JP3351033B2 - 有機性固形分を含む排液の処理方法および装置 - Google Patents

有機性固形分を含む排液の処理方法および装置

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JP3351033B2 JP18533493A JP18533493A JP3351033B2 JP 3351033 B2 JP3351033 B2 JP 3351033B2 JP 18533493 A JP18533493 A JP 18533493A JP 18533493 A JP18533493 A JP 18533493A JP 3351033 B2 JP3351033 B2 JP 3351033B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機性固形分を含む排
液を嫌気性処理法により処理する方法および装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】し尿、食品系産業排液、水処理汚泥、家
畜糞尿のような有機性固形分を高濃度で含むスラリー状
の有機性排液の処理法として、嫌気状態で有機物をメタ
ンに分解する嫌気性処理法が知られている。このような
嫌気性処理法としては、古くから行われている嫌気性消
化法のほかに、高負荷嫌気性処理法がある。
【0003】古くから行われている嫌気性消化法は、有
機性固形分を含むスラリー状の排液をそのまま嫌気性消
化タンクに供給し、この消化槽内を中温メタン生成菌の
最適温度(35〜38℃)に保ち、ガス吹込または機械
により攪拌を行い、嫌気性状態で有機物の分解を行う方
法である。この方法における有機物、特に固形有機物の
分解は、有機酸生成菌の菌体外酵素による液化・低分子
化、有機酸生成菌の代謝による有機酸生成、メタン生成
菌によるメタン生成という3段階に分れているが、最終
的にメタンガスにまで分解されなければ有機物は除去さ
れないため、メタン生成のステップが最も重要な段階と
されている。
【0004】このような嫌気性消化法は、通常下水処理
汚泥やし尿などのスラリー性の廃液に適用されることが
多いが、HRT(水の滞留時間)とSRT(汚泥の滞留
時間)が同一であるため、増殖速度の遅いメタン生成菌
の増殖を維持させるために、滞留時間として最低10〜
15日程度は必要であり、実用上は20〜30日程度で
の運転が行われている。
【0005】従来の嫌気性消化法でも、固形分濃度の高
い有機性排液を処理できるが、固形分濃度が高くなる
と、攪拌が困難になるため、通常は固形分濃度が3〜5
重量%が限度とされ、し尿、下水処理汚泥、食品工場排
液等のスラリー状の排液をそのまま処理することが行わ
れている。また従来の処理法では、負荷が同じであれば
有機物の除去率も同じであるとされており、あまり高濃
度にしても除去率は改善されないので、運転が容易な固
形分濃度での処理が行われている。
【0006】このように嫌気性消化法は、排液の固形分
濃度にかかわらず20〜30日の長い滞留時間を必要と
するため、大型の消化槽を必要とし、処理効率が悪い。
また有機物負荷も1〜2kg/m3/day程度の低負
荷で行われている。
【0007】このような嫌気性消化法における処理効率
を上げるために開発された前記高負荷嫌気性処理法は、
分解速度の小さい固形有機物を予め分離除去し、分解速
度の大きい溶解性有機物を含む分離液のみを、菌体の自
己固定化を利用したUASB(上向流嫌気性スラッジブ
ランケット)法、固定床法、流動床法などの高負荷処理
法により嫌気性処理する方法である。
【0008】このような高負荷嫌気性処理法ではHRT
に関係なくメタン生成菌濃度を保持できるため、短い滞
留時間で処理可能であるが、排液中に有機性固形物が多
く含まれていると、例えば10g/l以上含まれている
とスカムの発生、濾床の閉塞、処理水の悪化、グラニュ
ール汚泥の浮上、汚泥の活性低下など様々な機能障害を
引き起こす。このため固形分濃度が高い排液を処理する
場合は、予め固形分を除去する必要があり、これにより
発生する大量の汚泥の処理が困難である。
