JP3362364B2 - ファジイ推論システムおよび方法ならびに前件部処理装置 - Google Patents

ファジイ推論システムおよび方法ならびに前件部処理装置

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JP3362364B2 JP21237992A JP21237992A JP3362364B2 JP 3362364 B2 JP3362364 B2 JP 3362364B2 JP 21237992 A JP21237992 A JP 21237992A JP 21237992 A JP21237992 A JP 21237992A JP 3362364 B2 JP3362364 B2 JP 3362364B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】この発明は,パターン情報に現われたファ
ジィ概念を取扱うためのファジィ推論システムおよび方
法,ならびにこのシステムおよび方法で用いられるパタ
ーン入力型メンバーシップ値生成装置および方法に関す
る。
【0002】
【背景技術】ファジィ技術はあいまい性を取扱う技術で
ある。人間が行なっている情報処理は,あいまいな言語
を用いて行なわれている。そして,人間の持つ知識もそ
のようなあいまいな言語でないと表現できないものが多
い。
【0003】このようなあいまいな言語で表現された知
識(ルール)には次ような様々なレベルのものがある。
【0004】(1)IF 取水量が「少なく」,季節が
「春」,時刻が「午前」,THEN 注入率を少し多くす
る。 (2)IF 写っている物が「スポーツカー」で,その色が
「赤っぽい」,速度が「高速」,THEN 警報を中程度と
する。 (3)IF 写っている物が「角張り」,模様が「渋い」,TH
EN 購入意欲を減退させる。 (4)IF 会社の経営が「革新的」で,雰囲気が「明る
い」,THEN 学生の人気は上昇する。 (5)IF 我々の働きが「良好」,THEN 社会がよりよくな
る, IF 社会が「よりよくなる」,THEN 我々の生活が向上
する。
【0005】従来のファジィ技術は,スカラ量の入力信
号をメンバーシップ関数に適用して得られるメンバーシ
ップ値(適合度)を用いてファジィ推論やファジィ制御
を行なうものが殆どであった。
【0006】たとえば上記知識の例でいうと,(1) の
「少ない」,(2) の「高速」などがスカラ量である。
【0007】上記(1) の知識における「春」,「午前」
などは年月日時間を用いてスカラ量に変換することがで
きる。従来のファジィ技術では上記(1) のレベルの知識
しか取扱えなかった。すなわち,取扱い可能なものは,
台集合として1つのスカラ型の物理量を設定し,その台
集合上にメンバーシップ関数を定義できるものに限られ
ていた。
【0008】ところが,上記(2) のような知識におい
て,「スポーツカー」というファジィ概念は,1つのス
カラ型の物理量を台集合としたメンバーシップ関数では
到底,表現できるものではない。メンバーシップ関数と
いう枠組みでは表現できないものであるといえる。
【0009】上記の「スポーツカー」のようなパターン
概念は,少なくともテレビカメラから得た画像を入力す
る枠組みでないと表現できないものである。一般的に言
うと上記(2) のような知識はパターン情報に対応するフ
ァジィ概念を取扱う枠組みを必要とする。
【0010】上記(3) の知識も上記(2) の知識と同様に
パターン情報に対応するファジィ概念の取扱いの枠組み
を必要とするものである。しかし,上記(2) が物理的な
パターン情報を直接的に取扱うものであるのに対して,
上記(3) は物理的なパターン情報を別の空間に写像して
得られるパターンを取扱うものである点において少し異
なる。
【0011】上記(4) や(5) の知識は,スカラ型の物理
量でも,物理的なパターン情報にも対応するものでもな
い。今のところ対応させるべき情報の種類すら分らない
のが現状である。便宜的にはいろいろな経営指標やアン
ケート調査の結果の数値を上記(4) や(5) の知識に対応
させることは可能である。しかしながら,それが上記
(4) や(5) の知識の本質をとらえていないこともまた明
白である。
【0012】このように,従来のファジィ技術ではスカ
ラ型の物理量しか取扱えなかったので,非常に単純な知
識しか表現できなかった。そのため,人間の意志決定や
予測を支援するための複雑な情報処理が困難であるとい
う問題点があった。
【0013】
【発明の開示】この発明は,上記(2) の知識において表
現されるようなパターン情報をファジィ推論やファジィ
制御において取扱うことができるようにすることを目的
とする。
【0014】この発明によるファジィ推論システムは,
スカラ量の入力変数に対しては入力変数コードとメンバ
ーシップ関数を表わすコードとを用いて,パターン情報
の入力変数に対しては入力変数コードとパターンのカテ
ゴリを表わすコードとを用いて表現され,かつ入力変数
についてスカラ量かパターン情報かの区別を表わす区別
コードを含んでいる1または複数の前件部サブルール
と,後件部サブルールとからそれぞれ構成される複数の
ファジィ・ルールを記憶するルール記憶手段,上記ルー
ル記憶手段から読出される処理すべき前件部サブルール
によって指定されるメンバーシップ関数に対する,スカ
ラ量センサから入力する入力信号の適合度を求める第1
の適合度演算手段,上記ルール記憶手段から読出される
処理すべき前件部サブルールによって指定されるカテゴ
