JP3344624B2 - 建物ユニットの製造方法 - Google Patents

建物ユニットの製造方法

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JP3344624B2 JP12035698A JP12035698A JP3344624B2 JP 3344624 B2 JP3344624 B2 JP 3344624B2 JP 12035698 A JP12035698 A JP 12035698A JP 12035698 A JP12035698 A JP 12035698A JP 3344624 B2 JP3344624 B2 JP 3344624B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐火性能を向上さ
せた建物ユニットの製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】近年、高温における強度が従来の一般構造
用鋼材と比較して高い、いわゆる建築構造用耐火鋼材
(Fire Resistant Steel:FR鋼)が開発されている。
このFR鋼は、鋼材温度 600℃における0.2 %耐力が常
温時規格値の2/3 以上の長期許容耐力を有する。
【0003】一方、耐火被覆材として機能する耐火塗料
が開発されている。この耐火塗料は、高温時( 300℃前
後)に主成分であるポリリン酸アンモニウムが発泡して
断熱性を発揮する。そこで、前記FR鋼よりなる柱や梁
にこの耐火塗料を被覆することにより耐火性能を向上さ
せた建築部材が提案されている。従来、建築現場でこの
ような耐火塗料で被覆された建築部材を使用して建物を
建築していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】現場作業で軸組み工法
により建築する際、建築部材を吊り上げて所定位置に配
置する際、建築部材同士が接触して特に建築部材の側部
の耐火塗料に傷が付くことがある。また、梁同士を接合
する際にもボルト等によってジョイント部の耐火塗料が
剥がれることがある。このように耐火塗料が剥がれてF
R鋼が露出すると、その部分ではこの耐火塗料で被覆さ
れたFR鋼特有の耐火性能が得られなくなっていた。ま
た、耐火塗料の剥がれた部分を現場で塗装し直すと、作
業が面倒であり建築の作業効率を落とすことにもなって
いた。
【0005】そこで、本発明は、耐火塗料で被覆された
耐火鋼特有の耐火性能を建築後においてもそのまま維持
できるユニット式建物の構築方法を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るユニット式
建物の構築方法は、床フレーム、天井フレーム及び柱を
備えたユニットフレームを組み立てて建物ユニットを形
成するとともに、この建物ユニットを複数組み合わせて
ユニット式建物を構築するユニット式建物の構築方法
あって、記床フレーム、天井フレームを形成する長辺
梁、短辺梁及び柱をそれぞれ耐火鋼で構成するととも
に、それらの耐火鋼に耐火塗料を塗布した後、この耐火
塗料が塗布された前記床フレーム、天井フレームの長辺
梁、短辺梁及び柱を使用して前記ユニットフレームを組
み立て、前記柱を保護部材で保護した状態で前記ユニッ
トフレームを建設現場に搬入し、次いで、その建設現場
で前記保護部材を前記柱から取り外した後、前記複数の
建物ユニット同士を組み合わせてユニット式建物を建て
ことを特徴とする。
【0007】または、床フレーム、天井フレーム及び柱
を備えたユニットフレームを組み立てて建物ユニット
形成するとともに、この建物ユニットを複数組み合わせ
てユニット式建物を構築するユニット式建物の構築方法
であって、前記床フレーム、天井フレームを形成する長
辺梁、短辺梁及び柱をそれぞれ耐火鋼で構成し、これら
の長辺梁、短辺梁及び柱を使用して前記ユニットフレー
ムを組み立てた後、このユニットフレームに耐火塗料を
塗布するとともに、前記柱を保護部材で保護した状態で
前記ユニットフレームを建設現場に搬入し、次いで、そ
の建設現場で前記保護部材を前記柱から取り外した後、
前記複数の建物ユニット同士を組み合わせてユニット式
建物を建てるようにしてもよい。そして、前記耐火塗料
の具体例は、ポリリン酸アンモニウムを主成分とするも
のである。
【0008】前記耐火鋼は、背景技術で説明したものと
同じ建築構造用耐火鋼材、いわゆるFR鋼である。この
ようなFR鋼は、規格によって成分が若干異なるが、例
えばNSFR490Aは、C:0.10、Si:0.20、Mn:1.11、P:
0.019 、S:0.003 (各wt%)である。前記建物ユニッ
トには、箱形の建物ユニット、屋根ユニット等の他、斜
線制限に対応した台形状の建物ユニット等も含まれる。
【0009】
【作用】本発明に係るユニット式建物を構成する建物ユ
ニットも通常の建物ユニットと同様、工場で製造され
る。工場でユニットフレームを組立てる際、現場作業の
場合とは異なり、建築部材同士の接触が殆ど発生しない
ため、耐火塗料が剥がれてFR鋼が露出するという虞れ
はなくなる。従って、工場で耐火塗料が塗布されたFR
鋼を使用して建物ユニットを製造することにより、耐火
塗料が塗布されたFR鋼特有の耐火性能を建物ユニット
においてもそのまま維持できる。また、建物ユニットの
柱が保護部材により保護されるので、建物ユニットの積
み込みや積み卸し、あるいは建設現場への搬送時に固い
物に接触しても、塗布した耐火塗料が剥がれる虞がな
い。
【0010】製造された建物ユニットは、個々の建築部
材と比べると、室外側に向いた部分が少ないため、傷が
つきにくくなっているが、柱では室外側に面した側面部
が依然と残っている。従って、このまま建物ユニットを
建築現場に輸送しようとすると、トラック等への積み込
みや積み下ろし作業の際、また輸送途中においても、柱
に固いものが接触して耐火塗料が剥がれる虞れがある。
そこで、本発明に係る建物ユニットの輸送方法として
は、輸送前の工場等で前記ユニットフレームに保護材を
取り付けた後、この状態で前記建物ユニットを建築現場
に輸送し、この建築現場で前記保護材をユニットフレー
ムから取り外すのがよい。
【0011】
【発明の実施の形態】図1を参照して本発明の一実施形
態に係る建物ユニット11及びその製造方法を説明する。
この建物ユニット11は、ユニットフレーム12に床パネル
13、天井パネル14及び図示しない外壁パネルが取り付け
られて構成される。前記ユニットフレーム12は、床フレ
ーム15、天井フレーム16及び柱17を備えて構成される。
【0012】前記床フレーム15は、耐火塗料18で被覆さ
れた建築構造用耐火鋼材(FR鋼)よりなる長辺梁21と
短辺梁22が四角に組まれ、対向する長辺梁21間に複数の
根太が架け渡されたものである。また、天井フレーム16
も、床フレーム15と同様に、耐火塗料18で被覆されたF
R鋼よりなる長辺梁21と短辺梁22が四角に組まれ、対向
する長辺梁21間に複数の小梁23が架け渡されたものであ
る。柱17も、FR鋼が耐火塗料18で被覆されたものであ
る。前記耐火塗料18は、いずれもポリリン酸アンモニウ
ムを主成分としてなる。
【0013】このような建物ユニット11は、次のように
して製造する。先ず、工場において、FR鋼製の柱17、
梁21,22 等にポリリン酸アンモニウムを主成分としてな
る耐火塗料18を塗布する。塗布条件は、建築材料の種
類、用途によっても異なるが、例えば塗布量1400g/m
2 、塗布回数3回として塗膜厚2.2mm 、絶乾かさ比重1.
