JP3345151B2 - 複合繊維 - Google Patents

複合繊維

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JP3345151B2
JP3345151B2 JP02822294A JP2822294A JP3345151B2 JP 3345151 B2 JP3345151 B2 JP 3345151B2 JP 02822294 A JP02822294 A JP 02822294A JP 2822294 A JP2822294 A JP 2822294A JP 3345151 B2 JP3345151 B2 JP 3345151B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、ポリアミドを一成分
とした複合繊維に関し、紡糸時のモノフィラメント間の
微膠着を防止し、不織布を作製した場合の各繊維間の開
繊性が非常に良好な複合繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】芯成分にポリエチレンテレフタレ−ト、
鞘成分にナイロン6を複合紡糸して得た芯鞘複合繊維を
用いてなる長繊維不織布は、オランダのアクゾ社からコ
ルバック(COLBACK:商標)として市販されている。しか
しながら、該芯鞘複合繊維を紡糸する際、鞘成分である
ナイロンのガラス転移温度が芯成分であるポリエチレン
テレフタレ−トのガラス転移温度に比較して低いため、
ナイロン6とポリエチレンテレフタレ−トとの結晶性が
大きく異なり、紡糸時に鞘成分のナイロン6が微膠着を
起し、繊維間あるいは繊維束間で接着を生じる。このよ
うな微膠着を有する複合長繊維を用いて不織布を作製し
ようとすると、繊維の開繊性が不良であるため地合いが
悪くなり、外観や風合の良好なウエッブ、不織布を作製
することができなかった。
【0003】また該複合繊維の鞘成分であるナイロン6
は、紡糸直後、その一性質である吸湿により自己伸長を
起こし、その過程で吸湿斑が発生し、糸切れ、毛羽、断
糸等工程上のトラブルが多発したり、巻き取った延伸糸
の品質斑が発生する。このようなナイロン6の膠着防
止、自己伸長、工程上のトラブル防止の方法として様々
な方法が試みられており、その一つとしてナイロン6の
配向結晶化を促進させる方法が挙げられる。たとえば、
紡糸ノズル直下に給水あるいはスチ−ム吹き込み等のシ
ステムを導入する方法、紡糸から巻取までの間に多数の
ロ−ラを設けて紡糸から巻取までの時間を長くし、ある
程度配向結晶化させる方法、延伸倍率を上げて配向結晶
化させる方法等が行なわれている。
【0004】しかしながら、いずれの方法においてもナ
イロン6の配向結晶化は充分ではなく、ナイロン6を鞘
成分とする複合繊維間、あるいは繊維束間の膠着を完全
になくすことはできず、また工程的に無理が生じる場合
もあり、かかる複合繊維を用いては高品質のウエブ、不
織布を得ることはできないのが実情である。
【0005】さらに、ナイロン6とポリエチレンテレフ
タレ−トとは相溶性がないため、通常の複合紡糸法で製
糸した場合、その接合界面で剥離破壊し、低い強度の繊
維しか得られないという問題点をも有していた。そし
て、このような低強度の複合繊維を用いてウエッブ、不
織布を作製しても、得られるウエッブ、不織布の強度が
低いため耐久性を持たせることが困難であった。とく
に、靴、鞄等の内張り材としてかかる不織布が使用され
る場合には、高い不織布強力、柔軟性、耐久性等が要求
されるため、該不織布を構成する複合繊維の耐久性向上
に期待がもたれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
のポリアミドを少なくとも一成分とする繊維における問
題点を解決した、繊維間あるいは繊維束間の膠着がなく
開繊性が良好で、複合繊維における界面剥離耐久性に優
れ、強度等の繊維物性に優れた繊維を提供することにあ
