JP3346877B2 - チャープ式sawスペクトル拡散変復調器、これを用いた通信装置及びシステム、チャープ信号の多重化方法、多重化チャープ信号からの相関検出方法並びにチャープ式sawスペクトル拡散変復調器の構成方法 - Google Patents

チャープ式sawスペクトル拡散変復調器、これを用いた通信装置及びシステム、チャープ信号の多重化方法、多重化チャープ信号からの相関検出方法並びにチャープ式sawスペクトル拡散変復調器の構成方法

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JP3346877B2 JP4890094A JP4890094A JP3346877B2 JP 3346877 B2 JP3346877 B2 JP 3346877B2 JP 4890094 A JP4890094 A JP 4890094A JP 4890094 A JP4890094 A JP 4890094A JP 3346877 B2 JP3346877 B2 JP 3346877B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面弾性波(SAW)
マッチドフィルタを用いてスペクトル拡散変調信号をス
ペクトル拡散復調するSAWスペクトル拡散復調器に関
し、特にこれを改良して得られるチャープ式SAWスペ
クトル拡散変復調器に関する。本発明は、さらに、この
チャープ式SAWスペクトル拡散変復調器を用いて構成
されるチャープ式スペクトル拡散通信装置や、このチャ
ープ式スペクトル拡散通信装置を用いて構成されるスペ
クトル拡散通信システムに関する。そして、本発明は、
本発明のチャープ式SAWスペクトル拡散変復調器の構
成方法に関する。加えて、本発明は、本発明のチャープ
式SAWスペクトル拡散変復調器を用いてチャープ信号
を多重化し、また多重化されたチャープ信号から分離し
ながら相関を検出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スペクトル拡散方式は、信号の秘匿性が
高くかつ他の信号源からの干渉に強い無線通信方式であ
る。スペクトル拡散方式としてはいくつかの方式が知ら
れているが、例えば直接変調方式においては、送信機に
搭載される符号変調器により送信信号が位相変調され、
受信機に搭載される符号復調器により受信信号が復調さ
れる。この変復調(スペクトル拡散変復調)の際に用い
られる符号は擬似雑音(PN)符号と呼ばれ、この符号
により変調を行うことで送信信号のスペクトル分布が拡
散する。従って、スペクトル拡散変調が施された送信信
号を他者が受信したとしても、この変調の際に用いたP
N符号を知らない限り復調することができない(信号の
秘匿性)。また、他の信号源から近接した帯域の無線信
号が発せられていても、スペクトルが拡散しているため
その干渉を受けにくい。
【0003】スペクトル拡散方式の特質のうち信号の秘
匿性は、特に、情報の秘匿が重要な軍事関連通信機器に
おいて重視されている。さらに、この秘匿性に加え、干
渉に強いという特質は、各種民生機器において重視され
ている。第1に、近年では無線システムの高周波化が進
行しており、マルチパス干渉による受信信号品質の劣化
が大きな問題となっている。この問題は、干渉に対して
強いスペクトル拡散方式により緩和乃至解決することが
できる。第2に、周波数資源を有効利用するため他の無
線システムとの無線周波数共用化を実現しようとする場
合、送信信号のスペクトルを拡散させるスペクトル拡散
方式が有効である。
【0004】スペクトル拡散方式を実施するためには、
送信機に符号変調器(スペクトル拡散変調器)を、受信
機に符号復調器(スペクトル拡散復調器)を、それぞれ
搭載する必要がある。また、このスペクトル拡散変調器
における変調速度は送信すべき信号(データ)の伝送レ
ートに比べ高くしなければならない。さらに、受信機の
スペクトル拡散復調器による復調の速度は、送信機にお
ける変調速度同様、高速でなくてはならない。このよう
な高速処理が必要とされるため、スペクトル拡散変復調
に関連する部品については、データ変復調に関連する部
品以上の配慮が、設計者等に対して求められる。
【0005】さらに、スペクトル拡散復調器において
は、送信機において使用した符号との同期を獲得する必
要がある。同期を獲得する方法としては、例えば、同期
するまで復調を繰り返す方法や、同期獲得及びスペクト
ル拡散復調を並行して実行する方法がある。しかし、こ
れらの方法においては、同期獲得に時間を必要とすると
いう問題点や、受信機の構成が複雑となるという問題点
がある。特に、スペクトル拡散変調信号を多重化して伝
送する際には、その回路構成はより一層複雑化する。
【0006】この種の問題を発生させないスペクトル拡
散復調器としては、SAWコンボルバを用いた構成があ
る。すなわち、スペクトル拡散変調器において使用した
符号と同一の符号を時間反転してSAWコンボルバに入
力し、受信した信号との相関を求め、相関値がピークと
なったときにデータを復調する方法により、上述した問
題を発生させずにスペクトル拡散復調することができ
る。しかし、このような構成を使用する場合、スペクト
ル拡散変調器において使用した符号を時間反転した符号
が必要になる。また、SAWコンボルバの効率はさほど
よくなく、挿入損失が大きい。
【0007】スペクトル拡散復調器の他の構成として
は、SAWマッチドフィルタを用いた構成がある。すな
わち、スペクトル拡散変調された送信信号の周波数スペ
クトルに対して複素共役の周波数応答を有するフィルタ
(マッチドフィルタ)をSAW遅延線を用いて実現す
る。このフィルタに受信信号を入力することにより、S
AWマッチドフィルタの構成により定まる信号(電極)
パターンと受信信号との相関が得られ、この相関がピー
クとなるタイミング(位相)を検出することにより、受
信信号をスペクトル拡散復調することができる。このよ
うな構成を用いた場合、SAWコンボルバのように時間
反転した符号は必要でなく、また挿入損失も比較的良好
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、SAWマッチ
ドフィルタを用いてスペクトル拡散復調を行う場合、こ
のフィルタを、スペクトル拡散変調された送信信号の周
波数スペクトルに応じて設計しなければならない。すな
わち、SAWマッチドフィルタの特性は、スペクトル拡
散変調器で使用した符号に応じて設計しなければならな
い。
【0009】また、SAWマッチドフィルタの温度特性
は、そのシステムが使用される温度範囲内全域に亘って
安定でなければならず、この安定性は環境温度基準で絶
対的に得られなければならない。
【0010】さらに、事務所内に配設されるローカルエ
リアネットワーク(LAN)のように双方向通信が必要
となる場合、例えばサーバとクライアントの間でスペク
トル拡散通信を行おうとすると、各機器にスペクトル拡
散変調器とスペクトル拡散復調器を共に搭載しなければ
ならなくなり、装置構成の大型化や複雑化、ひいてはコ
ストデメリットが生じてしまう。
【0011】そして、スペクトル拡散変調信号又は復調
信号として、時間と共にその周波数が変化する信号であ
るチャープ信号を使用しようとしても、良好なチャープ
信号を得ることは難しかった。すなわち、従来知られて
いるいずれのスペクトル拡散変調器においても、その周
波数が滑らかに時間変化するチャープ信号を得ることは
困難である。
【0012】加えて、チャープ信号を多重化して伝送す
る場合、多重化の対象となる複数のチャープ信号を単一
の信号源から得るのは難しい。つまり、チャープ信号の
周波数時間変化率は高く、このようなチャープ信号を単
一の信号源で複数個発生させるためには、当該信号源に
対して信号の振幅及び位相を正確に再現する性能が要求
される。このような要求に答えるのは、技術的には多く
