JP3341590B2 - イオン注入装置 - Google Patents

イオン注入装置

Info

Publication number
JP3341590B2
JP3341590B2 JP19810496A JP19810496A JP3341590B2 JP 3341590 B2 JP3341590 B2 JP 3341590B2 JP 19810496 A JP19810496 A JP 19810496A JP 19810496 A JP19810496 A JP 19810496A JP 3341590 B2 JP3341590 B2 JP 3341590B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ion
ion implantation
transport system
faraday
abnormality
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP19810496A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1040855A (ja
Inventor
宣夫 長井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissin Electric Co Ltd
Original Assignee
Nissin Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissin Electric Co Ltd filed Critical Nissin Electric Co Ltd
Priority to JP19810496A priority Critical patent/JP3341590B2/ja
Publication of JPH1040855A publication Critical patent/JPH1040855A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3341590B2 publication Critical patent/JP3341590B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、掃引したイオンビ
ームをウエハ等の試料に照射して均一注入を行うビーム
スキャン方式のイオン注入装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】イオン注入装置は、半導体プロセスにお
いてデバイスの特性を決定する不純物を、ウエハ表面に
任意の量および深さに制御性良く注入できることから、
現在の集積回路の製造に重要な装置になっている。
【0003】イオン注入装置の中でも中電流型のもの
は、スポット状のイオンビームを静電的または磁気的に
高周波で掃引する静電スキャン方式または磁界スキャン
方式が用いられる。また、例えば水平方向にイオンビー
ムを掃引すると共に、ウエハを垂直方向に機械的に駆動
(メカニカルスキャン)することによって、ウエハの全
面へのビーム照射を行うハイブリッドスキャン方式の中
電流イオン注入装置もある。
【0004】中電流イオン注入装置においてスキャナに
よるイオンビームの角度走査を行った場合、ウエハ面上
の各点においてイオンビームのウエハへの入射角度が異
なり、この注入角度誤差がデバイスの特性に影響を与え
ることになる。特に、近年は、デバイスの微細化、ウエ
ハの大口径化に伴って、この問題が大きくなっている。
そこで、イオンビームがウエハ上のどの位置でもウエハ
に対して一定の角度で入射するパラレルビームを形成
し、この問題を解消している。
【0005】図4に、パラレルビームを用いたハイブリ
ッドスキャン方式の中電流イオン注入装置のビーム輸送
系の一例を示す。イオンビームは、図示しないイオン源
から引き出された後、所望の質量分析や加速等が行わ
れ、同図のビーム輸送系に導かれる。このビーム輸送系
において、スポット状のイオンビームは、ビームスキャ
ニングマグネット(以下、BSMと称する)51で磁気
的に水平方向に掃引された後、コリメータ52に入射す
る。上記BSM51は、波形コントローラ57が出力す
る三角波状のアナログコントロール信号に従って励磁電
流を変化させるBSMアンプ56により駆動される。上
