JP3350432B2 - ミシンの天秤駆動用カム機構 - Google Patents

ミシンの天秤駆動用カム機構

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JP3350432B2
JP3350432B2 JP03225198A JP3225198A JP3350432B2 JP 3350432 B2 JP3350432 B2 JP 3350432B2 JP 03225198 A JP03225198 A JP 03225198A JP 3225198 A JP3225198 A JP 3225198A JP 3350432 B2 JP3350432 B2 JP 3350432B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明はミシンの天秤駆動
用カム機構に関し、特に、主軸に対するカム部材の位相
を調節可能な位相調節機構を設けた天秤駆動用カム機構
に関する。
【0002】
【従来の技術】 従来、ミシンの主軸に連動させて天秤
を駆動する天秤駆動用カム機構は、主軸に固定され且つ
カム溝を有するカム部材と、カム溝に係合するカム従動
子と、カム従動子を天秤に作動的に連結する連動連結機
構とを有し、主軸とともにカム部材が回転駆動される
と、カム従動子がカム溝に従動し、連動連結機構を介し
て天秤が略上下に駆動されるように構成してある。
【0003】ミシンの天秤は、縫針(針棒)に対して所
定位相遅れて作動するように設定されており、主に、被
縫製布の下側において釜機構で上糸を下糸に交絡させた
直後に、その上糸を上方へ引っ張って引締めることによ
り、上糸と下糸をその交絡部を含めて被縫製布に密着さ
せて縫目を形成できるようにしている。
【0004】ところで、図9に示すように、被縫製布10
0 に形成された縫目101 の縫い方向最終の交絡部102 か
ら被縫製布100 を下側へ挿通し釜103 へ延びる縫目側上
糸105aと、釜103 から被縫製布100 を上側へ挿通し天秤
(図示略)へ延びる引締め側上糸105bは、被縫製布100
内において縫針(図示略)が通過する同じ経路を通り接
触するが、天秤で引締め側上糸105bが上方へ引っ張られ
ると、接触していてる縫目側上糸105aと引締め側上糸10
5bとの間に摩擦力が作用する。
【0005】ミシンに使用される糸には材質や太さ等が
異なる種々の種類があるが、縫目側上糸105aと引締め側
上糸105bとの間に作用する摩擦力が大きくなると、本来
鎖線で示すように上糸が被縫製布100 に密着して縫目が
形成されるところ、縫目側上糸105aが被縫製布100 から
引出され、その縫目側上糸105aが引締められずにループ
状に浮き上がるルーピング106 が発生する場合がある。
【0006】ルーピングが発生する原因としては、糸の
種類(材質や太さ等)によるところが大きいが、例え
ば、図10に示すように、被縫製布の枚数が多くなる程
(厚さが厚くなる程)、また、図11に示すように、縫
針の番号が小さくなる程(太さが細くなる程)、前記縫
目側上糸と引締め側上糸との間に作用する摩擦力が大き
くなるため、ルーピングの発生率が高くなり、また、図
12に示すように、上糸の張力が小さい程ルーピングの
発生率が高く、図13に示すように、縫製速度が所定速
度(500spm)近傍値のときにも、ルーピングの発生率が
高くなることが知られている。
【0007】このような場合、天秤の上糸引上げタイミ
ングを早めると、上糸が釜から抜けきる前から上糸を引
っ張ることができるため、即ち、上糸を弛ませずにピン
と張った状態から引っ張ることができるため、前記縫目
側上糸と引締め側上糸との間に作用する摩擦力が小さく
なること、上糸の張力が安定すること等により、ルーピ
ングの発生率を抑えることが可能になる。
【0008】さて、従来のミシンの天秤駆動用カム機構
