JP3342306B2 - 耐溶接割れ性に優れた溶接ワイヤ及びこれを用いた溶接方法 - Google Patents
耐溶接割れ性に優れた溶接ワイヤ及びこれを用いた溶接方法Info
- Publication number
- JP3342306B2 JP3342306B2 JP21930196A JP21930196A JP3342306B2 JP 3342306 B2 JP3342306 B2 JP 3342306B2 JP 21930196 A JP21930196 A JP 21930196A JP 21930196 A JP21930196 A JP 21930196A JP 3342306 B2 JP3342306 B2 JP 3342306B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- welding
- phase
- wire
- corrosion
- resistance
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Arc Welding In General (AREA)
Description
れた溶接ワイヤ及びこれを用いた溶接方法に関する。
例えば自動車用品の一部に亜鉛メッキ鋼板が使用されて
いたが、最近ではこれに代えて耐食性鋼材、特に鋼管が
使用されるようになってきた。
鋼材を用いれば、亜鉛メッキを省略できてコストを下げ
られ、また亜鉛の存在が溶接に対して与える悪影響を除
くことができて有利であるが、この耐食性鋼材を従来の
溶接ワイヤを用いて溶接したとき、溶接割れが生じやす
いことが判明した。
溶接にはJISのYGW16相当の溶接ワイヤを用いた
マグ溶接若しくはミグ溶接が多く行われてきた。ここで
YGW16ワイヤの代表的合金組成は以下の通りであ
る。 C:0.06%,Si:0.70%,Mn:1.30
%,P:0.010%,S:0.015%,残部Fe
材、例えば高リン高銅組成を有する耐食性鋼材の溶接を
行ったとき、溶接割れが生じやすいことが判明したので
ある。
iを少量加え耐シールド性を高めた組成のものも好んで
使用されているが、本発明者等の経験によると、Nbや
Tiの添加は溶接割れの点からは一層好ましくないこと
が分かった。
事情を背景としてなされたものである。而して本願の発
明は、溶接ワイヤの組成を重量%で、Si:≦0.50
%,Mn:0.4〜2.0%,P:≦0.015%,
S:≦0.005%,O:≦0.01%,且つC+0.
020×Si+0.024×Mn≦0.100であり、
残部実質的にFeから成る組成とすることを特徴とする
(請求項1)。
1の溶接ワイヤを用いて、C:≦0.12%,Si:≦
0.75%,Mn:0.20〜2.00%,P:0.0
2〜0.15%,Cu:0.01〜0.50%,Cr:
≦1.0%及びNi:≦1.0%を含有し、S:≦0.
04%であって、残部が実質上Feから成る合金組成の
高リン高銅の耐食性鋼材をミグ若しくはマグ溶接法によ
り溶接することを特徴とする。
べく、鋼管を並べて溶接試験を行い、溶接部を調べたと
ころ、溶接が良好に行われた部分と溶接性が悪かった部
分とで成分に相違のあることが判明した。
性の良かった部分の成分のインゴット12と、溶接性の
悪かった部分の成分のインゴット12とをそれぞれ各別
に図3(A)に示すように作成してこれを切断し、ティ
グビードオンプレート溶接試験(但し溶接ワイヤを用い
ない単なる再溶融試験。溶接条件は下記。)を行ない、
そしてこれを同図(B)中イの位置で切断して同図
(C)中溶接部(再溶融部)ロの組織を調べたところ、
それら両インゴット12間で組織が異なっていることが
分かった。 <溶接条件> シールドガス:Ar 溶接電流:160A 溶接速度:20cm/min
ドライトが発達しており、また成分の偏析も多かったの
に対して、溶接性の良好であった部分はデンドライトの
発達が少なく、また成分の偏析も少なかった。
かった部分とで組織の相違が生ずるのは以下の理由によ
るものであると考えられる。
i,Mn量を異ならせたときの状態図を表したものであ
り、δ相の頂点位置Pが(イ)の状態図と(ロ)の状態
図とで異なっている。即ち(ロ)の状態図に対して
(イ)の状態図の方がδ相の頂点位置Pが高C側に位置
している。
量が低い場合、溶接時において溶接部は冷却に伴い、図
(イ)中破線Aに従って状態変化する。他方、ワイヤ中
のC量がP位置で表される量よりも高い場合、冷却時に
おける溶接部は(ロ)中破線Bに従って状態変化する。
化とを比較した場合、Aの場合にはL相(液相)→L+
δ相→δ相→δ+γ相→γ相と変化するにの対して、B
の場合にはL相→L+δ相→L+δ+γ相→δ+γ相→
γ相と変化する。
+δ相)を1回通過するだけであるのに対して、Bの場
合にはL+δ相とL+δ+γ相の2つの固−液共存相を
通過することとなり、その際に包晶反応を生ぜしめてし
まう。
に対して耐性の弱い固−液共存相の状態が長い時間続く
(温度範囲が広い)こととなる。
トがよく発達したり又は発達が少なかったり、また成分
の偏析が多かったり少なかったり、更に溶接割れに対し
て耐性が大であったり小であったりする違いの原因であ
ると考えられる。
にて表される。 C+0.020×Si+0.024×Mn=0.100・・・式(1)´ 上記説明から明らかなように、耐溶接割れが良好となる
のは頂点位置PよりもC量が少ない場合であり、本発明
において以下の式(1)に示す通り C+0.020×Si+0.024×Mn≦0.100・・・式(1) と規定しているのはこのような理由に基づくものであ
る。
ン高銅から成る耐食性鋼材、即ちC:≦0.12%,S
i:≦0.75%,Mn:0.20〜2.00%,P:
0.02〜0.15%,Cu:0.01〜0.50%,
Cr:≦1.0%及びNi:≦1.0%を含有し、S:
≦0.04%であって、残部が実質上Feから成る組成
の鋼材のミグ若しくはマグ溶接に適用して特に好適なも
のである(請求項2)。
の各成分の限定理由を具体的に説明する。 <溶接ワイヤ> Si:≦0.50% Siは脱酸剤として働くが、多量になると溶接金属中の
Si量を高めてPの固溶を妨げる結果、溶接割れを引き
起こす恐れがある。そこで0.50%の上限を設けた。
果があり、また強度・靱性を改善する上でも有用であ
る。しかし0.4%未満では脱酸不足となって溶接欠陥
が発生し易く、一方で2.0%を超えると合金の加工性
を低めて溶接ワイヤへの加工を困難にする上、溶接金属
の強度が高くなり過ぎ、靱性が低下するので0.4〜
2.0%とした。
を0.015%とする。
のため上限を0.005%とする。
端の溶滴が離脱するのを妨げる。そのため、溶滴の移行
性を改善するため、上限を0.01%とした。
≦0.100とする理由については前述した通りであ
る。
度のC量が必要であるが、延性・靱性を低下させないよ
う上限を0.12%とする。
Si量を高めてPの固溶を妨げる結果、溶接割れを引き
起こす恐れがある。そこで0.75%の上限を設けた。
とも0.20%は添加する。しかし過大になると靱性が
低下するので2.00%を上限とする。
かし多量になると材料を脆くする上、溶接金属中に移行
して溶接割れを引き起こすため、上限を0.15%とす
る。
1%以上の添加で得られる。一方、過大な量になると溶
接金属を脆化させるので0.50%までの添加に止め
る。
える。必要な耐食性はそれぞれ1.0%以内で添加すれ
ば得られるので、経済性も考慮して添加量をこの限度と
した。
のため上限を0.04%とする。
る。表1に示す化学組成の溶接ワイヤを用い、以下の合
金組成、即ちC:0.02%,Si:0.01%,M
n:1.01%,Cr:0.10%,Ni:0.20
%,P:0.06%,S:0.01%,Cu:0.20
%,残部Feから成る組成の高リン高銅組成の耐食性鋼
管(外径60mm×長さ300mm,肉厚2mm)10
(図2参照)を3本並べて長さ200mmに亘って以下
の条件で溶接試験を行った。
2(20リットル/min) ワイヤ送給速度:9.8m/min アーク電圧:19V(ミグ溶接),26V(マグ溶接) 溶接速度:100cm/min
価を行った。結果が表1に併せて示してある。
例のものに比べて耐溶接割れ性が良好であることが分か
る。以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一
例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲におい
て、種々変更を加えた態様で実施可能である。
て溶接を行った場合、特に高リン高銅からなる組成の耐
食性鋼材をマグ,ミグ溶接する際に良好に溶接割れを防
止することができ、耐溶接割れ性を向上させることがで
きる。
係の変化によって耐溶接割れ性が影響されることを表す
説明図である。
る。
説明図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、Si:≦0.50%,Mn:
0.4〜2.0%,P:≦0.015%,S:≦0.0
05%,O:≦0.01%且つC+0.020×Si+
0.024×Mn≦0.100であり、残部実質的にF
eから成る耐溶接割れ性に優れた溶接ワイヤ。 - 【請求項2】 請求項1の溶接ワイヤを用いて、C:≦
0.12%,Si:≦0.75%,Mn:0.20〜
2.00%,P:0.02〜0.15%,Cu:0.0
1〜0.50%,Cr:≦1.0%及びNi:≦1.0
%を含有し、S:≦0.04%であって、残部が実質上
Feから成る合金組成の高リン高銅の耐食性鋼材をミグ
若しくはマグ溶接法により溶接することを特徴とする溶
接方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21930196A JP3342306B2 (ja) | 1996-07-31 | 1996-07-31 | 耐溶接割れ性に優れた溶接ワイヤ及びこれを用いた溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21930196A JP3342306B2 (ja) | 1996-07-31 | 1996-07-31 | 耐溶接割れ性に優れた溶接ワイヤ及びこれを用いた溶接方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1043883A JPH1043883A (ja) | 1998-02-17 |
JP3342306B2 true JP3342306B2 (ja) | 2002-11-05 |
Family
ID=16733356
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21930196A Expired - Fee Related JP3342306B2 (ja) | 1996-07-31 | 1996-07-31 | 耐溶接割れ性に優れた溶接ワイヤ及びこれを用いた溶接方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3342306B2 (ja) |
-
1996
- 1996-07-31 JP JP21930196A patent/JP3342306B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1043883A (ja) | 1998-02-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2009145347A1 (ja) | 凝固結晶粒を微細にする二相ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ | |
JPH1076392A (ja) | 亜鉛メッキ鋼及び亜鉛合金化鋼の溶接用金属芯溶接ワイヤ | |
WO1998010888A1 (fr) | Materiau d'apport pour la soudure d'aciers inoxydables | |
JP2019183208A (ja) | 完全オーステナイト系ステンレス鋼 | |
JP3329261B2 (ja) | 高温高強度鋼用溶接材料および溶接継手 | |
JP3576472B2 (ja) | 低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼用溶接材料および低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のアーク溶接方法 | |
JP3433891B2 (ja) | P添加薄板鋼用ガスシールドアーク溶接ワイヤおよびmag溶接方法 | |
JPH0356833B2 (ja) | ||
JP3900230B2 (ja) | 粉体プラズマ肉盛溶接用粉末材料及び粉体プラズマ肉盛溶接金属 | |
JP2622530B2 (ja) | 高温強度の優れたオーステナイト鋼用溶接材料 | |
KR100709521B1 (ko) | 대입열용접의 용접이음매 및 그 용접방법 | |
JPH044079B2 (ja) | ||
JP3342306B2 (ja) | 耐溶接割れ性に優れた溶接ワイヤ及びこれを用いた溶接方法 | |
JP3009658B2 (ja) | 高Cr鋼材用溶接材料 | |
JP2000015447A (ja) | マルテンサイト系ステンレス鋼の溶接方法 | |
JP3329262B2 (ja) | 耐再熱割れ性に優れる溶接材料および溶接継手 | |
JP3190224B2 (ja) | ステンレスクラッド鋼用潜弧溶接ワイヤ | |
JP3342305B2 (ja) | 耐溶接割れ性に優れた溶接ワイヤ及びこれを用いた溶接方法 | |
JP3184657B2 (ja) | 高Crフェライト系耐熱鋼用被覆アーク溶接棒 | |
JPH09225680A (ja) | フェライト系ステンレス鋼溶接ワイヤ | |
JPH06690A (ja) | Mig溶接用オーステナイト系ステンレス鋼ワイヤ | |
JPH10180488A (ja) | エレクトロガスア−ク溶接用フラックス入りワイヤ | |
JP2004230392A (ja) | マルテンサイト系ステンレス鋼管用溶接材料およびマルテンサイト系ステンレス鋼管の溶接方法 | |
JP2007054868A (ja) | Zn系めっき鋼板用溶接ワイヤー及びZn系めっき鋼板の溶接方法 | |
JP2002275590A (ja) | 溶接部の加工性に優れた溶接用フェライト系ステンレス鋼 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070823 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080823 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090823 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090823 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100823 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100823 Year of fee payment: 8 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110823 Year of fee payment: 9 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110823 Year of fee payment: 9 |
|
R360 | Written notification for declining of transfer of rights |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110823 Year of fee payment: 9 |
|
R370 | Written measure of declining of transfer procedure |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110823 Year of fee payment: 9 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110823 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120823 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120823 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130823 Year of fee payment: 11 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |