JP3360423B2 - 音声強調装置 - Google Patents

音声強調装置

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JP3360423B2
JP3360423B2 JP13893794A JP13893794A JP3360423B2 JP 3360423 B2 JP3360423 B2 JP 3360423B2 JP 13893794 A JP13893794 A JP 13893794A JP 13893794 A JP13893794 A JP 13893794A JP 3360423 B2 JP3360423 B2 JP 3360423B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電話機、拡声器、音響
装置、その他音声符号化復号化装置などに用いられて、
自然性を保ちながら音声の明瞭性を向上させ、音声を聞
き取りやすくする音声強調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、音声の明瞭性を向上させる方法と
しては、例えば特開昭58−184200号などが挙げ
られる。特開昭58−184200号に記載された音声
の明瞭性を向上させる方法では、対話音声において、子
音のパワーが母音のそれに比較してかなり小さいことに
起因して生じる子音の知覚の誤りを低減するために、子
音部を検出しその部分のパワーを上げることにより強調
を行っている。
【0003】以下、従来例における音声の明瞭性を向上
させる方法の一構成例について、その動作を説明する。
入力音声を短時間区間に分割し、各短時間区間毎にスペ
クトル形態評価装置に入力し、入力音声の短時間スペク
トル形態の評価を行う。次いでスペクトル形態評価装置
では、そのスペクトル形態の評価内容に応じて1つ以上
の評価信号を生成する。制御用論理装置ではその評価信
号に応じて、スペクトル形態動的修正装置を制御するた
めの制御信号を生成し、その制御信号に応じて、スペク
トル形態動的修正装置で入力音声の各短時間区間毎のス
ペクトル形態の修正を行い、出力音声を出力する。
【0004】更に、声質を変換して音声の明瞭性を向上
させる方法としては、例えば、特開平01−93796
号が挙げられる。特開平01−93796号に記載され
た声質を変換して音声の明瞭性を向上させる方法では、
音声情報として重要なホルマント周波数の遷移の強調を
行うことにより強調を行っている。
【0005】以下、特開平01−93796号に示され
る声質変換方法の一構成例について、動作を説明する。
入力音声を短時間区間に分割し、各短時間毎に分析部に
て有音と無音、および有声音と無声音の判別を行なう。
入力された短時間区間が有声音区間の場合、その短時間
区間の線形予測係数を算出し共振周波数の算出を行う。
次にホルマント周波数制御部において、分析部で得られ
た共振周波数に基づきホルマント周波数を求め、ホルマ
ントの時間軌跡の変化量が大きくなるように、ホルマン
ト周波数および帯域幅の変更を行う。スペクトル制御部
では、ホルマント周波数制御部が出力するホルマント周
波数の時間変化分と帯域幅に応じてスペクトル包絡を変
更する。上述の一連の有声音に対する声質変換の処理を
終了すると無声音区間および無音区間を接続し、次の有
声音区間の処理に移り、最終的に合成された出力音声を
出力する。
【0006】更に、音声の動的特徴を利用して合成音声
の品質を改善する方法としては、文献1、安藤他著、
「音声の動的特徴を考慮したメルケプストラム音声」社
団法人電子情報通信学会技術報告、SP93−65(1
993−10)が挙げられる。
【0007】文献1では、音声の動的特徴の強調に2次
元メルケプストラムを用いる方法を提案している。以
下、文献1に示される、音声品質改善方法の処理につい
て説明する。入力音声を短時間区間に分割し、現在のフ
レームとその前後のフレームを用いて、2次元メルケプ
ストラムを求める。その2次元メルケプストラムの動的
特徴領域に、時間方向と周波数方向に低域強調型の重み
付けリフタを用いてリフタリングを行い、スペクトル包
絡の時間方向と周波数方向の形状について変更を行った
低域強調2次元メルケプストラムを求める。音源情報に
は単一パルス音源を用いて、合成音声をMLSA(メル
対数スペクトル近似)フィルタで合成し、出力する。な
お、2次元メルケプストラムの物理量としての説明は、
文献1にて詳しく述べられているので省略する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来における音声強調
装置は、以上の様にして構成されていたので下記の様な
問題点があった。特開昭58−184200号では、入
力音声の短期スペクトルを評価し、それに応じて適応的
にスペクトル形態を変化させて音声の強調を行っている
が、これは各短時間区間の音声特徴パラメータ、つまり
音声特徴パラメータの「瞬時値」に基づいての強調であ
るので、子音区間を検出して強調を行うことはできるも
のの、音声特徴パラメータの「変動量」に基づいて強調
を制御するという着想が無く、音声の了解性において重
要とされる音韻の過渡部を強調することができないとい
う問題点があった。
【0009】特開平01−93796号では、ホルマン
ト時間変動幅の強調を行うことによりホルマント周波数
の変動量は大きくなるが、変化の中心区間の音声は強調
されず、音声の了解性において重要とされる音韻の過渡
部が強調できないという問題点があった。また、ホルマ
ント周波数の時間軌跡を、その変化幅が周波数軸上で大
きくなるように修正しているので、変化幅の絶対値を大
きくするためには、定常部においてもホルマント周波数
の位置をずらす必要が生じ、結果として音声の持つ個人
性情報として重要なホルマント周波数が変化してしま
い、そのためホルマントの時間軌跡変化が大きい部分の
明瞭性は改善されるものの、得られる出力音声は声質が
変わり自然性が著しく損なわれ、個人性が欠如するとい
う問題点があった。また、子音などのホルマントピーク
の時間方向軌跡が抽出できない音声に関しては強調がで
きないという問題点があった。
【0010】文献1に示される合成音声品質改善手法で
は、スペクトル時間周波数変動幅の強調を行っている
が、変化の中心の区間の音声は強調されず、音声の了解
性において重要とされる音韻の過渡部が強調できないと
いう問題点があった。また、リフタの重み係数を時間周
波数方向に応じて変更する構成にはなっているものの、
本手法では入力音声の音韻形状に応じてリフタを変更す
るような構成をとることができず、また、複数の強調方
式を導入してそれら方式を入力音声の音韻形状に応じて
適応的に切り替えたり、同時に複数の強調方式を動作さ
せて相乗効果を狙うような構成をとることもできないの
で、入力音声の音韻形状に応じた適応的な強調や、複数
の強調の相乗効果を利用した音声強調ができないという
問題点があった。
【0011】また、前記いずれの方法においても、入力
音声の強調による振幅または歪みの増大等の劣化が生じ
る場合があるが、これらの発生の抑制手段を講じていな
いため、出力音声の品質が劣化するという問題があっ
た。
【0012】本発明は、かかる課題を解決するためにな
されたものであり、自然性を保ちながら音声の明瞭性を
向上させ、音声を聞き取りやすくする音声強調装置を提
供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係る音声強
調装置は、各短時間区間毎に入力音声の音声特徴パラメ
ータの時間変動の度合いを分析する音声特徴パラメータ
変動量分析手段と、音声特徴パラメータ変動量分析手段
が出力する音声特徴パラメータ変動量情報に応答してス
ペクトル強調強度を制御するスペクトル強調強度制御手
段と、スペクトル強調強度制御手段の出力するスペクト
ル強調係数に基づいて入力音声のスペクトル強調を行う
スペクトル強調手段とを備えるようにしたものである。
【0014】第2の発明に係る音声強調装置は、各短時
間区間毎に入力音声の音声特徴パラメータの時間変動の
度合いを分析する音声特徴パラメータ変動量分析手段
と、音声特徴パラメータ変動量分析手段が出力する音声
特徴パラメータ変動量情報に応答してプリエンファシス
係数を制御するプリエンファシス係数制御手段と、プリ
エンファシス係数制御手段の出力するプリエンファシス
係数に基づいて入力音声プリエンファシスを行うプリエ
ンファシス手段とを備えるようにしたものである。
【0015】第3の発明に係る音声強調装置は、短時間
区間に分割された入力音声の音声特徴パラメータの時間
変動の度合いを分析する音声特徴パラメータ変動量分析
手段と、音声特徴パラメータ変動量分析手段が出力する
第1の音声特徴パラメータ変動量情報に応答してスペク
トル強調強度を決定しスペクトル強調係数を出力するス
ペクトル強調強度制御手段と、スペクトル強調強度制御
手段が出力するスペクトル強調係数に応じて入力音声の
スペクトル強調を行うスペクトル強調手段と、音声特徴
パラメータ変動量分析手段が出力する第2の音声特徴パ
ラメータ変動量情報に応答してプリエンファシス係数を
決定しプリエンファシス係数を出力するプリエンファシ
ス係数制御手段と、プリエンファシス係数制御手段が出
力するプリエンファシス係数に応じて入力音声のプリエ
ンファシスを行うプリエンファシス手段と、から構成さ
れたようにしたものである。
【0016】第4の発明に係る音声強調装置は、第1の
発明における音声強調装置において、短時間区間に分割
された入力音声特徴パラメータを入力し出力音声に歪み
が予想される場合に強調抑制信号を出力する強調不適合
音声検出手段と、強調抑制信号に基づいてスペクトル強
調係数を補正する強調係数変更手段とを備えるようにし
たものである。
【0017】第5の発明に係る音声強調装置は、第4の
発明における音声強調装置において、強調不適合音声検
出手段は入力音声に関する音声特徴パラメータ情報に加
えて出力音声の特徴パラメータ情報をも入力して、強調
抑制信号を制御するようにしたものである。
【0018】第6の発明に係る音声強調装置は、第4の
発明における音声強調装置において、強調係数変更手段
は強調抑制信号に加えて外部制御信号を入力するように
して、スペクトル強調係数を決定するようにしたもので
ある。
【0019】第7の発明に係る音声強調装置は、第1の
発明における音声強調装置において、音声特徴パラメー
タ変動量情報とスペクトル強調係数の関係を規定したス
ペクトル強調係数マップと、スペクトル強調仮係数から
スペクトル強調係数を算出するスペクトル強調仮係数決
定手段とを備えるようにしたものである。
【0020】第8の発明に係る音声強調装置は、第1の
発明における音声強調装置において音声特徴パラメータ
変動量情報とプリエンファシス係数の関係を規定したプ
リエンファシス係数マップと、プリエンファシス仮係数
からプリエンファシス係数を算出するプリエンファシス
係数決定手段とを備えるようにしたものである。
【0021】第9の発明に係る音声強調装置は、第1の
発明または第3の発明乃至第7の発明のいづれかにおけ
る音声強調装置において、音声特徴パラメータ変動量情
報に常時一定のバイアス値を加算し入力音声の特徴パラ
メータの変動の有無に拘らず常時入力音声のスペクトル
強調を行なうようにしたものである。
【0022】第10の発明に係る音声強調装置は、第2
の発明または第3項の発明または第8の発明における音
声強調装置において、音声特徴パラメータ変動量情報に
常時一定のバイアス値を加算し入力音声の特徴パラメー
タの変動の有無に拘らず常時入力音声のプリエンファシ
スを行なうようにしたものである。
【0023】第11の発明に係る音声強調装置は、第7
の発明または第8の発明における音声強調装置におい
て、スペクトル強調係数マップまたはプリエンファシス
係数マップを複数個備えるようにしたものである。
【0024】
【作用】第1の発明に係わる音声強調装置は、入力音声
の音声特徴パラメータの変動量に応じてスペクトル強調
係数を求め、該係数値に基づいて入力音声の適応音声強
調を行う。第2の発明に係わる音声強調装置は、入力音
声の音声特徴パラメータの変動量に応じてプリエンファ
シス係数を求め、該係数値に基づいて入力音声の適応音
声強調を行う。第3の発明に係わる音声強調装置は、入
力音声の音声特徴パラメータの変動量に応答じてスペク
トル強調係数、およびプリエンファシス係数を求め、こ
れら両者の係数値に基づいて入力音声の適応音声強調を
行う。第4の発明に係わる音声強調装置は、強調処理に
伴う音声振幅の異常増大、あるいは雑音混入が予想され
る場合において、入力音声の強調を抑制または禁止する
ように制御する。第5の発明に係わる音声強調装置は、
入力音声および出力音声の両音声特徴パラメータに基づ
いて入力音声の強調を抑制または禁止するように制御す
る。第6の発明に係わる音声強調装置は、入力音声の音
声特徴パラメータに加えて外部入力制御信号により入力
音声の強調を抑制または禁止するように制御する。第7
の発明に係わる音声強調装置は、スペクトル強調マップ
から導出されたスペクトル強調仮係数を基に、前後の音
声フレームの平滑化処理からスペクトル強調係数を導出
し入力音声の強調処理を行なう。第8の発明に係わる音
声強調装置は、プリエンファシス係数マップから導出さ
れたプリエンファシス仮係数を基に、前後の音声フレー
ムの平滑化処理からプリエンファシス係数を導出し入力
音声の強調処理を行なう。第9の発明に係る音声強調装
置は、第1の発明または第3の発明乃至第7の発明のい
づれかにおける音声強調装置において、音声特徴パラメ
ータ変動量情報に常時一定のバイアス値を加算し入力音
声の特徴パラメータの変動の有無に拘らず常時入力音声
のスペクトル強調を行なうようにしたものである。第1
0の発明に係る音声強調装置は、第2の発明または第3
項の発明または第8の発明における音声強調装置におい
て、音声特徴パラメータ変動量情報に常時一定のバイア
ス値を加算し入力音声の特徴パラメータの変動の有無に
拘らず常時入力音声のプリエンファシスを行なうように
したものである。第11の発明に係る音声強調装置は、
第7の発明または第8の発明における音声強調装置にお
いて、スペクトル強調係数マップまたはプリエンファシ
ス係数マップを複数個備え音声種別、環境変化を配慮す
るようにしたものである。
【0025】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の第1の実施例について、図
1及び図2に基づいて説明する。第1の発明に挙げる
「スペクトル強調」とは、例えば線形予測分析方法や高
速フーリエ変換を用いて音声のホルマントピークを抽出
し、それを強調するホルマント強調、あるいは帯域分割
を行い各周波数帯域毎にパワー強調係数を乗ずる帯域別
強調などがこれに相当する。本実施例では、スペクトル
強調手法として、線形予測分析方法によるホルマント強
調を用いた場合の構成について説明を行う。
【0026】図1において、1は入力音声から音声特徴
パラメータの算出を行う入力音声分析手段、2は前記音
声特徴パラメータの変化の度合いの分析を行う音声特徴
パラメータ変動量分析手段、3は前記変動量を受けてホ
ルマント強調強度制御を行うホルマント強調強度制御手
段、4は前記ホルマント強調強度制御手段が強調強度の
決定に用いるホルマント強調係数マップ、5は前記ホル
マント強調強度制御手段に応答してホルマント強調係数
を決定するホルマント強調係数決定手段、6は入力音声
のホルマント強調を行うホルマント強調手段、7は前記
ホルマント強調係数決定手段で決定された強調係数の時
間履歴を記憶する係数バッファである。また、101は
入力音声、102は音声特徴パラメータ、103は音声
特徴パラメータ変動量情報、104はホルマント強調仮
係数、105はホルマント強調係数、106は出力音
声、112は線形予測係数、113は前フレームのホル
マント強調係数である。
【0027】次に動作について説明する。入力音声分析
手段1は入力音声101を短時間区間に分割し、各分析
区間毎に入力音声の分析を行い、例えば、自己相関係数
を音声特徴パラメータ102として算出する。さらに、
線形予測係数112を、自己相関方法などを用いて算出
する。
【0028】音声特徴パラメータ変動量分析手段2は、
該当フレームおよび過去のフレームの音声特徴パラメー
タ102を入力とし、当該フレーム近傍における音声特
徴パラメータの変動量の分析を行い、例えば、前記自己
相関係数の絶対値、および前の1フレームとの自己相関
係数の変化量を音声特徴パラメータ変動量情報103と
して算出する。また、先読みを行って未来の音声特徴パ
ラメータを求め、未来から現在にいたる音声特徴パラメ
ータの変化を音声特徴パラメータ変動量情報103とし
て用いることも可能である。
【0029】音声特徴パラメータ変動量情報103とし
ては、前記自己相関係数の絶対値および前フレームとの
変化量の他に、例えば、当該フレーム近傍の音声特徴パ
ラメータ間の相関値、差分値、微分値、絶対値、あるい
は公知の統計分析手法による音韻特徴パラメータ群の分
布の分析結果などを用いることも可能である。
【0030】ホルマント強調強度制御手段3は、図2に
示すようなホルマント強調強度の決定に用いられる音声
特徴パラメータ変動量と、ホルマント強調係数の関係を
表すホルマント強調係数マップ4を具備する。ホルマン
ト強調係数マップ4上では、X軸に自己相関係数の0次
成分の絶対値、Y軸には同じく自己相関係数の0次成分
の前フレームとの差分量がそれぞれ対応付けられ、各短
時間区間毎に音声特徴パラメータ変動量情報103とし
て入力された自己相関係数の0次成分の絶対値と自己相
関係数の0次成分の前フレームとの差分量によりX−Y
平面上のZ軸におけるホルマント強調強度の値が一意に
定まるので、それをホルマント強調仮係数104として
出力する。
【0031】ホルマント強調係数マップ4は、ROMま
たはRAMなどの記憶装置で提供される。その作成方法
として本実施例では、予備実験によりホルマント強調係
数マップを逐次変化させて行く方法について説明する。
まず自己相関係数の0次係数を表すX軸で数カ所の閾値
(Th1,Th2,…,Thn)と、差分量を表すY軸
で同様に数カ所の閾値(Td1,Td2,…,Tdn)
を設定する。次にX軸とY軸の各閾値によって形成され
たX−Y平面上の網目の交点における強調係数として、
聴感上で最適なホルマント強調係数マップが得られるよ
うに最初は適当な値を設定し仮の音声強調装置を構成し
ておき、その後で音声強調装置を用いて聴取実験を行い
つつ、それら交点におけるホルマント強調係数の調整を
繰り返す。さらにきめ細かな強調を行うために、ホルマ
ント強調係数マップ平面のX,Y軸の閾値の網目を細分
化する必要がある場合は、最初に設定した閾値の間にさ
らに新たな閾値を設定して、その閾値に対して上記と同
様の調整を施す。以上の調整を繰り返した後に、交点間
のホルマント強調係数の値を隣接する交点の値で直線補
間する。ただし、ホルマント強調手段6での発振防止の
ために、ホルマント強調係数マップ4上でのホルマント
強調係数の上限値は0.95とし、下限値は0とする。
【0032】前記ホルマント強調係数マップ4の交点間
の補間は、例えば、3点曲線近似方法などの補間方法を
用いて曲線補間を行ってもよい。この場合もホルマント
強調手段6での発振防止のために、補間後のマップ上で
のホルマント強調係数の上限値は0.95で下限値は0
に制限する。
【0033】係数バッファ7はRAMなどの一時記憶装
置で構成され、ホルマント強調係数決定手段5で決定さ
れた過去5フレーム分のホルマント強調係数を記憶する
スペースを持ち、各短時間区間毎にホルマント強調係数
105が決定される度にその内容が取り込まれて値が更
新され、常に現在のフレームから最近の5フレーム分の
ホルマント強調係数を保持する。
【0034】ホルマント強調係数決定手段5は、ホルマ
ント強調強度制御手段3で決定されたホルマント強調仮
係数104に対して、前後フレームとの強調係数の不連
続が原因で生じる異音の発生を防止するため、係数バッ
ファ7に記憶されている前フレームのホルマント強調係
数113を用いて、その5フレーム分を例えば移動平均
フィルタなどの平滑化フィルタに入力して平滑化処理を
施した後、ホルマント強調係数105として出力する。
【0035】ホルマント強調手段6は、ホルマントとホ
ルマントの谷の部分(アンチホルマント)を強調するた
めに、式(1)の伝達関数Hs (z)で表されるよう
な、フィルタの伝達関数が極と零点で表現される極零モ
デル型(ARMA型とも呼ばれる)フィルタで構成され
る。入力音声101を式(1)で構成されるフィルタに
入力してホルマント強調を行い、出力音声106を出力
する。
【0036】
【数1】
【0037】
【数2】
【0038】式(1)中のαは、ホルマント強調係数決
定手段5で出力されたホルマント強調係数に基づいて、
線形予測係数112を式(2)に従って平滑化したもの
である。 式(2)中のpはホルマント強調係数、αo
は平滑化前の線形予測係数である。ηはさらに前記αを
一度自己相関係数に戻した後、係数の安定化処理を行う
ために自己相関係数に重み付けを行う、いわゆるラグ窓
を用いて自己相関係数の平滑化を行い、さらに線形予測
係数に戻したものである。式(1)、式(2)の詳細な
説明は、Ira A Gerson他著、“Vecto
r Sum Excited Linear Pred
iction(VSELP)Speech Codin
g at 8KBPS”,IEEE,ICASSP,
(APR,1990)で述べられているので省略する。
また、ラグ窓についての詳細な説明は、特開昭52−6
4808号に述べられているので省略する。
【0039】ホルマント強調仮係数104は、ホルマン
ト強調係数マップ4を音声特徴パラメータ変化量情報の
種類や数に応じて複数個用意し、それぞれのマップでホ
ルマント強調仮係数を決定し、それらを平均して代表の
ホルマント強調仮係数を決定することも可能である。
【0040】上記実施例によれば、自己相関係数などの
音声特徴パラメータの変動量情報に応答してホルマント
強調を行うことにより、音声のスペクトルが急激に変化
するような子音から母音への立ち上りのホルマント、ま
たは母音から他の母音へ移行するホルマントの過渡部に
おける音声の了解性に関して、重要な部分を選択的に強
調できるという効果がある。更に、母音から子音への過
渡部などで、母音部の末端を通常よりも早期にパワーを
減衰するように強調制御を行うことにより先行母音によ
る子音の後方性マスキングを防ぐ効果がある。更に、ホ
ルマント強調係数マップを複数個用意してホルマント強
調係数を決定することにより、より一層音声特徴パラメ
ータ変化量に対応したホルマント強調処理を行うことが
できるという効果がある。
【0041】実施例2.この発明の第2の実施例につい
て図3、及び図4に基づいて説明する。図3において、
1は入力音声分析手段、2は音声特徴パラメータ変動量
分析手段、8は音声特徴パラメータ変動量分析手段2が
出力する音声特徴パラメータ変動量を受けてプリエンフ
ァシス係数制御を行うプリエンファシス係数制御手段、
9は前記プリエンファシス係数制御手段8に応答してプ
リエンファシス係数を決定するプリエンファシス係数決
定手段、10はプリエンファシス係数決定手段9で強調
強度の決定のために用いられるプリエンファシス係数マ
ップ、11は入力音声のプリエンファシスを行うプリエ
ンファシス手段である。102は音声特徴パラメータ、
103は音声特徴パラメータ変動量情報、107はプリ
エンファシス仮係数、108はプリエンファシス係数、
114は前フレームのプリエンファシス係数である。そ
の他の入力音声101、係数バッファ7、出力音声10
