JP3340122B1 - 漉き絵と漉き絵の製法 - Google Patents

漉き絵と漉き絵の製法

Info

Publication number
JP3340122B1
JP3340122B1 JP2001274640A JP2001274640A JP3340122B1 JP 3340122 B1 JP3340122 B1 JP 3340122B1 JP 2001274640 A JP2001274640 A JP 2001274640A JP 2001274640 A JP2001274640 A JP 2001274640A JP 3340122 B1 JP3340122 B1 JP 3340122B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coloring
coloring material
fibers
pattern
mount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001274640A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003080900A (ja
Inventor
朝則 石川
Original Assignee
朝則 石川
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 朝則 石川 filed Critical 朝則 石川
Priority to JP2001274640A priority Critical patent/JP3340122B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3340122B1 publication Critical patent/JP3340122B1/ja
Publication of JP2003080900A publication Critical patent/JP2003080900A/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paper (AREA)

Abstract

【要約】 【課題】 伝統的な画法とは全く異なり、自然の素材を
活かし、和紙づくりの原理を流用した自然味ある漉き絵
と漉き絵の製法を提供する。 【解決手段】 植物の繊維を主材とし、彩色剤で彩色し
た彩色材を、紙製の台紙に結合させて風景を表現した漉
き絵であり、彩色材は、植物の繊維から油脂分等を除
き、叩解し、漂白し、染色し、色止め処置をしたもので
ある。その製法は、描こうとする風景を幾つかのブロッ
クに区切った形状の型紙P1〜P4を作り、紙を漉いて
台紙1を作り、台紙1が水分を含んでいる間に、型紙P
1〜P4を台紙1の表面に載せて覆い、ついで、一つの
型紙P1を取り除いて、用意しておいた彩色材を流し込
み、その彩色材の余分の水分を飛ばして彩色すると、取
り除いておいた型紙P1を元の位置に戻して彩色済み表
面を覆い、順次、他の型紙P2について彩色作業を繰り
返す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、漉き絵と漉き絵の
製法に関する。さらに詳しくは、これまでにない新規な
彩色材料と全く独自な作画技法を用い、自然の造形美を
表現するのに適した独得の画風を有する漉き絵と漉き絵
の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より伝統的な絵画は、紙や麻布など
の素地の上に、水や油などの媒材で溶いた絵の具、また
は鉛筆やパステル等の固形の絵の具を筆を使って塗り、
さまざまな形、色を表現して、製作されている。これ
が、幾つかの例外はあるものの絵画の技法の常識という
ものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】しかるに、本発明者は上記のような伝統的
な絵画手法とは全く異なる絵画とその製法を見出した。
すなわち、本発明者は長年、和紙の産地において技術者
・研究者として和紙の生産・研究開発に携わってきた
が、愛媛県川之江市に古来から伝わる和紙づくりの技法