67g/m3となるように仕上げる。
【0014】なお、必要に応じて耐火塗料18の塗布の前
に所要の錆止め剤を塗ったり、耐火塗料18の表面に所要
の保護剤を塗ったりする。次に、従来と同様に、ユニッ
トフレーム12をこれらの柱17、梁21,22 を使用して組み
立てた後、外壁パネル等をユニットフレーム12に取り付
けて、建物ユニット11を完成させる。
【0015】上記実施形態によれば、建物ユニット11の
柱17や梁21,22で物との接触により耐火塗料18が剥がれ
る虞れのある部分、即ち室外側に露出している部分が少
なく、またこれらの柱17や梁21,22 の各面のうち、多く
の面が床パネル13や天井パネル14等で覆われているた
め、ユニットフレーム12には傷がつきにくい。また、建
物ユニット11のユニットフレーム12には、軸組み構造に
おけるような梁同士等の接合構造が少ないため、ユニッ
トフレーム12を組み立てる際に耐火塗料18が剥がれる虞
れも少ない。
【0016】従って、工場で耐火塗料18で被覆されたF
R鋼を使用して建物ユニット11を製造することにより、
建築現場の建物ユニット11においても耐火塗料18で被覆
されたFR鋼特有の耐火性能をそのまま維持できる。な
お、上記実施形態では、耐火塗料18で被覆されたFR鋼
を使用してユニットフレーム12を組み立てたが、FR鋼
を使用してユニットフレーム12を組み立てた後、このユ
ニットフレーム12に耐火塗料を被覆するようにしてもよ
い。
【0017】次に、図1,2を参照して建物ユニット11
の輸送方法を説明する。保護材としてセラミックファイ
バー等よりなる保護シート24を用意し、図2に示すよう
に、工場でこの保護シート24をユニットフレーム12の柱
17の室外側に面した両側面部に取り付けてバンド25で固
定する。この後、建物ユニット11に図示しない養生シー
トを被せる。
【0018】このように柱17に保護シート24が取り付け
られた状態の建物ユニット11をトラック等に積載して建
築現場に輸送した後、建築現場で前記保護シート24を柱
17から取り外す。この後、通常通り、複数の建物ユニッ
ト11を組み合わせてユニット式建物を建築する。この建
物ユニット11の輸送方法によれば、柱17が保護シート24
で保護されているため、トラック等への積み込みや積み
降ろし作業の際、また輸送途中において、柱17に固いも
のが接触しても耐火塗料18が剥がれる虞れはなくなる。
【0019】次に、図3を参照して建物ユニット11の他
の輸送方法を説明する。この輸送方法では、保護材とし
て金属製の保護カバー26を用意する。この保護カバー26
は、ユニットフレーム12の柱17の両側面部に沿ったL字
形の側部27を有する。この保護カバー26の上面部28に
は、建設現場で建物ユニット11がクレーン等で吊り下げ
られる際に使用するボルト29の挿通用孔部31が形成され
ている。そして、工場でこの保護カバー26を柱17の室外
側に面した両側面部に取り付け、吊り下げ用ボルト29を
前記孔部31を通して柱17の雌ねじ孔部19に螺合させるこ
とにより保護カバー26を建物ユニット11に固定する。こ
の後、最初の輸送方法と同様に、建物ユニット11を建築
現場に輸送した後、建築現場で前記保護カバー26を柱17
から取り外す。
【0020】この輸送方法によっても、建物ユニット11
の輸送途中における耐火塗料18の剥がれを防止できる。
また、吊り下げ用ボルト29及び柱17の雌ねじ孔部19を利
用して保護カバー26を取り付けられるようにしたので、
保護カバー26の取り付けが容易になる。なお、前記吊り
下げ用ボルト29の代わりに、通常のボルトを使用しても
よい。
【0021】次に、図4を参照して建物ユニット11の他
の輸送方法を説明する。この輸送方法においては、養生
シート32として保護材である保護パッド33が取り付けら
れたものを用意する。この養生シート32は、上面部34と
側面部35よりなり、この側面部35は連続して形成された
ものである。前記側面部35には、建物ユニット11に被せ
る際、余裕を持たせるためのフレヤー36を有する。前記
保護パッド33は、セラミックファイバー等よりなるシー
ト状のものであり、養生シート32裏側のユニットフレー
ム12の柱17が位置することになる部分に取り付けられて
いる。
【0022】そして、工場でこの養生シート32を保護パ
ッド33がユニットフレーム12の柱17の部分に位置するよ
うに建物ユニット11に被せ、適当な止め具37でフレヤー
36を側面部35に止める。この後、上記輸送方法と同様に
建物ユニット11を建築現場に輸送した後、建築現場で前
記養生シート32を建物ユニット11から取る。この輸送方