記コリメータ52は、コリメータ電源58から供給され
る電流によって励磁し、一様な静磁界を発生する電磁石
であって、掃引されたイオンビームを曲げ戻してパラレ
ルビームを形成する。
【0006】上記のパラレルビームは、磁界クランプ5
3を通過した後、図5に示すように、エンドステーショ
ンで垂直方向に駆動されているウエハWの全面に照射さ
れる。ウエハWの上流側にはマスク54が設けられてお
り、その開口54aを通過したイオンビームのみがウエ
ハWへと導かれる。また、上記開口54aの側方にはド
ースファラデ55が設けられており、イオン注入処理中
に当該ドースファラデ55で計測されるビーム電流値に
基づいて、イオン注入量の制御が行われる。
【0007】上記のビーム輸送系において、イオンビー
ムが必要な部分に照射されるためには、図4のBSM5
1にて掃引されたイオンビームのスイープ幅が必要なだ
けあり、且つイオンビームがコリメータ52で適切に曲
げ戻されている必要がある。このため、BSM51およ
びコリメータ52が発生する磁界は、適切なフィードバ
ック系を有するシステム(電源)で一定の値になるよう
にローカルに制御されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、装置の
故障やソフトバグ等の予期せぬ原因で、イオン注入処理
中に、BSM51やコリメータ52の発生磁界がずれて
しまう可能性がある。尚、従来より、コリメータ電源5
8の電流を計測した値などのモニタ信号が許容範囲から
外れた場合にインターロックがかかるようにはなってい
るが、以下の理由によって異常検出の精度が悪くなる場
合がある。
【0009】すなわち、ビーム輸送系のパラメータは、
イオン種・ビームエネルギー等のイオン注入条件が変わ
る毎に様々な値を取り得るため、異常判定のための判断
基準をどのような値にするかが問題である。通常は、計
算や経験によって判断基準を設定しているのであるが、
あまり許容範囲を狭く設定し過ぎると、イオン注入条件
によっては正常であるにも関わらずインターロックが作
動してしまいシステムの運用に支障を来すことにもなる
ので、ある程度の許容範囲を確保しなければならない。
このため、ビーム輸送系の何れかのパラメータに均一注
入に悪影響を与えるような誤差が生じても、インターロ
ックが作動しない場合もあり得るのである。
【0010】一例として、BSM51の発生する高周波
磁界が変化してビームスイープ領域が左右にずれた場合
を考える。図6中の(a)はスイープ状態が正常な場合
であり、この状態から同図(c)に示すようにビームス
イープ領域が右側にずれた場合には、ドースファラデ5
5のモニタ値が0になるのでこの異常を検出することが
できるが、同図(b)に示すようにビームスイープ領域
が逆方向にずれた場合には、ドースファラデ55にもビ
ームが入射されるので、この異常を検出することができ
ない。
【0011】尚、ビームのスイープ領域やスイープ幅が
正常であることだけの確認であれば、図7に示すよう
に、照射領域の両サイドにドースファラデ55・55を
設け、当該両ファラデにイオンビームが入射されている
ことを確認するという方法も考え得る。しかしながら、
この場合、ビームの照射に寄与しない部分が多くなり、
イオンビームの利用効率が低下する。さらにこの場合、
イオンビームの平行度・入射角度の異常などのコリメー
タ52の磁界が変化した場合に発生する異常は検出する
ことができない。
【0012】本発明は、上記に鑑みてなされたものであ
り、その目的は、ビーム輸送系の異常を高精度で検出す
ることができるイオン注入装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係るイ
オン注入装置は、試料にイオンビームを照射したときの
状況を実測して、ビーム輸送系(ビーム掃引手段を具備
し、イオンビームを掃引しながら下流の注入室へと導く
ビームライン)で掃引したイオンビームが正常であるこ
とを確認するビームチェック手段を備え、掃引ビームを
試料に照射して均一注入を行うものであって、上記の課
題を解決するために、以下の手段が講じられていること
を特徴としている。
【0014】すなわち、上記イオン注入装置は、ビーム
チェック手段が実際のイオン注入処理前にイオンビーム
の正常状態を確認したとき、このときのビーム輸送系の
パラメータの計測値を異常判定の判断基準値として設定
