JP3353591B2

JP3353591B2 - 油分除去装置

Info

Publication number: JP3353591B2
Application number: JP03206996A
Authority: JP
Inventors: 洋郎岡田
Original assignee: Kurita Water Industries Ltd
Current assignee: Kurita Water Industries Ltd
Priority date: 1996-02-20
Filing date: 1996-02-20
Publication date: 2002-12-03
Anticipated expiration: 2016-02-20
Also published as: JPH09225204A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は油分除去装置に関
し、更に詳しくは、加工済みの各種の機械部品や圧延材
などの表面に付着している油分や異物をアルカリ脱脂液
で洗浄処理したときに、処理後の洗浄処理液に含まれて
いる油分や懸濁物質を略完全に除去して再生することに
より、当該アルカリ脱脂液の循環使用を可能にする油分
除去装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば帯鋼材の場合、その出荷に先立
ち、表面に付着している油分や異物などの除去作業が行
われる。その除去作業に関しては、従来から、トリクロ
ロエチレンのような塩素系溶剤で被処理材の脱脂洗浄が
行われていた。しかし、これら塩素系溶剤は環境破壊防
止のための規制対象であるということからその使用は極
力抑制され、最近では、アルカリ脱脂液による脱脂洗浄
処理が実施されはじめている。

【０００３】このアルカリ脱脂洗浄処理は、被処理材の
表面に付着している油分をアルカリ脱脂液で脱脂し、同
時に異物も除去し、ついで、脱脂後の表面を水のような
リンス液で洗浄し、付着しているアルカリ脱脂液などを
除去し、その後、エアブローや加熱乾燥によりリンス液
を除去することを基本工程として成り立っている。そし
て、その場合、アルカリ脱脂液はその脱脂洗浄効果を発
揮する間は継続して循環使用に供される。

【０００４】しかしながら、アルカリ脱脂液を循環使用
していると、被処理材の油分や異物がアルカリ脱脂液に
移行して循環使用している当該アルカリ脱脂液に順次蓄
積していく。そして、アルカリ脱脂液の油分濃度が増加
していくにつれて、当該アルカリ脱脂液の脱脂洗浄能は
低下し、最終的には失効して脱脂洗浄した油分が被処理
材の表面に再付着するという事態が起こってくる。また
異物はアルカリ脱脂液に懸濁して循環し、その量が多く
なると、その懸濁物質によって被処理材の表面に疵など
の障害の発生することがある。

【０００５】このような問題が発生することを防止する
ために、従来は、循環使用しているある時点で、アルカ
リ脱脂液の全量を交換したり、または、少しづつ新規な
アルカリ脱脂液を添加して更新したりする処置が採られ
ている。しかしながら、このような処置は、アルカリ脱
脂液の使用量の増加を招いて経済的には好ましいとはい
えず、また、廃液の量も増加してその処理が煩雑とな
る。

【０００６】このような問題を解決するため、本発明者
は、循環使用するアルカリ脱脂液の循環経路に例えばコ
アレッサを介装して油分除去を行うシステムを提案した
（特願平７−２５６６５号公報）。また、特願平７−１
６２６６４号では、循環使用するアルカリ脱脂液の循環
経路に限外濾過器を介装するシステムを提案している。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たコアレッサのみで油分除去を行うシステムや限外濾過
器のみで油分除去を行うシステムには、次のような問題
があり、その改善の必要性が認められる。まず、脱脂洗
浄に使用したのちのアルカリ脱脂液には、油分が、分散
油、乳化油、および溶解油として含まれている。これら
のうち、溶解油はコアレッサや限外濾過器を用いても除
去されることなく循環するが、循環使用されるアルカリ
脱脂液の脱脂洗浄効果に支障を与えることはない。した
がって、除去すべき油分は分散油と乳化油に絞られてく
る。

【０００８】しかしながら、そもそもコアレッサは分散
油を除去することはできるが乳化油を除去することはで
きないという問題があり、また、除去対象の分散油の粒
径が大きい場合には、短時間で目詰まりを起こしてしま
うという問題がある。更に、限外濾過器は乳化油を除去
できるとはいえ、コアレッサの場合以上に、分散油によ
って激しく目詰まりを起こし、その使用寿命は非常に短
くなってしまうという問題がある。

【０００９】本発明は、前記した２つの先行技術におけ
る問題を解決し、アルカリ脱脂洗浄処理時に循環使用す
るアルカリ脱脂液に含まれている油分と懸濁物質を循環
使用しながら略完全に除去してそのアルカリ脱脂液を再
生し続けることができ、また、装置としての運転寿命も
長い油分除去装置の提供を目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、アルカリ脱脂洗浄処理で循
環使用するアルカリ脱脂液に含まれている油分除去装置
であって、処理対象の前記アルカリ脱脂液の液路に、精
密濾過器とコアレッサと限外濾過器とがこの順序で直列
配置されていることを特徴とする油分除去装置が提供さ
れ、とくに前記限外濾過器には、透過液を逆流させる加
圧手段が接続されていることを好適とする油分除去装置
が提供される。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下に、本発明装置の基本構成を
示す概略図である図１に基づいて本発明装置を詳細に説
明する。まず、この装置では３個の精密濾過器１ａ，１
ｂ，１ｃ、コアレッサ２および限外濾過器３がこの順序
で直列配置されている。

【００１２】そして、処理対象のアルカリ脱脂液４ａを
貯留する槽４には、サクションバルブＶ₁が介装されて
いる液路ｐ₁を介して濾過ポンプＰ₁が接続され、この濾
過ポンプＰ₁には、流量調整バルブＶ₂が介装されている
液路ｐ₂を介して精密濾過器１ａが接続されている。精
密濾過器１ａと精密濾過器１ｂは液路ｐ₃を介して、ま
た精密濾過器１ｂと精密濾過器１ｃは液路ｐ₄を介して
互いに接続され、最下流側に位置する精密濾過器１ｃに
は、液路ｐ₅を介してコアレッサ２が接続されている。

【００１３】コアレッサ２には、液路ｐ₆を介して循環
ポンプＰ₂が接続され、この循環ポンプＰ₂には、流量調
整バルブＶ₃が介装されている液路ｐ₇を介して限外濾過
器３が接続され、ここに、液路ｐ₁〜ｐ₇を通って処理対
象のアルカリ脱脂液４ａが槽４から限外濾過器３にまで
流れていく全体の経路が構成される。そして、限外濾過
器３には液路ｐ₈を介してクッションタンク５が接続さ
れ、限外濾過器３の限外濾過膜３ａを透過した透過液３
ｂは前記クッションタンク５に貯留され、流量調整バル
ブＶ₄が介装されている液路ｐ₉を通って槽４に処理液と
して返送されるようになっている。また、クッションタ
ンク５には、空気バルブＶ₅が介装されている空気路Ｌ
を介して圧縮空気の供給源６が接続されることにより、
透過液３ｂへの加圧手段が形成されている。

【００１４】更に、限外濾過器３の出口に設けられてい
る液路ｐ₁₀は、途中で２つに分岐し、一方は流量調整バ
ルブＶ₆が介装されている液路ｐ₁₁になっていて、これ
は液路ｐ₁に合流している。そして他方は、流量調整バ
ルブＶ₇が介装されている液路ｐ₁₂になっていて、これ
は液路ｐ₆と合流している。この全体の液路において、
槽４から流出するアルカリ脱脂液４ａの流量と液路ｐ₉
から槽４に還流してくる処理液の流量とは等しくなるよ
うに調整されることにより液循環全体のバランスがとら
れている。

