JP3338599B2 - 微粉炭の燃焼方法及び微粉炭燃焼装置及び微粉炭燃焼バーナ - Google Patents

微粉炭の燃焼方法及び微粉炭燃焼装置及び微粉炭燃焼バーナ

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微粉炭燃焼装置お
よび微粉炭燃焼バーナおよび微粉炭の燃焼方法に係わ
り、特に微粉炭を気流搬送する燃料ノズルの外周に同心
円状に空気ノズルを備えている微粉炭燃焼装置および微
粉炭燃焼バーナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】微粉炭燃焼においては、窒素酸化物(N
Ox)の発生量を少なく抑えることが要求される。微粉
炭の燃焼時に発生するNOxは、ほとんどが石炭中に含
まれる窒素が酸化されて発生するNOxである。このN
Ox発生量を減らすために、従来から燃焼装置やバーナ
の構成、またその燃焼方法が種々工夫されてきた。
【0003】NOxの発生量を減らす一つの方法とし
て、バーナ内に酸化領域と還元領域を形成するいわゆる
火炎内二段燃焼方法がある。石炭中の窒素が燃焼初期の
熱分解時にシアン化水素(HCN)やアンモニア(NH
3)に分解され気相中へ放出される。これらの窒素化合
物は酸化されてNOxになる一方で、酸素濃度の低い領
域でNOxを還元する効果を有する。
【0004】この火炎内二段燃焼方法は、NH3やHC
NのNOx前駆物質がNOxを還元する反応を火炎内で
効果的に実現したものである。つまりバーナを、微粉炭
を気流搬送する燃料ノズルと、その外周に同心円状に燃
焼用空気を旋回流で噴出する空気ノズルを設けた構造に
している。これにより、火炎内のバーナ近傍では空気不
足の燃料過剰燃焼を行って還元炎領域を拡大し、火炎の
後段では酸素濃度の高い燃焼を行って酸化炎領域形成す
るようにしたものである。このような形式のバーナは、
例えば特開昭60−226609号公報、特開昭61−
22105号公報あるいは特開昭61−280302号
公報などに開示されている。
【0005】最近になり、燃料ノズルから供給される微
粉炭の火炎を安定に形成するために、微粉炭と搬送空気
の供給状態を変える試みがなされている。ノズル内に旋
回流を発生させて微粉炭粒子濃度を調整するバーナは、
例えば特開昭54−159741号公報および特開平3
−241208号公報に示されている。燃料ノズルの内
部に物体を配して粒子濃度を調節するバーナは、例えば
特開平3−110308号公報、特開平4−24404
号公報および特開平4−214102号公報に示されて
いる。
【0006】他方、微粉炭の火炎を安定に形成するため
に、微粉炭の噴流の中に火炎を形成するための再循環領
域を形成する試みもなされている。この種のバーナは、
例えば特開平1−217109号公報や特開平2−11
0202号公報に示されている。また、燃焼用空気の流
れを分断して燃焼炉内のガスを噴流に供給することによ
り、燃料噴流と燃焼用空気噴流の混合を抑制するバーナ
としては、例えば特開平57−73305号公報が挙げ
られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】微粉炭ボイラの運用性
を高めるためには、油の助燃無しで微粉炭のみで安定に
火炎を形成できる(以下、専焼と称する)石炭の種類を
増やす必要がある。特に、高い発熱量の原料炭をも燃焼
できるバーナ構造であれば、専焼可能な石炭は飛躍的に
増大する。その一方で、このような原料炭は熱分解で生
ずる揮発分の含有割合が15〜25%であるために、着
火しにくい。
【0008】さらに、燃料供給量の少ない条件まで専焼
できれば、粉砕器を起動停止する操作が無くなり、ボイ
ラの負荷は変動し易くなるとともに、低負荷条件で微粉
炭と混焼される油を削減することができるようになる。
しかし、粒子が配管内で沈降することを防止する観点か
ら、粒子の搬送空気は最低流速を定められている。この
ため、低負荷の条件になると、燃料の濃度が希薄にな
り、バーナは安定な火炎を形成しにくくなる。
【0009】このように高い燃料比の微粉炭を燃焼する
条件や、低負荷の燃焼条件では、微粉炭が燃焼し難くな
ることから、火炎の内部に酸素不足で燃焼する還元炎領
域は形成されなくなり、したがってこの種燃焼装置にお
いては、NOxが還元炎領域で還元されない分、火炉出
口のNOx濃度が増加する嫌いがあった。
【0010】本発明はこれに鑑みなされたもので、その
目的とするところは、たとえ難燃性の微粉炭を燃焼する
条件であっても、また負荷の低い条件でも、微粉炭の供
給のみで安定な燃焼火炎が形成されるこの種の燃焼装
置、また微粉炭燃焼バーナを提供するにある。また本発
明のもう一つの目的は、難燃性の微粉炭を燃焼する条件
であっても、また負荷の低い条件でも、安定な燃焼火炎
が形成されるとともに、火炉出口のNOx濃度を充分低
減することができる燃焼装置、また微粉炭バーナ装置を
提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、火炉
の上流側に配置され、微粉炭を気流搬送する燃料ノズル
と、この燃料ノズルの外周に同心円状に配置され、燃焼
用空気を旋回流で供給する空気ノズルとを備え、旋回空
気とともに微粉炭を燃焼するようになした微粉炭燃焼装
置の燃焼方法において、前記微粉炭燃焼火炎を前記燃料
ノズル口縁の火炉側に旋回保持させ、かつ、この旋回流
火炎の高温ガスを、前記燃料ノズルの方向へ供給すると
ともに、この二つの循環流を周方向複数の位置で一体的
に燃焼するようにし所期の目的を達成するようにしたも
のである。
【0012】また、微粉炭を気流搬送する燃料ノズルの
外周に燃焼用空気を旋回流で供給する少なくとも1つの
空気ノズルを同心円状に備えた微粉炭バーナの燃焼方法
において、前記燃料ノズルから供給された微粉炭を着火
させる着火域を設け、かつこの着火域の下流側に酸素の
供給量を微粉炭の燃焼に必要な酸素量よりも少ない還元
炎領域を設けるとともに、この還元炎の外周側に酸素の
供給量を微粉炭の燃焼に必要な酸素量よりも多い酸化炎
領域を設け、かつ前記酸化炎領域と前記還元炎領域の境
界にNOxを窒素に変換するNOx還元領域を設け、か
つ前記着火域の周方向の少なくとも1つの領域が前記酸
化炎と隣接して燃焼するようにしたものである。
【0013】また、火炉の上流側に配置され、微粉炭を
気流搬送する燃料ノズルと、この燃料ノズルの外周に同
心円状に配置され、燃焼用空気を旋回流で供給する空気
ノズルとを備えた微粉炭燃焼装置において、前記微粉炭
燃焼火炎を前記燃料ノズル口縁の火炉側に保持形成させ
る第一の再循環流形成手段と、前記第一の再循環流形成
手段により形成された旋回流火炎の高温ガスを、前記燃
料ノズルの方向へ供給する第二の再循環流形成手段とを
備え、前記第一の再循環流形成手段にて形成された循環
流と第二の再循環流形成手段にて形成された循環流とを
周方向複数の位置で一体的に形成させるようにしたもの
である。
【0014】また、微粉炭を気流搬送する燃料ノズルの
外周に燃焼用空気を旋回流で供給する2つの空気ノズル
を同心円状に備えた微粉炭燃焼バーナにおいて、前記外
周の旋回流で形成した高温の再循環流を、分割して供給
する内周の燃焼用空気の流れの間を介して微粉炭の燃料
噴流へ供給するように形成したものである。
【0015】すなわち本発明の微粉炭燃焼バーナは、微
粉炭を気流搬送する燃料ノズルの外周に燃焼用空気を供
給する少なくとも一つの空気ノズルを同心円状に備え、
この空気ノズルの少なくとも一つに旋回を発生させる旋
回流発生手段を設け、この燃料ノズルは管壁の近傍に第
一の再循環流を形成する手段を設け、この旋回流によっ
て第一の循環流の下流側に第二の再循環流を形成すると
ともに、第二の循環流の一部と第一の再循環流を一体的
にした第三の再循環流を形成する手段を設けたものであ
る。
【0016】第一の再循環流は燃料ノズル口縁に微粉炭
を着火する領域を形成し、第二の再循環流は微粉炭を酸
素の共存下で燃焼する酸化領域を形成し、第三の再循環
領域は該着火領域の外周側に酸化領域を形成することが
望ましい。酸化領域の内部には酸素不足で微粉炭を燃焼
する還元剤発生域を形成して、還元剤発生域で生じたN
H3とHCNと酸化領域で発生したNOxを反応させ窒
素に変換するNOx還元域を形成することが望ましい。
【0017】前記第三の循環流を形成する手段の一つ
は、燃料ノズルの口縁に近い領域に周方向に複数個の微
粉炭濃度の高い領域を形成することで達成できる。燃料
濃度の高い領域は他の領域よりも火炎を安定に形成する
ことにより、第一の再循環流を流れ方向に伸長し、第二
の再循環流と一体的に形成することができる。
【0018】前記第三の循環流を形成する手段の他の一
つは、旋回流を供給する最外周の空気ノズルと燃料ノズ
ルの間に固体壁面を設けるとともに、この固体壁面を燃
料ノズルの周方向に複数個設けることで達成できる。固
体壁はその後流側に圧力の低い領域を形成することがで
き、旋回流で形成された第二の再循環流をバーナ上流側
に拡張し、固体壁後流に形成された第一の再循環流と一
体的にすることができる。
【0019】燃料濃度の高い領域は、燃料ノズルの口縁
の一部を中心軸の方へ折り曲げることにより形成するこ
とができる。さらに別の燃料濃度の高い領域を形成する
手段は、燃料ノズルの内部に旋回羽根を設け、旋回羽根
の下流に旋回成分を減衰させる手段を設けることを特徴
とする。燃料濃度の高い領域の数は旋回羽根の枚数で決
めることができる。旋回羽根で形成された燃料濃度の高
い領域は、燃料ノズルの口縁に設けた複数枚の衝突板に
位置させることが望ましい。
【0020】すなわちこのような微粉炭の燃焼方法の循
環流の形成方法は、微粉炭焚きボイラにおいて、バーナ
の低負荷時の燃料濃度の希薄な条件や、揮発分の含有割
合が15〜25%と少ない石炭を燃焼する条件でも、石
炭のみで安定な火炎を形成するためには、燃料ノズル口
縁の近傍に第一の再循環流を設け、燃焼用空気の旋回流
で形成される第二の再循環流を第一の再循環流の後流側
に形成し、第二の再循環流の一部を第一の再循環流と一
体化した第三の再循環流にすることが重要である。
【0021】燃料ノズルの口縁と、燃焼用空気ノズルの
内周側の端面との間に、固体壁を設けることが重要であ
る。固体壁は燃焼用空気の旋回流で形成される第二の再
循環流を燃料ノズルの口縁へ引き寄せることにより、第
二の循環流は燃料ノズル口縁に形成された第一の再循環
流と一体化して、第三の再循環流が形成する。第一の再
循環流は火炎の一部を燃料ノズル口縁へ戻すので、微粉
炭の着火領域を安定にすることができる。第二の再循環
流は、燃料噴流の一部を燃焼用空気の噴流と混合するこ
とにより、酸素濃度の高い条件で微粉炭を燃焼する酸化