する基準値設定手段と、実際のイオン注入処理中に、ビ
ーム輸送系のパラメータの計測値と上記判断基準値とを
比較して異常の有無を検出する異常検出手段とを備えて
いる。
【0015】上記の構成によれば、実際のイオン注入処
理前に、ビームチェック手段が、試料にイオンビームを
照射したときの状況を実測して、ビーム輸送系で掃引し
たイオンビームが正常であることを確認する。このよう
にイオンビームの正常状態を確認した上で、基準値設定
手段がこのときのビーム輸送系のパラメータの計測値を
異常判定の判断基準値として設定する。これにより、イ
オン種・ビームエネルギー等のイオン注入条件が変わる
毎に様々な値を取り得るビーム輸送系のパラメータに対
して、注入条件に応じた最適な判断基準値を設定するこ
とができる。
【0016】そして、実際のイオン注入処理中は、異常
検出手段が、ビーム輸送系のパラメータの計測値と上記
判断基準値とを比較して異常の有無を検出するので、ビ
ーム輸送系の異常によって注入異常が発生するような状
況を確実に検出することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図
1ないし図3に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。
【0018】本実施の形態に係るイオン注入装置は、パ
ラレルビームを用いたハイブリッドスキャン方式であ
り、パラレルビームの形成に磁界スキャナと静磁界を発
生する電磁石からなるコリメータとを使用している。
【0019】イオンビームは、イオン源から引き出され
た後、所望の質量分析や加速等が行われ、図1に示すビ
ーム輸送系に導かれる。ビーム輸送系は、ビーム掃引手
段を具備し、イオンビームを掃引しながら下流の注入室
へと導くビームラインである。このビーム輸送系には、
上流側から、ファイナルエネルギーマグネット(以下、
FEMと称する)1、BSM2、およびコリメータ3が
この順に設けられている。
【0020】上記FEM1は、質量分析マグネットであ
り、ビーム輸送系の前段で質量分析され且つ加速部にお
いて所定の最終エネルギーに達したイオンビームに対し
て再度質量分析することにより、エネルギーコンタミネ
ーションを完全に除去するフィルタとして機能する。こ
のFEM1を出たイオンビームは、分析スリットとして
の機能と共に、注入位置におけるビームの発散角を制御
する機能も併せて有する可動スリット4を通過してBS
M2へ入射する。
【0021】上記BSM2は、可動スリット4を通過し
たスポット状のイオンビームを高周波数で磁気的に水平
方向に掃引する磁界スキャナである。このBSM2は、
BSMアンプ5(BSM2を励磁する電源)から供給さ
れる励磁電流により駆動される。上記BSMアンプ5
は、波形コントローラ6が出力する三角波状のコントロ
ール信号に従って励磁電流を変化させる。
【0022】上記波形コントローラ6は、図2に示すよ
うに、CPU(Central ProcessingUnit)6a、バッフ
ァメモリ6b、D/A変換器6c、および図示しないハ
ードディスクドライブ等の外部記憶装置を備えている。
この波形コントローラ6は、複数の注入条件に応じた複
数の波形データを外部記憶装置に記憶しており、ここか
ら注入条件に応じた波形データを読み出してバッファメ
モリ6bへ転送し、バッファメモリ6b内の波形データ
をD/A変換器6cでアナログに変換してコントロール
信号を生成する。また、この波形コントローラ6は、後
述するビーム掃引速度均一性の測定結果から掃引波形の
修正(波形データの補正)を行う機能を有する。
【0023】図1に示すように、上記BSM2で掃引さ
れたイオンビームは、コリメータ3に入射する。このコ
リメータ3は、コリメータ電源7から供給される電流に
よって励磁し、一様な静磁界を発生する電磁石であっ
て、掃引されたイオンビームを曲げ戻してパラレルビー
ムを形成する。
【0024】上記のパラレルビームは、磁界クランプ1
0を通過してエンドステーション(注入室)の方へ進行
する。図3に示すように、エンドステーションでは、ウ
エハW(試料)が図示しない駆動機構によって上下方向
に駆動されるようになっている。ウエハWの上流側には
マスク11が設けられており、その開口11aを通過し
たイオンビームのみがウエハWへ到達する。
【0025】上記マスク11の開口11aの側方には、
