JP3366512B2 - 三次元造形方法 - Google Patents

三次元造形方法

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JP3366512B2 JP29358995A JP29358995A JP3366512B2 JP 3366512 B2 JP3366512 B2 JP 3366512B2 JP 29358995 A JP29358995 A JP 29358995A JP 29358995 A JP29358995 A JP 29358995A JP 3366512 B2 JP3366512 B2 JP 3366512B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、複数の層をそれぞれ
所定の横断面形状を持つ層に加工しながら積層すること
により三次元造形物を造形する三次元造形方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、材料を複数の層状に積層して
造形を行う方法として種々の三次元造形方法が開発され
ており、このような中に、図8に示すような装置を用い
たものがある。これは、LOM法(ラミネート・オブジ
ェクト作製法)と呼ばれる方法であり、図に示すような
LOM装置30を使用して、裏面に感熱接着剤が塗布さ
れた薄いシート状の材料31に切断線を入れながら一層
ずつ重ねて加熱接着していくようになっている。
【0003】すなわち、図において、32は、上下に移
動可能になった台部であり、この上部に供給ロール33
からガイドロール34を介して、順次、材料31が送ら
れるようになっている。35は、台部32上を前後(図
示では左右)に移動する加熱ローラであり、台部32上
に送られた材料31を台部32側に押圧しながら加熱す
ることにより、台部32に接着またはすでに台部32に
送られた材料31の上に接着させる。
【0004】36は台部32の上側に設けられ、台部3
2上を前後左右に移動可能な可動光ヘッドであり、ミラ
ー37を介してレーザー光源38から送られてくるレー
ザー光を台部32上に送り、台部32上の材料31を切
断するようになっている。39はガイドロール34とで
台部32を挟むようにして設けられたガイドロールであ
り、40はガイドロール39を介して材料31の使用後
の不要部分を巻き取る巻き取りロールである。
【0005】そして、造形物を造形する際には、まず、
供給ロール33から繰り出した材料31の先端部を巻き
取りロール40に巻回し、加熱ローラー35を台部32
上で移動させて材料31を台部32に接着させる。つぎ
に、レーザー光源38を作動させ可動光ヘッド36を移
動させながらレーザー光を発生させ、材料31に所定形
状の輪郭部41を切断するとともに、造形に使用する部
分の外周縁部に切断線42を、不要部分に格子状の切断
線43をそれぞれ入れる。
【0006】そして、形成された層の厚み分だけ台部3
2を下降させたのち、巻き取りロール40を回転させ
て、新たな材料31を上記切断した材料31の上に配置
させ、上記の操作を繰り返すことにより多層からなる積
層体44を形成し、その積層体44から不要部分を除去
することにより造形物を得ることが行われる。
【0007】また、この他に、シート状の材料31の代
わりに薄板を用い、この薄板を切断加工しながら接着剤
等で接着して積層していく方法や、液状の光硬化性樹脂
を用い、この光硬化性樹脂における造形物を構成する部
分だけに光を照射してその部分を硬化させこの硬化層を
積層していくといった方法等種々の方法がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような造形方法では、造形物の各層を形成するシート,
板状材料または硬化層の厚みを一定にしなければなら
ず、この厚みにばらつきが生じると、得られる造形物が
縦方向に長くなりすぎたり、短くなりすぎたりして、設
定通りの造形物を得ることが難しくなる。
【0009】このため、センサを用いて各層の表面の高
さや凹凸を検出するとともに、表面高さが高すぎたり、
表面に凸凹があったりすれば、ローラ等を用いて押圧す
ることにより凸凹をなくし表面全体を一定の高さに揃え
ることが行われている。その結果、ローラ等の装置が必
要になって三次元造形装置全体が複雑になるとともに、
作業が極めて煩雑になるという問題が生じている。
【0010】この発明は、このような事情に鑑みなされ
たもので、各層の厚みにむらが生じて、各層の高さが不
均一になっても、その層を押圧して矯正するといった煩
雑な作業を行うことなく、精度のよい造形物を得ること