炎領域を形成する。第三の再循環流は酸化炎領域で発生
した高温の燃焼ガスを燃料ノズルの口縁まで引き戻す。
これにより微粉炭はより一層着火し易くなるので、着火
領域は安定に形成される。
【0022】酸化炎領域の燃焼ガスの一部が着火領域へ
供給されると、微粉炭は燃焼し易くなるので、着火域の
火炎の温度は高くなる。このため、酸化炎領域に内包さ
れた還元炎領域の温度も高くなり、微粉炭の熱分解が促
進され、NOx前駆物質であるNH3やHCNの発生が
促進される。この前駆物質は酸化炎領域の境界に形成さ
れる混合領域でNOxと反応するので、NOxは窒素に
還元される。これによって、低NOx燃焼が達成でき
る。
【0023】三種類の再循環流を形成することや、酸化
炎領域の一部を着火域の外周に形成することは、所定の
微粉炭濃度よりも高い濃度の領域をノズル口縁に複数個
設けるとともに、所定の微粉炭濃度よりも低い濃度の領
域を燃料ノズル内に設けることによって促進される。
【0024】また、濃度の形成方法の1つは、燃料ノズ
ル口縁の一部を内側に折り曲げるた絞り板を設けるか、
或は、ノズル旋回流を発生させた後に旋回成分を無くす
ノズル構造にすることによって、所定の微粉炭濃度より
も高い濃度領域と、所定の微粉炭濃度よりも低い濃度領
域が燃料ノズル口縁に形成される。
【0025】前記の絞り板は、絞り板に衝突する微粉炭
粒子を絞り板の無いノズル口縁に供給するので、所定の
微粉炭濃度よりも高い濃度領域が形成される。一方、燃
焼用空気が絞り板の外周面を沿うようにして燃料ノズル
へ供給されるので、所定の微粉炭濃度よりも低い濃度領
域が形成される。
【0026】もう1つの濃度の形成方法についてのべる
と、前記の旋回流は、燃料ノズルの内部に設けた旋回流
発生器で形成することができる。旋回流発生器には、軸
流型の旋回羽根を持つ構造が適している。旋回流発生器
は紡錐体の最外周部に旋回羽根を配した構造にすると、
旋回流の効果を高めることができる。
【0027】旋回流発生器の上流側に設けたベンチュリ
は、旋回流発生器の効果をより一層高めることができ
る。ベンチュリはノズル内壁近くの粒子を流路中心部へ
集めるので、集まった粒子は旋回流発生器の紡錐体の前
縁に衝突する。これによって、粒子は旋回羽根に導かれ
るので、旋回成分を与えられる粒子は増加する。同時
に、旋回羽根の外周径は燃料ノズルの内径よりも小さく
することができるので、ノズルの圧力損失は小さくな
る。
【0028】旋回流発生器の旋回羽根は複数枚とするこ
とが重要である。単位時間当り5t〜10tの微粉炭を
供給する燃料ノズルの場合、旋回羽根は6〜10枚にす
ることが望ましい。旋回流発生器の下流側には、整流器
を配して、旋回流の成分を無くす案内羽根を設けること
ができる。案内羽根は薄板をノズルの中心から放射状に
設けた構造が適している。
【0029】整流器には、円筒を有して、燃料ノズルを
内管と外管に分配する構造にすることができる。さら
に、前記円筒の上流側の端面は、燃料ノズルの上流側へ
伸長して、内管と外管の流入口の面積比の比率を変える
ことができる。整流器をこのような構造にすると、燃料
ノズルの中心部(内管)と、その外周部(外管)の速度
をほぼ等しくすることができる。内外管の速度比が等し
ければ、内管と外管の燃料の混合は抑制される。
【0030】整流器に設けた放射状の板は、燃料ノズル
の口縁において燃料の衝突板を持った保炎器と組み合わ
せると、微粉炭の着火性能を向上できる。放射状の板は
旋回流で供給される微粉炭を集めるので、所定の濃度よ
りも高い微粉炭濃度の領域が放射状の板に沿って形成さ
れる。この濃度の高い粒子の流れは衝突板に衝突し、そ
の速度を低減し、かつ、乱れを助長するので、微粉炭は
着火し易くなる。これにより、燃料濃度の希薄な低負荷
の条件や、揮発分の少ない微粉炭を燃焼する条件におい
ても、燃料ノズルの口縁に安定な火炎を形成できる。
【0031】微粉炭の濃度分布に合致した旋回羽根の枚
数を選ぶことができるので、例えば、微粉炭を燃料ノズ
ルの接線方向に供給することによって旋回流を発生する
バーナにありがちな只一つの微粉濃度の高い領域が筋状
になって流れることもない。微粉炭が筋状に流れると、
保炎の開始点が一ヶ所になるため、微粉炭濃度を高めた
効果は低減する。
【0032】次に、燃料ノズル外周の固体壁について述
べると、保炎器の衝突板の外周側には、燃焼用空気ノズ
ルと燃料ノズルの間隔を離すことを特徴とする固体壁を
周方向に分割した形で取り付けることができる。固体壁
は燃焼用空気の旋回流で作成した第二の再循環流の一部
をバーナ側へ伸長して、保炎器で作成した第一の再循環
流と一体的な第三の再循環流を形成する。第三の再循環
流は酸化炎で発生した1200℃以上の燃焼ガスを燃料
ノズルの口縁にまで供給できるので、微粉炭の着火性能
は飛躍的に向上し、火炎は安定になる。
【0033】一方、固体壁の無い部分の燃料ノズルから
供給された微粉炭は、燃焼用空気と混じり易いので、着
火した微粉炭の燃焼を継続させることができ、火炎の温
度を1500℃以上に達成することができる。この温度
により、還元炎領域で酸素の無くなった条件でも、微粉
炭は水や二酸化炭素と反応して、水素や一酸化炭素を生
成することによって、強い還元雰囲気を作るので、NO
xの還元反応を促進させることができる。
【0034】固体壁は、燃料ノズルと燃焼用空気ノズル
