JP3349695B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

超音波診断装置

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JP3349695B2
JP3349695B2 JP2000245892A JP2000245892A JP3349695B2 JP 3349695 B2 JP3349695 B2 JP 3349695B2 JP 2000245892 A JP2000245892 A JP 2000245892A JP 2000245892 A JP2000245892 A JP 2000245892A JP 3349695 B2 JP3349695 B2 JP 3349695B2
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烈光 原田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医用超音波診断装置
に関し、詳しくは、心臓、血管などの循環器の健全性を
診断するための新しい指標(評価値)を演算する装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】ウエーブ・インテンシティ(Wave Inten
sity:WI)は、人体内の動脈における特定部位におい
て、心臓から抹消へ向かう前進脈波と、抹消で反射して
心臓に向かう反射脈波のどちらの作用が優勢であるかを
判定するための指標として提唱されたものである。つま
り、WIが示す値の符号(正又は負)が、心臓血管系の疾
患などを診断するための1つの情報として提案された
(Parker KH, Jones CJH: Forward and backward runni
ng waves in the arteries:analysis using the method
of characteristics. Journal of Biomechanical Engi
neering 112:322-326,1990.参照)。
【0003】一方、近時、WIの正負の符号のみではな
く、その大きさも重要な生理学的意味をもつということ
が究明され、次のように、時間に関して規格化されたWI
が提案されている(菅原基晃,仁木清美,新しい循環動
態解析の指標:Wave Intensity.循環制御1999;20;90-9
7.)。
【0004】
【数1】WI = (dP/dt)(dU/dt) ・・・(1) ここで、dP/dt,dU/dtは、それぞれ動脈中の血圧Pおよ
び血流速度Uの時間微分である。
【0005】次に、このWIの性質について検討する。心
臓に比較的に近い動脈において、1心周期に亘ってWIを
観察すると、駆出初期と駆出終期に、それぞれ正の鋭い
ピーク(第1ピーク(First peak)及び第2ピーク(Se
cond peak))が認められる。第1ピークは、心臓が能
動的に血液を駆出する前進圧縮波を表わしており、第2
ピークは、心臓が能動的に血流を停止させる前進膨張波
を表わしている。
【0006】WIの第1ピーク及び第2ピークは次式のよ
うに表わされる。但し、ρは血液密度であり、cは脈波
伝搬速度である。
【0007】
【数2】 First peak_WI = [1/(ρc)](Max dP/dt)2 ・・・(2) Second peak_WI=ρc(Max dU/dt)2 ・・・(3) 第1ピークの高さは、心収縮性の増大とともに著しく増
加し、血管のコンプライアンスの低下により低下する。
第2ピークの高さは、駆出末期の血流減速度の大きさの
二乗に比例して増大し、血管のコンプライアンスの増加
とともに減少する。
【0008】このようにWIは、心収縮性の変化に極めて
鋭敏な指標であり、また拡張特性に関連した指標であ
り、更に負荷の変化に関連した指標であるので、心臓と
血管系の干渉を顕著に表す指標といえる。
【0009】ところで、上記のWIをリアルタイム計測す
るために、血管内にカテーテルを挿入して血流の圧力を
測定し、同時に、血流の速度を計測する計測システムが
提案されている。しかし、カテーテルによる血圧測定
は、侵襲的な検査法であるため、患者への負担が大き
く、また検査の手間もかかり、日常の検査として頻繁に
実施するのは不都合である。
【0010】一方、心臓の1心周期内の血管径変化波形
と血圧波形は高い精度で相似であることが知られてお
り、それを前提として、いわゆるエコートラッキング法
によって血管径の変化を計測し、それに基づいて血圧を
推定する手法が提案されている(菅原基晃ら,血圧波形
の非侵襲的計測法の開発.医用電子と生体工学 第21巻
特別号,1983参照)。また、エコートラッキング法とカ
フ型血圧計、及びカラードプラ法を用いて、WIを計測す
る手法も提案されている(岡田孝,原田烈光,菅原基
晃,仁木清美.リアルタイムWave Intensity計測システ
ム.日本超音波医学会第73回講演抄録集;73-E1-2,364,2
000)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、WIは循