のできる三次元造形方法の提供をその目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明にかかる三次元造形方法は、各層を所定の
横断面形状を持つ層に加工しながら積層することにより
造形物を得る三次元造形方法であって、設定した造形物
の形状データを予め準備しておき、最下段の層は想定し
た層の厚みの2分の1に相当する高さから上記設定した
造形物の形状における横断面形状のデータを算出しその
データに基づいて加工を行い、その上側に形成される層
はそれぞれすでに積層された層の表面高さを実測し、そ
の表面高さに、その表面側一層の厚みの2分の1または
積層されたすべての層の平均厚みの2分の1を加算した
高さから上記設定した造形物の形状における横断面形状
のデータを算出しそのデータに基づいて造形物部分の形
成を行うことを第1の要旨とする。
【0012】そして、上記第1の要旨における三次元造
形方法において、表面高さの実測を複数層の積層に対し
て1回行うとともに、その実測値による表面高さまたは
実測値に高さ測定をせずに積層された層の厚みの算出値
を加算した算出表面高さに、その表面側複数層の平均厚
みの2分の1または積層されたすべての層の平均厚みの
2分の1を加算した高さから設定した造形物の形状にお
ける横断面形状のデータに基づいて造形物部分の形成を
行うことを第2の要旨とする。
【0013】
【作用】この発明は、従来例のように、造形物を設定通
りの形状にするために、各層を形成するたびにローラ等
で層の表面を押圧して、各層の厚みが一定になるように
したり、最上段の層の表面が設定通りの高さになるよう
にするというものではなく、表面層の実測による高さお
よびすでに形成された層の厚みから次に形成される上層
の想定高さ(その層の略中央の高さ)を算出するととも
に、この想定高さからその高さに対応する横断面形状の
データを算出し、そのデータに基づいて順次造形を行う
ようになっている。
【0014】すなわち、設定した造形物の形状のデータ
(例えば、設定した造形物の形状における各高さに応じ
た横断面形状のスライスデータや、設定した造形物の中
実部分の情報からなるソリッドデータ等のデータ)を予
め準備しておき、実測した表面層の高さおよび積層され
た層の厚みから次に形成する層の高さを算出するととも
に、その高さのデータから設定した造形物におけるその
高さに対応する横断面形状のデータを算出し、そのデー
タに基づいて次の層の形成を行うようになっている。
【0015】したがって、各層の厚みにむらが生じてい
ても、次に形成する層がその高さに対応した横断面形状
を持つように形成されるため、各層の高さ誤差が蓄積さ
れることなく、全体の高さ誤差は、常に略一層分の高さ
誤差以内に維持される。この結果、誤差が極めて少ない
精度のよい造形が行えるようになる。
【0016】また、層を形成する際に、割り出される横
断面形状のデータは、すでに形成された積層体の最上段
の層と同じ厚み、または各層の平均厚みの層をその上側
に形成すると想定し、その層の厚みの2分の1の高さを
上記最上段の層の高さに足して、この高さに対応するデ
ータとして算出される。このように、層の厚みの2分の
1の高さ、すなわち層の中心となる横断面形状のデータ
に基づいてその層の形成が行われるため、各層がその層
の平均的な形状に形成され、さらに、精度のよい造形が
可能になる。
【0017】また、積層される層の厚みにムラが少な
く、高さ誤差が生じにくい場合等、高さ補正を頻繁に行
う必要のない場合には、表面層の高さ測定は複数層に対
して一回だけ行うようにすることもできる。この場合
も、想定高さの算出は、実測による高さに一層の厚みの
2分の1を加えて行い、高さを測定していない層が表面
に位置している場合には、測定していない層の厚みは実
測した層の厚みの平均値をとる等して算出する。つぎ
に、実施例にもとづいて、この発明による三次元造形方
法を詳しく説明する。
【0018】
【実施例】図1は、この発明の一実施例に用いる三次元
造形装置の構成図である。図において、1は上面が水平
に形成された造形テーブルであり、その上面に薄板状の
造形材料2が順次積層されるようになっている。3は、
この造形テーブル1の上側に配設された切削具であり、
X(左右),Y(前後),Z(上下)方向に移動するこ
とにより上記造形材料2を切削加工できるようになって
いる。
【0019】4はそのさらに上側に配設されたセンサで
あり、造形テーブル1の上面に積層される造形材料2の
うちの最上段の造形材料2の表面高さを検出するように
なっている。また、5はこの装置の外部に配設されたコ
ンピュータであり、接続された制御部6に、予め設定し
た造形物の形状における各高さに対応する横断面形状の
データ等の造形データを送るようになっている。
【0020】上記制御部6は、センサ4が検出した造形
材料2の表面高さの検出データを受信し、この検出デー
タと、コンピュータ5から送られてくる造形データを比
較して、その検出データの高さに対応する横断面形状の
データを割り出す。そして、そのデータに基づいて、ド
ライバ7,8,9を介して、Xモータ10,Yモータ1
1,Zモータ12を駆動させ、造形テーブル1の上方に
設けられた切削具3を移動させることにより、造形材料
2の加工を行うようになっている。
【0021】この構成において、造形を行う際には、造
形材料2からなる各層のセンサ4による高さ検出は一層
を形成するごとに毎回行い、その都度、高さの補正を行
うようにしてもよいし、複数層の積層に対して一度だけ
行ないその複数層分をまとめて高さ補正するようにして
もよい。まず、上記高さ検出を毎回行う場合には、図2
に示したフローチャートに従って、図3に示したような
造形を行う。
【0022】すなわち、作業開始後、ステップ1に進
み、造形テーブル1上に造形材料2を一枚載せたのち、
ステップ2を経て、ステップ3に示すように、Z(n)
の断面データが存在するか否かをチェックする。この場
合、nは積層された層数を示す数であり、mはセンサ4
が行う高さ検出の回数を示す数である。また、h(m)
はm回目に高さ検出を行った際の造形物の実測による表
面高さであり、d(m)はm回目に高さ検出を行った時
の次に積層する層の想定高さピッチ(その層の想定した
厚み)である。
【0023】上記開始の段階では、まだセンサ4による
高さ検出は行われていないため、mは0である。このた
め、m=0の場合は、想定高さピッチd(0)=d0
(図3では下側の一点鎖線で示した高さ)と設定してい
る。Z(n)は、第n層の横断面形状を算出する際の想
定高さを示しており、この高さに対応する横断面形状の
データを割り出し、このデータに基づいて造形材料2の
加工(輪郭部の切断)が行われる。
【0024】上記ステップ3においては、n=1である
ため、当然、Z(n)のデータは存在し、このZ(1)
=1/2・d0 (図3では下側の二点鎖線で示した高
さ)の高さに対応する横断面形状になるように材料2か
らなる第1層aが加工具3によって加工される(ステッ
プ4)。ついで、ステップ5で、mが1となって、ステ
ップ6に進み、第1層aの実測による表面高さh(1)
が求められる。
【0025】つぎに、ステップ7に進み、上記第1層a
の上側に積層される第2層bの想定高さピッチd(1)
が算出される。この場合h(m)はh(1),h(m−
1)は0であるため、d(1)=h(1)となる。すな
わち、上記実測された第1層aの表面高さがそのままそ
の上に形成される第2層bの想定高さピッチとなる(図
3のh(1)とd(1)参照)。
【0026】ついで、第1層aの上に未加工の造形材料
2が接着固定され、n=2となる(ステップ8)。そし
て、ステップ9に進み、造形材料2からなる第2層bの
横断面形状を算出するために想定高さZ(2)を算出す
る。ここで、Z(2)=h(1)+1/2・d(1)と
なる。この値は、実測した第1層aの表面高さh(1)
に、この第1層aの高さ(厚み)h(1)の2分の1を
加算した数値と同じである。つぎに、ステップ3に戻
り、Z(2)のデータが存在することを確認したのち、
ステップ4に進み、Z(2)の高さに対応する横断面形
状のデータに基づき第2層bを加工する。
【0027】ついで、ステップ5で、m=2とし、ステ
ップ6で、第2層bの表面高さh(2)を実測する。つ
ぎに、ステップ7に進み、上記第2層bの上側に積層さ
れる第3層cの想定高さピッチd(2)が算出される。
この場合h(m)はh(2),h(m−1)はh(1)
であるため、d(2)=h(2)−h(1)となる(図
3参照)。すなわち、上記実測された第2層bの表面高
さから第1層aの表面高さを引いた数値(第2層bの厚
み)が第2層bの上に形成される第3層cの想定高さピ
ッチとなる。
【0028】ついで、加工された第2層bの上に他の未
加工の造形材料2が接着固定され、n=3となる(ステ
ップ8)。そして、ステップ9に進み、上記造形材料2
からなる第3層cの横断面形状を算出する際の高さZ
(3)を算出する。この場合、Z(3)=h(2)+1
/2・d(2)となる。この値は、実測した第2層bの
表面高さに、この第2層bの厚みの2分の1を加算した
数値である。
【0029】そして、再び、ステップ3に戻って、次の
層の造形および表面高さ測定を行うといったステップを
繰り返して造形が行われ、Z(n)のデータが存在しな
くなると造形が終了する。
【0030】このように、上記の方法によれば、一層を
形成するごとにその表面高さ検出を行い、その検出によ
って求められた表面高さにその表面側の層の厚みの2分
に1の高さを加算した数値を、次の層を造形する際の高
さデータと想定して横断面形状のデータを割り出しその
データに基づいて次の層を造形するようになっている。
したがって、各層の高さ誤差が蓄積することなく、一層
を形成する都度、その誤差が補正されるようになる。そ
の結果、複数層を形成した際の最大の高さ誤差は表面側
の一層から生じる誤差の範囲内に留まるようになる。
【0031】また、造形材料2の厚みにばらつきがあっ
ても、造形の精度にはあまり影響しなくなる。なお、図
3においては、第1層aの厚みに比べて第2層bが薄く
なっているが、つぎの第3層cを造形する前に、第2層
bの表面高さが実測されこの実測値がつぎの想定高さの
基準とされるため、第2層bで生じた高さ誤差は消去さ
れる。
【0032】また、各層を造形する際の、横断面形状
は、図4に示すように、各層a,b,cの想定高さデー
タZ(1),Z(2),Z(3)に対応する横断面形状
のデータに基づいて行われる。すなわち、これらのデー
タは、各層nにおいて想定された中心高さに対応するも
のであるため、造形物の輪郭f(横断面形状のデータを
縦に連続させて表した線)が傾斜面になっている場合、
切断線xはそれぞれ各層n内における傾斜した輪郭fの
略中央(輪郭fとZ(n)が交差する部分)に位置する
ようになる。この結果、切断線xによる輪郭は造形のデ
ータによる輪郭fに極めて近似したものとなり精度のよ
い造形物が得られる。なお、この精度は、各層nの厚み
が薄いほど良好なものとなる。
【0033】つぎに、センサ4による表面高さ検出を毎
回でなく数回に一度行う場合には、図5に示したフロー
チャートに従って、図6に示したような造形を行う。ま
ず、2層を形成するごとに一回表面高さ検出を行うとす
ると、作業開始後、上記実施例と同様にして、ステップ
1’からステップ4’に進み、想定高さZ(1)=1/
2・d0 として、その高さに対応する横断面形状のデー
タに基づいて第1層a’の加工を行う。
【0034】ついで、ステップ10に進み、nがkの倍
数であるかどうかをチェックする。このkは、センサ4
による表面高さ検出を、複数回に一度行なう場合のその
回数を示しており、この場合、2回に一度行うためkは
2となる。また、nは1であるため、nはkの倍数でな
い。したがって、ステップ10はNOとなり、ステップ
11に進み、第1層a’の上に未加工の造形材料2が接
着固定され、n=2となる。
【0035】つぎに、ステップ12に進み、第2層a”
の想定高さZ(2)が求められる。この場合、Z(1)
は1/2・d0、 d(0)はd0 であるため、Z(2)
は3/2・d0 となる。すなわち、Z(2)は、予め設
定した第1層a’の想定高さに想定高さピッチd0 を加
算した高さになる。
【0036】ついで、ステップ3’に戻り、Z(2)の
データが存在することを確認したのち、ステップ4’に
進み、Z(2)の高さに対応する横断面形状のデータに
基づき第2層a”を造形する。そして、ステップ10に
再び進み、nがkの倍数であるかどうかをチェックす
る。nは2であるため、YESとなって、ステップ5’
に進み、mが1となり、ステップ6’で、第2層a”の
実測による表面高さh(1)が求められる。
【0037】つぎに、ステップ7’に進み、上記第2層
a”の上側に積層される第3層b’の想定高さピッチd
(1)が算出される。この場合h(m)はh(1),h
(m−1)は0であるため、d(1)=1/2・h
(1)となる(図6参照)。すなわち、実測した第2層
a”の表面高さh(1)(第1層a’の厚みと第2層
a”の厚みの合計値)の2分の1の高さが、第2層a”
の上に形成される第3層b’の想定高さピッチとなる。
【0038】ついで、第2層a”の上に未加工の造形材
料2が接着固定され、n=3となる(ステップ8’)。
そして、ステップ9’に進み、第3層b’の横断面形状
を算出する際の高さZ(3)を算出する。ここで、Z
(3)=h(1)+1/2・d(1)となる。この値
は、実測した第2層a”の表面高さh(1)に、この第
2層a”の表面高さの4分の1の高さを加算した数値と
同じである。すなわち、第1層a’と第2層a”の平均
厚みの2分の1の厚みを、第2層a”の表面高さに加え
た高さが、第3層b’の想定高さになる。
【0039】ついで、ステップ3’に戻り、Z(3)の
データが存在することを確認したのち、ステップ4’に
進み、Z(3)の高さに対応する横断面形状のデータに
基づき第3層b’を造形する。つぎのステップ10では
NOとなるため、ステップ11で、n=4となって第4
層b”を構成する造形材料2が積層され、第4層b”の
想定高さZ(4)=Z(3)+d(1)が算出される
(ステップ12)。
【0040】これは、h(1)+3/2・d(1)と等
しく、第3層b’の想定高さZ(3)に、第3層b’の
想定高さピッチd(1)を加算した値と同じである。す
なわち、第3層b’の表面高さは実測されていないた
め、第3層b’の想定高さピッチd(1)が、そのまま
第4層b”の想定高さピッチとして使用される。
【0041】そして、再度、ステップ3’に戻り、Z
(4)のデータが存在することを確認したのち、ステッ
プ4’に進み、Z(4)の高さに対応する横断面形状の
データに基づき第4層b”を造形する。そして、ステッ
プ10で、nがkの倍数であるかどうかをチェックす
る。nは4であるため、YESとなって、ステップ5に
進み、mが2となり、ステップ6’で、第4層b”の実
測による表面高さh(2)が求められる。
【0042】つぎに、ステップ7’に進み、上記第4層
b”の上側に積層される第5層c’の想定高さピッチd
(2)が算出される。この場合、h(m)はh(2),
h(m−1)はh(1)であるため、d(2)=1/2
・{h(2)−h(1)}となる。すなわち、実測した
第4層b”の表面高さh(2)から第2層a”の表面高
さを引いたもの(第3層b’の厚みと第4層b”の厚み
の合計値)の2分の1に相当する高さが、その上に形成
される第5層c’の想定高さピッチとなる。
【0043】ついで、第4層b”の上に未加工の造形材
料2が接着固定され、n=5となる(ステップ8’)。
そして、ステップ9’に進み、第5層c’の横断面形状
を算出する際の高さZ(5)を算出する。ここで、Z
(5)=h(2)+1/2・d(2)となる。この値
は、実測した第4層b”の表面高さh(2)に、この第
3層b’の厚みと第4層b”の厚みの合計値の4分の1
に相当する高さを加算した数値である。
【0044】ついで、ステップ3’に戻り、Z(5)の
データが存在することを確認したのち、ステップ4’に
進み、Z(5)の高さに対応する横断面形状のデータに
基づき第5層c’を造形する。つぎのステップ10では
NOとなるため、ステップ11で、n=6となって第6
層c”を構成する造形材料2が積層され、第6層c”の
想定高さZ(6)=Z(5)+d(2)が算出される
(ステップ12)。これは、h(2)+3/2・d
(2)と等しく、第5層c’の想定高さZ(5)に、第
5層c’の想定高さピッチd(2)を加算した値であ
る。
【0045】そして、再度、ステップ3’に戻るといっ
たように、上記の工程を繰り返しながら造形が行われ
る。また、この場合も、図7に示すように、各層の輪郭
部の切断線x’は、輪郭f’とZ(n)とが交差する部
分を垂直に切るようにして形成される。
【0046】このように、この実施例では、2層の形成
に対して1回表面高さ測定を行い、その測定に基づいて
高さ補正を行うようになっているため、造形材料2の厚
みにむら等がなく、1層形成するごとに表面高さ測定を
行う必要がない場合には、工程を簡略化することができ
る。さらに2層に対して1回の高さ測定でも多すぎる場
合には、kの数値を3,4,5・・と増やしていくこと
によって、測定回数を減少することができる。それ以外
の作用効果については上記実施例と同様である。
【0047】また、上記実施例においては、新たに造形
する層の想定高さを算出する際、形成された最上段の層
の厚みや、上側数層の厚みの平均厚みから算出している
が、これをすでに形成されたすべての層の厚みの平均厚
みに基づいて算出してもよい。これによって、さらに造
形物の輪郭部が輪郭f,f’に近い精度のよい造形が可
能になる。
【0048】つぎに、積層体が形成されたのち、この積
層体を造形テーブル1から取り外し、造形物を構成する
部分以外の不要部分16を除去することにより所定の造
形物を得ることができる。この場合、造形材料2が、シ
ート状や板状のものである場合には、造形材料2の不要
部分に格子状の切断線を設けて造形後に除去しやすくし
ておく必要がある。
【0049】なお、上記実施例では、板状の造形材料2
を用いて、造形物の輪郭に相当する部分を切断したのち
不要部分を除去するようになっているが、この発明はこ
のようなものに限定するものではなく、不要部分を切削
除去しながら造形物部分のみを積層したり、液状材料を
用いて造形物部分のみを硬化させて積層していくような
方法等、複数の層を積層しながら造形する方法であれば
どのようなものにも使用できることは言うまでもない。
【0050】また、上記実施例では、スライスデータか
らなる各高さにおける横断面形状のデータに基づいて各
層の加工を行うようになっているが、このデータとして
は、設定した造形物の中実部分の情報データからなるソ
リッドデータを用い、高さのデータからその高さに応じ
た横断面形状を算出するようにしてもよい。この場合、
図2または図5のフローチャートのステップ3またはス
テップ3’において、横断面形状のデータを算出すると
ともに、その横断面形状のデータが存在するか否かをチ
ェックする。
【0051】
【発明の効果】この発明にかかる三次元造形方法は、以
上のように、各層を形成するたび、または複数層を形成
するたびに、形成された積層体の表面高さを実測し、そ
の実測値に基づいて、つぎに形成される層の高さを算出
し、その高さに応じた横断面形状のデータにより層の加
工を行うようになっている。したがって、各層の厚みが
不均一であっても造形に影響はあまりなく、各層の厚み
にむらが生じても、そのむらから生じる高さ誤差は表面
高さの実測のたびに補正され、蓄積することがない。そ
の結果、高さ誤差は最小限に押さえられ精度のよい造形
物が得られるようになる。また、積層体の表面を押圧し
て設定の高さにする等の煩雑な作業の必要もなくなり、
工程が大幅に簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に用いる三次元造形装置を
示す構成図である。
【図2】毎回表面高さ検出をしながら造形を行う工程を
示すフローチャートである。
【図3】毎回表面高さ検出をしながら造形する際の想定
高さ,実測表面高さ等の関係を示す説明図である。
【図4】毎回表面高さ検出をしながら造形する際の各層
の切断線を示す説明図である。
【図5】複数回に一度表面高さ検出をしながら造形を行
う工程を示すフローチャートである。
【図6】複数回に一度表面高さ検出をしながら造形する
際の想定高さ,実測表面高さ等の関係を示す説明図であ
る。
【図7】複数回に一度表面高さ検出をしながら造形する
際の各層の切断線を示す説明図である。
【図8】従来例によるLOM装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 造形テーブル 2 造形材料 3 切削具 4 センサ a 第1層 b 第2層 c 第3層 d(m) m回表面高さ検出を行った際のつぎの層
の想定高さピッチ h(m) m回目の表面高さ検出の実測値 Z(n) n層の想定高さ f,f’ 横断面形状データに基づく造形物の輪郭
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−195533(JP,A) 特開 平7−195532(JP,A) 特開 平7−195531(JP,A) 特開 平9−76353(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 67/00 B31D 5/00 - 5/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各層を所定の横断面形状を持つ層に加工
    しながら積層することにより造形物を得る三次元造形方
    法であって、 設定した造形物の形状データを予め準備しておき、最下
    段の層は想定した層の厚みの2分の1に相当する高さか
    ら上記設定した造形物の形状における横断面形状のデー
    タを算出しそのデータに基づいて加工を行い、その上側
    に形成される層はそれぞれすでに積層された層の表面高
    さを実測し、その表面高さに、その表面側一層の厚みの
    2分の1または積層されたすべての層の平均厚みの2分
    の1を加算した高さから上記設定した造形物の形状にお
    ける横断面形状のデータを算出しそのデータに基づいて
    造形物部分の形成を行うことを特徴とする三次元造形方
    法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の三次元造形方法におい
    て、表面高さの実測を複数層の積層に対して1回行うと
    ともに、その実測値による表面高さまたは実測値に高さ
    測定をせずに積層された層の厚みの算出値を加算した算
    出表面高さに、その表面側複数層の平均厚みの2分の1
    または積層されたすべての層の平均厚みの2分の1を加
    算した高さから設定した造形物の形状における横断面形
    状のデータに基づいて造形物部分の形成を行う三次元造
    形方法。
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