の間に周方向に分割した形で設けることができる。これ
により、特開平1−217109号公報や特開平2−1
10202号公報に示されるような燃料ノズルの流路内
に固体物を設けて再循環流を作成する場合にありがち
な、燃料がバーナの径方向に散逸して燃焼用空気と混合
することによって、NOxが多量に発生することもな
い。
【0035】さらに、特開平57−73305号公報に
示されるように、燃焼用空気の流れを分断して燃焼炉内
のガスを噴流に供給することによって、燃焼用空気の旋
回流が阻害されることもない。旋回流の強度が減衰する
と、第二の再循環流は良好に形成されないので、火炎の
安定性能は悪くなる。再循環流により供給される微粉炭
の火炎の温度は燃焼炉内の気体の温度よりも高いのであ
るから、火炎の安定性は、再循環流と燃料を混合する方
が優れている。
【0036】
【発明の実施の形態】以下図示した実施例に基づいて本
発明を詳細に説明する。
【0037】
【実施例1】燃焼方法 図1は微粉炭噴流と燃焼用空気の流れを示す概念図で、
図2はこの図1に示した流れによってもたらされる火炎
の構造を示す概念図、また図3は燃料ノズルを火炉から
見たときの燃料の濃度分布を示す図である。
【0038】火炉の上流側には、微粉炭を気流搬送する
燃料ノズル10が配置されており、そしてこの燃料ノズ
ル10の外周には、燃料ノズルと同心円状に、燃焼用空
気を供給する空気ノズル11が設けられている。この空
気ノズル11はノズルの上流側に旋回流発生器12を備
えている。
【0039】前記燃料ノズル10は、ノズルの口縁に第
一の再循環流20を発生する再循環流発生手段を有す
る。旋回流発生器は12は、燃焼用空気14を旋回流で
供給することにより、第一の再循環流20の後流側に、
第二の再循環流21を形成する。さらに本実施例の燃焼
方法は、第一の再循環流の一部を大きくして、第一の再
循環流20と第二の再循環流21を一体的に形成した第
三の再循環流22を形成する第三の再循環流発生手段を
有する。
【0040】第三の循環流を形成する方法の一つは、燃
料ノズルに図3に示すように、所定の濃度より高い濃度
領域をノズル口縁に複数個設けることである。高い濃度
の微粉炭を供給すると、微粉炭は着火し易くなると同時
に、火炎はバーナ径方向へ伝播され易くなる。火炎が形
成されると、ガスの粘性が温度の上昇により高くなる。
バーナの径方向の物質移動は抑制されるため、第一の再
循環流の大きさは火炉側へ拡大され、第二の再循環流と
一体的に形成される。
【0041】一方、所定の微粉炭濃度よりも低い濃度領
域は、火炎を形成しにくい分、第一の再循環流の大きさ
は、所定の微粉炭濃度よりも高い濃度領域の第一の再循
環流よりも短くなる。これにより、燃焼用空気の一部2
4は第一の再循環流の後流で燃料噴流の流れ25と混合
することができる。これにより、微粉炭の燃焼領域の空
気の割合の調整と、燃料ノズル口縁に安定な火炎を形成
するという、相反する要件を同時に達成できる。
【0042】所定の濃度よりも高い濃度領域はノズル口
縁に複数個設けることが重要である。これにより、ノズ
ル口縁における着火点が複数個できるので、火炎はノズ
ル口縁の複数ヶ所から広がることができる。所定の濃度
よりも希薄な濃度領域の燃料は、隣接した火炎から十分
な熱量を受け取ることができるので、熱分解は促進さ
れ、火炎は安定する。
【0043】さらに、燃料噴流は旋回の速度成分の無い
状態で供給する必要がある。これにより、燃料噴流の径
方向への散逸は抑制できるので、還元炎領域が火炎内に
形成され、低NOx燃焼を達成できる。旋回成分を持っ
た燃料噴流は、還元炎領域を形成できない。
【0044】第一の再循環流20は、燃料ノズル10の
口縁で微粉炭を着火させ、着火域を形成する。第二の再
循環流21は、燃料噴流の流れ25の一部を第二の再循
環流21へ巻込むことにより、酸化炎領域を形成する。
第三の再循環流22は酸化炎領域で発生した1500℃
以上の高温のガスを、燃料ノズル口縁へ供給し、微粉炭
を1200℃以上で着火させることができる。これによ
って、酸化炎領域の火炎温度は上昇するので、酸化炎領
域の内部に形成される還元炎領域の温度も上昇する。
【0045】微粉炭のガスの固気反応を進めるために
は、火炎の温度を高めることが重要である。特に、微粉
炭が酸素を完全に消費した後に微粉炭と反応できるのは
二酸化炭素と水蒸気であり、両方のガスと微粉炭との反
応は高温ほど活性化される。特に、火炎温度が1500
℃以上の高温になると、微粉炭中の可燃成分は気相へ放
出され易くなる。
【0046】これにより、気相側の空気比は0.9から
0.7まで低減し、還元炎領域が形成される。微粉炭中
の可燃成分の放出と同時に、微粉炭に含まれる窒素分は
同時に気相へ放出され、NOxの前駆物質であるHCN
やNH3を形成する。NOxの前駆物質は、還元炎領域
でNOxを窒素に転換するので、燃焼排ガス中のNOx
濃度は低下する。したがって、この実施例によれば、微
粉炭火炎を安定化して、火炎の中に還元炎領域を形成す
るので、低NOx燃焼を実現できる。
【0047】
【実施例2】バーナ構造1 次に、このような燃焼方法を行わせるバーナの構造を図
4から図6を用いて説明する。本実施例の微粉炭バーナ
は、中心部に取り付けられた燃料ノズル10と、燃料ノ
ズル10と同心円状に配置された燃焼用空気14−1を
供給する空気ノズル11−1と、空気ノズル11−1の
