JP3355021B2 - マイクロメモリおよびマイクロセンサ - Google Patents
マイクロメモリおよびマイクロセンサInfo
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Description
を発光させた極微小光源からなるマイクロメモリおよび
マイクロセンサに関するものである。さらに詳しくは、
この発明は、回転楕円体状微粒子を発光させた極微小光
源の光共鳴効果による光閉じ込めを利用した新しいマイ
クロメモリおよびマイクロセンサに関するものである。
捕捉(トラッピング)することは従来より知られてお
り、この発明の発明者らによって、このレーザー捕捉の
方法を、マイクロメーターオーダーの微粒子の非接触・
非破壊での自由な操作を可能とする方法として高度化す
ることが可能となってきている。
は、捕捉されている微粒子には数10〜数100MW/
cm2 のエネルギーの光が照射されており、このような
系ではnonlinear chemistry が容易に起きることが期待
される。すなわち、cmオーダーの容器を用いた場合に
較べ、μm空間ではこのような極限状態を簡単に作りだ
すことができることになる。これは極微化学の大きな特
長の一つであり、かつこれを利用してマイクロメートル
特有の化学反応を促すことができる。
微粒子操作についてさらにその高度利用と応用領域の拡
大について検討を進めてきており、すでにいくつかの新
しい手法が開発されてきているが、このような検討の過
程において、極微粒子の微小光源の形成が一つの重要な
課題となっていた。それと言うのも、マイクロメーター
オーダの微小な光源が得られれば、かつ、それがレーザ
ーのようにコヒーレンス(単色性)の高いものであれ
ば、いわゆる極微化学工場を構築する上で重要な技術と
なりうるからである。また、光計測の分野においても、
フォトンSTM(NSOM)等に見られる様に、光を波
長以下の微小空間に制限する手法が盛んに研究されてい
るが、それらにも極微小光源は応用の可能性がある。こ
のような極微小光源の研究として、最近、液滴・ポリマ
ーラテックス微粒子中での色素レーザー発振がいくつか
報告されている。これは、μmオーダの球がキャビティ
となり、Whispering Galleryとよばれるモードで発振が
起こるものである。
て、微小誘電体球における電磁場の理論を導いたのは、
20世紀初頭のMie の論文、いわゆる、Mie 散乱の理論
である。そのすぐ後、Debye は、同様の理論から、電磁
場が微小誘電体球に及ぼす力(放射力)を導いた。これ
は、後に、Ashkinがレーザートラップの粒径および波長
依存性にリップル構造(Whispering-Gallary Mode と同
様)があることを示す基本理論となる。その後、Whispe
ring Gallary Mode と名付けたのは、Rayleighである。
この理論を微粒子レーザー発振の分野では、Rayleigh t
ehory 、Mie-Debye theory、またはLorenz-Mie theory
と呼んでいる。
振を実験的に示したのは、1961年、Bell研のGarrot
t らである。彼らは、CaF2 :Sm+1の結晶を数mm
(μmではない)の球に磨き上げたものをサンプル(液
体水素中)とし、高圧キセノンフラッシュランプ(ピー
クパワー:50W/cm2 )をポンプ光として用いてい
た。彼らは、発光強度のポンプ光強度依存性から誘導放
出であることを確認している。この実験はすばらしいも
のであったが、なぜか後に続くものがなかった。再び注
目され出したのは、レーザーが普及した1970年代後
半で、このころから数多くの報告が発表されている。ま
ず、数十μmの球形微粒子にドープした色素の蛍光スペ
クトルが、共振によりモード構造をもつことが実験的に
示された。
構造の測定も行われている。ただし、ここまでは自然放
出光のモード構造であり、これは単にエタロンを通して
蛍光を観測するのと同じで、レーザー発振(誘導放出)
ではなかった。μmの微粒子で初めてレーザー発振を報
告したのは、1984年のTzeng らの論文である。この
ときの試料は、ローダミン6G(10-4−10-3M)を
含有したエタノールの液滴(空気中)である。この液滴
は、vibrating orifice で作られ、その振動数で粒径が
調整されている。この実験では、粒径60μmまでのも
のが使用され、ポンプ光はアルゴンイオンレーザー(5
14.5nm)で200μmまで絞っている。測定は、
次々と落下してくる液滴をあるタイミングでポンプし測
定することにより、1個1個の測定をしている。誘導放
出の確認は、モードのピーク強度とバックランド(自然
放出光)の強度比がポンプ光強度に依存すること、及
び、μsecのオーダであるが時間分解測定により緩和