リに対する,パターン情報センサから入力する入力信号
の適合度を求める第2の適合度演算手段,上記ルール記
憶手段から読出される処理すべき前件部サブルールの上
記区別コードにしたがって上記第1および第2の適合度
演算手段を切替える切替え手段,ならびに上記切替え手
段によって選択された第1または第2の適合度演算手段
から得られる適合度に所定の演算を施してファジィ推論
出力を発生する推論演算手段を備えている。
【0015】この発明によるファジィ推論方法は,スカ
ラ量の入力変数に対しては入力変数コードとメンバーシ
ップ関数を表わすコードとを用いて,パターン情報の入
力変数に対しては入力変数コードとパターンのカテゴリ
を表わすコードとを用いて表現され,かつ入力変数につ
いてスカラ量かパターン情報かの区別を表わす区別コー
ドを含んでいる1または複数の前件部サブルールと,後
件部サブルールとからそれぞれ構成される複数のファジ
ィ・ルールをあらかじめルール・メモリに設定してお
き,上記ルール・メモリからファジィ・ルールを読出
し,その前件部サブルールの入力変数がスカラ量に関す
るものであるときは,読出された前件部サブルールによ
って指定されるメンバーシップ関数に対する,スカラ量
センサから入力する入力信号の適合度を求め,上記ルー
ル・メモリから読出された前件部サブルールの入力変数
がパターン情報に関するものであるときには,読出され
た前件部サブルールによって指定されるカテゴリに対す
る,パターン情報センサから入力する入力信号の適合度
を求め,得られる適合度に所定の演算を施してファジィ
推論出力を発生するものである。
【0016】この発明によると,入力パターン情報をフ
ァジィ・ルールにおいて規定されたカテゴリに対比させ
てその適合度を得るようにしているので,パターン情報
もスカラ量と同じようにファジィ推論において取扱える
ようになる。
【0017】特にこの発明によるファジィ推論システム
および方法によると,スカラ量の入力信号とパターンに
よって表わされる入力情報との両方を取扱うことができ
るので,ファジィ技術の応用範囲が非常に広がる。
【0018】この発明は上記ファジイ推論システムおよ
び方法で用いられる前件部処理装置も提供している。
【0019】この発明による前件部処理装置は,スカラ
量の入力変数に対しては入力変数コードとメンバーシッ
プ関数を表わすコードとを用いて,パターン情報の入力
変数に対しては入力変数コードとパターンのカテゴリを
表わすコードとを用いて表現され,かつ入力変数につい
てスカラ量かパターン情報かの区別を表わす区別コード
を含んでいる1または複数の前件部サブルールを含むあ
らかじめ設定されたファジィ・ルールにしたがって前件
部適合度を生成する前件部処理装置であり,前件部サブ
ルールによって指定されるメンバーシップ関数に対す
る,スカラ量センサから入力する入力信号の適合度を求
める第1の適合度演算手段,前件部サブルールによって
指定されるカテゴリに対する,パターン情報センサから
入力する入力信号の適合度を求める第2の適合度演算手
段,前件部サブルールに含まれる上記区別コードにした
がって上記第1および第2の適合度演算手段を切替える
切替え手段,ならびに上記切替え手段によって選択され
た第1または第2の適合度演算手段から得られる適合度
に所定の演算を施してファジィ・ルールごとの前件部適
合度を発生する演算手段を備えている。
【0020】上記第2の適合度演算手段は,一実施態様
では,複数のカテゴリのそれぞれについて標準パターン
情報をあらかじめ格納した標準パターン記憶手段,入力
信号によって表わされる入力パターン情報と,上記標準
パターン記憶手段の前件部サブルールによって指定され
るカテゴリの標準パターン情報との距離を算出する距離
算出手段,および距離が零の場合に1の値をとり,距離
が大きくなるにつれて値が減少するように,上記距離算
出手段から得られる距離を適合度に変換する適合度生成
手段を備えている。
【0021】上記第2の適合度演算手段は,他の実施態
様では,上記パターン情報センサによって入力されたパ
ターン情報に関係づけられたカテゴリを,そのカテゴリ
に関する標準パターン情報に変換する標準パターン情報
生成手段,上記パターン情報センサによって入力された
パターン情報と上記標準パターン情報生成手段によって
生成された標準パターン情報との距離を算出する距離算
出手段,および距離が零の場合に1の値をとり,距離が
大きくなるにつれて値が減少するように,上記距離算出
手段から得られる距離を適合度に変換する適合度生成手
段を備えている。
【0022】
【0023】上記距離の算出にはいくつかの方法があ
る。
【0024】その1つは,標準パターン情報の特徴ベク
トルを生成し,入力パターン情報の特徴量を抽出し,抽
出した特徴量から特徴ベクトルを生成し,標準パターン
情報の特徴ベクトルと入力パターン情報の特徴ベクトル
との距離を算出するものである。
【0025】他の1つは,標準パターン情報と入力パタ
ーン情報とのパターン・マッチングを行ない,パターン
の不一致度から上記距離を算出するものである。
【0026】この実施様態では,入力パターン情報を,
前件部サブルールによってそれに関係づけられたカテゴ
リの標準パターン情報と対比することにより,そのカテ
ゴリに対する入力パターン情報の適合度を求めているの
で,パターン情報も従来のスカラ量と同じように取扱え
るようになり,ファジィ技術の応用が広がる。
【0027】
【実施例の説明】具体的に分りやすくするために,スカ
ラ量とパターン情報とを取扱うファジィ推論システムま
たはファジィ制御システムの応用例についてまず説明す