外周に取り付けられた燃焼用空気14−2を供給する空
気ノズル11−2とから構成される。
【0048】燃料ノズル10は一次空気と微粉炭の混合
気13を供給する。二つの空気ノズル11−1と11−
2は、ウインドボックス37へ供給された燃焼用空気を
火炉へ供給する流路である。燃料ノズル10は、1次ス
ロート31を外壁とする管状の流路である。本実施例の
場合、火炉39の内壁に取り付けられた水管を予熱する
ための助燃用のオイルガン30が燃料ノズル10の中心
部に取り付けられている。
【0049】また、燃料ノズルの上流に配置されたベン
チュリ42は、図4に記載されていない微粉炭の供給装
置から送られた微粉炭が燃料ノズルの中心部で高くなる
ように制御する役割をになっている。空気ノズル11−
1は、1次スロート31を内周壁とし二次スロート32
を外周壁とする円環状の流路である。空気ノズル11−
1は、火炉39から上流に向かうにつれて、旋回流発生
器12−1と流量調節弁36を有する。
【0050】旋回流発生器12−1は、燃焼用空気14
−1を旋回流で供給する。この旋回流発生器12−1は
軸流型の旋回流発生器であり、流路の周方向に配した複
数の扇型の羽根と、この羽根と一体的に取り付けられた
支持棒から構成される。旋回流発生器12−1の旋回流
の強度は、図に示されない駆動装置によって羽根の角度
を変えて調整される。
【0051】流量調節弁36は燃焼用空気14−1の流
量を調節する。流量調節弁36は円筒状の形状をなし、
二次スロート32とウインドボックス37を連通する流
入孔の開口部を覆う位置に取り付けられている。流量調
節弁36は図4に示されていない調節装置によってバー
ナの中心軸方向に移動するので、前記流入孔の開口部の
面積が変化する。この動作によって、燃焼用空気14−
1と14−2の配分比率は調節される。
【0052】燃焼用空気ノズル11−2には、二次スロ
ート31を内周壁とし、3次スロート33を外周壁とす
る円環状の流路である。ウインドボックス37の燃焼用
空気14−2は旋回流発生器12−2を介して火炉39
へ旋回流の形で供給される。
【0053】二次スロート31の端面の一部は、複数の
遮蔽板34によって、燃料ノズル10の中心へ折り曲げ
られている。すなわち、遮蔽板34は1次スロート31
とオイルガン30の間隔を狭めるとともに、1次スロー
ト31と二次スロート32の間隔を広げている。
【0054】燃料ノズル10は遮蔽板34によって流路
を狭められるため、空気よりも慣性の強い微粉炭粒子は
遮蔽板34の間を流れる。これに対し、空気は容易に流
入方向を変えられるために、燃料ノズル10の中心部へ
供給される。これにより、所定の微粉炭濃度よりも高い
濃度領域が、遮蔽板34の間のノズル口縁に形成され
る。
【0055】一方、燃焼用空気14−1の一部は遮蔽板
34に沿って燃料ノズルの方向へ供給される。この燃焼
用空気は微粉炭と混合するので、所定の微粉炭濃度より
も低い濃度領域が形成される。遮蔽板34により流路が
拡大すると、遮蔽板34の近傍を流れる燃焼用空気14
−1はその速度を減速しつつ燃焼ノズル10の口縁へ到
達する。低速化された燃焼用空気は燃料噴流と混合する
ことによって速度の低い乱れた第一の再循環流20を形
成できるので、微粉炭は燃料ノズル10の口縁に火炎を
作ることができる。
【0056】上述した所定の微粉炭濃度よりも高い濃度
領域の燃料ノズル10の外周には、空気ノズル11−1
の流路を塞ぐようにして固体壁35が取り付けられてい
る。固体壁35の火炉側は燃料噴流の流れ25と燃焼用
空気の流れ23に狭まれており、流体は何等流れていな
いので、固体壁35は火炉側に第一の再循環流20を形
成する。所定の微粉炭濃度よりも高い微粉炭は固体壁3
5の下流における第一の再循環流20に供給されるの
で、微粉炭は遮蔽板34の下流よりも良好に着火され
る。したがって、固体壁35の下流に形成された第一の
再循環流20は、火炎温度を高めた分だけ第二の再循環
流21の方向へ伸長するので、両者は一体的に形成され
た第三の再循環流22となる。
【0057】第三の再循環流22は、酸化炎領域19の
燃焼ガスを燃料ノズル口縁へ供給するので、着火域16
の温度は高くなり、揮発成分の少ない難燃性の微粉炭も
着火できる。図6には、第二の実施例の微粉炭バーナを
用いて燃焼した時の、石炭専焼可能なバーナ最低負荷と
燃料比の関係を示している。石炭専焼とは、油などの助
燃剤を用いること無しに微粉炭火炎を安定に保持できる
状態を示す。また、燃料比とは工業分析で得られる石炭
の固体成分と揮発成分の割合を示し、燃料比の高い石炭
ほど燃焼し難くなる。従来例の場合、石炭専焼可能なバ
ーナ最低負荷は、燃料比1の石炭で30%程度であり、
燃料比とともに石炭専焼可能なバーナ最低負荷は上昇
し、燃料比3以上の石炭は助燃無しで安定な火炎を形成
できない。
【0058】これに対し、本実施例では、高い燃料比で
も石炭専焼可能であり、運用可能な石炭種を飛躍的に増
やせることが判る。例えば、バーナ負荷50%で石炭専
焼できる石炭種は、従来の燃料比2.5以下の石炭から
燃料比4.5以下の石炭にまで拡大することができる。
さらに、100%負荷の運用に限って言えば、本実施例
の微粉炭バーナは燃料比7の石炭でも助燃すること無し
に安定な火炎を形成できる。
【0059】次にもう一つのバーナの構造について説明
する。
【0060】
