JP3363851B2 - マスター情報担体および磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

マスター情報担体および磁気記録媒体の製造方法

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JP3363851B2 JP31749999A JP31749999A JP3363851B2 JP 3363851 B2 JP3363851 B2 JP 3363851B2 JP 31749999 A JP31749999 A JP 31749999A JP 31749999 A JP31749999 A JP 31749999A JP 3363851 B2 JP3363851 B2 JP 3363851B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録再生装置
に用いられる大容量、高記録密度の磁気記録媒体に、情
報信号を記録するマスター情報坦体に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、磁気記録再生装置は、小型化かつ
大容量化を実現するために、高記録密度化の傾向にあ
る。代表的な磁気記録媒体であるハードディスクドライ
ブの分野においては、すでに面記録密度が、約1.55
Gbit/cm2(10Gbit/in2)を超える装置
が商品化されており、数年後には、約3.1〜6.2G
bit/cm2(20〜40Gbit/in2)の実用化
が議論されるほどの急激な技術進歩が認められる。
【0003】このような高記録密度化が可能となった技
術的背景には、媒体性能の向上、読み取りヘッド・ディ
スクインターフェース性能の向上、パーシャルレスポン
スなどの新規な信号処理方式の採用による低出力の信号
の読み取り性能の向上などがある。
【0004】しかし、近年、トラック密度の増加傾向が
線記録密度の増加傾向を大きく上回り、面記録密度向上
の主たる要因となっている。これは、従来の誘導型磁気
ヘッドに比べ、再生出力性能がはるかに優れた磁気抵抗
素子型ヘッドが実用化されたことによる。現在、磁気抵
抗素子型ヘッドの実用化により、わずか数μmのトラッ
ク幅信号をSN比(Signal Noise rat
io)良く再生することが可能となっている。一方、今
後さらなるヘッド性能の向上にともない、近い将来には
トラックピッチがサブミクロン領域に達するものと予想
されている。
【0005】このように狭化の一途をたどるトラックを
ヘッドが正確に走査し、信号をSN比良く再生するため
に、ヘッドのトラッキングサーボ技術が重要な役割を果
たしている。このようなトラッキングサーボ技術に関し
ては、例えば、”山口:磁気ディスク装置の高精度サー
ボ技術、日本応用磁気学会誌、Vol.20, No.3, pp.77
1, (1996)”に詳細な内容が示されている。上記文献に
よれば、現在のハードディスクドライブでは、ディスク
の1周、すなわち角度にして360度中において、一定
の角度間隔でトラッキング用サーボ信号やアドレス情報
信号、再生クロック信号等が(以下、「プリフォーマッ
ト信号」と呼び、プリフォーマット信号を記録すること
を「プリフォーマット記録」と呼ぶ)記録された領域を
設けている。磁気ヘッドは、一定間隔でこれらの信号を
再生することにより、ヘッドの位置を確認、修正しなが
ら正確にトラック上を走査することができる。
【0006】既述のトラッキング用サーボ信号やアドレ
ス情報信号、再生クロック信号等は、ヘッドが正確にト
ラック上を走査するための基準信号となるものなので、
その記録時には、正確な位置決め精度が要求される。例
えば、”植松、他:メカ・サーボ、HDI技術の現状と展
望、日本応用磁気学会第9回研究会資料、93-5, pp.35
(1996)”に記載された内容によれば、現在のハードデ
ィスクドライブでは、ディスクをドライブに組み込んだ
後、専用のサーボ記録装置を用いて厳密に位置制御され
た磁気ヘッドによりプリフォーマット記録が行われる。
【0007】このようなサーボ信号、アドレス情報信
号、および、再生クロック信号のプリフォーマット信号
の記録は、近年商品化された大容量フレキシブルディス
クや、ディスクカートリッジが着脱可能なリムーバブル
ハードディスク用媒体においても同様に、専用のサーボ
記録装置を用いて、磁気ヘッドにより行われている。
【0008】専用のサーボ記録装置を用いたプリフォー
マット記録は、磁気ヘッドのトラック毎にシリアルな動
作で行われるために、1つの磁気記録媒体に対してプリ
フォーマット記録するために数時間を費やしており、生
産性向上の大きな障害となり、引いては磁気記録媒体の
生産コストの増加につながっている。
【0009】プリフォーマット記録に費やす時間的な障
害は、磁気記録媒体のトラック密度が向上するほど深刻
となる。これは、ディスク径方向のトラック数が増加す
ることのみに起因するものではない。ヘッドの正確な位
置決めのために必要となるプリフォーマット記録の記録
間隔は、ヘッドが移動するトラック上の物理的な距離に
より決まるのではなく、ヘッダが読み取る情報量によっ
て決定されるので、ヘッダが一定量の情報を読み取る毎
にプリフォーマット記録によるサーボ信号などの情報が
必要となる。
【0010】したがって、トラック密度が向上するほど
ヘッドの位置決めを必要とする一定の情報量が記録され
るトラック上の物理的間隔が狭くなる。このために、デ
ィスクの1周、すなわち360度中において、トラッキ
ング用サーボ信号等が記録するサーボ領域を設ける角度
間隔を狭くしなければならない。
【0011】このように、高記録密度の磁気記録媒体ほ
ど、ディスクにプリフォーマット記録すべき信号量が多
くなり、プリフォーマット記録にさらに多くの時間が必
要となる。
【0012】ヘッドをトラック毎にシリアルに動作させ
て行なうプリフォーマット記録方法では、どのような方
式によっても、記録時間が長くなるという問題を解消す
ることができない。そのため今後は、磁気転写技術を用
いて、面接触によるプリフォーマット記録方法に移行し
ていくものと考えられる。この面接触によるプリフォー
マット記録方法は、非磁性材料により形成された非磁性
基体の表面に、サーボ信号などの情報信号配列に対応す
るパターン状に強磁性薄膜を堆積したマスター情報担体
を用い、マスター情報担体の強磁性薄膜とプリフォーマ
ット記録を行う磁気記録媒体に密着させ、強磁性薄膜を
磁化させることにより、磁気記録媒体にマスター情報担
体上のサーボ信号などの情報信号の記録を行う。この面
接触によるプリフォーマット記録方法については、特開
平10−40544号公報に詳細に述べられている。ま
た、マスター情報担体と磁気記録媒体との間に良好な密
着性を実現する技術は、特開平10−269566号公
報に開示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平10−
40544号公報、および、特開平10−269566
号公報に開示されているような面接触により転写記録す
るプリフォーマット記録方法は、以下のような問題点が
いまだ解決されないままとなっている。
【0014】転写記録するプリフォーマット記録方法で
は、マスター情報担体を用いて磁気記録媒体にプリフォ
ーマット信号を記録する際に、磁気記録媒体とマスター
情報担体表面に設けられた強磁性薄膜が加圧密着され、
プリフォーマット記録の終了後に磁気記録媒体から強磁
性薄膜が引き離される。この加圧密着および引き離し
が、プリフォーマット記録の作業毎に繰り返されるた
め、マスター情報担体の非磁性基体表面からの強磁性薄
膜の剥離が生じる。この問題は、磁気記録媒体の記録密
度が向上するほど強磁性薄膜の個々が小さくなり、非磁
性基体との接触面積も狭くなり、強磁性薄膜の基板への
付着力が小さくなるので、磁気記録媒体の記録密度が向
上するほど、深刻となる。
【0015】強磁性薄膜の剥離が容易に起こると、磁気
記録媒体に転写されたプリフォーマット信号に欠陥が生
じるだけでなく、1つのマスター情報担体でプリフォー
マット記録が行える磁気記録媒体のディスク枚数が少な
くなり、生産性の低下を招き、引いては磁気記録媒体の
コスト高につながる。
【0016】本発明は、このような問題を解決するべく
なされたものであり、非磁性基体との強磁性材料との間
の結合力を高めることにより、信頼性・耐久性を向上さ
せたマスター情報担体を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明のマスター情報担
体は、非磁性材料で形成された非磁性基体と、該非磁性
基体の表面に強磁性材料が堆積された複数の強磁性部と
を備え、該複数の強磁性部が信号配列の形状パターンを
形成し、磁気記録媒体に表面を密着させた該各強磁性部
を磁化することにより、該磁気記録媒体に該各強磁性部
が形成する信号配列による情報信号を記録するマスター
情報担体であって、該非磁性基体の該各強磁性部との界
面の中心線平均粗さが、該非磁性基体の該界面以外の面
の中心線平均粗さよりも大きくなっており、このことに
より上記課題が解決される。
【0018】前記非磁性基体は、凹部を有し、前記各強
磁性部の少なくとも一部は、該凹部内に形成されていて
もよい。
【0019】前記界面の中心線平均粗さと、該界面以外
の面の中心線平均粗さとの比が、1.5以上であっても
よい。
【0020】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)図1は、本
願発明の第1の実施の形態のハードディスク用のマスタ
ー情報担体の概要図である。この図に示すように、本発
明の第1の実施の形態のマスター情報担体1は、非磁性
材料によってディスク状に形成された非磁性基体2と、
磁気記録媒体であるハードディスクにプリフォーマット
記録されるトラッキング用サーボ信号などが、強磁性材
料によって形成されている複数の信号領域3…3とを備
えている。
【0021】プリフォーマット記録の対象となるハード
ディスクを、読み取りヘッダで読み取る際には、一定量
の情報を読み取る毎にヘッダの位置を確認するためにプ
リフォーマット記録されたトラッキング用サーボ信号な
どが必要となる。ハードディスクの各トラック毎の記録
容量は同一であり、ディスクの中心側ほどトラックの記
録密度が高くなっているので、ディスクの中心側のトラ
ックほどトラッキング用サーボ信号などが必要になるト
ラック上の物理的間隔が狭くなる。そのため、ハードデ
ィスクにプリフォーマット記録を行うマスター情報担体
1の信号領域3相互のトラック上の間隔も外周側から中
心側に向かうほど狭くなっている。なお、実際のマスタ
ー情報担体には、ハードディスクとの位置決めを行うた
めのマーカなどが設けられているが、図1においては省
略している。
【0022】図2は、図1における信号領域3の領域A
の範囲の拡大図である。この図に示すように、非磁性基
体1上のハードディスクのデータ領域に対応する部分の
間に、ハードディスクに対してプリフォーマット記録さ
れるプリフォーマット信号が強磁性材料4によって形成
されている。プリフォーマット信号には、トラッキング
サーボ信号の他に、アドレス情報信号やクロック信号な
どが含まれる。なお、非磁性基体2の材料としてはシリ
コン(Si)が適用でき、強磁性材料4の材料としては
コバルト(Co)が適用できる。
【0023】図3は、図2のB−B線に沿った断面を示
している。この図に示すように、プリフォーマット信号
は、非磁性基体2に設けられた凹部5に強磁性材料4が
堆積されて、薄膜を形成している。凹部5の寸法は、深
さが約500nm程度、幅が約800〜約2000nm
程度であることが望ましい。
【0024】凹部5は、非磁性基体2の表面をドライエ
ッチング加工することにより形成されている。強磁性材
料4を凹部5に堆積する方法としては、スパッタリング
法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、
メッキ法など従来から行われている一般的な薄膜成形方
法を用いることができる。
【0025】非磁性基体2が備える凹部5の強磁性材料
4との界面となる底面5aは、表面の粗さが中心線平均
粗さ(「算術平均粗さ」とも呼ばれる)R(a)で0.
9nmとなるように、ドライエッチング加工時に意図的
に粗く形成されている。また、非磁性基体2の表面2a
は、後述するように、表面の中心線平均粗さR(a)が
0.8nmとなるように形成されており、強磁性材料4
との界面となる底面5aの中心線平均粗さR(a)が、
非磁性基体2の表面2aの中心線平均粗さR(a)より
も大きくなっている。
【0026】このように、強磁性材料4と非磁性基体2
との界面である底面5aを意図的に粗く形成して、強磁
性材料4と非磁性基体2との接触面積を大きくすること
により、強磁性材料4により形成された薄膜と非磁性基
体2との結合力を高めることが可能となる。強磁性材料
4の薄膜と非磁性基体2との結合力が高まることによ
り、マスター情報担体を用いた磁気記録媒体へのプリフ
ォーマット記録の繰り返しにより強磁性材料4の薄膜が
非磁性基体2から容易に剥離することを防止できるの
で、マスター情報担体の寿命を延ばすことが可能とな
る。
【0027】ここで、中心線平均粗さとは、JIS規格
により定められた測定物表面の粗さを表す数量であり、
数1に示す数式で与えられる。
【0028】
【数1】
【0029】数1において、Lは測定長さを、y(x)
は測定する2次元プロファイル(断面曲線)をそれぞれ
示している。y(x)は、原子間力顕微鏡(AFM)、
走査トンネル顕微鏡(STM)など様々な方法により測
定することができる。本願明細書において記載する中心
線平均粗さの数値は、任意の10点において、AFMに
より探針の先端曲率半径が比較的小さいSi製カンチレ
バーを用いてタッピングモードで観測したR(a)の平
均値である。なお、測定長さLは2μmとした。また、
AFMの探針は、先端曲率半径が50nm以下の市販の
ものが望ましい。
【0030】強磁性材料4と非磁性基体2との界面であ
る底面5aを意図的に粗く形成することにより、強磁性
材料4の薄膜と非磁性基体2との結合力が高まることを
確認するために、以下のような実験を行った。
【0031】図3に示したマスター情報担体1と同じ方
法を用いて、図4に示すような比較実験用マスター情報
担体を製造した(以下これを「マスター情報担体10」
とする)。比較実験用のマスター情報担体10は、強磁
性材料4が堆積される凹部15の底面15aの形状のみ
が、マスター情報担体1と異なっている。比較実験用の
マスター情報担体10は、図4に示すように、凹部15
の底面15aがマスター情報担体1に比べて滑らかにな
っている。底面5aおよび底面15aの中心線平均粗さ
R(a)はそれぞれ、0.9nm、0.8nmである。
【0032】凹部5および凹部15にそれぞれ同じ方法
により強磁性材料4を堆積した後に、マスター情報担体
1およびマスター情報担体10のそれぞれの表面に対し
てCMP(Chemical Mechanical
Polishing)による研磨を行い、それぞれの非
磁性基体2および強磁性材料4の表面の中心線平均粗さ
R(a)が0.8nmとなるようにした。
【0033】このように強磁性材料4が堆積される凹部
の底面の粗さのみ異なる比較実験用マスター情報担体1
0とともにプリフォーマット信号の連続転写を行うこと
により、マスター情報担体1の強磁性材料4の薄膜と非
磁性基体2との結合力が従来のマスター情報担体よりも
高められていることを確認することができる。
【0034】連続転写の方法の詳細は、特開平10−2
69566号公報に述べられており、本実施の形態にお
いてもこの方法を踏襲した。当該公報に述べられている
連続転写方法の概要は以下の通りである。プリフォーマ
ット信号を記録するハードディスクの記録面をマスター
情報担体の強磁性材料4側に密着させ、更にマスター情
報担体とハードディスクとの間の空気を排気して真空に
することにより両者を更に密着させる。ハードディスク
と密着したマスター情報担体に磁界をかけることにより
強磁性材料4が磁化し、磁化した複数の強磁性材料4が
形成する信号パターンがプリフォーマット信号としてハ
ードディスクに記録される。
【0035】上述の方法により、マスター情報担体1と
比較実験用マスター情報担体10とについてそれぞれ1
万回の連続転写の実験を行った。
【0036】この結果、非磁性基体2の強磁性材料4と
界面の中心線平均粗さR(a)が、0.8nmと小さい
比較実験用マスター情報担体10においては、複数の箇
所において非磁性基体2からの強磁性材料4の薄膜の剥
離が起こっていた。
【0037】一方、凹部5の底面5aを意図的に粗くし
て、非磁性基体2の強磁性材料4と界面の中心線粗さR
(a)を、0.9nmとした本発明の第1の実施の形態
のマスター情報担体1においては、強磁性材料4の剥離
は見られなかった。
【0038】これにより、強磁性材料4と非磁性基体2
との界面である底面5aを意図的に粗く形成して、強磁
性材料4の薄膜と非磁性基体2との接触面積を増加させ
た本発明の第1の実施の形態のマスター情報担体1で
は、従来のマスター情報担体に比べて強磁性材料4と非
磁性基体2との結合力が高められていることが証明され
た。
【0039】したがって、本発明の第1の実施の形態の
マスター情報担体1は、従来のマスター情報担体よりも
連続転写回数に対する寿命が長く、1つのマスター情報
担体1でより多くの磁気記録媒体に対して連続転写でき
るので、ハードディスクなどの磁気記録媒体の生産コス
トを低減することができる。
【0040】(第2の実施の形態)第2の実施の形態に
おけるマスター情報担体(以下、「マスター情報担体
6」とする)の構成概要は、第1の実施の形態にて説明
した図1および図2に示す構成と同じである。マスター
情報担体6が、第1の実施の形態のマスター情報担体1
と異なる点は、図5に示すように、非磁性基体2に設け
られた強磁性体4を堆積する凹部7の底面7aの中心線
平均粗さをさらに粗くし、強磁性体4の表面を堆積時の
ままにして研磨しない点である。
【0041】マスター情報担体6の図5に示す構造は以
下のような手順により製作される。まず、ドライエッチ
ング加工により凹部7を形成し、底面7aの中心線平均
粗さR(a)が1.2nmになるように非磁性基体2を
加工する。
【0042】つぎに、スパッタリング法、真空蒸着法、
イオンプレーティング法、CVD法、メッキ法などを用
いて凹部7に強磁性材料4を堆積して厚さ約200nm
の薄膜を形成する。表面が粗くなった底面7aに上記の
方法で強磁性材料4の薄膜を形成すると、強磁性材料4
の表面にも底面7aの粗さに応じた凹凸が形成される。
図5に示すように、底面7aの中心線平均粗さR(a)
が1.2nmの場合には、強磁性材料4の表面に現れる
凹凸の中心線平均粗さR(a)は、4.0nmとなる。
【0043】つぎに、強磁性材料4の構成材料に影響を
与えず、非磁性基体2の構成材料のみに影響を与えるよ
うに配合されたスラリーを用いて、非磁性基体2の表面
を研磨して中心線平均粗さR(a)を0.8nmにす
る。
【0044】こうして、非磁性基体2の表面の中心線平
均粗さR(a)と底面7aの中心線平均粗さR(a)と
の比が1.5であるマスター情報担体6を製造する。
【0045】このように構成されたマスター情報担体6
によれば、強磁性材料4と非磁性基体2との接触面がさ
らに増大して強磁性材料4と非磁性基体2との結合力が
大きくなって強磁性材料4が非磁性基体2から剥離しに
くくなるだけでなく、プリフォーマット記録時に密着す
る強磁性材料4と磁気記録媒体との接触面積が小さいの
で、マスター情報担体6から磁気記録媒体を引き離す際
の力が少なくて済み、強磁性材料4がさらに非磁性基体
2から剥離しにくくなる。
【0046】上記の効果を確認するために以下のような
実験を行った。
【0047】図6に示すように、強磁性体4を堆積する
凹部17の底面17aの中心線平均粗さR(a)が1.
0nmである非磁性基体2に、マスター情報担体6と同
一の方法によって、強磁性材料4を厚さ約200nmの
薄膜を形成した、比較実験用マスター情報担体(以下こ
れを「マスター情報担体20」とする)を作成する。底
面7aの中心線平均粗さR(a)が1.0nmである場
合には、強磁性体4の表面の中心線平均粗さR(a)は
2.0nmとなる。
【0048】このマスター情報担体20の表面を、非磁
性基体2の表面のみを研磨するように配合された上述の
スラリーを用いて、中心線平均粗さR(a)が0.8n
mになるように研磨する。したがって、比較実験用マス
ター情報担体20における非磁性基体2の表面の中心線
平均粗さR(a)と底面17aの中心線平均粗さR
(a)との比は1.25となる。なお、本発明の第2の
実施の形態におけるマスター情報担体6についてはこの
比が1.5である。
【0049】マスター情報担体6と比較実験用マスター
情報担体20との底面7a、底面17aおよび強磁性材
料4の表面のそれぞれの中心線平均粗さR(a)は、そ
れぞれ、1.2nm、1.0nm、4.0nm、2.0
nmである。また、強磁性材料4が堆積されない非磁性
基体2の表面の中心線平均粗さR(a)は、ともに0.