発振を測定している。ただ、この報告のデータは色素の
レーザー発振だけでなく、エタノールの誘導ラマン散乱
も含まれていたようである。実際、このすぐ後に、微小
液滴(アルコールや水)における誘導ラマン散乱(微小
球キャビティによるフィードバックで起こる誘導放出)
が報告されている。これも、明瞭なモード構造を持って
おり、一種のラマンレーザーと見做される。
n らにより、レーザー発振スペクトルの粒径依存性が調
べられ(ローダミン590(10-4−10-3M)含有水
滴、40−60μm、Q switched YAG 532n
m、20ns)、また、Qianらによって、レーザー発振
の様子が写真として観測された。さらにBiswasらによっ
て、nsecオーダーの時間分解測定がなされ、緩和発
振が明確に観測された。一方、誘導ラマン散乱について
は、QianらによってCCl4 の液滴が測定されたほか、
nsecの時間分解測定も色素レーザー発振より先に行
われている。1990年以降も微小液滴の誘導ラマン散
乱の研究が盛んになされているが、あまり進歩はない。
出光(蛍光)を観測した以外、すべて液滴を空気中で観
測したものである。これらの研究は学術的意義において
は重要であるものの、技術としての応用とその展開を図
るには全く不充分な状況にあった。実際、液滴の空気中
での発光やレーザ発振を確認しただけでは、微粒子操作
法としての極微反応場での適用やフォトンSTMへの応
用には全く不充分である。
者らは、微粒子をレーザー捕捉し、これにレーザー照射
することによりレーザー発振させることに成功し、この
レーザー発振による微小光源の形成方法を確立した(特
開平5−175616号公報)。この微小光源の形成
は、これまでの技術常識から見て、画期的なものとして
注目され、極微反応場への応用やフォトンSTMへの応
用を可能とするものであった。
いて、この微小光源の形成方法の場合には、いずれも球
形粒子を対象としているという制約があり、微粒子の光
共鳴効果についての検討が充分に行われていないという
課題が残されていた。そこでこの発明は、このような従
来の研究開発の状況に鑑みてなされたものであり、レー
ザー微粒子操作法としてのさらなる発展を図り、光共鳴
効果にも注目することによって、極微反応場への適用等
において有用な極微小光源を利用した新しいマイクロメ
モリおよびマイクロセンサを提供することを目的として
いる。
の課題を解決するものとして、まず第1には、レーザー
色素をドープした回転楕円体状微粒子にレーザー照射し
て発光させた極微小光源からなり、その極微小光源の光
共鳴効果による光閉じ込めを利用することを特徴とする
マイクロメモリおよびマイクロセンサを提供する。また
第2には、この発明は第1の発明における極微小光源
が、液媒体中で回転楕円体状微粒子をレーザー捕捉して
発光させる極微小光源であることを特徴とするマイクロ
メモリおよびマイクロセンサをも提供する。
体状微粒子にレーザー色素をドープしておき、このレー
ザー色素をドープした微粒子にレーザー光を照射して発
光させる。つまり、レーザー発振をも可能とする。この
時、微粒子は複数の群として、レーザー色素をドープし
た微粒子と、これをドープしない微粒子との混在等の任
意の対応において取扱うことができる。微粒子の種類に
も特に限定はなく、色素ドープ可能な任意のものを使用
することができる。
粒子については、通常、まず球形微粒子に色素を含浸さ
せ、この微粒子を分散させたフィルムを延伸する等によ
って変形させて容易に製造することができる。すなわ
ち、より詳しく説明すると以下の通りである。 (1)色素の含浸 高分子微粒子への色素の含浸を例として説明すると、ま
ず色素を用いる微粒子に対して貧溶媒である適当な有機
溶媒に溶かし、その溶液中に天然または合成高分子微粒
子を浸す。微粒子は有機溶媒によってある程度膨潤し、
溶媒と共に色素も微粒子内に入る。次にこの微粒子をマ
イクロポアフィルターを用いてろ過し、乾燥すると、色
素がドープした微粒子が得られる。色素を含浸するタイ
ミングには、おもに変形微粒子つまり微粒子変形後に色
素を含浸する方法と、変形前の球形微粒子に含浸する方
法とがある。
形させるには、水に対して不溶な微粒子を、水溶性高分
子を利用し、適当な濃度の高分子水溶液に微粒子を分散
させ、そのキャストフィルムを作製する。そして高温の
オイルバス中でキャストフィルムを必要な引っ張り比に
延伸する。このとき、固有の状況下で高分子微粒子はア
フィン変形する。微粒子が変形した後、水溶性高分子を
水により溶解し、ろ過し、回転楕円体状微粒子を得る。
る。常温では高分子微粒子は、通常は、ガラス状であ
り、延伸することができない。延伸するにはガラス転移
温度:Tg(たとえばPMMAは80−120℃、PS
tは82℃)以上にする必要があり、また回転楕円体形
状に変形させるにはキャストフィルムが弾性状態である
必要もある。たとえばPVAは、Tgが90−140℃
でこの条件をよく満たしている。
を図示したものが図1であり、また、回転楕円体状微粒
子の取出しをより詳しく示したものが図2である。
光源は、共存する他の微粒子の物理・化学的改変や修飾
等に利用することや、あるいは表示素子、光素子、光メ
モリー、光センサー、その他のエレクトロニクスデバイ
ス等への応用、フォトンSTMへの応用等も可能であ
る。微粒子としても有機物とともに、生物細胞、ウイル
ス等を使用することができる。
した場合、球形に比べレーザー発振ピークが多数出現
し、また励起位置によってレーザー発振ピークが変化す
る。このため、室温での光化学ホールバーニングを行っ
た場合、球形微粒子に比べて、簡単に、深く、メモリを
形成させることが可能になる。 したがって、回転楕円体
状微粒子は回転楕円体状微粒子特有の光共鳴効果を持 つ
極微小共振器として有効であり、その極微小共振器の光
閉じ込めによるマイクロメモリおよびマイクロセンサが
構成されることになる。発光に際しては、液中において
捕捉レーザー光の照射のみによってもよいし、捕捉した
状態で、さらにパルスレーザー等の他のレーザービーム
を照射するようにしてもよい。
ワー等の選択、照射方法、さらには色素の種類の選択に
よって様々な態様が可能となる。以下、実施例を示し、
さらに詳しくこの発明について説明する。
からマイクロポアフィルター(8μm穴)を用いてろ過
する。ここでは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA:
Soken, MP−2700M,D=120μm)にはロー
ダミンB(RhB:Exciton, R610 Chloride,MW
479.02)をメチルアルコールに溶かした溶液(約
2×10-2mol/l,飽和溶液)を用い、ポリスチレ
ン(PSt;Polysciences Inc. Polybead Polystyrene
45.0μm、2.5% Solid-Latex, D=41.1
7μm,SD=7.613μ)にはNile Red(Aldrich
Chem. Co. MW318.38)をアセトンに溶かした溶
液(約2×10-4mol/l,飽和溶液)を用いた。
A(ナカライテスク)を2.5g(重量濃度:10%)
溶す。PVAとしては重合度=約500を用いた。これ
は50−70℃で数十分攪拌するとPVAが溶けやすい
ためである。また、この条件で作成したキャストフィル
ムは延伸後、水に溶けやすく、微粒子を精製しやすい。
においたスライドガラス(MATSUNAMI MICROSLIDE GLAS
S, Tickness 0.8−1.0mm、Pre-Cleaned, 7
6×26mm)上にパスツールピペットを用いて約5m
lのせて、常温で乾燥させキャストフィルムを作製し
た。乾燥フィルムの厚さはマイクロメーターで計測した
ところ、約0.15mmであった。
の小片を延伸器に固定し、必要な引っ張り比について1
20℃で延伸した。延伸は自動温度調節されたオイルバ
ス(使用オイル:シリコンオイル、東レ・ダウ コーニ
ングシリコーン株式会社,SRX310、1.0kg)
のなかでフィルム小片を平均3−5cm/sの速さで手
動操作することにより行った。ここではフィルムを6c
mから7.2cmに(引っ張り比1.2で)延伸した。
その後、延伸したフィルムは室温で十分冷やし、フィル
ムに付着したオイルを取り除いた(オイル分をまず紙で
ふき取り、さらにPVAは水溶性のためヘキサンを用い
てきれいにふき取った)。
得 フィルムを延伸台本体からはずし、クランプ近くの部分
はひずみが中間部分と異なってくるので取り除いた。フ
ィルムの残りは約、図2に沿って、10時間、30/7
0%(v/v)、イソプロパノール/水の混合物(フィ
ルム片4枚に対し200ml)に浸漬し、フィルムをゲ
ル状にする。その後、溶液の温度はPVAが溶解する8
0−85℃に上げ、フィルムに分散した微粒子を分離し
た。次にマイクロポアフィルター(8μm穴)によりイ
ソプロパノール/水の混合物をろ過し、微粒子洗浄のた
めフィルターをそのままにして蒸留水を注ぎ、ろ過し
た。得られた微粒子は、蒸留水(フィルム片4枚分に対
し200ml)にPVAが溶解する80−85℃の温度
に上げ、約1時間攪拌した。さらに、超音波洗浄器によ
り微粒子に付着しているPVAを取り除き、フィルター
(8μm穴)でろ過し、蒸留水により洗浄・ろ過を行
い、フットボール形微粒子を得た。
ィルムの引っ張り比とよく一致した値となった。図3
は、RhB(2×10-2mol/l)をドープし、引っ
張り比1.2で延伸したPMMA微粒子、軸比12:1
0(1.2)のものを示している。また、図4は、NR
(2×10-4mol/l)をドープし、引っ張り比1.
