JP3233957B2 - 極微小レーザー光源の形成方法とレーザー発振方法 - Google Patents
極微小レーザー光源の形成方法とレーザー発振方法Info
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Description
法に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、
新しい微粒子操作方法として物理・化学プロセス、エレ
クトロニクス等の諸分野において有用な極微小光源の形
成とその応用方法に関するものである。
捕捉(トラッピング)することは従来より知られてお
り、この発明の発明者らによって、このレーザー捕捉の
方法を、マイクロメーターオーダーの微粒子の非接触・
非破壊での自由な操作を可能とする方法として高度化す
ることが可能となってきている。
は、捕捉されている微粒子には数10〜数100MW/
cm2 のエネルギーの光が照射されており、このような系
ではnonlinear chemistry が容易に起きることが期待さ
れる。すなわち、cmオーダーの容器を用いた場合に比
べ、μm空間ではこのような極限状態を簡単に作りだす
ことができることになる。これは極微化学の大きな特長
の一つであり、かつこれを利用してマイクロメートル特
有の化学反応を促すことができる。
光を用いた微粒子操作についてさらにその高度利用と応
用領域の拡大について検討を進めてきた。そして、すで
にいくつかの新しい手法が開発されてきているが、この
ような検討の過程において、極微粒子の微小光源の形成
が一つの重要な課題となっていた。それと言うのも、マ
イクロメーターオーダの微小な光源が得られれば、か
つ、それがレーザーの様にコヒーレンス(単色性)の高
いものであれば、極微化学工場を構築する上で重要な技
術となりうるからである。また、光計測の分野において
も、フォトンSTM(NSOM)等に見られる様に、光
を波長以下の微小空間に制限する手法が盛んに研究され
ているが、それらにも極微小光源は応用の可能性があ
る。このような極微小光源の研究として、最近、液滴・
ポリマーラテックス微粒子中での色素レーザー発振がい
くつか報告されている。これは、μmオーダの球がキャ
ビティとなり、Whispering Galleryとよばれるモードで
発振が起こるものである。
て、微小誘電体球における電磁場の理論を導いたのは、
20世紀初頭のMie の論文、いわゆる、Mie 散乱の理論
である。そのすぐ後、Debye は、同様の理論から、電磁
場が微小誘電体球に及ぼす力(放射力)を導いた。これ
は、後に、Ashkinがレーザトラップ力の粒径および波長
依存性にリップル構造(Wispering-Gallary Modeと同
様)があることを示す基本理論となる。その後、Wisper
ing-Gallary Modeと名付けたのは、Rayleighである。こ
の理論を微粒子レーザー発振の分野では、Raylelgh the
ory 、Mie-Debyetheory、または、Lorenz-Mie theory
と呼んでいる。
振を実験的に示したのは、1961年、Bell研のGarret
t らである。彼らは、CaF2 :Sm+1の結晶を数mm
(μmではない)の球に磨き上げたものをサンプル(液
体水素中)とし、高圧キセノンフラッシュランプ(ピー
クパワー:50W/cm2 )をポンプ光として用いてい
た。彼らは、発光強度のポンプ光強度依存性から誘導放
出であることを確認している。この実験はすばらしいも
のであったが、なぜか後に続くものがなかった。再び注
目され出したのは、レーザーが普及した1970年代後
半で、このころから数多くの報告が発表されている。ま
ず、数十μmの球形微粒子にドープした色素の蛍光スペ
クトルが、共振によりモード構造をもつことが実験的に
示された。
構造の測定も行なわれている。ただし、ここまでは自然
放出光のモード構造であり、これは単にエタロンを通し
て蛍光を観測するのと同じで、レーザー発振(誘導放
出)ではなかった。μmの微粒子で初めてレーザー発振
を報告したのは、1984年のTzeng らの論文である。
このときの試料は、ローダミン6G(10-4−10
-3M)を含有したエタノールの液滴(空気中)である。
この液滴は、vibrating-orifice で作られ、その振動数
で粒径が調整されている。この実験では、粒径60μm
までのものが使用され、ポンプ光はアルゴンイオンレー
ザー(514.5nm )で200μmまで絞っている。測定
