JP3336683B2 - 超微粒子の製造方法 - Google Patents

超微粒子の製造方法

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JP3336683B2 JP15685793A JP15685793A JP3336683B2 JP 3336683 B2 JP3336683 B2 JP 3336683B2 JP 15685793 A JP15685793 A JP 15685793A JP 15685793 A JP15685793 A JP 15685793A JP 3336683 B2 JP3336683 B2 JP 3336683B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非線形効果等を利用す
る超微粒子の製造方法に関し、さらに詳しくは粒径分布
のバラツキの小さい超微粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】超微粒子はバルクとは異なった性質をも
つことが知られており、機能性材料としての応用が期待
されている。たとえば、CdSなどの化合物半導体超微
粒子は、粒径が小さくなるにしたがってバンド構造が離
散化し、吸収端の高エネルギ側へのシフトなどいわゆる
量子サイズ効果が生じる(たとえば A.J.Nozi
c et al.,J.Phys.Chem.,89,
397(1987))。
【0003】このような量子サイズ効果を有する材料
は、大きな非線形光学効果をもつことが知られており、
超高速の光スイッチや光論理素子などの非線形光学効果
を用いた光制御素子への応用が可能である。
【0004】超微粒子の製造方法としては、いわゆるガ
ス中蒸発法が知られている。この製造方法は、Arなど
の不活性ガス中で物質を加熱蒸発させ、その蒸気を不活
性ガスと衝突させて運動エネルギーを失わせ、かつ急冷
させて超微粒子を形成する方法である。
【0005】製造した超微粒子を光制御素子等に使用す
るためには、なんらかの方法で捕集する必要があり、ガ
ス中蒸発法についても従来からいくつかの補集方法が用
いられている(たとえば、斎藤進六監修、超微粒子ハン
ドブック、1990年、フジテクノシステム)。
【0006】超微粒子を非線形光学材料として用いる場
合、その非線形性の大きさは使用する光の波長と超微粒
子の粒径に密接に関係しており、あるエネルギーの光に
対して非線形性が最も大きくなる粒径(以下、「最適粒
径」という)が存在する。したがって、目的とする光の
波長において非線形性の大きな材料を得るためには、最
適粒径をもつ超微粒子の割合を大きくし、かつ、その最
適粒径を中心とする粒径のばらつきを低く抑えなければ
ならない。
【0007】最適粒径よりも大きな粒径をもつ微粒子
は、量子サイズ効果によりその光学吸収端が最適粒径を
もつ微粒子の光学吸収端よりも低エネルギー側にシフト
しており、その結果、使用する光にとって粒径が最適で
ないばかりでなく、その光における吸収係数を増大させ
て、実効的な非線形性の大きさを減少させるため、その
割合を特に小さくする必要がある。
【0008】以上のように、超微粒子の粒径の分布は、
最適粒径をもつ微粒子の割合が最大であり、また、分布
はできるだけ小さく、特に、最適粒径よりも大きな粒径
をもつ微粒子の割合はできるだけ小さいことが望まし
い。超微粒子の捕集に際しても、このような粒径分布を
持つ超微粒子として捕集することが望まれる。
【0009】ある大きさの超微粒子のみを選択する操作
(以下「分級」という)については、粒径が1μm以上
の超微粒子より粒径が比較的大きい微粒子の分級につい
てさまざまな方法が提案されており、いくつかの方法に
ついては既に実用化されている。この中でもっとも一般
的な方法は、ガス流とともに微粒子を移動させ、微粒子
の慣性力とガス中での拡散距離が微粒子の大きさにより
異なることを利用した分級法である。
【0010】超微粒子を製造するガス中蒸発法で従来用
いられている捕集方法においても、微粒子の大きさは蒸
