JP3347799B2 - プレート式熱交換器用の伝熱プレート - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、接着剤を使用すること
なく伝熱プレートに装着されるプレート式熱交換器用ガ
スケットに関し、詳しくは、伝熱プレートの伝熱面をシ
ールする伝熱面ガスケット部の２重シール部を構成する
通路孔側シール部を確実に固定することができるプレー
ト式熱交換器用ガスケットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、プレート式熱交換器は、図５に
示すように、伝熱面（１）の四隅に流体通路孔（２）を
設けた伝熱プレート（３）を、その周縁部の全周に亘っ
て設けたガスケット溝（４）に嵌装したガスケット
（５）を介して交互に上下に反転させて所要枚数積層
し、その隣接する伝熱プレート（３）間に異種の熱媒体
が流れる第１流路と第２流路とを交互に配置したもので
ある。

【０００３】ところで、従来、接着剤を使用しないで伝
熱プレート（３）にガスケット（５）を固定するプレー
ト式熱交換器としては、特表昭60-501568号公報、特開
昭64-28495号公報及び特公昭63-56477号公報に記載のも
のがあり、これを図６乃至図12に示す。

【０００４】第１の従来例は、図６及び図７に示すよう
に、伝熱プレート（３）のガスケット溝（４）の外周縁
を波形状に形成して、凹部（11）と固定壁部（12）とを
交互に設けると共に、ガスケット溝（４）に嵌装される
ガスケット本体（13）の外周側面に、両側に伝熱プレー
ト（３）の固定壁部（12）の下方に潜入係止する係止片
（14）（14）を櫛状に設けた突出片（15）を一体に突設
したもので、伝熱プレート（３）のガスケット溝（４）
にガスケット本体（13）を嵌装し、かつ、その突出片
（15）を伝熱プレート（３）の凹部（11）に嵌め込むと
同時に、係止片（14）（14）を外周縁の固定壁部（12）
の下方に潜入係止させて、伝熱プレート（３）にガスケ
ット（５）を固定するようにしたものである。

【０００５】また、第２の従来例は、図８に示すよう
に、ガスケット本体（13）の外周側面に突出片（21）を
適宜の間隔で形成し、かつ、この突出片（21）を伝熱プ
レート（３）の外周端縁部（3a）の表面に重ね合せると
共に、断面コ字形状のクリップ（22）により、重ね合せ
た外周端縁部（3a）と突出片（21）とを挾持固定するよ
うにしたものである。

【０００６】第３の従来例は、図９に示すように、上記
第２の従来例の突出片（21）及び伝熱プレート（３）の
外周端縁部（3a）に貫通孔（26）（27）を対応させて形
成し、この貫通孔（26）（27）に固定ピン（28）を貫通
して伝熱プレート（３）にガスケット（５）を固定する
ようにしたものである。

【０００７】第４の従来例は、図10乃至図12に示すよう
に、ガスケット本体（13）の外周側面に、下面に突起
（31）を突設した突出片（32）を適宜の間隔に設けると
共に、伝熱プレート（３）の外周端縁部（3a）に上記突
出片（32）の突起（31）に対応させて貫通孔（33）を形
成し、この貫通孔（33）に突出片（32）の突起（31）を
貫通係止させることにより伝熱プレート（３）にガスケ
ット（５）を固定するようにしたものである。

【０００８】上記ガスケット本体（13）は、図５に示す
ように、伝熱面（１）をシールする伝熱面ガスケット部
（16）と伝熱プレート（３）の一側縁両端隅部の所定の
流体通路孔（２）をシールする通路孔ガスケット部（1
7）とで構成されており、所定の流体通路孔（２）と伝
熱面（１）とを伝熱面ガスケット部（16）の通路孔側シ
ール部（18）と通路孔ガスケット部（17）の伝熱面側シ
ール部（19）とでシールして２重シール部（20）を形成
したものである。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】伝熱プレート（３）が
大型になると、２重シール部（20）を構成する伝熱面ガ
スケット部（16）の通路孔側シール部（18）を固定する
ことが必要であるが、第１及び第２の従来例は、ガスケ
ット（５）の突出片（15）（21）を、突出片（15）に一
体に設けた係止片（14）（14）もしくはクリップ（22）
で伝熱プレート（３）の外周端縁部（3a）に係止固定す
る構造であるため、プレート外周端縁部（3a）が存在し
ない２重シール部（20）の固定には、第１及び第２の従
来例は適用できなかった。