イオン注入処理中にビーム電流の計測を行うためのドー
スファラデ12が設けられている。イオン注入処理中に
は、掃引ビームの一部がドースファラデ12に入射し、
当該ファラデで計測されるビーム電流値に基づいて、イ
オン注入量の制御が行われる。
【0026】また、上記マスク11の開口11aの上方
には、複数の小型ファラデカップ(以下、小ファラデと
称する)がビーム掃引方向に所定間隔で並設されてなる
フロントファラデ13が設けられている。このフロント
ファラデ13は、後述のバックファラデ15と共に、ビ
ームの平行度・掃引速度均一性・スイープ幅などを測定
するためのビーム計測系として使用される。このフロン
トファラデ13および上記ドースファラデ12が取り付
けられたマスク11は、駆動機構14によって上下移動
可能であり、フロントファラデ13の使用時には、掃引
ビームがフロントファラデ13に入射する位置までマス
ク11が下降する。
【0027】また、ウエハWのさらに下流には、複数の
小ファラデがビーム掃引方向に所定間隔で並設されてな
るバックファラデ15が設けられている。このバックフ
ァラデ15の使用時には、掃引ビームがバックファラデ
15に直接入射するように、ウエハWおよびそれを保持
する図示しないプラテンが退避する。
【0028】また、磁界クランプ10の上流側のコリメ
ータ3の出口付近には、ダンプファラデ16が設けられ
ている。このダンプファラデ16は、BSM2の掃引磁
場がゼロであり且つコリメータ3の設定が正しいときに
イオンビームが通るコース上に設置され、FEM1の磁
束密度を調整するためのビーム電流計測系として使用さ
れる。
【0029】イオン注入装置は、上記の各種ファラデを
用いたビーム計測システム17(図1)を利用して、実
際のイオン注入処理前に、試料にイオンビームを照射し
たときの状況を実質的に実測する機能を有する。そし
て、実処理前のビーム状態の確認処理として、実際のビ
ーム照射領域にどの様なビームがどの様にやってくるか
(ビームの掃引速度均一性、ビームの平行度およびスイ
ープ幅など)をビーム計測システム17を用いて実測
し、最適なビーム状態になるように必要に応じてビーム
輸送系の各種パラメータを調整することができる。
【0030】上記の実処理前のビーム状態の確認処理
(ビームチェック機能)について次に説明する。本実施
の形態では、このビーム状態の確認処理は、波形コント
ローラ6によって行われるようになっており、図1に示
すように、ビーム計測システム17による計測データ
は、波形コントローラ6に取り込まれている。
【0031】図2に示すように、波形コントローラ6
は、注入処理条件に応じた波形データをバッファメモリ
6bへロードし(注入処理条件に応じた登録データがな
い場合は歪みのない三角波のデータをロードし)、この
波形データから生成したコントロール信号をBSMアン
プ5に出力している。これにより、所望の掃引波形によ
ってイオンビームが掃引される。
【0032】このとき、図3中に仮想線で示されるよう
に、掃引ビームがフロントファラデ13に入射する位置
までマスク11を下降させ、フロントファラデ13の各
小ファラデでビーム電流を計測する。上記フロントファ
ラデ13のどの小ファラデにビームが入射しているかを
見る(ビーム電流を検出している小ファラデを調べる)
ことによって、ビームのスイープ幅およびスイープ中心
を確認することができる。また、掃引ビームがマスク1
1の開口11aを通過する位置までマスク11を上昇さ
せ、ドースファラデ12とバックファラデ15とを同時
にONにし、両ファラデが完全にスイープレンジに入っ
ていることも確認する。そして、もし、ビームのスイー
プ幅等が不適切であれば、BSMアンプ5の出力調整が
行われる。
【0033】次に、ビームの平行度・掃引速度均一性の
確認について説明する。
【0034】図2に示すように、フロントファラデ13
およびバックファラデ15の各小ファラデに入射したビ
ームの電流は、ビーム電流変換器18においてディジタ
ルに変換されて波形コントローラ6へ取り込まれる。
【0035】上記のフロントファラデ13およびバック
ファラデ15の小ファラデは、スイッチの切り替えによ
り、それぞれ独立してビーム電流が計測可能である。し
たがって、これらの小ファラデのうちの1つを選択し、
ビームの掃引を行っている際の掃引電流に対応するコン
トロール信号電圧と当該小ファラデで計測されるビーム