る。
【0028】図1は交差点に設置された警報システムを
示すものである。
【0029】自動車が走行する第1の道路L1にT字形
(または十字形)に他の道路L2が交差しているものと
する。この警報システムは道路L2を進んできて道路L
1を横断しようとする歩行者に,道路L1を走行する車
両の種類,走行速度,交差点までの距離等に応じて,危
険度に対応した音量で警報音を発生することにより警報
しようとするものである。
【0030】交差点の近傍に支柱13がたてられ,この支
柱にセンサ群が取付けられている。センサ群には,道路
L1を交差点に向って走行してくる車両をとらえるTV
カメラ1,道路L2を交差点に向って歩んでくる歩行者
をとらえるTVカメラ2,ならびに道路L1を交差点に
向って走行してくる車両の走行速度および車両から交差
点までの距離をそれぞれ測定する速度センサ3および距
離センサ4が含まれる。この他にも種々のセンサを設け
ることができるのはいうまでもない。
【0031】TVカメラ1およびTVカメラ2はパター
ン情報を取込むためのパターン情報センサである。ま
た,速度センサ3および距離センサ4はスカラ量を取込
むスカラ量センサである。
【0032】支柱13にはさらに,道路L2を歩行する者
に警報音を発生するスピーカ11が取付けられている。
【0033】このような警報システムにおいて,歩行者
に迫る危険度に応じた警報音量を発声するために用いら
れるファジィ・ルールはたとえば次のようなものであ
る。
【0034】(ルール1) IF CAM1=赤いスポーツカー & SPEED=P
L,THEN VOL=PM (もしTVカメラ1が赤いスポーツカーをとえら,かつ
その速度が非常に速いならば,警報音を中程度とせ
よ。)
【0035】(ルール2) IF LENG=PL & SPEED=PM,THEN V
OL=ZR (もし交差点へ向う車から交差点までの距離が非常に長
く,かつその速度が中程度であるならば,警報音を零と
せよ。)
【0036】(ルール3) IF CAM2=人間 & CAM1=ダンプカー &
LENG=PS& SPEED=PL,THEN VOL=
PL (もTVカメラ2が人間を検出し,かつTVカメラ1が
ダンプカーをとらえ,かつそのダンプカーまでの距離が
短く,かつその速度が非常に速いならば,警報音を大と
せよ。)
【0037】(ルール4) IF CAM1=ちょっとみてダンプカー & CAM2
=じっくりみて子供,THEN VOL=PM (もしTVカメラ1がちょっとみてダンプカーをとら
え,TVカメラ2がじっくりみて子供を検出しているな
らば,警報音を中程度とせよ。)
【0038】CAM1およびCAM2はそれぞれカメラ
1およびカメラ2からそれぞれ得られる画像を表わす入
力変数,SPEEDおよびLENGは速度センサ3およ
び距離センサ4から得られる速度および距離をそれぞれ
表わす入力変数,VOLはスピーカ11から出力されるべ
き警報音の音量を表わす出力変数である。
【0039】入力変数CAM1およびCAM2には,人
間,子供,ダンプカー,赤いスポーツカー等のパターン
情報が結合している。これらの人間,子供,ダンプカ
ー,赤いスポーツカー等をパターン情報のカテゴリー名
という。また,パターン情報に関するルールには「ちょ
っとみて」,「じっくりみて」のように,入力パターン
情報の厳密さないしは入力情報のファジィ推論における
応用の厳しさを表わすファクタが含まれている。
【0040】入力変数SPEED,LENGおよび出力
変数VOLにはメンバーシップ関数が結合している。メ
ンバーシップ関数にはNL,NM,NS,ZR,PS,
PMおよびPL(これをファジィ・ラベルという)によ
って表現される。NL,NM,NS,ZR,PS,PM
およびPLはそれぞれ,負に大きい,負に中位,負に小
さい,ほぼ零,正に小さい,正に中位および正に大きい
という意味である。
【0041】図2は警報システムの概略的な電気的構成
を示している。
【0042】ファジィ推論システム10には先に例示した
ファジィ・ルールが設定されている。このファジィ推論
システム10はそのすべてをハードウェア・アーキテクチ
ャにより実現することもできるし,ファジィ・ルールに
したがう処理を実行するようにプログラムされたコンピ
ュータで実現することも可能であるし,一部をハードウ
ェアにより他の部分をソフトウェアによって実現するこ
ともできる。
【0043】ファジィ推論システム10は上述した4種類
のセンサの出力信号を取込むためにファジィ・ルールに
したがって入力選択信号S1を出力する。TVカメラ1
およびTVカメラ2から出力される映像信号(またはA
/D変換後の画像データ),速度センサ3から出力され
る検出速度を表わす信号および距離センサ4から出力さ
れる検出距離を表わす信号のうちのいずれかが,入力選
択信号S1によって制御されるセレクタ12を経てファジ
ィ推論システム10に入力する。セレクタ12の出力,すな
わちシステム10への選択された入力Pは,画像データ等
のパターン情報および速度,距離情報等のスカラ量を含
む。
【0044】後に詳述するように,ファジィ推論システ
ム10においてファジィ・ルールにしたがう推論処理が実
行されることにより,推論結果を表わす推論出力uが得
られる。この推論出力uは警報音量を表わしており,こ
の出力uによってスピーカ11に流れる電流が制御され
る。
【0045】ファジィ推論システム10は大別すると,図
3に示すルール・メモリおよびその周辺部と,図4に示
す推論実行部とから構成される。
【0046】まず,ルール・メモリおよびその周辺部,
