JP3337273B2 - 水の殺菌装置及び水の殺菌装置の製造方法 - Google Patents

水の殺菌装置及び水の殺菌装置の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、浴槽或いはプールの
水、熱帯魚などの水槽の水、飲料用の水等の殺菌装置に
関し、更に詳細には、電解作用により水の殺菌を行う装
置及び該装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の水の殺菌方法として、オゾン発生
装置により発生させたオゾンを被処理水中に曝気させて
殺菌を行う方法と、殺菌ランプにより発生させた紫外線
等を水に照射させて殺菌を行う方法の他、平行に配置さ
せた陽極板と陰極板との間に直流電圧を印加し、この陽
極板と陰極板との間に被処理水を通過させて殺菌を行う
方法(以下電解方法と呼称する)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、オゾン
を水中に曝気して殺菌を行う方法は、効率的である反
面、水中で反応しなかった過剰オゾンが大気中に放出さ
れるために、例えば浴室等の密閉された室内で用いる場
合に、該浴室内のオゾン濃度が環境基準値を越える可能
性があった。また、殺菌ランプを用いる方法は、ランプ
の寿命が短い他、使用中に殺菌ランプの周囲にスラッジ
が付着して使用時間と共に殺菌力が弱まるという問題が
あった。平行に配置された陽極板と陰極板との間に被処
理水中を通過させる電解法は、2枚の電極とこれを支持
する機構とから成るため構造が複雑で、また、両極板間
に被処理水を通過させる必要性から極板の間隔を狭める
ことができないため、比較的高い電圧を両極板間に印加
することが必須となり安全性に問題があった。また、長
時間連続して使用すると(10時間程度)、陰極板に被
処理水中のカルシウム等が付着して電解作用が低下する
という問題点もあった。本発明は上記の問題点を解決す
るためなされたものであり、その目的とするところは、
低い電圧で殺菌を行い得ると共に、構造が簡易な水の殺
菌装置及び該水の殺菌装置の製造方法を提供することに
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明では、陰極と陽極に直流電圧を印加して、水
の電解作用によって殺菌を行う殺菌装置において、陰極
と陽極とを構成するくし歯電極と、該くし歯電極を支持
するセラミックからなる支持部材とを備えたことを特徴
とする。このくし歯電極を白金で構成することが好まし
い。また、前記くし歯電極を支持する支持部材を平板状
に構成し、且つ、前記くし歯電極の陽極と陰極との間に
スリットを設けることも出来る。また、本発明の別の態
様においては、1対の電極に直流電圧を印加して、水の
電解作用によって殺菌を行う殺菌装置において、1対の
電極を構成するくし歯電極と、該くし歯電極を支持する
セラミックからなる支持部材と、前記くし歯電極に印加
する直流電圧の極性を所定時間毎に切り換える極性切り
換え手段とを有することを特徴とする。そして、本発明
の水の殺菌装置の製造方法では、支持部材となるグリー
ンシートを構成するステップと、白金とアルミナとから
なるペーストを該支持部材上にくし歯電極を構成するよ
うに塗着するステップと、該塗着された白金とアルミナ
とからなるペーストの上に白金と溶剤とからなるペース
トを塗着するステップと、該白金とアルミナとからなる
ペースト及び白金と溶剤とからなるペーストが塗着され
たグリーンシートを同時焼成するステップとからなるこ
とを特徴とする。
【0005】
【作用及び効果】上記のように構成された水の殺菌装置
では、1つの支持部材上にくし歯電極を配置したため、
構造を簡略化できる効果がある。また、本発明では、く
し歯電極を用い陰極と陽極との間隔を狭めたため、低い
電圧で水の電解が可能となり、また、電極間隔が狭いた
め電解により生じる陽極側の酸素と陰極側の水素の気泡
が小さくなり、電解の妨げとなる気泡の成長が起こり難
いという利点もある。また、本発明の更に別の態様にお
いては、使用により陰極側にカルシウム等が付着して
も、極性切り換え手段が電極に印加する直流電圧の極性
を所定時間毎に切り換えるため、カルシウムが付着した
陰極が陽極となり該カルシウムは除去され、長期間安定
した殺菌作用が得られる利点がある。また、本発明の更
に別の態様においては、白金電極となるペーストを塗着
したグリーンシートを焼成し、白金電極と該白金電極を
支持する支持部材とを同時に構成するため製造が容易
で、また、アルミナの支持部材と白金電極とを白金とア
ルミナとからなるペーストを介在させて焼成するため、
両者を強固に結合できるという利点もある。
【0006】
【実施例】本発明の実施例について図面を参照し説明す
る。図1は、本発明の第1実施例に係る水の殺菌装置を
示す。殺菌装置10は、支持板12とくし歯電極14と
から構成され、該支持板12はセラミックによる絶縁性
の平板状の部材から成り、くし歯電極14は第1電極1
5及び第2電極17から成る。該第1電極15及び第2
電極17は、それぞれ端子15a、17aと、給電ライ
ン15b、17bと、くし歯状に対向し合う電極部15
c、17cとから構成され、この電極部15c、17c
の間隔は、1mmに設定されている。
【0007】次に、図1に示す水の殺菌装置10の製造
方法について、図2及び図3を参照して説明する。先
ず、アルミナ粉末のようなファインセラミック原料に、
バインダー(例えば、塩化ビニールの共重合体)を添加
し、混練後にシート状に加熱圧延して図2に示すような
長さ30cmのグリーンシート12aを形成する。そし
て、白金85%(ここでは白金85%を用いるが70%
から90%程度が好適である)とアルミナ15%とを混
ぜて電極結合用のペースト(以下結合用ペーストと呼称
する)を作り、この結合用ペースト14bをグリーンシ
ート12aの上面に図1に示すくし歯電極14を形作る
ようにスクリーン印刷する。次に、白金を有機溶剤で溶
かしたペースト(以下白金ペーストと呼称する)14a
を図3に示す結合用ペースト14bの上に更にスクリー
ン印刷する。最後に、結合用ペーストと白金ペーストと
を印刷したグリーンシート12aを1500°程度で一
体焼成する。これにより、図3に示すグリーンシート1
2aが絶縁性のセラミックになると共に、白金ペースト
14aは有機溶剤が発散して白金電極となり、結合用ペ
ースト14bは該セラミックと白金電極とを強固に結合
する。
【0008】なお、図3に示す焼成前の状態において、
更に、白金ペースト14aの上部にコーティング用の塗
布を行っておくことも好適である。即ち、図1に示すく
し歯電極14の端子15a、17aと、給電ライン15
b、17bと、電極部15c、17cの先端部分15
d、17dとにアルミナのペーストを塗着しておき、こ
のアルミナペーストの塗着後に焼成を行うことにより当
該部分にコーティングを施す。このコーティングは、グ
ライト磁気ガラス、マグネシア等によっても行うことが
できる。このコーティングにより、くし歯電極14の端
子15a、17a及び給電ライン15b、17bが絶縁
状態に保たれ取扱時における安全性が向上する。また、
電極部15c、17cの先端部分15d、17dは、隣
接する電極及び給電ラインにコ字状に包囲されて動作時
に強い電界を受け欠損を生じ易いが、このコーティング
を施すことにより欠損を防ぐことができる。
【0009】上述した製造方法の例では、白金電極をセ
ラミックの支持板12に結合するために結合用ペースト
14bを用いたが、別の製造方法として、図2に示すグ
リーンシート12a上にタングステンペーストをくし歯
電極の形にスクリーン印刷してから1500°程度で焼
成し、その後、焼成したタングステン層に白金メッキを
施すことにより白金でくし歯電極14を形成することも
好適である。また更に別の製造方法として、予めアルミ
ナを焼成して構成した支持板12上に、所謂2次メタラ
イズ法により、白金又は、酸化ルテニウム、或いは、フ
ェライト等の酸化物をスクリーン印刷することにより電
極を構成することも可能である。
【0010】上述した殺菌装置で、白金等の酸化し難い
金属、或いはフェライト等の半導電性酸化物を電極に用
いる例を挙げたのは、電極の材質としてタングステン、
モリブデン等を用いると、活性酸素を生成する陽極での
酸化が激しく、マイグレーションを起こして耐久性に問
題を生じるからである。
【0011】第1実施例の殺菌装置10による水の殺菌
処理について図4を参照して説明する。第1実施例の殺
菌装置10は、上述したように電極の間隔が1mmで、長
さが30cmに構成されている。この殺菌装置10を被処
理水23を満たした水槽25中に浸漬する。該殺菌装置
10のくし歯電極の端子15a、17aは、極性切替え
装置20に接続されており、該極性切替え装置20は商
用100ボルトの交流電圧を10ボルトの直流電圧に変
換する直流電源30に接続されている。
【0012】ここで、上述した構成の殺菌装置10に被
処理水(1リットルの水道水)を処理させた殺菌評価の
結果について説明する。直流電源30のスィッチ(図示
せず)を投入して殺菌装置10の両電極間に10ボルト
を印加すると、正電圧を印加した陽極側(第1電極1
5)に殺菌作用を有する活性酸素の気泡が発生すると共
に、負電圧を印加した陰極側(第2電極17)に水素の
気泡が発生し、また、水道水中の塩素を分解して強力な
殺菌力を有する次亜塩素酸を発生した。これら、活性酸
素及び次亜塩素酸により被処理水の殺菌が行われた。処
理開始前において、大腸菌等の一般の生菌数が2、00
0個/ccであったのに対し、5分経過後には、ほぼ0個
/ccに減少するという殺菌効果が生じた。この際に併せ
て、被処理水中の臭いがなくなるという脱臭効果、及
び、被処理水の透明度が高まるという脱色効果も認めら
れた。
【0013】なお、この殺菌評価においては、1リット
ルの被処理水中の菌を5分でほぼ全て死滅させたが、大
量の水を処理する場合には、長時間に渡り殺菌装置10
を通電する必要がある。この際に同じ電極に同じ極性の
電圧を印加し続けると、陰極側にカルシウムが付着して
電解作用が低下する。このため第1実施例の殺菌装置1
0では、極性切替え装置20によって、設定時間(10
〜60分で任意に設定可能)ごとに、電極に印加する極
性を切り換えるようになっている。これにより、陰極に
付着したカルシウムが、該陰極が陽極に切り換わること
により除去され、長期間安定した殺菌処理を行うことを
可能にしている。
【0014】次に、本発明の第2実施例に係る殺菌装置
50について図5を参照して説明する。第2実施例の殺
菌装置50は、図1に示す第1実施例の構成と略同様に
セラミックの平板状の支持板52とくし歯電極54とか
ら構成され、くし歯電極54は、第1電極55及び第2
電極57からなる。該第1電極55及び第2電極57
は、それぞれ給電ライン55b、57bと、くし歯状に
対向し合う電極部55c、57cとから構成されてい
る。但し、この第2実施例の殺菌装置50においては、
支持板52の各々の電極部55c、57cの間に、スリ
ット19が設けられている。第2実施例においては、ス
リット19が被処理水の通過を許容するため殺菌効果が
高いという利点がある。
【0015】次に、本発明の第3実施例に係る殺菌装置
60について、図6を参照して説明する。第1実施例に
おいては、くし歯電極14を板状の支持板12により支
持したが、この第3実施例では、くし歯電極64を円筒
状のセラミック製支持柱62により担持する構成になっ
ている。このくし歯電極64の電極部65c、67cが
該支持柱62に螺旋状に配置されている。該電極部65
c、67cは、給電ライン65b、67bにより給電さ
れるようになっている。この円筒状の支持柱62は、こ
こでは中空のセラミック柱を用いているが、ソリッドな
セラミック柱を用いることもできる。この第3実施例
は、前述した第1及び第2実施例の殺菌装置10、50
に対して堅牢であるという特徴を有する。
【0016】なお、前述した第1及び第2実施例の殺菌
装置においては、支持板12の上面(表面)にのみくし
歯電極14を設けたが、下面(裏面)に更にくし歯電極
を設ける構成をも取りうる。また、第1実施例におい
て、電極部15cと電極部17cとの間隔を1mmに設定
したが、本発明のくし歯電極の間隔は任意に設定でき
る。一般に、陰極と陽極との間隔は、狭いほど低電圧で
水の電解が可能になり安全性を向上できるが、あまり間
隔を狭くすると生産が困難になる。このため、1〜3mm
程度が好適で、10mmを越える場合には従来技術の2枚
の電極板を用いる電解方法による殺菌装置と略等しい印
加電圧が必要となる。なお、1〜3mmに電極間隔を調整
した場合には、両電極間に5ボルトから30ボルトの電
圧を加えることにより殺菌効果を得ることができる。
【0017】また、本発明の水の殺菌処理は、水の電解
時に得られる殺菌効果により殺菌を行うため、塩素分或
いは何らかの塩分等を含む水を好適に処理し得る。この
反面、電極間に電圧を印加しても電解が生じ難くい純水
の殺菌処理には不向きである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る水の殺菌装置を示す
斜視図である。
【図2】第1実施例の水の殺菌装置の支持板の斜視図で
ある。
【図3】第1実施例の水の殺菌装置の焼成前の状態を示
す断面図である。
【図4】図1に示す水の殺菌装置による殺菌処理を示す
模式図である。
【図5】本発明の第2実施例に係る水の殺菌装置の斜視
図である。
【図6】本発明の第3実施例に係る水の殺菌装置の斜視
図である。
【符号の説明】
10 殺菌装置 12 支持板 14 くし歯電極 18 スリット 20 極性切替え装置 50 殺菌装置 60 殺菌装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 肥田 恭典 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特 殊陶業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−17688(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/46

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陰極と陽極に直流電圧を印加して、水の
    電解作用によって殺菌を行う殺菌装置において、 陰極と陽極とを構成するくし歯電極と、該くし歯電極を
    支持するセラミックからなる支持部材とを備えたことを
    特徴とする水の殺菌装置。
  2. 【請求項2】 前記くし歯電極が白金からなることを特
    徴とする請求項1の水の殺菌装置。
  3. 【請求項3】 前記くし歯電極を支持する支持部材が平
    板状に構成され、且つ、前記くし歯電極の陽極と陰極と
    の間にスリットが設けられていることを特徴とする請求
    項1の水の殺菌装置。
  4. 【請求項4】 1対の電極に直流電圧を印加して、水の
    電解作用によって殺菌を行う殺菌装置において、 1対の電極を構成するくし歯電極と、該くし歯電極を支
    持するセラミックからなる支持部材と、前記くし歯電極
    に印加する直流電圧の極性を所定時間毎に切り換える極
    性切り換え手段とを有することを特徴とする水の殺菌装
    置。
  5. 【請求項5】 水の殺菌装置の製造方法であって、 支持部材となるグリーンシートを構成するステップと、 白金とアルミナとからなるペーストを該支持部材上にく
    し歯電極を構成するように塗着するステップと、 該塗着された白金とアルミナとからなるペーストの上に
    白金と溶剤とからなるペーストを塗着するステップと、 該白金とアルミナとからなるペースト及び白金と溶剤と
    からなるペーストが塗着されたグリーンシートを同時焼
    成するステップとからなることを特徴とする水の殺菌装
    置の製造方法。
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