8nmである。
【0050】このように強磁性材料4が堆積される凹部
7、17の底面7a、17aの粗さと、強磁性材料4の
表面の粗さのみ異なる比較実験用マスター情報担体20
とともにプリフォーマット信号の連続転写を行うことに
より、マスター情報担体6の強磁性材料4の薄膜と非磁
性基体2との結合力が従来のマスター情報担体よりも高
められていることを確認することができる。
【0051】連続転写の方法は、第1の実施の形態と同
じく、特開平10−269566号公報に述べられてい
る方法を用いる。この方法により、マスター情報担体6
と比較実験用マスター情報担体20とについてそれぞれ
10万回の連続転写の実験を行った。
【0052】この結果、非磁性基体2の表面の中心線平
均粗さR(a)と底面17aの中心線平均粗さR(a)
との比が1.25である、比較実験用マスター情報担体
20では、多くの箇所で非磁性基体2からの強磁性材料
4の薄膜の剥離が見られた。一方、非磁性基体2の表面
の中心線平均粗さR(a)と底面7aの中心線平均粗さ
R(a)との比が1.5である、本発明の第2の実施の
形態におけるマスター情報担体6では、非磁性基体2か
らの強磁性材料4の薄膜の剥離が全く見られなかった。
【0053】非磁性基体2の表面の中心線平均粗さR
(a)と底面7aの中心線平均粗さR(a)との比をさ
まざまに変更して同様の実験を繰り返した結果、R
(a)の比が1.5以上の場合には、10万回の連続転
写を行っても強磁性材料4の剥離が見られなかった。し
かし、非磁性基体2の表面の中心線平均粗さR(a)と
底面7aの中心線平均粗さR(a)との比が1.5より
小さい場合には、1万回以上の連続転写を行うと強磁性
材料4の剥離が多少見られた。なお、非磁性基体2の表
面の中心線平均粗さR(a)と底面7aの中心線平均粗
さR(a)との比を変更する際に、非磁性基体2の表面
の中心線平均粗さR(a)は0.8nmに固定とした。
【0054】以上の実験により、非磁性基体2の表面の
中心線平均粗さR(a)と底面7aの中心線平均粗さR
(a)との比を1.5以上とした本発明の第2の実施の
形態におけるマスター情報担体6では、従来のマスター
情報担体に比べて、非磁性基体2からの強磁性材料4の
剥離が格段に低減されることが証明された。
【0055】したがって、本発明の第2の実施の形態の
マスター情報担体6は、従来のマスター情報担体よりも
連続転写回数に対する寿命が長く、1つのマスター情報
担体6でより多くの磁気記録媒体に対して連続転写でき
るので、ハードディスクなどの磁気記録媒体の生産コス
トを低減することができる。
【0056】本発明の実施の形態は、上述のものに限ら
ず種々変更して実施が可能である。例えば、強磁性材料
を堆積する非磁性基体に設ける凹部において、底面部の
みの中心線平均粗さを意図的に大きくしたが、底面部に
限らず凹部の側面についても適宜、中心線平均粗さを大
きくしてもよい。
【0057】また、上述の実施の形態では強磁性材料の
上面が非磁性基体に設けた凹部の上端に一致するかもし
くは上端付近に位置するように強磁性材料を堆積した
が、これに替えて、図7に示すように強磁性材料4の上
面が非磁性基体2の凹部8の上端から突出するようにし
てもよい。さらに、図8に示すように、平坦な非磁性基
体2の表面2aの一部を加工して中心線平均粗さを意図
的に大きくした粗面部9を設け、この粗面部9上に強磁
性材料4を堆積するようにしてもよい。
【0058】また、上述の実施の形態では、主にディス
ク状の磁気記録媒体に主眼をおいて説明を行ったが、磁
気カードや磁気テープ等の磁気記録媒体においても応用
可能であり、上記と同様の顕著な作用効果を得ることが
できる。
【0059】さらに、磁気記録媒体にプリフォーマット
記録される情報信号に関し、トラッキング用サーボ信号
やアドレス情報信号、再生クロック信号等のプリフォー
マット信号に主眼をおいて記述を行った。しかし、本発
明の構成により記録が可能な情報信号は、上記に限られ
たものではなく、様々なデータ信号やオーディオ、ビデ
オ信号の記録を行うことも可能である。この場合には、
本発明のマスター情報坦体とこれを用いた磁気記録媒体
への記録方法によって、ソフトディスク媒体の大量複写
生産を効率的に行うことができ、安価に提供することが
可能である。
【0060】上記のような様々な本発明の応用の形態
