JP3350700B2 - マンホール用断熱・防臭装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、生活排水等の暖気
がマンホールの蓋体上の積雪を融解して積雪路面に穴を
形成したり、異臭が地上に漏洩するのを防止するように
したマンホール用断熱・防臭装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】降雪地の道路は幹線道路を除いては降雪
の度毎に除雪作業を行わう訳ではないため、路面には人
や車両の通行によって次第に雪が固く堆積した状態にな
る。他方、日常生活において給湯装置や暖房装置が普及
したことに伴なって暖かい生活排水が大量に下水道に排
出されることから、マンホールの蓋体が暖気によって暖
められて蓋体上の積雪だけが融解するために積雪路面に
大きな穴が形成される現象が起きている。この融雪穴は
真冬には深さ２０〜２５ｃｍにもなるため、歩行者がこ
の穴に足を取られて捻挫したり骨折する原因になってい
る。また、走行中の車両が融雪穴に車輪を落としてハン
ドルを取られて交通事故を起こしたり、緩衝装置を破損
する事故を招いている。そこで、近年マンホールの蓋体
の融雪現象を防止する対策が検討されており、例えば蓋
体の裏面に断熱材を取り付けて蓋体が加温される現象を
抑制する方法等が提案されている。

【０００３】また、季節に関係なく下水道には様々な廃
棄物が投棄されているために異臭が発生しているが、こ
の異臭がマンホール内を上昇して地上に漏出し、周囲の
環境を汚染するという問題もある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、蓋体の裏面を
断熱材で覆うと、外気温が上昇した時の融雪水が蓋体を
介してマンホール内に排出されないために蓋体の上に水
溜まりができる結果、蓋体上の融雪を促進することにな
り、結局は融雪穴を形成してしまうという欠点がある。
そして、このようなマンホールの蓋体上に融雪穴が形成
される現象を防止できる有効な手段は未だ提案されてい
ない。また、マンホールからの異臭の漏出は地域的な問
題であるという側面があることや、費用の問題も絡んで
くるために異臭の漏出を積極的に防止する手段も今まで
提供されていない。

【０００５】本願発明者は上述した従来技術の未解決の
問題点を解決すべく、先に特願平１０ー１８１６８０号
をもって、積雪路面に融雪穴が形成されるのを可及的に
防止することにより交通の安全を確保し、また下水道か
らマンホールを介して異臭が地上に漏出する現象を防止
して環境を良好に維持することができるマンホール用断
熱・防臭装置を提案したが、本発明は更に気密性、異臭
防止性に優れており、しかも排水性、設置容易性に優れ
たマンホール用断熱・防臭装置を提供することを目的と
する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために構成された本発明の手段は、拡縮径自在に構成さ
れ、マンホール内に嵌脱可能に配設される環状枠体と、
該環状枠体の外周に設けられ、前記マンホールとの間を
密閉する外側シール材と、前記マンホール内を上下に遮
断すべく前記環状枠体内に嵌合した一対の断熱性閉塞体
と、該各断熱性閉塞体を前記環状枠体側に対して変位可
能に支持し、該断熱性閉塞体を前記環状枠体側に常時は
圧接して前記マンホールを閉塞した状態に保持する弾性
支持体とからなる。

【０００７】そして、前記環状枠体には、前記断熱性閉
塞体が当接する内側シール材を設けることにより、より
密閉性を高めることができる。

【０００８】また、前記環状枠体は略Ｃ字状の枠本体
と、該枠本体の一端側に固着され、他端側の鞘部に挿入
されて進退するガイド板と、前記枠本体の一端側と他端
側に架設され、該枠本体を拡径又は縮径状態に変形する
作動機構とから構成することにより、マンホール内に確
実に固定することができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳述する。図において、１はコンクリート製円
筒体からなる公知のマンホールを示し、該マンホール１
は下端側が排水暗渠に連通し、上部は鋳鉄製の蓋体（い
ずれも図示せず。）によって施蓋できるようになってい
る。

【００１０】２は前記マンホール１内に嵌脱可能に配設
される環状枠体を示す。３は該環状枠体２を構成する枠
本体で、該枠本体３は環状枠部３Ａと、該環状枠部３Ａ
の上端から径方向内向きに突出するリム部３Ｂからなる
断面略逆Ｌ字状のステンレススチール材を平面略Ｃ字状
に成形したものからなり、矢示イ、ロ方向に拡縮径可能
なようにその一端３Ｃ及び他端３Ｄは離間している。４
は前記枠本体３の両端３Ｃ、３Ｄ間を連結すべく枠本体
３の一端３Ｃ側から他端３Ｄ側にかけて突設したガイド
板を示す。該ガイド板４は前記環状枠部３Ａに対向する
ガイド片４Ａと、前記リム部Ｂに対向する補強片４Ｂと
から断面略逆Ｌ字状に成形してあり、基端側が枠本体３
の一端３Ｃ側に溶接してあり、先端側は枠本体３の他端
３Ｄ側を内側に折り曲げて形成した鞘部５に摺動可能に
挿入してある。