電流量を測定することにより、イオンビームがその選択
された小ファラデの位置にやってくる時のコントロール
信号電圧を測定できる。この測定を全ての小ファラデに
対して行うことにより、コントロール信号電圧値とビー
ムの掃引方向位置との関係式が得られる。
【0036】そして、注入位置(ウエハWの位置)を前
後に挟んだフロントファラデ13とバックファラデ15
とにより、それぞれ上記の関係式を求める。あるコント
ロール信号電圧値(それに対応する掃引電流値)では、
イオンビームは1つのコースを飛行することから、上記
の2つの関係式を用いれば、フロントファラデ13とバ
ックファラデ15との間のビームの飛行コースが決定で
きる。この飛行コースの傾きが平行からのずれ(ビーム
の平行度)を表す。そこで、もしビームの平行度が悪か
ったときには、コリメータ電源7の出力電流を調整して
コリメータ3の磁束密度を修正する。
【0037】尚、コリメータ3の磁束密度を修正すれ
ば、その影響がビームのスイープ中心やスイープ幅にも
及ぶので、これらを再確認して修正し、その後再度ビー
ムの平行度を確認する。
【0038】また、フロントファラデ13およびバック
ファラデ15と注入位置(ウエハWの位置)との位置関
係は既知なので、フロントファラデ13およびバックフ
ァラデ15でそれぞれ求めた上記の2つの関係式から、
注入位置におけるコントロール信号電圧とビームの掃引
方向位置との関係式を導くことができる。更に、コント
ロール信号電圧と時間との関係は既知であることから、
時間と注入位置上(ウエハ面上)におけるビームの掃引
方向位置との関係が求められる。すなわち、注入位置上
におけるビーム掃引速度がわかるのである。
【0039】イオン注入量は、ウエハ面上でのビーム掃
引速度に反比例するので、上述のようにビーム掃引速度
がわかれば注入均一性を予測することができる。そし
て、予測された注入均一性が悪い場合は、波形コントロ
ーラ6は、予測均一性のデータに基づいて掃引波形(バ
ッファメモリ6b内の波形データ)を補正し、注入位置
において均一な速度でビームを掃引させるための新たな
掃引波形を作成する。
【0040】上記のようにして、ビーム状態を実測して
正常な掃引ビームが得られていることを確認してから、
実際のイオン注入処理に移行するので、均一性の高いイ
オン注入が可能である。
【0041】また、本実施の形態のイオン注入装置は、
注入均一性異常の未然防止による信頼性の高い注入処理
を実現するために、以下に説明するインターロックシス
テムを具備している。
【0042】このインターロックシステムは、図1に示
す波形コントローラ6およびシステムコントローラ19
が、ビーム輸送系の各種パラメータを監視することによ
って実現されるものであり、実際のイオン注入処理中に
パラメータが許容範囲を越えて変化した場合には、イオ
ン注入処理が中断されると共に、異常の発生を報知する
警報(ディスプレイへの表示やブザーの鳴動等)が行わ
れる。
【0043】異常判定に用いられるビーム輸送系のパラ
メータとしては、FEM1の磁束密度、FEM1の電源
の出力電流値、BSMアンプ5の出力電流(その最大・
最小値や波形)、コリメータ3の磁束密度、およびコリ
メータ電源7の出力電流値などがある。
【0044】前述のように、ビーム輸送系のパラメータ
は、イオン種・ビームエネルギー等のイオン注入条件が
変わる毎に様々な値を取り得るため、異常判定のための
判断基準(許容範囲)をどのように設定すべきかが問題
であるが、本実施の形態では、上記の実処理前のビーム
状態の確認処理が完了した直後のビーム輸送系の各種パ
ラメータを計測して取得し、その計測値を異常判定の判
断基準値として自動的に設定することにより、この問題
を解消している。具体的なインターロックの内容につい
ては以下に示す。
【0045】先ず、BSM2に関係するインターロック
について説明する。BSMアンプ5の出力電流の監視機
能に関しては、波形コントローラ6に持たせている。B
SMアンプ5には、自己の出力電流を計測してそれをデ
ィジタルに変換するための電流計測部およびA/D変換
部(共に図示せず)が設けられている。そして、BSM
アンプ5は、その出力電流のモニタ信号a(パラメータ
の計測値)を波形コントローラ6へ出力している。
【0046】基準値設定手段としての波形コントローラ
6は、上記の実処理前のビーム状態の確認処理が完了し
た直後に、BSMアンプ5の出力電流のモニタ信号aの
最大・最小値(ピーク値)を取得し、これを異常判定の
判断基準値として図示しないメモリに記憶する。
【0047】そして、実際のイオン注入処理中におい
て、異常検出手段としての波形コントローラ6は、BS
Mアンプ5の出力電流のモニタ信号aの最大・最小値と
上記の判断基準値との差分が許容範囲を越えていないか
を判定し、許容範囲を越えた場合にシステムコントロー
ラ19へ異常発生を示すインターロック信号bを出力す
る。システムコントローラ19は、インターロック信号
bを入力したときにインターロックをかけて注入処理を
中断させる。
【0048】上記のようにモニタ信号aの最大・最小値
をチェックすることによって簡易に異常検出が可能であ
るが、モニタ信号aの波形の全体形状を詳細にチェック
することにより、より高精度な異常検出が可能である。
この詳細なチェックを行う場合には、上記の実処理前の
ビーム状態の確認処理が完了した直後に、BSMアンプ
5の出力電流のモニタ信号aの1周期分の波形データを
判断基準値としてメモリ内に記憶する。そして、実際の
イオン注入処理中は、メモリ内の波形データとモニタ信
号aとを比較してその差分が許容範囲を越えた場合にシ
ステムコントローラ19へインターロック信号bを出力
する。
【0049】モニタ信号aの最大・最小値のチェックま
たはその波形全体のチェックは、イオン注入処理中に常
時実行する、ある一定の時間間隔で実行する、または新
たなウエハWがセットされて注入が開始されたときに実
行する(すなわちウエハ交換毎に実行する)。このチェ
ックの頻度は、波形コントローラ6の処理能力に応じて
決定すればよい。
【0050】次に、コリメータ3に関係するインターロ
ックについて説明する。コリメータ電源7には、自己の
出力電流を計測してそれをディジタルに変換するための
電流計測部およびA/D変換部(共に図示せず)が設け
られている。そして、コリメータ電源7は、その出力電
流のモニタ信号c(パラメータの計測値)をシステムコ
ントローラ19へ出力している。
【0051】また、上記コリメータ3の静磁界形成領域
内にはホール素子8が設けられており、このホール素子
8に接続されたガウスメータ9にてコリメータ3の磁束
密度が計測される。そして、ガウスメータ9は、計測し
た磁束密度をディジタルに変換したモニタ信号d(パラ
メータの計測値)をシステムコントローラ19へ出力し
ている。
【0052】基準値設定手段としてのシステムコントロ
ーラ19は、上記の実処理前のビーム状態の確認処理が
完了した直後に、コリメータ電源7の出力電流のモニタ
信号cおよびコリメータ3の磁束密度のモニタ信号dの
値をそれぞれ取得し、これを異常判定の判断基準値とし
て図示しないメモリに記憶する。
【0053】そして、実際のイオン注入処理中におい
て、異常検出手段としてのシステムコントローラ19
は、コリメータ電源7の出力電流のモニタ信号cの値と
上記の判断基準値との差分、およびコリメータ3の磁束
密度のモニタ信号dの値と上記の判断基準値との差分が
それぞれ許容範囲を越えていないかを監視し、何れか一
方でも許容範囲を越えた場合にインターロックをかけて
注入処理を中断させる。
【0054】このように、コリメータ3の磁束密度とそ
の励磁電流とを両方とも監視しているのは、クロスチェ
ックのためであり、何れか一方の監視のみでも構わない
が、システムの二重化という点では両方とも監視するこ
とが望ましい。
【0055】本実施の形態のイオン注入装置の構成で
は、BSM2とコリメータ3とに関するパラメータが注
入均一性に最も影響を与えるので、これらのパラメータ
のチェックについて詳細に説明したが、ビーム輸送系の
他のパラメータのチェックも同様にして実行可能であ
る。例えば、FEM1の磁束密度やその励磁電流値のチ
ェックは、コリメータ3関係のパラメータの場合と同様
である。
【0056】以上のように、本実施の形態に係るイオン
注入装置は、試料にイオンビームを照射したときの状況
を実質的に実測して、ビーム輸送系で掃引したイオンビ
ームが正常であることを確認するビームチェック手段
(ビーム計測システム17および波形コントローラ6)
を備えたものであり、このビームチェック手段が実際の
イオン注入処理前にイオンビームの正常状態を確認した
とき、このときのビーム輸送系のパラメータの計測値を
異常判定の判断基準値として設定(メモリに記憶)し、
実際のイオン注入処理中に、ビーム輸送系のパラメータ
の計測値と上記判断基準値とを比較して異常の有無を検
出する手段(波形コントローラ6およびシステムコント
ローラ19)を備えている構成である。
【0057】また、本実施の形態に係るイオン注入装置
の異常検出方法は、イオン注入装置が有するビームチェ
ック機能(試料にイオンビームを照射したときの状況を
実質的に実測して、ビーム輸送系で掃引したイオンビー
ムが正常であることを確認する機能)を利用して、実際
のイオン注入処理前に、上記のビームチェック機能によ
ってイオンビームが正常であることを確認した上で、こ
のときのビーム輸送系のパラメータを計測してその計測
値を異常判定の判断基準値として取得し、実際のイオン
注入処理中には、ビーム輸送系のパラメータを計測し、
その計測値と上記判断基準値とを比較して異常の有無を
検出することを特徴とする。
【0058】このようなイオン注入装置の構成またはそ
の異常検出方法により、イオン種・ビームエネルギー等
のイオン注入条件が変わる毎に様々な値を取り得るビー
ム輸送系のパラメータに対して、異常判定のための判断
基準値を計算等を行って一々設定(設定変更)すること
なく、最適な判断基準値を容易に設定することが可能で
ある。そして、ビーム輸送系のシステム異常によって注
入異常が発生するような状況を確実に検出し、正確にイ
ンターロックをかけ、均一注入異常を未然に防止するこ
とができる。
【0059】尚、上記の説明では、磁界によってパラレ
ル掃引ビームを形成しているが、これに限定されるもの
ではなく、静電方式のスキャナやコリメータを用いた構
成でも、上記と同様にしてビーム輸送系のパラメータを
チェックすれば、同様の効果が得られる。
【0060】また、上記ではハイブリッドスキャン方式
のイオン注入装置を例示して説明したが、イオンビーム
を所定のX方向(例えば水平方向)およびそれと直交す
るY方向(例えば垂直方向)に二次元的に掃引する方式
のイオン注入装置でも、上記と同様にしてビーム輸送系
のパラメータをチェックすれば、やはり同様の効果が得
られる。
【0061】
【発明の効果】請求項1の発明に係るイオン注入装置
は、以上のように、ビームチェック手段が実際のイオン
注入処理前にイオンビームの正常状態を確認したとき、
このときのビーム輸送系のパラメータの計測値を異常判
定の判断基準値として設定する基準値設定手段と、実際
のイオン注入処理中に、ビーム輸送系のパラメータの計
測値と上記判断基準値とを比較して異常の有無を検出す
る異常検出手段とを備えている構成である。
【0062】それゆえ、イオン種・ビームエネルギー等
のイオン注入条件が変わる毎に様々な値を取り得るビー
ム輸送系のパラメータに対して、注入条件に応じた最適
な判断基準値を設定することができ、ビーム輸送系の異
常によって均一注入異常が発生するような状況を高精度
で検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示すものであり、イオ
ン注入装置におけるビーム輸送系の要部構成を示す説明
図である。
【図2】上記イオン注入装置におけるビーム掃引制御系
の要部構成を示す説明図である。
【図3】上記イオン注入装置におけるエンドステーショ
ンの要部構成を示す斜視図である。
【図4】従来のイオン注入装置におけるビーム輸送系の
要部構成を示す説明図である。
【図5】従来のイオン注入装置におけるエンドステーシ
ョンの要部構成を示す斜視図である。
【図6】ビームスイープ領域のずれを検出する方法を説
明するための説明図である。
【図7】ビームスイープ領域のずれを検出する他の方法
を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 ファイナルエネルギーマグネット(FEM) 2 ビームスキャニングマグネット(BSM) 3 コリメータ 5 BSMアンプ 6 波形コントローラ(ビームチェック手段、基準値
設定手段および異常検出手段) 7 コリメータ電源 8 ホール素子 9 ガウスメータ 12 ドースファラデ 13 フロントファラデ 15 バックファラデ 17 ビーム計測システム(ビームチェック手段) 19 システムコントローラ(基準値設定手段および
異常検出手段) W ウエハ(試料)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 37/317 H01L 21/265