の場合困難である。そのため、チャープ信号を多重化し
て伝送するためには、チャープ信号を発生させる信号源
を複数個設け、その出力を加算する必要があるが、これ
は回路コストの増加を招くと共に、各信号源の特性不一
致による信号特性の劣化を招く原因となる。
【0013】本発明は、このような問題点を解決するこ
とを課題としてなされたものであり、第1に、送信機に
搭載されるスペクトル拡散変調器と受信機に搭載される
スペクトル拡散復調器を、全く同一の構成を有するSA
W電極を用いて実現することを可能にし、これにより、
スペクトル拡散復調器の特性をスペクトル拡散変調器の
特性と容易に適合させることを目的とする。第2に、温
度特性の安定性を環境温度基準で絶対的に確保する必要
をなくし送信機と受信機の温度差(相対温度)を基準と
して確保するのみでよくすることにより、より広い温度
範囲で使用可能にすることを目的とする。第3に、スペ
クトル拡散変調器及びスペクトル拡散復調器を単一の部
品として構成することにより、例えばスペクトル拡散を
伴う双方向通信を行うシステムのように単一の機器にス
ペクトル拡散変調器及びスペクトル拡散復調器を共に搭
載しなければならないアプリケーションであっても、当
該機器を小形軽量化可能にすることを目的とする。第4
に、チャープ信号を好適に発生させスペクトル拡散変調
信号として用いることを可能にし、さらにこのスペクト
ル拡散変調信号が搬送しているデータを同一構成・同一
仕様のデバイス上で復調可能にすることを目的とする。
第5に、チャープ信号の多重化を簡素な回路構成かつ良
好な特性で実現する変調器を得ると共に、多重化された
チャープ信号から相関ピークをそれぞれ好適に分離可能
な復調器を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明のSAWスペクトル拡散変復調器は、
その表面においてSAWを伝搬可能な圧電基板と、上記
表面に構成された入力電極及び出力電極を有し、インパ
ルスが入力電極に入力された場合に出力電極からチャー
プ信号を出力する第1のSAWフィルタと、上記表面に
構成された入力電極及び出力電極を有し、スペクトル拡
散変調された信号が入力電極に入力された場合にこの信
号とチャープ信号との相関を検出する第2のSAWフィ
ルタと、を備え、第1のSAWフィルタの入力電極及び
出力電極のいずれか一方が第2のSAWフィルタの入力
電極及び出力電極のいずれか一方と共通の電極として構
成され、SAWが第1のSAWフィルタ側に送波又は受
波するのかそれとも第2のSAWフィルタ側に送波又は
受波するのかの相違により生じる当該共通の電極の周波
数特性の複素共役性を用い、単一の圧電基板上でチャー
プ信号の生成及び相関検出を行うことを特徴とする。
【0015】また、本発明のSAWスペクトル拡散変復
調器は、第1のSAWフィルタの出力電極と第2のSA
Wフィルタの入力電極を共通電極とすることを特徴とす
る。すなわち、本発明のSAWスペクトル拡散変復調器
の第1の構成は、その表面においてSAWを伝搬可能な
圧電基板と、上記表面に形成され、インパルスの入力に
応じSAWを発生させ圧電基板上の所定方向にこのSA
Wを送波する入力電極と、上記表面において入力電極か
ら見て上記所定方向に第1の所定距離隔てて形成され、
入力電極によって送波されたSAWを受波した場合にこ
れをチャープ信号に変換して出力する特性を有すると共
に、スペクトル拡散変調信号の入力に応じSAWを発生
させ圧電基板上で入力電極と逆の方向に送波する共通電
極と、上記表面において共通電極から見て入力電極と逆
の方向に第2の所定距離隔てて形成され、共通電極によ
って送波されたSAWを受波した場合に共通電極に入力
されたスペクトル拡散変調信号と上記チャープ信号との
相関を示す信号を出力する特性を有する出力電極と、を
備え、SAWを入力電極側から受波するのかそれとも出
力電極側に送波するのかの相違により生じる共通電極の
周波数特性の複素共役性を用い、単一の圧電基板上でチ
ャープ信号の生成及び相関検出を行うことを特徴とす
る。
【0016】また、本発明のSAWスペクトル拡散変復
調器は、第1のSAWフィルタの出力電極と第2のSA
Wフィルタの出力電極を共通電極とすることを特徴とす
る。すなわち、本発明のSAWスペクトル拡散変復調器
の第2の構成は、その表面においてSAWを伝搬可能な
圧電基板と、上記表面に形成され、インパルスの入力に
応じSAWを発生させ圧電基板上の第1の所定方向にこ
のSAWを送波する第1の入力電極と、上記表面におい
て第1の入力電極から見て上記第1の所定方向に形成さ
れ、スペクトル拡散変調信号の入力に応じSAWを発生
させ圧電基板上で上記第1の所定方向と逆の第2の所定
方向にこのSAWを送波する第2の入力電極と、上記表
面において第1の入力電極から見て上記第1の所定方向
に第1の所定距離隔ててかつ第2の入力電極から見て上
記第2の所定方向に第2の所定距離隔てて形成され、第
1の入力電極によって送波されたSAWを受波した場合
にこれをチャープ信号に変換して出力する特性を有する
と共に、第2の入力電極によって送波されたSAWを受
波した場合に上記スペクトル拡散変調信号と上記チャー
プ信号との相関を示す信号を出力する特性を有する共通
電極と、を備え、SAWを第1の入力電極側から受波す
るのかそれとも第2の入力電極側から受波するのかの相
違により生じる共通電極の周波数特性の複素共役性を用
い、単一の圧電基板上でチャープ信号の生成及び相関検
出を行うことを特徴とする。
【0017】また、本発明のSAWスペクトル拡散変復
調器は、第1のSAWフィルタの入力電極と第2のSA
Wフィルタの入力電極を共通電極とすることを特徴とす
る。すなわち、本発明のSAWスペクトル拡散変復調器
の第3の構成は、その表面においてSAWを伝搬可能な
圧電基板と、上記表面に形成され、インパルスの入力に
応じSAWを発生させ圧電基板上の第1の所定方向にこ
のSAWを送波する一方でスペクトル拡散変調信号の入
力に応じSAWを発生させ圧電基板上で上記第1の所定
方向と逆の第2の所定方向にこのSAWを送波する共通
電極と、上記表面において共通電極から見て上記第1の
所定方向に第1の所定距離隔てて形成され、共通電極に
よって上記第1の所定方向に送波されたSAWを受波し
た場合にこれをチャープ信号に変換して出力する特性を
有する第1の出力電極と、上記表面において共通電極か
ら見て上記第2の所定方向に第2の所定距離隔てて形成
され、共通電極によって上記第2の所定方向に送波され
たSAWを受波した場合に上記スペクトル拡散変調信号
と上記チャープ信号との相関を示す信号を出力する特性
を有する第2の出力電極と、を備え、SAWを第1の出
力電極側に送波するのかそれとも第2の出力電極側に送
波するのかの相違により生じる共通電極の周波数特性の
複素共役性を用い、単一の圧電基板上でチャープ信号の
生成及び相関検出を行うことを特徴とする。
【0018】本発明のチャープ式SAWスペクトル拡散
変復調器は、さらに、入力されるインパルスの時間間隔
が、生成されるチャープ信号の持続時間以下であること
を特徴とする。
【0019】本発明のチャープ式SAWスペクトル拡散
変復調器は、入力されるインパルスの時間間隔が、可変
であることを特徴とする。
【0020】本発明のチャープ式SAWスペクトル拡散
変復調器は、入力されるスペクトル拡散変調された信号
が、複数のチャープ信号を多重化した信号であることを
特徴とする。
【0021】本発明のスペクトル拡散通信装置は、本発
明のSAWスペクトル拡散変復調器と、送信すべきデー
タによって変調されたインパルスをSAWスペクトル拡
散変復調器に入力する手段と、SAWスペクトル拡散変
復調器から出力されるチャープ信号をスペクトル拡散変
調信号として送信出力する手段と、を備えることを特徴
とする。
【0022】本発明のスペクトル拡散通信装置は、本発
明のSAWスペクトル拡散変復調器と、データを搬送し
ておりチャープ信号によりスペクトル拡散変調されてい
る信号を受信し、SAWスペクトル拡散変復調器に入力
する手段と、SAWスペクトル拡散変復調器によって検
出される相関がピークとなるタイミングに従いデータを
再生する手段と、を備えることを特徴とする。
【0023】本発明のスペクトル拡散通信システムは、
チャープ信号をスペクトル拡散変調信号として送信する
本発明のスペクトル拡散通信装置と、チャープ信号によ
りスペクトル拡散変調された信号を受信する本発明のス
ペクトル拡散通信装置と、を有することを特徴とする。
【0024】本発明のチャープ信号多重化方法は、本発
明のSAWスペクトル拡散変復調器に対し、生成される
チャープ信号の持続時間以下の時間間隔で一連のインパ
ルスを入力することにより、多重化されたチャープ信号
を発生させることを特徴とする。
【0025】本発明の多重化チャープ信号からの相関検
出方法は、本発明の方法により多重化されたチャープ信
号をスペクトル拡散変調された信号として請求項1乃至
4記載のSAWスペクトル拡散変復調器に入力すること
により、当該多重化されたチャープ信号それぞれについ
て相互に分離しながら相関を検出することを特徴とす
る。
【0026】そして、本発明のSAWスペクトル拡散変
復調器構成方法は、第1のSAWフィルタの入力電極か
ら送波されたSAWが第1のSAWフィルタの出力電極
によって受波された場合に、入力電極を励振したインパ
ルスをスペクトル拡散したチャープ信号が得られるよ
う、第1のSAWフィルタの入力電極及び出力電極のパ
ターンを定め、第2のSAWフィルタの入力電極から送
波されたSAWが第2のSAWフィルタの出力電極によ
って受波された場合に、入力電極を励振したスペクトル
拡散変調信号をパルス圧縮した信号が得られるよう、第
1のSAWフィルタの入力電極及び出力電極のいずれか
一方を第2のSAWフィルタの入力電極及び出力電極の
いずれか一方と兼用される共通電極として用いつつ、第
2のSAWフィルタの入力電極及び出力電極のパターン
及びその配置間隔を定め、その表面においてSAWを伝
搬可能な圧電基板の当該表面に、第1のSAWフィルタ
及びで第2のSAWフィルタを構成する合計3個の電極
を、定めた配置間隔及びパターンで形成することによ
り、本発明のSAWスペクトル拡散変復調器を構成する
ことを特徴とする。
【0027】
【作用】本発明のSAWスペクトル拡散変復調器におい
ては、単一の圧電基板上に第1及び第2のSAWフィル
タが構成される。そのうち第1のSAWフィルタはスペ
クトル拡散変調信号たるチャープ信号を発生させるため
のフィルタであり、第2のSAWフィルタは、スペクト
ル拡散変調信号とチャープ信号の相関ピークを検出する
ためのフィルタ(通常はマッチドフィルタ)である。す
なわち、第1のSAWフィルタの入力電極にインパルス
が入力されると、このフィルタの出力電極からは、チャ
ープ信号が出力される。また、第2のSAWフィルタの
入力電極にスペクトル拡散変調された信号(スペクトル
拡散変調信号)が入力されると、このフィルタの出力電
極からは、スペクトル拡散変調信号とチャープ信号との
相関を示す信号が出力される。各電極は、このような作
用が生じるよう設計される。
【0028】本発明においては、第1のSAWフィルタ
の入力電極及び出力電極のうちいずれか一方と第2のS
AWフィルタの入力電極及び出力電極のうちいずれか一
方が、共通の電極として構成される。すなわち、共通電
極に係るSAWの伝搬方向は2方向(第1の方向及び第
2の方向)存在しており、共通電極の周波数特性は第1
の方向と第2の方向とで互いに複素共役であるから、第
1のSAWフィルタと第2のSAWフィルタは、前者に
よりチャープ信号生成を、後者によりパルス圧縮を、そ
れぞれ実現するよう構成できる。
【0029】従って、本発明のSAWスペクトル拡散変
調器を用いることにより、送信機と受信機において時間
遅延を除き複素の共役の特性でチャープ信号生成及びパ
ルス圧縮を実行することが可能になり、スペクトル拡散
復調特性がスペクトル拡散変調特性と適合する。また、
同一の圧電基板上においてチャープ信号の生成とパルス
圧縮(相関検出)が行われるため、温度特性の安定性を
環境温度基準で絶対的に確保する必要がなくなり、送信
機と受信機の温度差(相対温度)を基準として確保する
のみでよくなるから広い温度範囲で使用可能となると共
に、水晶基板を使用する必要がなくなり挿入損失が低減
される。さらに、スペクトル拡散変調器及びスペクトル
拡散復調器が単一の部品として構成されるため、スペク
トル拡散を伴う双方向通信を行うシステムのように単一
の機器にスペクトル拡散変調器及びスペクトル拡散復調
器を共に搭載しなければならないアプリケーションであ
っても、当該機器を小形軽量化できる。そして、周波数
が滑らかに時間変化するチャープ信号を発生させスペク
トル拡散変調信号として用いることが可能になり、この
スペクトル拡散変調信号復調が搬送しているデータを同
一のデバイス上で復調することが可能になる。
【0030】なお、入出力を入れ替えてもSAWフィル
タの周波数特性は変化しないため、本発明のSAWスペ
クトル拡散変復調器の構成としては、a)第1のSAW
フィルタの出力電極と第2のSAWフィルタの入力電極
を共通電極とする構成、b)第1のSAWフィルタの出
力電極と第2のSAWフィルタの出力電極を共通電極と
する構成、c)第1のSAWフィルタの入力電極と第2
のSAWフィルタの入力電極を共通電極とする構成の3
種類が可能である。
【0031】また、本発明は、チャープ信号の多重化に
適用できる。すなわち、本発明においては、さらに、入
力されるインパルスの時間間隔が、生成されるチャープ
信号の持続時間以下に設定され、これにより多重化され
たチャープ信号が得られる。この多重化チャープ信号
は、同一のSAWフィルタによって同一の原理で生成さ
れる信号であるため、互いに揃った特性となる。この結
果、多重化チャープ信号を得るために複数の信号源を用
いまた加算手段を用いることが不要になり、チャープ信
号の多重化が簡素な回路構成かつ良好な特性で実現され
る。逆に、多重化チャープ信号を入力した場合には、各
チャープ信号から相関ピークを分離しながら検出するこ
とが可能である。これは、相関ピークが、インパルスの
時間間隔で分離して得られるためである。また、入力さ
れるインパルスの時間間隔を、例えば通信状況により変
化させれば、スペクトル拡散伝送において伝送されるデ
ータの速度(データレート)を適宜変更できる。
【0032】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について図面に
基づき説明する。
【0033】(1)チャープ式SAWスペクトル拡散変
復調器構成 図1には、本発明の一実施例に係るチャープ式SAWス
ペクトル拡散変復調器101の構成が示されている。こ
の図に示されるチャープ式SAWスペクトル拡散変復調
器101は圧電基板1の同一表面に3種類の電極2〜4
を形成した構成を有している。
【0034】これらの電極のうちインパルス入力電極2
及び共通電極3は、スペクトル拡散変調信号を発生させ
るSAWフィルタとして構成されている。すなわち、端
子5を介して電極2にインパルスが入力されると、この
インパルスによって電極2が励振され、基板1の表面に
SAWが発生する。このSAWは電極2から見て図中右
方向と左方向に伝搬する。そのうち、右方向に伝搬した
SAWは電極3によって受波され、電気信号に変換され
る。ここに、電極2及び/又は3の電極パターン(例え
ば電極幅、電極ピッチ、電極長等のパターン)は、電極
2にインパルスが入力された場合に電極3からチャープ
信号が得られるよう、かつこのチャープ信号の振幅が所
定期間一定となるよう(波形整形機能)、設計されてい
る(電極2及び3の重み付け)。従って、インパルスと
してデータにより変調されているインパルスを入力する
ことにより、データを搬送するチャープ信号が端子6か
ら出力される。このチャープ信号は、インパルスをスペ
クトル拡散した信号であるから、スペクトル拡散変調信
号として送信し得る。端子5及び6は、従って、この図
の素子を通信装置に搭載する際、それぞれ、データによ
って変調されたインパルスの入力端子又はスペクトル拡
散変調信号(チャープ信号)出力端子として用いられ
る。
【0035】また、共通電極3及び復調信号出力電極4
は、スペクトル拡散変調信号を復調するためのSAWマ
ッチドフィルタを構成している。すなわち、端子6を介
して電極3に信号が入力されると、この信号によって電
極3が励振され、基板1の表面にSAWが発生する。こ
のSAWは電極3から見て図中右方向と左方向に伝搬す
る。そのうち、右方向に伝搬したSAWは電極4によっ
て受波され、電気信号に変換される。ここに、電極3及
び/又は4の電極パターン(例えば電極幅、電極ピッ
チ、電極長等のパターン)は、電極3の電気音響変換に
係る周波数特性が電極2方向と電極4方向とで複素共役
になることを利用して設計されており、電極3にチャー
プ信号が入力された場合には、電極3及び4から構成さ
れるSAWフィルタによって(電極2及び3から構成さ
れるSAWフィルタとは逆に)、このチャープ信号がパ
ルス圧縮され相関ピークが出力される。すなわち、電極
2及び3から構成されるSAWフィルタから得られるチ
ャープ信号を電極3に入力した場合、所定のタイミング
で、当該信号と電極パターンとの相関がピークとなる。
従って、電極3にスペクトル拡散変調信号たるチャープ
信号を入力した場合に電極4から端子7を介して出力さ
れる信号(相関ピーク)に基づき、チャープ信号によっ
て搬送されているデータを再生することができる。端子
6及び7は、従って、この図の素子を通信装置に搭載す
る際、それぞれ、スペクトル拡散変調信号入力端子又は
スペクトル拡散復調信号出力端子として用いられる。
【0036】作用効果 このように、本実施例によれば、単一の圧電基板1上に
形成した3種類の電極2〜4のうち電極2及び/又は3
に所定の重み付けをすることにより、チャープ信号生成
用のSAWフィルタを構成しているため、電極2及び3
にインパルスを入力することにより周波数が滑らかに時
間変化しかつ波形整形されたチャープ信号をスペクトル
拡散変調信号として得ることができる。また、電極3の
周波数特性が左右の伝搬方向間で複素共役であることを
利用することにより、電極3にスペクトル拡散変調信号
として入力されるチャープ信号をパルス圧縮して相関ピ
ークを得ることを可能にしているため、上述の電極2及
び3から構成されるSAWフィルタにより生成されるチ
ャープ信号からデータを復調可能になる。更には、これ
ら2種類のSAWフィルタは単一の圧電基板1上に形成
されており、かつその一部構成が共用化されているか
ら、小型軽量で温度的にも安定なチャープ式スペクトル
拡散変復調器が得られる。
【0037】(2)チャープ式スペクトル拡散通信装置構成 図2には、図1に示されるチャープ式SAWスペクトル
拡散変復調器101を用いて構成したチャープ式スペク
トル拡散通信装置201の構成が示されている。この図
に示されるチャープ式スペクトル拡散通信装置201
は、チャープ式SAWスペクトル拡散変復調器101の
他に、インパルス発生装置102、送受信切替器10
3、送信用ミキサ104a、受信用ミキサ104b、局
部発振器105、高周波パワーアンプ106、分配器1
07、アンテナ108、ローノイズアンプ109及びデ
ータ再生器110を有している。
【0038】インパルス発生装置102は、送信すべき
データにより変調されたインパルスを発生させ、チャー
プ式SAWスペクトル拡散変復調器101の端子5を介
して電極2に入力する。電極2はこのインパルスによっ
て圧電基板1の表面を励振し、SAWを発生させる。発
生したSAWは、電極2と電極3の間隔に相当する時間
の経過後に電極3によって受波される。電極3は、受波
したSAWを電気信号に変換する。得られた信号は、そ
の周波数が時間に対して滑らかに変化するチャープ信号
であり、またこのチャープ信号は波形整形されている。
チャープ信号の振幅が送信すべきデータの1周期内で一
定となるよう、送信側(チャープ信号発生用)SAWフ
ィルタを設計しておけば、送信すべきデータと同速度で
データ変調された振幅を有するチャープ信号が得られ
る。このチャープ信号(送信用チャープ信号)は、端子
6を介しスペクトル拡散変調信号として送受信切替器1
03に入力され、さらに送信用ミキサ104aに入力さ
れる。送信用ミキサ104aは、局部発振器105によ
って生成される局部発振信号とスペクトル拡散変調信号
とを混合し、無線周波数(RF)に変換する。高周波パ
ワーアンプ106は、RFに変換された信号を電力増幅
し、分配器107を介してアンテナ108に供給する。
これにより、データを搬送しておりかつスペクトル拡散
変調されている信号が、無線送信される。また、各チャ
ープ信号の振幅はデータの1周期において一定であるか
ら、チャープ信号はミキサ104a、アンプ106の非
直線性の影響を受けにくい。従って、周波数帯域幅の拡
大等の付加的問題点も生じない。
【0039】逆に、データを搬送しているスペクトル拡
散変調信号(チャープ信号)を他の通信装置から受信し
た場合、まず分配器107を介してローノイズアンプ1
09にこの信号が供給され、ローノイズアンプ109に
より低雑音増幅される。低雑音増幅された信号は、受信
用ミキサ104bによって局部発振信号と混合され、R
Fから中間周波数(IF)に変換される。IFに変換さ
れた信号は、送受信切替器103及び端子6を介して電
極3に入力される。電極3はこの信号によって圧電基板
1の表面にSAWを励振する。発生したSAWは電極3
と電極4の間隔に相当する時間の経過後に電極4によっ
て受波される。電極4は、受波したSAWを電気信号に
変換する。電極3及び4は、電極3の周波数特性が左右
の伝搬方向について複素共役であることを利用して、チ
ャープ信号をパルス圧縮し相関ピークを出力するよう設
計されているため、電極4から得られる信号に基づきデ
ータを再生することができる。この再生は、データ再生
器110が行う。
【0040】作用効果 従って、本実施例に係るチャープ式SAWスペクトル拡
散変復調器101を搭載することにより、事務所内のL
AN等、スペクトル拡散を伴う双方向通信を行うチャー
プ式スペクトル拡散通信装置201を、より小形軽量に
することができる。
【0041】(3)チャープ式スペクトル拡散通信シス
テム 図3には、図2のチャープ式スペクトル拡散通信装置2
01と、これと同一の構成を有するチャープ式スペクト
ル拡散通信装置201´とを有するチャープ式スペクト
ル拡散通信システムの構成が示されている。この図に示
されるようにシステムを構成した場合、各チャープ式ス
ペクトル拡散通信装置201及び201´に搭載される
チャープ式SAWスペクトル拡散変復調器101を同一
原理、同一特性に係る構成とすることができるため、同
一原理でかつ同一特性の変復調を各チャープ式スペクト
ル拡散通信装置201及び201´において実現でき
る。その際、SAW伝搬方向に係る電極3の周波数特性
の複素共役性を利用しているため、スペクトル拡散変調
器の特性を考慮してスペクトル拡散復調器の特性を決定
するといった設計が不要になる。さらには、チャープ式
スペクトル拡散通信装置201及び201´のいずれに
おいても同一原理でかつ同一特性の変復調が行われるた
め、チャープ式スペクトル拡散復調器の温度安定性を環
境温度基準で絶対的に確保する必要がなくなる。すなわ
ち、チャープ式スペクトル拡散通信装置201の使用温
度とチャープ式スペクトル拡散通信装置201´の使用
温度の差に対して、温度特性が安定であればよい。一般
に、チャープ式スペクトル拡散通信装置201及び20
1´の使用温度範囲と両者の使用温度差を比較すると後
者の方が小さいから、これにより、チャープ式スペクト
ル拡散通信装置201及び201´の使用可能温度範囲
が広がる。
【0042】(4)チャープ式SAWスペクトル拡散変
復調器の構成方法 次に、図1に示されるチャープ式SAWスペクトル拡散
変復調器101の構成方法に関してより詳細に説明す
る。
【0043】チャープ信号の設計 まず、説明の簡単化のため、チャープ信号として、時間
変化に対して周波数が直線的に変化するリニアチャープ
信号を考える。リニアチャープ信号の時間領域での特性
h(t)は、次の式(1)〜(4)により表すことがで
きる。
【0044】
【数1】 h(t)=A(t)exp(jφ(t)) … (1)
【数2】 φ(t)=2πf(t)t+φ … (2)
【数3】 f(t)=α/2・t+f … (3)
【数4】 A(t)=A(t≦t≦tの場合) =0 (t<t又はt<tの場合) … (4) ただし、jは虚数単位、φは位相オフセット、αは周
波数変化率、fは周波数オフセットである。
【0045】式(3)に表されるように、時刻tの経過
に伴いチャープ信号の周波数f(t)、ひいては位相φ
(t)が、直線的に変化する。リニアチャープ信号と
は、このような性質を有するチャープ信号をいう。ま
た、このリニアチャープ信号の振幅A(t)は、式
(4)に表されるように、時間t≦t≦tにおいて
はAとになる。すなわち、チャープ信号の継続期間は
≦t≦tの期間である。
【0046】また、この値Aは、一定であることが好
ましい。これは、もしAが時刻tにより変化したとす
ると、後段の回路(送信の場合にはミキサ104aやア
ンプ106)の非直線性を考慮にいれなければならなく
なるからである。発生させたチャープ信号を送信信号と
して用いる場合、振幅Aが時刻tによらず一定であれ
ば、ミキサ104aやアンプ106の非直線性にもかか
わらずかつ格別の処理なしに、送信信号について規定さ
れている周波数帯域幅制限を満たすことができる。
【0047】チャープ信号とスペクトル拡散通信 このようなチャープ信号は、スペクトル拡散通信に用い
ることができる。
【0048】まず、周波数オフセットがfからf´
に変化した場合、式(3)により表される周波数f
(t)は次の式(5)により表されるf´(t)に、式
(2)により表される位相φ(t)は次の式(6)によ
り表されるφ´(t)に、それぞれ変化する。
【0049】
【数5】 f´(t)=α/2・t+f´ … (5)
【数6】 φ´(t)=2πf´(t)t+φ =2πf(t+1/α・(f´−f)) ・(t+1/α・(f´−f))+φ =φ(t+1/α・(f´−f))+φ´ =φ(t+dt)+φ´ … (6) 但し、φ´及びdtは、次の式(7)及び(8)で表
される。
【0050】
【数7】 φ´=π/α・(f´−f)・(f´+f) … (7)
【数8】 dt=t+1/α・(f´−f) … (8) 従って、この場合のチャープ信号の周波数特性h´
(t)は、次の式(9)で表される。
【0051】
【数9】 h´(t)=A(t)exp(jφ´(t)) =A(t)exp(j(φ(t+dt)+φ´))… (9) 一方、式(1)に示される特性h(t)を有するリニア
チャープ信号を送信し、受信側が時刻t+dtにおいて
この信号を受信したとすると、受信された信号は、次の
式(10)で表される特性h''(t)として表現でき
る。
【0052】
【数10】 h''(t)=h(t+dt) =A(t+dt)exp(jφ(t+dt)) … (10) 従って、式(9)のh´(t)と式(10)のh''
(t)の相違は、時間により変化しない項φ´のみで
ある。これは、リニアチャープ信号を用いて通信を行っ
た場合に得られる受信信号が、概ね、h(t)にdtに
よる遅延の他に、周波数オフセット又は位相オフセット
の変化を加えた信号となることを意味している。一般
に、送受信点間の距離は不定であり、また送受信のクロ
ックは非同期であるから、dtの影響や周波数オフセッ
ト又は位相オフセットの変化の影響は無視することがで
きる。また、dtがt−tより十分小さければ、d
tの影響はさらに小さくなる。言い換えれば、チャープ
信号を用いることにより、送受信間で非同期の通信を実
現できる。
【0053】また、チャープ信号を用いたスペクトル拡
散通信を実現できれば、情報の秘匿性や、雑音に対する
強さも得られる。チャープ信号たるスペクトル拡散変調
信号を復調するためには、変調時に用いたチャープ信号
との相関を演算する必要があり、そのための手段として
は、マッチドフィルタを用いるのが好ましい。マッチド
フィルタにより得られる相関がピークとなるタイミング
で受信信号を復調すれば、信号伝搬経路差がある信号を
分離できるためマルチパス等により生じる干渉をある程
度除去できる。
【0054】チャープ式SAWスペクトル拡散変調の原
次に、本発明におけるチャープ式スペクトル拡散変調の
原理について説明する。
【0055】まず、SAWフィルタの周波数特性は、入
力電極による電気音響変換の項と、圧電基板上をSAW
が伝搬するのに要する時間を示す項と、出力電極による
音響電気変換の項と、の積で表される。従って、実施例
における入力電極2の電気音響変換に係る周波数特性を
(ω)、共通電極3の音響電気変換に係る周波数特
性をS(ω)、入力電極2と共通電極3の間のSAW
伝搬時間をTとすると、電極2及び3によって構成さ
れるSAWフィルタの周波数特性S(ω)は、
【数11】 S(ω)=S(ω)S(ω)exp(−jωT) … (11) となる。周波数特性がI(ω)で表されるインパルス
(但し、送信データによって変調されているとする)が
電極2に入力されると、電極3からは次のような周波数
特性H(ω)を有する電気信号が得られる。
【0056】
【数12】 H(ω)=I(ω)S(ω) =I(ω)S(ω)S(ω)exp(−jωT) … (12) 従って、電極2及び3から構成されるSAWフィルタに
よってチャープ信号を得るためには、チャープ信号(時
間特性h(t))のフーリエ変換をH(ω)とした場合
に、電極2及び3の周波数特性S(ω)及びS
(ω)が式(12)の関係を満たしていなければなら
ない。すなわち、電極2及び3は、その周波数特性S
(ω)及びS(ω)が式(12)を満たし従って電極
3から周波数特性H(ω)のチャープ信号が得られるよ
う、その重み付けが設計される。
【0057】チャープ式SAWスペクトル拡散復調の原
このように設計された電極3を用い、チャープ信号によ
るスペクトル拡散変調された信号を復調するためには、
電極3からみて電極2とは逆側に電極4を設けると共
に、この電極4を次のような設計にする必要がある。
【0058】この設計の前提となる原理としては、式
(11)の関係は、入出力の関係を入れ替えても変化し
ない、という原理がある。すなわち、実施例中の電極3
を入力電極として用い、電極2を出力電極として用いた
SAWフィルタの周波数特性も、式(11)で示される
特性S(ω)となる。
【0059】また、SAWフィルタにおいては、一般
に、ある電極が圧電基板表面を励振すると、これによっ
て生成されるSAWは圧電基板上を2方向に伝搬してい
く。従って、共通電極3を入力電極として用いた場合に
生成されるSAWは、電極2側に伝搬する一方で電極3
側にも伝搬する。電極4の音響電気変換に係る周波数特
性をS(ω)、SAW電極3と4の間をSAWが伝搬
するのに要する時間をTとした場合、電極3を入力電
極とし電極4を出力電極とするSAWフィルタの周波数
特性S(ω)は、次の式(13)によって表される。
すなわち、逆方向(電極4方向)に送波(又は受波)す
るSAWについては、電極3の周波数特性は複素共役に
係るS (ω)となる。
【0060】
【数13】 S(ω)=S (ω)S(ω)exp(−jωT) … (13) 従って、周波数特性がH(ω)で表されるチャープ信号
が電極3に入力されると、電極4からは、周波数特性が
次のP(ω)で表される電気信号が得られる。
【数14】 P(ω)=H(ω)S(ω) =H(ω)S (ω)S(ω)exp(−jωT) … (14) この信号P(ω)が相関ピークを表すために必要な条件
は、電極3及び4から構成されるSAWフィルタがマッ
チドフィルタであることである。そのためには、マッチ
ドフィルタを構成する際に必要となる負時間の条件を満
すよう時間T、すなわち電極3と4の間隔を設定する
と共に、S(ω)が次の特性となるよう、S
(ω)S(ω)、すなわち電極3及び4の構造
(重み付け)を設計すれば良い。
【0061】
【数15】 S(ω)=H(ω)exp(−jωT) … (15) また、時間領域のサイドローブ(タイムサイドローブ)
を小さくするためには、例えば、電極4からの出力信号
の周波数特性P(ω)が次の式(16)により表される
ものとなるよう、電極4(及び3)をハミング重み付け
すればよい。むろん他の重み付も可能である。
【0062】
【数16】 P=0.08+0.92cos(2π(f−f)/B) (f−B/2≦f≦f+B/2の場合) =0 (その他の場合) … (16) 但し、fは受信信号の中心周波数、Bは使用周波数帯
域幅である。
【0063】2個のSAWフィルタの関連 上述のように電極2〜4を設計することにより、チャー
プ信号を生成し、またこれを変調信号として得られるス
ペクトル拡散変調信号を復調することが可能になる。す
なわち、電極3から電極4方向にSAWを送波する際の
電極4の周波数特性が電極2方向にSAWを送波する際
のそれと複素共役であるため、電極3及び4から構成さ
れるSAWフィルタの周波数特性S(ω)を容易にマ
ッチドフィルタ特性とすることが可能になる。これによ
り、単一の圧電基板1上にチャープ信号生成とチャープ
信号の相関検出という機能を実現できる。
【0064】また、一般に、SAWフィルタにおける電
気機械変換係数は小さく、そのためSAWフィルタの挿
入損失は大きくなる。また、電気機械変換係数が比較的
大きく従って挿入損失を小さくする見込みのある圧電材
料は、温度特性が悪くSAW伝搬遅延時間の温度係数も
大きい(すなわち上述のT及びTが温度変化により
大きく変動する)。SAW伝搬遅延時間の温度係数の符
号を正負反転したものがSAWフィルタにおける周波数
温度係数となるから、SAWフィルタの設計に当たって
は一般に伝搬遅延時間温度係数の大きさが重要な問題と
なる。そのため、従来においては、温度的に安定な水晶
基板が圧電基板として用いられていた。
【0065】これに対し、本実施例においては、単一の
圧電基板1上でチャープ信号の生成及びその相関検出を
行っている。従って、通信装置を使用する全温度範囲に
亘って周波数温度係数が安定であることは必要でなくな
り、信号の送受信を行う2台の通信装置間で有意な周波
数差が存在しなければ良いこととなる。これは、当該2
台の温度差さえ考慮すれば良いことを意味している。一
般に、通信装置を使用する全温度範囲に比べ2台の温度
差は各段に小さいから、本実施例においては、圧電基板
1として水晶以外を用いても良くなり、挿入損失を低減
することが可能になる。
【0066】(5)多重化 上述の実施例の構成は、スペクトル拡散多重通信に適す
る構成である。すなわち、インパルス発生装置102に
おいて、チャープ信号の持続時間より短い時間間隔でイ
ンパルスを発生させるようにすれば、相異なるデータを
搬送するチャープ信号を好適に多重化できる。また、多
重化されたチャープ信号を他のSAWスペクトル拡散通
信装置から受信した場合に、多重化されている各チャー
プ信号から自己相関ピークを好適に分離することができ
る。
【0067】多重化の原理 一般に、SAWデバイスに使用される圧電基板は、非常
に広いパワーレベル範囲に亘って線形性を有する。RF
及びIFにてSAWデバイスが広く用いられるのは、圧
電基板の線形性によって線形性の高い高性能のフィルタ
を実現できるからである。本実施例をチャープ信号の多
重化伝送に適用する際にも、この線形性を利用する。
【0068】いま、インパルス発生装置102から入力
される単発のインパルスを、時間領域でi(t)、周波
数領域でI(ω)と表すこととする。すると、電極2及
び3から構成されるSAWフィルタから出力される応答
は、時間領域では式(17)のh(t)で表され、周波
数領域では式(18)のH(ω)で表される。なお、式
(17)中、演算子*はコンボルーションを示してい
る。
【0069】
【数17】 h(t)=i(t)*s(t) … (17)
【数18】 H(ω)=I(ω)・S(ω) … (18) インパルス発生装置102から、電極2に、2個のイン
パルスが時間間隔tで入力されたとすると、時間間隔
による遅延をexp(−jωt)で表されること
から、2個目のインパルスへの周波数応答は、次の式
(19)の左辺に示されるような応答となる。
【0070】
【数19】 H(ω)・exp(−jωt) =I(ω)・S(ω)・exp(−jωt) … (19) 上述のように、SAWフィルタには良好な線形性がある
ため、式(18)と(19)を重ね合わせることが可能
である。すなわち、電極2及び3から構成されるSAW
フィルタの周波数応答は、時間間隔tで入力される2
個のインパルスに対しては次の式(20)で示されるよ
うな応答となり、時間応答は式(20)の逆フーリエ変
換により得られる式(21)のような応答となる。これ
は、電極2及び3から構成されるSAWフィルタの出力
が、当該SAWフィルタの電極パターンと各インパルス
との相関を加算した信号であることを示している。
【0071】
【数20】 H(ω)・{1+exp(−jωt)} =I(ω)・S(ω)・{1+exp(−jωt)} … (20)
【数21】 h(t)+h(t−t)={i(t)+i(t−t)}*s(t) … (21) 式(20)及び(21)において、2個のインパルスの
時間間隔tをチャープ信号の持続時間より短くした場
合、電極3から出力される信号は、1個目のインパルス
に応答して出力されるチャープ信号と、2個目のインパ
ルスに応答して出力されるチャープ信号とを、多重化し
た信号となる。また、多重化される2個のチャープ信号
は、同一のSAWフィルタによって同一の原理で生成さ
れるため、相互の振幅や位相が非常に揃った信号とな
る。従って、本実施例によれば、スペクトル拡散多重伝
送を行う際に、複数のチャープ信号を単一の信号源(こ
の実施例では電極2及び3から構成されるSAWフィル
タ)によって精度よく発生できるため、回路構成が簡素
になる。
【0072】分解の原理 また、同一周波数帯域に属し異なる符号でスペクトル拡
散された信号同士の相互相関は、一般に、同一符号でス
ペクトル拡散された信号同士の相互相関に比べ悪い場合
が多い。従って、復調側のSAWフィルタ(本実施例で
は電極3及び4から構成されるSAWフィルタ)の出力
に現れる信号のうち、上記異なる符号に係る信号同士の
入力によって生じる時間スプリアスのレベルは、上記同
一の符号に係る信号同士の場合よりも低いことが一般的
である。従って、上述のように同一のSAWフィルタに
よって生成された複数のチャープ信号からは、同一のマ
ッチドフィルタを用いて相関ピークを好適に検出でき
る。さらに、このような原理で生成された多重化チャー
プ信号を他のスペクトル拡散通信装置から受信した場
合、これを電極3に入力することにより得られる相関ピ
ークは、チャープ信号の生成の際に用いたインパルスの
時間間隔tで、各チャープ信号毎に分離して得られ
る。すなわち、電極3及び4から構成されるSAWフィ
ルタの電極パターンと2個目のインパルスに対応するチ
ャープ信号との相関のピークは、このSAWフィルタの
電極パターンと1個目のインパルスに対応するチャープ
信号との相関のピークよりも、時間間隔tだけ後に発
生する。これにより、多重化された複数のチャープ信号
から、分離しながら相関ピークを検出できる。チャープ
信号の生成に使用したインパルスは、それぞれデータに
よって変調されているから、各チャープ信号から相関ピ
ークを分離しながら検出することにより、各データを好
適に再生できる。
【0073】データレートの可変性能 さらに、この実施例によれば、インパルスの時間間隔を
適宜変化させることにより、データレートを変化させる
ことができる。例えば、図3に示されるスペクトル拡散
通信装置201と201´の間の通信状況(雑音や他の
システムからの干渉の度合い等)を考慮にいれて時間間
隔を変えれば、データレートを通信状況に応じたレート
にすることができる。
【0074】(6)その他 なお、電極3及び4から構成されるフィルタの特性は、
電極3及び電極4のいずれを入力電極としても変わらな
い。同様に、電極2及び3から構成されるフィルタの特
性は、電極2及び電極3のいずれを入力電極としても変
わらない。従って、本発明の構成は、電極2及び3を入
力電極として用い電極3及び4を出力電極として用いる
構成に限定されるものではない。また、多重化するチャ
ープ信号の個数は2個に限定されるものではなく、3個
以上であってもよい。また、本発明を多重化に適用する
場合には、各電極のパターンは、多重化されたチャープ
信号が良好な特性となるよう波形整形可能に設定する必
要がある。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
単一の圧電基板上に形成した第1及び第2のSAWフィ
ルタを構成する電極からそれぞれ1個を取り出して共通
電極とし、SAW伝搬方向による共通電極の周波数特性
の複素共役性を利用するようにしたため、チャープ信号
を好適に生成でき、またチャープ信号とスペクトル拡散
変調信号との相関を検出でき、加えてこれらの機能を単
一圧電基板上で好適に実現できる。従って、本発明のチ
ャープ式SAWスペクトル拡散変復調器を搭載すること
により、事務所内のLAN等、スペクトル拡散を伴う双
方向通信を行うスペクトル拡散変復調装置を、より小形
軽量にすることができる。さらに、本発明によれば、複
数のスペクトル拡散通信装置に搭載されるチャープ式S
AWスペクトル拡散変復調器を本発明に係る同一の構成
とすることができるため、同一原理でかつ同一特性の変
復調を各スペクトル拡散通信装置において実現できる。
加えて、本発明によれば、相互に無線通信する複数のチ
ャープ式スペクトル拡散通信装置のいずれにおいても同
一原理でかつ同一特性の変復調が行われるため、チャー
プ式SAWスペクトル拡散復調器の温度安定性を環境温
度基準で絶対的に確保する必要がなくなる。これによ
り、チャープ式スペクトル拡散通信装置の使用可能温度
範囲が広がり、また水晶基板を使用する必要がなくなり
電気音響変換特性の良い材料を使用して挿入損失を低減
可能になる。
【0076】そして、本発明は、a)第1のSAWフィ
ルタの出力電極と第2のSAWフィルタの入力電極を共
通電極とする構成、b)第1のSAWフィルタの出力電
極と第2のSAWフィルタの出力電極を共通電極とする
構成、c)第1のSAWフィルタの入力電極と第2のS
AWフィルタの入力電極を共通電極とする構成のいずれ
によっても実現できる。
【0077】また、本発明によれば入力されるインパル
スの時間間隔を、生成されるチャープ信号の持続時間以
下に設定するようにしたため、多重化されたチャープ信
号が得ることができる。また、この多重化チャープ信号
は、同一のSAWフィルタによって同一の原理で生成さ
れる信号であるため互いに揃った特性となり、多重化チ
ャープ信号を得るために複数の信号源を用いまた加算手
段を用いることが不要になり、チャープ信号の多重化を
簡素な回路構成かつ良好な特性で実現できる。逆に、多
重化チャープ信号を入力した場合には、各チャープ信号
から相関ピークを分離しながら検出することが可能であ
る。また、入力されるインパルスの時間間隔を、例えば
通信状況により変化させれば、データレートを適宜変更
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るチャープ式SAWスペ
クトル拡散変復調器の構成を示す斜視図である。
【図2】この実施例を応用して実現したチャープ式スペ
クトル拡散通信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示されるチャープ式スペクトル拡散通信
装置から構成されるチャープ式スペクトル拡散通信シス
テムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 圧電基板 2 インパルス入力電極 3 共通電極 4 復調信号出力電極 5 インパルス入力端子 6 スペクトル拡散変調信号出力及びスペクトル拡散変
調信号入力端子 7 スペクトル拡散復調信号出力端子 101 チャープ式SAWスペクトル拡散変復調器 102 インパルス発生装置 103 送受信切替器 104a 送信用ミキサ 104b 受信用ミキサ 105 局部発振器 106 高周波パワーアンプ 107 分配器 108 アンテナ 109 ローノイズアンプ 201,201´ チャープ式スペクトル拡散通信装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04J 13/00 - 13/06 H04B 1/69 - 1/713 H03H 9/42 H03H 9/72 JICSTファイル(JOIS) (54)【発明の名称】 チャープ式SAWスペクトル拡散変復調器、これを用いた通信装置及びシステム、チャープ信号 の多重化方法、多重化チャープ信号からの相関検出方法並びにチャープ式SAWスペクトル拡散 変復調器の構成方法

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その表面において弾性表面波を伝搬可能
    な圧電基板と、 上記表面に構成された入力電極及び出力電極を有し、イ
    ンパルスが入力電極に入力された場合に出力電極からチ
    ャープ信号を出力する第1のSAWフィルタと、 上記表面に構成された入力電極及び出力電極を有し、ス
    ペクトル拡散変調された信号が入力電極に入力された場
    合にこの信号とチャープ信号との相関を検出する第2の
    SAWフィルタと、 を備え、 第1のSAWフィルタの入力電極及び出力電極のいずれ
    か一方が第2のSAWフィルタの入力電極及び出力電極
    のいずれか一方と共通の電極として構成され、 弾性表面波を第1のSAWフィルタ側に送波又は受波す
    るのかそれとも第2のSAWフィルタ側に送波又は受波
    するのかの相違により生じる当該共通の電極の周波数特
    性の複素共役性を用い、単一の圧電基板上でチャープ信
    号の生成及び相関検出を行うことを特徴とするチャープ
    式SAWスペクトル拡散変復調器。
  2. 【請求項2】 その表面において弾性表面波を伝搬可能
    な圧電基板と、 上記表面に形成され、インパルスの入力に応じ弾性表面
    波を発生させ圧電基板上の所定方向にこの弾性表面波を
    送波する入力電極と、 上記表面において入力電極から見て上記所定方向に第1
    の所定距離隔てて形成され、入力電極によって送波され
    た弾性表面波を受波した場合にこれをチャープ信号に変
    換して出力する特性を有すると共に、スペクトル拡散変
    調信号の入力に応じ弾性表面波を発生させ圧電基板上で
    入力電極と逆の方向に送波する共通電極と、 上記表面において共通電極から見て入力電極と逆の方向
    に第2の所定距離隔てて形成され、共通電極によって送
    波された弾性表面波を受波した場合に共通電極に入力さ
    れたスペクトル拡散変調信号と上記チャープ信号との相
    関を示す信号を出力する特性を有する出力電極と、 を備え、 弾性表面波を入力電極側から受波するのかそれとも出力
    電極側に送波するのかの相違により生じる共通電極の周
    波数特性の複素共役性を用い、単一の圧電基板上でチャ
    ープ信号の生成及び相関検出を行うことを特徴とするチ
    ャープ式SAWスペクトル拡散変復調器。
  3. 【請求項3】 その表面において弾性表面波を伝搬可能
    な圧電基板と、 上記表面に形成され、インパルスの入力に応じ弾性表面
    波を発生させ圧電基板上の第1の所定方向にこの弾性表
    面波を送波する第1の入力電極と、 上記表面において第1の入力電極から見て上記第1の所
    定方向に形成され、スペクトル拡散変調信号の入力に応
    じ弾性表面波を発生させ圧電基板上で上記第1の所定方
    向と逆の第2の所定方向にこの弾性表面波を送波する第
    2の入力電極と、 上記表面において第1の入力電極から見て上記第1の所
    定方向に第1の所定距離隔ててかつ第2の入力電極から
    見て上記第2の所定方向に第2の所定距離隔てて形成さ
    れ、第1の入力電極によって送波された弾性表面波を受
    波した場合にこれをチャープ信号に変換して出力する特
    性を有すると共に、第2の入力電極によって送波された
    弾性表面波を受波した場合に上記スペクトル拡散変調信
    号と上記チャープ信号との相関を示す信号を出力する特
    性を有する共通電極と、 を備え、 弾性表面波を第1の入力電極側から受波するのかそれと
    も第2の入力電極側から受波するのかの相違により生じ
    る共通電極の周波数特性の複素共役性を用い、単一の圧
    電基板上でチャープ信号の生成及び相関検出を行うこと
    を特徴とするチャープ式SAWスペクトル拡散変復調
    器。
  4. 【請求項4】 その表面において弾性表面波を伝搬可能
    な圧電基板と、 上記表面に形成され、インパルスの入力に応じ弾性表面
    波を発生させ圧電基板上の第1の所定方向にこの弾性表
    面波を送波する一方でスペクトル拡散変調信号の入力に
    応じ弾性表面波を発生させ圧電基板上で上記第1の所定
    方向と逆の第2の所定方向にこの弾性表面波を送波する
    共通電極と、 上記表面において共通電極から見て上記第1の所定方向
    に第1の所定距離隔てて形成され、共通電極によって上
    記第1の所定方向に送波された弾性表面波を受波した場
    合にこれをチャープ信号に変換して出力する特性を有す
    る第1の出力電極と、 上記表面において共通電極から見て上記第2の所定方向
    に第2の所定距離隔てて形成され、共通電極によって上
    記第2の所定方向に送波された弾性表面波を受波した場
    合に上記スペクトル拡散変調信号と上記チャープ信号と
    の相関を示す信号を出力する特性を有する第2の出力電
    極と、 を備え、 弾性表面波を第1の出力電極側に送波するのかそれとも
    第2の出力電極側に送波するのかの相違により生じる共
    通電極の周波数特性の複素共役性を用い、単一の圧電基
    板上でチャープ信号の生成及び相関検出を行うことを特
    徴とするチャープ式SAWスペクトル拡散変復調器。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4記載のチャープ式SAW
    スペクトル拡散変復調器において、 入力されるインパルスの時間間隔が、生成されるチャー
    プ信号の持続時間以下であることを特徴とするチャープ
    式SAWスペクトル拡散変復調器。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のチャープ式SAWスペク
    トル拡散変復調器において、 入力されるインパルスの時間間隔が、可変であることを
    特徴とするチャープ式SAWスペクトル拡散変復調器。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6記載のチャープ式SAW
    スペクトル拡散変復調器において、 入力されるスペクトル拡散変調された信号が、複数のチ
    ャープ信号を多重化した信号であることを特徴とするチ
    ャープ式SAWスペクトル拡散変復調器。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7記載のSAWスペクトル
    拡散変復調器と、 送信すべきデータによって変調されたインパルスをSA
    Wスペクトル拡散変復調器に入力する手段と、 SAWスペクトル拡散変復調器から出力されるチャープ
    信号をスペクトル拡散変調信号として送信出力する手段
    と、 を備えることを特徴とするスペクトル拡散通信装置。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8記載のSAWスペクトル
    拡散変復調器と、 データを搬送しておりチャープ信号によりスペクトル拡
    散変調されている信号を受信し、SAWスペクトル拡散
    変復調器に入力する手段と、 SAWスペクトル拡散変復調器によって検出される相関
    がピークとなるタイミングに従いデータを再生する手段
    と、 を備えることを特徴とするスペクトル拡散通信装置。
  10. 【請求項10】 チャープ信号をスペクトル拡散変調信
    号として送信する請求項8記載のスペクトル拡散通信装
    置と、 チャープ信号によりスペクトル拡散変調された信号を受
    信する請求項9記載のスペクトル拡散通信装置と、 を有することを特徴とするスペクトル拡散通信システ
    ム。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至4記載のSAWスペクト
    ル拡散変復調器に対し、生成されるチャープ信号の持続
    時間以下の時間間隔で一連のインパルスを入力すること
    により、多重化されたチャープ信号を発生させることを
    特徴とするチャープ信号多重化方法。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の方法により多重化さ
    れたチャープ信号をスペクトル拡散変調された信号とし
    て請求項1乃至4記載のSAWスペクトル拡散変復調器
    に入力することにより、当該多重化されたチャープ信号
    それぞれについて相互に分離しながら相関を検出するこ
    とを特徴とする多重化チャープ信号からの相関検出方
    法。
  13. 【請求項13】 第1のSAWフィルタの入力電極から
    送波された弾性表面波が第1のSAWフィルタの出力電
    極によって受波された場合に、入力電極を励振したイン
    パルスをスペクトル拡散したチャープ信号が得られるよ
    う、第1のSAWフィルタの入力電極及び出力電極のパ
    ターンを定め、 第2のSAWフィルタの入力電極から送波された弾性表
    面波が第2のSAWフィルタの出力電極によって受波さ
    れた場合に、入力電極を励振したスペクトル拡散変調信
    号をパルス圧縮した信号が得られるよう、第1のSAW
    フィルタの入力電極及び出力電極のいずれか一方を第2
    のSAWフィルタの入力電極及び出力電極のいずれか一
    方と兼用される共通電極として用いつつ、第2のSAW
    フィルタの入力電極及び出力電極のパターン及びその配
    置間隔を定め、 その表面において弾性表面波を伝搬可能な圧電基板の当
    該表面に、第1のSAWフィルタ及び第2のSAWフィ
    ルタを構成する合計3個の電極を、定めた配置間隔及び
    パターンで形成することにより、 請求項1記載のSAWスペクトル拡散変復調器を構成す
    ることを特徴とする方法。
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