は、次々と落下してくる液滴をあるタイミングでポンプ
し測定することにより、1個1個の測定をしている。誘
導放出の確認は、モードのピーク強度とバックランド
(自然放出光)の強度比がポンプ光強度に依存するこ
と、及び、μsec のオーダであるが時間分解測定により
緩和発振を測定している。ただ、この報告のデータは色
素のレーザー発振だけでなく、エタノールの誘導ラマン
散乱も含まれていたようである。実際、このすぐ後に、
微小液滴(アルコールや水)における誘導ラマン散乱
(微小球キャビティによるフィードバックで起こる誘導
放出)が報告されている。これも、明瞭なモード構造を
持っており、一種のラマンレーザーと見做される。
n らにより、レーザー発振スペクトルの粒径依存性が調
べられ(ローダミン590(10-4−10-3M)含有水
滴、40−60μm、Q-switched YAG 532nm、
20ns)、また、Qianらによって、レーザー発振の様子
が写真として観測された。さらにBiswasらによって、ns
ecオーダの時間分解測定がなされ、緩和発振が明確に観
測された。一方、誘導ラマン散乱については、Qianらに
よってCCl4 の液滴が測定された。ほか、nsecの時間
分解測定も色素レーザー発振より先に行われている。1
990年以降も微小液滴の誘導ラマン散乱の研究が盛ん
になされているが、あまり進歩はない。
光)を観測した以外、すべて液滴を空気中で観測したも
のである。これらの研究は学術的意義においては重要で
あるものの、技術としての応用とその展開を図るには全
く不充分な状況にある。液滴の空気中での発光やレーザ
発振の確認は微粒子操作法としての極微反応場での適用
やフォトンSTMへの応用には全く不充分である。
開発の状況に鑑みてなされたものであり、レーザー微粒
子操作法としての発展を図り、極微反応場への適用等に
おいて有用な新しい極微小光源形成方法と、これを利用
した微粒子操作方法を提供することを目的としている。
の課題を解決するものとして、レーザー色素をドープし
た微粒子を液媒体中でレーザー光照射により捕捉して該
微粒子でレーザー発振させることを特徴とする極微小レ
ーザー光源の形成方法を提供する。また、この発明は、
上記の極微小レーザー光源の形成方法で形成された極微
小レーザーによりレーザー発振させる方法とともに、レ
ーザー発振する微粒子を3次元操作可能とすることや、
他の微粒子に極微小レーザー光源で発振させたレーザー
光を照射して微粒子の加工・修飾を行う方法も提供す
る。
化合物、それらの混合物等からなる液媒体中に存在させ
た微粒子にレーザー色素をドープしておき、このレーザ
ー色素をドープした微粒子にレーザー光を照射してトラ
ッピングし、さらにレーザー発振させるものである。こ
の時、微粒子は複数の群として、レーザー色素をドープ
した微粒子と、これをドープしない微粒子との混在等の
任意の対応において取扱うことができる。微粒子の種類
にも特に限定はなく、色素ドープ可能な任意のものを使
用することができる。
光源は、共存する他の微粒子の物理・化学的改変や修飾
等に利用することや、あるいは表示素子、光素子、その
他のエレクトロニクスデバイス等への応用、フォトンS
TMへの応用等も可能である。微粒子としても有機物と
ともに、生物細胞、ウイルス等を使用することができ
る。
みによってもよいし、捕捉した状態で、さらにパルスレ
ーザー等の他のレーザービームを照射するようにしても
よい。これらのレーザービームの種類や、そのパワー等
の選択、照射方法、さらには色素の種類の選択によって
様々な態様が可能となる。
明の実施例としての実施例2および3とを示し、さらに
詳しく説明する。
により作製した。すなわち、まず、Rhodamine B(カウ
ンターイオンはクロライド)のMeOH溶液を調整し、
そこへポリスチレン(PSt)またはポリメチルメタク
リレート(PMMA)ラテックス粒子を浸漬する。用い
たRhodamine B溶液の濃度はPStの場合が飽和溶液
(〜10-1M程度)、PMMAの場合が2×10-2Mと
した。ミクロボアフィルターを用いて微粒子を濾過した
後、水で充分洗浄し、蒸溜水に分散させた。レーザー微
粒子操作は、2種の装置を用いて行なった。一つの装置
ではPrinceton Instruments 社のSMAを検出器として
用いている。光源のCWYAGレーザーには安定器が付
属していないため、レーザー光強度がややふらつく。も
う一つの装置ではHAMAMTSU Phptonics社のPMA−10
というdiode array を検出器として用いており、光源の