を絵画の世界に取り入れ、絵画界に全く新たな境地を切
り開いたのである。その発明は、彩色材に自然の素材で
ある木や草の植物繊維を用い、画法に紙漉きの手法を取
り入れたもので、その名を漉き絵と称するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の漉き絵
は、植物の繊維から油脂分等の不純物を除き、叩解して
バラバラにし、漂白して、染色し、色止め処置をした複
数の植物繊維であって、水に溶きネリを加えてなる彩色
材を、紙製の台紙に繊維同士のからみ合いで結合させ
て自然の風景を表現したことを特徴とする。請求項2の
発明の漉き絵の製法は、(A)彩色材の製造工程と、漉
き絵の準備工程および作画工程とからなり、 (B)前記彩色材の製造工程が、植物の繊維部分を採取
し、該繊維部分から油脂分等の不純物を除去し、その繊
維部分を叩解してバラバラにほぐした繊維の集まりと
し、その繊維の集まりを漂白して任意の色に染色し、染
色された繊維毎に色止め処置をして保存するものであ
り、 (C)前記準備工程が、 描こうとする風景を幾つかのブ
ロックに区切った形状の型紙を作り、前記彩色材を水に
溶き、ネリを加えて水中で均一に分散させ、靭皮繊維を
原料とする和紙を漉いて台紙を作るものであり、 (D)前記作画工程が、前記 台紙が水分を含んでいる間
に、前記複数の型紙を前記台紙の表面に載せて、その表
面を覆い、ついで、一つの型紙を取り除いて、保存して
おいた任意の彩色材を流し込み、その彩色材の余分の水
分を飛ばして繊維同士のからみによって台紙上に固定
ると、取り除いておいた型紙を元の位置に戻して彩色済
み表面を覆い、順次、他の型紙で覆った部分について
任意の彩色材によって上記彩色作業を繰り返すことを特
徴とする。
【0006】請求項1の発明の漉き絵の特徴はつぎのと
おりである。彩色材が不純物を除きながら植物の皮や
繊維の特徴をそのまま残しているものであるので、自然
の風景をそのままミニチュア化したような表現が可能で
あり、従来の画材では不可能な自然の造形美を極めて率
直に表現できる。 彩色材が油脂分等の不純物を除いて
いるので、後々の変色が生じにくく、漂白した後染色す
るので任意の色彩に染めることができる。しかも、不純
物を除いた繊維は繊維同士のからみ合いで接着するの
で、接着剤を用いることなく、台紙との接着が可能であ
る。色止め処置をしているので、変色が生じにくく
期の鑑賞に耐えるという長所がある。請求項2の発明の
漉き絵の製法の特徴はつぎのとおりである。 (1)彩色材の製造工程により、不純物を除去し染色し
て色止めした繊維が得られるので、接着剤を用いないで
植物繊維を台紙上に結合でき、かつ任意の色彩を 用いて
変色もせず従来の画材では不可能な自然の造形美をその
まま表現できる漉き絵を製作することができる。 (2)準備工程によって、型紙と和紙の台紙と彩色材
を、作画の前に用意でき、しかも彩色材は水に溶かして
ネリを加えるという和紙の伝統技術を応用したので、水
で溶いた彩色材にネリを加えて台紙上に流し込むと、彩
色材の繊維が水中で均一に分散し、台紙上で均一にから
みあって台紙に接着するので、自然の風景そっくりの表
現が可能となり、しかも繊維同士の接着力が強いので、
時間が経っても彩色材が自然に剥がれることのない耐久
性のある絵に仕上げることができる。 複数の型紙で台
紙を覆い、一つの型紙を取り除いたあとへ彩色材を流し
込むので、絵のブロック毎に特定の色を配色でき、この
作業を繰り返すことで希望の多種類の配色が可能とな
る。台紙の一部分に着色中は、台紙の他の部分は取り
除いていない型紙で覆われ、彩色材が他の部分へ拡散し
ないように養生ているので、着色済みの部分が別の彩
色材で汚されることがない。 種々の彩色材は台紙に水
分が残っている間に流し込まれるので、彩色材の繊維と
台紙の繊維が水中で密接にからみ合い、水分が蒸発した
後は自然にはがれないように互いに密着する。このた
め、接着剤(糊)を用いることなく自然の素材のみで絵
を作ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施形態を図面
に基づき説明する。図1は本発明に係る漉き絵の製法の
工程図、図2は本発明に係る彩色材の製法の工程図、図