【0009】高負荷嫌気性処理法の変法として、酸生成
槽内でのSS(懸濁固形分)の滞留時間をできるだけ長
くとってSSの可溶化を促進し、液化させた有機物を膜
分離や遠心分離等により分離して、後段のUASBや固
定床で分解する方法も提案されているが、酸発酵だけが
進行する条件下でのSSの可溶化率は低くて固形分はあ
まり減少せず、メタン発酵が進行する条件下で固形物を
可溶化させると滞留時間が長くなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の嫌気
性消化法では、消化槽における滞留時間が長くて、大型
の装置を必要とし、また高負荷嫌気性処理法では、処理
困難な大量の固形物を含む汚泥が発生するという問題点
がある。
【0011】本発明の目的は、嫌気性処理における上記
の問題点を解決するため、小型の処理装置を用いて、固
形分濃度の高い有機性排液を高有機物負荷で効率よく、
しかも長期間安定して高有機物除去率で処理することが
できる嫌気性処理方法および装置を提案することであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は次の有機性固形
分を含む排液の処理方法および装置である。 (1)有機性の固形分を含む排液を固液分離して、固形
分濃度が10〜20重量%の高SS排液と、溶解性有機
物を含む低SS排液とに分離する第1の固液分離工程、
第1の固液分離工程で分離された高SS排液を嫌気性消
化する嫌気性消化工程、嫌気性消化工程で消化した嫌気
性消化液を固液分離する第2の固液分離工程、第2の固
液分離工程で得られた分離汚泥を、返送汚泥として前記
第1の固液分離工程または嫌気性消化工程に返送する汚
泥返送工程、および前記第1の固液分離工程で分離され
た低SS排液を嫌気性または好気性下に生物処理する生
物処理工程を有することを特徴とする有機性固形分を含
む排液の処理方法。 (2)汚泥返送工程は嫌気性消化工程における汚泥濃度
が20000〜50000mg/lを維持するように返
送汚泥を返送するようにされていることを特徴とする上
記(1)記載の方法。 (3)有機性の固形分を含む排液を固液分離して、固形
分濃度が10〜20重量%の高SS排液と、溶解性有機
物を含む低SS排液とに分離する第1の固液分離装置、
第1の固液分離装置で分離された高SS排液を嫌気性消
化する嫌気性消化槽、嫌気性消化槽で嫌気性消化した嫌
気性消化液を固液分離する第2の固液分離装置、第2の
固液分離装置で分離された分離汚泥を、返送汚泥として
前記第1の固液分離装置または嫌気性消化槽に返送する
汚泥返送手段、および前記第1の固液分離装置で分離さ
れた低SS排液を嫌気性または好気性下に生物処理する
生物処理装置を有することを特徴とする有機性固形分を
含む排液の処理装置。
【0013】従来の嫌気性消化法は、下水処理汚泥の処
理法として発達した技術であり、これがし尿、食品排液
のような他の有機性固形分を含む排液の処理にも適用さ
れるようになったものである。下水処理汚泥は土砂のよ
うな無機質粒子を含んでおり、嫌気性消化槽で攪拌を行
うために、有機性固形分と無機性固形分との合計の濃度
を3〜5重量%とする必要があった。
【0014】ところがし尿、食品系産業排液のように主
として有機性の固形分を含み、無機性の固形分をほとん
ど含まない排液の場合は、固形分濃度を10〜20重量
%としても、容易に攪拌して嫌気性消化を行うことがで
き、しかも従来の定説とは異なり、負荷が高くなるほど
有機物の除去率が高くなることがわかった。
【0015】従って本発明で処理対象となる排液は、有
機性の固形分を含み、無機性の固形分をほとんど含まな
い排液である。無機性固形分は両者の合計の20重量%
以下、好ましくは10重量%以下のものが望ましい。こ
のような排液としては、し尿、食品系産業排液、家畜糞
尿などのほか、他の産業排液、水処理汚泥なども含まれ
る。下水処理汚泥でも無機性の固形分を含まないもの、
例えば最初沈殿池汚泥を含まない最終沈殿池汚泥などは
本発明の処理対象となる。
【0016】本発明では、このような有機性の固形分を
含む排液を第1の固液分離装置により固液分離し、固形