CWYAGレーザーには安定器が付属しているためレー
ザー光強度のふらつきはほとんどない。微粒子に照射さ
れているレーザー光強度は補正を行ない、実際に微粒子
1個に照射されている値を算出した。Rhodamine Bをド
ープした粒径1μmのPSt及びPMMAラテックス微
粒子を0.73Wのレーザー光強度(1064nm)で捕捉し
た場合に発光が観測された。この発光を示したものが図
1である。この発光はRhodamine Bの微結晶やRhodamin
e Bのエチレングリコール溶液の液膜(この場合はレー
ザー捕捉ではない)を用いた1064nm励起による発光
(図2および図3)と同様なスペクトルであることが確
認された。すなわち、レーザー発振特有の振動構造は無
く、この発光は自然放出光であると結論される。
度依存性を示したものが図4および図5である。PS
t、PMMAを用いた場合の両対数プロットの傾きは、
それぞれ2に近い値となる。すなわち、同時2光子吸収
により励起一重項状態のRhodamine Bが生成し、発光し
ているものと推察される。また、粒径の異なるRhodamin
e BをドープしたPSt、PMMAラテックス微粒子の
発光を観測したが、PStの場合、粒径が大きくなるに
つれてその発光強度が小さくなった。顕微鏡をのぞいて
観測しても、粒径1μmのものからの発光は目で容易に
確認できるが、粒径3および10μmではかなり難しか
った。これはRhodamine Bのカウンターイオンがクロラ
イドであるため、疎水的性質の強いPStの中にうまく
ドープされず表面付近のみドープされたためではないか
と考えられる。PMMAの場合には粒径が大きくなるの
に伴い発光強度も増加する傾向があり、粒子の内部まで
Rhodamine Bが均一にドープされていると考えられる。
間領域では、CWレーザーを用いてでさえ同時二光子吸
収による非線型現象を観測することができることが明ら
かとなった。このような現象は発光だけではなく物質変
換にも応用することができる。また、捕捉用レーザーの
みで発光が観測できるような条件下でさらにpsパルスレ
ーザー(532nm)をあまり集光しないようにして捕捉
高分子微粒子に照射した。PMMAのラテックス微粒子
を用いた場合には、観測されていた発光が532nm光の
照射により、急激に弱くなる(図6)。しかし532nm
のパルスレーザー照射を停止すると、ゆっくりと発光が
元の状態に回復する。一方、PStを用いた場合には、
532nmパルスレーザーの照射により、一端発光強度は
増加するが、すぐに減少し、パルスレーザーの照射を停
止しても発光強度はほとんど回復しなかった。この現象
は以下のように考えることができる。PMMA及びPS
tいずれの場合にも532nm、1064nmのレーザー光
の照射によりRhodamine Bの高励起状態が生成し、そこ
から光分解が起きる。すなわち、532nm ps パルスレ
ーザー光がRhodamine Bの分解反応をスイッチしている
と考られる。PMMAの場合のパルスレーザー光照射停
止後の発光の回復は、この色素分解反応部位への新たな
Rhodamine B分子の拡散過程を見ているのではないかと
考えられる。また、PStの場合には前述したようにRh
odamine Bが拡散しにくいため、光分解された部位に新
たなRhodamine B分子が拡散してこないことを示すもの
と考えられる。実施例2 図7に実験システムの構成を示した。ポンプ用レーザー
光にはQスイッチNd:YAGレーザーの第2高調波
(532nm、〜30ps、−10mJ/pulse、10Hz)を
用いた。このレーザー光を顕微鏡(Nikon OptiphotX
F)に導き、対物レンズ(x40、NA=0.85)で微粒
子に集光する。このとき、1個の微粒子全体が一様に照
明される様に、焦点位置をずらしてデフォーカス状態に
した。微粒子からの発光は、対物レンズで結像面のピン
ホール上に集光し、高感度マルチチャンネル分光光度計
(浜松ホトニクス、PMA10、2段MCP内蔵、分解
能〜2nm)でスペクトルを測定した。捕捉用レーザー光
にはCWNd:YAGレーザー( Spectron SL902
T、波長1064nm、直線偏光)を用いた。このレーザ
ー光をλ/4板で円偏光にし、偏光ビームスプリッタで
2つのビームに分ける。この2本のビームを、それぞれ
に、2枚のガルバノミラー(GSZ Q325DT)で
2軸方向に偏向させた後、偏光ビームスプリッタで同軸
にする。これらのレーザービームは、さらにポンプ用レ
ーザー光と同軸で顕微鏡に導き、試料上に集光する。集
光スポットの大きさは〜1μmである。2つの集光スポ