では、一定条件(主に、使用される糸の種類が略一定と
いう条件)に基いて、天秤の上糸引上げタイミングがル
ーピングの発生率を抑えられるタイミングになるよう
に、ミシン製作時において、主軸に対してカム部材を適
切な位相で固定し組付けることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】 しかし、従来のミシ
ンの天秤駆動用カム機構では、主軸に対してカム部材が
固定的に組付けられているため、ミシン製作後におい
て、主軸に対するカム部材の位相を調節することができ
ない。従って、種々の条件(例えば、被縫製布の厚さや
縫針の太さ等)に応じて、適宜、主軸に対するカム部材
の位相を調節できないため、天秤の上糸引上げタイミン
グを適切なタイミングに調節しルーピングの発生率を極
力抑えることができなくなる。
【0010】また、ルーピングの発生率を抑る為だけで
なくその他の為に、天秤の駆動タイミングを調節するこ
ともできない。尚、ミシンの主軸に連動させて天秤を駆
動するリンク機構では、そのリンク部材とクランク部材
(又はその他のリンク部材)との連結位置を変更するこ
と等により、天秤の上糸引上げタイミングを調節できる
が、天秤の移動ストロークも変化するため望ましくな
い。
【0011】本発明の目的は、ミシンの天秤駆動用カム
機構において、種々の条件に応じて、適宜、主軸に対す
るカム部材の位相を調節可能にすること、天秤の上糸引
上げタイミングを適切なタイミングに調節し、ルーピン
グの発生率を極力抑えるようにすること、等である。
【0012】
【課題を解決するための手段】 請求項1のミシンの天
秤駆動用カム機構は、ミシンの主軸に連動させて天秤を
駆動する天秤駆動用カム機構において、前記主軸に固着
され主軸の軸心と直交するカム取付面を有するベース部
材と、前記天秤に作動的に連結されたカム従動子が係合
するカム溝を有するカム部材と、前記ベース部材のカム
取付面にカム部材を固定解除可能に固定する位相調節機
構であって、カム部材の固定を解除した状態において、
カム部材を主軸の軸心回りに回動させて主軸に対するカ
ム部材の位相を調節可能な位相調節機構とを備え、前記
主軸に対するカム部材の位相を所定の標準位相に位置決
めする為に、ベース部材とカム部材とに位置決めピンを
嵌入可能な第1ピン孔と、前記主軸に対するカム部材の
位相を前記標準位相から所定角度進めた位相に位置決め
する為に、ベース部材とカム部材とに位置決めピンを嵌
入可能な第2ピン孔と、をベース部材とカム部材に夫々
形成したことを特徴とするものである。
【0013】ここで、主軸にカム部材を回転自在に支持
させてもよいし、ベース部材にカム部材を回転自在に支
持させてもよい。主軸及びベース部材とともにカム部材
が回転駆動されると、カム部材のカム溝に係合するカム
従動子が従動し、カム従動子が作動的に連結された天秤
が駆動される。位置調節機構により、ベース部材のカム
取付面にカム部材が固定解除可能に固定されており、カ
ム部材の固定を解除した状態において、カム部材を主軸
の軸心回りに回動させて主軸に対するカム部材の位相を
調節することができる。
【0014】従って、使用される糸の種類、被縫製布の
厚さ、縫針の太さ、上糸の張力、縫製速度等の種々の条
件に応じて、適宜、主軸に対するカム部材の位相を簡単
に調節することができ、その結果、天秤の上糸引上げタ
イミングを適切なタイミングに調節し、上糸が被縫製布
から引出されループ状に浮き上がるルーピングの発生率
を極力抑えることが可能になる。また、ルーピングの発
生率を抑る為だけでなくその他の為に、天秤の駆動タイ
ミングを調節することができる。カム部材の固定を解除
してた状態において、カム部材を主軸の軸心回りに回動
させ、位置決めピンをベース部材とカム部材の第1ピン
孔に嵌入させることで、主軸に対するカム部材の位相を
前記標準位相に簡単且つ確実に位置決めすることがで
き、この状態を保持して、カム部材を回動させることな
くベース部材に確実に固定することができ、その後、第
1ピン孔から位置決めピンを引き抜く。 また、カム部材
の固定を解除してた状態において、カム部材を主軸の軸
心回りに回動させ、位置決めピンをベース部材とカム部
材の第2ピン孔に嵌入させることで、主軸に対するカム
部材の位相を標準位相から所定角度進めた位相に簡単且
つ確実に位置決めすることができ、この状態を保持し
て、カム部材を回動させることなくベース部材に確実に
固定することができ、その後、第2ピン孔から位置決め
ピンを引き抜く。
【0015】請求項2のミシンの天秤駆動用カム機構
は、請求項1の発明において、前記位相調節機構は、カ
ム部材に形成され主軸の軸心を中心とする円弧状の長孔
と、この長孔を通してベース部材に螺合されるネジ部材
とを有することを特徴とするものである。ネジ部材を弛
めると、カム部材をベース部材のカム取付面から固定解
除でき、ベース部材と一体のネジ部材にカム部材ととも
に回動する長孔の両端が当接する間の角度において、カ
ム部材を主軸の軸心回りに回動させて、主軸に対するカ
ム部材の位相を調節することができ、ネジ部材を締める
と、カム部材をベース部材のカム取付面に固定すること
ができる。
【0016】ここで、ベース部材に螺合されたネジ部材
にカム部材の長孔の端部を当接させることで、主軸に対
するカム部材の位相を、予め設定された位相に位置決め
できるようにしてもよい。また、カム部材に複数の長孔
を形成し、各長孔にネジ部材を挿通させベース部材に螺
合させることで、カム部材をベース部材に確実に固定で
きるとともに、ネジ部材と長孔とを介してカム部材をベ
ース部材に回転自在に支持することもできる。その他請
求項1と同様の作用を奏する。
【0017】請求項3のミシンの天秤駆動用カム機構
は、請求項1の発明において、前記位相調節機構は、ベ
ース部材に形成され主軸の軸心を中心とする円弧状の長
孔と、この長孔を通してカム部材に螺合されるネジ部材
とを有することを特徴とするものである。ネジ部材を弛
めると、カム部材をベース部材のカム取付面から固定解
除でき、ベース部材の長孔の両端にカム部材とともに回
動するネジ部材が当接する間の角度において、カム部材
を主軸の軸心回りに回動させて、主軸に対するカム部材
の位相を調節することができ、ネジ部材を締めると、カ
ム部材をベース部材のカム取付面に固定することもでき
る。
【0018】ここで、ベース部材の長孔の端部にカム部
材に螺合されたネジ部材を当接させることで、主軸に対
するカム部材の位相を、予め設定された位相に位置決め
することができる。また、ベース部材に複数の長孔を形
成し、各長孔にネジ部材を挿通させカム部材に螺合させ
ることで、カム部材をベース部材に確実に固定できると
ともに、長孔とネジ部材とを介してカム部材をベース部
材に回転自在に支持することができる。その他請求項1
と同様の作用を奏する。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】請求項4のミシンの天秤駆動用カム機構
は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記主
軸に対するカム部材の位相を前記標準位相から所定角度
遅らした位相に位置決めする為に、ベース部材とカム部
材とに位置決めピンを嵌入可能な第3ピン孔をベース部
材とカム部材に夫々形成したことを特徴とするものであ
る。
【0024】カム部材の固定を解除してた状態におい
て、カム部材を主軸の軸心回りに回動させ、位置決めピ
ンをベース部材とカム部材の第3ピン孔に嵌入させるこ
とで、主軸に対するカム部材の位相を前記標準位相から
所定角度遅らした位相に簡単且つ確実に位置決めするこ
とができ、この状態を保持して、カム部材を回動させる
ことなくベース部材に確実に固定することができ、その
後、第3ピン孔から位置決めピンを引き抜く。その他
求項1〜3の何れか1項と同様の作用を奏する。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。本実施形態は、ミシンの主
軸に連動させて天秤を駆動する天秤駆動用カム機構に、
本発明を適用した場合の一例である。
【0026】図1、図2に示すように、ミシンMの天秤
駆動用カム機構1(以下、カム機構という)は、主軸2
に固着され主軸2の軸心aと直交するカム取付面20を
有するベース部材3と、左右方向向きの枢支軸9に枢支
された天秤8(図2において図示略)に連動連結機構5
を介して作動的に連結されたカム従動子4と、カム従動
子4が係合するカム溝40を有するカム部材6と、ベー
ス部材3のカム取付面20にカム部材6を固定解除可能
に固定する位相調節機構7であって、カム部材6の固定
を解除した状態において、カム部材6を主軸2の軸心a
回りに回動させて主軸2に対するカム部材6の位相を調
節可能な位相調節機構7(図2参照)等で構成されてい
る。
【0027】前記主軸2は、図示していないが、ミシン
Mのフレーム本体にベアリング等を介して回転自在に支
持され、ミシンモータで回転駆動される。カム機構1の
近傍にはフレーム部材10が設けられ、主軸2はこのフ
レーム部材10の内部を左右に挿通し、フレーム部材1
0の内部において、主軸2にベース部材3とカム部材6
等が連結されている。
【0028】前記ベース部材3は、主軸2の軸心aを中
心とする鉛直の円板状に形成され、主軸2に外嵌されて
針棒駆動カム22の左端面に複数(3つ)のビス23で
固着され、その左端面にカム取付面20が形成されてい
る。ベース部材3は、針棒駆動カム22及びその他の部
材とともになる一体の駆動用部材21に含まれ、この駆
動用部材21が主軸2に外嵌され、その右端部のカラー
部24が主軸2に固着される。即ち、図3に示すよう
に、カラー部24にカラー部材25が外嵌され、カラー
部材25の相対向する1対の締めつけ部25aをボルト
26で螺合締結し、カラー部材25の締めつけ力により
カラー部24が主軸2に固着されている。
【0029】前記連動連結機構5は、ベース部材3とカ
ム部材6の上側においてフレーム部材10の上フレーム
部11に右部が回転自在に支持された左右方向向きの枢
支軸30と、上フレーム部11の左側において下端部分
が枢支軸30に固着され天秤8側へ延びる第1揺動部材
31と、第1揺動部材31の左側において上端部分が枢
支軸30に固着されカム部材6の左側まで延びる第2揺
動部材35を有する。
【0030】第1揺動部材30の上端部の二股状の1対
の枢支片32の間に装着されたコロ33が、天秤8の係
合部34に係合し、第2揺動部材35の下端部から右方
へ突出する軸部36に、カム従動子4が回転自在に内嵌
されている。カム従動子4が、回転するカム部材6のカ
ム溝40に従動すると、第1,第2揺動部材30,35
が枢支軸30を介して一体的に揺動し、枢支軸9に枢支
された天秤8の先端部が略上下に往復駆動される。
【0031】前記カム部材6は、図1、図2、図6〜図
8に示すように、ベース部材3のカム取付面20に摺動
可能に接触し且つ主軸2に外嵌されて回転自在に支持さ
れ且つ主軸2の軸心aを略中心とする円板部41を有
し、この円板部41の左面部に左方へ突出する1対の環
状隔壁部42,43が、円板部41(主軸2)に対して
外側へ偏った位置に一体形成され、これら環状隔壁部4
2,43間に、カム従動子4が係合するカム溝40が形
成されている。
【0032】前記位相調節機構7について説明する。図
1、図2、図4、図6〜図8に示すように、位相調節機
構7は、カム部材6の円板部41に形成され主軸2の軸
心aを中心とする円弧状の3つの長孔50〜52と、こ
れら長孔50〜52を通してベース部材3に螺合される
3個のネジ部材53〜55とを有する。尚、図6〜図8
においては、長孔50〜52とネジ部材53〜55との
位置関係を分かり易くするため、図4に示すネジ部材5
3〜55のネジ頭を仮想線で図示する。長孔50は円板
部41の環状隔壁部42よりも内側に形成され、長孔5
1,52は円板部41の環状隔壁部43よりも外側に形
成されている。
【0033】各ネジ部材53〜55を弛めると、カム部
材6がベース部材3のカム取付面20から固定解除さ
れ、この状態で、ベース部材3に一体のネジ部材54,
55にカム部材6とともに回動する長孔51,52の両
端が当接する間の角度(約2度)に亙って、カム部材6
を主軸2の軸心a回りに回動させて、主軸2に対するカ
ム部材6の位相を調節することができ、また、各ネジ部
材53〜55を締めると、カム部材6をベース部材3の
カム取付面20に固定することができる。尚、ネジ部材
53〜55を締めると、そのネジ頭とカム取付面20と
の間にカム部材6が挟着され固定される。
【0034】ここで、ベース部材3とカム部材6の円板
部41には、主軸2に対するカム部材6の位相を、所定
の標準位相(図6参照)、標準位相から所定角度α(例
えば、α=1度)進めた位相(図7参照)、標準位相か
ら所定角度β(例えば、β=1度)遅らした位相(図8
参照)に位置決めする為に、ベース部材3とカム部材6
とに位置決めピン65(図5参照)を嵌入可能な第1ピ
ン孔60A,60B、第2ピン孔61A,61B、第3
ピン孔62A,62Bが夫々形成されている。
【0035】第1ピン孔60A,60Bは、環状隔壁部
42よりも内側においてネジ部材53と長孔50の近傍
部に位置し、第2ピン孔61A,61Bと第3ピン孔6
2A,62Bは、環状隔壁部43の外側おいてネジ部材
54,55と長孔51,52の間に位置している。尚、
第2,第3ピン孔61A,62Aは、ベース部材3をそ
の外周側から切欠いて外端開放状に形成されている。
【0036】ここで、位置決めピン65においては、ミ
シンMを含めたカム機構1の構造上、ピン孔60A〜6
2A,60B〜62Bに左側から嵌入させるが、図5に
示すように、先端部をピン孔60A〜62A,60B〜
62B嵌入させ易いくする為に、先端部はテーパ状に形
成され、基端部分には作業者が把持するの便利な把持部
66が取付けられている。
【0037】次に、カム機構1の作用・効果について説
明する。主軸2に対するカム部材6の位相を標準位相
(図6参照)に調節する場合、各ネジ部材53〜55を
弛め、カム部材6をベース部材3のカム取付面20から
固定解除した状態で、カム部材6を主軸2の軸心a回り
に回動させ、位置決めピン65を第1ピン孔60A,6
0Bの両方に嵌入させることで、カム部材6の位相を標
準位相に位置決めする。
【0038】この場合、第1ピン孔60Bに位置決めピ
ン65を嵌入させ右方へ少し押した状態で、カム部材6
を主軸2の軸心a回りに回動させることで、位置決めピ
ン65を第1ピン孔60Aにも嵌入させカム部材6の位
相を標準位相に位置決めし易くなる。その後、この状態
を保持して、各ネジ部材53〜55を締めて、カム部材
6をベース部材3のカム取付面20に固定し、位置決め
ピン65を引き抜く。尚、ミシンMの製作時において、
通常、カム部材6はその位相を標準位相にして組付けら
れる。
【0039】主軸2に対するカム部材6の位相を、標準
位相から所定角度α進めた位相(図7参照)に調節する
場合、各ネジ部材53〜55を弛め、カム部材6をベー
ス部材3のカム取付面20から固定解除した状態で、カ
ム部材6を主軸2の軸心a回りに回動させ、位置決めピ
ン65を第2ピン孔61A,61Bの両方に嵌入させる
ことで、カム部材6の位相を標準位相から所定角度α進
めた位相に位置決めし、その後、この状態を保持して、
各ネジ部材53〜55を締めて、カム部材6をベース部
材3のカム取付面20に固定し、位置決めピン65を引
き抜く。
【0040】主軸2に対するカム部材6の位相を、標準
位相から所定角度β遅らした位相(図8参照)に調節す
る場合、各ネジ部材53〜55を弛め、カム部材6をベ
ース部材3のカム取付面20から固定解除した状態で、
カム部材6を主軸2の軸心a回りに回動させ、位置決め
ピン65を第3ピン孔62A,62Bの両方に嵌入させ
ることで、カム部材6の位相を標準位相から所定角度β
遅らした位相に位置決めし、その後、この状態を保持し
て、各ネジ部材53〜55を締めて、カム部材6をベー
ス部材3のカム取付面20に固定し、位置決めピン65
を引き抜く。
【0041】尚、これらの場合においても、第2,第3
ピン孔61B,62Bに位置決めピン65を嵌入させ右
方へ少し押した状態で、カム部材6を主軸2の軸心a回
りの回転方向へ回動させることで、位置決めピン65を
第2,第3ピン孔61A,62Aにも嵌入させ、カム部
材6の位相を、標準位相から所定角度α進めた位相、標
準位相から所定角度β遅らした位相に位置決めし易くな
る。
【0042】このカム機構1によれば、前記位相調節機
構7を設けたので、使用される糸の種類、縫針の太さ、
被縫製布の厚さ、上糸の張力、縫製速度等の種々の条件
に応じて、適宜、主軸2に対するカム部材6の位相を、
前記標準位相、標準位相から所定角度α進めた位相、標
準位相から所定角度β遅らした位相のうちの1つの位相
に調節することができる。但し、カム部材6の位相を前
記3つの位相以外の位相にも勿論調節することができ
る。
【0043】その結果、天秤8の上糸引上げタイミング
を適切なタイミングに調節でき、縫製時に、上糸が被縫
製布から引出されループ状に浮き上がるルーピングの発
生を極力抑えることができる。また、ルーピングの発生
率を抑る為だけでなくその他の為に、天秤8の駆動タイ
ミングを調節することができる。
【0044】しかも、位相調節機構7は、カム部材6に
形成され主軸2の軸心aを中心とする円弧状の長孔50
〜52と、長孔50〜52を通してベース部材3に螺合
されるネジ部材53〜55とを有するので、この簡単な
位相調節機構7により、ベース部材3のカム取付面20
にカム部材6を固定解除可能に固定でき、カム部材6の
固定を解除した状態において、カム部材6を主軸2の軸
心a回りに回動させて主軸2に対するカム部材6の位相
を調節することが可能になる。
【0045】更に、主軸2に対するカム部材6の位相
を、前記標準位相、標準位相から所定角度α進めた位
相、標準位相から所定角度β遅らした位相に位置決めす
る為に、ベース部材3とカム部材6とに位置決めピン6
5を嵌入可能な第1ピン孔60A,60B、第2ピン孔
61A,61B、第3ピン孔62A,62Bをベース部
材3とカム部材6に夫々形成したので、主軸2に対する
カム部材6の位相を前記3つの位相のうちの1つの位相
に簡単且つ確実に位置決めすることができる。
【0046】前記カム機構1を部分的に変更した変更形
態について説明する。但し、前記実施形態と同じものに
は同一符号を付して説明する。
【0047】1〕位相調節機構7においては、ベース部
材3に主軸2の軸心aを中心とする円弧状の長孔を形成
するとともに、この長孔を通してネジ部材をカム部材6
に螺合させることにより、カム部材6を固定解除可能に
固定し、且つカム部材6の固定を解除した状態におい
て、カム部材6を主軸2の軸心a回りに回動させて主軸
2に対するカム部材6の位相を調節可能に構成してもよ
い。
【0048】2〕第2ピン孔61A,61Bと第3ピン
孔62A,62Bとを省略し、ネジ部材54,55に、
長孔51,52の端部を当接させることにより、主軸2
に対するカム部材6の位相を、標準位相から所定角度α
進めた位相、標準位相から所定角度β遅らした位相に位
置決めするようにしてもよい。
【0049】3〕長孔50〜52の周方向長さを長く
し、前記第1〜第3ピン孔以外に、主軸2に対するカム
部材6の位相を所定の位相に位置決めする為に、ベース
部材3とカム部材6とに位置決めピン65を嵌入可能な
1対又は複数対のピン孔を形成してもよい。
【0050】尚、本発明に係る天秤駆動用カム機構は、
前記実施形態及び変更形態の天秤駆動用カム機構に限ら
ず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更
を付加し、種々の天秤駆動用カム機構及びミシンに勿論
適用することができる。
【0051】
【発明の効果】 請求項1のミシンの天秤駆動用カム機
構によれば、ベース部材のカム取付面にカム部材を固定
解除可能に固定する位相調節機構であって、カム部材の
固定を解除した状態において、カム部材を主軸の軸心回
りに回動させて主軸に対するカム部材の位相を調節可能
な位相調節機構を設けたので、使用される糸の種類、被
縫製布の厚さ、縫針の太さ、上糸の張力、縫製速度等の
種々の条件に応じて、適宜、主軸に対するカム部材の位
相を簡単に調節することができ、その結果、天秤の上糸
引上げタイミングを適切なタイミングに調節し、上糸が
被縫製布から引出されループ状に浮き上がるルーピング
の発生を極力抑えることができるし、ルーピングの発生
率を抑る為だけでなくその他の為に、天秤の駆動タイミ
ングを調節することができる。主軸に対するカム部材の
位相を所定の標準位相に位置決めする為に、ベース部材
とカム部材とに位置決めピンを嵌入可能な第1ピン孔を
ベース部材とカム部材に夫々形成したので、位置決めピ
ンをベース部材とカム部材の第1ピン孔に嵌入させるこ
とで、主軸に対するカム部材の位相を所定の標準位相に
簡単且つ確実に位置決めすることができ、この状態を保
持して、カム部材を回動させることなくベース部材に確
実に固定することができる。 主軸に対するカム部材の位
相を前記標準位相から所定角度進めた位相に位置決めす
る為に、ベース部材とカム部材とに位置決めピンを嵌入
可能な第2ピン孔を ベース部材とカム部材に夫々形成し
たので、位置決めピンをベース部材とカム部材の第2ピ
ン孔に嵌入させることで、主軸に対するカム部材の位相
を前記標準位相から所定角度進めた位相に簡単且つ確実
に位置決めすることができ、この状態を保持して、カム
部材を回動させることなくベース部材に確実に固定する
ことができる。
【0052】請求項2のミシンの天秤駆動用カム機構に
よれば、請求項1と同様の効果を奏するが、位相調節機
構は、カム部材に形成され主軸の軸心を中心とする円弧
状の長孔と、この長孔を通してベース部材に螺合される
ネジ部材とを有するので、この簡単な位相調節機構によ
り、ベース部材のカム取付面にカム部材を固定解除可能
に固定し、カム部材の固定を解除した状態において、カ
ム部材を主軸の軸心回りに回動させて主軸に対するカム
部材の位相を調節することが可能になる。
【0053】請求項3のミシンの天秤駆動用カム機構に
よれば、請求項1と同様の効果を奏するが、位相調節機
構は、ベース部材に形成され主軸の軸心を中心とする円
弧状の長孔と、この長孔を通してカム部材に螺合される
ネジ部材とを有するので、この簡単な位相調節機構によ
り、ベース部材のカム取付面にカム部材を固定解除可能
に固定し、カム部材の固定を解除した状態において、カ
ム部材を主軸の軸心回りに回動させて主軸に対するカム
部材の位相を調節することが可能になる。
【0054】
【0055】
【0056】請求項4のミシンの天秤駆動用カム機構に
よれば、請求項1〜3何れか1項と同様の効果を奏する
が、主軸に対するカム部材の位相を前記標準位相から所
定角度遅らした位相に位置決めする為に、ベース部材と
カム部材とに位置決めピンを嵌入可能な第3ピン孔をベ
ース部材とカム部材に夫々形成したので、位置決めピン
をベース部材とカム部材の第3ピン孔に嵌入させること
で、主軸に対するカム部材の位相を前記標準位相から所
定角度遅らした位相に簡単且つ確実に位置決めすること
ができ、この状態を保持して、カム部材を回動させるこ
となくベース部材に確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る天秤駆動用カム機構の
右側面図である。
【図2】天秤駆動用カム機構の正面図である。
【図3】図2のIII −III 線断面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面図である。
【図5】位置決めピンの正面図である。
【図6】カム部材(標準位相)左側面図である。
【図7】カム部材(標準位相から所定角度進めた位相)
の左側面図である。
【図8】カム部材(標準位相から所定角度遅らした位
相)の左側面図である。
【図9】従来技術に係るルーピング発生原理を示す図で
ある。
【図10】上糸の張力に対するルーピング発生率を示す
図である。
【図11】縫針の太さに対するルーピング発生率を示す
図である。
【図12】被縫製布の厚さに対するルーピング発生率を
示す図である。
【図13】縫製速度に対するルーピング発生率を示す図
である。
【符号の説明】
M ミシン 1 天秤駆動用カム機構 2 主軸 3 ベース部材 4 カム従動子 5 連動連結機構 6 カム部材 7 位相調節機構 9 天秤 20 カム取付面 40 カム溝 50〜52 長孔 53〜55 ネジ部材 60A,60B 第1ピン孔 61A,61B 第2ピン孔 62A,62B 第3ピン孔 65 位置決めピン
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D05B 1/00 - 83/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ミシンの主軸に連動させて天秤を駆動す
    る天秤駆動用カム機構において、 前記主軸に固着され主軸の軸心と直交するカム取付面を
    有するベース部材と、 前記天秤に作動的に連結されたカム従動子が係合するカ
    ム溝を有するカム部材と、 前記ベース部材のカム取付面にカム部材を固定解除可能
    に固定する位相調節機構であって、カム部材の固定を解
    除した状態において、カム部材を主軸の軸心回りに回動
    させて主軸に対するカム部材の位相を調節可能な位相調
    節機構とを備え、 前記主軸に対するカム部材の位相を所定の標準位相に位
    置決めする為に、ベース部材とカム部材とに位置決めピ
    ンを嵌入可能な第1ピン孔と、 前記主軸に対するカム部材の位相を前記標準位相から所
    定角度進めた位相に位置決めする為に、ベース部材とカ
    ム部材とに位置決めピンを嵌入可能な第2ピン孔と、 をベース部材とカム部材に夫々形成した ことを特徴とす
    るミシンの天秤駆動用カム機構。
  2. 【請求項2】 前記位相調節機構は、カム部材に形成さ
    れ主軸の軸心を中心とする円弧状の長孔と、この長孔を
    通してベース部材に螺合されるネジ部材とを有すること
    を特徴とする請求項1に記載のミシンの天秤駆動用カム
    機構。
  3. 【請求項3】 前記位相調節機構は、ベース部材に形成
    され主軸の軸心を中心とする円弧状の長孔と、この長孔
    を通してカム部材に螺合されるネジ部材とを有すること
    を特徴とする請求項1に記載のミシンの天秤駆動用カム
    機構。
  4. 【請求項4】 前記主軸に対するカム部材の位相を前記
    標準位相から所定角度遅らした位相に位置決めする為
    に、ベース部材とカム部材とに位置決めピンを嵌入可能
    な第3ピン孔をベース部材とカム部材に夫々形成したこ
    とを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のミシ
    ンの天秤駆動用カム機構。
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