分濃度を10〜20重量%、好ましくは10〜15重量
%に調整して嫌気性消化を行う。10重量%未満では、
処理効率が低く、また20重量%より高いと攪拌が困難
になるほか、デッドスペースが生じるので好ましくな
い。ここで上記のような高固形分濃度の排液を嫌気性消
化すると、排液中に阻害性物質がある場合など、排液の
種類、組成などによってはメタン生成菌が流出し、嫌気
性消化が行えなくなる場合がある。
【0017】そこで本発明では、嫌気性消化液を第2の
固液分離装置で分離した分離汚泥を返送し、返送汚泥が
添加されている状態で嫌気性消化を行う。汚泥の返送方
法としては、嫌気性消化工程(嫌気性消化槽)に返送す
る方法のほか、原排液(有機性の固形分を含む排液)が
pH6〜9程度の中性付近の排液である場合には、第1
の固液分離工程(第1の固液分離装置)に返送する方法
などが採用できる。
【0018】返送汚泥の量は、嫌気性消化槽内の汚泥濃
度がSS濃度として20000〜50000mg/l、
好ましくは30000〜40000mg/lとなるよう
に添加するのが望ましい。汚泥濃度が20000mg/
l未満の場合には菌体の返送効果が得られず、高い負荷
での処理が不可能となり、逆に汚泥濃度が50000m
g/lを超える場合は嫌気性消化槽内の攪拌を十分に行
うことが難しくなる。実際、汚泥濃度が50000mg
/lを超えると、嫌気性消化槽内の攪拌が極端に難しく
なり、結果として処理効率が低下する。
【0019】本発明における嫌気性消化は、次のような
条件で行う。すなわち、高SS排液を30〜65℃、好
ましくは中温消化では35〜38℃、高温消化では50
〜60℃で嫌気性下に維持し、連続的または間欠的に攪
拌を行い、滞留時間10〜60日、好ましくは20〜3
0日で嫌気性消化を行う。CODcr負荷としては3〜2
0kgCODcr/m3/day、好ましくは5〜10k
gCODcr/m3/dayとするのが適当である。
【0020】
【作用】本発明の有機性固形分を含む排液の処理装置に
よる処理方法は、まず第1の固液分離装置において、有
機性の固形分を含む原排液を固液分離して、固形分濃度
10〜20重量%の高SS排液と、有機性固形分をほと
んど含まず、溶解性有機物を多量に含む低SS排液とに
分離する(第1の固液分離工程)。
【0021】分離された高SS排液を嫌気性消化槽にお
いて嫌気性消化し、有機性固形物を可溶化および分解す
る(嫌気性消化工程)。この嫌気性消化液を第2の固液
分離装置において分離汚泥と分離液とに固液分離し(第
2の固液分離工程)、分離汚泥を汚泥返送手段により第
1の固液分離装置または嫌気性消化槽に返送する(汚泥
返送工程)。低SS排液は生物処理装置において、嫌気
性および/または好気性下に生物処理を行い、主として
溶解性有機物を分解する(生物処理工程)。
【0022】高SS排液の嫌気性消化では、従来の嫌気
性消化と同様に、有機酸生成菌の菌外酵素による液化・
低分子化、酸生成菌の代謝による有機酸生成、メタン生
成菌によるメタン生成の3段階にわたって有機物が分解
される。この場合、嫌気性消化槽には分離汚泥が返送さ
れるので、嫌気性微生物、特に増殖の遅いメタン生成菌
が高濃度に維持され、阻害性を有するような排液の場合
でも高有機物負荷で、効率のよい処理が行われる。消化
槽を複数に分割して、各段階の処理を分離してもよい
が、メタン生成反応が液化反応を促進する現象も見られ
るので、固形分の液化のためには各段階を分離しない方
がよい。
【0023】低SS排液の嫌気性処理は、高負荷嫌気性
処理を行うことにより、溶解性有機物を効率よく分解す
ることができる。嫌気性処理液はさらに活性汚泥処理法
等の好気性処理を行い、残留する有機物を分解する。低
SS排液の溶解性有機物濃度が低い場合には、嫌気性処
理を行わずに直接好気性処理を行うこともできる。第2
の固液分離装置で得られた分離液もこの嫌気性処理また
は好気性処理により処理することができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を図面の実施例により説明す
る。図1は実施例の処理装置を示す流れ図であり、返送