環器の疾病診断において極めて重要な指標であるが、従
来の計測手法では、直接的あるいは間接的に血圧を測定
する必要がある。
【0012】しかし、血圧の測定は、患者にとって負担
となり、あるいは、検査時間を増大させる要因となる。
また、母胎内の胎児については、血圧の測定は極めて困
難であり、そのような胎児について従来のWI計測手法を
そのまま適用することはできない。
【0013】なお、未公開の特許出願として、2000
年2月10日に出願された特願2000-032856号及び20
00年4月25日に出願された特願2000-123615号があ
げられる。
【0014】本発明は、上記従来の課題に鑑みなされた
ものであり、その目的は、血圧の測定を行う必要がな
く、従来のWIと等価な性質を有する新しい指標を得られ
る超音波診断装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】(1)上記目的を達成す
るために、本発明は、血管を含む生体に対し、超音波を
送受波する送受波手段と、前記送受波手段から出力され
る受信信号に基づいて、前記血管の直径Dを計測する直
径計測手段と、前記血管の直径の時間微分dD/dtを演算
する第1微分演算手段と、前記血管の直径の時間微分dD
/dtを前記血管の直径Dで規格化し、値(1/D)(dD/dt)を
得る規格化手段と、前記受信信号に基づいて前記血管内
の血流の速度Uを計測する速度計測手段と、前記血流の
速度の時間微分dU/dtを演算する第2微分演算手段と、
前記値(1/D)(dD/dt)と前記血流の速度の時間微分dU/dt
とを乗算して評価値WInを演算する評価値演算手段と、
を含むことを特徴とする。
【0016】上記構成によれば、血管の直径で規格化さ
れた当該直径の時間微分(1/D)(dD/dt)と、血流の速度の
時間微分dU/dtとを乗算することによって、評価値WIn
(=(1/D)(dD/dt)(dU/dt))が演算される。その評価値
は、後に詳述するように従来のウエーブインテンシティ
と同様の性質をもっており、循環器の健全性を示す指標
として機能する。その評価値の演算に当たっては、血圧
を計測する必要がないので、患者の負担を軽減できる。
また、基本的に超音波の送受波だけで評価値の演算を簡
便に行えるので、検査時間も大幅に短縮できる。特に、
胎児については、血圧の測定は極めて困難であるが、本
発明によれば、胎児についても評価値を容易に計測でき
るという利点がある。
【0017】ちなみに、上記の(dD/dt)は血管径の時間
変化である。また、dD/Dは血管壁の歪みに相当するか
ら、(1/D)(dD/dt)は血管壁の歪みの時間変化あるいは歪
み速度と定義できる。
【0018】血管壁をトラッキングするための超音波ビ
ームが血管の中心軸と直交しない場合には角度補正演算
を行ってもよく、また、超音波ビームの角度を電子的に
調整して、それを血管の中心軸に直交させるようにして
もよい。
【0019】また、血流の速度を計測するための超音波
ビーム(ドプラ計測ビーム)は、血管の中心軸に対して
傾斜して設定するのが望ましい。すなわち、そのドプラ
計測ビームが血流の流れの方向と完全に直交すると、ド
プラシフト成分の検出が行えないからである。また、血
管の中心軸に対してドプラ計測ビームが斜めに設定され
た場合、その交差角度に応じて、観測される血流の速度
を角度補正するのが望ましい。
【0020】望ましくは、前記第1微分演算手段は、前
記直径Dを表す信号の平滑化及び時間微分を同時に実行
する回路であり、また望ましくは、前記第2微分演算手
段は、前記速度Uを表す信号の平滑化及び時間微分を同
時に実行する回路である。
【0021】血管の直径及び血流の速度に対して単に通
常の微分演算を実行すると、一般には、高域成分が強調
され、このためノイズの影響を受けやすくなる。そこ
で、観測する周波数帯域以外の信号成分をフィルタによ
って除去するのが望ましい。そのための回路として、平
滑化及び時間微分を同時に実行する回路を利用するのが
望ましい。もちろん、必要に応じて、信号をBPFやL
PFなどの一般的なフィルタを通過させた後にその信号
を微分処理するようにしてもよい。
【0022】望ましくは、前記規格化のために利用され
る血管の直径は、周期的に変動する血管の直径の最大
値、最小値又は平均値である。上記構成では、血管の直
径変化dDは直径Dに比べて十分に小さいため、規格化す
る直径としてその最大値、最小値、平均値のいずれを利
用しても、演算結果はそれほど大きくは違わない。
【0023】望ましくは、前記直径計測手段は、前記受
信信号に基づいて、前記血管の前壁及び後壁の位置を検
出する手段と、前記前壁の位置と後壁の位置とから直径
Dを演算する手段と、を含む。前壁及び後壁の位置ある
いは両者の間隔は、エッジ検出技術やエコートラッキン
グ技術を利用して、リアルタイムに計測することが可能
である。
【0024】望ましくは、前記速度計測手段は、前記血
管内に設定されるサンプルボリュームにおける血流の平
均速度として、前記血流の速度Uを演算する。ここで、
サンプルボリュームは、血管内の中央部位に設定するの
が望ましい。例えば、1つ又は2つのトラッキングゲー
トを基準として、サンプルボリュームを自動設定するよ
うにしてもよい。