【００１０】また、第３及び第４従来例は、伝熱面ガス
ケット部（16）の通路孔側シール部（18）を固定するた
めには、２重シール部（20）に貫通孔（27）（33）を形
成しなければならないが、貫通孔（27）（33）を設ける
と、交互に配置された第１流路と第２流路を流れる２種
の熱媒体が混合し、２重シール部（20）には適用できな
かった。

【００１１】本発明は、上記問題点に鑑み提案されたも
ので、２重シール部を構成する伝熱面ガスケット部の通
路孔側シール部を簡単、かつ、確実に固定することがで
きるプレート式熱交換器用ガスケットを提供することを
目的としている。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係るプレート式熱交換器用の伝熱プレート
は、中央に伝熱面を有し、前記伝熱面の四隅に流体通路
孔が設けられた略矩形の伝熱プレートであって、前記伝
熱プレートの伝熱面と、前記流体通路孔のうち伝熱面と
連通される一側縁両端隅部の２つの流体通路孔とを一体
に囲むように形成した第１ガスケット溝に、ガスケット
を嵌装した伝熱面ガスケット部と、残りの流体通路孔を
それぞれ囲むように形成した第２ガスケット溝に、ガス
ケットを嵌装した通路孔ガスケット部とを有するプレー
ト式熱交換器用の伝熱プレートにおいて、 前記伝熱面ガ
スケット部と通路孔ガスケット部とが互いに対向する部
分に、前記第１ガスケット溝と第２ガスケット溝を連通
させる第３ガスケット溝が形成されており、前記通路孔
ガスケット部のガスケットが、適宜の方法によって前記
伝熱プレートに固定されているとともに、前記第３ガス
ケット溝に突設された固定片を備えており、かつ、前記
伝熱面ガスケット部のガスケットが前記第３ガスケット
溝に突設された係止片を備え、前記係止片を前記固定片
に係合させて取付けられている。

【００１３】

【作用】対向する係止片と固定片とを係脱可能に係止さ
せることにより、２重シール部を構成する伝熱面ガスケ
ット部の通路孔側シール部を伝熱プレートに確実に固定
することができる。

【００１４】

【実施例】以下本発明に係るプレート式熱交換器用ガス
ケットの実施例を図１乃至図４を参照しながら説明する
と次の通りである。尚、図５乃至図12に示したものと同
一物には同一符号を付して説明を省略する。

【００１５】［実施例１］ 図１及び図２に示すように、伝熱面ガスケット部（16）
の通路孔側シール部（18）のガスケット溝部（4a）と通
路孔ガスケット部（17）の伝熱面側シール部（19）のガ
スケット溝部（4b）とを固定ガスケット溝部（4c）で連
通させる。伝熱面ガスケット部（16）の通路孔側シール
部（18）に、先部に断面Ｌ字形状の係止突起（41）を２
重シール部（20）側に向けて突出形成した係止片（42）
を伝熱プレート（３）の固定ガスケット溝部（4c）内の
底面にそって配置可能に一体に突設する。また、通路孔
ガスケット部（17）の伝熱面側シール部（19）に、伝熱
面ガスケット部（16）の通路孔側シール部（18）を伝熱
プレート（３）に固定するための固定片（43）を係止片
（42）と対向させて一体に形成してある。上記固定片
（43）は、先部に上記通路孔側シール部（18）に形成し
た係止片（42）の係止突起（41）と係合可能な断面Ｌ字
形状の固定突起（44）を２重シール部（20）に向けて庇
状に突出形成してあり、固定ガスケット溝部（4c）内
で、伝熱面側シール部（19）の係止片（42）と係合可能
としてある。また、通路孔側ガスケット部（17）は、例
えば、図６乃至図12に示した適宜の固定方法によって伝
熱プレート（３）に固定される。

【００１６】そうして、伝熱面ガスケット部（16）の通
路孔側シール部（18）を固定する場合は、ガスケット溝
（４）にガスケット（５）を嵌装すると共に、通路孔側
シール部（18）の係止片（42）の係止突起（41）を固定
ガスケット溝部（4c）内に配置して固定片（43）の固定
突起（44）の下方に潜入させ、係止突起（41）と固定突
起（44）を係合させる。すると通路孔側シール部（18）
の係止片（42）は、近接位置に配置された固定片（43）
で下方に押圧されて、通路孔側シール部（18）は上記固
定片（43）によりガスケット溝（４）を構成する固定ガ
スケット溝（4a）内に位置決めされる。

【００１７】［実施例２］本実施例は、図３及び図４に
示すように、伝熱面ガスケット部（16）の通路孔側シー
ル部（18）に、先部に突片（51）を庇状に形成した係止
片（52）を上記固定ガスケット溝部（4c）内に配置可能
に一体に突設し、突片（51）の下面に係止突起（53）を
突設する。また、通路孔ガスケット部（17）の伝熱面側
シール部（19）に、伝熱面ガスケット部（16）の通路孔
側シール部（18）を伝熱プレート（３）に固定するため
の固定片（54）を係止片（52）と対向させて一体に形成
してある。上記固定片（54）には、通路孔側シール部
（18）の係止片（52）の係止突起（53）が嵌脱可能に嵌
入係止する固定孔（55）を形成してある。

【００１８】そうして、伝熱面ガスケット部（16）の通
路孔側シール部（18）を固定する場合は、ガスケット溝
（４）にガスケット（５）を嵌装すると共に、伝熱面ガ
スケット部（16）の通路孔側シール部（18）の係止片
（52）及び通路孔ガスケット部（17）の伝熱面側シール
部（19）の固定片（54）を固定ガスケット溝部（4c）内
に配置し、係止片（52）の係止突起（53）を固定片（5
4）の固定孔（55）に嵌入係止させて、突片（51）を固
定片（54）上に被着させる。すると通路孔側シール部
（18）は上記固定片（54）により確実に固定され、ガス
ケット溝（４）を構成する固定ガスケット溝（4a）内に
位置決めされる。

【００１９】

【発明の効果】本発明によれば、プレート式熱交換器用
の伝熱プレートの伝熱面ガスケット部と通路孔ガスケッ
ト部とが互いに対向する部分に、第１ガスケット溝と第
２ガスケット溝を連通させる第３ガスケット溝が形成さ
れており、通路孔ガスケット部のガスケットが、適宜の
方法によって伝熱プレートに固定されているとともに、
第３ガスケット溝に突設された固定片を備えており、か
つ、伝熱面ガスケット部のガスケットが第３ガスケット
溝に突設された係止片を備え、係止片を固定片に係合さ
せて取付けられている。これにより、通路孔側シール部
に大きな固定力が作用し、通路孔側シール部を伝熱プレ
ートのガスケット溝の正規の位置に確実に位置決め保持
することができ、２重シール部のシール性能が低下する
のを確実に防止することができる。しかも２重シール部
を伝熱プレートに簡単、かつ、迅速に固定することがで
き、装着に手間がかからず、装着作業の作業性がきわめ
て良好である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るガスケットの実施例１を示す要部
平面図。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図。

【図３】実施例２を示す要部平面図。

【図４】図３のＢ−Ｂ線断面図。

【図５】プレート式熱交換器を示す概略平面図。

【図６】プレート式熱交換器における従来のガスケット
の固定要領の第１従来例を示した部分平面図。

【図７】図６のＣ−Ｃ線断面図。

【図８】ガスケットの固定要領の第２の従来例を示した
部分縦断面図。

【図９】ガスケットの固定要領の第３の従来例を示した
部分縦断面図。

【図10】ガスケットの固定要領の第４の従来例に使用す
るガスケットの部分平面図。

【図11】図10のＤ−Ｄ線断面図。

【図12】図11に示したガスケットが固定される伝熱プレ
ートの部分縦断面図。

【符号の説明】

３ 伝熱プレート ５ ガスケット 16 伝熱面ガスケット部 17 通路孔ガスケット部 18 通路孔側シール部 19 伝熱面側シール部 42、52 係止片 43、54 固定片

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】中央に伝熱面を有し、前記伝熱面の四隅に
   流体通路孔が設けられた略矩形の伝熱プレートであっ
   て、 前記伝熱プレートの伝熱面と、前記流体通路孔のうち伝
   熱面と連通される一側縁両端隅部の２つの流体通路孔と
   を一体に囲むように形成した第１ガスケット溝に、ガス
   ケットを嵌装した伝熱面ガスケット部と、 残りの流体通路孔をそれぞれ囲むように形成した第２ガ
   スケット溝に、ガスケットを嵌装した通路孔ガスケット
   部とを有するプレート式熱交換器用の伝熱プレートにお
   いて、 前記伝熱面ガスケット部と通路孔ガスケット部とが互い
   に対向する部分に、前記第１ガスケット溝と第２ガスケ
   ット溝を連通させる第３ガスケット溝が形成されてお
   り、 前記通路孔ガスケット部のガスケットが、適宜の方法に
   よって前記伝熱プレートに固定されているとともに、前
   記第３ガスケット溝に突設された固定片を備えており、 かつ、前記伝熱面ガスケット部のガスケットが前記第３
   ガスケット溝に突設された係止片を備え、前記係止片を
   前記固定片に係合させて取付けられていることを特徴と
   するプレート式熱交換器用の伝熱プレート。