汚泥を嫌気性消化槽に返送する例を示している。図にお
いて、1aは第1の固液分離装置、2は嫌気性消化槽、
1bは第2の固液分離装置、3は高負荷嫌気性処理装
置、4は好気性処理装置、5はガス貯槽である。
【0025】第1の固液分離装置1aは、排液管6から
供給される排液を固液分離して、固形分濃度10〜20
重量%の高SS排液と、溶解性有機物を含む低SS排液
に分離する構成となっている。第1の固液分離装置1a
としては沈殿槽、デカンタ、遠心分離機、凝集分離装置
などの濃縮機構を有するものが使用できるが、凝集剤を
使用しない沈殿槽、デカンタ、遠心分離機が好ましい。
【0026】嫌気性消化槽2は、流路7から高SS排液
を導入して嫌気性消化を行い、有機性固形分を液化、酸
生成およびメタン生成の段階を経て分解するように構成
されている。第2の固液分離装置1bは、流路9から嫌
気性消化液の一部を導入し、分離汚泥と分離液とに固液
分離するように構成されている。第2の固液分離装置1
bとしては、第1の固液分離装置と同様の装置が使用で
きる。分離汚泥は汚泥返送路21から嫌気性消化槽2に
返送するように連絡している。
【0027】高負荷嫌気性処理装置3は、流路8から低
SS排液を導入して高負荷嫌気性処理を行い、溶解性有
機物を分解するように構成されている。高負荷嫌気性処
理装置3としては、UASB法、固定床法または流動床
法など公知の方式のものを使用することができる。
【0028】好気性処理装置4は、流路10から嫌気性
処理液と、流路9、22、23から嫌気性消化液の残部
と、流路23から分離液とを導入し、好気性生物処理を
行うように構成されている。好気性処理装置4として
は、活性汚泥法およびその変法によるものが一般的であ
る。ガス貯槽5は嫌気性消化槽2および高負荷嫌気性処
理装置3で発生するメタン等のガスを流路11、12か
ら導入して貯留するようになっている。
【0029】上記の処理装置による排液の処理方法は、
まず有機性固形分を含む排液を排液管6から第1の固液
分離装置1aに導入して固液分離を行い、固形分濃度1
0〜20重量%の高SS排液と、有機性固形物をほとん
ど含まず、溶解性有機物を含む低SS排液とに分離す
る。
【0030】高SS排液は流路7から嫌気性消化槽2に
導入し、第2の固液分離装置1bで分離された分離汚泥
が返送汚泥として添加され、汚泥濃度が前記範囲に維持
されている状態で嫌気性下に保ち、ガス吹込または機械
により攪拌し、前記条件で嫌気性消化を行う。これによ
り有機性固形分は液化、有機酸生成、メタン生成の段階
を経て分解される。ここでは固形分の75〜80%が分
解してガス化する。生成するメタン等のガスは流路11
からガス貯槽5に貯留される。嫌気性消化液の一部は第
2の固液分離装置1bに導入し、分離汚泥と分離液とに
分離する。分離汚泥は汚泥返送路21から嫌気性消化槽
2に返送する。分離液は流路23から、また嫌気性消化
液の残部は流路9、22、23から好気性処理装置4へ
送られる。嫌気性消化槽2への排液の導入、嫌気性消化
液の引出および分離汚泥の返送は通常1日に1〜2回の
頻度で行われるが、これに限らない。
【0031】なお嫌気性消化を行っている間に嫌気性消
化槽2内に嫌気性微生物の阻害物質が蓄積するような場
合、例えば排液中の窒素含有量が高くて嫌気性消化槽2
内のアンモニア濃度が上昇し、嫌気性微生物の活性が阻
害されるような場合には、嫌気性消化槽2の槽内液を引
抜き、緩衝液などの阻害物質を含まない洗浄液で洗浄し
て嫌気性消化槽2に返送し、阻害を防止する処理法があ
る。この場合、第2の固液分離装置1bにおいて洗浄の
際固液分離して固形分を濃縮し、または洗浄、濃縮を繰
返した後、濃縮した固形分を嫌気性消化槽2に返送する
ことにより、阻害物質の洗浄、除去と、嫌気性消化槽2
内の嫌気性微生物の濃度を高める操作とを兼ねて行うこ
とができる。
【0032】一方、高負荷嫌気性処理装置3では、流路
8から低SS排液を導入して高負荷嫌気性処理を行う。
ここでは菌体の自己固定化現象を利用してメタン生成菌
を高濃度に保持したスラッジブランケット、固定床また
は流動床に排液を接触させることにより、短い滞留時間
で溶解性有機物を効率よく分解する。ここでも酸生成お
よびメタン生成段階を経てガス化し、生成ガスは流路1
2からガス貯槽5に貯留される。高負荷嫌気性処理装置
3における温度は25〜40℃、好ましくは30〜38
℃、滞留時間は4〜24時間、CODcrの負荷としては
4〜15kgCODcr/m3/dayとするのが適当で
ある。嫌気性処理液は流路10から好気性処理装置4に
送られる。高負荷嫌気性処理装置3への低SS排液の導
入および嫌気性処理液の排出は通常連続的に行われる
が、これに限らない。
【0033】好気性処理装置4では、流路10から導入
する嫌気性処理液と、流路9、22、23を介して導入
する嫌気性消化液の残部と、流路23から導入する分離
液とを好気性下に生物処理し、残留する固形分および溶
解性有機物を分解する。ここでは標準活性汚泥法のよう
に汚泥を返送する方式と、汚泥を固定して保持する方式
など、任意の処理方式を採用する。好気性処理装置4の
滞留時間は4〜48時間、好ましくは6〜24時間が適
当である。好気性処理装置4の処理液は処理液管13か
ら排出され、余剰汚泥は汚泥排出管14から排出され
る。ガス貯槽5内のガスは流路15から取出され、燃料
等に利用される。
【0034】上記の処理装置および処理方法では、有機
性の固形分を高濃縮して嫌気性消化を行うため、小容量
の高SS排液を、高固形分濃度で効率よく嫌気性消化す
ることができる。そして固液分離で生成する大容量の低
SS排液は高負荷嫌気性処理により短い滞留時間で効率
よく処理することができ、全体として小型の処理装置に
より、固形分濃度の高い有機性排液を効率よく、しかも
高除去率で処理を行うことができ、発生する汚泥量も少
ない。
【0035】また第2の固液分離工程で得られた分離汚
泥を嫌気性消化工程に返送しているので、嫌気性消化槽
2内の嫌気性微生物、特に増殖速度の遅いメタン生成菌
の濃度を高濃度に維持でき、これにより阻害性のあるよ
うな排液の場合でも、高有機物負荷で効率よく、しかも
長期間安定して処理することができる。通常、35℃の
中温嫌気性消化においても、固形性有機物を7〜10k
gCODcr/m3/day程度の高負荷で処理可能とな
る。
【0036】また高負荷処理が可能となることから、処
理装置がさらにコンパクトになり、槽内を攪拌するため
の動力も小さくなる。そして嫌気性微生物のSRTが長
くなるため、増殖の遅いメタン生成菌でも十分増殖が可
能な環境をつくることができ、このため安定性が従来法
よりも数段大きくなる。また嫌気性消化槽のHRTを短
縮することができ、一定の処理負荷量に対する消化槽容
積を縮小することができ、また嫌気性消化槽による有機
物除去率を上げることができる。このほか嫌気性消化槽
に対する負荷の上昇に対して、消化槽内のメタン生成菌
の自然増殖を待つことなく、速やかに対応できる。
【0037】図2は他の実施例による処理装置を示す流
れ図であり、返送汚泥を第1の固液分離装置に返送する
例を示している。図2の処理装置では、嫌気性消化槽2
で嫌気性消化された嫌気性消化液が第2の固液分離装置
1bで固液分離され、得られた分離汚泥の一部が汚泥返
送路21から第1の固液分離装置1aに返送され、残部
は汚泥排出管24から余剰汚泥として排出され、そして
分離液が流路23から好気性処理装置4に導入されるよ
うに構成されている。他の構成は図1の場合と同様であ
る。
【0038】図2の処理装置による処理方法では、有機
性固形分を含むpH6〜9の排液を排液管6から第1の
固液分離装置1aに導入し、図1の場合と同様に高SS
排液と低SS排液とに分離する。高SS排液は嫌気性消
化槽2で嫌気性消化し、得られた嫌気性消化液を第2の
固液分離装置1bで分離汚泥と分離液とに分離する。分
離汚泥の一部は嫌気性消化槽2内の汚泥濃度が前記範囲
となるように第1の固液分離装置1aに返送し、残部は
汚泥排出管24から余剰汚泥として排出する。分離液は
流路23から好気性処理装置4に導入する。他の操作は
図1の場合と同様である。
【0039】図2の処理装置による処理方法では、返送
汚泥を第1の固液分離装置1aに返送しているが、この