ならびにルール・メモリに格納されるルールを表わすコ
ードについて説明する。
【0047】各ルールは複数のサブルールに分解され
る。たとえば,上述したルール1は,次のように3つの
サブルールに分解される(図6も参照)。
【0048】(サブルール11) CAM1=赤いスポーツカー (サブルール12) SPEED=PL (サブルール13) VOL=PM
【0049】このようなサブルールは図5に示す構造も
つルール・コードによって表現される。ここではルール
・コードは23ビットで構成されているが,各部分のビッ
ト数を任意に増減できるのはいうまでもない。
【0050】先頭の4ビットは入力選択コードS1とい
われるもので,上述した入力選択信号S1を生じさせる
ものである(以下の記述ではルール・コード中の各コー
ドとそのコードによって生じる信号に同一符号を付
す)。図に示されるようにこの4ビット・コードによっ
てカメラ1,カメラ2,速度センサ3,距離センサ4等
が指定される。このコードに基づく入力選択信号S1に
よってセレクタ12が制御されるのは上述した通りであ
る。
【0051】次の7ビットは前件部コードS2といわれ
るものであり,さらに3種類のコードS20,S21,S22
に分けて考えることができる。
【0052】コードS20は入力変数がスカラ量を表わす
ものかパターン情報を表わすものかの区別を示す。CA
M1およびCAM2はパターン情報を表わすので,S20
=1,SPEEDおよびLENGはスカラ量を表わすの
でS20=0となる。
【0053】次のコードS21はS20が0の場合と1の場
合とで異なる。
【0054】S20=0の場合には,コードS21は前件部
ファジィ・ラベル(NL〜PL)を表わす。ファジィ・
ラベルに対するコードS21の割当では後述する後件部コ
ードS3と同じである。
【0055】S20=1の場合には,コードS21はカテゴ
リー名(赤いスポーツカー,ダンプカー,人間,子供
等)を指定するのに用いられる。
【0056】最後のコードS22は,S20=1,すなわち
パターン情報の場合にのみ意味をもち,上述した「ちょ
っとみて」とか「じっくりみて」のような厳格さ,また
は適用の強さを表わす。この実施例では厳格さは4段階
(n=1〜4)に分けられている。
【0057】後件部コードS3は後件部のファジィ・ラ
ベルを表わす。
【0058】制御コードC1,C2,C3,C4はそれ
ぞれ次のようなときに1にセットされ,他の場合は0と
なる。C1=1は各ルールにおける最初のサブルールで
あることを示す。C2=1は各ルールにおける最後のサ
ブルールであることを示す。C3=1はルール・メモリ
に格納された一連のルールの先頭であることを,C4=
1は一連のルールの末尾であることをそれぞれ示す。
【0059】最後の出力変数コードZは出力変数の種類
を示す。上述した応用例においては出力機器としてスピ
ーカしか用いられていないので出力変数は1種類しかな
い。一般には複数の出力機器ないしはアクチュエータが
ファジィ推論システムの推論出力によって制御されるの
で,複数種類の出力変数がありうる。
【0060】図6は上述したルール1のサブルール11,
12および13をそれぞれ表わすルール・コードを示してい
る。
【0061】サブルール11および12は前件部に関するも
のであるから後件部に関係するコードS3およびZとし
てそれぞれ無関係であることを示すコード1111が設
定されている。また,サブルール12はスカラ量に関係す
るものであるから(S20=0),コードS22は意味が無
い。ここでは便宜的にS22=00に設定されている。
【0062】サブルール13は後件部に関するサブルール
であるから,前件部に関係するコードS1およびS2=
S20+S21+S22には無関係であることを示すコードが
それぞれ設定されている。これらの無関係であることを
示すコードは,ここでは,S1=1111,S20=0,
S21=1111,S22=00である。これらのコードは
ファジィ推論システムに含まれる各回路が誤動作しなけ
れば何でもよい。
【0063】サブルール11はルール1の最初のサブルー
ルであるからC1=1である。
【0064】またサブルール13はルール1の最後のサブ
ルールであるからC2=1に設定されている。ルール1
は一連のルールの先頭にあるから,そのことを示すため
にサブルール13においてC3=1と設定されている。
【0065】図3を参照して,ルール・メモリ36には図
5に示す構造をもつ一連のサブルールがその順番をアド
レスの順序に一致させてあらかじめ格納されている。カ
ウンタ38にはクロック信号CKが与えられ,カウンタ38
はこのクロック信号CKを計数していくことにより,順
次インクレメントされるアドレス信号を出力する。
【0066】このアドレス信号がルール・メモリ36に与
えられることにより,ルール・データ読出しユニット37
の働きにより,一連のルール・コードがルール・メモリ
36からアドレスの順序で読出される。ルール・コードを
構成する各コードS1,S2(=S21+S22+S23),
S3,C1〜C4およびZが読出され,これらのコード
によって生じる各種制御信号がファジィ推論システム10
の各回路要素に与えられることになる。
【0067】設定された一連のルールのうち最後のルー
ルの最後のサブルールが読出されたときにC4=1とな
るので,これによりカウンタ38がリセットされる。また
この制御コードC4に基づく制御信号はディレイ回路39
を経て,ゲート制御信号Gとして後述するゲート回路34
に与えられるとともに,ストローブ信号として出力され
る。ディレイ回路39はデファジファイア33の動作時間を
保証するためのものであり,デファジファイア33におけ
るデファジファイ処理に要する時間,入力信号を遅らせ
る。
【0068】出力変数コードZに基づく信号は出力変数
アドレス信号として外部に出力される。これはファジィ
推論により得られた推論出力によって制御すべき出力機
器またはアクチュエータを指定するために用いられる。
【0069】図4を参照してファジィ推論システムの動
作の概略を説明しておく。
【0070】サブルールのルール・コードが読出される
毎に,そのルール・コードに含まれる入力選択コードS
1によってそのサブルールの処理に必要なセンサの出力
信号がセレクタ12を介して取込まれる。この選択された
入力Pは前件部処理ユニット20に与えられる。
【0071】前件部処理ユニット20の詳しい構成につい
ては図7から図9を参照して後述するが,このユニット
20には前件部コードS2と制御コードC1とが与えられ
る。
【0072】前件部処理ユニット20からは前件部適合度
min が出力され,トランケーション・ユニット31に与
えられる。各ルールの最後のサブルール(後件部に関す
るサブルール)において制御コードC2=1に設定され
ているので,この制御コードC2に基づくルール単位制
御信号がトランケーション・ユニット31に与えられる。
この制御信号C2に応答してトランケーション・ユニッ
ト31は前件部適合度gmin を内部に取込み,次に示すト
ランケーション動作を行なう。
【0073】一方,後件部メンバーシップ関数(MF)
メモリ30には後件部で用いられるNL〜PLのメンバー
シップ関数を表わすデータがあらかじめ格納されてい
る。このデータはメンバーシップ関数をその関数値テー
ブルで表わすものであっても,数式またはそのパラメー
タで表わすものであっても,いずれでもよい。後件部に
関するサブルールに含まれる後件部コードS3によって
指定される後件部メンバーシップ関数がこのメモリ30か
ら読出され,トランケーション・ユニット31に与えられ
る。
【0074】トランケーション・ユニット31は後件部M
Fメモリ30から入力する後件部メンバーシップ関数を,
取込んだ前件部適合度gmin のレベルで裁断する。これ
がトランケーション処理である。
【0075】MAX合成回路32には,ルール群の開始を
示す制御コードC3に基づく制御信号が与えられてお
り,この制御信号C3が1になったときからこの回路32
は動作を開始する。
【0076】トランケーション・ユニット31における演
算処理に必要な時間だけ遅延回路35によって遅れた信号
C2がMAX合成回路32に与えられたときに,回路32は
トランケーション・ユニット31においてトランケーショ
ン処理されたメンバーシップ関数を取込む。トランケー
ション処理されたメンバーシップ関数の取込みは各ルー
ルごとに行なわれる。MAX合成回路32は各ルールにお
けるトランケーション後のメンバーシップ関数のMAX
演算を,その取込みごとに行なう。
【0077】遂に一連のすべてのルールについての読出
しが終了すると,最後のサブルールの読出しにおいてC
4=1となる。この制御コードC4に基づくルール終了
信号はデファジファイア33に与えられるので,デファジ
ファイア33はそのときのMAX合成回路32のMAX合成
されたメンバーシップ関数を取込み,重心演算,その他
の方法により取込んだメンバーシップ関数をデファジフ
ァイする。
【0078】この後,ゲート制御信号Gによってゲート
回路34のゲートが開かれるので,デファジファイア33に
おいてデファジファイされた推論出力uはゲート回路34
を通って外部に出力されることになる。
【0079】図7を参照して前件部処理ユニット20の構
成および動作について説明する。
【0080】前件部に関するサブルールに含まれる前件
部コードS2を構成するコードのうち,コードS20,S
21はメンバーシップ関数回路(MFC)群21に,全コー
ドS20,S21,S22はメンバーシップ値生成部40に,さ
らにコードS20は切替ユニット22にそれぞれ与えられ
る。
【0081】S20=0のとき,選択された入力信号Pは
MFC群21に取込まれ,S20=1のとき入力信号Pはメ
ンバーシップ値生成部40に取込まれる。
【0082】MFC群21には上述した前件部ファジィ・
ラベルNL〜PLのメンバーシップ関数信号を出力する
メンバーシップ関数回路(MFC)が含まれている。こ
れらのMFCのうち,コードS21によって指定されたも
のが選択される。スカラ量を表わす入力信号Pは選択さ
れたMFCに入力し,入力信号Pに対応するメンバーシ
ップ関数値を表わす信号が適合度gを表わす信号として
出力される。したがって,適合度gは前件部のサブルー
ルごとに出力されることになる。
【0083】メンバーシップ値生成部40の詳細について
は図8を参照して後に説明するが,この生成部40はパタ
ーン情報を表わす入力信号Pを取込んで,サブルールご
とに適合度gを表わす信号を出力する。
【0084】S20=0のときはMFC群21の出力適合度
gが,S20=1のときにはメンバーシップ値生成部40の
出力適合度gがそれぞれ切替ユニット22を通ってMIN
回路23に与えられる。
【0085】MIN回路23は入力する適合度gとMIN
値レジスタ24に格納されている値との小さい方を選択す
る。この選択された値をMIN値レジスタ24に格納され
る。各ルールの最初のサブルールの処理において制御コ
ードC1=1となる。この制御コードC1に基づく制御
信号によってMIN値レジスタ24に初期値(論理値1)