6は実施例1記載のものと同等であるので説明を省略す
る。
【0042】次に動作について説明する。入力音声分析
手段1は入力音声101を短時間区間に分割し、各分析
区間毎に入力音声の分析を行い、例えば自己相関係数を
音声特徴パラメータ102として算出する。
【0043】音声特徴パラメータ変動量分析手段2は、
当該フレームおよび過去のフレームの音声特徴パラメー
タ102を入力とし、当該フレーム近傍における音声特
徴パラメータの変動量の分析を行い、例えば前記自己相
関係数の絶対値、および前の1フレームとの自己相関係
数の変化量を音声特徴パラメータ変動量情報103とし
て算出する。また、先読みを行って未来の音声特徴パラ
メータを求め、未来から現在に到る音声特徴パラメータ
の変化を音声特徴パラメータ変動量情報103として用
いることも可能である。
【0044】プリエンファシス係数制御手段8は、図4
に示すようなプリエンファシス強度の決定に使用される
音声特徴パラメータ変動量と、プリエンファシス係数の
関係を表すプリエンファシス係数マップ10を具備す
る。プリエンファシス係数マップ10上では、X軸に自
己相関係数の0次成分の絶対値が、Y軸には同じく自己
相関係数の0次成分の前フレームとの差分量がそれぞれ
対応付けられており、各短時間区間毎に音声特徴パラメ
ータ変動量情報103として入力された自己相関係数の
0次成分の絶対値と自己相関係数の0次成分の前フレー
ムとの差分量によりX−Y平面上のZ軸におけるプリエ
ンファシス係数の値が一意に定まるので、それをプリエ
ンファシス仮係数107として出力する。
【0045】プリエンファシス係数マップ10は、RO
MまたはRAMなどの記憶装置で提供される。本実施例
においても、先に実施例1で示したホルマント強調係数
マップの作成方法と同様にして、予備実験によりプリエ
ンファシス係数マップを逐次変化させる方法により求め
ることができる。但し、プリエンファシス手段11での
異音発生防止のために、プリエンファシス係数マップ1
0上でのプリエンファシス係数の上限値は0.7とし、
下限値は0とする。
【0046】プリエンファシス係数マップ10が実施例
1で示された方法により作成された場合、マップ上交点
間の補間は、例えば、3点曲線近似方法などの補間方法
を用いて行ってもよい。この場合もプリエンファシス手
段11での異音発生防止のために、補間後のプリエンフ
ァシス係数の上限値は0.7で、下限値は0に制限す
る。
【0047】係数バッファ7はRAMなどの一時記憶装
置で構成され、プリエンファシス係数決定手段9で決定
された過去5フレーム分のプリエンファシス係数を記憶
するスペースを持ち、各短時間区間毎にプリエンファシ
ス係数108が決定する度にその値が取り込まれて内容
が更新され、常に現在のフレームから最近の5フレーム
分のプリエンファシス係数を保持する。
【0048】プリエンファシス係数決定手段9は、プリ
エンファシス係数制御手段8で決定されたプリエンファ
シス仮係数107に対して、前後フレームとの強調係数
の不連続が原因で生じる異音の発生を防止するために係
数バッファ7に記憶されている前フレームのプリエンフ
ァシス係数114を用いて、その5フレーム分を例えば
移動平均フィルタなどの平滑化フィルタに入力して平滑
化処理を施した後、プリエンファシス係数108として
出力する。
【0049】プリエンファシス手段11は、式(3)で
示される伝達関数Hp (z)で構成されるフィルタであ
る。プリエンファシス手段11では、pで表されるプリ
エンファシス係数108、および入力音声101を入力
して、入力音声101のプリエンファシス処理を行い、
出力音声106を出力する。
【0050】
【数3】
【0051】プリエンファシス仮係数107は、プリエ
ンファシス係数マップ10を音声特徴パラメータ変化量
情報の種類や数に応じて複数個用意し、それぞれのマッ
プでプリエンファシス仮係数を決定し、例えば、それら
を平均することによって代表のプリエンファシス仮係数
を決定することも可能である。
【0052】上記実施例によれば、自己相関係数などの
音声特徴パラメータの変動量情報に応答してプリエンフ
ァシス処理を行うことにより、音声特徴パラメータが急
激に変化するような子音から母音への立ち上がりの過渡
部、つまり音声の了解性に関して重要な部分においてエ
ネルギーが小さくかつ高域にパワーが集中することが多
い子音特徴の強調を行うことができるという効果があ
る。また、プリエンファシス係数マップを複数個用意し
てプリエンファシス係数を決定することにより、音声特
徴パラメータ変化に対してより追従性の高いプリエンフ
ァシス処理を行うことができるという効果がある。
【0053】実施例3.この発明の第3の実施例につい
て、図5に基づいて説明する。本実施例は、前記実施例
1に記載のスペクトル強調強度制御手段3、ホルマント
強調係数決定手段5、ホルマント強調手段6、及び前記
実施例2に記載のプリエンファシス係数制御手段8、プ
リエンファシス係数決定手段9、プリエンファシス手段
11、の両者の縦続構成を取るようにしたものである。
図中の各要素については、前記実施例1および2にて説
明済なので省略する。
【0054】このような構成をとることにより、実施例
1と実施例2が有する効果に加えて、ホルマント強調と
プリエンファシスの相乗効果により、高域のスペクトル
ピークが更に強調される効果がある。また本実施例にお
いて、ホルマント強調とプリエンファシスの前後を入れ
換えても、本発明の効果は変わらない。
【0055】実施例4.この発明の第4の実施例につい
て、図6に基づいて説明する。図6において、12は強
調不適合音声検出手段、13は強調係数変更手段、10
9は強調抑制/禁止信号、110は変更されたホルマン
ト強調係数である。
【0056】本実施例では、音声強調装置200に実施
例1で記載の音声強調装置を適用した場合の説明を行
う。その他の入力音声分析手段1、音声特徴パラメータ
変動量分析手段2、ホルマント強調強度制御手段3、ホ
ルマント強調係数マップ4、ホルマント強調係数決定手
段5、ホルマント強調手段6、係数バッファ7、入力音
声101、音声特徴パラメータ102、音声特徴パラメ
ータ変動量情報103、ホルマント強調仮係数104、
ホルマント強調係数105、出力音声106は前記実施
例と同一であるので説明を省略する。
【0057】次に動作について説明する。強調不適合音
声検出手段12は入力音声分析手段1が出力する音声特
徴パラメータ102の分析を行い、低域にパワーが集中
したり、ホルマントバンド幅がある閾値よりも狭い場
合、線形予測が2次以下で打ち切られた場合、さらには
音声区間で雑音が大きいこと(例えば、入力音声と雑音
のSN比が10dBを下回ったとき)などが原因で強調
を行うことにより出力音声に歪みが生ずることが予測さ
れる場合には、強調抑制/禁止制御信号109を出力す
る。
【0058】強調係数変更手段13は強調抑制/禁止制
御信号109を入力し、ホルマント強調を抑制する場合
には、ホルマント強調係数決定手段5が出力するホルマ
ント強調係数105に対して、補正係数として1より小
さい数(ここでは0.8)を乗じて強調を弱め、またホ
ルマント強調を禁止する場合にはホルマント強調係数を
0にするなどの変更処理を加えた後ホルマント強調係数
110を出力する。その後、ホルマント強調手段6で入
力音声101のホルマント強調を行い、出力音声106
を出力する。
【0059】ホルマント強調の抑制または禁止を行うこ
とにより、ホルマント強調によって異音を発生するおそ
れのある音声の強調を防止し、音声と無関係な雑音の強
調を抑制したり、過度の強調により歪み感を防ぐ効果が
ある。
【0060】実施例5.この発明の第5の実施例につい
て、図7に基づいて説明する。本実施例は図7のブロッ
ク図に示すように、強調不適合音声検出手段12に対し
て音声特徴パラメータ102だけでなく、その他のパラ
メータ、例えば、出力音声をフィードバック入力し、こ
れを分析することで過度の強調を検出するようにしたも
のである。
【0061】出力音声を用いて音声強調のフィードバッ
ク制御を行うことにより、強調制御をより精密に行なう
ことができる利点がある。
【0062】実施例6.この発明の第6の実施例につい
て、図8に基づいて説明する。本実施例は図8のブロッ
ク図に示すように、強調係数変更手段13に対して、実
施例4に記載の音声強調装置201の外部から、例え
ば、強調強度切り替えスイッチ信号などの外部制御信号
111を入力するようにし強調強度の制御を外部から行
うようにしたものである。
【0063】図8において新規な部分は、外部制御信号
111である。その他の各要素は実施例4記載の構成要
素と同一なので説明は省略する。
【0064】外部制御信号を用いて強調制御を行うこと
により、例えば、電話機などに本発明の音声強調装置が
応用された時に、受話者にとって聴きやすいように音声
強調制御を受話者または送話者が任意に行うことができ
るという利点がある。更に、受話者が音声強調を好まし
くないと判断した場合には、音声強調を抑制/禁止する
ことができるという利点もある。また、逆に音声強調の
抑制/禁止を解除するといった制御も可能である。
【0065】実施例7.実施例1乃至4のいづれかにお
いて、例えば、入力音声101の現在のフレームと出力
音声106の現在のフレームのパワーに関する両者の比
較を行い、入力音声のパワーレベルに正規化するように
出力音声のパワー補正を行うようにしてもよい。
【0066】パワー補正を行うことにより、例えば、入
力音声と出力音声を相互に切り替えて聞き比べるシステ
ム、または音声メッセージの一部分だけを強調すること
のできる音声蓄積装置などに用いられて、入力音声と出
力音声のパワーレベル整合を行うことができ、切り替え
時の違和感を低減できる効果がある。さらに、強調によ
る振幅増大などを抑制できる効果がある。
【0067】実施例8.上記実施例1,3および4にお
いて、音声特徴パラメータ変動量情報103の検出結果
に一定値のバイアスを加え、音声特徴パラメータ変動量
情報103が常時小量の値を保持するようにして、音声
特徴パラメータの変動が無くても常時ホルマント強調を
行うようにしてもよい。
【0068】音韻の過渡部だけでなく、パラメータの時
間変動が安定した母音などの定常部でのホルマント強調
を行えるという利点がある。
【0069】実施例9.上記実施例2、及び3におい
て、音声特徴パラメータ変動量情報103の検出結果に
一定値のバイアスを加えて、音声特徴パラメータ変動量
情報103が常時小量の値を保持するようにして、音声
特徴パラメータの変動が無くてもプリエンファシスを行
うようにしてもよい。
【0070】音韻の過渡部だけでなく、パラメータの時
間変動が安定した母音などの定常部でのプリエンファシ
スを行えるという利点がある。
【0071】実施例10.前記実施例における係数マッ
プを、音声の種別の変化、または環境雑音の変化などに
適応させるように構成してもよい。また、学習法として
は、例えばLBGアルゴリズムなど同業者間では既に公
知の学習手段を用いても構わないし、1つ以上の複数の
マップから最適なものを選択する方法を用いても構わな
い。さらに、受話者にとって聴きやすいように、例え
ば、音声特徴パラメータの変動が無い時でも常時小量の
強調を行いたい場合などに、係数マップの強調係数全体
に小さな定数を加えるなどの任意の変更を加えるように
してもよい。また、これらの係数マップは、音声強調装
置の動作と独立してリアルタイムに変更するようにして
もよい。
【0072】係数マップの適応変更を行うことにより、
環境の変化、話者の変化などに追従でき、入力音声の声
質に最適な音声強調を行うことができる利点がある。さ
らに、受話者にとって聴きやすい音声強調を行うことが
できる利点がある。
【0073】
【発明の効果】この発明は以上説明したようにして構成
されているので以下に記載されるような効果を奏する。
この発明の音声強調装置は、音声特徴パラメータの変動
量情報に基づいてスペクトル強調係数を導出し、この値
に基づいて入力音声をスペクトル強調するようにしたの
で、音韻の過渡部などのように音声のスペクトルが急激
に変化する箇所に対しても音声としての自然性を保ち明
瞭性を維持することができる。
【0074】また、この発明の音声強調装置は音声特徴
パラメータの変動量情報に基づいてプリエンファシス係
数を導出し、この値に基づいて入力音声をプリエンファ
シスするようにしたので、音声のスペクトルが急激に変
化しエネルギーが小さくかつ高域に集中することの多い
子音部に対しても音声としての自然性を保ち、明瞭性を
維持することができる。
【0075】また、この発明の音声強調装置は、音声特
徴パラメータの変動量情報に基づいてスペクトル強調係
数とプリエンファシス係数を導出し、これら両方の値に
基づいて音声の適応強調を行なうようにしたので、第1
及び第2の発明の音声強調装置が有する効果に加えて、
スペクトル強調とプリエンファシス処理の相乗効果によ
り、音声の高域部分のスペクトルピークが更に強調され
明瞭性を向上させることができる。
【0076】また、この発明の音声強調装置は、強調処
理によって異音を発生するおそれのある音声を検出し、
強調の抑制または禁止を行うようにしたので、音声と無
関係な雑音の強調を抑制したり、過度の強調による歪み
感を防ぐことができる。
【0077】また、この発明の音声強調装置は、入力音
声に加え出力音声情報をもフィードバックさせて強調制
御を行なうようにしたので、より違和感の少ない高品質
な音声出力を得ることができる。
【0078】また、外部制御信号を用いて音声強調を行
なうようにしたので柔軟性に富んだ音声強調処理を行な
うことができる。
【0079】また、スペクトル強調係数マップにより一
旦仮の強調係数を求めた後、さらに過去の履歴情報から
最終係数値を決定し、この値に基づいて音声強調処理を
行なうようにしたので違和感の無い、入力音声に一層忠
実な出力を得ることができる。
【0080】また、プリエンファシス係数マップにより
一旦仮のプリエンファシス係数を求めた後、さらに過去
の履歴情報から最終係数値を決定しこの値に基づいてプ
リエンファシス処理を行なうようにしたので、入力音声
のエネルギーが小さく高域にパワーが集中することの多
い子音部分についても明瞭性に優れた音声出力を得るこ
とができる。
【0081】さらに、音声特徴パラメータ変動量情報に
常時一定のバイアス値を加算し入力音声の特徴パラメー
タの変動の有無に拘らず常時入力音声のスペクトル強調
を行なうようにしたので、過渡部のみならず音声特徴パ
ラメータが安定した定常部においてもスペクトル強調を
おこなうことができる。
【0082】さらに、音声特徴パラメータ変動量情報に
常時一定のバイアス値を加算し入力音声の特徴パラメー
タの変動の有無に拘らず常時入力音声のプリエンファシ
スを行なうようにしたので、過渡部のみならず音声特徴
パラメータが安定した定常部においてもプリエンファシ
スをおこなうことができる。
【0083】加えて、スペクトル強調係数マップまたは
プリエンファシス係数マップを複数個備えるようにした
ので、話者の変化や環境の変化にも追従した入力音声の
声質に適した音声強調をおこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施例1で使用するホルマント強調
係数マップの一例を示す図である。
【図3】この発明の実施例2を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施例2で使用するプリエンファシ
ス係数マップの一例を示す図である。
【図5】この発明の実施例3を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施例4を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施例5を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施例6を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 入力音声分析手段、2 音声特徴パラメータ変動量
分析手段、3 ホルマント強調強度制御手段、4 ホル
マント強調係数マップ、5 ホルマント強調係数決定手
段、6 ホルマント強調手段、7 係数バッファ、8
プリエンファシス係数制御手段、9 プリエンファシス
係数決定手段、10 プリエンファシス係数マップ、1
1 プリエンファシス手段、12 強調不適合音声検出
手段、13 強調係数変更手段、101 入力音声、1
02 音声特徴パラメータ、103 音声特徴パラメー
タ変動量情報、104 ホルマント強調仮係数、105
ホルマント強調係数、106 出力音声、107 プリ
エンファシス仮係数、108 プリエンファシス係数、
109 強調抑制/禁止信号、110 変更されたホル
マント強調係数、111 外部制御信号、112 線形
予測係数、113前フレームのホルマント強調係数、1
14 前フレームのプリエンファシス係数、200 実
施例1に記載の音声強調装置、201 実施例4に記載
の音声強調装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−202698(JP,A) 特開 平1−261930(JP,A) 特開 平5−249994(JP,A) 特開 平4−248794(JP,A) 特開 昭58−184200(JP,A) 特開 昭62−248400(JP,A) 特開 平3−266899(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10L 13/00

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 短時間区間に分割された入力音声の音声
    特徴パラメータの時間変動の度合いを分析する音声特徴
    パラメータ変動量分析手段と、 前記音声特徴パラメータ変動量分析手段が出力する音声
    特徴パラメータ変動量情報に応答してスペクトル強調強
    度を決定しスペクトル強調係数を出力するスペクトル強
    調強度制御手段と、 前記スペクトル強調強度制御手段が出力するスペクトル
    強調係数に応じて入力音声のスペクトル強調を行うスペ
    クトル強調手段と、を備えたことを特徴とする音声強調
    装置。
  2. 【請求項2】 短時間区間に分割された入力音声の音声
    特徴パラメータの時間変動の度合いを分析する音声特徴
    パラメータ変動量分析手段と、 前記音声特徴パラメータ変動量分析手段が出力する音声
    特徴パラメータ変動量情報に応答してプリエンファシス
    係数を決定しプリエンファシス係数を出力するプリエン
    ファシス係数制御手段と、 前記プリエンファシス係数制御手段が出力するプリエン
    ファシス係数に応じて入力音声のプリエンファシスを行
    うプリエンファシス手段と、を備えたことを特徴とする
    音声強調装置。
  3. 【請求項3】 短時間区間に分割された入力音声の音声
    特徴パラメータの時間変動の度合いを分析する音声特徴
    パラメータ変動量分析手段と、 前記音声特徴パラメータ変動量分析手段が出力する第1
    の音声特徴パラメータ変動量情報に応答してスペクトル
    強調強度を決定しスペクトル強調係数を出力するスペク
    トル強調強度制御手段と、 前記スペクトル強調強度制御手段が出力するスペクトル
    強調係数に応じて入力音声のスペクトル強調を行うスペ
    クトル強調手段と、 前記音声特徴パラメータ変動量分析手段が出力する第2
    の音声特徴パラメータ変動量情報に応答してプリエンフ
    ァシス係数を決定しプリエンファシス係数を出力するプ
    リエンファシス係数制御手段と、 前記プリエンファシス係数制御手段が出力するプリエン
    ファシス係数に応じて入力音声のプリエンファシスを行
    うプリエンファシス手段と、から構成されたことを特徴
    とする音声強調装置。
  4. 【請求項4】 短時間区間に分割された入力音声の音声
    特徴パラメータを入力し出力音声に歪みが予想される場
    合に強調抑制信号を出力する強調不適合音声検出手段
    と、 前記強調抑制信号に基づいて前記スペクトル強調係数を
    補正する強調係数変更手段を備え、 前記スペクトル強調手段は前記補正されたスペクトル強
    調係数により入力音声のスペクトル強調を行なうように
    したことを特徴とする請求項第1項記載の音声強調装
    置。
  5. 【請求項5】 前記強調不適合音声検出手段は入力音声
    の音声特徴パラメータ情報に加えて出力音声の音声特徴
    パラメータ情報から強調抑制信号を制御するようにした
    ことを特徴とする請求項第4項記載の音声強調装置。
  6. 【請求項6】 前記強調係数変更手段は前記強調抑制信
    号に加えて外部制御信号によりスペクトル強調係数を決
    定するようにしたことを特徴とする請求項第4項記載の
    音声強調装置。
  7. 【請求項7】 音声特徴パラメータ変動量情報とスペク
    トル強調係数の関係を規定したスペクトル強調係数マッ
    プと、 スペクトル強調仮係数からスペクトル強調係数を算出す
    るスペクトル強調仮係数決定手段とを備え、 前記スペクトル強調強度制御手段は前記音声特徴パラメ
    ータ変動量情報に基づいて前記スペクトル強調係数マッ
    プから導出された値をスペクトル強調仮係数として前記
    スペクトル強調係数決定手段に出力し、 前記スペクトル強調係数決定手段は前記スペクトル強調
    仮係数から前後の音声フレームの平滑化処理により決定
    されるスペクトル強調係数を算出し前記スペクトル強調
    手段へ出力するようにした、ことを特徴とする請求項第
    1項記載の音声強調装置。
  8. 【請求項8】 音声特徴パラメータ変動量情報とプリエ
    ンファシス係数の関係を規定したプリエンファシス係数
    マップと、 プリエンファシス仮係数からプリエンファシス係数を算
    出するプリエンファシス係数決定手段とを備え、 前記プリエンファシス係数制御手段は前記音声特徴パラ
    メータ変動量情報に基づいて前記プリエンファシス係数
    マップから導出された値をプリエンファシス仮係数とし
    て前記プリエンファシス係数決定手段に出力し、 前記プリエンファシス係数決定手段は前記プリエンファ
    シス仮係数から前後の音声フレームの平滑化処理により
    決定されるプリエンファシス係数を算出し前記プリエン
    ファシス手段へ出力するようにした、ことを特徴とする
    請求項第2項記載の音声強調装置。
  9. 【請求項9】 前記音声特徴パラメータ変動量情報に常
    時一定のバイアス値を加算し入力音声の特徴パラメータ
    の変動の有無に拘らず常時入力音声のスペクトル強調を
    行なうようにしたことを特徴とする請求項第1項または
    第3項乃至第7項のいづれかに記載の音声強調装置。
  10. 【請求項10】 前記音声特徴パラメータ変動量情報に
    常時一定のバイアス値を加算し入力音声の特徴パラメー
    タの変動の有無に拘らず常時入力音声のプリエンファシ
    スを行なうようにしたことを特徴とする請求項第2項ま
    たは第3項または第8項記載の音声強調装置。
  11. 【請求項11】 前記スペクトル強調係数マップおよび
    前記プリエンファシス係数マップを複数個備えるように
    したことを特徴とする請求項第7項または第8項記載の
    音声強調装置。
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