【実施例3】バーナ構造2 ・ 燃料ノズルの構造 第三の実施例のバーナを、図7から図9を用いて説明す
る。図7は第三の実施例の微粉炭バーナの断面図であ
り、図8はこの微粉炭バーナの側面図であり、図9はこ
の微粉炭バーナの燃料ノズルの微粉炭濃度を示す分布図
である。第三の実施例の微粉炭バーナは、図7に示す燃
料ノズル10と、空気ノズル14−1と14−2の間に
設けた分離壁の部分のみが変わり、これ以外のバーナ構
造は第二の実施例のバーナ構造と同じである。
【0061】第三の実施例の燃料ノズル10は、上流か
ら、ベンチュリ42、旋回器56、分配器45と、整流
器46をその内部に有し、ノズルの口縁に保炎器40を
有する。
【0062】旋回器56は、紡錐体43の最外周面に旋
回羽根44を周方向に複数枚取り付けた構造を示す。紡
錐体43はオイルガン30によって燃料ノズル10の内
部に固定されている。燃料ノズル10の内周壁の径は、
紡錐体43によって下流側に向かうにつれて一旦増加し
た後に、再び減少しオイルガン30の外径と等しくな
る。旋回羽根44は蒲鉾型の形状をなした薄板をしてお
り、紡錐体43の最外周に一次空気に旋回流を発生させ
るような角度で取り付けられている。旋回羽根44の両
端の長さ、すなわち、旋回器56の最外周径はベンチュ
リ42の内径よりも小さくなるように設定されている。
【0063】分配器45は円筒状の機器であり、燃料ノ
ズル10の流路を内管49と外管50の円環状の流路に
分割する。内管49は分配器45とオイルガン30で構
成され、外管50は1次スロート31と分配器45で構
成される。分配器45の上流側の直径は下流側の直径と
異なるようにすることができる。
【0064】整流器46は複数枚の板59と円筒47か
ら構成される。板59は燃料ノズル10の中心から放射
状に取り付けられている。板59の枚数は燃料ノズル1
0の内径に依存するが、単位時間当り5t〜10tの微
粉炭を供給する燃料ノズルの場合、旋回羽根は6〜10
枚にすることが望ましい。
【0065】保炎器40は、衝突板48と、そらせ板6
0から構成される。衝突板48は、1次スロート31の
端面に取り付けられた複数枚の板である。衝突板48は
板59の枚数と一致させ、板5の下流側に位置すること
が望ましい。そらせ板60は空気ノズル14−1の内周
径を大きくする部材と、燃焼用空気14−1を燃焼用空
気14−2の方向へ向ける板材から構成される。
【0066】・ 燃料ノズルの作用および効果 ベンチュリ42はその縮流部で微粉炭粒子を燃料ノズル
10の内周方向へ移動させる。これにより、バーナの上
流側の曲管などによって生ずる燃料濃度の偏流を無くす
ことができる。さらに、ベンチュリ42の縮流部によっ
て、微粉炭粒子は燃料ノズル10の内周部に集まるの
で、紡錐体43に衝突する粒子は増加する。これによ
り、旋回羽根44が流路全体に位置せず、旋回羽根44
は1次スロート31の内壁との間に隙間を有しても、大
多数の粒子は旋回羽根を通過する。粒子が旋回流で供給
されると、粒子の慣性により、比較的大きな粒子は1次
スロート31の内周壁近傍を流れ、微細な粒子は燃料ノ
ズル10の流路全体に分散する。
【0067】同時に、燃料の濃度は1次スロート31の
内周壁へ近付くにつれて紛砕器の出口における濃度より
も高くなる。
【0068】一次空気は燃料ノズル10の流路全体に広
がって流れることができるので、旋回羽根44を通過す
る空気は、一次空気の流量より少なくなる。旋回流とし
て供給される空気流量を少なくすることができるので、
旋回羽根44で発生する圧力損失を低減できる。
【0069】旋回器56の外径はベンチュリ42の内径
よりも小さいため、ベンチュリ42を取り外すことな
く、旋回器56を燃料ノズル10から取り出すことがで
きる。これにより、例えば、旋回羽根56の劣化等によ
り旋回器を交換する必要が生じた場合でも、短時間で旋
回器を交換できる。
【0070】分配器45は、内管49および外管50の
流路面積が下流に向かうにつれて変化させることができ
るので、分配器45の下流における速度分布を所定の形
状にすることができる。例えば図7に示すように、内管
49の入口の面積が出口の面積よりも大きい場合、内管
49と外管50の流速差を小さくすることができる。
【0071】これは、1次スロート31の内周壁の近傍
は、旋回流によって流速が増大するが、前述の分配器4
5にすることによって、外管50の流路面積が下流に向
かうにつれて増加するため、流速を減少することができ
る。一方、内管49は、流路面積を小さくすることによ
って、空気流速を増加させる。両者の相乗効果により、
分配器出口の速度分布を平滑化できる。
【0072】さらに、分配器45の上流側の端面の位置
を変えることにより、1次スロート31の内壁の近くを
流れる微粉炭を外管50へ供給し、これよりも内側を流
れる微粉炭を内管49へ供給する。外管50へ供給され
る微粉炭は高濃度の微粉炭であり、内管49は微細な粒
子で希薄な濃度の微粉炭を供給する。
【0073】旋回羽根44を複数枚設けると、所定の濃
度よりも高い濃度領域が設置した枚数に対応して形成さ
れる。図9に燃料の濃度分布を示す。図は燃料ノズル1
0の1/4の部分のみを示し、他の分は省略して示す。
図では、燃料の濃度高い方から順に、濃度A52から濃
度B55に四段階に分類して示す。濃度B53は、旋回
羽根44によって1次スロート31の内周壁に寄せられ