る。また、このような複合繊維を用いた不織布は、地合
が均一であり、高い不織布強力、柔軟性、耐久性に優れ
た高品質の不織布である。
【0007】
【課題を解決するための手段】 本発明の構成は、アイ
オノマ−樹脂が0.5〜20重量%混合されてなるポリ
アミドを一方成分Bとし、ポリエチレンテレフタレ−ト
系ポリエステルを他方成分Aとする複合繊維であって、
(1)成分Aと成分Bの複合比が成分A/成分B=20
/80〜60/40(重量比)であり、(2)成分Bが
繊維表面に露出している断面形状を有することを特徴と
する複合繊維にある。
【0008】 本発明に係わる繊維は前記構成からなる
が、とくに繊維間の膠着を解消するために、ポリアミド
にアイオノマ−樹脂を混合することに特徴を有する。本
発明に係る繊維は、上述したように、アイオノマ−樹脂
を含有するポリアミドを一成分とする複合繊維を包含す
るものであり、複合繊維の断面形状は該ポリアミドが繊
維表面に露出している形状である。このような断面形状
としては公知の複合形状が挙げられ、芯鞘構造、サイド
バイサイド構造等種々の断面構造が挙げられる。以下、
アイオノマ−樹脂を含有するポリアミド成分Bを鞘成分
に、ポリエチレンテレフタレ−ト系ポリエステル成分A
を芯成分にした芯鞘複合繊維を例に説明する。
【0009】本発明に係わる複合繊維の芯成分として使
用されるポリエチレンテレフタレ−ト系ポリエステル
(以下、PET系ポリエステルと略称する)はエチレン
テレフタレ−ト単位からなるポリエステルであるが、鞘
成分を構成するポリアミドとアイオノマ−樹脂との混合
物の融点より低くならない程度、またポリエステルの物
理的、化学的特性を実質的に低下させない程度、たとえ
ば10重量%未満の共重合成分を含んでもよい。共重合
成分としてはイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、
ジフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジ
ピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、プロピレ
ングリコ−ル、テトラメチレングリコ−ル等のジオ−
ル、エチレンオキサイドなどを含んでもよい。
【0010】このPET系ポリエステルには繊維を形成
する際に、機能性付与のために添加され得る各種の添加
剤、たとえば熱安定剤、艶消剤、紫外線吸収剤等を添加
することができる。
【0011】本発明に係わる複合繊維の鞘成分として使
用されるポリアミドは、ポリカプラミド、ポリヘキサメ
チレンアジパミド、ポリテトラメチレンアジパミド、ポ
リヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバ
カミド、ポリヘキサメチレンドデカミド等の通常のポリ
アミドからなり、上記ポリマ−を共重合またはブレンド
したポリマ−を用いることができるが、とくに、ポリカ
プラミドが好ましい。
【0012】本発明に係わる複合繊維の鞘成分の一方の
成分として用いるアイオノマ−樹脂は、α−オレフィン
とα,β−エチレン系不飽和カルボン酸またはそのアル
キルエステルとの共重合体を、1〜3価の金属イオンで
架橋してなる変性ポリオレフィンである。具体的には、
α−オレフィンとしてはエチレン、プロピレン、ブテン
−1、スチレン、α−メチルスチレンなど、α,β−エ
チレン系不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタク
リル酸、マレイン酸、イタコン酸などが、さらにα,β
−エチレン系不飽和カルボン酸のアルキルエステルとし
てはアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、マレイン
酸メチルなどが挙げられる。
【0013】これらの成分からなる共重合体、たとえば
エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/アクリル
酸共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、
エチレン/アクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体を
架橋するために用いらる1〜3価の金属イオンとしては
Na、K、Li、Ca、Ba、Sn、Co、Ni、Z
n、Al、Feなどが挙げられる。
【0014】アイオノマ−樹脂中のα,β−エチレン系
不飽和カルボン酸またはα,β−エチレン系不飽和カル
ボン酸のアルキルエステルの共重合率は0.7〜20モ
ル%の範囲が好ましく、カルボキシル基の中和度は10
〜100%、望ましくは15〜80%の範囲である。こ
のようなアイオノマ−樹脂は重合して使用することがで
きるが、デュポン社の「サ−リン」、三井デュポンポリ
ケミカル社の「ハイミラン」、旭ダウ社の「コ−ボレ
ン」などの市販品を使用することもできる。
【0015】本発明に係わる複合繊維の鞘成分は、ポリ
アミドにアイオノマ−樹脂が0.5〜20重量%混合さ
れてい混合樹脂からなる。アイオノマ−樹脂の混合量が
0.5重量%未満では、繊維間の膠着の改良効果が期待
できない。また、芯鞘界面での芯成分と鞘成分との相溶
化の効果が少なく、芯鞘界面の剥離が生じ易い。一方、
アイオノマ−樹脂の混合量が20重量%を越えると、工
程性が悪化し、複合繊維強度が低下するうえ、かえって
芯鞘界面の剥離が生じ易くなることがある。アイオノマ
−樹脂の混合量は1〜15重量%、とくに2〜10重量
%の範囲が好ましい。
【0016】アイオノマ−樹脂とポリアミドとの混合
は、ポリアミドの重合途中、または重合終了後に重合装
置中にアイオノマ−樹脂を添加して混合したり、それぞ
れのポリマ−をチップの段階でブレンドすることも考え
られるが、複合紡糸前にチップ状あるいは溶融状態で混
合することが、製品品質、工程安定性、作業性、価格等
の点で好ましい。
【0017】本発明に係わる複合繊維の鞘成分と芯成分
との複合比は芯成分/鞘成分=20/80〜60/40
(重量比)である。芯成分の複合繊維における比率が6
0重量%を越えると、芯成分であるPET系ポリエステ
ルの有する剛直性ゆえに繊維の弾性が大きくなり、複合
繊維の柔軟性が損なわれ、該複合繊維を用いて不織布を
作製した場合、不織布の風合が粗硬になり、実用性の低
いものとなってしまう。また芯成分の複合繊維における
比率が20重量%未満の場合、芯成分であるPET系ポ
リエステルによる改質効果が低下し、複合繊維の熱形態
安定性、工程安定性が劣ったものとなる。好ましくは芯
成分の複合繊維における比率が30/70〜50/50
(重量比)の範囲である。なお、この複合比は芯鞘構造
のみならず、サイドバイサイド構造等の複合繊維にもあ
てはまるものであり、同様なことがいえる。
【0018】本発明に係わる複合繊維は、単糸繊度が
0.8〜3.0デニ−ルの範囲であることが好ましい。
単糸繊度が0.8デニ−ル未満であると、該複合繊維を
用いた不織布の風合がより柔軟なものとなり、また不織
布を構成する繊維本数が相対的に増加することにより不
織布のカバ−ファクタ−が大きくなり不織布の地合いが
向上するので好ましくはあるが、一方で単繊維強力が小
さくなるために耐摩耗性が低下し、また染色後の発色性
が低下する欠点を生じる場合がある。単糸繊度が3.0
デニ−ルを越えると、耐摩耗性の点では好ましいが、不
織布の風合の柔軟性、地合いが低下して商品化値の低い
ものしか得られない場合がある。これらの点を考慮する
と、より好ましくは1.0〜2.5デニ−ルの範囲であ
る。
【0019】本発明に係わる複合繊維の強度を3.5g
/デニ−ル以上とするためには、PET系ポリエステル
の極限粘度〔η〕を0.58以上とするとともに、ポリ
アミドの硫酸相対粘度〔ηr〕を2.3以上にすること
が好ましい。
【0020】本発明に係わる複合繊維は、その160℃
における乾熱収縮率が15%以下であることが好まし
い。該複合繊維の乾熱収縮率が15%を越えると、該複
合繊維を用いた不織布が製造工程上受けた熱履歴により
面積収縮を起こし、その品質を損なったり、不良品の発
生、製品の風合の変化を生じる場合がある。より好まし
くは10%以下である。
【0021】本発明に係わる複合繊維は、上記のPET
系ポリエステル、ポリアミドとアイオノマ−樹脂の混合
樹脂を用いて、従来の紡糸装置を改良することなく、従
来の複合紡糸方法で製造することができる。すなわち、
PET系ポリエステルおよびポリアミドとアイオノマ−
樹脂の混合樹脂とを別々の溶融押出機で溶融し、紡糸口
金部で、ポリアミドとアイオノマ−樹脂の混合樹脂が繊
維表面に露出するような任意の複合形態に形状規制して
合流させて紡出する。たとえば複合形状が芯鞘構造の場
合、芯鞘の形状は多芯の芯鞘とすることもできるが、本
発明においては多芯にすることによる特別の効果はな
く、紡糸安定性の面から一芯であることが好ましい。ま
た、芯成分は繊維横断面のほぼ中央に位置するものが好
ましく、偏心芯鞘複合繊維の場合には潜在捲縮性となり
易く、該複合繊維を用いた不織布は表面材との熱接着処
理により捲縮を発現して熱形態安定性が劣ったものとな
り易い。
【0022】紡糸速度は500m/分以上とする。紡出
された糸条は冷風で固化され、ついで油剤を付与され
る。油剤の付着量は、不織布を製造する工程における繊
維の開繊性を良好にするため通常の織物用繊維への付着
量よりも少なめの0.1〜0.6重量%程度にする。油
剤を付与した後、糸条は紡糸速度を制御する引取りロ−
ルによって引き取られる。この引き取られた未延伸糸は
通常一旦巻き取ることなく連続して延伸される(紡糸延
伸直結方式)か、あるいは未延伸糸を一旦巻き取った
後、別工程で延伸される。
【0023】上記紡糸延伸直結方式の場合、通常2段以
上の多段延伸が用いられる。延伸倍率は紡糸条件に応じ
て適宜設定することが可能ではあるが、3.0倍以上
(切断延伸倍率の60%以上)であることが好ましい。
延伸温度は芯成分であるPET系ポリエステルのガラス
転移温度以上であることが好ましい。また、通常、延伸
後に熱固定を行なうが、繊維の熱収縮を抑制して、該複
合繊維を用いた不織布の熱形態安定性を良好にするため
に熱固定温度は110〜160℃の範囲であることが好
ましい。
【0024】次に上記の芯鞘複合繊維を用いた不織布に
ついて説明する。上記のようにして得られた複合繊維
(延伸糸)は、開繊されてコンベア上に捕集され長繊維
ウエッブが形成される。繊維束を開繊する方法はエジェ
クタ−ノズルによる噴射、抵抗板への衝突や高電圧印加
による帯電開繊等によって行なうことができる。
【0025】コンベア上に捕集された長繊維ウエッブに
エンボス加工を施すことにより、鞘成分のポリアミドが
熱圧着されて不織布となる。熱エンボスによる圧着部の
パタ−ンとしてはピンポイント、丸、正方形、長方形な
どの非連続パタ−ンの繰り返し、あるいは連続した線状
など各種の形状が可能であるが、圧着部が連続した線状
である場合には不織布物性の方向性が強くなるため、非
連続性であることが好ましい。圧着部の面積比は5〜2
0%の範囲であることが好ましい。圧着部の面積比が小
さいと不織布の風合は非常に柔軟となるが、不織布強
力、とくに引っ張り強力が著しく低下し、また耐摩耗性
も劣り、実用的でなくなる。また圧着部の面積が大きく
なると、不織布強力は大きくなるが、圧着部での各繊維
の動きが固定されるため不織布の風合が硬くなり商品価
値の低いものとなる。熱圧着の条件は、圧着部で鞘成分
であるポリアミドが十分に接着され、芯成分であるPE
T系ポリエステルが軟化や溶融により強度低下を生じな
い条件で適宜設定することができる。
【0026】上記の不織布は、繊維強度が3.5g/デ
ニ−ル以上の芯鞘複合繊維を用いることにより、そのタ
テ方向およびヨコ方向の破断強度がいずれも35(g/
cm)/(g/m2 )以上となり、耐久性に優れたもの
である。また、上記の不織布の目付はとくに限定される
ものではないが、たとえば靴や鞄の内張り材として用い
る場合、通常70〜250g/m2 、とくに100〜2
00g/m2 の範囲が好適である。
【0027】さらに、上記の不織布は160℃の熱風
中、フリ−の状態で10分間放置したときの面積収縮率
が6%未満であることが好ましい。面積収縮率が大きす
ぎると、たとえば、該不織布を靴や鞄の内張り材として
用いる場合、150〜160℃で表面材と熱接着を行な
うとき表面材に比べて大きく収縮するため、両者でサイ
ズ違いが生じ、製品収率が低下する問題が発生する。こ
のような収縮変化を生じさせないように接着時の圧力を
高くして形状を規制して熱接着すると、不織布が圧縮固
定されてボリュ−ム感のないペ−パ−ライクなものとな
ってしまい、商品価値が著しく下がる。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、
実施例中における各物性は以下の方法により測定、評価
したものである。
【0029】(イ)PET系ポリエステルの極限粘度
〔η〕(dl/g) ポリマ−をフェノ−ル/テトラクロロエタン(等重量)
の混合溶媒に溶解させ、ウベロ−デ粘度計を用いて30
℃で測定した。
【0030】(ロ)ポリアミドの硫酸相対粘度〔ηr〕 ポリマ−を98%硫酸に溶解させ、JIS K 681
0に準じてウベロ−デ粘度計を用いて30℃で測定し
た。
【0031】(ハ)繊維強度(g/デニ−ル)、伸度
(%) JIS L 1013に準じて測定した。
【0032】(ニ)繊維の乾熱収縮率(%) JIS L 1013に準じ、160℃で測定した。
【0033】(ホ)繊維の開繊性の評価 繊維束(単繊維数24〜48本)を梨地クロ−ムメッキ
テンションバ−で摩擦し、その開繊性を電子顕微鏡によ
り観察して評価した。 ◎:単繊維が1本ずつバラバラになり、摩擦帯電性によ
り大きく開繊している。 ○:◎程ではないが、単繊維がバラバラになっており、
ある程度開繊している。 △:単繊維の開繊が少なく、摩擦帯電させてもあまり開
繊していない。 ×:単繊維同志が膠着し、束になったままである。
【0034】(ヘ)耐剥離性 延伸を完了した繊維に下記式で示される撚係数kが10
00になるような撚り(T/m)をかけ、ついでその撚
を解舒した繊維を電子顕微鏡写真で観察し、各々のポリ
マ−の剥離状態を評価した。 k=√dr×撚数 dr:単糸繊度 ◎:剥離が全く見られない。 ○:10%未満の単繊維に剥離が見られる。 △:10〜30%の単繊維に剥離が見られる。 ×:30%以上の単繊維に剥離が見られる。
【0035】(ト)不織布の破断強度(g/cm)/
(g/m2 ) JIS L 1094に準拠して測定した。
【0036】(チ)不織布の面積収縮率(%) 不織布を160℃の熱風中、フリ−の状態で10分間熱
処理し、処理前後の不織布の面積変化を%で表示した。
【0037】(リ)不織布の耐摩耗性 JIS L 1076のART摩耗試験法において荷重
395g、回数20回で評価した。判定は◎○△×の4
水準で行ない、◎○が合格、△×が不合格である。
【0038】(ヌ)不織布の柔軟性 タテ、ヨコ各30cmの試料を触感による官能検査で評
価し、それを○△×の3水準で行なった。
【0039】(ル)不織布の染色性 酸性染料により同一条件で染色したときの発色性を目視
により評価した。
【0040】(ヲ)不織布の地合 ◎:不織布を構成する単繊維が均一であり、不織布表面
が密で切れいである。 ○:不織布を構成する単繊維が◎程均一ではないが、不
織布の表面は実用上問題がない。 △:不織布を構成する単繊維が少々不均一で不織布表面
に斑が見られる。 ×:不織布を構成する単繊維が塊になっており、不均一
で不織布表面が雑である。
【0041】実施例1〜2 ナイロン6(宇部興産製、1013BK−1、〔ηr〕
=2.51)とアイオノマ−樹脂(ハイミラン160
1、三井デュポンポリケミカル製、MFR=1.2)と
を、それぞれチップの状態でアイオノマ−樹脂の混合率
が5重量%、15重量%となるように混合し、この混合
ポリマ−を鞘成分とし、〔η〕=0.65のポリエチレ
ンテレフタレ−ト(PET)を芯成分として芯鞘複合紡
糸口金より紡出した。芯成分および鞘成分の割合は表1
に示した。
【0042】口金は孔径0.25mmΦ、孔数48個の
ものを用い、紡糸ヘッド温度290℃で押し出し、温度
80℃の第1ロ−ラにより速度1000m/分で引取
り、そのまま巻き取らずに温度130℃の第2ロ−ラに
より2900m/分で延伸し、2820m/分の速度で
巻き取った。油剤は紡糸ノズルと第1ロ−ラとの間で、
オイリングロ−ラを用いてその付着量が延伸後で0.2
0〜0.25%になるように付着させた。巻き取った繊
維は、単繊維間あるいは繊維束間の膠着、断糸、糸切れ
が全く見られず、長時間安定に紡糸延伸を行なうことが
できた。得られた複合繊維の各物性を表1に示す。
【0043】次に、この複合繊維(延伸糸)を用いて、
特開平5−125649号公報に記載のウエッブ製造装
置によりウエッブを作製した。すなわち、開繊した繊維
束を圧縮空気流とともに噴射させる多錘よりなるエアガ
ンと、その両端に圧縮空気流のみを噴射させるサイドガ
ンとが一列に並び、その下流に四方が平面板で囲われ
た、入口部から出口部に向かいそのスリット幅が狭くな
るように調整されたフ−ドが配置され、該フ−ド中に該
エアガンから噴射された開繊繊維フィラメントが互いに
交絡するように移動する捕集コンベア−上に捕集される
構造のウエッブ製造装置に、上記複合繊維を無撚で供給
して長繊維ウエッブを作製した。
【0044】このウエッブを、圧着部すなわち凸部の形
状が0.4mm×3.0mmの長方形であるエンボスロ
−ルを用いて熱圧着し、長繊維不織布を得た。得られた
長繊維不織布の目付は150g/m2 であり、圧着面積
は10%であった。その物性を表2に示す。表2の結果
から明らかなように、これらの不織布は繊維が均一に開
繊して交絡しており、地合いが良好で、破断強度が高
く、良好な柔軟性、優れた熱形態安定性、耐摩耗性、染
色性、発色性等に優れたものであった。
【0045】比較例1〜2 表1に示す芯成分ポリマ−、鞘成分ポリマ−を用いて、
実施例1と同様にして芯鞘複合繊維を紡糸し、延伸を行
なった。鞘成分としてアイオノマ−樹脂が添加されてい
ない複合繊維は繊維間の膠着が激しく、糸切れ、毛羽等
が発生し、安定に紡糸することができなかった。、ま
た、鞘成分に混合するアイオノマ−樹脂の添加量が多す
ぎる複合繊維は、紡糸、延伸工程性が悪く、繊維強度が
低いものであった。これらの複合繊維を用いて、実施例
1と同様にして不織布を作製したが、いずれも地合い、
柔軟性に劣り、不織布として品質の劣ったものしか得ら
れなかった。とくに、比較例2で得られた不織布は面積
収縮率が大きく、内張り材としては不合格であった。
【0046】実施例3および比較例3〜4 実施例1において、芯成分と鞘成分の複合比を表1に示
すようにする以外は同様にして複合紡糸し、延伸を施し
た。ついで、それぞれの複合繊維を用いて不織布を作製
した。各物性を表1および表2に示す。芯成分であるP
ETの複合比が大きい比較例3で得られた複合繊維は、
複合繊維中に占めるアイオノマ−樹脂が少ないことから
繊維に膠着が見られ、開繊性および耐剥離性が劣った繊
維であった。この複合繊維からなる不織布は柔軟性にか
け、不織布としては不合格であった。また、比較例4で
得られた複合繊維は複合繊維中に占めるアイオノマ−樹
脂が多いため、繊維の開繊性、耐剥離性は良好であった
が、収縮率が大きいため、不織布にした場合、柔軟では
あるが面積収縮率が大きく、内張り材としては不合格で
あった。
【0047】実施例4〜6 実施例1において、複合繊維の繊度を表1に示すように
変更し、紡糸する以外は同様にして紡糸、延伸をし、つ
いで、それぞれの複合繊維を用いて不織布を作製した。
繊度が0.5デニ−ルの極細繊維の紡糸性は糸切れ、毛
羽が見られやや不良であった。また比較例5の複合繊維
からなる不織布は柔軟ではあったが、耐摩耗性の点で劣
り、不織布として実用上はあまり問題はなかったが、用
途に限定があった。また繊度が5デニ−ルの繊維の紡糸
性は良好であったが、該複合繊維からなる不織布は柔軟
性にやや欠け、不織布として実用上はあまり問題はなか
ったが、用途に限定があった。
【0048】実施例7 実施例1において、芯成分として〔η〕=0.55のP
ETを用い、紡糸ヘッド温度を275℃にした以外は同
様にして複合紡糸し、延伸を施した。ついで不織布を作
製した。紡糸ヘッド温度が低いため、ナイロン6の劣化
分解が減少し、紡糸工程性は向上したが、繊維強度が低
く、該複合繊維からなる不織布の耐摩耗性は劣ってい
た。不織布として実用上はあまり問題はなかったが、用
途に限定があった。
【0049】比較例5 アイオノマ−樹脂を5重量%混合したナイロン6のみか
らなり、繊度が2.2デニ−ルの単一繊維を紡糸し、延
伸を施した。紡糸ヘッド温度は265℃、第1ロ−ラ温
度は50℃、第2ロ−ラ温度は130℃で行った。つい
で、この繊維を用いて不織布を作製した。繊維の乾熱収
縮率が大きいので、不織布にした場合の面積収縮率も大
きく、また繊維紡糸工程性が悪いため、斑のある繊維し
か得られず、地合いの非常に劣った不織布しか得られな
かった。
【0050】実施例8 実施例1において、鞘成分に混合するアイオノマ−樹脂
としてハイミラン1555、三井デュポンポリケミカル
製、MFR=10を使用した以外は同様にして複合紡糸
を行ない、延伸時の第2ロ−ラ温度を120℃にして延
伸を施した。ついで該複合繊維を用いて不織布を作製し
た。実施例1で得られた複合繊維に比べて、繊維の乾熱
収縮率が若干高めのため、不織布の面積収縮率が高くは
なっているが、内張り材としては合格レベルであった。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】 本発明の複合繊維は、ポリアミドにア
イオノマ−樹脂を混合させているので、紡糸時における
繊維間あるいは繊維束間の膠着がなく開繊性が良好であ
り、また複合繊維における各成分間の剥離も見られない
ため強度の高いものである。さらに、本発明の複合繊維
を用いて不織布を作製した場合、地合いが良好で、柔軟
性、耐摩耗性にも優れ、たとえば内張り材として有用で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−73114(JP,A) 特開 平7−207527(JP,A) 特開 平5−163618(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 6/90 D01F 8/12 D01F 8/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方成分Aがポリエチレンテレフタレ−
    ト系ポリエステル成分からなり、他方成分Bがポリアミ
    ドとアイオノマ−樹脂との混合成分からなる複合繊維で
    あって、(1)成分Bはポリアミドにアイオノマ−樹脂
    が0.5〜20重量%混合されており、(2)成分Aと
    成分Bの複合比が成分A/成分B=20/80〜60/
    40(重量比)であり、(3)成分Bが繊維表面に露出
    している断面形状を有することを特徴とする複合繊維。
  2. 【請求項2】 成分Aが芯部を、成分Bが鞘部を構成す
    る芯鞘複合繊維であることを特徴とする請求項1に記載
    の複合繊維。
  3. 【請求項3】 単糸繊度が0.8〜3.0デニ−ル、繊
    維強度が3.5g/デニ−ル以上、160℃における乾
    熱収縮率が15%以下であることを特徴とする請求項1
    または2に記載の複合繊維。
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