2で延伸したPSt微粒子、軸比56:47(1.1
9)のものを示している。
したPMMA回転楕円体状微粒子等を得る。 4)回転楕円体状微粒子へのレーザー照射 図5は、回転楕円体状微粒子へのレーザー照射とそれに
よるレーザー発振のためのシステムの構成を例示したも
のである。ポンプ用レーザー光にはQスイッチNd:Y
AGレーザーの第2高調波(532nm、〜30ps、
10mJ/pulse 、10Hz)を用いた。このレーザー
光を顕微鏡(Nikon OptiphotXF)に導き、対物レンズ
(×40、NA=0.85)で微粒子に集光する。この
とき、1個の微粒子全体が一様に照射される様に、焦点
位置をずらしてデフォーカス状態にした。微粒子からの
発光は、対物レンズで結像面のピンホール上に集光し、
高感度マルチチャンネル分光光度計(浜松ホトニクス、
PMA10、2段MCP内蔵、分解能〜2nm)でスペ
クトルを測定した。この場合、液媒体中でレーザー捕捉
してもよい。この場合には、たとえば、捕捉用レーザー
光にはCWNd:YAGレーザー(Spectron SL90
2T、波長1064nm、直線偏光)を用いることがで
きる。このレーザー光をλ/4板で円偏光にし、偏光ビ
ームスプリッタで2つのビームに分ける。この2本のビ
ームを、それぞれに、2枚のガルバノミラー(GSZ
Q325DT)で2軸方向に偏向させた後、偏光ビーム
スプリッタで同軸にする。これらのレーザービームは、
さらにポンプ用レーザー光と同軸で顕微鏡に導き、試料
上に集光する。集光スポットの大きさは〜1μmであ
る。2つの集光スポットは、コンピュータ(NEC P
C9801RA)で抑制されたガルバノミラーで試料面
上を自由に動かすことができる。微粒子レーザー発振の
様子は、CCDカメラ及びビデオ録画装置で観測するこ
ともできる。
ーダミン6GをドープしたPMMA微粒子(長軸約16
μm)の軸比16:12のフットボール形の回転楕円体
状微粒子の発光スペクトルを示したものが図6である。
また図7は、比較のために示した粒径12μmの球形微
粒子の場合の発光スペクトルである。また、図8は、軸
比14:12、図9は、軸比14:10の微粒子の発光
スペクトルを示したものである。
よびS点とすることを示した図であり、図11は、この
位置による発光スペクトルの差異を示したものである。
以上のことから、次のことが明らかになった。1)球形
粒子の場合に比べ、回転楕円体状粒子の場合には、レー
ザー発振ピークが短波長側に現れる。
合、球形微粒子に比べて、簡単に、深く、メモリを形成
させることが可能になる。 3)微粒子全体を励起した場合、レーザー発振ピーク位
置は観測位置によらずほぼ一致する。
が変化する。 以上のことにより、回転楕円体状粒子により新しい微小
光源が実現されるばかりか、共鳴による光閉じ込めで、
マイクロメモリおよびマイクロセンサが実現されること
になる。
通り、回転楕円体状微粒子を発光させた極微小光源の光
共鳴効果による光閉じ込めを利用した新しいマイクロメ
モリおよびマイクロセンサが提供される。
を例示した工程図である。
である。
である。
ある。
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 レーザー色素をドープした回転楕円体状
微粒子にレーザー照射して発光させた極微小光源からな
り、その極微小光源の光共鳴効果による光閉じ込めを利
用することを特徴とするマイクロメモリおよびマイクロ
センサ。 - 【請求項2】 請求項1に記載の極微小光源が、液媒体
中で回転楕円体状微粒子をレーザー捕捉して発光させる
極微小光源であることを特徴とするマイクロメモリおよ
びマイクロセンサ。
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