発源付近で捕集すると全体として小さくなる傾向は認め
られる。
【0011】しかし、この差異は、超微粒子間では大き
さの差がそれほどないことから、実効的な非線形性を向
上させるほど十分ではなく、実用的とは言いがたい。
【0012】そこで、直径が数nm〜数10nmの超微
粒子では、静電分級と呼ばれる電界を利用した分級法が
考案されている(たとえば、斎藤進六監修、超微粒子ハ
ンドブック、1990年、フジテクノシステム)。
【0013】その概略は、図3に示すように、低圧容器
14中に挿入した電極15に高圧直流電源16を接続し
た静電分級器に、帯電させた超微粒子17をシースエア
18とともに一定の圧力で送り込みながら超微粒子とは
反対の電位を電極に印加させることによって、器内を通
過する超微粒子に静電引力を与え、超微粒子の慣性がそ
の質量すなわち粒径によって異なることから超微粒子を
粒径によって分級させて捕集する方法である。
【0014】
【本発明が解決しようとする課題】しかしながら、この
静電引力を利用した分級法には以下に示すいくつかの問
題点があった。
【0015】すなわち、静電引力を利用して分級を行う
ためには、なんらかの方法で超微粒子を帯電させなけれ
ばならないが、直径数10nm以下の超微粒子は帯電し
にくいため、全超微粒子中における帯電しない粒子の比
率が大きくなり、その結果、分級できる粒子の比率が非
常に小さくなる。また、超微粒子濃度を増加させると分
級の精度が低下するという問題点もあり、処理できる超
微粒子の量が非常に小さい。さらに、図3にも示したよ
うに、静電分級を行うためには高圧直流電源や電極など
のさまざまな付加装置が必要であり、かつ操作も繁雑で
ある。
【0016】以上のように、静電分級法は、簡単な装置
と操作で無駄なくしかも大量に超微粒子を処理し得る分
級方法ではなく、実用的ではないという問題点があっ
た。
【0017】その結果、ガス中蒸発法による粒径数10
nm以下(特に粒径20nm以下)の超微粒子の製造に
おいては、製造した超微粒子になんら分級処理を施すこ
となく捕集しているのが実情であり、上記のような望ま
しい粒径分布をもつ超微粒子をガス中蒸発法により作製
する方法が実用上は十分に確立されていなかった。
【0018】
【問題点を解決するための手段】上記従来の問題点は以
下の方法により解決される。
【0019】すなわち、ガス中蒸発法において、超微粒
子の原料となる材料からの超微粒子の移動の一部を遮蔽
物体で妨げることによって、直進する該超微粒子または
該超微粒子を形成する蒸気が到達しない空間を形成し、
該空間内で超微粒子を捕集することを特徴とする超微粒
子の製造方法である。
【0020】不活性ガス中で発生した超微粒子の原料と
なる蒸気は、その発生源である加熱材料から一定の速さ
をもって移動し、不活性ガスと衝突する。この段階で蒸
気は急冷されて超微粒子を形成し、かつ、形成された超
微粒子も不活性ガスとの衝突によって、その移動の速さ
と方向を変化させる。
【0021】ここで、粒径の異なる超微粒子が不活性ガ
スとの衝突の過程を通じてどのようにその移動の方向を
変えるかを考えてみると、速度が同じであれば、超微粒
子は粒径すなわち質量の大きなものほどその運動量や運
動エネルギーも大きく、したがって力学的法則から当然
に導き出されるように、粒径の大きな超微粒子ほど衝突
による方向の変化量は小さい。
【0022】このように、一般的に、他の粒子との衝突
によって、粒径の大きい超微粒子ほどその方向を変えに
くく、この傾向は、さまざまな方向性をもつ超微粒子群
の中から、移動の方向が一定の範囲に限られる超微粒子
の一群を取り出して比較すると、衝突前の各超微粒子の
方向が一定の範囲に限定されるため、衝突後の方向の変
化が粒子の粒径の差異をより正確に反映する。
【0023】したがって、たとえば図4に示すように、
超微粒子の移動を遮蔽板3で一部制御して、超微粒子の
移動の方向を一定の範囲内に限定して不活性ガスと衝突
させると、大きい粒子と小さい粒子では密度分布が大き
く異なることになる。
【0024】このような密度分布の相違を利用して超微
粒子の分級を実施できる。たとえば図4の場合では、5
Aの位置に基板を設置すると、ここでは小さい超微粒子
の数が相対的に減少しているので、もとの超微粒子の大
きさの分布に比べて、大きい超微粒子の比率が多くな
る。逆に、図4の5Bの位置で超微粒子を捕集すると、
ここでは大きい超微粒子の数が相対的に少なくなってい
るので、小さい超微粒子の比率が多くなる。
【0025】ただし、図4の5Aのように、噴出した超
微粒子が直進して到達できるような位置で捕集する場合
は、大きな超微粒子が含まれるので、超微粒子を非線形
光学材料等として使用する場合には好ましくない。した
がって、この場合は図4の5Bのように、ガス中に噴出
した超微粒子が直進して到達できない位置で捕集する必
要がある。
【0026】なお、超微粒子の遮蔽板は、図4に示した
ような1つの開口部を有する遮蔽板に限らず、超微粒子
の移動の一部を有効に遮蔽できる物体であればよい。
【0027】本発明による分級の効果は、以下に示すさ
まざまな因子により変化する。
【0028】第1に、超微粒子がガス中に噴出する際の
初期速度(以下単に「初期速度」という)がある程度大
きくないと、この分級効果は有効に作用しない。初期速
度が小さいと超微粒子は不活性ガスとの衝突により直ち
に平衡状態に達し、ブラウン運動による等方的な拡散し
か示さないようになるからである。
【0029】第2に、超微粒子の初期速度の方向の広が
りの制御も重要な因子となる。この制御が十分でないと
分級効果が十分には得られない。粒径の差異の効果が全
体としては不活性ガスとの衝突によっても現れにくくな
るからである。
【0030】第3に、不活性ガスの圧力やガスの種類に
より、衝突による超微粒子の速度の大きさや方向への影
響が変わるため、各超微粒子が到達できる距離(平衡状
態に達するまでの距離)や超微粒子の広がり角が変化す
る。
【0031】これらの因子が変化すると、同じ位置で捕
集していても、得られる超微粒子の大きさが変化する。
したがって、超微粒子の初期速度や、その広がり、使用
する不活性ガスの種類や圧力に応じて超微粒子の捕集位
置を変えて、あるいは超微粒子の初期速度や、その広が
り、使用する不活性ガスの種類や圧力を変えて、目的と
する大きさの超微粒子の相対密度がもっとも高くなる位
置で、超微粒子を捕集する必要がある。
【0032】なお、ガス中蒸発法における加熱源に高エ
ネルギーレーザーを使用すると、超微粒子は、その原料
となる材料のターゲットの垂直方向に少なくとも数10
0m/秒で飛散することが知られており、超微粒子の初
期速度を増大させることができる。また、超微粒子の初
期速度の調整の幅を広くとることも可能となる。
【0033】抵抗加熱法など他の加熱源も利用できる
が、高エネルギーレーザーを加熱源とする場合よりも超
微粒子の初期速度が小さいため、この場合は、超微粒子
の捕集位置を原料となる材料にさらに近づけるといった
工夫が必要となる。
【0034】ガス中蒸発法により製造したさまざまな大
きさの超微粒子を、分級効果が有効に作用する程度の速
度と広がりをもたせて不活性ガスと衝突させる別の方法
としては、図2に示すように、ガス中蒸発法により超微
粒子を発生させる超微粒子発生容器9と超微粒子を捕集
する超微粒子捕集容器10とそれらの容器の内部空間を
結合する細孔を有する超微粒子輸送管11(以下「オリ
フィス」という)からなる装置を使用して超微粒子を製
造する方法がある。
【0035】この製造方法によると、オリフィス11か
ら超微粒子捕集容器10に向かって超微粒子発生容器9
内で材料の加熱蒸発と不活性ガスとの衝突により形成さ
れた超微粒子が、超微粒子発生容器9内と超微粒子捕集
容器10内との不活性ガスの内部圧力差によってオリフ
ィス11を通り超微粒子捕集容器10内に導入され捕集
される。
【0036】ここで、超微粒子捕集容器10内に導入さ
れる際の超微粒子の移動は、オリフィス11の内径等に
よってその方向が一定範囲内に制御されており、また、
オリフィスを通過する不活性ガス流量によって初期速度
も一定速度以上に保つことができるため、超微粒子捕集
容器10内に導入された超微粒子は、この容器内での不
活性ガスとの衝突によって、その粒径により密度分布を
変えることになる。
【0037】したがって、超微粒子捕集容器10内での
超微粒子捕集を、図2に示したように、オリフィス11
から導入される超微粒子が直進し得ない位置の基板5で
実施することによって、形成した超微粒子の中から粒径
が一定以下の超微粒子のみを捕集することができる。
【0038】
【作用】本発明の超微粒子の製造方法によれば、ガス中
蒸発法により作製した粒径分布のバラツキの大きい超微
粒子を不活性ガス中に噴出させ、不活性ガスと衝突させ
る過程を経て、超微粒子はその粒径によって密度分布が
異なる状態を生じるため、超微粒子を粒径によって選択
的に捕集することが可能になり、結果として、超微粒子
の粒径分布のバラツキを小さくすることができる。
【0039】本発明によれば、超微粒子の粒径分布のバ
ラツキを小さくするために、超微粒子と不活性ガスの衝
突の際の力学的法則から当然に導き出される超微粒子の
運動の速度変化と方向変化の粒径依存性を単に利用して
いるに過ぎないため、従来の方法のように、超微粒子を
帯電させる等の超微粒子にとっては困難でかつ効率の悪
い2次的処理はその必要がなく、装置および操作も簡便
であり、しかも、望ましい粒径分布をもつ大量の超微粒
子が製造可能である。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0041】(実施例1)図1に実施例1で超微粒子の
製造に用いた製造装置の模式図を示す。本装置は、超微
粒子をガス中で製造する真空容器1に、超微粒子の原料
となる材料2、超微粒子遮蔽物体3、レーザー光導入窓
4A、超微粒子を捕集するための基板5、それを保持す
る基板ホルダー6および不活性ガス導入管7を具備して
いる。また、真空容器1は、ゲートバルブ8を経て排気
系に接続されており、基板ホルダー6はその位置や角度
を変えることができる可動式となっている。これにより
真空容器内のさまざまな位置で微粒子の捕集が可能であ
る。遮蔽物体3は1.5cm×0.4cmの長方形の開
口部3Aを1つ有している。
【0042】真空容器1に不活性ガスを満たした状態
で、上記の開口部を通して高エネルギーレーザー光4を
超微粒子の原料となる材料2の表面に照射し原料を蒸発
させ、この蒸気が不活性ガスと衝突して超微粒子が製造
される。製造された超微粒子は、超微粒子を形成しなか
った蒸気と共に、原料となる材料2の表面に対してほぼ
垂直な方向に出射され、上記の開口部を通してガス中に
噴出する。ガス中に噴出した超微粒子はその大きさによ
り飛散する方向の広がりが異なるので、基板ホルダー6
の位置を、たとえば図1に示したように、超微粒子の原
料となる材料2から超微粒子が直進して到達し得ない位
置に設定することにより、もともとの粒径分布よりも小
さいバラツキをもつ超微粒子を基板上に捕集することが
できる。
【0043】本装置を用いたCdTe超微粒子の製造方
法について説明する。超微粒子の原料となる材料とし
て、直径5cm厚さ0.5cmのディスク状のCdTe
多結晶ターゲットを用いた。真空容器1を5×10-6
orr程度まで真空引きした後、ゲートバルブ8を閉じ
て、不活性ガス導入管7からArガスを導入し、圧力を
0.5Torr程度に調整した。この状態で、レーザー
光導入窓4を通してターゲットにNd:YAGパルスレ
ーザーの第二高調波(波長532nm、レーザー光強度
25J/cm2 、繰り返し周波数10Hz)を照射し、
CdTeターゲットを蒸発させた。ターゲットは回転導
入機構により蒸発中24回転/分程度の速度で回転さ
せ、ターゲット上の同じ位置に続けてレーザー光を照射
しないようにした。基板ホルダー6の位置を変化させ、
真空容器1内のさまざまな位置で、超微粒子を捕集し
た。捕集した超微粒子を直接観察するため、基板として
電子顕微鏡観察用のマイクログリッドを用いた。また、
それぞれの基板ホルダーの位置に対して、パルスレーザ
ーの照射回数を50ショットとした。
【0044】図5の5C、5Dそれぞれの位置で捕集し
たCdTe超微粒子を、透過型電子顕微鏡により観察
し、それぞれの粒径の分布を調べたところ、図6および
図7のような結果が得られた。図5の5Cの位置は、蒸
発源から超微粒子が直進して飛来できる位置であるのに
対し、図5の5Dの位置は、遮蔽板3により遮られてい
るために、蒸発源から超微粒子が直進して飛来できない
という違いがある。図6および図7を比較すると、明ら
かに粒径分布のバラツキが変化しており、位置5Dで補
集した超微粒子のほうが、大きい微粒子の濃度が減少
し、粒径分布のバラツキが小さくなっていることがわか
る。
【0045】なお、電子顕微鏡観察の結果からは、捕集
したCdTe超微粒子が結晶化していることも確認でき
た。
【0046】また、図5の捕集位置5Cおよび5Dで捕
集したCdTe超微粒子をガラス中に分散させ、その光
吸収特性を測定したところ、図8のような結果が得られ
た。5Dの位置で捕集した超微粒子では吸収端近傍(6
00nm付近)に、吸収の肩が観測されるのに対し、5
Cの位置で捕集した超微粒子ではそのような肩は観測さ
れず、しかも吸収端も5Dに比べて長波長側にシフトし
ている。このような変化はいわゆる量子サイズ効果に起
因しているため、吸収端付近の形状は超微粒子の平均粒
径と粒径分布のバラツキと深く関係しており、一般に、
吸収端近傍にみられる肩のような構造は、粒径分布のバ
ラツキが小さい場合しか観測されないことが知られてい
る。したがって、図8に示された光学吸収測定の結果か
らも、本発明により製造した超微粒子の粒径分布のバラ
ツキが小さいことがわかる。
【0047】今回は、CdTe超微粒子について述べた
がこれに限ることなく、たとえばCdSe、ZnSeを
はじめとする2−6族化合物半導体、GaAs、In
P、InGaAsPなどの3−5族化合物半導体、S
i、Geなどの4属半導体などのさまざまな半導体や、
金、銀などの金属、あるいはFeやCoを含む磁性材料
など、ガス中蒸発法で作製できるさまざまな材料につい
て、本発明の超微粒子の製造方法は適用できる。
【0048】また、今回はガス中蒸発法における原料の
加熱源として、高パワーパルスレーザー光を用いた例に
ついて述べたがこれに限ることなく、誘導加熱、抵抗加
熱、蒸発容器内の圧力によっては電子ビーム加熱、アー
ク放電など種々の方法を適用できる。
【0049】(実施例2)次に、実施例2で超微粒子の
製造に用いた製造装置を図2に示す。
【0050】本装置は、超微粒子発生容器9と超微粒子
捕集容器10およびそれらの2つの容器を接続するオリ
フィス11からなる。超微粒子発生容器9は、超微粒子
の原料となる材料2、レーザー光導入窓4Aおよび不活
性ガス導入管7を具備しており、実施例1と同様に、蒸
発室中に不活性ガスを満たした状態で、ターゲット2に
高エネルギーレーザー光4を照射することにより、超微
粒子を製造する。超微粒子捕集容器10は、超微粒子を
捕集するための基板5、それを保持する基板ホルダー6
を具備しており、コンダクタンス可変バルブ12を経て
排気系に接続されている。基板ホルダー6は、実施例1
と同様可動式になっており、その位置や角度が可変とな
っている。これにより超微粒子捕集容器10内のさまざ
まな位置で微粒子の捕集が可能である。オリフィス11
の内径は、その出口での超微粒子の速度、すなわち、超
微粒子の初期速度の大きさを決定するパラメータである
が、本実施例ではその内径を0.5cmとした。
【0051】超微粒子発生容器9に不活性ガス導入管7
を通してArガスを導入し、コンダクタンス可変バルブ
12により、超微粒子発生容器9および超微粒子捕集容
器10の圧力がそれぞれ0.5Torrおよび0.05
Torrとなるように調整した。この状態で超微粒子の
原料となる材料2にレーザー光4を照射し、これを加熱
蒸発させ不活性ガスとの衝突により急冷して超微粒子を
製造した。この超微粒子は、不活性ガスとともにオリフ
ィス11を通過して超微粒子補集容器10に輸送される
が、オリフィス11通過中は、超微粒子の速度と不活性
ガスの速度はほぼ等しくなっている。Arガス流量とオ
リフィスの内径から、オリフィス内での超微粒子の速さ
を計算すると、約100m/secとなる。したがっ
て、オリフィスの出口で、超微粒子は約100m/se
cの速度で超微粒子捕集容器10中に導入される。実施
例1と同様に、不活性ガス中に噴出し衝突した超微粒子
はその大きさにより移動の方向の広がりが異なるので、
基板ホルダー6の位置を、たとえば図2に示したよう
に、オリフィス11を輸送されて超微粒子捕集容器10
に導入される超微粒子が直進し得ない位置に設定するこ
とにより、もともとの粒径分布よりも小さいバラツキを
持つ超微粒子を基板上に捕集することができる。
【0052】本装置を用いたCdTe超微粒子の製造方
法について説明する。超微粒子原料として、直径5cm
厚さ0.5cmのディスク状のCdTe多結晶ターゲッ
トを用いた。真空容器1を5×10-6Torr程度まで
真空引きした後、不活性ガス導入管7からArガスを導
入し、コンダクタンス可変バルブ12により、超微粒子
発生容器9および超微粒子捕集容器10の圧力がそれぞ
れ0.5Torrおよび0.05Torrとなるように
調整した。この状態で、レーザー光導入窓4Aを通して
超微粒子の原料となる材料2にNd:YAGパルスレー
ザーの第二高調波(波長532nm、レーザー光強度2
5J/cm2 、繰り返し周波数10Hzを照射し、Cd
Teターゲットを蒸発させ、超微粒子を製造した。超微
粒子の原料となる材料2は回転導入機構により蒸発中2
4回転/分程度の速度で回転させ、同じ位置に続けてレ
ーザー光4が照射されないようにした。製造した超微粒
子を、オリフィス11を通してArガスと共に超微粒子
捕集容器10に導入し、基板ホルダー6の位置を変化さ
せ、さまざまな位置で超微粒子を捕集した。捕集した超
微粒子を直接観察するため、基板として電子顕微鏡観察
用のマイクログリッドを用いた。
【0053】図2に示すような直進する超微粒子が到達
し得ない位置において、捕集した超微粒子を透過型電子
顕微鏡で観察したところ、実施例1と同様に、ここで捕
集した超微粒子では、明らかに大きい微粒子の濃度が減
少しており、オリフィスの細孔の軸上の点で、捕集した
超微粒子に比べて粒径分布のバラツキが小さくなってい
ることがわかった。
【0054】また、捕集した超微粒子をガラス中に分散
させ、光学吸収特性を測定したところ、実施例1と同様
に、量子サイズ効果が観測され、吸収端近傍の吸収の肩
が観測された。したがって、光学吸収測定の結果から
も、本発明の製造方法により製造した超微粒子の粒径分
布のバラツキが小さいことが確かめられた。
【0055】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、ガス中蒸発
法により作製した粒径数10nm以下の超微粒子をその
粒径によって選択的に捕集することができるため、超微
粒子を非線形光学材料等として使用する場合の、超微粒
子単位濃度当りの光学非線形性が増大する。
【0056】特に、使用する光波長においての最適粒径
よりも大きな粒径をもつ微粒子を排除することが可能で
あり、このような微粒子の光学非線形効果を減少させる
効果も有効に排除できる。
【0057】本発明の製造方法は、超微粒子が帯電して
いるかどうかには依存せず実施できるので、静電分級法
と比較して、簡単な装置と操作で、しかも一時に大量の
超微粒子を分級することができる。
【0058】さらに、静電分級法では、分級できる超微
粒子は帯電させることが可能である一定の割合の超微粒
子にとどまっていたが、本発明による方法では、帯電し
にくい超微粒子でもその全ての超微粒子について支障な
く分級できるため、分級の効率が良く、かつ、結果とし
てもバラツキの少ない良好な粒度分布が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例1の超微粒子製造に用いた装置
の模式図である。
【図2】 本発明実施例2の超微粒子製造に用いた装置
の模式図である。
【図3】 従来の静電分級法による超微粒子製造に用い
られる装置例の模式図である。
【図4】 本発明実施例1による超微粒子の粒径による
密度分布の差異を示す模式図である。
【図5】 本発明実施例1における超微粒子の補集位置
を示す図である。
【図6】 本発明実施例1により製造したCdTe超微
粒子の粒径分布の一例である。
【図7】 本発明実施例1により製造したCdTe超微
粒子の粒径分布の一例である。
【図8】 本発明実施例1により製造した超微粒子をガ
ラス中に分散させて測定した光学吸収特性の一例であ
る。
【符号の説明】
1:真空容器、2:超微粒子の原料となる材料、3:超
微粒子遮蔽物体 3A:超微粒子遮蔽物体の開口部、4:レーザー光、4
A:レーザー光導入窓 5、5A、5B、5C、5D:基板、6:基板ホルダ
ー、7:不活性ガス導入管 8:ゲートバルブ、9:超微粒子発生容器、10:超微
粒子捕集容器 11:オリフィス、12:コンダクタンス可変バルブ 13:マスフローコントローラー、14:低圧容器、1
5:電極 16:高圧直流電源、17:帯電させた超微粒子、1
8:シースエア 19:分級した超微粒子、20:過剰空気、21:超微
粒子、22:不活性ガス 23:粒径の小さい微粒子の密度分布、24:粒径の大
きい微粒子の密度分布
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 修平 大阪市中央区道修町3丁目5番11号 日 本板硝子株式会社内 (56)参考文献 特開 昭55−24985(JP,A) 特開 昭56−83844(JP,A) 特開 平5−47664(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 19/00 - 19/32

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超微粒子の原料となる材料を不活性ガス
    中で加熱蒸発させて発生させた蒸気を該不活性ガスと衝
    突させて急冷することにより超微粒子を形成する、該
    蒸気または該超微粒子の移動の一部を遮蔽物体で妨げる
    ことによって、直進する該蒸気または該超微粒子が到達
    しない空間を形成し、該空間内で超微粒子を捕集する超
    微粒子の製造方法において、捕集する超微粒子の粒径
    を、超微粒子の初期速度もしくはその広がり、使用する
    不活性ガスの種類もしくは圧力に応じて、超微粒子の捕
    集位置を変更することにより選択することを特徴とする
    超微粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 超微粒子の原料となる材料の加熱蒸発手
    段を有する超微粒子発生容器と、超微粒子の捕集手段を
    有する超微粒子捕集容器と、該両容器の内部空間を一体
    とする細孔を有する超微粒子輸送管からなる装置を使用
    して、不活性ガスを導入した該超微粒子発生容器中で加
    熱蒸発させた超微粒子の原料の蒸気を該不活性ガスと衝
    突させて急冷することにより超微粒子を形成し、該超微
    粒子を該超微粒子輸送管を通じて、該超微粒子発生容器
    よりも不活性ガスの内部圧力を低く保った該超微粒子捕
    集容器中に導入し捕集する際、該超微粒子輸送管から直
    進する超微粒子が到達しない該超微粒子捕集容器中の空
    間内で超微粒子を捕集する超微粒子の製造方法におい
    て、捕集する超微粒子の粒径を、超微粒子の初期速度も
    しくはその広がり、使用する不活性ガスの種類もしくは
    圧力に応じて、超微粒子の捕集位置を変更することによ
    り選択することを特徴とする超微粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 補集する超微粒子の粒径を20nm以下
    とすることを特徴とする請求項1または2に記載の超微
    粒子の製造方法。
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