【0025】望ましくは、前記評価値WInの時間変化を
表した評価値グラフを作成する評価値グラフ作成手段を
含む。このように評価値の時間変化を波形として表示す
れば、そこに含まれる第1ピークや第2ピークを明瞭に
特定でき、また他の信号波形との対比観察なども可能と
なる。
【0026】望ましくは、前記受信信号に基づいて生体
の断層画像を形成する手段と、前記断層画像及び前記評
価値グラフを表示する表示器と、を含む。この構成によ
れば、断層画像上において、診断対象となった血管を観
察しながら、評価値に基づいて疾病診断を行える。
【0027】(2)また、上記目的を達成するために、
本発明は、血管を含む生体に対し、超音波を送受波する
送受波手段と、前記送受波手段から出力される受信信号
に基づいて、血管壁の歪みの時間変化に関する値を演算
する手段と、前記送受波手段から出力される受信信号に
基づいて、血管内を流れる血流の速度の時間変化に関す
る値を演算する手段と、前記血管壁の歪みの時間変化に
関する値と前記血流の速度の時間変化に関する値とに基
づいて血管の健全性を診断するための評価値を演算する
手段と、を含むことを特徴とする。
【0028】上記構成によれば、血管壁に関する計測値
と血流に関する計測値の2つを統合した、循環器(血
管、心臓など)の健全性を診断するための評価値を演算
できる。
【0029】(3)また、上記目的を達成するために、
本発明は、血管を含む生体に対し、超音波を送受波する
送受波手段と、前記受信信号に基づいて前記生体の断層
画像を形成する断層画像形成手段と、前記断層画像上に
おいて血管の前壁に対して第1トラッキングゲートを設
定し、また血管の後壁に対して第2トラッキングゲート
を設定するトラッキングゲート設定手段と、前記受信信
号に基づいて、前記第1トラッキングゲート内におい
て、運動する前壁の位置をトラッキングする第1トラッ
キング手段と、前記受信信号に基づいて、前記第2トラ
ッキングゲート内において、運動する後壁の位置をトラ
ッキングする第2トラッキング手段と、前記前壁の位置
及び前記後壁の位置に基づいて血管の直径Dを演算する
手段と、前記血管の直径Dの時間微分を演算し、値dD/dt
を求める手段と、前記値dD/dtを前記血管の直径Dで規格
化し、値(1/D)(dD/dt)を得る手段と、前記断層画像上に
おいて血管内にサンプルボリュームを設定するサンプル
ボリューム設定手段と、前記受信信号に基づいて、前記
サンプルボリューム内における血流の平均速度Uを演算
する手段と、前記平均速度Uの時間微分を演算し、値dU/
dtを求める手段と、前記値(1/D)(dD/dt)と前記値dU/dt
とを乗算し、評価値(1/D)(dD/dt)(dU/dt)を求める手段
と、を含むことを特徴とする。
【0030】望ましくは、前記血管の直径Dの時間変化
を表す直径グラフを作成する手段と、前記血流の平均速
度Uの時間変化を表す平均速度グラフを作成する手段
と、前記評価値(1/D)(dD/dt)(dU/dt)の時間変化を表す
評価値グラフを作成する手段と、前記直径グラフ、前記
平均速度グラフ及び前記評価値グラフを同時表示する表
示器と、を含む。望ましくは、前記表示器には、前記生
体信号の波形も併せて表示される。
【0031】
【発明の実施の形態】(1)原理説明 本発明において演算される指標(評価値)を第二Wave I
ntensity(WIn)と称することにする。このWInは次式で
定義される。
【0032】
【数3】WIn = [(1/D)(dD/dt)](dU/dt) ・・・(4) ここで、dD/dt,dU/dtは、血管直径Dと血流速度Uの時間
微分である。dD/Dは血管径の歪みとみなせるので、(4)
式右辺の第一項は歪みの時間変化、すなわち歪み速度と
定義することもできる。
【0033】以上のWInは、以下に検証するように、従
来のWIと同様の性質を有するもので、循環器の機能やそ
の疾病を診断する上で、有用な指標である。しかも、WI
nの演算に当たっては、血圧の測定が不要であるため、
患者への負担を軽減でき、また検査時間を大幅に短縮で
きるという利点が得られる。
【0034】以下に、第二Wave Intensityの性質につい
て検証する。
【0035】動脈血管壁の進展性や弾性を示す指標とし
て、次式で定義されるスティフネスパラメーターβがあ
る(沖野 遥,菅原基晃,松尾裕英編.心臓血管系の力
学と基礎計測.講談社サイエンティフィック,1980参
照)。
【0036】
【数4】ln(P/Pd) = β(D/Dd-1) ・・・(5) ここで、Pは血圧、Pdは拡張期血圧、Dは血管直径、Dd
拡張期血管直径を表わす。βが小さいほど、血管は進展
性に富むことを意味する。(5)式の両辺を時間微分する
と次式を得る。
【0037】
【数5】 ここで、血管直径変化は血管直径に比べて十分小さいの
で、(6)式においては、Dd≒Dの近似が成り立つ。そこ
で、(6)式を変形すると、次の規格化された血管径変化
と圧力変化との関係式を得る。
【0038】
【数6】 (1/D)(dD/dt) = [1/(βP)](dP/dt) ・・・(7) したがって、Wave Intensity(WI)と第二Wave Intensi
ty(WIn)との間には、次の関係が成り立つ。
【0039】
【数7】 ところで、断面積A、血圧Pの動脈血管を伝搬する脈波伝
搬速度cは、次式で表わされる。
【0040】
【数8】 c2 = (A/ρ)(dP/dA) ・・・(9) ここで、ρは血液密度である。血管断面を直径Dの円形
と仮定すると、断面積Aは、A =(π/4)D2となる。したが
って、dA/A = 2dD/Dの関係が成り立つ。この関係と(6)
式から、
【数9】 dP/P ≒β(dD/D) = (β/2)(dA/A) ・・・(10) が成り立つ。したがって、
【数10】 dP/dA = βP/(2A) = ρc2/A ・・・(11) となり、次の関係式を得る。
【0041】
【数11】 c2 = βP/(2ρ) ・・・(12) ρc =(ρβP/2)1/2 ・・・(13) 上記(2)式及び(3)式と、上記(8)式及び(13)式の関係を
用いると、第二Wave Intensityの第1ピーク(First pe
ak)と第2ピーク(Second peak)は、それぞれ次式で
表わされる。
【0042】
【数12】 First peak_WIn = [1/(βP)](First peak_WI) = [1/(βP) ][1/(ρc)](Max dP/dt)2 = [1/(2ρ2c3)](Max dP/dt)2 = [1/[(βP)3/2 (ρ/2)1/2]](Max dP/dt)2 ・・(14) Second peak_WIn =[1/(βP)] (Second peak_WI) =[1/(2c)] (Max dU/dt)2 =(ρ/2)1/2[1/(βP)1/2](Max dU/dt)2 ・・(15) 上記(14)式から、WInの第1ピークはc3に逆比例して小
さくなること、あるいは、(βP)3/2に逆比例して小さく
なることが分かる。一方、上記(15)式から、WInの第2
ピークはcに反比例して小さくなること、あるいは、(β
P)1/2に反比例して小さくなることが分かる。
【0043】以上から、WInはWIと同様の性質を有する
ものであるといえる。
【0044】(2)好適な実施形態の説明 図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形
態が示されており、図1は超音波診断装置の全体構成を
示すブロック図である。
【0045】プローブ10は、図1に示す例において、
生体12の表面上に当接されている。プローブ10は、
その内部にアレイ振動子22を有している。アレイ振動
子22は、複数の振動素子22aによって構成されてい
る。
【0046】生体12の内部には、体表面から一定の距
離をおいて血管14が存在しており、その血管14の内
部には血流20が流れている。血管14は血管壁15を
有し、その血管壁は、プローブ10からみて前壁16と
後壁18とに大別される。
【0047】上記のアレイ振動子22に対していわゆる
電子走査を適用すると、超音波ビームが所定方向に走査
され、これにより二次元の走査面が形成される。図1に
おいては、その走査面の一方端側の超音波ビームが符号
24によって表され、他方端側の超音波ビームが符号2
6によって表されている。図1に示す電子走査方式は電
子リニア走査であるが、電子セクタ走査などにも本発明
を適用できる。
【0048】後に説明するように、ユーザー設定によっ
て、血管14の中心軸と直交する方向に血管壁変位計測
用の超音波ビーム28が設定され、またその血管壁変位
計測用の超音波ビーム28に交差するドプラ計測用の超
音波ビーム30が設定される。ここで、血管壁変位計測
用の超音波ビーム28は、血管14の中心軸を含む垂直
断面内に位置決めされるのが望ましく、その超音波ビー
ム28上にはユーザー設定により2つのトラッキングゲ
ート34,36が設定される。具体的には、トラッキン
グゲート34は、前壁16のエッジを含む領域として設
定され、トラッキングゲート36は後壁18のエッジを
含む領域として設定される。後に説明するように、これ
らのトラッキングゲート34,36内において、血管壁
のエッジが自動的にトラッキングされ、これにより血管
壁の変位、さらには血管14の直径の変化が計測され
る。
【0049】また、変位計測用の超音波ビーム28上に
は、ユーザー設定によりあるいは自動設定により、サン
プルボリューム32が設定される。このサンプルボリュ
ーム32を自動設定する場合には、2つのトラッキング
ゲート34,36の中間点を基準とした一定の範囲とし
て当該サンプルボリューム32が設定されることにな
る。ドプラ計測用の超音波ビーム30は、このサンプル
ボリュームの中心を通過するように、超音波ビーム28
に対して斜め方向に設定される。つまり、血流の流れと
直交する方向から超音波を送受波してもドプラ情報を検
出することができないため、このようにドプラ計測用ビ
ーム30が超音波ビーム28から傾斜した角度に設定さ
れる。
【0050】ちなみに、最終的に得られる評価値WInを
より精度良く演算するために、超音波ビーム28が血管
14の中心軸と直交していない場合には、後に説明する
変位演算部48によって演算される直径Dに対して角度
補正を行うようにしてもよく、また血流の流れに対する
ドプラ計測用ビーム30の傾斜角度に従って、後に説明
する速度演算部50により演算される平均速度Uに対し
ても角度補正を行うのが望ましい。
【0051】このような補正演算によって、血管直径及
び血流平均速度を精度よく推定することが可能となる。
送信部38は、アレイ振動子22を構成する各振動素子
に対して送信信号を供給する回路であり、この送信部3
8において各送信信号に対して所定の遅延時間を付与す
ることによって送信ビームが形成される。また、この送
信部38の作用によってその送信ビームが電子走査され
る。
【0052】一方、受信部40は、アレイ振動子22を
構成する各振動素子から出力される受信信号に対してい
わゆる整相加算を実行する回路である。具体的には、各
受信信号に対して所定の遅延時間を付与し、その後に加
算を行うことにより電子的に受信ビームが形成される。
また、この受信部40の作用により受信ビームが電子走
査される。
【0053】なお、ユーザにより、変位計測用の送受信
方位及びドプラ計測用の送受信方位が設定されると、送
信部38及び受信部40は、それらの送受信方位にそれ
ぞれ血管壁変位計測用の超音波ビーム28及びドプラ計
測用の超音波ビーム30が形成されるように送受信制御
を行っている。その場合においては、血管壁変位計測用
の超音波ビーム28とドプラ計測用の超音波ビーム30
とを交互に設定してもよく、あるいは、超音波ビームの
電子スキャンを行いながら、それらのビーム28,30
を所定周期で設定するようにしてもよい。
【0054】ちなみに、プローブ10は例えば人体の頸
部に当接され、血管14は、例えば頸動脈である。また
送受波される超音波の中心周波数は例えば7.5MHz
である。
【0055】制御部42は、超音波診断装置の全体動作
を制御しており、その制御部42には操作パネル44が
接続されている。その操作パネル44はスイッチやキー
ボード,トラックボールなどで構成されるものであり、
ユーザーはこの操作パネル44を利用して各種の設定や
入力を行うことができる。制御部42はそのような設定
等に基づいて送信部38、受信部40、その他の装置内
における各回路の動作制御を行っている。
【0056】ちなみに、図1には図示されていないが、
心電計が設けられており、その心電信号が例えば表示処
理部52などに入力されている。
【0057】超音波画像形成部46は、受信部40から
出力される整相加算後の受信信号に基づいて、生体内の
断層画像(Bモード画像)や、Mモード画像あるいはそ
の他の超音波画像を形成する回路である。このように形
成された超音波画像の画像データは表示処理部52に出
力されている。
【0058】変位演算部48は、図1に示す変位計測用
の超音波ビーム28上において得られた受信信号(エコ
ーデータ)に基づいて、血管14の直径Dを演算する回
路である。具体的には、トラッキングゲート34内にお
いて前壁16のエッジをトラッキングしつつその位置を
逐次検出し、これと同様に、後壁18のエッジについて
もトラッキングゲート36内においてそれをトラッキン
グしてその位置を逐次検出し、それらの2つの壁16,
18の間の距離を演算することによって各時刻における
血管14の直径Dを演算している。
【0059】ちなみに、血管の変位をトラッキングする
場合においては、受信信号の位相に基づいてそのトラッ
キングを行ってもよいし、受信信号の振幅を利用してト
ラッキングを行うようにしてもよい。トラッキングに対
しては各種の公知の手法を利用することができる。
【0060】速度演算部50は、例えば、直交検波器や
自己相関器などによって構成され、ドプラ計測用の超音
波ビーム30上において得られた受信信号(エコーデー
タ)に基づいて、具体的には、サンプルボリューム32
内において得られたエコーデータに基づいて、血流の平
均速度Uを演算する回路である。つまり、サンプルボリ
ューム32は一定の幅を有しており、その一定の幅内に
はいろいろな血流の速度成分が存在しているが、速度演
算部50はそれらの速度成分の平均値として平均速度U
を演算している。
【0061】評価値演算部54は、後に図2を用いて説
明するように、血管の直径Dと血流の平均速度Uとに基づ
いて、上記の(4)式を実行し、それによって第二ウエ
ーブインテンシティとしての評価値WInを演算する回路
である。その演算結果は表示処理部52に入力されてい
る。
【0062】表示処理部52は、スキャンコンバータ及
び画像処理部として機能するものであり、図示されるよ
うに、超音波画像の画像データ、血管の直径Dのデー
タ、血流の平均速度Uのデータが入力されている。この
表示処理部52は、後に図5を用いて説明するように、
各信号の波形をグラフとして作成する機能を有してい
る。表示部56は、後に示す図5に示すような表示画面
が表示される。
【0063】図2には、図1に示した評価値演算部54
の具体的な構成例が示されている。上記のように、この
評価値演算部54は上記の(4)式を実行するものであ
る。具体的には、血管の直径Dのデータは平滑化微分器
58及び演算器60に入力されている。平滑化微分器5
8は、入力される信号を平滑化すると共に、微分演算す
るものであり、具体的には血管の直径Dを時間微分し、
その微分結果である値dD/dtを出力している。また、演
算器60は、入力される血管の直径Dに対して所定の処
理を行った後にその逆数を演算し、その演算結果である
1/Dを出力している。乗算器64は、入力される値dD/dt
と値1/Dとを乗算し、値(1/D)(dD/dt)を出力する。
【0064】一方、平滑化微分器62は、上記の平滑化
微分器58と同様の作用を有しており、具体的には、入
力される平均速度Uのデータに対して時間的な微分演算
を実行し、値dU/dtを出力している。乗算器66は、入
力される値(1/D)(dD/dt)と値dU/dtとを乗算し、その乗
算結果である評価値WInを出力する。
【0065】図3には、図2に示した演算器60の具体
的な構成例が示されている。図3において、メモリ86
内には一定期間にわたって血管の直径Dのデータが格納
され、そのメモリ86から読み出されたデータが平均値
演算器88、最大値検出器90及び最小値検出器92に
入力されている。平均値演算器88は一定期間にわたる
直径Dについて平均値を求め、その平均値を出力する回
路である。最大値検出器90は一定期間における直径D
の最大値を求め、それを出力する回路である。最小値検
出器92は、一定期間にわたる直径Dの最小値を求め、
それを出力する回路である。選択器94は、入力される
平均値、最大値及び最小値のうちいずれかを選択する回
路であり、具体的にはユーザによっていずれの値を選択
するかを指定できる。選択器94から出力された値は、
逆数演算器96に入力され、乗算器64において規格化
を行うために直径Dの逆数としての1/Dが求められてい
る。
【0066】次に、図4を用いて図2に示した平滑化微
分器58,62について説明する。
【0067】微分演算は高周波成分を増強させるため、
ノイズの影響を受けやすい。したがって、入力信号の有
効な周波数帯域以外の信号はフィルターによって除去す
る必要がある。
【0068】平滑化微分法は、入力信号の波形が各サン
プル点の近傍において多項式曲線で表わされると仮定
し、この近傍内で、最小二乗誤差規範に基づいて、入力
信号の波形を多項式曲線でフィッティングさせる方法で
あり、平滑化処理と同時に微分演算を行えるものであ
る。
【0069】ここでは説明を簡単にするため、2次多項
式でこの演算法を説明する。
【0070】点kを中心とした(2m+1)点の信号波形が、
次のような2次式で表わされると仮定する。
【0071】
【数13】 z[j]=a+b(j-k)+c(j-k)2 ・・・(20) 但し、j=k-m,k-m+1,…,k+1,k+m ここでは、y[-2],y[-1],y[0],y[1],y[2]の5点(m=
2)のデータが等間隔で与えられているものとする。最
小二乗誤差規範とは、観測値y[j]と2次式z[j]との差の
2乗和Erが最小となるように、係数a,b,cを決定する
ことを意味する。
【0072】
【数14】 Er=Σj [z[j]-y[j]]2 =[y[-2]-(a-2b+4c)]2+[y[-1]-(a-b+c)]2 +[y[0]-a]2+[y[1]-(a+b+c)]2+[y[2]-(a+2b+4c)]2 ・・・(21) 上記式において、∂Er/∂a=∂Er/∂b=∂Er/∂c=0とおく
と、係数a,b,cが次式のように求められる。
【0073】
【数15】 a =(-3y[-2]+12y[-1]+17y[0]+12y[1]-3y[2])/35 ・・・(22) b =(-2y[-2]-y[-1]+y[1]+2y[2])/10 ・・・(23) c =(2y[-2]-y[-1]-2[0]- y[1]+2y[2])/14 ・・・(24) 中心点kの平滑値は次式で与えられる。
【0074】
【数16】 z[k] = a ・・・(25) 一方、微分値は、
【数17】 z'[j] = b + 2c(j-k) ・・・(26) であり、中心点kの微分値はj = kとおいて、以下のよ
うに求められる。
【0075】
【数18】 z'[k] = b ・・・(27) 点kにおける微分値を具体的に表わすと、
【数19】 但し、j=-2,-1,0,1,2 となる。ここでw[-2] = -2,w[-1] = -1,w[0] = 0,w
[1]= 1,w[2] = 2,W=10であり、h[j]=w[j]/Wである。
【0076】図4は、上記の平滑化微分法をハードウエ
アを利用して実現する平滑化微分器58,62の構成例
である。この平滑化微分器58,62は、直列接続され
た複数の遅延器68〜74と、各遅延器の出力に対して
係数を乗算する複数の乗算器76〜84と、各乗算器の
出力を加算する加算器87と、で構成される。ここで、
各遅延器68〜74は、それぞれ1サンプル分のデータ
を記憶するメモリ素子で構成される。図4の平滑化微分
器の構成は一例であって、また平滑化微分に用いる多項
式は2次式に限定されるものではなく、またデータの点
数も5点に限られるものではない。
【0077】図5には、図1に示した表示部56に表示
される画面表示例が示されている。図5に示す例におい
ては、左上上段にBモード画像100が表示され、右上
上段に超音波ビーム28についてのMモード画像102
が表示されている。ここで、Bモード画像100は超音
波ビームを電子スキャンすることによって作成され、生
体内の二次元断層像に相当している。Mモード画像10
2はその縦軸が超音波ビーム28に対応しており、すな
わち深さに対応している。そして、その横軸が時間軸に
相当しており、すなわち超音波ビーム28上における各
組織の時間的な変化が表されている。
【0078】本実施形態においては、図1に示した操作
パネル44を利用して、ユーザーにより、まず血管14
と直交する方向に血管壁変位計測用の超音波ビーム28
の方位が設定される。次に、その超音波ビーム28上に
おいて2つのトラッキングゲート34,36がユーザに
より設定される。すると、2つのトラッキングゲート3
4,36の中間点を基準としてサンプルボリューム32
が自動的に設定され、更にそのサンプルボリューム32
の中心を通過するように超音波ビーム28に対して斜め
方向にドプラ計測用の超音波ビーム30が設定される。
このような設定が完了すると、トラッキングゲート3
4,36内における血管壁の変位がリアルタイムに観測
され、一方において、サンプルボリューム32内におけ
る血流速度の平均値がリアルタイムで計測される。
【0079】図5における表示画面の下段には、本実施
形態において、前壁16の変位を表す前壁変位グラフ1
04と、後壁の変位を表す後壁変位グラフ106と、血
管の直径の時間的な変化を表す直径変化グラフ108
と、血流の平均速度の時間的な変化を表す平均速度グラ
フ110と、上述した評価値演算部54によって演算さ
れる評価値WInの時間的な変化を表す評価値グラフ11
2と、生体信号としての心電波形114と、が表示され
ている。それぞれの波形あるいはグラフの時間軸は互い
に一致している。したがって、複数のグラフを同時表示
することによって、例えば評価値WInがどのような情報
を基礎として算定されたのかを一目瞭然に把握すること
ができ、また生体信号との対応関係において、評価値の
意味を理解することが可能となる。図において符号11
2AはWInの第1ピークを示しており、符号112Bは
第2ピークを示している。
【0080】上記の第二Wave Intensity(WIn)は、血圧
測定を必要とせずに計測することが可能な指標であっ
て、Wave Intensity(WI)と非常に近い性質をもつ新し
い心機能評価用指標である。WInの検査時間は、従来のW
Iの検査時間に比較して、大幅に短縮されるため、患者
への負担が軽減される。また、胎児を計測する場合な
ど、直接的に血圧が測定できない場合においても、WIに
非常に近い性質をもつ心機能評価用指標が得られる。ま
た、上記実施形態では、平滑化微分法によって信号中の
ノイズを低減させて時間微分を実行できるため、精度良
くWInを演算できる。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
血圧の測定を行うことなく、従来のウエーブインテンシ
ティと等価な性質を有する新しい指標(評価値)を演算
できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形
態を示すブロック図である。
【図2】 図1に示す評価値演算部の具体的な構成例を
示すブロック図である。
【図3】 図2に示す演算器の具体的な構成例を示すブ
ロック図である。
【図4】 図2に示す平均化微分器の具体的な構成例を
示すブロック図である。
【図5】 表示部に表示される表示例を示す図である。
【符号の説明】
10 プローブ、12 生体、14 血管、16 前
壁、18 後壁、20血流、22 アレイ振動子、28
変位計測用超音波ビーム、30 ドプラ計測用超音波
ビーム、32 サンプルボリューム、34,36 トラ
ッキングゲート、38 送信部、40 受信部、42
制御部、44 操作パネル、46 超音波画像形成部、
48 変位演算部、50 速度演算部、52 表示処理
部、54評価値演算部、56 表示部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅原 基晃 東京都大田区東嶺町10−14 (56)参考文献 特開2001−218768(JP,A) 特開2001−299752(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 8/00 - 8/15 A61B 5/02 - 5/03

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血管を含む生体に対し、超音波を送受波
    する送受波手段と、 前記送受波手段から出力される受信信号に基づいて、前
    記血管の直径Dを計測する直径計測手段と、 前記血管の直径の時間微分dD/dtを演算する第1微分演
    算手段と、 前記血管の直径の時間微分dD/dtを前記血管の直径Dで規
    格化し、値(1/D)(dD/dt)を得る規格化手段と、 前記受信信号に基づいて前記血管内の血流の速度Uを計
    測する速度計測手段と、 前記血流の速度の時間微分dU/dtを演算する第2微分演
    算手段と、 前記値(1/D)(dD/dt)と前記血流の速度の時間微分dU/dt
    とを乗算して評価値WInを演算する評価値演算手段と、 を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の装置において、 前記第1微分演算手段は、前記直径Dを表す信号の平滑
    化及び時間微分を同時に実行する回路であることを特徴
    とする超音波診断装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の装置において、 前記第2微分演算手段は、前記速度Uを表す信号の平滑
    化及び時間微分を同時に実行する回路であることを特徴
    とする超音波診断装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の装置において、 前記規格化のために利用される血管の直径は、周期的に
    変動する血管の直径の最大値、最小値又は平均値である
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の装置において、 前記直径計測手段は、 前記受信信号に基づいて、前記血管の前壁及び後壁の位
    置を検出する手段と、 前記前壁の位置と後壁の位置とから直径Dを演算する手
    段と、 を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の装置において、 前記速度計測手段は、前記血管内に設定されるサンプル
    ボリュームにおける血流の平均速度として、前記血流の
    速度Uを演算することを特徴とする超音波診断装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の装置において、 前記評価値WInの時間変化を表した評価値グラフを作成
    する評価値グラフ作成手段を含むことを特徴とする超音
    波診断装置。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の装置において、 前記受信信号に基づいて生体の断層画像を形成する手段
    と、 前記断層画像及び前記評価値グラフを表示する表示器
    と、 を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  9. 【請求項9】 血管を含む生体に対し、超音波を送受波
    する送受波手段と、 前記送受波手段から出力される受信信号に基づいて、血
    管壁の歪みの時間変化に関する値を演算する手段と、 前記送受波手段から出力される受信信号に基づいて、血
    管内を流れる血流の速度の時間変化に関する値を演算す
    る手段と、 前記血管壁の歪みの時間変化に関する値と前記血流の速
    度の時間変化に関する値とに基づいて循環器の健全性を
    診断するための評価値を演算する手段と、 を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  10. 【請求項10】 血管を含む生体に対し、超音波を送受
    波する送受波手段と、 前記受信信号に基づいて前記生体の断層画像を形成する
    断層画像形成手段と、 前記断層画像上において血管の前壁に対して第1トラッ
    キングゲートを設定し、また、血管の後壁に対して第2
    トラッキングゲートを設定するトラッキングゲート設定
    手段と、 前記受信信号に基づいて、前記第1トラッキングゲート
    内において、運動する前壁の位置をトラッキングする第
    1トラッキング手段と、 前記受信信号に基づいて、前記第2トラッキングゲート
    内において、運動する後壁の位置をトラッキングする第
    2トラッキング手段と、 前記前壁の位置及び前記後壁の位置に基づいて血管の直
    径Dを演算する手段と、 前記血管の直径Dの時間微分を演算し、値dD/dtを求める
    手段と、 前記値dD/dtを前記血管の直径Dで規格化し、値(1/D)(dD
    /dt)を得る手段と、 前記断層画像上において血管内にサンプルボリュームを
    設定するサンプルボリューム設定手段と、 前記受信信号に基づいて、前記サンプルボリューム内に
    おける血流の平均速度Uを演算する手段と、 前記平均速度Uの時間微分を演算し、値dU/dtを求める手
    段と、 前記値(1/D)(dD/dt)と前記値dU/dtとを乗算し、評価値
    (1/D)(dD/dt)(dU/dt)を求める手段と、 を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の装置において、 前記血管の直径Dの時間変化を表す直径グラフを作成す
    る手段と、 前記血流の平均速度Uの時間変化を表す平均速度グラフ
    を作成する手段と、 前記評価値(1/D)(dD/dt)(dU/dt)の時間変化を表す評価
    値グラフを作成する手段と、 前記直径グラフ、前記平均速度グラフ及び前記評価値グ
    ラフを同時表示する表示器と、 を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の装置において、 前記表示器には、前記生体信号の波形も併せて表示され
    ることを特徴とする超音波診断装置。
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