た粒子が供給される領域を示す。濃度C54は、分配器
45によって外管50と内管49に分配される燃料で、
濃度B54よりも希薄になる。
【0074】濃度D55は、紡錐体43の外表面に沿っ
て流れる粒子であり、微細な粒子が最も希薄な条件で供
給される。濃度A52は、最も濃度の高い微粉炭の流れ
を示している。これは旋回流で供給された粒子を板59
で受け止めたために生じた濃度の領域である。慣性の大
きな粒子は板59の境界層に取り込まれるのに対し、一
次空気は板59で仕切られた流路内に広がるので、微粉
炭の濃度はさらに高まるので、濃度B53よりも高い濃
度になるのである。
【0075】図9に示すように、板59が衝突板48と
重なるように配置するのが最も優れている。濃度A52
は、衝突板48に衝突して、減速し、保炎器40の後流
側に取り込まれる。一方、微粉炭の火炎はこの衝突板4
8から開始する。燃料の高濃度化との相乗効果により、
微粉炭の着火性能や、保炎性能を飛躍的に高めることが
できる。
【0076】この結果、第一の再循環流20は微粉炭粒
子を多く含むことができるので、安定な火炎が形成され
る。これにより、第二の再循環流で形成される酸化炎領
域の温度は1500℃以上になり、酸化炎領域に内包さ
れた還元炎領域の温度も高まる。これにより、二酸化炭
素や水と石炭粒子の反応は活性化されるので、気相の空
気比を低減できる。
【0077】・ 固体壁の構造、作用および効果 空気ノズル11−1と11−2の間には、円環状の分離
壁41を有し、さらに、空気ノズル11−1は円環状の
流路に固体壁35を周方向に4枚配置している。
【0078】分離壁41は燃焼用空気14−2を旋回流
で供給して第二の再循環流21を安定に形成する。固体
壁35は燃焼用空気14−1の供給を阻害して、その後
流側の圧力を低下するので、第二の再循環流21を分離
壁41の近傍にまで伸長し、第三の再循環流22を形成
する。第三の再循環流22は酸化炎領域の燃焼ガスをバ
ーナ近傍まで供給する。この燃焼ガスは固体壁35の下
流側を図8に示した流れ51の方向から保炎器へ供給さ
れ、微粉炭の噴流を着火させる。
【0079】この燃焼ガスは、酸化炎領域から供給され
たため、その温度は1200℃以上とすることができ
る。これにより、微粉炭の着火性能は高まり、燃焼用空
気14−2がバーナ近傍で混合を抑制されたこととあい
まって、1500℃以上の酸化炎領域を形成できる。こ
のような高温の火炎が形成されると、還元炎領域も同時
に高まり、酸素の無い条件でも、二酸化炭素や水により
石炭粒子を燃焼させることができる。この結果、還元炎
領域の気相の空気比は0.7から0.9の状態になり、
NOxの還元反応が進行し、低NOxの燃焼を達成でき
る。
【0080】以上説明してきたようにこのような燃焼バ
ーナであると、NOx濃度を低減することができ、また
微粉炭のみで燃焼できるバーナの負荷を広くすることに
よって油などの助燃材の使用量を少なくできる。さらに
また、難燃性の石炭も油を用いることなく燃焼できるの
で、使用炭種を多くできる。
【0081】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明によれ
ば、たとえ難燃性の微粉炭を燃焼する条件であっても、
また負荷の低い条件でも、微粉炭の供給のみで安定な燃
焼火炎が形成されるこの種の燃焼装置および燃焼方法、
また微粉炭燃焼バーナを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による微粉炭と燃焼用空気の流れを示す
概念図である。
【図2】図1の流れによってもたらされる火炎の構造を
示す概念図である。
【図3】燃料ノズルを火炉から見たときの燃料の濃度分
布を示す分布図である。
【図4】第二の実施例の微粉炭バーナの断面図である。
【図5】図4の微粉炭バーナの側面図である。
【図6】図4の微粉炭バーナの性能を示す特性図であ
る。
【図7】第三の実施例の微粉炭バーナの断面図である。
【図8】図7の微粉炭バーナの側面図である。
【図9】図7の微粉炭バーナの燃料ノズルの微粉炭濃度
を示す分布図である。
【符号の説明】
10…燃料ノズル、11…空気ノズル、12…旋回流発
生器、13…一次空気と微粉炭の混合気、14…燃焼用
空気、15…未着火燃料、16…着火域、17…還元炎
領域、18…NOx還元域、19…酸化炎領域、20…
第一の再循環流、21…第二の再循環流、22…第三の
再循環流、23…燃焼用空気の流れ、24…第一の再循
環流の後流で燃料と混合する燃焼用空気の流れ、25…
燃料噴流の流れ、26…所定の濃度よりも高濃度の領
域、30…オイルガン、31…1次スロート、32…二
次スロート、33…3次スロート、34…遮蔽板、35
…固体壁、36…流量調節弁、37…ウインドボック
ス、38…水管、39…火炉、40…保炎器、41…分
離壁、42…ベンチュリ、43…紡錐体、44…旋回羽
根、45…分配器、46…整流器、47…円筒、48…
衝突板、49…内管、5…外管、51…流れ、52…濃
度A、53…濃度B、54…濃度C、55…濃度D、5
