JP3349134B2 - 化粧料 - Google Patents

化粧料

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は化粧料に係り、その
目的は、皮膚や頭髪に対して好ましくない刺激を与え
ず、しかも皮膚や頭髪における保湿性を高めることがで
きる化粧料を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】従来より、様々な種類の化粧料が数多く
創出されており、その目的も、石鹸やシャンプー等のよ
うに皮膚や頭髪の洗浄を目的としたもの、化粧水や乳液
のように皮膚の保護,保湿を目的としたもの、或いは、
口紅やマニキュアのようにメーキャップを目的としたも
のなど様々である。このような化粧料には、その目的に
応じて、例えば、洗浄剤、紫外線吸収剤、保湿剤、美白
剤、育毛剤などの各種有効成分が配合されている。
【0003】この中でも保湿剤は多くの化粧料中に配合
されている有効成分の一つであり、一般的には、グリセ
リン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコ
ールなどの多価アルコールや、尿素、乳酸塩、ピロリド
ンカルボン酸、ポリペプチド、ヒアルロン酸などが用い
られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たような従来の保湿剤は以下に示すような問題点が存在
した。まず、一般的に保湿剤は高い吸湿性を備えている
ために、皮膚において保湿剤としての役割を果たすこと
ができるわけであるが、例えば、グリセリンのような保
湿剤を低湿度の季節に用いた場合は、皮膚中の水分を吸
収するために、逆に皮膚の乾燥を進行させることがある
という問題点が存在した。更には、いずれの保湿剤も皮
膚に対する高い安全性を有するものではなく、特に、敏
感肌の人にとっては、かえって肌あれを進行させる場合
もあった。
【0005】一方、身体の外部表面を覆って人体内部の
諸器官を保護している皮膚は、表皮と真皮から形成され
ている。さらに表皮は角質層、透明層、顆粒層、有棘
層、基底層からなり、皮膚の最外層に位置する角質層
は、外部からの物理的、化学的な影響から身体を守る重
要な役割を果たしている。また、角質層中には、天然保
湿因子(NMF)が存在しており、皮膚の乾燥を防止し
て、柔軟で弾力のある健康的な肌に維持する役割を果た
している。
【0006】皮膚の保湿にとって重要な役割を果たして
いる天然保湿因子(NMF)を構成する成分には、遊離
アミノ酸、ピロリドンカルボン酸、尿素、糖類、有機酸
などの有機化合物の他、ナトリウム、カルシウム、カリ
ウム、マグネシウム、リン酸塩などの無機化合物も含ま
れることが知られている。非常に優れた保湿剤であるピ
ロリドンカルボン酸は、遊離した状態ではほとんど保湿
性を示さないが、ナトリウム塩の形になると優れた保湿
性を発揮することからも分かるように、自然保湿因子
(NMF)に含まれる無機化合物も直接的、或いは間接
的に皮膚における保湿に重要な役割を果していると考え
られる。
【0007】そこで、本発明者らは無機化合物と保湿に
関する鋭意研究を続けた結果、木炭から溶出したミネラ
ル成分を含有したミネラル水が、無機化合物を大量にし
かもバランスよく含むために、皮膚や頭髪における保湿
性を高めることができるとともに、皮膚や頭髪に対する
優れた安全性をも有することを見いだし本発明の完成に
至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、請求項1に係る発
明は、炭から溶出したミネラル成分を含有するミネラル
水が配合されてなる化粧料であって、前記ミネラル水
が、木炭の洗浄液及び/又は木炭の煮沸液であり、少な
くともMgを1としたときにCaが1.5〜3.5でK
が8.0〜12.0のCa,K,Mgを重量基準で含有
することを特徴とする化粧料(但し、洗浄剤は除く)に
関する。請求項2に係る発明は、炭から溶出したミネラ
ル成分を含有するミネラル水が配合されてなる化粧料で
あって、前記ミネラル水が、竹炭の洗浄液及び/又は竹
炭の煮沸液であり、少なくともMgを1としたときにC
aが1.5〜3.5でKが8.0〜12.0のCa,
K,Mgを重量基準で含有することを特徴とする化粧料
(但し、洗浄剤は除く)に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に係る化粧料には、炭から
溶出したミネラル成分を含むミネラル水(以下、単にミ
ネラル水と称す)が配合されている。これは、このよう
なミネラル水には、炭由来の多くの種類のミネラル成分
が大量にバランスよく溶出しているために、皮膚や頭髪
における保湿性を高めることができるからである。
【0010】本発明において用いられるミネラル水を得
る際に用いられる炭の種類は特に限定されず、あらゆる
種類の炭を用いることができる。例えば、原木を750
〜1000℃で焼き、350〜520℃で炭化させるこ
とにより得られる白炭、原木を400〜750℃で焼
き、250〜450℃で炭化させることにより得られる
黒炭のいずれも好ましく用いることができ、例えば、白
炭としては、ウバメガシ(Quercus phillyraeoides)を
原木とし、1000℃前後で焼かれた備長炭など、ブナ
科(Fagaceae)ナラ属(Quercus)に属するカシ類やナラ
類を原木とした炭や、イネ科(Gramineae)に属する竹を
用いた炭、スギ(Cryptomeria japonica)、ヒノキ(Ch
amaecyparis obtusa)、アカマツ(Pinus densiflor
a)、クロマツ(Pinus thunbergii)などの針葉樹を原
木とした炭を挙げることができる。また黒炭としては、
クヌギ(Quercus acutissima)、コナラ(Quercus serr
ta Thunb)などを原木とした炭を挙げることができる。
更には、イネ科(Gramineae )に属する竹類を用いた炭
も好適に用いることができる。
【0011】前記したような炭に含まれる水溶性ミネラ
ル成分を水に溶出させることにより、ミネラル水とする
ことができる。溶出させる方法は、特に限定はされず、
例えば、容器などに炭と水を入れ、容器内でたわし等を
使って炭の表面を洗うことにより溶出させる方法や、容
器などに炭と水を入れて煮沸することにより溶出させる
方法等を例示することができる。容器などに炭と水を入
れ、容器内でたわし等を使って炭の表面を洗って、炭に
含まれるミネラル成分を溶出させることにより得られる
ミネラル水(以下、洗浄液と称す)には、微粉炭が多く
混ざっているため、フィルター等で濾過したものを用い
ることが好ましい。このように調製した洗浄水には、重
量基準でMgを1としたときに、Caを1.5〜3.
5、Kを8.0〜12.0含有している。
【0012】また、容器などに炭と水を入れて煮沸し
て、炭に含まれるミネラル成分を溶出させることにより
得られるミネラル水(以下、煮沸液と称す)を製造する
場合には、煮沸液に微粉炭が混じらないように、洗浄し
た炭を使用することもでき、また、煮沸した後に、微粉
炭をフィルター等で濾過してもよい。炭の煮沸に使用す
る水の量は特に限定されないが、炭100gに対して水
0.5〜1リットル程度とすればよい。また、煮沸時間
も特に限定されず、最終的に得られる煮沸液の量が最初
に加えた水の量の1/3〜1/5程度に濃縮されるま
で、煮沸すればよい。尚、炭から溶出したカルシウム
が、煮沸の際に、空気中の二酸化炭素と反応して一部炭
酸カルシウムとなり、結晶化して沈殿するが、本発明に
おいては、沈殿した炭酸カルシウムの結晶を除いた上澄
みのみを用いてもよく、また、煮沸液とともにこの炭酸
カルシウムの結晶を用いてもよい。
【0013】上記方法により得られた洗浄液又は煮沸液
のどちらか一方をミネラル水として用いてもよく、ま
た、洗浄液と煮沸液を混合して用いてもよい。尚、炭か
ら溶出するミネラル成分を含有させる水は、特に限定さ
れず、水道水や蒸留水等を用いることができる。
【0014】上記したような方法により調製した炭の洗
浄液及び煮沸液には、Ca,K,Mgが少なくとも含有
されている。これらのミネラルは、いずれも皮膚や頭髪
の保湿にとって重要なミネラル成分である。即ち、C
a,K,Mgはいずれも、角質層に存在するNMF(自
然保湿因子)を構成するミネラル成分であるために、角
質層内で保湿能を発揮することが可能となる。特に、頭
髪における保湿性はMgの存在下で高く保持されること
が分かっている。
【0015】また、ミネラル水のpHは8.0〜10.
0で、身体に対する刺激性の少ない弱アルカリ性であ
り、しかも有害物質は含まれていないために、安全性の
高いミネラル水とすることができる。
【0016】以上説明したミネラル水に、通常の化粧料
において用いられる各種成分を適宜任意に配合して、任
意の剤型に調製することにより、本発明に係る化粧料と
することができる。配合できる成分は、特に限定され
ず、水溶性高分子、酸化防止剤、pH調整剤、紫外線防
止剤、金属イオン封鎖剤、増粘剤、香料、防腐剤、抗菌
剤、油剤、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、保湿剤、清涼
剤、色素等の通常の化粧品成分、或いは動植物抽出成分
等の特殊配合成分等を例示することができる。即ち、化
粧料中に溶剤として配合されている水(精製水)の一部
又は全てを、以上説明したミネラル水とすることによ
り、本発明に係る化粧料を調製することができる。
【0017】本発明に係る化粧料は、頭髪化粧品、基礎
化粧品、メークアップ化粧品、芳香化粧品、日焼け・日
焼け止め化粧品、爪化粧品、アイライナー化粧品、口唇
化粧品、口腔化粧品など、あらゆる化粧料とすることが
できる。
【0018】
〔試料の調製;実施例及び比較例〕
洗浄した220gの備長炭に3リットルの水を加え、た
わしを使って、備長炭の表面を洗浄した。洗浄後、炭を
取り出し、残った水を濾過して得られた洗浄液を用い
て、表1の組成に従い、実施例の試料を調製した。ま
た、比較例の調製は、洗浄液に代えて精製水を用いた以
外は、実施例の場合と同様にして行った。
【表1】
【0019】〔試験例1;洗浄液の定性分析〕 上記した実施例及び比較例の試料の調製に用いた洗浄液
の定性分析を行った。尚、硫酸イオン濃度は、イオンク
ロマトグラフ法により、ケイ酸濃度は、モリブデンブル
ー吸光光度法により、カリウム、カルシウム及びマグネ
シウム濃度は、原子吸光光度法により測定した。また、
色度は比色法により、濁度は比濁法により、それぞれ測
定した。
【0020】定性分析の結果を表2に示す。
【表2】
【0021】表2に示す結果の通り、本発明において用
いられるミネラル水には、多くの種類の水溶性ミネラル
成分が大量に含まれていることが分かる。これらのミネ
ラル成分のうち、特にCa,K,Mgは、NMF(自然
保湿因子)の構成成分であるために、角質層における保
湿性を高めることができる。しかも頭髪における保湿性
を高めることができるMgが含まれているために、頭髪
においても保湿性を発揮することができる。さらに、水
銀、砒素、六価クロム、有機リン、フェノール類等の有
害物質は検出されなかった。さらに、pHは8.0〜1
0.0の範囲内であり、人体に対して安全性の高いこと
が分かる。
【0022】〔試験例2;皮膚状態の改善効果試験〕 上記調製した実施例及び比較例の各試料を用いて、以下
の試験を行った。まず、上記調製した実施例又は比較例
の化粧水をそれぞれ女性5名に毎日就寝前に4週間の期
間洗顔後に塗布してもらった。試験期間前後において、
表3の基準に従って、各自の皮膚の状態を評価してもら
った。
【表3】
【0023】試験期間前後において、2段階以上評価の
上昇した場合を有効とし、1段階上昇した場合をやや有
効とし、その他を無効とした。結果を表4に示す。
【表4】
【0024】表4の結果の通り、本発明に係る化粧料
は、多くのミネラル成分が含まれているために、角質層
において保湿性を発揮することができ、このために、皮
膚の状態を改善することができる。
【0025】以下、本発明に係る化粧料の配合例を示
す。
【0026】(配合例1;化粧水)
【表5】
【0027】(配合例2;ハンドクリーム)
【表6】
【0028】(配合例3;乳液)
【表7】
【0029】(配合例4;ヘアートリートメント)
【表8】
【0030】(配合例5;ヘアクリーム)
【表9】
【0031】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明に係る化粧料
は、炭から溶出したミネラル成分を含むミネラル水が配
合されているから、人体に対する安全性が高く、しかも
角質層における保湿性を良好に保つことが可能である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−24936(JP,A) 特開 平11−12154(JP,A) 特開 平8−231369(JP,A) 特開 平8−113524(JP,A) 特許3245570(JP,B2) 登録実用新案3041583(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/00 - 7/50 CA(STN) WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭から溶出したミネラル成分を含有する
    ミネラル水が配合されてなる化粧料であって、前記ミネ
    ラル水が、木炭の洗浄液及び/又は木炭の煮沸液で
    り、少なくともMgを1としたときにCaが1.5〜
    3.5でKが8.0〜12.0のCa,K,Mgを重量
    基準で含有することを特徴とする化粧料(但し、洗浄剤
    は除く)。
  2. 【請求項2】 炭から溶出したミネラル成分を含有する
    ミネラル水が配合されてなる化粧料であって、前記ミネ
    ラル水が、竹炭の洗浄液及び/又は竹炭の煮沸液で
    り、少なくともMgを1としたときにCaが1.5〜
    3.5でKが8.0〜12.0のCa,K,Mgを重量
    基準で含有することを特徴とする化粧料(但し、洗浄剤
    は除く)。
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