3
1には平面型のFECを覆うように蓋部30が封着され
ており、37は蓋部30と基板31とで形成される真空
容器内の気密を保つためのシール封止部である。さら
に、蓋部30の内側には偏向電極38−1,38−2が
設けられている。
【0026】このようにして形成された蓋部30と基板
31とからなる容器内は、図示していないが排気口から
真空に引かれた後封止され、ゲッターリング28が加熱
され、ゲッターミラー29が形成されることにより高真
空に保たれる。この磁気センサにおいて、エミッタ引き
出し電極33とゲート36との間に所定の電圧を印加す
ると、先端が3角状に形成されたエミッタから電子が
(b)に破線で図示するように偏向電極38−1により
基板1にほぼ平行に放出される。この放出された電子
は、さらに偏向電極38−2によりアノード電極38−
1,38−2に向かうように偏向され、2つに分離され
たアノード34−1及びアノード34−2により捕集さ
れる。
【0027】このように構成された磁気センサにたい
し、外部から磁界Hが39で図示するように紙面に対し
上から下へ垂直に印加されると、放出された電子はロー
レンツ力を受けて実線で図示するように左方向に軌道が
曲げられるようになる。すると、電子はアノード34−
1の方向に曲げられるため、アノード34−1で捕集さ
れる電子が増加し、他方アノード34−2で捕集される
電子は減少する。従って、図1に示す磁気センサと同様
にアノード34−1とアノード34−2からそれぞれ得
られるアノード電流I1 とアノード電流I2 との差分Δ
I=(I1 −I2 )を検出すると、印加された磁界Hの
方向及び強度を検出することが出来る。
【0028】図3に示すエミッタの先端の形状は3角状
となっているが、図9に示すような矩形の櫛歯状として
も差し支えない。また、この実施例においてはアノード
34及びエミッタ32とゲート36に対向して偏向電極
38−1及び38−2を設けるようにしたので、エミッ
タ32から放出された電子は偏向電極38−1によりア
ノード34方向に集束偏向され、さらに、偏向電極38
−2により効率良くアノード34で捕集できるように偏
向される。これにより、一般に電子の集束性に乏しい平
面型のFECの電子ビームの方向性を高めることが出
来、磁気センサを高精度化及び高感度化することが出来
る。
【0029】なお、偏向電極は2つとしているが、条件
等によっては1つまたは偏向電極群としても良い。ま
た、アノード引き出し電極35−1及び35−2はエミ
ッタから放出された電子のうち不要な電子の捕集を防止
するために、エミッタ32から反対の方向に引き出され
ている。さらに、各引き出し電極は外部から印加される
磁界の影響を受けると、電極構造により磁気センサの特
性が依存することになるため、各引き出し電極を非磁性
材料、例えばアルミニウムや銅等で形成することが望ま
しい。
【0030】なお、FECと同時にアノード34−1,
34−2を上記基板上に作成することが出来ると共に、
上記基板31や蓋部30は耐熱製のガラスあるいはセラ
ミック製とされている。
【0031】次に、3次元磁気センサの実施例を図4に
示す。この図に示す磁気センサはスピント型のFECを
用いたものであるが、図1及び図2に示す磁気センサと
構成上異なる点はアノードを4分割するようにした点で
ある。この3次元磁気センサにおいて、真空容器40内
に収納されたスピント型のFEC41の図示しないエミ
ッタとゲート間に所定の電圧を印加すると、エミッタか
ら電子が破線で図示するように垂直方向に放出される。
この放出された電子は4つに分割されたアノード42−
A,42−B,42−C,42−Dによりそれぞれ捕集
される。また、図示するように真空容器40の側壁部ま
たは前記エミッタ作製基板上に、各アノード42−A〜
42−Dに均一に電流が流入するような偏向電極48を
用いてもよい。
【0032】 外部から印加された磁界を検出する時
は、4つのアノードの内、まずアノード42−Aに流れ
る電流IA とアノード42−Cに流れる電流IC の和と
差の電流を求める。次に、アノード42−Bに流れる電
流IB とアノード42−Dに流れる電流ID との和と差
を求めることにより、各アノード42−A〜42−Dの
中心を走る電子ビームの曲がり方を測定する。これによ
り、外部から印加された磁界の方向を割り出すことが出
来る。なお、2つのアノードの電流の和と差の検出を時
系列的に行ったが、同時に行うようにしても良い。
【0033】次に、3次元磁気センサの第2の実施例を
図5に示す。この図に示す3次元磁気センサもスピント
型のFECを用いたものであるが、真空容器の形状を円
筒形として円筒部の側部に4分割されたアノードをそれ
ぞれ設けるようにしたものである。この3次元磁気セン
サにおいて、円筒形の真空容器50内の底部に設けられ
たスピント型のFEC51のエミッタ引き出し電極52
とゲート引き出し電極55間に所定の電圧を印加する
と、エミッタから電子が図示する破線のようにほぼ垂直
方向に放出される。この放出された電子は4つに分割さ
れたアノード53−A,53−B,53−C,53−D
によりそれぞれ捕集される。
【0034】この3次元磁気センサにおいて、外部から
印加された磁界を検出する時は、4つのアノードの内、
まずアノード53−Aに流れる電流IA とアノード53
−Cに流れる電流IC との電流をアノード引き出し電極
54−A及び54−Cとからそれぞれ検出して、それら
の和と差の電流を求める。次に、アノード53−Bに流
れる電流IB とアノード53−Dに流れる電流ID とを
引き出し電極54−Bおよび54−Dとからそれぞれ検
出して、それらの和と差を求めることにより、各アノー
ド53−A〜53−Dの中心を走る電子ビームの曲がり
方を測定する。これにより、外部から印加された磁界の
方向を割り出すことが出来る。なお、2つのアノードの
電流の和と差の検出を時系列的に行ったが、同時に行う
ようにしても良い。
【0035】さらに、図6に示す3次元の磁気センサは
平面形のFECを用いたものであり、この3次元磁気セ
ンサにおいては4分割されたアノードの内、2つのアノ
ード64−Aと64−BとがFECが形成された真空容
器を構成する一面と同一面上に形成されており、対向す
る面上に残る2つのアノード64−C及び64−Dが形
成されている。この図に示す3次元磁気センサにおい
て、先端が3角状に形成されたエミッタ62にはエミッ
タ引き出し電極63が接続されており、4分割されたア
ノード64−A〜64−Dにはそれぞれ引き出し電極6
5−A〜65−Dが接続されている。
【0036】この3次元磁気センサにおいて、外部から
印加された磁界を検出する時は、4つのアノードの内、
まずアノード64−Aに流れる電流IA とアノード64
−Cに流れる電流IC との電流をアノード引き出し電極
65−A及び65−Cとからそれぞれ検出して、それら
の和と差の電流を求める。次に、アノード64−Bに流
れる電流IB とアノード64−Dに流れる電流ID とを
引き出し電極65−Bおよび65−Dとからそれぞれ検
出して、それらの和と差を求めることにより、各アノー
ド64−A〜64−Dの中心を走る電子ビームの曲がり
方を測定する。これにより、外部から印加された磁界の
方向を割り出すことが出来る。なお、2つのアノードの
電流の和と差の検出を時系列的に行ったが、同時に行う
ようにしてもよい。
【0037】図6に示すエミッタの先端の形状は3角状
となっているが、図9に示すように矩形の櫛歯状として
も差し支えない。また、この実施例においてエミッタ6
2とゲート66の直上の対向する面に偏向電極を設ける
ようにしても良い。偏向電極を設けるとエミッタ62か
ら放出された電子はこの偏向電極によりアノード64−
Aから64−D方向に集束偏向されるため、効率良くア
ノード64−A〜64−Dで捕集できるように偏向され
る。これにより、一般に電子の集束性に乏しい平面型の
FECの電子ビームの方向性を高めることが出来、3次
元磁気センサを高精度化及び高感度化することが出来
る。
【0038】上記図4ないし図6に示した3次元の磁気
センサにおいて、2つのアノード電流の和と差を対角線
方向に設けられたアノードを選択して検出するようにし
たが、これに限らず、異なる2つのアノードの電流の和
と差をそれぞれ検出するようにして外部から印加された
磁界の方向を割り出すようにしても良い。
【0039】以上に各実施例の磁気センサを説明した
が、図3に示す磁気センサに限らず、アノード引き出し
電極はエミッタから放出された電子のうち不要な電子の
捕集を防止するために、エミッタから反対の方向に引き
出されている。さらに、各引き出し電極は外部から印加
される磁界の影響を受けると、電極構造により磁気セン
サの特性が不安定化することになるため、各引き出し電
極を非磁性材料例えばアルミニウムや銅等で形成するこ
とが望ましい。
【0040】なお、各実施例においてFECは独立して
予め作製したものを真空容器の一部を構成する基板上に
設ける方法、あるいは真空容器の一部を構成する基板上
に直接FECを作製する方法のいずれかの方法を採用し
てもよい。また平面形のFECを用いる磁気センサにお
いてはアノードの一部あるいはすべてをFECの作製と
同時に基板上に形成することが出来る。また、真空容器
内にゲッターを設けて真空度の劣化を防止することによ
り、磁気センサの高感度化及び高信頼性を図ることがで
きる。
【0041】そして、真空容器や基板の材料として耐熱
製のガラスやセラミックを用いるようにすると、高熱に
さらされる環境においても磁気センサの信頼性を向上す
ることが出来る。なお、上述した磁気センサにおいては
いずれも電界放出カソードから電子の放出される方向に
対し、電界放出カソード及びアノードが対称に構成され
ているため、外部磁界が印加されない時に各アノードに
流れる電流をほぼ平衡させることができる。また、上述
した磁気センサーにおいては、いずれも各アノード電極
上に電子励起発光蛍光体を塗布形成することにより、各
アノード電極流入電子に応じた発光を真空気密容器の外
壁を通して観察し得る機能をもたせることもできる。
【0042】
【発明の効果】本発明の磁気センサによれば、差分電流
の大きさを検出することにより高感度で磁界の方向及び
強さを検出することができる。また、磁気センサを構成
するFECは半導体技術を用いて小型、かつ、安価に製
作することができ、このようにして製作したFECを
熱性のガラス又はセラミックからなる真空容器内に封着
することにより磁気センサは構成されているため、耐環
境性に優れていると共に、小型、安価で、かつ、取り扱
いの容易な磁気センサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の磁気センサを示す図であ
る。
【図2】本発明の第2実施例の磁気センサを示す図であ
る。
【図3】本発明の第3実施例である磁気センサを示す図
である。
【図4】本発明の3次元磁気センサを示す図である。
【図5】本発明の3次元磁気センサの第2の実施例を示
す図である。
【図6】本発明の3次元の磁気センサの第3の実施例を
示す図である。
【図7】ホール素子の原理を示す図である。
【図8】スピント形の電界放出カソードを示す図であ
る。
【図9】平面形の電界放出カソードを示す図である。
【符号の説明】
1,21,40,50,61 真空容器 2,22,41,51 スピント型電界放出カソード 3−1,3−2,23−1,23−2,34,34−
1,34−2,42−A〜42−D,53−A〜53−
D,64−A〜64−D アノード 4,24,33,52,63 エミッタ引き出し電極 5−1,5−2,25−1,25−2,35,35−
1,35−2,54−A〜54−D,65−A〜65−
D アノード引き出し電極 6,26,39 外部磁界の方向 28 ゲッターリング 29 ゲッターミラー 30 蓋部 31 基板 32 エミッタ 36,66 ゲート 37 シール封止部 38−1,38−2,48 偏向電極 55 ゲート電極 70 導電性物質
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 照男 千葉県茂原市大芝629 双葉電子工業株 式会社内 (72)発明者 円谷 和彦 千葉県茂原市大芝629 双葉電子工業株 式会社内 (72)発明者 伊藤 順司 茨城県つくば市梅園1丁目1番地4号 工業技術院電子技術総合研究所内 (72)発明者 金丸 正剛 茨城県つくば市梅園1丁目1番地4号 工業技術院電子技術総合研究所内 (72)発明者 杉山 佳延 茨城県つくば市梅園1丁目1番地4号 工業技術院電子技術総合研究所内 (56)参考文献 特開 平6−308207(JP,A) 特開 平4−194690(JP,A) 特開 平1−154426(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 33/028 G01R 33/10 H01J 9/02 - 9/06 H01J 17/04 - 17/26 H01J 21/02 - 21/18

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性体の真空容器中に、電子を放出する
    電界放出カソード電極と、該電界放出カソード電極から
    放出された電子を捕集する少なくとも2つに分割・独立
    されたアノード電極とが収納されている磁気センサにお
    いて、 上記真空容器が耐熱ガラス或いはセラミックスであり、
    該真空容器の一部をなす基板上に半導体作成技術を用い
    て前記電界放出カソード電極、および前記アノード電極
    が形成されていることを 特徴とする磁気センサ。
  2. 【請求項2】上記アノード電極を独立した4以上に分割
    して、磁気センサに印加された3次元の磁界方向及び強
    さを検出できるようにしたことを特徴とする請求項1記
    載の磁気センサ
  3. 【請求項3】上記アノード電極が上記真空容器の対抗す
    る2面に設けられていることを特徴とする請求項1また
    は請求項2記載の磁気センサ
  4. 【請求項4】上記電界放出カソード電極からの放出電子
    を特定の方向に偏向または集束させる機能を持つ電極
    と、前記放出電子を前記アノード電極へ効率よく捕集さ
    せるように偏向集束する電極とが設けられていることを
    特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の磁気
    センサ
  5. 【請求項5】上記アノード電極の少なくとも1個以上に
    電子線励起発光蛍光体を形成することにより上記放出電
    子による発光を透光性の真空容器壁を通して観察し得る
    構造を持つことを特徴とする請求項1〜請求項4のいず
    れかに記載の磁気センサ
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