がセットされる。サブルールにしたがう適合度gの演算
ごとにMIN値レジスタ24の値が更新されていくので,
MIN値レジスタ24の出力適合度gmin は,各ルールに
おける適合度の最小値を表わすことになる。この出力適
合度gmin は各ルールの最後のサブルール(後件部のル
ール)におけるC2=1となる制御信号に応答してトラ
ンケーション・ユニット31に取込まれるのは上述した通
りである。
【0086】図8を参照して,パターン情報に関してル
ールにしたがう適合度gを生成するメンバーシップ値生
成部40の構成と動作について説明する。
【0087】選択された入力信号Pによって表わされる
入力パターン情報は,制御信号S20が1のときにパター
ン・メモリ41に格納され,特徴抽出ユニット42における
処理の対象となる。パターン・メモリ41はパターン情報
が画像データの場合には,画像データを画素ごとに記憶
する画像メモリであり,パターンが時系列信号パターン
である場合には,時刻に対応するアドレスのエリアに対
応時刻における振幅値を格納する時系列信号メモリであ
る。
【0088】一方,特徴抽出プログラム・ライブラリ46
には,パターンのカテゴリ名ごとに,1または複数の特
徴抽出プログラムがあらかじめ格納されている。
【0089】また,特徴抽出プログラム指定信号生成部
45は,図9に示すように,パターンのカテゴリ名を示す
コードS21に対応して,そのカテゴリ名に関する特徴抽
出プログラムが格納されているプログラム・ライブラリ
46のエリアの先頭アドレスを記憶したアドレス・メモリ
48を有している。1つのカテゴリ名に対応する特徴抽出
プログラムが複数個ある場合には,各プログラムの先頭
アドレスがそのカテゴリ名のコードに対応して記憶され
ている。
【0090】パターン情報に関する前件部のサブルール
が読出されてそのコードS20,S21が指定信号生成部45
に与えられると,コード信号S20に応答して生成部45は
起動され,コードS21によって指定される特徴抽出プロ
グラムのすべての先頭アドレス(たとえばS21=000
の場合には先頭アドレスad1,ad2およびad3)
が読出しユニット49を介して読出される。この読出され
た先頭アドレスを表わす信号はプログラムの先頭アドレ
スの集合の信号Sq として特徴抽出プログラム・ライブ
ラリ46に与えられる。
【0091】この信号Sq が与えられると,プログラム
・ライブラリ46から信号Sq によって指定されるアドレ
スから特徴抽出プログラムが読出される。読出された1
または複数の特徴抽出プログラムは特徴抽出ユニット42
に設定される。
【0092】特徴抽出ユニット42において,そこに設定
された特徴抽出プログラムにしたがって,パターン・メ
モリ41内のパターン情報Pの特徴量が抽出される。1個
の特徴抽出プログラムで複数種類の特徴量を抽出するこ
とも可能であるが,ここでは簡単のために1個の特徴抽
出プログラムによって1種類の特徴量が抽出されるもの
とする。このようにして抽出された複数種類の特徴量を
v1,v2,…,vmとする。V=(v1,v2,…,
vm)をパターンPの特徴ベクトルと呼ぶことができ
る。この特徴ベクトルVは距離算出部43に与えられる。
【0093】標準パターン・ベクトルのライブラリ47に
は,カテゴリ名ごとに,そのカテゴリの標準的なパター
ンから特徴抽出プログラムによって抽出された特徴量v
01,v02,…,v0mの集合からなる標準ベクトル
V0=(v01,v02,…,v0m)があらかじめ格
納されている。コードS20,S21がこのライブラリ47に
与えられているので,ライブラリ47からは,コードS21
によって指定されるカテゴリ名の標準ベクトルV0が読
出され,距離算出部43に与えられる。
【0094】距離算出部43は,特徴ベクトルVと,標準
ベクトルV0との特徴空間における距離dを算出する。
たとえば,距離dは次式で表わされる。
【0095】
【数1】 d=|v1−v01|+|v2−v02|+…+|vm−v0m| ‥式1
【0096】特徴ベクトルおよび標準ベクトルの各要素
パラメータを正規化した後に,距離算出を行なうことも
可能である。すなわち,各パラメータごとにパラメータ
からその平均値を引いて,この減算結果をそのパラメー
タの標準偏差で割ることによって,パラメータを正規化
するのである。
【0097】パターン・マッチングの手法によって距離
を算出することもできる。パターン・ライブラリを設
け,このパターン・ライブラリに,カテゴリ名ごとに各
カテゴリの標準パターンをあらかじめ格納しておく。パ
ターン・マッチング・ユニットを設け,このパターン・
マッチング・ユニットにおいて,パターン・メモリ41の
入力パターンPとパターン・ライブラリに格納されてい
るコードS21によって指定されるカテゴリ名の標準パタ
ーンとを照合し,一致しないパターン要素の個数を算出
する。この不一致数が入力パターンと標準パターンの間
の距離dとして距離算出部43から出力される。
【0098】適合度生成部44は,距離算出部43の出力す
る距離dを,入力されたパターンPのルールによって規
定されるカテゴリ名に対する適合度gに変換する。この
変換は,d=0のときにはg=1となり,d=∞のとき
にはg=0となる単調な関数を用いて行なわれる。
【0099】たとえば,次の式で示される関数を用いて
この変換を表現することができる。
【数2】g=1/(1+d)n ‥式2 ここで,nは上述のようにコードS22によって指定され
る値であって,メンバーシップ値算出における入力の適
用のきびしさを表現するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ファジィ推論システムを警報システムに応用し
た応用例を示す斜視構成図である。
【図2】警報システムの電気的構成の概要を示すブロッ
ク図である。
【図3】ファジィ推論システムの一部を表わし,ルール
・メモリとその周辺部を示すブロック図である。
【図4】ファジィ推論システムの他の一部を表わし,フ
ァジィ推論を実行する部分を示すブロック図である。
【図5】ルール・コードの構造を示す。
【図6】ルール・コードの具体例を示す。
【図7】前件部処理ユニットの構成を示すブロック図で
ある。
【図8】メンバーシップ値生成部を示すブロック図であ
る。
【図9】特徴抽出プログラム指定信号生成部を示すブロ
ック図である。
【符号の説明】
1 TVカメラ 2 TVカメラ 3 速度センサ 4 距離センサ 10 ファジィ推論システム 11 スピーカ 12 セレクタ 20 前件部処理ユニット 21 メンバーシップ関数回路(MFC)群 22 切替ユニット 23 MIN回路 24 MINレジスタ 30 後件部メンバーシップ関数(MF)メモリ 31 トランケーション・ユニット 32 MAX合成回路 33 デファジファイア 34 ゲート回路 35,39 ディレイ回路 36 ルール・メモリ 37 ルール・データ読出しユニット 38 カウンタ 40 メンバーシップ値生成部 41 パターン・メモリ 42 特徴抽出ユニット 43 距離算出部 44 適合度算出部 45 特徴抽出プログラム指定信号生成部 46 特徴抽出プログラム・ライブラリ 47 カテゴリごとの標準パターン・ベクトルのライブラ
リ 48 アドレス・メモリ 49 読出しユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−86990(JP,A) 特開 平4−148482(JP,A) 特開 平4−31979(JP,A) 特開 平3−144701(JP,A) 特開 平2−181829(JP,A) 実開 平2−119800(JP,U) 安信、外3名著,“特集ここまできた ファジィ制御 意志決定支援システム債 券ディーリング支援システムへの導 入”,OHM,(株)オーム社,1991年 10月12日,Vol.78,No.10,p. 66−70 今中・若見著,“入出力例からのファ ジィ推論ルール自動生成における定性的 属性の処理”,第8回ファジィシステム シンポジウム講演論文集,1992年5月26 日,p.233−236 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06N 7/02 G06F 9/44 G08G 1/00

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スカラ量の入力変数に対しては入力変数
    コードとメンバーシップ関数を表わすコードとを用い
    て,パターン情報の入力変数に対しては入力変数コード
    とパターンのカテゴリを表わすコードとを用いて表現さ
    れ,かつ入力変数についてスカラ量かパターン情報かの
    区別を表わす区別コードを含んでいる1または複数の前
    件部サブルールと,後件部サブルールとからそれぞれ構
    成される複数のファジィ・ルールを記憶するルール記憶
    手段, 上記ルール記憶手段から読出される処理すべき前件部サ
    ブルールによって指定されるメンバーシップ関数に対す
    る,スカラ量センサから入力する入力信号の適合度を求
    める第1の適合度演算手段, 上記ルール記憶手段から読出される処理すべき前件部サ
    ブルールによって指定されるカテゴリに対する,パター
    ン情報センサから入力する入力信号の適合度を求める第
    2の適合度演算手段, 上記ルール記憶手段から読出される処理すべき前件部サ
    ブルールの上記区別コードにしたがって上記第1および
    第2の適合度演算手段を切替える切替え手段,ならびに
    上記切替え手段によって選択された第1または第2の適
    合度演算手段から得られる適合度に所定の演算を施して
    ファジィ推論出力を発生する推論演算手段, を備えたファジィ推論システム。
  2. 【請求項2】 複数のセンサから入力する入力信号のう
    ち,上記ルール記憶手段から読出される処理すべき前件
    部サブルールに含まれる入力変数の種類によって指定さ
    れるものを選択して,上記第1または第2の適合度演算
    手段に与えるセレクタ手段, をさらに備えた請求項1に記載のファジィ推論システ
    ム。
  3. 【請求項3】 スカラ量の入力変数に対しては入力変数
    コードとメンバーシップ関数を表わすコードとを用い
    て,パターン情報の入力変数に対しては入力変数コード
    とパターンのカテゴリを表わすコードとを用いて表現さ
    れ,かつ入力変数についてスカラ量かパターン情報かの
    区別を表わす区別コードを含んでいる1または複数の前
    件部サブルールを含むあらかじめ設定されたファジィ・
    ルールにしたがって前件部適合度を生成する前件部処理
    装置であり, 前件部サブルールによって指定されるメンバーシップ関
    数に対する,スカラ量センサから入力する入力信号の適
    合度を求める第1の適合度演算手段, 前件部サブルールによって指定されるカテゴリに対す
    る,パターン情報センサから入力する入力信号の適合度
    を求める第2の適合度演算手段, 前件部サブルールに含まれる上記区別コードにしたがっ
    て上記第1および第2の適合度演算手段を切替える切替
    え手段,ならびに上記切替え手段によって選択された第
    1または第2の適合度演算手段から得られる適合度に所
    定の演算を施してファジィ・ルールごとの前件部適合度
    を発生する演算手段, を備えた前件部処理装置。
  4. 【請求項4】 上記第2の適合度演算手段が, 複数のカテゴリのそれぞれについて標準パターン情報を
    あらかじめ格納した標準パターン記憶手段, 入力信号によって表わされる入力パターン情報と,上記
    標準パターン記憶手段の前件部サブルールによって指定
    されるカテゴリの標準パターン情報との距離を算出する
    距離算出手段,および距離が零の場合に1の値をとり,
    距離が大きくなるにつれて値が減少するように,上記距
    離算出手段から得られる距離を適合度に変換する適合度
    生成手段, を備えている請求項3に記載の前件部処理装置。
  5. 【請求項5】 パターン情報を入力する上記パターン情
    報センサをさらに備え, 上記第2の適合度演算手段が, 上記パターン情報センサによって入力されたパターン情
    報に関係づけられたカテゴリを,そのカテゴリに関する
    標準パターン情報に変換する標準パターン情報生成手
    段, 上記パターン情報センサによって入力されたパターン情
    報と上記標準パターン情報生成手段によって生成された
    標準パターン情報との距離を算出する距離算出手段,お
    よび距離が零の場合に1の値をとり,距離が大きくなる
    につれて値が減少するように,上記距離算出手段から得
    られる距離を適合度に変換する適合度生成手段を備え
    た, 請求項3に記載の前件部処理装置。
  6. 【請求項6】 上記標準パターン情報生成手段が標準パ
    ターン情報の特徴ベクトルを生成するものであり, 上記距離算出手段が入力パターン情報の特徴量を抽出
    し,抽出した特徴量から特徴ベクトルを生成し,標準パ
    ターン情報の特徴ベクトルと入力パターン情報の特徴ベ
    クトルとの距離を算出するものである, 請求項5に記載の前件部処理装置。
  7. 【請求項7】 上記距離算出手段が標準パターン情報と
    入力パターン情報とのパターン・マッチングを行ない,
    パターンの不一致度から上記距離を算出するものであ
    る, 請求項5に記載の前件部処理装置。
  8. 【請求項8】 スカラ量の入力変数に対しては入力変数
    コードとメンバーシップ関数を表わすコードとを用い
    て,パターン情報の入力変数に対しては入力変数コード
    とパターンのカテゴリを表わすコードとを用いて表現さ
    れ,かつ入力変数についてスカラ量かパターン情報かの
    区別を表わす区別コードを含んでいる1または複数の前
    件部サブルールと,後件部サブルールとからそれぞれ構
    成される複数のファジィ・ルールをあらかじめルール・
    メモリに設定しておき, 上記ルール・メモリからファジィ・ルールを読出し,そ
    の前件部サブルールの入力変数がスカラ量に関するもの
    であるときは,読出された前件部サブルールによって指
    定されるメンバーシップ関数に対する,スカラ量センサ
    から入力する入力信号の適合度を求め, 上記ルール・メモリから読出された前件部サブルールの
    入力変数がパターン情報に関するものであるときには,
    読出された前件部サブルールによって指定されるカテゴ
    リに対する,パターン情報センサから入力する入力信号
    の適合度を求め, 得られる適合度に所定の演算を施してファジィ推論出力
    を発生する, ファジィ推論方法。
  9. 【請求項9】 複数のカテゴリのそれぞれについて標準
    パターン情報をあらかじめ標準パターン・メモリに格納
    しておき, 入力信号によって表わされる入力パターン情報と上記メ
    モリの前件部サブルールによって指定されるカテゴリの
    標準パターン情報との距離を算出し, 距離が零の場合に1の値をとり,距離が大きくなるにつ
    れて値が減少するように,算出された距離を,パターン
    情報を表わす入力信号の適合度に変換する, 請求項8に記載のファジィ推論方法。
  10. 【請求項10】 与えられるパターン情報を入力し, 入力されたパターン情報に関係づけられたカテゴリを,
    そのカテゴリに関する標準パターン情報に変換し, 入力されたパターン情報と上記変換により生成された標
    準パターン情報との距離を算出し, 距離が零の場合に1の値をとり,距離が大きくなるにつ
    れて値が減少するように,算出された距離を,パターン
    情報を表わす入力信号の適合度に変換する, 請求項8に記載のファジィ推論方法。
  11. 【請求項11】 標準パターン情報の特徴ベクトルを生
    成し, 入力パターン情報の特徴量を抽出し,抽出した特徴量か
    ら特徴ベクトルを生成し,標準パターン情報の特徴ベク
    トルと入力パターン情報の特徴ベクトルとの距離を算出
    する, 請求項10に記載のファジィ推論方法。
  12. 【請求項12】 標準パターン情報と入力パターン情報
    とのパターン・マッチングを行ない,パターンの不一致
    度から上記距離を算出する, 請求項10に記載のファジィ推論方法。
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