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料にイオンビームを照射したときの状況
    を実測して、ビーム輸送系で掃引したイオンビームが正
    常であることを確認するビームチェック手段を備え、掃
    引ビームを試料に照射して均一注入を行うイオン注入装
    置において、 上記ビームチェック手段が実際のイオン注入処理前にイ
    オンビームの正常状態を確認したとき、このときのビー
    ム輸送系のパラメータの計測値を異常判定の判断基準値
    として設定する基準値設定手段と、 実際のイオン注入処理中に、ビーム輸送系のパラメータ
    の計測値と上記判断基準値とを比較して異常の有無を検
    出する異常検出手段とを備えていることを特徴とするイ
    オン注入装置。
JP19810496A 1996-07-26 1996-07-26 イオン注入装置 Expired - Lifetime JP3341590B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19810496A JP3341590B2 (ja) 1996-07-26 1996-07-26 イオン注入装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19810496A JP3341590B2 (ja) 1996-07-26 1996-07-26 イオン注入装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1040855A JPH1040855A (ja) 1998-02-13
JP3341590B2 true JP3341590B2 (ja) 2002-11-05

Family

ID=16385561

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19810496A Expired - Lifetime JP3341590B2 (ja) 1996-07-26 1996-07-26 イオン注入装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3341590B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2355337B (en) * 1999-10-12 2004-04-14 Applied Materials Inc Ion implanter and beam stop therefor
JP2005285518A (ja) 2004-03-29 2005-10-13 Toshiba Corp イオン注入装置およびイオン注入方法
JP2006140053A (ja) * 2004-11-12 2006-06-01 Ulvac Japan Ltd イオン注入装置
JP2006147244A (ja) * 2004-11-17 2006-06-08 Ulvac Japan Ltd イオン注入装置
US7507978B2 (en) 2006-09-29 2009-03-24 Axcelis Technologies, Inc. Beam line architecture for ion implanter
US7683348B2 (en) * 2006-10-11 2010-03-23 Axcelis Technologies, Inc. Sensor for ion implanter
JP7234066B2 (ja) * 2019-07-19 2023-03-07 住友重機械イオンテクノロジー株式会社 イオン注入装置およびイオン注入方法
CN115621107B (zh) * 2022-07-29 2023-11-07 和舰芯片制造(苏州)股份有限公司 一种离子注入机束流状态侦测方法、装置、设备及介质

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1040855A (ja) 1998-02-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6580083B2 (en) High efficiency scanning in ion implanters
US6437350B1 (en) Methods and apparatus for adjusting beam parallelism in ion implanters
JP5074480B2 (ja) イオンビーム走査制御方法、及びイオンを均一に注入するためのシステム
US7663125B2 (en) Ion beam current uniformity monitor, ion implanter and related method
KR100407579B1 (ko) 이온 주입 시스템의 웨이퍼 홀딩 장치
USRE41214E1 (en) Bi mode ion implantation with non-parallel ion beams
US7462847B2 (en) Ion implanter and ion implantation control method thereof
JP3341590B2 (ja) イオン注入装置
JP3125384B2 (ja) イオン注入装置
KR20140029317A (ko) 이온주입 방법 및 이온주입 장치
JP3358336B2 (ja) イオン注入装置における注入条件異常検出方法
KR20040029140A (ko) 이온 주입기를 튜닝하는 방법 및 장치
US20010027015A1 (en) Ion-implanting method and ion-implanting apparatus
JP4101746B2 (ja) 可変空間繰り返し度の走査線をもつイオン注入のための方法および装置
JP5015464B2 (ja) イオン注入方法およびイオン注入装置
US20150104885A1 (en) Moveable current sensor for increasing ion beam utilization during ion implantation
JP3257206B2 (ja) イオン注入装置
JP3440734B2 (ja) イオン注入装置
JPH07105902A (ja) イオン注入装置
JPH0945274A (ja) イオン注入装置のドーズ量補正装置
JP2591415Y2 (ja) ビーム電流測定装置
JPH08250062A (ja) イオンビームのスキャン幅調整方法
JP3695569B2 (ja) イオン注入装置の検査方法
JPH0547339A (ja) イオン注入装置
JPH06310082A (ja) イオン注入装置におけるビーム軌道の復元方法

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080823

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080823

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090823

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100823

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100823

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110823

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110823

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120823

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120823

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130823

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140823

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term