場合も嫌気性消化槽2内の嫌気性微生物濃度を高めるこ
とができるので、図1の場合と同様の効果が得られる。
【0040】上記の実施例の処理装置および処理方法で
は、第1の固液分離装置1aと第2の固液分離装置1b
とは別々の2つの装置として説明したが、第1の固液分
離装置1aを第2の固液分離装置1bとして兼用するこ
ともでき、この場合第1の固液分離工程として第1の固
液分離装置1aを使用しない時間帯に、第1の固液分離
装置1aを第2の固液分離装置1bとして使用する。ま
た比較的低固形分濃度の排液を処理する場合には、複数
の第1の固液分離装置1aを用いて、固液分離を複数回
に分けて行うこともでき、これにより効率よく有機性固
形分の濃縮を行うことができる。
【0041】さらに高負荷嫌気性処理装置3と好気性処
理装置4を用いたが、低SS排液の溶解性有機物濃度が
低い場合、目安としてBODが1000mg/l以下の
場合には、嫌気性処理装置3を省略し、直接好気性処理
装置4で処理を行うことができる。また下水道に放流す
る場合のように、高処理水質が要求されない場合には、
好気性処理装置4を省略することができる。
【0042】以下、試験結果について説明する。各例中
%は重量%である。 試験例1 マッシュポテトを基質とし、3連の2 literジャーファ
ーメンターを用いて嫌気性消化を行った。すなわち乾燥
マッシュポテトに水を加え、TS(全固形分)濃度とし
て5、10、15%および20%の基質を準備して、ジ
ャーファーメンター(ワーキング容量は1 liter、温度
37℃)に1日1回の割合で基質の供給と、消化液の排
出を行った。TS負荷は各槽同一として、3.3kgT
S/m3/dayに設定した。従って、滞留時間は15
日(5%)、33日(10%)、45日(15%)、6
6日(20%)である。約2か月後の定常状態に達した
時の処理性能を表1に示す。
【0043】
【表1】 TVS :全揮発性固形物 T−CODcr:全CODcr S−CODcr:溶解性CODcr
【0044】表1から明らかなように、基質のTS濃度
が高いほうがTSの除去率およびCODcrの除去率も高
くなるという傾向にあり、負荷が同じであれば除去率も
同一という従来の定説を越える結果となっている。従っ
て、TS濃度として10〜20%に濃縮して嫌気性消化
することが従来法よりも有利であることがわかる。
【0045】試験例2 ビール酵母からエキスを抽出した後の廃棄酵母をデカン
ターにより固形分濃度として約15%に濃縮し、これを
高SS排液として嫌気性消化を行った。消化槽としては
有効容量1 literのミニジャーファーメンターを
用い、内部を35℃に制御し、回転数300rpmにて
攪拌を行った。種汚泥はビール廃水を処理しているUA
SB型嫌気性処理装置から採取したグラニュール状汚泥
を300mlずつ植種した。高SS排液は、消化槽に1
日1回の割合で投入して40mlずつ供給し、消化液は
1日1回の割合で40mlずつ消化槽から引抜いた。実
施例では、引抜いた消化液をデカンターにより濃縮し、
濃縮した汚泥20mlを1日1回の割合で消化槽に返送
した。嫌気性消化の条件は次の通りである。
【0046】
【0047】なお廃棄酵母は窒素含有量が比較的高いた
めアンモニアの阻害があるので、NH4−N濃度を減少
させてその阻害を回避するために、投入基質量の4倍量
の消化槽内液(160ml)を引抜き、還元剤入りのリ
ン酸緩衝液で洗浄した後、デカンター(3000rp
m)で汚泥を濃縮し、対照系では160mlを消化槽に
戻し、実施例では140ml戻した。実施例の条件で約
80日の連続実験を行った。メタンガス発生量の経時変
化、T−CODcr除去率、TS除去率の推移を図3およ
び図4に示す。
【0048】図3および図4から、実施例では試験期間
を通してメタンガスが発生し、TS除去率およびT−C
ODcr除去率も高く維持されていることがわかる。これ
に対して、対照系では処理開始後しばらくはメタンガス
発生は投入基質量に比例していたが、2週間程度で低下
した。また消化液の溶解性CODcrも同時に上昇し、最
終的には実験開始3週間でpHが5以下となり、メタン
生成は完全に停止した。対照系が長期間安定して処理で
きなかった理由は、有機物負荷が過負荷となり、固形分
の液化速度がメタン生成菌によるメタン生成速度を上回
り、槽内の有機酸濃度が上昇し、それが槽内pHの低下
を招いてメタン生成菌の活動を妨げて、さらに有機酸の
蓄積が進み、急速に処理が悪化したものと推定される。
【0049】
【発明の効果】本発明の処理方法は、有機性固形分を含
む排液を高濃縮して、嫌気性消化し、しかも嫌気性消化
液から分離した汚泥を返送するようにしたので、嫌気性
消化工程における嫌気性微生物、特に増殖速度の遅いメ
タン生成菌が高濃度で安定的に維持され、固形分濃度の
高い有機性排液でも高有機物負荷で効率よく、しかも長
期間安定して高有機物除去率で処理することができる。
従って、装置の小型化が可能であり、発生する汚泥量も
少なくなる。
【0050】また本発明の処理装置は、有機性固形分を
含む排液を高濃縮して、しかも返送汚泥を添加して嫌気
性消化するように構成されているので、小型の装置にお
いて、固形分濃度の高い有機性排液でも高有機物負荷で
効率よく、しかも長期間安定して高有機物除去率で処理
でき、発生汚泥量も少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の排液処理装置を示す流れ図である。
【図2】他の実施例の排液処理装置を示す流れ図であ
る。
【図3】試験例2の結果を示すグラフである。
【図4】試験例2の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1a 第1の固液分離装置 1b 第2の固液分離装置 2 嫌気性消化槽 3 高負荷嫌気性処理装置 4 好気性処理装置 5 ガス貯槽 6 排液管 7、8、9、10、11、12、15、22、23 流
路 13 処理液管 14、24 汚泥排出管 21 汚泥返送路
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 3/28 - 3/34 C02F 11/00 - 11/20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機性の固形分を含む排液を固液分離し
    て、固形分濃度が10〜20重量%の高SS排液と、溶
    解性有機物を含む低SS排液とに分離する第1の固液分
    離工程、 第1の固液分離工程で分離された高SS排液を嫌気性消
    化する嫌気性消化工程、 嫌気性消化工程で消化した嫌気性消化液を固液分離する
    第2の固液分離工程、 第2の固液分離工程で得られた分離汚泥を、返送汚泥と
    して前記第1の固液分離工程または嫌気性消化工程に返
    送する汚泥返送工程、および前記第1の固液分離工程で
    分離された低SS排液を嫌気性または好気性下に生物処
    理する生物処理工程を有することを特徴とする有機性固
    形分を含む排液の処理方法。
  2. 【請求項2】 汚泥返送工程は嫌気性消化工程における
    汚泥濃度が20000〜50000mg/lを維持する
    ように返送汚泥を返送するようにされていることを特徴
    とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 有機性の固形分を含む排液を固液分離し
    て、固形分濃度が10〜20重量%の高SS排液と、溶
    解性有機物を含む低SS排液とに分離する第1の固液分
    離装置、 第1の固液分離装置で分離された高SS排液を嫌気性消
    化する嫌気性消化槽、 嫌気性消化槽で嫌気性消化した嫌気性消化液を固液分離
    する第2の固液分離装置、 第2の固液分離装置で分離された分離汚泥を、返送汚泥
    として前記第1の固液分離装置または嫌気性消化槽に返
    送する汚泥返送手段、および前記第1の固液分離装置で
    分離された低SS排液を嫌気性または好気性下に生物処
    理する生物処理装置を有することを特徴とする有機性固
    形分を含む排液の処理装置。
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