【００１１】６は環状枠体３を拡縮径するための作動機
構を示す。該作動機構６は基端側７Ａが枠本体３の一端
３Ｃ側に支持ピン８により接続された可動片７と、枠本
体３の他端３Ｄ側に固着した支持片９と、該支持片９に
取着した支持ピン１０に長手方向途中が回動可能に支持
され、一端側が操作部１１Ａになり、他端側の連結部１
１Ｂが該可動片７の先端側７Ｂとピン結合された作動レ
バー１１と、支持軸１０に螺合され、該作動レバー１１
の回動を規制するための蝶ねじ１２とから構成してあ
り、作動レバー１１を矢示ハ方向に押動することにより
環状枠体２は縮径し、逆の矢示ニ方向に押動することに
より環状枠体２は拡径するようになっている。そして、
上記環状枠体２及び作動機構６は発錆を考慮してステン
レススチール材で形成してある。

【００１２】１３は環状枠体２とマンホール１との間を
密塞するための外側シール材で、該外側シール材１３は
伸縮可能な環状ゴム帯からなっており、枠本体３の環状
枠部３Ａの外面に貼着され、環状枠体２の拡大縮小に伴
って伸縮するようになっている。他方、１４は環状枠体
２と後述する断熱性閉塞体１５との間を密塞するための
内側シール材で、該内側シール材１４はスリット１４Ａ
が形成された断面円柱状のゴム製環体からなっており、
スリット１４Ａにリム部３Ｂを差し込むことにより取着
してある。

【００１３】１５、１５はマンホール１内を上側と下側
に遮断する一対の断熱性閉塞体を示す。１６は該各断熱
性閉塞体１５を構成する閉塞板で、該閉塞板１６は平坦
面からなる衝合面１６Ａと、円弧面１６Ｂと、該円弧面
１６Ｂの頂部を切欠いた縦切欠き面１６Ｃと、該縦切欠
き面１６Ｃの上部側を切欠いた斜め切欠き面１６Ｄとを
有しており、例えば発泡ウレタン等のように軽量で耐水
性、断熱性のある材料によって形成してある。

【００１４】１７は閉塞板１６に嵌合した当て金で、該
当て金１７は一対の挟持片１７Ａ、１７Ａと、該一対の
挟持片１７Ａ、１７Ｂを連結する略く字状に屈曲した連
結片１７Ｃとから略コ字状に形成してある。そして、当
て金１７は連結片１７Ｃを縦切欠き面１６Ｃと斜め切欠
き面１６Ｄに当接した状態で閉塞板１６に嵌合し、貫通
ボルト１８により固定してある。なお、１９は一方の閉
塞板１６の下面に衝合面１６Ａから突出させた状態で固
着したゴム等の弾性材からなるスリット閉塞片を示す。
該スリット閉塞片１９は一対の閉塞板１６、１６の衝合
面１６Ａ、１６Ａの間から臭気が上昇するのを防止する
もので、本来衝合面１６Ａ、１６Ａは密に当接した状態
にあるが念の為に設けたものである。

【００１５】２０、２０は上述の構成からなる断熱性閉
塞体１５、１５を環状枠体２に開閉可能に取着するスプ
リングヒンジを示す。該各スプリングヒンジ２０は一側
片２０Ａが環状枠体２に固着したＬ字状の取付ブラケッ
ト２１に固着し、他側片２０Ｂが当て金１７の挟持片１
７Ｂに固着してあり、断熱性閉塞体１５、１５はばね力
によって常時は環状枠体２側に付勢されることにより内
側シール材１４に圧接してマンホール１内の上側と下側
を閉塞した状態になってる。

【００１６】本実施の形態に係るマンホール用断熱・防
臭装置は上述の構成からなっており、マンホール１に設
置する場合は作動レバー１１を矢示ハ方向に押動して環
状枠体２を縮径状態にする。そして、マンホール１内の
適宜の高さの位置で作動レバー１１を逆の矢示ニ方向に
押動して環状枠体２を拡径することにより、外側シール
材１４がマンホール１の内周面１Ａに密に圧接した状態
になる。この状態で蝶ねじ１２を締め付けて作動レバー
１１を固定することにより環状枠体２はマンホール１内
に強固に位置決めされる。

【００１７】かくして、一対の断熱性閉塞体１５、１５
はマンホール１内の下方側と上方側を常時遮断した状態
になり、蓋体を介してマンホール１内に流入した融雪水
や雨水は断熱性閉塞体１５、１５の上に滞留した状態に
なる。このため、排水暗渠遂から上昇する暖気は断熱性
閉塞体１５、１５がその上昇を阻止する共に、滞留水が
マンホール１内を上、下に遮断する結果、暖気の上昇を
完全に阻止することができ、蓋体上の積雪の融解を抑制
することができる。また、同様の原理によりマンホール
内を上昇する異臭が蓋体を介して地上に漏出する現象を
防止することができる。

【００１８】他方、滞留水が増大して所定量に達する
と、荷重によりスプリングヒンジ２０のばね力に抗して
各断熱性閉塞体１５が矢示ホ方向に回転し、逆ハ字状に
開放することにより滞留水は下方に放出することができ
る。従って、断熱性閉塞体１５、１５上の滞留水の量が
増大してマンホール１と蓋体との間から地上に湧出する
といった事態や、滞留水が長期間滞留して腐敗するとい
った事態を解消することができる。滞留水が放出される
と、断熱性閉塞体１５、１５はばね力により上昇して内
側シール材１４に密に圧接した状態に復帰する。そし
て、断熱性閉塞体１５、１５は滞留水に混入している異
物も排出時に一気に排出できるから、断熱性閉塞体１
５、１５上に異物が堆積することがないし、環状枠体２
との間に異物を咬み込むことなく確実に閉塞できる。

【００１９】なお、スプリングヒンジ２０のばね力を選
定することにより、各断熱性閉塞体１５上の滞留水の量
は選択的に決めることができる。

【００２０】また、本実施の形態では各断熱性閉塞体１
５はスプリングヒンジ２０により弾性的に支持する構成
にしたが、本発明の弾性支持体には例えば板ばね、ゴム
板、弾性合成樹脂板等の公知の弾性部材を用いることが
できるものである。

【００２１】

【発明の効果】本発明は以上詳述した如く構成したか
ら、下記の諸効果を奏する。 （１）本発明装置はマンホール内の途中を閉塞して上下
を遮断すると共に、滞留水を蓄えることにより、生活排
水等の暖気が上昇して蓋体を加温するのを確実に防止す
ることができるから、蓋体上の積雪が融解する現象を防
止することができる。従って、融雪穴のない積雪路面に
保持できるから、歩行者や車両は安全に通行することが
できる。 （２）上記１と同じ理由により生活排水等から発生する
異臭が地上に漏出するのを防止し、環境を良好に維持す
ることができる。 （３）マンホール内に流入した雨水や融雪水によって滞
留水が所定量に達すると、断熱性閉塞体が荷重により開
放して滞留水を下方に放出するから、滞留水が地上に湧
出することもなく、設置上の安全性に優れている。 （４）断熱性閉塞体の上面に路上から侵入した異物を滞
留水と共に排出するようにしたから、断熱性閉塞体と環
状枠体との間に異物を咬み込むこともなく、滞留水が放
出された後断熱性閉塞体は環状枠体に圧接した閉塞状態
に確実に復帰することができる。 （５）環状枠体は拡縮径自在に構成することによりマン
ホール内の任意の位置に設置することができるようにし
たから、マンホール内に支持金具を設置する必要がない
し、既存のマンホールにも設置することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態に係るマンホール用断熱・
防臭装置の縦断面図である。

【図２】マンホール用断熱・防臭装置を異なる位置で示
す縦断面図である。

【図３】マンホール用断熱・防臭装置の部分拡大断面図
である。

【図４】閉塞板の外観斜視図である。

【符号の説明】

１ マンホール ２ 環状枠体 ３ 枠本体 ４ ガイド板 ６ 作動機構 １３ 外側シール材 １４ 内側シール材 １５ 断熱性閉塞体 ２０ スプリングヒンジ（弾性支持体）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 500019443 本田 忠敬 北海道留萌市南町３丁目６番地 (72)発明者 宮本 忠 北海道札幌市白石区東札幌２条６丁目５ 番１−807号 (56)参考文献 特開2000−129708（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E03F 5/02 E02D 29/14

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 拡縮径自在に構成され、マンホール内に
   嵌脱可能に配設される環状枠体と、該環状枠体の外周に
   設けられ、前記マンホールとの間を密閉する外側シール
   材と、前記マンホール内を上下に遮断すべく前記環状枠
   体内に嵌合した一対の断熱性閉塞体と、該各断熱性閉塞
   体を前記環状枠体側に対して変位可能に支持し、該断熱
   性閉塞体を前記環状枠体側に常時は圧接して前記マンホ
   ールを閉塞した状態に保持する弾性支持体とから構成し
   てなるマンホール用断熱・防臭装置。
2. 【請求項２】 前記環状枠体には、前記断熱性閉塞体が
   当接する内側シール材を設けてあることを特徴とする請
   求項１記載のマンホール用断熱・防臭装置。
3. 【請求項３】 前記環状枠体は略Ｃ字状の枠本体と、該
   枠本体の一端側に固着され、他端側の鞘部に挿入されて
   進退するガイド板と、前記枠本体の一端側と他端側に架
   設され、該枠本体を拡径又は縮径状態に変形する作動機
   構とから構成してある請求項１記載のマンホール用断熱
   ・防臭装置。