JP3346621B2 - 蓄電池残存容量計測システム - Google Patents

蓄電池残存容量計測システム

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JP3346621B2 JP27240193A JP27240193A JP3346621B2 JP 3346621 B2 JP3346621 B2 JP 3346621B2 JP 27240193 A JP27240193 A JP 27240193A JP 27240193 A JP27240193 A JP 27240193A JP 3346621 B2 JP3346621 B2 JP 3346621B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は蓄電池残存容量計測シス
テムに関し、より詳しくは、例えば商用電源の利用困難
な砂漠地帯,山間地,キャンプ場,海岸,洋上等で電気
機器を利用する場合に使用される蓄電池システム、電気
自動車,太陽光発電等で使用される蓄電池システム、携
帯機器に組み込まれる蓄電池システムに用いられる残存
容量計測システムに関する。
【0002】
【従来の技術】昨今、蓄電池を利用した各種蓄電池残存
容量計測システムが種々の用途に用いられているが、常
に蓄電池に残存している利用可能なエネルギー量(以
下、残存容量という)を知ることは、蓄電池システムを
好適に活用する上で非常に重要である。
【0003】例えば、特に商用電源の利用困難な場所で
多く利用される、太陽電池及び蓄電池等を用いた太陽光
発電システム等では、天候不順な状態が長く続いた場
合、蓄電池の残存容量が適時に分かれば、今は天候の回
復を待つべきなのか、現在利用している負荷を重要度の
低い順に切り離して最小限の負荷でシステムを稼働させ
るべきなのか、などの判断が容易となる。さらに、動力
源が蓄電池に蓄えられている電気自動車等では、常にど
の程度走行可能なのかを知ることは重要である。
【0004】従来、蓄電池の残存容量を計測するシステ
ムとして、例えば蓄電池の端子電圧を測定し、その結果
から残存容量を推定するものや、アンペア時メーター等
が知られている。また、蓄電池の開放電圧と残存容量と
の間には一定の相関関係があることが当業者の間ではよ
く知られており、構成が単純であり精度があまり要求さ
れないシステムでは多く利用されている。さらに、放電
電流量を積算する積算電流量計を利用して残存容量を把
握するものもよく知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、蓄電池
の端子電圧から残存容量を推定するものやアンペア時メ
ーターでは、特に太陽光発電システムや回生エネルギー
を充電エネルギーにする電気自動車等において、充電状
態と放電状態がシステムの稼働時に頻繁かつ同時に発生
するため、それにより発生する誤差が生じて蓄電池の端
子電圧から単純に残存容量を正確に求めることはできな
い。
【0006】また、蓄電池の開放電圧と残存容量との一
定の相関関係を利用したシステムでは、充電によって上
昇した端子電圧を誤って開放電圧と計測してしまうた
め、精度がきわめて悪いものであり、例えば電気自動車
に太陽電池を搭載したようなシステムなど精度がある程
度要求されるものには適用できなかった。
【0007】さらに、積算電流量計を利用したシステム
では、電流値を計測しさらに積算させる必要があり、正
確な演算処理を行うために、例えばマイクロプロセッサ
やA/D変換器等を用いる必要があるので、計測装置全
体が複雑になり、これよる多大な消費電力が常時発生し
てしまうことなどから小規模システムの採用には適して
いなかった。
【0008】
【目的】そこで、本発明は上記従来の諸問題に鑑み案出
されたものであって、簡便な構成でしかも計測手段の消
費電力が非常に少なく常に正確な残存容量を計測するこ
とができる蓄電池残存容量計測システムを提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の蓄電池残存容量計測システムは、蓄電池を
流れる電流の方向及び大きさに応じて電気量を蓄える電
気二重層コンデンサを前記蓄電池に直列接続して、前記
電気二重層コンデンサの端子電圧を検出することによ
り、前記蓄電池の残存容量を測定できるようにして成る
とともに、前記蓄電池の過放電を検出した場合に前記電
気二重層コンデンサを短絡して、前記電気二重層コンデ
ンサの累積誤差の発生を防止する回路を備えたことを特
徴とする。
【0010】
【作用】上記構成の蓄電池残存容量計測システムによれ
ば、きわめて単純な構成で蓄電池の残存容量を、超大容
量で且つ何回でも充放電が可能である電気二重層コンデ
ンサにより、常に正確に測定することが可能であり、消
費電力もほとんど無いので小規模な蓄電池残存容量計測
システムにおいても適用が可能である。
【0011】また、蓄電池がアルカリ蓄電池やリチウム
電池等であれば、蓄電池の充電末期まで端子電圧が変化
せずにほぼ一定となるので、この蓄電池と直列に電気二
重層コンデンサを接続した簡単な回路構成とすること
で、蓄電池への充電放電によって生じる電気量の積算が
電気二重層コンデンサの端子電圧に現れることを利用
し、この電圧を電圧計で読み取ることによって蓄電池の
充電・放電の収支を知ることができる。
【0012】また、積算累積誤差が生じ蓄電池の残存容
量と電気二重層コンデンサの端子電圧との間に比例関係
が保てなくなる可能性があるが、これは次の方法で解決
できる。すなわち、この補正には蓄電池の過放電状態を
検出した時点で電気二重層コンデンサを短絡し誤差をク
リヤーする方法と、過充電を検出した時点で電気二重層
コンデンサを満充電にする方法とで解決できる。
【0013】
【実施例】まず、ブリッジ回路を用いた蓄電池残存容量
計測システムSを説明する。図1に示すように、この蓄
電池残存容量計測システムSは、蓄電池BTの残存容量
を測定できるものであって、測定対象となる蓄電池BT
は、充電電流及び放電電流を検出するための微小抵抗器
RRと直列に接続されている。この微小抵抗器RRは電
流検出用のシャント抵抗器として一般的なものであり、
他の素子等にほとんど影響を与えない程の小さな抵抗
(例えば、10 mΩ程度)を有している。この微小抵抗器
RRの両端には蓄電池BTを流れる電流値に応じた電圧
が発生するが、この電圧を適時増幅し、蓄電池BTを流
れる大きさに応じて、後記する電気二重層コンデンサE
C1でもって、蓄電池BTの残存容量をシミュレートす
るものである。なお、図中RGはレギュレータ、T1〜
T7はトランジスタ、R1〜R10は抵抗、D1〜D4
はダイオードである。
【0014】次に、この蓄電池残存容量計測システムS
の回路構成について詳細に説明する。上述したように、
微小抵抗器RRの両端には電流値に応じた微小な電圧信
号が発生する。この電圧信号を増幅器A1にて所定の大
きさに増幅し、トランジタT1によって同相信号と逆相
信号とに分け、さらにベースドライバーアンプA2,A
3によって、ブリッジ回路上に配置されたトランジスタ
T3,T4,T6,T7をスイッチングする。
【0015】ブリッジ回路の平衡点にある電気二重層コ
ンデンサEC1は、蓄電池BTを流れる電流の方向及び
大きさに応じて充電・放電を行うが、充電電流量に応じ
た電気量が蓄えられる。ここで電気二重層コンデンサE
C1に蓄えられる電荷Q(=C×V)は、静電容量Cが
一定であれば電圧Vに比例する。すなわち、蓄電池BT
の充電電流量に比例した電圧が、電気二重層コンデンサ
EC1の端子電圧として現れる。したがって、この端子
電圧を電圧計V1により計測することによって蓄電池B
Tへの充電量または放電量が正確に推定できる。
【0016】さらに、ブリッジ回路上に配置したトラン
ジスタT3,T4,T6,T7のベースドライバーアン
プA2,A3に充放電効率を考慮して、ゲインに差を与
えることによって蓄電池BTの充放電効率を補正し、蓄
積されている電気量の収支を正確に示すことが可能であ
る。このため、太陽光発電システムや回生制動による充
電と放電が繰り返し行われる電気自動車システムにおい
ても、蓄電池へのエネルギー収支を正確にシミュレート
でき、電気二重層コンデンサの端子電圧はそのまま蓄電
池の残存容量を示すことになる。
【0017】次に、この回路の好適な作動例について詳
細に説明する。蓄電池BTに直列に接続された抵抗RR
によって、蓄電池BTを流れる電流値を電圧信号に変換
し、増幅器A1にて増幅された後、トランジスタT1に
よって分離される。これは電流の流れに応じて極性が変
わるために、ブリッジ回路上に配置したトランジスタT
3,T4,T6,T7をスイッチングし、極性に応じて
ブリッジ回路のバランスを変えて電気二重層コンデンサ
EC1を充電または放電させるためのものである。
【0018】トランジスターT1で分割された信号は、
ベースドライバーアンプA2,A3によって適当なレベ
ルまで増幅された後、ブリッジ回路上に配置されたトラ
ンジスタT3,T4,T6,T7へ送信される。ここ
で、A1を非反転アンプ、A2を反転アンプとすると、
蓄電池BTに充電電流Iが流れた場合、反転アンプA2
の出力は充電電流Iの大きさの応じて増加し、逆にアン
プA3の出力は減少する。この場合、それまでブリッジ
回路においてインピーダンスが高く平衡が保たれ、電気
二重層コンデンサEC1の電荷が充放電もせず、平衡し
ていた状態からトランジスタT3,T7がONするため
に、電気二重層コンデンサEC1を充電する電流Iに比
例した電流Icgが流れ、電気二重層コンデンサEC1の
端子電圧を上昇させる動作を行う。
【0019】また、逆に蓄電池BTが放電し電流Id が
流れた場合は、A3の出力が増加し、A2の出力は減少
する。この場合はトランジスタT6,T4がONするた
めに、電流Idcが流れ電気二重層コンデンサEC1を放
電させることになる。
【0020】太陽光発電システムのように日中太陽の日
射で充電が行われ、夜間放電するようなシステムでは、
充放電の頻度が高く蓄電池への充電量と放電量との収支
と電気二重層への充放電収支に僅かな誤差が有っても、
累積されて誤差が拡大することが考えられる。このよう
な問題に対しては、蓄電池の過充電状態や過放電状態を
検出し、この状態が発生した時点で電気二重層コンデン
サをリセットするようにすれば高い精度を維持できる。
【0021】この目的のために、上記システムでは簡易
な回路を加えている。すなわち、図1において電圧比較
器C1は、基準となる電圧Reと比較し所定の電圧以下
に成った場合にはT4をONさせるように動作する。放
電が行われている状態は、前述のように、ブリッジ回路
上のトランジスターT6,T4がONしているが、過放
電状態になり急激に蓄電池の電圧が降下し所定の電圧に
達した場合は、比較器C1の出力がONとなる。この場
合、それまでONしていたトランジスタT6はトランジ
スタT8によってベースドライバー信号が短絡されOF
Fする。また、トランジスタT4はダイオードD2を通
じて更にベースドライブ信号が継続して加えられる。
【0022】これにより、電気二重層コンデンサEC1
はT4→D4→EC1→T4の閉回路で急速に放電が行
われ、蓄電池BTの残存表示のために設けた電圧計V1
の読みは0になる。勿論、過放電だけでなく過充電状態
を検出してトランジタT3とT7で急速に充電を行う回
路を設けても、より高く精度を向上できることは言うま
でもない。
【0023】次に、上記ブリッジ回路を備えた構成をさ
らに簡素化した本発明の実施例について説明する。すな
わち、電気二重層コンデンサを蓄電池に直列接続して、
電気二重層コンデンサの端子電圧を検出することによ
り、蓄電池の残存容量を測定できるようにし、蓄電池の
過放電を検出した場合に電気二重層コンデンサを短絡し
て、電気二重層コンデンサの累積誤差の発生を防止する
回路を備えた蓄電池残存容量計測システムについて説明
する。図2に示すように、この実施例はアルカリ蓄電池
ATと大容量な電気二重層コンデンサEC2を直接直列
に接続して一体的に構成したものである。一般的に、ア
ルカリ蓄電池は充電末期まで端子電圧が変化せずにほぼ
一定値を示す。このような蓄電池ATと電気二重層コン
デンサEC2を直列に接続すると、上述した実施例と同
様に、電気二重層コンデンサEC2の端子電圧は充電電
流量に応じて上昇するため、直列に接続し一体化した蓄
電池ATも、コンデンサの電圧がプラスされて充電量に
応じて上昇し、鉛蓄電池と同様な特性を示すアルカリ蓄
電池ができ上がる。また前述したように、蓄電池への充
電電気量は電気二重層コンデンサの端子電圧に反映され
るために、アルカリ蓄電池への充電量を正確に、しかも
容易に計測できることになる。図2においても、比較器
C2で過放電を検出した場合、トランジスタT10によ
って電気二重層コンデンサEC2を短絡し累積誤差の発
生を防止している。なお、上述の実施例は一例であって
これらに限定されるものではない。例えば演算結果を見
やすくするために、さらに回路を付加して%表示ができ
るようにすることも可能であり、またこの程度のことは
デジタル表示の電圧計を用いれば容易に実現可能であ
る。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の蓄電池残
存容量計測システムによれば、蓄電池から変動する放電
電流や日射の変動で変化する充電電流等の状態において
も正確に蓄電池を使用中に蓄電池の残存容量を連続的に
監視して正確に信頼性よく表示する事が可能になり、シ
ステムの運用を中断すべきかどうか使用者に知らせる事
が可能となる。また、アルカリ蓄電池のように蓄電池の
端子電圧を計測しても蓄電池の残存容量が把握できなか
ったシステムにおいて、簡単な計測装置で残存容量を計
測でき、端子電圧の変化が少なく且つ残存容量が把握で
きる理想的な蓄電池として構成可能である。また、電気
自動車等の車両では、充電の時期を正確に知らせること
ができ、使用者にとって重要な情報を正確に提供でき
る。さらに、今後発展が期待される電気二重層コンデン
サとの一体化したハイブリッド蓄電池等も構成可能であ
り、残存容量を常に表示する理想的な蓄電池を実現でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】蓄電池残存容量計測システムの一例を示す回路
構成図である。
【図2】本発明に係る蓄電池残存容量計測システムの実
施例を示す回路構成図である。
【符号の説明】
S:蓄電池残存容量計測システム、BT,AT:蓄電
池、EC1,EC2:電気二重層コンデンサ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蓄電池を流れる電流の方向及び大きさに
    応じて電気量を蓄える電気二重層コンデンサを前記蓄電
    池に直列接続して、前記電気二重層コンデンサの端子電
    圧を検出することにより、前記蓄電池の残存容量を測定
    できるようにして成るとともに、前記蓄電池の過放電を
    検出した場合に前記電気二重層コンデンサを短絡して、
    前記電気二重層コンデンサの累積誤差の発生を防止する
    回路を備えたことを特徴とする蓄電池残存容量計測シス
    テム。
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