【００１５】本発明の装置は次のように運転される。そ
の１例を以下に説明する。まず、空気バルブＶ₅を閉に
して空気路Ｌを閉鎖し、他のバルブは全て開にした状態
で、濾過ポンプＰ₁を作動して、槽４内のアルカリ脱脂
液４ａを、液路ｐ₉を通ってクッションタンク５から槽
４へ還流してくる透過液３ｂ（処理液（３））の流量と
略等しい流量で液路ｐ₁に吸引する。

【００１６】アルカリ脱脂液４ａは、液路ｐ₂，ｐ₃，ｐ
₄を移動し、その過程で精密濾過器１ａ，１ｂ，１ｃを
順次通過していく。そして、これら精密濾過器１ａ，１
ｂ，１ｃによって、アルカリ脱脂液４ａに含まれている
懸濁物質と比較的粒径が大きい分散油が濾過され、除去
される。したがって、精密濾過器１ｃの下流側に位置す
る液路ｐ₅を流れる処理液（１）には、比較的粒径が小
さい分散油と乳化油と溶解油と、そして薬剤が含まれて
いることになる。

【００１７】ここで、精密濾過器は１個だけであっても
よいが、複数個（図では３個）を設置し、しかも、上流
側から順次フィルタ孔が小さくなるように精密濾過器を
設置すると、それぞれの精密濾過器に過大な負荷がかか
らなくなり、もって長期の運転寿命を実現することがで
きる。精密濾過器１ａ，１ｂ，１ｃで懸濁物質と大径の
分散油が除去された処理液（１）は、次に液路ｐ₅から
コアレッサ２に導入される。

【００１８】このコアレッサ２は、例えば超極細繊維か
ら成る不織布構造体のフィルタを内蔵するものであっ
て、ここに前記処理液（１）を導入すると、含まれてい
る小径の分散油は、繊維表面と繊維の絡み点で捕捉され
て凝集し、粗大化してフィルタ表面から比重分離して浮
上する。そして、浮上した油分はコアレッサ２の上部か
ら廃油として除去され、この時点の処理液（２）はコア
レッサ２の下部に位置する液路ｐ₆を流れていく。

【００１９】液路ｐ₆を流れる処理液（２）は、既に分
散油のほとんどが除去された状態になっているが、いま
だ除去対象の乳化油と、溶解油と薬剤が含まれている。
液路ｐ₆の処理液（２）は、液路ｐ₁₂からの循環流とと
もに循環ポンプＰ₂で増圧され、液路ｐ₇から限外濾過器
３に導入される。この限外濾過器３には、例えば、内径
が１mm程度で、分画分子量が約５００００程度のポリス
ルホン製の中空子膜を好適例とする限外濾過膜３ａが内
蔵されている。

【００２０】この限外濾過膜（中空子膜）３ａに導入さ
れた処理液（２）と液路ｐ₁₂からの循環流は、膜面の内
外における圧力差により、膜面を通過した粒径が極めて
小さい溶解油や薬剤を含む透過液３ｂと、粒径が比較的
大きい乳化油を含む濃縮液とに分離される。透過液３ｂ
は、液路ｐ₈を通ってクッションタンク５に貯留され、
液路ｐ₉を通って、槽４から流出するアルカリ脱脂液４
ａと略等しい流量で処理液（３）として槽４に返送され
る。

【００２１】一方、限外濾過器３から流出した濃縮液
は、液路ｐ₁₀を流れ、その一部が液路ｐ₁₁を通って液路
ｐ₁に還流され、残りは液路ｐ₁₂を通って液路ｐ₆に流入
する。そして、この濃縮液は上記した態様で全体の液路
を循環し、その循環過程で、濃縮液に含まれている乳化
油は順次濃縮され、コアレッサ２で比重差分離する分散
油（浮上油）と一緒になって定期的に系外に除去され
る。

【００２２】このように、本発明の装置を連続運転する
ことにより、処理対象のアルカリ脱脂液４ａからは、懸
濁物質と大径の分散油、小径の分散油、そして乳化油の
全てが除去され、溶解油と薬剤のみが含まれている透過
液のみが槽４に返送されてくるので、処理対象のアルカ
リ脱脂液の油分濃度は低減して、帯鋼材などをアルカリ
脱脂するための循環使用が可能な状態になる。

【００２３】ところで、この装置で限外濾過器３を長期
に亘って連続運転していると、わずかではあれ、上流側
で除去されなかった分散油が処理液（２）に含まれてい
るため、その分散油が限外濾過膜３ａの内面に付着して
膜面を閉塞したりして目詰まりを引き起こし、その結
果、透過液３ｂの量が漸減してくる。このため、限外濾
過器の実働に際しては、一般に、清浄な洗浄水を用いて
定期的に逆洗することが必要になる。しかし、その場合
には、別に清浄な洗浄水を大量に用意することが必要で
あり、また、逆洗後の処理水に対する排水処理が必要に
なってくる。

【００２４】しかしながら、本発明の装置においては、
大量の洗浄水を用意する必要もなく、限外濾過器３の逆
洗を行うことができる。すなわち、逆洗時には、まず、
濾過ポンプＰ₁と循環ポンプＰ₂の両方を停止するか、ま
たは停止することなく透過液３ｂを限外濾過膜３ａに逆
流させる。すなわち、サクションバルブＶ₁と流量調整
バルブＶ₄を閉にし、同時に、空気バルブＶ₅を開にし
て、供給源６から圧縮空気をクッションタンク５に圧入
する。クッションタンク５内の透過液３ｂは液路ｐ₈を
通って限外濾過器３に圧入され、限外濾過膜３ａの膜面
においては、外側が加圧状態になっている内外の圧力差
が発生する。

【００２５】透過液３ｂは限外濾過膜３ａを逆流してい
き、その過程で限外濾過膜３ａの目詰まりを引き起こし
ていた分散油を当該限外濾過膜３ａの内側に押し出す。
この押し出された分散油は逆流してきた透過液に含まれ
た状態で液路ｐ₁₀から流出し、全体の液路を循環し、こ
の循環の過程で、コアレッサ２で浮上油として捕捉さ
れ、系外に排出される。

【００２６】このように、本発明の装置では、大量の洗
浄水を用いることなく、限外濾過器の逆洗を行うことが
できる。

【００２７】

【実施例】フィルタ孔径が５０μｍの精密濾過器１ａ、
フィルタ孔径が１０μｍの精密濾過器１ｂ、フィルタ孔
径が５μｍの精密濾過器１ｃ、１〜３μｍの超極細繊維
の不織布構造体を使用したカートリッジタイプのフィル
タが内蔵されているコアレッサ２、限外濾過膜３ａがポ
リスルホン製で内径１mmの中空子膜から成り、その数百
本が膜面積４ｍ²となるように内蔵されている限外濾過
器３を用いて、図１で示した装置を構成した。

【００２８】油分濃度３０００mg/リットル、懸濁物質の濃
度６５６mg/リットルであるアルカリ脱脂液４ａを用意し
た。空気バルブＶ₅を閉とし、他のバルブの開度を調節
して、液路ｐ₁→液路ｐ₂→液路ｐ₃→液路ｐ₄→液路ｐ₅
→液路ｐ₆の液路、および液路ｐ₁₁における流量をいず
れも２０リットル/min、液路ｐ₁₀における流量を１００リットル
/min、液路ｐ₁₂における流量を８０リットル/minとした状態
で、前記アルカリ脱脂液４ａの油分除去運転を行った。

【００２９】なお、この運転時には、濾過ポンプＰ₁は
入口圧力が2.１kg/cm²となるように作動しており、循環
ポンプＰ₂は、液路ｐ₆から流れてくる処理液（２）を液
路ｐ ₁₂からの循環流とともに1.５〜2.０kg/cm²に増圧し
て限外濾過器３に導入するようにしている。したがっ
て、限外濾過膜３ａの膜面内外における圧力差は0.５〜
1.０kg/cm²程度になっている。

【００３０】運転開始直後には、透過液３ｂの流量は約
1.５リットル/minであり、その油分濃度は約５０mg/リットルで
あり、懸濁物質は略完全に除去されていた。しかし、２
７時間の連続運転で、透過液３ｂの流量は略ゼロとな
り、限外濾過器３の逆洗をすることが必要になった。そ
こで、運転開始後、３０分に１回の頻度で、流量調整バ
ルブＶ₄を閉、空気バルブＶ₅を開にし、供給源６から圧
力2.５kg/cm²の圧縮空気をクッションタンク５に圧入し
て透過液３ｂで限外濾過膜３ａの逆洗を行った。

【００３１】上記態様の逆洗を行いながら、２６７時間
の連続運転を行った。アルカリ脱脂液４ａの油分濃度は
２０００〜２２５０mg/リットルにまで減少し、そのときの
透過液３ｂの流量は1.６〜2.１リットル/minの範囲内におさ
まっていた。なお、このときのアルカリ脱脂液で圧延材
を洗浄ブラシを用いて脱脂洗浄したところ、圧延材に疵
などは全く発生しなかった。

【００３２】また、この過程で、精密濾過器１ａ，１
ｂ，１ｃ、コアレッサ２の消耗の程度を観察したとこ
ろ、コアレッサ２は交換を全く必要としない状態であ
り、各精密濾過器も交換しなければならないという消耗
の程度にはなっていなかった。しかし、４ヶ月の連続運
転の場合、アルカリ脱脂液の油分濃度を上記した値に維
持するためには、コアレッサ２の交換は不要であるが、
精密濾過器１ａは１０個、精密濾過器１ｂは８個、精密
濾過器１ｃは１個の交換を必要とした。

【００３３】

【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
装置を用いれば、脱脂処理に使用したアルカリ脱脂液か
ら、それに含まれている懸濁物質、分散油、乳化油を連
続的に略完全に除去することができ、得られたアルカリ
脱脂液は再生され、再度、脱脂処理に使用することがで
きる。これは、多段に配列された精密濾過器とコアレッ
サと限外濾過器をこの順序で直列配置しているので、ま
ず精密濾過器で懸濁物質や大径の分散油が除去されたの
ち、次のコアレッサで小径の分散油が除去され、続いて
限外濾過器で乳化油が分離されこの乳化油がコアレッサ
で捕捉されるからである。

【００３４】このようなことから、精密濾過器、コアレ
ッサ、および限外濾過器への負荷は小さくなるため、装
置全体としての運転寿命は長くなり、例えば、帯鋼材の
ような圧延材のアルカリ脱脂処置装置に組み込まれる油
分除去装置としてその工業的な価値は極めて大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置の基本構成を示す概略図である。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ，１ｃ精密濾過器２コアレッサ３限外濾過器３ａ限外濾過膜３ｂ透過液４槽４ａアルカリ脱脂液５クッションタンク６圧縮空気の供給源Ｐ₁ 濾過ポンプＰ₂ 循環ポンプｐ₁，ｐ₂，ｐ₃，ｐ₄，ｐ₅，ｐ₆，ｐ₇，ｐ₈，ｐ₉，
ｐ₁₀，ｐ₁₁，ｐ₁₂ 液路Ｌ圧縮空気の空気路Ｖ₁ サクションバルブＶ₂，Ｖ₃，Ｖ₄，Ｖ₆，Ｖ₇ 流量調整バルブＶ₅ 空気バルブ

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】アルカリ脱脂洗浄処理で循環使用するア
ルカリ脱脂液に含まれている油分除去装置であって、処理対象の前記アルカリ脱脂液の液路に、精密濾過器と
コアレッサと限外濾過器とがこの順序で直列配置されて
いることを特徴とする油分除去装置。
【請求項２】前記限外濾過器には、透過液を逆流させ
る加圧手段が接続されている請求項１の油分除去装置。