6…旋回器、60…そらせ板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡▲崎▼ 洋文 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 折田 久幸 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 天野 研 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 田中 利幸 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 木山 研滋 広島県呉市宝町3番36号 バブコック日 立株式会社 呉研究所内 (56)参考文献 特開 昭64−57004(JP,A) 特開 平7−260106(JP,A) 特開 昭59−195011(JP,A) 特開 平6−265108(JP,A) 特開 平1−305206(JP,A) 実開 昭62−142610(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F23D 1/02 F23C 11/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 火炉の上流側に、微粉炭を気流搬送する
    燃料ノズルと、この燃料ノズルの外周に同心円状に配置
    され、燃料用空気を旋回流で供給する2つの空気ノズル
    とを有する微粉炭燃焼バーナを備え、前記バーナにより
    微粉炭を燃焼するようにした微粉炭燃料装置の燃焼方法
    において、前記燃料ノズルの口縁に燃料の衝突板を持っ
    た保炎器を設けて該燃料ノズルの口縁の火炉側に微粉炭
    を着火するための第1の再循環流を形成し、前記2つの
    空気ノズルのうちで内周側の空気ノズルに燃焼用空気を
    周方向に分割する固体壁を複数個設けて、外周側の空気
    ノズルから供給される燃焼用空気によって形成される第
    2の再循環流を前記燃料ノズルの口縁へ引き寄せて前記
    第1の再循環流と一体化して第3の再循環流を形成させ
    るようにしたことを特徴とする微粉炭燃焼装置の燃焼方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記衝突板を複数個
    設けて前記燃料ノズルの口縁の周方向に複数個の微粉炭
    濃度が高い領域を形成する微粉炭燃焼装置の燃焼方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、前記燃料ノ
    ズル内にベンチュリを設けてノズル内壁近くの微粉炭粒
    子を流路中心部へ集め、この流路中心部へ集まった粒子
    を旋回羽根が配された紡錘体に衝突させて旋回流にし、
    更に複数枚の板が放射状に設けられた円筒よりなる整流
    器によって内管の流れと外管の流れに分配しつつ旋回を
    停止し、この状態で前記燃料ノズルから微粉炭を噴出す
    るようにした微粉炭燃焼装置の燃焼方法。
  4. 【請求項4】 火炉の上流側に、微粉炭を気流搬送する
    燃料ノズルと、この燃料ノズルの外周に同心円状に配置
    され、燃焼用空気を旋回流で供給する2つの空気ノズル
    とを有する微粉炭燃焼バーナを備えた微粉炭燃焼装置に
    おいて、前記燃料ノズルの口縁に燃料の衝突板を持った
    保炎器を設け、前記2つの空気ノズルのうちで内周側の
    空気ノズルに燃焼用空気を周方向に分割する固体壁を複
    数個設けたことを特徴とする微粉炭燃焼装置。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記燃料ノズルの口
    縁に複数個の前記衝突板を有することを特徴とする微粉
    炭燃焼装置。
  6. 【請求項6】請求項4または5において、前記燃料ノズ
    ル内にノズル内壁近 くの微粉炭粒子 を流路中心部へ集
    めるベンチュリと、流路中心部へ集まった粒子を衝突さ
    せて旋回流とするための旋回羽根を配した紡錘体と、こ
    の旋回流を内管の流れと外管の流れに分配し、かつ、旋
    回を停止するための整流器とを有し、前記整流器が複数
    枚の板が放射状に設けられた円筒よりなることを特徴と
    する微粉炭燃焼装置。
  7. 【請求項7】 微粉炭を気流搬送する燃料ノズルと、こ
    の燃料ノズルの外周に同心円状に配置され、燃料用空気
    を旋回流で供給する2つの空気ノズルとを備えた微粉炭
    燃焼バーナにおいて、前記燃料ノズルの口縁に燃料の衝
    突板を持った保炎器を設け、前記2つの空気ノズルのう
    ちで内周側の空気ノズルに燃焼用空気を周方向に分割す
    る固体壁を複数個設けたことを特徴とする微粉炭燃焼バ
    ーナ。
  8. 【請求項8】請求項7において、前記燃料ノズルの口縁
    に複数個の前記衝突板を備えた微粉炭燃焼バーナ。
  9. 【請求項9】請求項7又は8において、前記燃料ノズル
    内に、ノズル内壁近くの微粉炭粒子を流路中心部へ集め
    るベンチュリと、流路中心部へ集まった粒子を衝突させ
    て旋回流とするための旋回羽根を配した紡錘体と、この
    旋回流を内管の流れと外管の流れに分配し、かつ、旋回
    を停止するための整流器とを備え、前記整流器は、複数
    枚の板が放射状に設けられた円筒よりなる微粉炭燃焼バ
    ーナ。
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