ットは、コンピュータ(NEC PC9801RA)で
抑制されたガルバノミラーで試料面上を自由に動かすこ
とができる。微粒子レーザー発振の様子は、CCDカメ
ラ及びビデオ録画装置で観測することもできる。
30μm)をローダミンBのメタノール溶液(1×10
-2M)に一晩漬けた後、濾過しながら水洗を繰り返し、
乾燥させてメタノールを十分除いたものを用いた。これ
を水中に分散させてスライドガラス上に滴下し、カバー
ガラスおよび170μmのスペーサで液膜状にしたもの
を測定した。
ッピングビームで3次元的に捕捉し、ポンプすると、ぼ
んやりと光る蛍光とは別に球の縁がキラリと輝き、中心
部はやや暗いことが確認される。これは、発振したレー
ザー光が球の接線方向に放射されるために、縁の部分が
強く光って見えると考えられる。この現象は、空気中の
液滴のレーザー発振ともよく似ておりキャビティ効果が
十分確認できる。水中でのレーザー発振に成功した要因
は、ピークパワーの高いpsでレーザーを使ったためと考
えられる。従来知られている報告では、nsレーザーに
より0.1 〜1GW/cm2 のパワーでポンプしているが、
今回の実験では>1TW/cm2 のパワーが照射されてい
る。これにより、Q値が低い水中での微小球キャビティ
でもしきい値を越えることができたものと思われる。
ペクトルである。2つのモードピークが明瞭に観測され
ている(ピークはもっとずっと細いはずだが、使用した
分光器の分解能がそれほど高くない)。モードピークの
波長間隔Δλは理論的に Δλ=λ2 Tan-1x/2πrn2 x (1) x=[(n1 /n2 )2 −1]1/2 (2) と与えられる。ここで、λは波長、rは粒子の半径、n
1 、n2 は、それぞれ、微粒子と媒質の屈折率である。
(ただし、(1)式は2πm2 /λ>>1の場合の近似
式である。)この式から、Δλを求めると4.4nm とな
り、これは図8のピーク間隔4.3nm とよく一致する。
(たとえば、通常の蛍光がエタロンを通ればモード構造
ができる)ではなく、レーザー発振であることを確認す
るために、発光のポンプ光パワー依存性を観測した。図
8(b)(c)は、図8(a)と同じ微粒子のスペクト
ルをポンプ光パワーを変えて測定した結果である。も
し、自然放出光だけであれば、スペクトル形状はポンプ
光パワーに依存しないはずであるが、この図では、モー
ドのピークの相対強度がポンプ光パワート共に増加して
いる。図9は、図8の2つのモードピークの強度とモー
ド構造のない部分の強度(I)の比を、Iの関数として
プロットしたものである。ただし、最小の値で規格化し
てある。自然放出光ならば、比は一定値になるはずだが
(横軸が何であれ)、ポンプ光強度と共に大きく変化し
ている。これらの結果は、発光がレーザー発振によるも
のであることを示している。
子(図8とは異なる)と粒径10μmのレーザー発振し
ていない微粒子を2ビームでトラップすると、周囲全体
は光っておらず中心対称の2点が輝いていることが確認
される。これは、ポンプ光の入射方向によるものと考え
られる。この場合、キャビティは、光っている2点を通
る縦断面の円周上に形成されていると思われる。ポンプ
光強度を上げれば、全体が光るようになるが、この例で
は発振ぎりぎりのポンプ光強度に設定した。また、小さ
い微粒子を発振光が見えている部分に接触させると、レ
ーザー発振は止まり、ぼんやりした蛍光だけが観測され
る。小さい微粒子にリークした光もわずかに観測され
る。発振と異なる部分に接触させた場合には、発振に影
響はなかった。以上の結果は、キャビティの周囲の水中
に存在するエバネッセント波が小さい微粒子とカップル
して光のトンネリングが起こり、そのためキャビティの
Q値が減少することによると考えられる。このため、微
粒子は接触しなくても波長オーダ以下ならトンネリング
は起こり。その距離の関数としてQ値は大きく変化する
はずである。従って、モードピークの値をモニタすれ
ば、距離が高精度で測定できることになる。
粒子を水中でトラッピングし、そのレーザー発振を確認
した。この微粒子レーザー光源は、十分に短い時間幅の
パルスレーザーとなっている。時間分解分光測定への応
用も可能である。レーザー発振は長時間(少なくとも数
十分のオーダ)安定であり、色素の劣化はみられなかっ
た。また、2ビームトラッピングを用いて、微粒子間の
光のトンネリングによるレーザ発振の変化を測定した。
この方法のSTM的測定への応用も可能となる。
焦点位置の制御に関しては、顕微鏡の外の光学系を、た
とえば1μmの精度で動かし、対物レンズの倍率によ
り、水平方向には10nm、垂直(光軸)方向に0.1nm の
精度が得られる。これらの値は、現在の目的には十分で
ある。大気ゆらぎ等による焦点位置の動きもこれらの値
以下となる。最大の誤差要因は、微粒子の熱運動である
が、レーザートラッピングによる力学ポテンシャルはガ
ウス形と仮定し、その標準偏差が1.0 μm、最大放射力
が160pN/W(水平方向)、64pN/W(垂直方
向)とすると(これらの値はレーザー走査マイクロマニ
ピュレーションの回転操作によって1μmの微粒子に対
して得られた値である)、マクスウェルーボルツマン分
布より、温度300K、レーザーパワー145mWの条
件で、微粒子のゆらぎは15nm(水平方向)、23nm
(垂直方向)となる。これらの値は、これより外れる確
率がe-1になる距離で定義することができる。粒径が大
きくなるとゆらぎも増加するが、レーザーパワーを上げ
れば抑制できる。現実的には、100nm以下の位置精度
は得られると予想される。
域の大きさ)については、数十μmの微粒子では当然水
平方向の分解能はそれほど期待できない。そこで、数十
μmの微粒子にSub μmの微粒子を接着する方法が考ら
れる。前者がレーザー発振し、それがSub μmの微粒子
を通って試料にトンネリングする系を構成すると、水平
方向にも100nm程度の分解能が得られると予想され
る。実施例3 Rh640(1.02×10-3M)のアセトン溶液に架橋ポ
リスチレン(PSt)ラテックス微粒子を加え、色素溶
液を浸漬させた後、ミクロポアフィルターを用いて濾過
を行なった。濾過後、微粒子を蒸留水で充分洗浄した
後、それを少量の蒸留水に分散させ試料とした。
(〔Rh640〕=1.0 ×10-3)に160mWとおよ
び2.2 Wの捕捉用レーザーを照射したときに発光が観測
された。ラテックス球は同一のものである。いずれの場
合にもレーザー捕捉されている。160mWの場合は、
照射されている中心のみからの発光(2光子吸収によ
る)しか観測できないが、2.2 Wではラテックス球の中
心、および球と水相界面での発光が観測される。ラテッ
クス球はレーザー捕捉されているため、捕捉用レーザー
光は常に球の中心部分を照射しているが、2.2 Wのレー
ザー光照射では球の縁全体が光っている。これは球の内
部で全反射が起こり、レーザー発振(Whispering-Galla
ry modes)しているものと考えられる。
光強度を変化させ、粒径9.4 μmの場合の球−水相界面
付近のスペクトルを測定したところ、レーザー発振に由
来すると思われるモード構造が、発光スペクトル全体に
現われた(図10)。注意深くスペクトルを見ると、大
きなモードピークの脇に小さなモードピークがあること
がわかる。これはFabry-Perot 共振器で観測される縦モ
ードと横モードに相当していると考えられる。
光強度依存性を検討した。その両対数プロットを図11
に示した。これは粒径8.8 μmのPStを用いた結果で
あるが、直線の傾きがポンプレーザー光強度2.1 Wを境
にして変化している。2.1 W以上では傾きが急激に大き
くなっており、この領域においてはレーザー発振が起き
ていることが明らかとなった。
通り、極微小光源の形成が可能となり、新しい物理化学
プロセス、微粒子の加工、修飾等への応用や、さらには
フォトンSTM等の新しい展開が可能となる。
による微粒子補捉時の発光スペクトル図である。
トル図である。
ル液膜の発光スペクトル図である。
光強度との相関図である。
度との相関図である。
テックス微粒子に、psパルスレーザーを照射した時の発
光強度と時間の相関図である。
である。
関図である。
相関図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 レーザー色素をドープした微粒子を液媒
体中でレーザー光照射により捕捉して該微粒子でレーザ
ー発振させることを特徴とする極微小レーザー光源の形
成方法。 - 【請求項2】 レーザー色素をドープした微粒子に捕捉
用レーザー光を照射するとともに、ポンプ用レーザー光
を該微粒子に照射することを特徴とする請求項1記載の
極微小レーザー光源の形成方法。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の極微小レーザー
光源の形成方法によって形成した極微小レーザー光源に
よりレーザー発振させることを特徴とするレーザー発振
方法。
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