法によっても、建物ユニット11の輸送途中における耐火
塗料18の剥がれを防止できる。
【0023】次に、図5を参照して建物ユニット11の更
に他の輸送方法を説明する。この輸送方法において使用
する養生シート38は、前記と同様に保護材である保護パ
ッド39が取り付けられたものである。但し、この養生シ
ート38の場合、側面部が連続したものではなく、各側面
部41に分離しており、ファスナーで閉じられるようにな
っている。
【0024】そして、工場でこの養生シート38を保護パ
ッド39がユニットフレーム12の柱17の部分に位置するよ
うに建物ユニット11に被せ、側面部41間をファスナーで
閉じる。この後、上記輸送方法と同様に、建物ユニット
11を建築現場に輸送した後、建築現場で前記養生シート
38を建物ユニット11から取る。この輸送方法によって
も、建物ユニット11の輸送途中における耐火塗料18の剥
がれを防止できる。
【0025】
【発明の効果】本発明に係るユニット式建物の構築方法
によれば、ユニットフレームの室外側に露出している部
分が少ないため、耐火塗料が塗布された耐火鋼特有の耐
火性能を建築後においてもそのまま維持できる。また、
建物ユニットの柱が保護部材により保護されるので、建
物ユニットの積み込みや積み卸し、あるいは建設現場へ
の搬送時に固い物に接触しても、塗布した耐火塗料が剥
がれる虞がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る建物ユニットの製造
方法を示す斜視図である。
【図2】建物ユニットの輸送方法を示す要部斜視図であ
る。
【図3】他の建物ユニットの輸送方法を示す要部斜視図
である。
【図4】他の建物ユニットの輸送方法を示す要部斜視図
である。
【図5】更に他の建物ユニットの輸送方法を示す要部斜
視図である。
【符号の説明】
11 建物ユニット 12 ユニットフレーム 17 柱 18 耐火塗料
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−124816(JP,A) 特開 平4−48047(JP,A) 特開 昭61−168676(JP,A) 特開 昭54−155697(JP,A) 特開 平2−35145(JP,A) 特開 昭61−98848(JP,A) 実開 昭60−117952(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 床フレーム、天井フレーム及び柱を備え
    たユニットフレームを組み立てて建物ユニットを形成す
    るとともに、この建物ユニットを複数組み合わせてユニ
    ット式建物を構築するユニット式建物の構築方法であっ
    て、 記床フレーム、天井フレームを形成する長辺梁、短辺
    及び柱をそれぞれ耐火鋼で構成するとともに、それら
    の耐火鋼に耐火塗料を塗布した後、この耐火塗料が塗布
    された前記床フレーム、天井フレームの長辺梁、短辺梁
    及び柱を使用して前記ユニットフレームを組み立て、前
    記柱を保護部材で保護した状態で前記ユニットフレーム
    を建設現場に搬入し、次いで、その建設現場で前記保護
    部材を前記柱から取り外した後、前記複数の建物ユニッ
    ト同士を組み合わせてユニット式建物を建てることを特
    徴とするユニット式建物の構築方法。
  2. 【請求項2】 床フレーム、天井フレーム及び柱を備え
    たユニットフレームを組み立てて建物ユニットを形成す
    るとともに、この建物ユニットを複数組み合わせてユニ
    ット式建物を構築するユニット式建物の構築方法であっ
    て、 前記床フレーム、天井フレームを形成する長辺梁、短辺
    及び柱をそれぞれ耐火鋼で構成し、これらの長辺梁、
    短辺梁及び柱を使用して前記ユニットフレームを組み立
    てた後、このユニットフレームに耐火塗料を塗布する
    ともに、前記柱を保護部材で保護した状態で前記ユニッ
    トフレームを建設現場に搬入し、次いで、その建設現場
    で前記保護部材を前記柱から取り外した後、前記複数の
    建物ユニット同士を組み合わせてユニット式建物を建て
    ることを特徴とするユニット式建物の構築方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のユニット式建物
    の構築方法において、 前記耐火塗料がポリリン酸アンモニウムを主成分とする
    ことを特徴とするユニット式建物の構築方法
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