3は漉き絵の製法における準備工程(A),(B),(C)の説
明図、図4は漉き絵の製法における作画工程I〜IIの説
明図、図5は同作画工程III〜IVの説明図、図6は同作
画工程V〜VIの説明図、図7は出来上った漉き絵の一例
の説明図である。
【0008】本発明の漉き絵を完成させるには、まず絵
の具の代わりとなる彩色材を作っておく作業と、漉き絵
そのものを作る作業とが必要である。前者の彩色材も本
発明に特有のものであり、その製法を以下に説明する。
また、後者の漉き絵の製法は、事前の準備工程と実際に
作画していく作画工程とからなり、これも順に説明す
る。
【0009】まず、本発明の漉き絵を完成させるのに必
要な彩色材と、その製法を説明する。本発明で用いる彩
色材は自然の産物である木や草を活かして画材としたの
が特徴である。ただし、そのまま用いたのでは所望の色
彩が得られなかったり、絵に仕上げた後で色落ちするな
どの問題が生ずるので、下記のような彩色材に仕上げる
作業をしなければならない。なお、本発明のような画材
は他に例がないので、その作業も特徴あるものとなって
いる。以下、図2に基づき説明する。 (1) 原材料となる植物繊維を採取する 後述するように彩色材は繊維と繊維の結合により台紙上
に固定するので、彩色材となるのは植物繊維でなければ
ならない。このため、まず木や草を採取し、そのうち皮
や木芯(茎)、葉などの繊維部分を分離して用いる。用
いられる木や草にとくに制限はなく、漉き絵として表現
したい内容に合わせて、任意のものを用いればよい。な
お、好ましい材料としては、コウゾ、ケナフ、木芙蓉、
アカメガシワ、桃の木、ウコン、ススキ、セイタカアワ
ダケ草などが好適である。これらの植物の利用できる部
分には、皮、木芯、葉がある。 (2) 油脂分等を除去する 植物の成分はほぼ半分がセルロースで、残りのさらに半
分前後が繊維どうしを接着しているヘミセルロース、リ
グニン、ペクチン、樹脂などである。後者の油脂分は接
着になじまず、リグニンやペクチンは変色の原因となる
ので、これらを除去しなければならない。そのため、繊
維自体が弱アルカリ性に強いのを利用して、木灰あるい
は消石灰やソーダ灰の溶液で煮て、繊維のまわりの不純
物を溶かし去るか、または、省力法としての苛性ソーダ
で煮るかして、油脂分等の不純物を取り除く。 (3) 叩解する 樹皮などを木芯から剥がしたままでは、まだ繊維が束の
状態なので、大きすぎて使用に適せずバラバラにして好
みの量ずつ使用できるようにしなければならない。その
ため、前記(2) の処理をした後、木棒などでたたいて1
本ずつばらばらにしたり、ミキサーにかけて、水中で撹
拌してばらばらにするとよい。本発明では、このように
繊維をできるかぎり傷めずに取りだして用いるので、植
物繊維の特徴をそのまま絵にあらわすことができる。な
お、叩解の程度も彩色材の用い方に合わせて種々であっ
てよく、綿状になるまで細かくすると、色彩しだいで、
小径、がけ、山、遠景の樹木、空、川など最も用途の広
い使い方ができ、皮の状態だと木の幹などの表現に適
し、葉などを細かくくだくと、樹木の葉の表現に適した
使い方ができる。 (4) 漂白する 叩解された植物繊維を漂白する。この漂白はつぎの染色
のための準備であり、完全に脱色しないと、染色できな
いから、この工程は重要である。漂白の方法としては、
例えば、植物繊維を次亜塩素酸ソーダを水で希釈した液
に漬けて数時間放置し、水で洗えばよい。 (5) 染色する つぎに染色する。自然の色は半年くらいであせてくるの
で、この染色は必須である。染色剤としては市販のもの
が利用可能であり、染色法も任意でよい。例えば、染色
剤を50℃位の温水で希釈し、30分くらい漂白済みの彩色
材を漬けておき、その後、水で洗い余分な色を落とすな
どの方法がとれる。 (6) 色止め処置をする 染色済みの彩色材に色止め処置をする。そのため、色止
め剤を水に希釈し、その中に染色済みの彩色材を漬けて
おく。こうすることにより、長期間色落ちがしなくな
る。 (7) 保存 色止めの完了した彩色材は、実際に漉き絵を製作する時
に備えて保存しておく。保存の仕方は完成した彩色材が
変質しない方法であればよく、例えば、水分を含まない
状態でダンゴ状に固め、乾燥しておいてもよく、水分を
含んだ状態でビン等に密封し、冷蔵してもよい。
【0010】つぎに、漉き絵の製法を説明する。既述の
ごとく漉き絵の製作は、準備工程と作画工程とからな
り、準備工程は図1に示すように、型紙を作る工程(A)
と、彩色材を用意する工程(B) と、台紙を抄紙する工程
(C) とからなる。以下、準備工程を図3に基づき詳述す
る。 (A) 型紙を作る 絵を作成するには、普通、頭の中でイメージが沸いてく
るが、そのイメージを基にして簡単なデッサンをする。
そして、図3の(A) に示すように、イメージまたはデッ
サンに合わせて複数枚の型紙P1〜P4を作る。図3
(A) では、P1が空、P2が丘の斜面、P3が崖、P4
が山の小径の各部分に相当している。この型紙P1〜P
4は、出来上がりの絵とピッタリ一致するものでなくて
よく、大体の形、デザインに合わせたものでよい。なぜ
なら、細かい部分の造形は、後述するように、彩色材を
スプーンですくって台紙上に流していったり、スポイト
等で台紙上においていくことにより行われるからであ
る。 (B) 彩色材を用意する 図3の(B) に示すように、準備工程で保存しておいた彩
色材のうち、作画に使用する数種類を取り出し、同数の
瓶B1、B2…を用意し、それぞれを水で溶き、製紙用
ネリを加えて、均一に溶解する。ここで用いるネリはト
ロロアオイの根やノリウツギの樹皮を打ちくだくと出て
くる粘液で、これを水に入れると、原料の繊維が水中で
均等に分散して浮遊し、沈殿しにくくなる。このネリを
加えるのは、和紙の抄紙技術を応用したもので、彩色材
を水中で均一に分散させ、かつ台紙と彩色材との結合を
促すためである。 (C) 台紙を抄紙する 図3の(C) に示す台紙1は漉き絵の基材となるもので、
油絵のキャンバスに相当するものである。この台紙1
は、漉き枠2(木枠の底に30メッシュの金網を張った
もの)で漉くが、台紙としての強さと、彩色材である繊
維と強力に接着させるため、コウゾ(楮)、ガンピ(雁
皮)、ミツマタ(三椏)などの靭皮繊維を原料として、
手漉きによって作られる和紙が好ましい。和紙製の台紙
の繊維は長い繊維が絡み合っているものなので、彩色材
である木の皮や草などの繊維と水で容易に結合するから
である。しかし、上記以外のパルプを用いて台紙を抄紙
することも可能である。なお、コウゾ、ガンピ(雁
皮)、ミツマタ(三椏)の樹皮は比較的容易に木芯部か
らはがれるが、その樹皮の表皮をそぎ除いた部分に多量
に靭皮繊維が含まれている。コウゾの繊維が最も長く1
0〜20mmほどもあり、絡み合いやすい。ガンピの繊
維は5mm内外と短いが、半透明で光沢があり、ねばり
強い。ミツマタの繊維もガンピと同様に短いが、繊細な
美しさを持つ。また、樹皮だけでなく木芯部も利用でき
る。木芯の木材繊維は幅が0.01〜0.07mm、長さが針葉
樹で3〜4mm、広葉樹で1〜2mm前後の中空の細胞
であり、これらがパルプ繊維と呼ばれている。
【0011】つぎに、実際に作画する作画工程に入る。
この作画工程は、図1に示すように、複数枚の型紙を載
せた台紙上から、1枚ずつ型紙を取り除いていきなが
ら、その部分部分に所望の彩色材をスプーンやスポイド
等で水分を含んだ状態で流していき、絵付けをしていく
というものである。この工程を以下、図4〜図6に基づ
き説明する。 (1) 作画には作業台3を用いる。この作業台3は吸水器
の機能を有するもので、台紙1を漉いた漉き枠2を載せ
る木枠4と、台紙1中の水分を吸引したときに流す漏斗
状の案内筒5と、それに接続した真空ポンプ(図示しな
いが家庭用のバキュームクリーナーなどを利用できる)
で構成される。そして、図4のIに示すように、先に漉
いておいた台紙1を漉き枠2と共に作業台3へ載せて安
定させる。漉きあがったばかりの台紙1は水分を大量に
含んだ状態であるので、作業台3で水分を飛ばし、適度
に湿った状態にする。水分の除去は自然乾燥でもよい
が、真空ポンプ(バキュームクリーナ−)等で吸引する
と早く、水分を飛ばせる。ただし、この段階で、台紙1
は適度な水分を保有していなければならない。本発明で
用いる彩色材は、すべて自然の草木の繊維であり、これ
らを繊維同士のからみ合いで接着するには、台紙1側に
も水分が必要だからである。 (2) 図4のIIに示すように、作業台上の台紙1の上に、
先に作っておいた型紙を並べていく。置き方はもちろん
イメージしていた図柄にあわせなければならない。図で
は4枚の型紙P1〜P4を置いた例を示している。 (3) 絵付けをする 図5のIIIに示すように、複数の型紙P1〜P4のうち
一つの型紙P2を取り除き、絵付けをする。この絵付け
は、所望の彩色材を図3(B) に示す複数のビンB1、B
2…等の一つからスプーンですくいとって、型紙P2を
取り除いた後の台紙上に流し込んだり、スポイトで吸引
して流し込んだりする。この絵付けが終わると、吸引さ
せて余分の水分を取る。これが終わると、図5のIVに示
すように、取り除いておいた型紙P2を再び元の場所に
のせ、次に絵付けする場所の型紙P3をとる。新たに型
紙P3を取外した部分については、前記と同様にして絵
付けを行う。このとき、前に絵付けしておいた部分に載
せた型紙P2は、後の絵付け作業で不要な彩色材が付着
しないように保護する養生紙となる。上記の作業を型紙
P1〜P4の数だけ繰り返す。これにより型紙をおいた
部分の絵付けが出来上る。なお、1枚の型紙部分に彩色
する彩色材は一種類に限ることなく、前に彩色した彩色
材が落ち着いた後、別の彩色材を重ねて流し込んでもよ
く、あるいは前の彩色材が未だ水分を含んでいる間に別
の彩色材を流し込んで混ぜ合わせてもよい。この当りは
描こうとする絵に応じて任意に選択すればよい手法であ
る。また、上記の説明は、型紙が4枚の例であるが、絵
の内容に応じてもっと沢山の型紙を用いる場合があり、
同様にもっと多くの種類の彩色材を用いる場合がある。 (4) 絵付け(その2) 絵の細部については、型紙を用いないで作画する場合も
ある。例えば、図6のVに示すように、木の幹は細長い
繊維をピンセット6でつまんで、そのまま台紙上に置け
ば水分が媒介となって接着するし、同図VIに示すよう
に、破砕状の細かい彩色材もスプーン7等で流し込めば
葉などを表現するのに適している。 (5) 完成 以上のようにして、全ての絵付けを終えて、自然乾燥さ
せると完成する。乾燥した場合、彩色材である繊維は台
紙の繊維と密接にからみ合っているので、自然に剥がれ
ることはない。また、彩色材は色止め処置がされている
ので、長年にわたり作画当時の色を保ち、長期の鑑賞に
耐えることができる。
【0012】図7は完成した漉き絵の一例を示してい
る。本図のA部分は小径を薄茶の彩色材で表現し、B部
分は土が露出した崖を濃茶の彩色材で表現し、C部分は
草やかん木がしげる丘の斜面を主として緑の彩色材で表
現している。Dは立木であり、幹の部分を細長い皮で表
現し、それに粒状の彩色材を散乱させて葉を表現してい
る。このように、本発明の漉き絵は、実際の自然とほぼ
同じ素材を以って和紙上で表現できるので、自然味にあ
ふれた絵に仕上げることができる。
【0013】本発明の漉き絵により表現される絵の内容
はもちろん様々であり、同一内容のものはありえない。
しかし、彩色材が植物繊維であるという素材由来の性状
はすべての漉き絵において同じであり、素材由来の作風
には共通点が存在する。よって、本発明の漉き絵には作
風に関して、工業的再現性が存するものである。
【0014】
【発明の効果】請求項1の発明の漉き絵の特徴はつぎの
とおりである。彩色材が不純物を除きながら植物の皮
や繊維の特徴をそのまま残しているものであるので、自
然の風景をそのままミニチュア化したような表現が可能
であり、従来の画材では不可能な自然の造形美を極めて
率直に表現できる。 彩色材が油脂分等の不純物を除い
ているので、後々の変色が生じにくく、漂白した後染色
するので任意の色彩に染めることができる。しかも、不
純物を除いた繊維は繊維同士のからみ合いで接着するの
で、接着剤を用いることなく、台紙との接着が可能であ
る。色止め処置をしているので、変色が生じにくく
期の鑑賞に耐えるという長所がある。請求項2の発明の
漉き絵の製法の特徴はつぎのとおりである。 (1)彩色材の製造工程により、不純物を除去し染色し
て色止めした繊維が得られるので、接着剤を用いないで
植物繊維を台紙上に結合でき、かつ任意の色彩を用いて
変色もせず従来の画材では不可能な自然の造形美をその
まま表現できる漉き絵を製作することができる。 (2)準備工程によって、型紙と和紙の台紙と彩色材
を、作画の前に用意でき、しかも彩色材は水に溶かして
ネリを加えるという和紙の伝統技術を応用したので、水
で溶いた彩色材にネリを加えて台紙上に流し込むと、彩
色材の繊維が水中で均一に分散し、台紙上で均一にから
みあって台紙に接着するので、自然の風景そっくりの表
現が可能となり、しかも繊維同士の接着力が強いので、
時間が経っても彩色材が自然に剥がれることのない耐久
性のある絵に仕上げることができる。 複数の型紙で台
紙を覆い、一つの型紙を取り除いたあとへ彩色材を流し
込むので、絵のブロック毎に特定の色を配色でき、この
作業を繰り返すことで希望の多種類の配色が可能とな
る。台紙の一部分に着色中は、台紙の他の部分は取り
除いていない型紙で覆われ、彩色材が他の部分へ拡散し
ないように養生ているので、着色済みの部分が別の彩
色材で汚されることがない。 種々の彩色材は台紙に水
分が残っている間に流し込まれるので、彩色材の繊維と
台紙の繊維が水中で密接にからみ合い、水分が蒸発した
後は自然にはがれないように互いに密着する。このた
め、接着剤(糊)を用いることなく自然の素材のみで絵
を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る漉き絵の製法の工程図である。
【図2】本発明に係る彩色材の製法の工程図である。
【図3】漉き絵の製法における準備工程 (A)、(B)、(C)
の説明図である。
【図4】漉き絵の製法における作画工程 I〜IIの説明図
である。
【図5】同作画工程III〜IV の説明図である。
【図6】同作画工程V〜VI の説明図である。
【図7】出来上った漉き絵の一例の説明図である。
【符号の説明】
1 台紙 2 漉き枠 3 作業台 P1、P2… 型紙 B1、B2… 瓶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B44D 2/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】植物の繊維から油脂分等の不純物を除き、
    叩解してバラバラにし、漂白して、染色し、色止め処置
    をした複数の植物繊維であって、水に溶きネリを加えて
    なる彩色材を、紙製の台紙に繊維同士のからみ合いで
    結合させて自然の風景を表現したことを特徴とする漉き
    絵。
  2. 【請求項2】(A)彩色材の製造工程と、漉き絵の準備
    工程および作画工程とからなり、 (B)前記彩色材の製造工程が、 植物の繊維部分を採取し、 該繊維部分から油脂分等の不純物を除去し、 その繊維部分を叩解してバラバラにほぐした繊維の集ま
    りとし、 その繊維の集まりを漂白して任意の色に染色し、 染色された繊維毎に色止め処置をして保存するものであ
    り、 (C)前記準備工程が 描こうとする風景を幾つかのブロックに区切った形状の
    型紙を作り、前記彩色材を水に溶き、ネリを加えて水中で均一に分散
    させ、 靭皮繊維を原料とする和 紙を漉いて台紙を作るものであ
    り、 (D)前記作画工程が、 前記 台紙が水分を含んでいる間に、 前記複数の型紙を前記台紙の表面に載せて、その表面を
    覆い、 ついで、一つの型紙を取り除いて、保存しておいた任意
    彩色材を流し込み、その彩色材の余分の水分を飛ばし
    繊維同士のからみによって台紙上に固定すると、取り
    除いておいた型紙を元の位置に戻して彩色済み表面を覆
    い、 順次、他の型紙で覆った部分について、任意の彩色材に
    よって上記彩色作業を繰り返す(E)ことを特徴とする
    漉き絵の製法
JP2001274640A 2001-09-11 2001-09-11 漉き絵と漉き絵の製法 Expired - Fee Related JP3340122B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001274640A JP3340122B1 (ja) 2001-09-11 2001-09-11 漉き絵と漉き絵の製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001274640A JP3340122B1 (ja) 2001-09-11 2001-09-11 漉き絵と漉き絵の製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP3340122B1 true JP3340122B1 (ja) 2002-11-05
JP2003080900A JP2003080900A (ja) 2003-03-19

Family

ID=19099642

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001274640A Expired - Fee Related JP3340122B1 (ja) 2001-09-11 2001-09-11 漉き絵と漉き絵の製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3340122B1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4520221B2 (ja) * 2004-06-02 2010-08-04 ロンシール工業株式会社 高級和紙

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003080900A (ja) 2003-03-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107825551B (zh) 一种透光竹片的制备方法
Studley The art & craft of handmade paper
KR101518732B1 (ko) 섬유를 활용한 도자공예 장식기법 및 이를 이용한 도자 공예품
CN101049791A (zh) 一种麦秆画的制作方法
Hiebert Papermaking with Garden Plants & Common Weeds
Mullock Xuan paper
JP3340122B1 (ja) 漉き絵と漉き絵の製法
CN106427363A (zh) 麻布画制作方法
CN201380712Y (zh) 一种装饰品
KR100477076B1 (ko) 옻칠을 이용한 국악 현악기용 옻칠울림통의 제조방법
Kennedy Bark-cloth in Indonesia
JP5544468B2 (ja) 繭加工品の製造方法及び繭加工品
Barton et al. The conservation of tapa
Rickman Conservation of Chinese export works of art on paper: watercolours and wallpapers
Norton Technology of plant materials used in artifacts
KR100798643B1 (ko) 양파 및 옥수수 껍질을 이용한 압화작품 및 그 제조방법
CN1056838A (zh) 多种植物拼粘画
JP3215821B2 (ja) 和紙成形物およびその製法
JP2001205969A (ja) 毛筆の製造方法
Nordstrand Chinese double-leaved books and their restoration
Cratty The artistic possibilities of cellulosic fibers
CN101096166A (zh) 一种竹笋画及其制作方法
Khaindrava Problematika restaurování maleb na hedvábí asijské provenience
JP3428932B2 (ja) 撥水性着色紙及びその製品並びに撥水性着色紙の製造方法
Marshall An investigation into archival handmade papers for the South African art market

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100816

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees