JP3360590B2 - 高周波イオン源 - Google Patents

高周波イオン源

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JP3360590B2 JP34415897A JP34415897A JP3360590B2 JP 3360590 B2 JP3360590 B2 JP 3360590B2 JP 34415897 A JP34415897 A JP 34415897A JP 34415897 A JP34415897 A JP 34415897A JP 3360590 B2 JP3360590 B2 JP 3360590B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えばイオン注
入装置、非質量分離型のイオン注入装置(これはイオン
ドーピング装置とも呼ばれる)等に用いられるものであ
って、ホスフィン(PH3 )または水素希釈のホスフィ
ンから成るイオン源ガスを用いる高周波イオン源に関
し、より具体的には、それから引き出すイオンビーム中
に含まれるPHn + イオンの割合を高める手段に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図5に、従来の高周波イオン源を備える
イオン注入装置の一例を示す。
【0003】このイオン注入装置は、非質量分離型の装
置であり、高周波イオン源2から引き出したイオンビー
ム28を、真空に排気される処理室42内において、質
量分離(イオンをその質量mと電荷qとの比m/qの違
いによって選り分けること)することなくそのまま基板
(例えば半導体基板や液晶ディスプレイ用基板等)40
に照射して、当該基板40にイオン注入を施すよう構成
されている。
【0004】高周波イオン源2は、ホスフィン(P
3 )または水素希釈のホスフィン(PH3 /H2 )か
ら成るイオン源ガス36が導入され当該イオン源ガス3
6を高周波放電によって電離させてプラズマ14を生成
するプラズマ室10と、このプラズマ室10の出口付近
に設けられていてプラズマ室10内のプラズマ14から
電界の作用でイオンビーム28を引き出す引出し電極系
20とを備えている。イオン源ガス36は、この例のよ
うにプラズマ室10に直接導入する場合の他に、引出し
電極系20を通して処理室42側から導入する場合もあ
る。
【0005】プラズマ室10は、この例では、筒状(例
えば円筒状や角筒状)のプラズマ室容器4と、その背面
部(引出し電極系20に対向する部分)の開口部を絶縁
碍子8を介して蓋をする板状の高周波電極6とで構成さ
れている。
【0006】この例ではプラズマ室容器4が一方の高周
波電極を兼ねており、このプラズマ室容器4と高周波電
極6との間に整合回路18を介して高周波電源16か
ら、例えば13.56MHzまたは100MHz等の周
波数の高周波電力が供給される。それによって、高周波
電極6とプラズマ室容器4間で高周波放電が生じてガス
36が電離されて上記プラズマ14が作られる。
【0007】引出し電極系20は、1枚以上、通常は複
数枚の電極で構成されている。この例では、最プラズマ
側から下流側に向けて配置された第1電極21、第2電
極22、第3電極23および第4電極24で構成されて
いる。26は絶縁碍子である。各電極21〜24は、こ
の例では複数の孔を有する多孔電極であるが、複数のス
リットを有する場合もある。
【0008】第1電極21は、引き出すイオンビーム2
8のエネルギーを決める電極であり、直流電源31から
接地電位を基準にして正の高電圧(加速電圧)が印加さ
れる。第2電極22は、第1電極21との間に電位差を
生じさせそれによる電界によってプラズマ14からイオ
ンビーム28を引き出す電極であり、直流電源32から
第1電極21の電位を基準にして負の電圧(引出し電
圧)が印加される。第3電極23は、下流側からの電子
の逆流を抑制する電極であり、直流電源33から接地電
位を基準にして負の電圧(抑制電圧)が印加される。第
4電極24は接地されている。
【0009】プラズマ室容器4の外周および高周波電極
6の上面には、この例では、プラズマ室10内にプラズ
マ閉じ込め用のカスプ磁場を発生させる複数の永久磁石
12が配置されている。従ってこのイオン源はバケット
型イオン源とも呼ばれる。この永久磁石12の温度上昇
による減磁を防止するために、プラズマ室容器4および
高周波電極6は通常は冷却水によって冷却されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記高周波イオン源2
から引き出されるイオンビーム28中に含まれる所望の
イオン種の割合が高いほど、効率が良い等の理由で好ま
しい。イオンビーム28の質量分離を行わないこの例の
ようなイオン注入装置に用いる場合は、所望のイオン種
の割合が高いほど、基板40の温度上昇を抑制しつつ高
速に、かつ所望の注入深さにイオン注入を行うことがで
きるので、特に好ましい。
【0011】具体的には、上記のようなイオン源ガス3
6を用いて上記高周波イオン源2から引き出されるイオ
ンビーム28中には、所望のPHn + イオン(n=0,
1,2,3・・・。以下同じ)の他に、主として、P2
n + イオンおよびHm + イオン(m=1,2,3。以下
同じ)も含まれており、これらは不要なイオンである。
【0012】即ち、水素系のHm + イオンが多いと、基
板40に対してリン(P)の所望の注入量(ドーズ量)
を得るためには、注入時間が一定ならば、イオンビーム
28のビーム電流を増加させなければならないため、基
板40の温度上昇が大きくなり、基板40の変質等を招
く。逆に、イオンビーム28のビーム電流が同じなら
ば、注入時間を長くしなければならず、スループット
(処理効率)が低下する。
【0013】P2n + イオンが多いと、当該イオンによ
って基板40に注入されるリンは、PHn + イオンによ
って注入されるリンに比べて、リン1原子当たりの運動
エネルギーが約半分しかないため、所望の深さよりも浅
い所に注入されるリンが多くなり、リンの注入深さが狂
ってしまう。従って例えば、基板40の表面に形成する
半導体デバイスが所望の性能を発揮しなくなるだけでな
く、最悪の場合は動作しなくなる。
【0014】イオンビーム28中のHm + イオンを減少
させるためには、イオン源ガス36中のホスフィンの濃
度を上げればよいけれども、そうすると、上記P2n +
イオンが増加する。
【0015】なお、イオンビーム28中に、プラズマ室
10の壁面を形成する金属の不純物イオンが混入するこ
とを防止するために、プラズマ室10の壁面に、高純
度、高融点かつ低スパッタ率の金属(例えばモリブデ
ン、タングステン、タンタル等)を密着して張ることは
従来から行われているけれども、そのようにしても、イ
オン源ガス36の電離によって生じる上記不要イオン、
即ちHm + イオンおよびP2n + イオンがイオンビーム
28中に含まれる割合を低くし、所望のPHn +イオンの
割合を高くすることはできない。
【0016】そこでこの発明は、イオンビーム中に含ま
れるPHn + イオンの割合を高めることを主たる目的と
する。
【0017】
【課題を解決するための手段】この発明に係る第1の高
周波イオン源は、前記プラズマ室の壁面を覆う電気絶縁
体を備えることを特徴としている(請求項1)。
【0018】この発明に係る第2の高周波イオン源は、
前記プラズマ室の壁面を覆うものであって他から電気的
に絶縁された浮遊電位の金属体を備えることを特徴とし
ている(請求項2)。
【0019】
【0020】従来の高周波イオン源において、イオンビ
ーム中に上記P2n + が多く混じるのは、プラズマ室の
壁面に付着したリンが一因であると考えられる。即ち、
プラズマ中で生成されたリン系のイオンは、その一部
が、プラズマ室の壁面で還元されて、リンの固体となっ
て壁面に付着する。プラズマ室10の壁面が前述したよ
うに冷却水によって冷却されている場合はリンが一層付
着しやすくなる。このリンは、主としてP2 、P4 の形
で付着しており、これがプラズマ中のイオンと反応して
再びPH系イオンを生成する。この場合、プラズマ中の
イオンが持つエネルギーは、プラズマの周辺部に形成さ
れるイオンシース中の電界による加速エネルギーやプラ
ズマの拡散に伴う運動エネルギーを有しているだけであ
るので、例えば数eV〜数十eV程度と小さく、反応性
が低い。従って、このプラズマ中のイオンと壁面付着リ
ンとの反応は、PHn + を生成するまでに至る割合は低
く、P2n + が多く生成され、このP2n + がプラズマ
中に多く存在することになる。これが、イオンビーム中
にP2n + が多く混じる一因であると考えられる。
【0021】これに対して、この発明に係る第1の高周
波イオン源においては、プラズマ室の壁面を覆う電気絶
縁体を備えているので、この電気絶縁体の表面にリンが
付着することになる。ところが、この電気絶縁体の表面
は、プラズマに曝されるので、しかも電気絶縁体である
ので、高周波放電によって生成されるプラズマに対して
負に自己バイアスされる。この自己バイアス電圧は、一
般的に前述したイオンシースの電圧(シース電圧)より
も大きく、例えば100V〜500V程度になる。従っ
て、プラズマ中のイオンは、この負の自己バイアス電圧
によって加速されて大きな運動エネルギーで、電気絶縁
体の表面に付着しているリンに衝突する。その結果、こ
の衝突するイオンと壁面付着リンとの反応性が高まり、
2n + よりもPHn + の生成の方が促進され、プラズ
マ中に存在するPHn + の割合が高まると共にP2n +
の割合が減ることになる。しかも、このPHn + の生成
に伴って、プラズマ中のHm + が多く消費されるので、
プラズマ中のHm + も減ることになる。その結果、イオ
ンビーム中に含まれるPHn + イオンの割合を高めるこ
とができる。
【0022】この発明に係る第2の高周波イオン源の場
合は、上記第1の高周波イオン源の場合と同様に、プラ
ズマ室の壁面を覆う浮遊電位の金属体がプラズマに対し
て負に自己バイアスされる。従って上記第1の高周波イ
オン源の場合と同様の作用で、イオンビーム中に含まれ
るPHn + イオンの割合を高めることができる。
【0023】
【0024】
【発明の実施の形態】図1は、この発明に係る高周波イ
オン源を備えるイオン注入装置の一例を示す断面図であ
る。図5の従来例と同一または相当する部分には同一符
号を付し、以下においては当該従来例との相違点を主に
説明する。
【0025】この高周波イオン源2aは、前述したプラ
ズマ室10の壁面を覆う電気絶縁体44を備えている。
より具体的にはこの実施例では、プラズマ室10を形成
する前述したプラズマ室容器4および高周波電極6の内
壁面を覆うように電気絶縁体44を設けている。
【0026】この電気絶縁体44は、例えば石英ガラ
ス、耐熱強化ガラス等のガラスや、アルミナ、窒化シリ
コン、炭化シリコン、窒化アルミニウム等の絶縁体セラ
ミックス等から成る。この電気絶縁体44は、プラズマ
14に曝されて加熱されるので、耐熱温度の高いものが
好ましい。
【0027】この電気絶縁体44は、筒状や板状のもの
として、それをプラズマ室10の壁面に取り付けても良
い。その場合、電気絶縁体44をプラズマ室10の壁面
に密着させても良いし、両者間に隙間を設けても良い。
また、電気絶縁体44を膜状のものとしてそれをプラズ
マ室10の壁面の表面に形成しても良い。
【0028】この高周波イオン源2aにおいては、プラ
ズマ室10の壁面を電気絶縁体44で覆っているので、
この電気絶縁体44の表面にリンが付着することにな
る。ところが、この電気絶縁体44の表面は、プラズマ
14に曝されるので、しかも電気絶縁体であるので、高
周波放電によって生成されるプラズマ14に対して負に
自己バイアスされる。これは、周知のように、プラズマ
14中のイオンよりも電子の方が軽くて移動度が大きい
からである。この自己バイアス電圧は、一般的に前述し
たイオンシースの電圧(シース電圧)よりも大きく、例
えば100V〜500V程度になる。従って、プラズマ
14中のイオンは、即ち前述したHm + 、PHn + 、P2
n + イオンは、この負の自己バイアス電圧によって加
速されて例えば100eV〜500eV程度という比較
的大きな運動エネルギーで、電気絶縁体44の表面に付
着しているリンに衝突する。その結果、この衝突するイ
オンと表面付着リンとの反応性が従来例の場合よりも高
まり、P2n + よりもPHn + の生成の方が促進され、
プラズマ14中に存在するPHn + の割合が高まると共
にP2n + の割合が減ることになる。しかもこのPHn
+ の生成に伴って、プラズマ14中のHm + が、P2n
+ の生成の場合よりも多く消費されるので(これはP2
n + の場合はリン2原子に対して水素1原子が結合す
るのに対して、PHn + の場合はリン1原子に対して水
素1原子が結合するからである)、プラズマ14中のH
m + も減ることになる。その結果、イオンビーム28中
に含まれるPHn + イオンの割合を高めることができ
る。
【0029】その結果、この高周波イオン源2aによれ
ば、所望のイオン種の割合が高くなるので、基板40の
温度上昇を抑制しつつ高速に、かつ所望の注入深さにイ
オン注入を行うことができる。それによって、高品質の
デバイスを安定して高速かつ安価に製造することが可能
になる。このような効果は、この高周波イオン源2a
を、この出願に示すようにイオンビーム28の質量分離
を行わずにそのまま基板40に照射する非質量分離型の
イオン注入装置に用いる場合に特に顕著になる。
【0030】なお、電気絶縁体44は、通常は金属に比
べて熱的にも絶縁性が高いので、プラズマ14に曝され
ることによってその表面の温度がかなり上昇する。例え
ば200℃〜400℃程度になる。その結果、電気絶縁
体44の表面で還元されるリンの量を抑え、かつ付着し
たリンを速やかに昇華させて堆積リンの量を減らすこと
ができる。しかも、電気絶縁体44の表面に堆積するリ
ンは、温度が高くなるとP4 の状態よりもP2 の状態に
なる傾向が強まるので、プラズマ14中のイオンの衝突
による反応では、P2n + よりもPHn + の生成の方が
促進される。また、それに伴って、先に詳述した理由か
ら、プラズマ中のHm + の消費も多くなる。従ってこの
理由からも、イオンビーム28中に含まれるPHn +
オンの割合を高めることができる。更に、プラズマ室1
0内の堆積物を少なくすることができるので、メインテ
ナンスサイクルが延び、当該高周波イオン源2aひいて
はそれを用いたイオン注入装置の稼動率を向上させるこ
とができる。
【0031】電気絶縁体44をプラズマ室10の壁面か
ら、即ちプラズマ室容器4や高周波電極6の内壁から離
して設ければ、電気絶縁体44からの熱伝導をより少な
くして電気絶縁体44の表面の温度をより高めることが
できるので、電気絶縁体44の表面温度が高まることに
よる上記効果はより大きくなる。電気絶縁体44をヒー
タで加熱すれば当該効果はより一層大きくなる。
【0032】また、電気絶縁体44で面積の大きいプラ
ズマ室容器4の内壁面を覆うだけでも上記効果は得られ
るけれども、この実施例のように高周波電極6の内壁面
をも覆っておくのが好ましく、そのようにすれば、電気
絶縁体44で覆っている壁面の割合が増大するので、上
記効果はより大きくなる。
【0033】次に、他の実施例を、上記実施例との相違
点を主体に説明する。
【0034】図2の高周波イオン源2aにおいては、前
述した電気絶縁体44を設ける代わりに、プラズマ室1
0の壁面を覆う、より具体的にはこの実施例ではプラズ
マ室容器4および高周波電極6の内壁面を覆う金属体4
6を備えている。この金属体46は、この例では絶縁物
48によって他から、即ちプラズマ室容器4、高周波電
極6、第1電極21等から電気的に絶縁して、浮遊(フ
ローティング)電位にしている。
【0035】この金属体46には、高純度、高融点かつ
低スパッタ率の金属を用いるのが好ましい。またこの金
属体46には、永久磁石12を設けている場合はその磁
界を乱さないために、非磁性の金属を用いるのが好まし
い。従って例えば、金属体46には、モリブデン、タン
グステン、タンタル等のいわゆる高融点金属(即ち元素
周期表の4A族、5A族および6A族の金属)を用いる
のが好ましい。
【0036】この高周波イオン源2aにおいては、プラ
ズマ室10の壁面を金属体46で覆っているので、この
金属体46の表面にリンが付着することになる。ところ
がこの金属体46はプラズマ14に曝され、しかも浮遊
電位であるので、前述した電気絶縁体44の場合と同様
に、プラズマ14に対して負に自己バイアスされる。従
って図1の実施例の場合と同様の作用で、イオンビーム
28中に含まれるPHn + イオンの割合を高めることが
できる。
【0037】また、金属体46もプラズマ14によって
加熱を受けるけれども、この金属体46を他から電気的
に絶縁する絶縁物48は、上記電気絶縁体44の場合と
同様に通常は熱的にも絶縁性が高いので、上記電気絶縁
体44の場合と同様に、この金属体46の表面の温度が
かなり上昇する。その結果、上記電気絶縁体44の表面
温度が高まる場合と同様の効果を得ることができる。金
属体46をヒータで加熱すれば当該効果はより大きくな
る。
【0038】金属体46は、この実施例ではプラズマ室
容器4および高周波電極6の内壁面を覆っているけれど
も、面積の大きいプラズマ室容器4の内壁面を覆うだけ
でも効果が得られるのは、図1の実施例の場合と同様で
ある。
【0039】図3の高周波イオン源2aは、プラズマ室
10の壁面を覆う、より具体的にはこの実施例では面積
の大きいプラズマ室容器4の内壁面を覆う加熱板50
と、この加熱板50のプラズマ14とは反対の背面側に
設けられていて加熱板50を加熱するヒータ52とを備
えている。ヒータ52を加熱板50の背面側に設けてい
るのは、当該ヒータ52がプラズマ14によってスパッ
タされるのを防ぐためである。
【0040】ヒータ52は、プラズマ室10外に設けた
ヒータ電源56によって加熱される。この実施例では、
図示しないけれども、加熱板50には熱電対等の温度検
出器が設けられていて、それからの検出信号をヒータ電
源56に入力して、加熱板50の温度を所望のほぼ一定
の温度に制御することができるようにしている。
【0041】加熱板50は、この実施例では、プラズマ
室容器4と同形でそれよりもヒータ52を設置できる隙
間分だけ小さい筒状をしており、支柱54によって支持
されている。但し、この加熱板50を、複数枚の加熱板
で構成しても良い。
【0042】この加熱板50には、金属を用いる場合
は、上記金属体46の場合と同様の理由から、前述した
ようなモリブデン、タングステン、タンタル等の高融点
金属を用いるのが好ましい。
【0043】この高周波イオン源2aにおいては、プラ
ズマ室10の壁面を覆う加熱板50の表面にリンが付着
することになる。ところがこの加熱板50はヒータ52
によって加熱されるので、当該加熱板50の表面で還元
されるリンの量を抑え、かつ付着したリンを速やかに昇
華させて堆積リンの量を減らすことができる。しかも、
加熱板50の表面に堆積するリンは、温度が高くなると
4 の状態よりもP2の状態になる傾向が強まるので、
プラズマ14中のイオンの衝突による反応では、P2n
+ よりもPHn + の生成の方が促進される。またそれに
伴って、先に詳述した理由から、プラズマ14中のHm
+ の消費も多くなる。その結果、イオンビーム28中に
含まれるPHn + イオンの割合を高めることができる。
更に、プラズマ室10内の堆積物を少なくすることがで
きるので、メインテナンスサイクルが延び、当該高周波
イオン源2aひいてはそれを用いたイオン注入装置の稼
動率を向上させることができる。
【0044】しかもこの実施例の場合は、先に示した実
施例の場合と違って、ヒータ52によって加熱板50の
温度を容易に高めることができるので、上述した効果を
より一層高めることができる。
【0045】なお、高周波電極6の内壁側にも、上記と
同様の加熱板50およびヒータ52を設けても良く、そ
のようにすれば上述した各効果をより一層高めることが
できる。
【0046】また、永久磁石12を設けていない場合や
その永久磁石12の温度上昇を何らかの手段で抑制する
ことができる等の場合は、ヒータ52をプラズマ室容器
4の内壁面に埋め込んでプラズマ室容器4の内壁面を直
接加熱しても良い。高周波電極6側についても同様であ
る。
【0047】図4に、プラズマ室10の側壁の温度を変
えて、イオンビーム28中に含まれるP2n + とPHn
+ との比率(P2n + /PHn + )を測定した結果の一
例を示す。なおこの例では、プラズマ室10の側壁の温
度の違いのみによる効果の違いを測定するために、プラ
ズマ室容器4の内壁を、ヒータによって加熱する場合
と、加熱しない場合とで測定を行った。このは、上
記実施例のように加熱板50をヒータで加熱する場合と
実質的に同じ作用効果を奏する。
【0048】図4中の点Aは、図5に示した従来例に相
当するものであり、ヒータによる側壁の加熱は行ってお
らず、その温度が約30℃の場合である。この場合、P
2n + /PHn + の比率は約34%であり、P2n +
割合が高い。図4中の他の点B〜Dは、ヒータによって
側壁の加熱を行った場合であり、その温度が高くなるに
従ってP2n + /PHn + の比率が低下しているけれど
も、約500℃付近ではその低下が飽和するものと推定
される。例えば300℃の場合では上記比率は約15%
であり、P2n + の割合は従来例(A点)の約半分にな
っている。即ち、PHn + の割合が従来例の約2倍に高
まっている。この図4の結果から、プラズマ室容器4の
内壁や加熱板50の加熱温度は、150℃〜500℃の
範囲内が好ましいと言える。
【0049】なお、図3に示す高周波イオン源2aのよ
うに加熱板50を設ける場合、当該加熱板50を電気絶
縁体で形成しても良く、そのようにすれば、この加熱板
50の表面がプラズマ14に対して負にバイアスされる
ので、図1の電気絶縁体44の場合と同様に、自己バイ
アス電圧によってプラズマ14中ひいてはイオンビーム
28中のPHn + イオンの割合を高めることができると
いう効果も奏することができる。
【0050】また、加熱板50を金属で形成する場合、
当該加熱板50を他から(即ちヒータ52やプラズマ室
容器4等から)電気的に絶縁して浮遊電位にしても良
く、そのようにすれば、この加熱板50がプラズマ14
に対して負に自己バイアスされるので、図2の金属体4
6の場合と同様に、自己バイアス電圧によってプラズマ
14中ひいてはイオンビーム28中のPHn + イオンの
割合を高めることができるという効果も奏することがで
きる。
【0051】プラズマ室10においては、上記各例とは
異なる手段によって、例えばマイクロ波放電またはEC
R(電子サイクロトロン共鳴)放電によってプラズマ1
4を生成しても良い。これも高周波放電の一種である。
このとき使用するマイクロ波の周波数は、例えば2.4
5GHzである。
【0052】
【発明の効果】この発明は、上記のとおり構成されてい
るので、次のような効果を奏する。
【0053】請求項1記載の発明によれば、プラズマ室
の壁面を覆う電気絶縁体を備えていて、この電気絶縁体
の表面は高周波放電によって生成されるプラズマに対し
て負に自己バイアスされ、この自己バイアス電圧による
加速によってプラズマ中のイオンが従来例の場合よりも
大きな運動エネルギーで電気絶縁体表面に付着している
リンに衝突するので、このイオンとリンとの反応性が高
まり、P2n + よりもPHn + の生成が促進され、かつ
それに伴ってプラズマ中のHm + の消費も多くなる。そ
の結果、プラズマ中ひいてはイオンビーム中に含まれる
PHn + イオンの割合を高めることができる。
【0054】しかも、電気絶縁体は通常は熱的にも絶縁
性が高いので、プラズマに曝されることによってその表
面の温度が上昇し、それによって、電気絶縁体表面に堆
積するリンの量を減らすことができると共に、リンはP
n + を生成しやすいP2 の状態で堆積する傾向が強ま
るので、この理由からも、プラズマ中ひいてはイオンビ
ーム中に含まれるPHn + イオンの割合をより高めるこ
とができる。また、プラズマ室内の堆積物を少なくする
ことができるので、当該高周波イオン源のメインテナン
スサイクルが延び、その稼動率を向上させることができ
る。
【0055】請求項2記載の発明によれば、プラズマ室
の壁面を覆う浮遊電位の金属体を備えていて、この金属
体も高周波放電によって生成されるプラズマに対して負
に自己バイアスされるので、請求項1記載の発明の場合
と同様の作用によって、イオンビーム中に含まれるPH
n + イオンの割合を高めることができる。
【0056】しかも、この金属体を他から電気的に絶縁
するのに通常用いられる絶縁物は通常は熱的にも絶縁性
が高いので、プラズマに曝されることによってこの金属
体の表面の温度が上昇し、それによって請求項1記載の
発明の場合と同様の作用によって、プラズマ中に含まれ
るPHn + イオンの割合をより高めることができると共
に、当該高周波イオン源の稼動率を向上させることがで
きる。
【0057】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る高周波イオン源を備えるイオン
注入装置の一例を示す断面図である。
【図2】この発明に係る高周波イオン源を備えるイオン
注入装置の他の例を示す断面図である。
【図3】この発明に係る高周波イオン源を備えるイオン
注入装置の更に他の例を示す断面図である。
【図4】プラズマ室側壁の温度を変えてイオンビーム中
のイオン比率を測定した結果の一例を示す図である。
【図5】従来の高周波イオン源を備えるイオン注入装置
の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
2a 高周波イオン源 10 プラズマ室 14 プラズマ 28 イオンビーム 36 イオン源ガス 44 電気絶縁体 46 金属体 50 加熱板 52 ヒータ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−259779(JP,A) 特開 平8−31358(JP,A) 特開 平7−272669(JP,A) 実開 平6−5100(JP,U) 実開 平3−109258(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 27/16 H01J 37/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホスフィンまたは水素希釈のホスフィン
    から成るイオン源ガスが導入され当該イオン源ガスを高
    周波放電によって電離させてプラズマを生成するプラズ
    マ室と、このプラズマ室内のプラズマから電界の作用で
    イオンビームを引き出す引出し電極系とを備える高周波
    イオン源において、前記プラズマ室の壁面を覆う電気絶
    縁体を備えることを特徴とする高周波イオン源。
  2. 【請求項2】 ホスフィンまたは水素希釈のホスフィン
    から成るイオン源ガスが導入され当該イオン源ガスを高
    周波放電によって電離させてプラズマを生成するプラズ
    マ室と、このプラズマ室内のプラズマから電界の作用で
    イオンビームを引き出す引出し電極系とを備える高周波
    イオン源において、前記プラズマ室の壁面を覆うものあ
    って他から電気的に絶縁された浮遊電位の金属体を備え
    ることを特徴とする高周波イオン源。
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