が、その特徴に応じて変更された様々な構成の形態とと
もに、本発明の範疇に属することはいうまでもない。
【0061】
【発明の効果】本発明のマスター情報担体によれば、プ
リフォーマット信号を非磁性基体上に形成する強磁性材
料の剥離の抑制効果が比較的に高まるので、マスター情
報担体の連続使用に対する寿命が長くなり、1つのマス
ター情報担体でより多くの磁気記録媒体に対してプリフ
ォーマット信号の連続転写が行え、ハードディスクなど
の磁気記録媒体の生産コストを低減することが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】マスター情報担体を示す概要図。
【図2】図1の領域Aの拡大図で、プリフォーマット信
号の形成例を示す図。
【図3】図2のB-B線に沿った断面図で、本発明の第
1の実施の形態におけるマスター情報担体の概要を示す
断面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるマスター情
報担体との比較実験を行う比較実験用マスター情報担体
の概要を示す断面図。
【図5】図2のB-B線に沿った断面図で、本発明の第
2実施の形態におけるマスター情報担体の概要を示す断
面図。
【図6】本発明の第2実施の形態におけるマスター情報
担体との比較実験を行う比較実験用マスター情報担体の
概要を示す断面図。
【図7】本発明に係るマスター情報担体のその他の実施
の形態の1例を示す図。
【図8】本発明に係るマスター情報担体のその他の実施
の形態の1例を示す図。
【符号の説明】
1 マスター情報担体 2 非磁性基体 2a 表面 3 信号領域 4 強磁性材料 5、7、8 凹部 5a、7a、8a 底面 9 粗面部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 領内 博 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−40544(JP,A) 特開 平10−269566(JP,A) 特開2000−195046(JP,A) 特開 平10−320768(JP,A) 特開 平11−273070(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/62 - 5/86

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基体と、 前記非磁性基体の表面に、信号配列に対応する形状パタ
    ーンを形成するように堆積された複数の強磁性材料とを
    備え、 前記非磁性基体は、前記強磁性材料が堆積されていない
    第1表面と、前記各強磁性材料が堆積されて各強磁性材
    料との界面をなす第2表面とを有し、前記第2表面にお
    ける中心線平均粗さが、前記第1表面における中心線平
    均粗さよりも大きいことを特徴とするマスター情報担
    体。
  2. 【請求項2】 前記第2表面における中心線平均粗さ
    が、0.9nm以上である請求項1に記載のマスター情
    報担体。
  3. 【請求項3】 前記第2表面における中心線平均粗さ
    が、前記第1表面における中心線平均粗さの1.5倍以
    上である請求項1に記載のマスター情報担体。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載されたマスター情報担体
    を、磁気記録媒体表面に密着させて、前記各強磁性材料
    を磁化させることにより、前記各強磁性材料が形成する
    信号配列による情報信号を前記磁気記録媒体に記録する
    ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第2表面における中心線平均粗さ
    が、0.9nm以上である請求項に記載の磁気記録媒
    体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第2表面における中心線平均粗さ
    が、前記第1表面における中心線平均粗さの1.5倍以
    上である請求項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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